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CrazyPapiyoN、Kizoku、但木一真、eスポーツのプロフェッショナルが業界を目指す若者へ伝えたいこと【e-sportsトレンドセミナー】【シブゲーアーカイブ】

※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。(公開日:2019年4月23日/取材・撮影・文:SHIBUYA GAME編集部 モーリー)

4月21日(日)、東京都の高田馬場にある「東京デザインテクノロジーセンター専門学校」にて、プロゲーマー社長のCrazyPapiyoNさん(@CrazyPapiyooooN) 、野良連合代表のKizokuさん(@kizoku_noraren)、但木一真さん(@k_tadaki)らを招いたセミナー「e-sportsトレンドセミナー」が開講されました。

将来、eスポーツに携わりたいと考えている若者に向けて、既にeスポーツの最前線で戦い続けている3人は、一体何を伝えるのか?セミナーの様子をレポートします。

▲会場はeスポーツ業界を目指す若者で大盛り上がり。立ち見エリアにまで人があふれていました。

CrazyPapiyoN「プロゲーマーへの道」


まず登壇されたのは、日本のeスポーツ業界を牽引する有名チーム「野良連合」の元プレイヤーにして、株式会社e’sPROの代表取締役でもあるCrazyPapiyoNさん(@CrazyPapiyooooN)。

話は自分が大学生のころ、まだプロゲーマーどころかゲームにすらほぼ触れていなかった頃にさかのぼります。フィジカルスポーツで結果を出し続けていたCrazyPapiyoNさんは、ある時友人にFPS『Rainbow Six Siege』に誘われ夢中になったそうです。

気付けば『Siege』をプレイし続け、そこで出会った現在でも有名プレイヤーのWokkaさんやしもつきさんらと共にクランを作り、やがてKizokuさんと出会うことで、チーム「野良連合」を発足。


そこで練習を続けた結果、2016年に開催された『Rainbow Six Siege』の国内大会「JCG R6S PS4 Master 2016」にて悲願の優勝を果たします。

この時、ファンやチームからの声援を受けて、彼はそれはただゲームで強いだけではなく、応援してくれている人たちの期待に答え、喜ばせる人間こそ本当の意味で「プロゲーマー」なのだと実感したそうです。

こうして一躍国内で「野良連合」の名前は売れますが、世界大会に出場すると一方的に敗北し、世界との壁が厚いことを実感したとのこと。


そして、CrazyPapiyoNさんは決断を迫られます。大学の卒業が迫っていた彼には、既に大手企業への内定が複数出ていました。

『Siege』に対する熱意は冷めていないものの、さすがにプロゲーマー一本で食べていくことは難しいだろうと揺れるCrazyPapiyoNさんでしたが、そこに声をかけたのが現野良連合代表であるKizokuさんでした。

Kizokuさんに「タレではなく、塩やつゆで肉を食べるレベルの高級焼肉店」に連れていかれ、「(内定を出ていることは知っているが)野良連合に残ってほしい」と説得されたCrazyPapiyoNさんは、その熱意に共感し、内定を辞退してでもプロゲーマーとして活動することを決意。

その後、野良連合は国内外で圧倒的な実力を見せた他、CrazyPapiyoNさん本人もYoutubeやTwitterで精力的にファンとの交流を進めています。


最後に、CrazyPapiyoNさんはプロゲーマーに必要なことは何かと問います。それは強さだけではなく、「人間性」。プロゲーマーとしての活動はスポンサーやファン、チームによる支援なくして成立しません。更に、『Rainbow Six Siege』のようなチームゲームのタイトルは、他メンバーとの連携が不可欠です。そのうえで、SNSで他人を傷つけるようなことを書いたり、他者を尊重できない人間性は大きな枷になるというのです。

その人間性を養う上で、またゲームの実力を高めるうえで、ゲーミングハウスに入居することが効果的だとCrazyPapiyoNさんは話します。

講演を通して、CrazyPapiyoNさんの自分の過去から現在まで赤裸々に語り、プロゲーマーとして生活をすることの苦楽を真剣に伝える姿勢に、集まった人々は釘付けでした。

Kizoku「活躍できるプロゲーマーとは!?」


CrazyPapiyoNさんの次に登壇された野良連合代表Kizokuさん(@kizoku_noraren)は、壇上に上がるとすぐ「自分が話し続けるより、せっかく学校なのだからディスカッション形式でやろう」と言い、場を盛り上げます。そのまま、一斉に手をあげる生徒たち。

まず「プロのeスポーツキャスターになるにはどうすればいいですか?」という質問に対し、「多くのキャスターは、一度プロとして活動していた人が多い。やはりプロシーンから得られるものは多いので、そちらを目指すのも手」と答えるKizokuさん。

また「eスポーツで活動する上で英語は必要ですか?」という質問には、「絶対に必要」と即答するKizokuさん。

海外の強豪チームを目指せる実力を持つプレイヤーは多いが、英語が話せなければそれも難しい。また国際大会ではインタビューや試合前後のパフォーマンスで、英語を話せるだけで海外ファンがたくさんSNSをフォローしてくれる。現に自分のフォロワーの半数は外国のファンだと、Kizokuさんは訴えます。



▲真剣に質問を投げかける学生と、それに答えるkizokuさん

更に「強いチームを作るためのメンバーはどう集めればいいですか?」という問いには、「目的をハッキリと定め、それを周囲に伝えることが重要」と説明。

プロシーンの黎明期から活動を始めたKizokuさんが運営する野良連合は、「このゲームで世界一を目指すから、お前もついてこい」と優秀なプレイヤーを次々に説得したそうです。Kizokuさんはこのメソッドを漫画『ワンピース』にたとえたことで、会場からまたドッと笑いが起きます。

中には「今モバイル市場が盛り上がっているのに、どうしてプロチームは少ないんですか?」など鋭い質問も。実は野良連合もモバイルゲームの進出は検討中と前置きしつつ、Kizokuさんは「パーツやデバイスなどのスポンサーを集められるPCと異なり、モバイルではそれが難しい。またモバイルはユーザー層が若いため、マネジメントが難しい面がある」と説明します。

総じて、Kizokuさんの野良連合代表としての鋭い発想やユーモアによって、大変刺激的な講演となっていました。

 

但木一真「e-sports業界で働くには」


三番目に登壇された但木一真さん(@k_tadaki)は、フリーのeスポーツアナリスト。現在はeスポーツコミュニティ「eスポーツの会」や、eスポーツのビジネスを研究する「eスポーツラボ」の管理人も務めています。

まず、但木さんは自分の過去を振り返ります。元々、ゲームに限らずエンターテインメントをこよなく愛するオタク気質だったものの、当時の不況もありコンサル系企業へ就職。そこで7年勤めたものの、エンタメ業界で働きたいという夢をあきらめることができず、転職した先のGzブレインでeスポーツに触れ、現在ここに立っていると。

総じて、但木さんは「一度心についた火はなかなか消えない」と言います。仮に、eスポーツ業界を目指そうとするそうとする若者が、両親から反対され他の道を歩んだとしても、強い後悔が残ることもあると言うのです。


ただし、ただガムシャラにeスポーツ業界に飛び込めばよいわけでないとも但木さんは説明します。

この業界で働くには「ゲームへの愛が3割、そしてビジネススキルが7割」が必要であり、ゲームが好きなだけで食べていけるほど楽な業界ではない。

そのためにも、例えば英語のような外国で仕事ができる語学力や、他人を尊重して仕事ができる協調性、また仕事の工程や人のアサインを実行するマネジメント能力が重要であり、それらを身に着けるべきだと但木さん言います。


しかし、これを裏返せばeスポーツ業界で働くことで養える能力は、あらゆる業界においても通用するということ。だからこそ、二の足を踏んでいる若い人も、ぜひこの業界でそのゲームへの愛情と能力を活かしてほしいと伝え、但木さんの講演は終わります。

総じて、ただeスポーツに限らず、普遍的な若者の悩みをくみ取りつつeスポーツ業界の魅力を説明する、専門学校ならではの講演でした。


「わが校e-sportsワールドとは?」「ゲーミングハウスの紹介」

今回講演のための場所を提供した「東京デザインテクノロジーセンター専門学校」の小野さんより、日本初のeスポーツ専門学校としての取り組みが紹介されました。

同校には「e-Sportsプロマネージメント専攻」が存在し、イベントの運営や企画についての授業を受けることができます。




更に、CrazyPapiyoNさんが代表取締役を務める株式会社e'sPROの台さんより、ゲーミングハウスの紹介が行われました。

業界でも珍しい、一般人でも気軽に入居できるシェアハウス形態のゲーミングハウスを作っており、CrazyPapiyoNさん本人が野良連合のゲーミングハウスで培ったノウハウが活かされているとのこと。

高額なPCが購入できない若者に向けて、住居からデバイスまでまとめて提供できる環境を整え、ハイレベルな競技シーンを目指す人から、純粋にゲームを仲間と楽しみたい人まで、ゲーマーを満足させられる「場所」になるようです。



総じて、今からeスポーツ業界を目指す若者にとっても、既に業界に入ってしまった筆者にとっても、大変興味深いセミナーでした。



▲真剣に耳を傾け、メモを取る受講生たち。誰もスマホさえ弄っていません


e-sportsトレンドセミナー
https://www.tech.ac.jp/event/e-sports-trend/
東京デザインテクノロジーセンター専門学校
https://www.tech.ac.jp/


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