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「ID@Xboxプレスブリーフィング」PC、コンソール、スマホ問わずゲームプレイが可能に!?

目次
  1. デバイス中心からユーザー中心のゲーム体験に移行
  2. 犬や猫になれる写真撮影ゲーム「The Good Life」
  3. 人気のインディーゲーム7作が並んだ試遊会
    1. アルバスティア戦記
    2. サリーの法則
    3. フォーゴットン・アン
    4. ドラゴンファングZ 竜者ロゼと宿り木の迷宮
    5. BACK SLASH
    6. ライバル・メイガン
    7. ラ・ムラーナ2
  4. デバイスの制約から自由になったことで広がる選択肢
11月20日、日本マイクロソフトは品川本社オフィスでID@Xboxプレスブリーフィングが行われた。

同社の施策についての紹介と『レッドシーズプロファイル』などで知られるSWERY氏の最新作『The Good Life』がPC版・PS4版に加えて、Xbox One向けにも発売されることが発表された。会場には特別ゲストとしてSWERY氏本人が登場し、自らの新作についてのプレゼンテーションが行われることに。

プレスブリーフィング終了後にはID@Xboxを活用した日本のインディーゲーム7タイトルの試遊会も開かれ、日本のインディーゲームにラブコールを送りたいとする同社の姿勢が印象づけられた。


デバイス中心からユーザー中心のゲーム体験に移行

ID@Xboxはインディーゲームデベロッパーを対象とした、Windows10とXbox One用ゲームのセルフパブリッシング向けプログラムで、同社が2013年8月からワールドワイドで進めているものだ。本プログラム向けに企画提案を行い、承認されると、Xbox Oneの開発キットが2台、無償提供される。

あわせてGame PreviewやXbox Game Passなど、すべてのXboxプログラムへのエントリーも受けられる。開発サポートに加えて、ゲーム公開後の共同プロモーション支援を受ける機会も提供される。参加資格は法人だけでなく、個人事業主も含まれる。ID@Xboxから配信されたタイトルは2018年11月に1,000タイトルに達した。

White OwlsのSWERY氏(左)とID@Xbox担当シニアディレクターのクリス・チャーラー氏(右)

Windows10とXbox Oneのゲームが1つのビルドで配信できるということは、プレイヤー視点でみればXbox Oneを購入しなくても、ゲーミングPCがあればゲームが遊べてしまうということになる。

実際、Xbox Play Anywhere対応ゲームであれば、Windows10でもXbox Oneでもゲームが楽しめる。これに対してID@Xbox担当シニアディレクターのクリス・チャーラー氏は、「我々はコンソールを愛しているが、世界中すべてのユーザーがコンソールでゲームを楽しめるわけではないことも理解している」とコメント。「デバイス中心ではなく、ユーザー中心のゲーム体験に舵を切った」と語った。同社はOffice365のサブスクリプションモデルをはじめ、近年クラウドベースのビジネスモデルに急速に移行しており、コンソールも例外ではないというわけだ。

この点を象徴するのが、同社がE3 2018であきらかにした「Project xCloud」だ。

Windows10とXbox One対応ゲームを対象としたゲームストリーミングサービスで、プレイヤーはモバイルやタブレットの画面上を直接タップしたり、Bluetoothを用いてXboxワイヤレスコントローラーに接続したりして、高品質なゲームをインストール不要で楽しめる。

チャーラー氏はこのサービスの技術的背景として、同社が54リージョンで展開し、140カ国・地域で活用できるAzureデータセンターの存在を挙げた。また、2020年から本格展開が行われる5Gネットワークも追い風になるという。Project xCloud は2019年のパブリックトライアルに向けて、研究開発が進められている。

「つまりID@Xboxに参加すると、全世界で数億台のWindows10デバイスにゲームを届けられるだけでなく、すべてのデバイスでゲームを楽しんでいただけるようになるわけです」

インディーゲーム開発者向けのサポートは他のハードメーカーでも行われているが、チャーラー氏はID@Xboxの長所として、この圧倒的なユーザー数をあげた。プロモーション支援に関しても、「E3やGDCなどでゲームがデモされるチャンスを、すべてのインディーゲーム開発者に提供したい」という。

事前のビデオ審査で、すべての提出タイトルをチェックする体制を整えていくという。収益も一般的なストアと同じくレベニューシェアだ。「つまり、皆様のゲームが売れなければ、我々も儲からないのです。だからこそ支援させていただきます」(チャーラー氏)

犬や猫になれる写真撮影ゲーム「The Good Life」


トピックは特別ゲストのSWERY氏による、新作『The Good Life』のプレゼンテーションに移った。

本作はSWERY氏が率いる開発スタジオ、White Owlsとグランディングが共同開発している、英国の田舎町を舞台としたオープンワールドゲーム。
ニューヨークで借金生活に疲れた女流カメラマンのナオミが、英国の片田舎で生活しながら、借金を返済していくという内容だ。ナオミはカメラを片手に自転車に乗って村中を走り回り、任意の風景を撮影できる。その過程で殺人事件に遭遇し、さらに村の人々が夜になると犬や猫に変身することが判明。そのうちにナオミ自身も変身してしまい……という、これまでにない内容のゲームになる予定。


Xbox Oneへの参入は、11月10日(現地時間)、メキシコにて行われた「X018」で明らかにされており、今回は日本のプレス向けに改めて報告と内容の紹介を行った形で、以前からSWERY氏のファンだったというチャーラー氏の好意で、急遽、プレゼンテーションが実現したという。もっともID@Xbox向けの企画審査は他のインディーゲーム開発者と同じで、「自分も同じように企画申請書を書きました」(SWERY氏)と語った。

月額9.99ドルで100本以上の優良ゲームが楽しめるXbox Game Pass(日本では未展開)にも対応する。SWERY氏はこれに加えて、Project xCloudがスタートすれば、より多くのプレイヤーに遊んでもらえる可能性があると期待を寄せた。

プライベートでも友人だという二人。クリス氏の申し出でSWERY氏の登壇が決まった。

人気のインディーゲーム7作が並んだ試遊会

プレスブリーフィング終了後は別室に移動し、7作品の試遊会が行われた。タイトルは下記の通りで、このうち3作品は今回初の発表となる。

アルバスティア戦記』 コトブキソリューション(ケムコ)【新規】
サリーの法則』 ポラリスエックス【新規】
フォーゴットン・アン』 コーラス・ワールドワイド【新規】
ドラゴンファングZ 竜者ロゼと宿り木の迷宮』 トイディア 
BackSlash (バックスラッシュ)』 Skeleton Crew Studio
ライバル・メガガン』 デジカ
La-Mulana 2 (ラ・ムラーナ 2)』 販売元:アクティブゲーミングメディア/発売元:NIGORO

試遊会の模様

アルバスティア戦記


2DグラフィックのスーパーファミコンテイストなJRPGで、主人公は両親の敵を討つため、そして魔物がはびこる天上界に平和を取り戻すために立ち上がった兄弟。二人は志を同じくする仲間達と助け合いながら、さまざまな冒険を繰り広げていく。道中で出会う仲間の数は100名以上にのぼり、闘技場やサブクエストなどのやり込み要素も充実している。

サリーの法則


娘と父親を交互に操作しつつ、物語を読みながら進めていく横スクロールアクションゲーム。いつでもマイペースで、どんどん先に進んでいこうとする娘のサリーに対して、いかに父親キャラクターが行く手を先回りし、障害物を解除していけるかがポイントだ。2人プレイだと1人が父親、もう1人がサリーを操作しながら、協力プレイが楽しめる。

フォーゴットン・アン


スタジオジブリ作品を彷彿とさせるアニメーションと自然な手触りが融合した、ユニークなアドベンチャーゲーム。ゲームの舞台は人間に忘れられたモノ……フォーゴットリングがあつまる「フォーゴットン・ランド」だ。唯一の人間である主人公のアンは、師匠のボンクと共にフォーゴットリングを人間の世界に返すための装置「イーサーブリッジ」の建設に取り組んでいく。

ドラゴンファングZ 竜者ロゼと宿り木の迷宮


ふとしたことで異世界「時の宿り木」に迷い込んでしまった竜神ロゼと導きの妖精。2人は最深部にある秘宝の力で家に帰るため、ダンジョンの奥へと進んでいくが……という設定。ゲームはローグライクRPGだが、周囲8マスに壁がない状態で戦うとパワーアップするなど、さまざまな新要素が含まれている。

BACK SLASH


1対1でハイスピードな戦いが楽しめる、自称「スペルキャスティング・ハードコア・バトルゲーム」。プレイヤーは特徴的な戦闘スタイルを持つ10種類の流派から2種類を選んで組み合わせ、さまざまな敵に挑んでいく。ステージは5種類で、プレイヤーの攻撃によって破壊も可能だ。ローカル対戦だけでなく、1人用のサバイバルモードとクエストモードも選べる。

ライバル・メイガン


PCのモニターや薄型テレビの横長画面を生かした対戦シューティングゲーム。左右に分かれた画面で、各々がゲームを進めながら、コンボを決めてエネルギーをチャージし、敵に攻撃を繰り出していく。条件を満たせば大型ボスシップ、通称「メガガン」に変形し、相手の画面に侵略することも可能だ。80年代風のイベントシーンも必見。

ラ・ムラーナ2


広大な遺跡・難解な謎・膨大なアイテム・そして強敵が織りなすメトロイドヴァニアスタイルのアクションゲーム。考古学者の娘「ルミッサ・小杉」が謎の巨大遺跡「ラ・ムラーナ遺跡」からあふれ出したモンスターたちの原因を探るべく、鞭を片手にイグ・ラーナ遺跡の謎に挑んでいく。

デバイスの制約から自由になったことで広がる選択肢

このように、これまでにない「ジャパニーズインディー」推しとなった本イベント。特に「売上をレベニューシェアするかわりに、サポートも積極的に行う」という同社の姿勢や、開発キットが2台無償提供されるなどの施策は、日本のインディーにとっても新たな福音になりそうだ。

なお、ゲームのパブリッシング時には開発者が独自にレーティングを取得する必要がある。この際、海外向けには無料レーティングサービスのIARCが利用できるが、国内向けにはCEROレーティングを取得する必要がある。CEROレーティングは個人開発者でも取得できるが、有料なので注意が必要だ。

ちなみにマイクロソフトではID@Xbox以外に、Xbox Liveクリエイタープログラムも存在する。有償(約1,800円)の開発者アカウントを作成すれば、Windows10とXbox One向けのゲームを開発し、専用ストアで販売できるサービスだ。

UnityやVisual Studioといったおなじみのツールが使用でき、Xbox Oneユーザーなら開発モードを有効化して、自宅でテストもできる。レーティングもIARCのみで、国内むけにも配信可能だ。本来はゲーム開発の初心者や学生向けの施策で、ID@Xboxと異なりサポートも限定的だが、興味があればチェックしてみると良いだろう。

いずれにせよ、同社がデバイス中心体験からユーザー中心体験に舵を切ったことは、定額遊び放題サービスのXbox Game Passや、ゲームストリーミングサービスのProject xCloudと相まって、ゲームビジネスにおいて大きな意味をもつ。

インディーゲーム開発者やゲームユーザーにとっても、より選択肢が広がるということだ。少なくともゲーム開発者にとって、Visual Studioをはじめとした同社の開発環境は、事実上の標準になっている。その上でゲームを作り、文字通り世界中のユーザーに遊んでもらえる。そのための環境がすぐ目の前に到来しそうだ。

■関連リンク
ID@Xbox
https://www.xbox.com/ja-JP/developers/id
Xbox Play Anywhere
https://www.xbox.com/ja-JP/games/xbox-play-anywhere
Project xCloud
https://blogs.microsoft.com/blog/2018/10/08/project-xcloud-gaming-with-you-at-the-center/

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