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『ストV』公式世界大会「Capcom Cup 2017」詳細レポート!セオリーを超える猛者たちの戦い
2017年12月8日~10日(現地時間)、アメリカ・カリフォルニアのHilton Anaheim(ヒルトン アナハイム)にて、『ストリートファイターV』公式世界大会「Capcom Cup 2017」が開催された。「Capcom Cup」は、2017年シーズンのプロツアーと呼ばれる大会群の決勝大会にあたるイベントで、世界各地の厳しい予選で好成績を収めたプレイヤーたちが集結した。
「Capcom Cup 2017」は、『ストV』シーズン2のやりこみがぶつかりあう凄まじい大会となった。ゲーム発売から1年半以上が過ぎ、キャラクターごとの「攻略やセオリー」は、多くのプレイヤーたちにも共有されており、強豪プレイヤーたちはその攻略やセオリーを、できるだけ理想に近い形でこなすことができる腕前の持ち主ばかりだ。
しかし、この「Capcom Cup 2017」では、一般的に共有されている「攻略やセオリー」を凌駕する技術と駆け引きがぶつかり合うシーンが数多くみられた。相手が対策だと信じているものを逆手に取ったり、多くのプレイヤーが初めて見るような攻めの組み立て方などが、選手たちの試合中に次々と飛び出した。
今回の記事では、そのセオリーを超えるプレイで我々を魅了してくれたプレイヤーを中心に紹介し、本大会の見どころとして解説する。
マゴ選手によるカプコンカップ2017注目選手! 【「プロゲーマー・マゴのゲーム人間論」第10回】
地上戦の立ち回りで突如放たれるEXブルリベンジャーや、ブルホーンはまさに「勝負勘」としか説明のできないタイミングで放たれていた。バーディーは一般的に長い試合を得意とするキャラクターだが、MenaRD選手の試合は、とてもスピーディに進行していたのも印象的だった。
Problem X選手は、相手の垂直ジャンプへの対策として大きな見返りを狙えるヘルアタック(ジャンプ中P・中P)での迎撃を積極的に狙い、「対策」を逆手にとるようなプレイを見せつけていた。この戦術は非常に難度が高く、「垂直ジャンプにはヘルアタックを狙うこともできる」という知識があったとしても、凄まじい反応速度と状況判断能力が求められるため、決まる度に会場からは歓声があがっていた。
また、スタン値を一定値稼いだあとのラッシュも独特なテンポのものが多く、EX技やVトリガーの運用は、各選手の「対策」を上回るものとなっていた。
日本人選手では、ネモ選手(使用キャラ:ユリアン)もまた対策を上回る動きを得意とするプレイヤーのひとりだ。ネモ選手は日本のプロゲーマーとしては珍しい社会人プロゲーマーであるため、「Capcom Cup」の予選に参加する機会が少なく、開催直前まで本大会への出場権利を持っていなかったが、前日の最終予選に参加し、優勝をもぎとっての参加となった。
大会では試合中、相手のミスに助けられる形で勝ちをもぎとったシーンなどもあったが、自信溢れるプレイで勝ち星を積み上げていった。「Capcom Cup」でも最終予選を通過した勢いは衰えず、さまざまなエイジスリフレクター連係や、相手のジャンプ攻撃に対して最大リターンを狙うしゃがみ強P対空などは、相手の想像を超えたレベルに達しているように見えた。
初戦では2017年の最強プレイヤーともいわれたPunk選手を破り、その後ルーザーズに落ちるも、破竹の勢いでルーザートーナメントまで勝ち上がっていった。力強い選択肢がぶつかりあうProblem X選手との一戦は、今大会屈指の名勝負と言えるだろう。
ルーザーズファイナルでは、 MenaRD選手に敗れたものの、個性あるプレイで観客を魅了した氏のプレイには、ギャラリーから惜しみない拍手が送られていた。
「Capcom Cup」のグランドファイナルは、ときど選手(使用キャラ:豪鬼)vs. MenaRD選手というカードになった。
ウィナーズファイナルでは、ときど選手が飛び道具を軸にした地上戦で試合の流れをつかみ、バーディー戦用に用意してきた「EX斬空波動拳」を使った画面端のセットプレーなどを駆使して、MenaRD選手を退けた。このEX斬空波動拳を使ったセットプレーもまた、意外性あふれる戦術として「対策」を飛び越えたものとなっていた。この試合のほかにも、ときど選手は試合の中にメリハリをつけるような動きを見せ、相手に的を絞らせないプレイで試合をコントロールしていた。
ときど選手は2017年の『ストV』シーンにおいては、Punk選手と並ぶ最強プレイヤーとして注目を集めており、本大会でもその強さを見せつけて危なげなくグランドファイナルへと駒を進めた。
この時点でときど選手を破り優勝するためには、「6試合」を勝利する必要があるため、会場内やイベントの放送を見ているギャラリーたちの中には、ときど選手の優勝を予想したプレイヤーも多く見られた。
ルーザーズファイナルを勝ち上がったMenaRD選手が再びときど選手と対戦することになったグランドファイナルは、ときど選手が2試合連取し優勝へとリーチをかけた。ウィナーズファイナルと同じく、飛び道具、やや遠い間合いへの対空として使用する立ち強Kなどで殴り合いにもつれ込むことを回避しつつ、時折見せるしゃがみ強Pで見返りの大きいクラッシュカウンターを狙うという戦術は絶妙に機能していた。
しかし、3試合目では、MenaRD選手の力強いプレイがこの堅実な戦術に穴をあけた。一見力押しに見える戦い方だが、ときど選手が距離を離してから繰り出した仕切り直しの豪波動拳にEXブルリベンジャーを合わせるシーンからは、恐ろしいほどの集中力が垣間見えた。
MenaRD選手はこの試合のあとも、一試合でも落とせば負けとなってしまう状況の中で、「勝ち星をリードしている側がとりそうなハイリスクハイリターンな選択肢」を積極的にとっていくスタイルでときど選手に2連勝、勝敗をまさかの「リセット」まで持ち込んだ。
リセット後もMenaRD選手の勢いは止まらず、そのままときど選手を退けての優勝となった。ドミニカ共和国のニューヒーローの誕生は、ギャラリーたちからのあたたかい歓声に包まれていた。
「Capcom Cup 2017」は、『ストV』シーズン2のひとつの区切りとなるイベントだった。しかし、その区切りと考えていたイベントで、初めてみる新しいプレイに驚かされ、深化したかけひきに心を打たれた。そんな試合を見ていると、まだまだ『ストV』の底にはたどり着いていないのだということを実感させられる。
そして、優勝したMenaRD選手が、10代の若手とも聞くと、このゲームの明るいこれからに期待を寄せたくなる。
2018年1月からは、新キャラクターが参戦するシーズン3『ストリートファイターV アーケードエディション』が発売となる。「Capcom Cup 2017」に、何か熱い余韻を感じた方は、この機会にもう一度「俺より強いやつに会いに行く」格闘ゲームを楽しんでみてはいかがだろうか。
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「Capcom Cup 2017」は、『ストV』シーズン2のやりこみがぶつかりあう凄まじい大会となった。ゲーム発売から1年半以上が過ぎ、キャラクターごとの「攻略やセオリー」は、多くのプレイヤーたちにも共有されており、強豪プレイヤーたちはその攻略やセオリーを、できるだけ理想に近い形でこなすことができる腕前の持ち主ばかりだ。
しかし、この「Capcom Cup 2017」では、一般的に共有されている「攻略やセオリー」を凌駕する技術と駆け引きがぶつかり合うシーンが数多くみられた。相手が対策だと信じているものを逆手に取ったり、多くのプレイヤーが初めて見るような攻めの組み立て方などが、選手たちの試合中に次々と飛び出した。
今回の記事では、そのセオリーを超えるプレイで我々を魅了してくれたプレイヤーを中心に紹介し、本大会の見どころとして解説する。
マゴ選手によるカプコンカップ2017注目選手! 【「プロゲーマー・マゴのゲーム人間論」第10回】
▲「Capcom Cup 2017」ではセオリー化されつつある攻略と駆け引きを上回るシーンが数多く見られたドミニカ共和国代表のMenaRD選手(使用キャラ:バーディー)は、大胆な選択肢をアクセントとするプレイスタイルで強豪プレイヤーたちを次々と打ち倒していった。試合を見ている限りでは、相手のジャンプを迎撃する「対空」の精度や、地上の通常技への徹底した必殺技仕込み、状況を重視したコンボ選択など、格闘ゲームの基礎力が恐ろしく高いうえに、勝負どころではハイリスクハイリターンな戦術を絶妙なタイミングで仕掛けているように見えた。
地上戦の立ち回りで突如放たれるEXブルリベンジャーや、ブルホーンはまさに「勝負勘」としか説明のできないタイミングで放たれていた。バーディーは一般的に長い試合を得意とするキャラクターだが、MenaRD選手の試合は、とてもスピーディに進行していたのも印象的だった。
▲MenaRD選手は、ドミニカ共和国からの参戦。自国の格闘ゲーム仲間たちと腕を磨き、本大会に参加したそうだ
▲勝負勘としか言えないような鋭い攻めの選択肢を成功させ、相手の体力をみるみるうちに奪っていくのがMenaRD選手のバトルスタイルProblem X選手(使用キャラ:ベガ)の試合もまた、セオリーを超える動きに驚かされることが多かった。とくに印象的だったのは、ベガのダッシュやダブルニープレスなどへの対策として効果が高い「垂直ジャンプ」への対処のシーン。
Problem X選手は、相手の垂直ジャンプへの対策として大きな見返りを狙えるヘルアタック(ジャンプ中P・中P)での迎撃を積極的に狙い、「対策」を逆手にとるようなプレイを見せつけていた。この戦術は非常に難度が高く、「垂直ジャンプにはヘルアタックを狙うこともできる」という知識があったとしても、凄まじい反応速度と状況判断能力が求められるため、決まる度に会場からは歓声があがっていた。
また、スタン値を一定値稼いだあとのラッシュも独特なテンポのものが多く、EX技やVトリガーの運用は、各選手の「対策」を上回るものとなっていた。
▲Problem X選手はイギリスの強豪プレイヤー。さまざまな攻めの選択肢を披露し、会場を盛り上げた
▲ベガ戦では、対策行動として有効な垂直ジャンプを、凄まじい反応速度で繰り出すヘルアタックで迎撃するシーンも数多く見られた。垂直ジャンプを封じられた状態で、ベガと戦うことを想定していなかったプレイヤーも多かったそうだ
日本人選手では、ネモ選手(使用キャラ:ユリアン)もまた対策を上回る動きを得意とするプレイヤーのひとりだ。ネモ選手は日本のプロゲーマーとしては珍しい社会人プロゲーマーであるため、「Capcom Cup」の予選に参加する機会が少なく、開催直前まで本大会への出場権利を持っていなかったが、前日の最終予選に参加し、優勝をもぎとっての参加となった。
大会では試合中、相手のミスに助けられる形で勝ちをもぎとったシーンなどもあったが、自信溢れるプレイで勝ち星を積み上げていった。「Capcom Cup」でも最終予選を通過した勢いは衰えず、さまざまなエイジスリフレクター連係や、相手のジャンプ攻撃に対して最大リターンを狙うしゃがみ強P対空などは、相手の想像を超えたレベルに達しているように見えた。
初戦では2017年の最強プレイヤーともいわれたPunk選手を破り、その後ルーザーズに落ちるも、破竹の勢いでルーザートーナメントまで勝ち上がっていった。力強い選択肢がぶつかりあうProblem X選手との一戦は、今大会屈指の名勝負と言えるだろう。
ルーザーズファイナルでは、 MenaRD選手に敗れたものの、個性あるプレイで観客を魅了した氏のプレイには、ギャラリーから惜しみない拍手が送られていた。
▲ネモ選手(右)は、プレイだけでなく、ユニークな人柄も高い人気を獲得している。宿敵(?)となる板橋ザンギエフ氏との対戦は、歓声と笑いを巻き起こしていた
▲エイジスリフレクターを使う戦術以外にも、ダメージをとれる行動に貪欲なのがネモ氏の持ち味。対空迎撃や反撃などでも、できるだけ大きなダメージをとれる技をチョイスしていた
「Capcom Cup」のグランドファイナルは、ときど選手(使用キャラ:豪鬼)vs. MenaRD選手というカードになった。
ウィナーズファイナルでは、ときど選手が飛び道具を軸にした地上戦で試合の流れをつかみ、バーディー戦用に用意してきた「EX斬空波動拳」を使った画面端のセットプレーなどを駆使して、MenaRD選手を退けた。このEX斬空波動拳を使ったセットプレーもまた、意外性あふれる戦術として「対策」を飛び越えたものとなっていた。この試合のほかにも、ときど選手は試合の中にメリハリをつけるような動きを見せ、相手に的を絞らせないプレイで試合をコントロールしていた。
▲『ストV』プロプレイヤーの中でも、屈指の実力と実績を持つときど選手(左)。シーズン2では自分のこだわりのキャラクターである豪鬼にキャラクターを変更し、1年で頂点まで昇りつめた
ときど選手は2017年の『ストV』シーンにおいては、Punk選手と並ぶ最強プレイヤーとして注目を集めており、本大会でもその強さを見せつけて危なげなくグランドファイナルへと駒を進めた。
この時点でときど選手を破り優勝するためには、「6試合」を勝利する必要があるため、会場内やイベントの放送を見ているギャラリーたちの中には、ときど選手の優勝を予想したプレイヤーも多く見られた。
▲ウィナーズファイナルでは、飛び道具で地上戦を優位に進めつつ、対空迎撃でラインをあげていくスタイルでときど選手がMenaRD選手に勝利した
ルーザーズファイナルを勝ち上がったMenaRD選手が再びときど選手と対戦することになったグランドファイナルは、ときど選手が2試合連取し優勝へとリーチをかけた。ウィナーズファイナルと同じく、飛び道具、やや遠い間合いへの対空として使用する立ち強Kなどで殴り合いにもつれ込むことを回避しつつ、時折見せるしゃがみ強Pで見返りの大きいクラッシュカウンターを狙うという戦術は絶妙に機能していた。
しかし、3試合目では、MenaRD選手の力強いプレイがこの堅実な戦術に穴をあけた。一見力押しに見える戦い方だが、ときど選手が距離を離してから繰り出した仕切り直しの豪波動拳にEXブルリベンジャーを合わせるシーンからは、恐ろしいほどの集中力が垣間見えた。
MenaRD選手はこの試合のあとも、一試合でも落とせば負けとなってしまう状況の中で、「勝ち星をリードしている側がとりそうなハイリスクハイリターンな選択肢」を積極的にとっていくスタイルでときど選手に2連勝、勝敗をまさかの「リセット」まで持ち込んだ。
▲外したら負ける状況でも、MenaRD選手は「攻め」の姿勢を捨てずに戦っていた
リセット後もMenaRD選手の勢いは止まらず、そのままときど選手を退けての優勝となった。ドミニカ共和国のニューヒーローの誕生は、ギャラリーたちからのあたたかい歓声に包まれていた。
「Capcom Cup 2017」は、『ストV』シーズン2のひとつの区切りとなるイベントだった。しかし、その区切りと考えていたイベントで、初めてみる新しいプレイに驚かされ、深化したかけひきに心を打たれた。そんな試合を見ていると、まだまだ『ストV』の底にはたどり着いていないのだということを実感させられる。
そして、優勝したMenaRD選手が、10代の若手とも聞くと、このゲームの明るいこれからに期待を寄せたくなる。
2018年1月からは、新キャラクターが参戦するシーズン3『ストリートファイターV アーケードエディション』が発売となる。「Capcom Cup 2017」に、何か熱い余韻を感じた方は、この機会にもう一度「俺より強いやつに会いに行く」格闘ゲームを楽しんでみてはいかがだろうか。
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