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日本のeスポーツのTierを示す「Esports Tier in Japan 2020」で 『VALORANT』『グラブルVS』が新登場 『CoD』『フォートナイト』は圏外に

ライブ配信や大会運営、eスポーツのマネジメントに関するアドバイスなどを手掛ける配信技研が、日本国内で行われているeスポーツゲームタイトルを対象とした「Esports Tiers in Japan 2020」を発表した。

2020年に日本国内で開催されたゲームの競技的大会のライブ配信から、合計視聴時間に基づいて抜粋して並べたもの。同社の競技としての基準によって算出されており、個人配信やアーカイブ配信の数値は含まれていない。ティアリストは以下の通り。
(※ゲームタイトルの後ろのカテゴリー、対象機種はAlienware Zone編集部にて追加)


ティア1
ティア2

ティア3

2019年からの変化のポイント

大前提として、同社が語っている通り、このリストはゲーム自体の完成度や評価を示すものではないことを念頭に置いておきたい。新型コロナウイルスにより減少したオフライン大会の観客数なども含まれていないし、日本国内で主催されている大会のみで、海外で開催された国際大会などの配信は含まないといった、明確な基準も後述されている。

また、Tierごとのボーダーラインが、Tier1の1億分以上は変わらないが、Tier2が2000万分以上から3000万分以上に、Tier3が5万分以上から10万分以上へと引き上げられている。これはタイトルを絞るためとのことだが、配信の視聴数自体も増加しているという。この時間換算については、グローバルの動向を鑑みて、今後は「時間」単位に変更されるという。

その上で2019年と比較してみると、新たに登場したのはTier1の『VALORANT』、Tier2の『Apex Legends』と『PUBGモバイル』、そしてTier3の『グランブルーファンタジー ヴァーサス』と『プロ野球スピリッツA』の5作品。上昇したのは『シャドウバース』『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』と『IdentityV 第五人格』、下降したのは『レインボーシックス シージ』(カッコ内はティアーの数字。1→2)、『鉄拳7』(2→3)、『スプラトゥーン2』(2→3)となっている。

一方、『コール・オブ・デューティ』(2)、『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ』(3)、『ハースストーン』(3)、『ぷよぷよeスポーツ』(3)、『フォートナイト』(3)、『クラッシュ・ロワイヤル』(3)は圏外となった。ただし、あくまで2020年に行われた競技系大会の配信という基準に含まれなかっただけであり、個人配信なども含めたゲーム人気の低下を示すものではないことは重ねてご留意いただきたい。

配信技研は最後に「社説」として、「日本でゲームを用いた大会をより多く開いて欲しい」もしくは「なるべく多くの方に大会を開かせて欲しい」との考えを示している。2020年は実現が難しい面もあったが、『鉄拳7』の参加人数に応じてツアーポイントが付与される「DOJO」システムのように、ユーザーコミュニティが選手権に参加できる仕組みも実現されている。IPホルダー側の著作権の問題、公式・非公式大会へのガイドラインなどの整備が進むことで、さまざまなプレイヤーが気軽かつ真剣に参加できる大会が増えることで、eスポーツとしての盛り上がりも拡大していってほしい。

なお、今回のTier Listは、「視聴時間」を用いて国内のあらゆるライブ配信を評価しアーカイブしたデータベースツール「Giken Access」を通して集計されている。詳細はお問い合わせのこと。

<以下、ニュースリリースをもとに作成しています>

Esports Tiers in Japan 2019

■ 全体
これは日本での Esports Tier List を視聴時間に応じてつけたものです。以下の条件に当てはまるライブ配信を、弊研提供 “Giken Access” を通して集計しています。

期間:2020年1月1日 - 12月31日
対象:日本国内で開催されたゲームの競技的大会
単位:ライブ配信の視聴時間合計 [分]

まず申し上げますが、これは決定的で網羅的であるリストという訳ではではなく、視聴データに基づいて各ゲームタイトルの競技シーンを区分したものです。これはゲーム自体の完成度やユーザー数の優劣を決めるものではありません。ゲーム毎のプレイヤーの部分集合である「国内の競技シーン」の盛り上がりを見る一つの指標と考えて下さい。

前提として、各ゲームタイトルの個人ライブ配信や、大会ライブ配信のアーカイブを視聴した時間は含めていません。また、今回は物理的な集客数は考慮していません。あくまで競技的な大会のライブ配信のみを算入しています。また、各ゲーム会社やイベントで「これは esports です」と名告っているものは少数派です。Esports の定義は明瞭ではないため、競技的な大会の定義を弊研で設けて算入いたしました。詳細は個別項目で申し上げます。

2020年に日本国内で大会を開催していたゲームタイトルは60以上観測され、今回のために20タイトル未満に落ち着くようにまとめました。その中で視聴時間順に Tier1, Tier2, Tier3 と恣意的に3つに区分しています。そのため、Tier 3 に含めたタイトルも国内で視聴時間が大きく発生しているものであり、決して相対的に低いというイメージを持たれないでください。また、測定誤差が有り得ますが、各 Tier の間隔を大きく設けましたため、Tier に影響するものは無いと考えています。

また、2020年は COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に伴う自粛環境下で特殊でありました。急遽中止になったイベントも多くあります。一方で、自粛状況に入る以前に例年通り開催されたイベント(“EVO Japan 2020” など)は算入しています。今年のリストは特別な環境下での線引であることを注意してください。

以下、個別の項目で詳細を申し上げます。

■ Tier ボーダーについて
集計した視聴時間から、
Tier1 : 1億分以上
Tier2 : 3000万分以上
Tier3 : 1000万分以上
で区切りました。

前回と比較して Tier2, Tier3 のボーダーが上がっています。ボーダーを上げなかった場合、前回よりもずっと多くのタイトルがランクインすることになります。ゲームタイトル数を維持するためにボーダーを変化させました。

●2019年の記事はこちら
日本のeスポーツの格付け「Esports Tier in Japan 2019」が公開 『LoL』『R6S』『PUBG』などがティア1に
https://alienwarezone.jp/post/2160

自粛環境下で大会は減ったものの、ボーダーは上がっているのは意外かもしれません。しかし、今年は大会に限らずライブ配信全体の視聴が上がっています。そのため、大会の視聴も水準が上がったと推測できます。

■ 競技について
今回算入した「日本国内で開催されたゲームの競技的大会」について、特に「競技」とは何かについて申し上げます。

ローカル規模であれ国際規模であれ、勝利を目指しゲーム内のスキルのみで優劣を競う大会のみを指しています。基本的には誰でも参加可能で且つゲームスキルで勝敗を決める大会は対象となります。

参加者に制限を設ける場合は議論対象です。例えば参加条件にゲーム内ランキングや過去の競技的大会の結果に基づくものを含めたものは、算入しています。
例) “PWI 2020” は “PJS” の結果に基づいているため算入。
例) “SFL: Pro-JP 2020” は出場選手が過去の競技に基づいているか、毎年の選抜予選があるため算入。

LJL 2020” シリーズは参加チームに資格が必要ですので議論対象になります。ただ、LJL シリーズを過去に設立した当時はオープン予選があったことや、現在も新選手の獲得イベント(“Scouting Grounds”)が開催され、極力スキルが高い選手を採用する意志があることから、競技的大会に含めます。他のゲームタイトルでも「プロリーグ」にあたる大会は同様に判断しました。

“VALORANT” は過去作品の経験が活きる新作タイトルのため特殊です。しかし、リリース初期に開催された “RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENT” や “UTAGE VALORANT” が基本的にはオープン大会であり、その結果に応じて後の invitational(“GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020” 等)が撰定されていたため、これらは連続して競技的な大会とみなします。一方、“Twitch Rivals: VALORANT Launch Showdown” は競技の実力も関係しますが、ストリーマーからの選抜だったため除外しました。

この法則で、例えば参加条件にフォロワー数や視聴者数を含めたものは算入していません。つまりは、参加条件として過去の競技に基づいていない invitational は算入しておりません。
例)『プロ野球スピリッツA』の「OB チャンピオンシップ」はプロ野球選手を対象に招待したもののため算出から除外。
例)「VTuber最協決定戦」はゲーム内レートに基づいていましたが、レシオ制であったことと、出場資格が VTuber であるという条件があることから、競技シーンの範囲ではないとみなし除外。

ここには議論の余地があると思いますが、もし VTuber やストリーマーの大会を算入する場合、対象はより広範囲まで見渡さなければならず、結果は「配信技研NEWS」※ と類似したものになります。それですと esports として今回個別に区切って発表する意味がないと考え、特に狭義な枠で純粋な competition に基づいた統計を作成しました。あくまでそのゲームタイトルの「競技シーン」への興味を抜粋しています。改めて、ゲーム会社が「大会」や “esports” と銘打っていても(もしくはいなくとも)、弊研で「競技的な大会」を判別していることを申し上げます。

※「配信技研NEWS」:弊研が毎月発表している、日本でのゲームカテゴリのライブ配信から視聴時間順に上位のチャンネルとゲームタイトルを其々並べたもの。

これに基づいて、競技的な大会に当てはまるならば公式大会・非公式大会を問わず視聴時間に算入しました。例えば『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』は今回も大半を非公式大会が生み出しています。

ちなみに参加条件に地理的・年齢的なものを含めた大会は算入しています。

■ 国内と海外について
前項目に続き、算入した「日本国内で開催されたゲームの競技的大会」の中でも、「日本国内」とは何かについて申し上げます。

今回の参入した対象は「日本から発信されている大会」であり、「グローバルのユーザーからの視聴」を含めています。その結果、日本プレイヤーが世界で活躍している格闘ゲームや、グローバルで盛んなPCゲームには有利に働きました。

前回と同様「海外の大会を日本のユーザーが視聴している時間」を算入していません。日本での大会こそが日本での盛り上がりの本質的な指標であると考えたからです。これはGDPとGNIを比較して、GDP を採択することと同じ理由であると考えています。

今回議論対象となるのはオンライン大会です。2020年は自粛環境にあり、オンラインのみで開催された大会も多くありました。オンライン大会は物理的に会場が有るわけではないため「国内」かどうかと判断する指標を人為的に設けました。根本的にはそのオンライン大会の主運営が日本で行われているかという点にあります。(方針は前回と変わっていません。)

例えば、国外主導で開催された国際大会の日本語フィードは算入していません。
例) “Apex Legends Global Series” は除外。
例) “CAPCOM Pro Tour Online 2020” シリーズでは Asia East は算入し、North America は除外。

■ 個人視点
バトルロワイヤル系タイトルや、格闘ゲームのオンライン大会等では、大会中に個人プレイヤー視点を本人がライブ配信しているケースがあります。しかしこれは視聴時間から除外しています。
例) “UTAGE VALORANT” は個人視点を除外

個人ライブ配信が重要であるというマインドは、弊研の理念でもあります。ただ、大会の個人配信を含めますと際限がなくなり、上述の「配信技研NEWS」と同様の結果を導いてしまいます。競技毎に正規化して評価するために、今回も個人視点を除外しています。

■ 個別タイトル
ここでは個別ゲームタイトルで特筆すべき情報を述べます。

Call of Duty” シリーズは毎年秋にタイトルが変わりますが、前回と同様に合算しています。今回はリストに入りませんでしたが、中止となった公式大会もあるため、改めて2020年の Tier List は特殊な環境下であることをご留意ください。ただし、この視聴時間に “Call of Duty®: Mobile” のものを併せれば Tier3 に入ります。

視聴時間が少なめに出ているもので言えば、 “Apex Legends” と “VALORANT” があります。お馴染みの “Apex Legends” は正式リリースから1年以上が経った2020年途中になって漸く競技としての公式大会が開始しました。(補足ですが、 “Apex Legends,” “PlayerUnknown's BattleGrounds,” 『フォートナイト』といったバトルロワイヤル系タイトルは、特別な権限がなければ意図したメンバーで対戦をすることが出来ず、他のゲームタイトルと根本的に性質が異なることをご留意ください。)また、 “VALORANT” はリリースが2020年6月であり、今回の Tier List は半年分の視聴時間に過ぎません。

一方で、視聴時間が大きかったタイトルについて述べます。『リーグ・オブ・レジェンド』は前回に続き、非常に大きな視聴時間を出しています。今回も別格の結果です。

また、2020年はカードゲームが全体的に躍進しました。 “Shadowverse” は2016年リリースながら、2020年に競技シーンの視聴時間を更に伸ばしました。今回は Tier1 に入っています。更に、リストには入っていませんが 『ドラゴンクエスト ライバルズ』シリーズや『遊戯王 デュエルリンクス』も視聴時間を伸ばしています。

■ RTA
RTA はリアルタイムアタックの略称です。この “RTA” の定義は他の文献に任せますが、RTA イベントは日本でも開催されています。ただ、次々とゲームタイトルを複数個・大量にクリアしていくという性質上、ゲームタイトル毎に区切ったこの Tier List ではランクインに影響していません。

ちなみに “RTA” というジャンル(英語名は “speedrun” が一般的)を1つのゲームタイトルとしてカウントした場合、2020年の視聴時間は2億分以上となります。これは Tier1 でも上位に匹敵する数値です。

■ 社説
今回の発表に当たり、改めて配信技研としての感情的なメッセージを申し上げます。日本でゲームを用いた大会をより多く開いて欲しいです。もしくは、なるべく多くの方に大会を開かせて欲しいと考えています。

そして、前回と同様の意見となりますが、Tier List をご覧になったことで、Tier を基に競技シーンの優劣を考えるのではなく、「日本にこういうゲームタイトルがあるのか」ということを認知して欲しいです。更に、知ったことをきっかけに、スポンサーの方々には実際に競技の舞台をご自身の目でご覧になって、神経で感じたことを第一に判断をして欲しいと思っています。

■ お知らせ
最後にお知らせを申し上げます。弊研は今まで発表する視聴時間を「分」単位で扱っていましたが、将来的に「時間」に移行します。これはグローバルの指標が2020年に minutes から hours へ徐々に移行したことを受け、弊研も従うものであります。

明確な時期を決めていませんが、以後お見知り置きください。


配信技研|ニュース
https://www.giken.tv/news

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