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「LJL 2019 Summer Split」シーズンオフ ショートインタビュー【V3 Esports/Rascal Jester/AXIZ/Crest Gaming Act】

6月15日から8月16日まで、11週に渡って繰り広げられた「LJL 2019 Summer Split」は、Spring Splitから大幅なチーム改変を行ったチームあり、盤石の布陣をさらに強固なものにしたチームありと、様々な変化が見られたシーズンだった。最終的にWeek11の戦いを終えて、9月1日のセミファイナルでV3EsportsとCrest Gaming Actが戦い、その勝者が9月16日のファイナルでDetonatioN FocusMeとの最終決戦に挑む。そこでの勝者が、さらに世界一を決める戦い「Worlds 2019」への切符を手にすることになる。

そこで今回は、試合を終えたばかりの各チームのプレイヤーに、今シーズンの振り返りやプレーオフ、来季への抱負などについて語ってもらった。プレーオフの観戦前にSummer Splitを戦い抜いた選手たちに思いを馳せてみてほしい。

写真:Takanori Yoshida

V3Esports Ace選手(ミッド)

まずは、今季ミッドレーナーとして大きく成長を遂げたAce選手。春から夏にかけてのチームメンバーの入れ替わりによる変化や、自身の成長について伺った。


ーーシーズンを振り返って、チームとご自身のパフォーマンスを10点満点で点数をつけると何点になりますか?


Ace:チームとしては7~8点です。

実は夏の開幕時はシーズン序盤で負けても後半巻き返せればいいと思っていたんですが、思わぬ連勝スタートでした。ただ、中盤以降は勝ちたい試合を落としてしまうこともあって、そこはメンタル的な課題なのかなって思います。

自分のパフォーマンスについては6点くらいですね。自分の中で「頑張った」とか「うまくなった」って思いたくないんです。やれるだけのことをやって、あとは周りに評価をしてもらえれば。

(Week2 Game3の)DFM戦のアカリでのあのプレイもやったらできたって感じで、他のチャンピオンもいいパフォーマンスを出せるようにならなきゃいけないんで、満足はしていないですね。


ーーアカリといえば、Ace選手は春から夏にかけて、かなりピックの傾向が変わりましたよね。

Ace:いまよくピックしているコーキやタリヤは正直得意ではなくて、自信がありませんでした。逆に、春に使っていたアーゴットは自信があったんですがナーフされたので、とりあえずプールを増やすしかないということで、最低限使えるものから練習していきました。

ーーその苦手を克服するために、どのような練習を行ったんですか?

Ace:チームメイトからのフィードバックをたくさんもらいました。一番フィードバックしてくれるのはYutorimoyashi選手です。優しい時も厳しい時もあるけど、とにかく教えるのが上手ですね。

Yutorimoyashi選手は新人時代のRamune選手に教えた経験もあって、同じように自分にも教えてくれています。

とにかくチームには「自信をもってプレイしろ」と言われていて、新しいチャンピオンを試してスクリムで試合にならないくらいボロ負けしたときも、もう一度そのチャンピオンをトライさせてくれています。苦手克服は周りのサポートのおかげですね。


ーーチームといえば、V3の特徴として、ベイトやトラップといった動きが多いチームだと思うのですが、誰が主にコールしているんですか?

Ace:Baby選手がコールすることが多いですね。

彼は韓国サーバーでチャレンジャーということもあって、そういった相手のミスを誘うプレイもうまいですし、ガンクが欲しいタイミングでガンクしてくれたりと、「勘」がいいタイプのジャングラーなんです。

ーーよくジャングラーは感覚派と理論派に分かれると言われますが、Baby選手は前者だと。

Ace:僕はそう思います。

ただ、競技レベルだと相手にクセを読まれやすいという部分もあるので、そこはチームの課題の一つですね。

ーー準決勝はどちらと戦いたいですか?(編集部注:V3の2試合目終了直後にインタビューしたため、この時点ではDFMとCGAの順位が確定していなかった)

Ace:CGAと先に戦って、決勝でDFMと当たりたいです。

自分が元DFMのメンバーだったということもありますし、決勝の大きな舞台で元DFMメンバーが多いV3がDFMを倒すのって、ドラマチックじゃないですか。


ーー特に夏の決勝は大きな舞台になりますし、楽しみですね。プレーオフからは試合形式がBo5(3本先取)になりますが、その点は不安はないですか?

Ace:Bo5はプロモーションの時に1回戦ったことがあるんですけど、その時は3-0だったので、自分は4戦目以降の経験がないんですよね。

他のメンバーだとBabyも未経験かな? 準決勝へ向けてはBo5に耐えられるよう、体力面やメンタル面の強化も行っていきたいです。

ーーでは最後に、準決勝に向けての意気込みをお願いします。

Ace:Bo5はBo1と違って正々堂々というか、実力差がはっきり出る試合形式なので、自信があります。

自分の対面にはLuna選手が来るかCeros選手が来るかまだ分かりませんが、どちらもうまいプレイヤーなので、いままで出したことのないチャンピオンで、相手が対策できないようなプレイをして必ず勝ちたいです。


Rascal Jester Cogcog選手(トップ)

Rascal Jesterは独特な攻めたドラフトをしつつも、それがなかなか結果に結びつかないというシーズンだった。

そんななかで、多彩なチャンピオンプールで攻めたドラフトの縁の下の力持ち的な役割を担ったトップのCogcog選手に、チャンピオンプールやチームメイト、オフシーズンの目標などについて話してもらった。


ーー今シーズン、成績は振るいませんでしたが、振り返ってみて思った通りにいった部分、いかなかった部分はありましたか?

cogcog:自分たちのピックと狙い通りの動きをするという部分では、うまくいっていたと思います。クレッドをピックしてエンゲージをしかけるとかですね。

よくなかった部分は、個人のパフォーマンスに関してですが、トップからキャリーするスタイルというのをもっと見せたかったです。

ーーピックというと、RJは今シーズンかなり特殊なピックで話題になりました。どういうふうな練習を行っているんですか?

cogcog:メタ的に強いチャンピオン・構成に対してカウンターを取れる構成、というのを練習していった結果ですね。

あとは、RJはチームファイトをやりたいチームなので、構成に合わせてあまりメタにはいないトップでタンクをピックしたり、といった感じです。

ーーCogcog選手は今シーズンの「LJL」の中でプールが一番広いプレイヤーで、21試合で17種類のチャンピオンをピックしているんです。

cogcog:ほんとですか? 自分はチャンピオンプールが広い方なので、チームのやりたいチーム構成に合わせる形のピックが多かったからですかね。


ーーそういったチームの穴を埋めるピックが多かったということは、少しフラストレーションの溜まるシーズンだったんじゃないですか?

cogcog:そうですね。本当はこのチャンピオンをやりたいのに、ってことは結構ありました。

シーズン序盤はWyvern選手が得意なこともあって、トップにガンクすることもあったんですが、トップが放置されるメタになってからはチームもボット中心のジャングリングを行うようになって、かなり辛い思いをしましたね。

ーー今シーズン、Wyvern選手やZerost選手とはチームメイトとして再びプレイすることになりましたが、久々にゲームやハウス生活を一緒にしてみて、変わったな、と思ったようなところはありましたか?

cogcog:Wyvern選手は昔はすごく尖がった選手で「ガンクしかしない!」って感じだったんですけど、今はチーム全体を見られるようになっていて成長しているなって思いましたね。

Zerost選手はあんまり変わってないです。壁のない性格で、いつもハウスで騒いでますよ。


ーーRJのハウスって、活気がある印象ですよね。

cogcog:ハウスの雰囲気はいいですね。たぶん全チームで一番うるさいんじゃないかなってくらいです。

さすがに試合に負けた直後は落ち込みますけど、みんな立ち直りが早いです。スクリムなんかでボロ負けして熱くなっちゃうことは、僕なんかもよくあるんですが、次の試合には切り替えられています。

チーム全体の雰囲気がいいこともありますし、個々人がメンタルを管理できているチームだと思います。

ーー最後に来季への意気込みを教えてください。

cogcog:実はサポートへのロール変更も考えています。

元々ソロQではトップ/サポートでinQしているということもありますし、相方がいるレーンだと緊張せずにプレイできるかなって(笑)。

ーーなんと! 「LJL」ではトップからサポートへの転向が流行りですね。

cogcog:そうですね。トップレーンは孤独なんでみんな寂しくなっちゃうんじゃないかな?

特に今シーズンはボットレーンの有利がゲームの有利に直結するメタだったので、より一層魅力的に感じましたね。

allycat選手もロールチェンジしたばかりなので、2人でフィードバックをし合いながら練習しています。なので、オフシーズンはサポートでいっぱいソロQを回すつもりです。


AXIZ Day1選手(ADC)

春、夏と2シーズン連続で最下位に沈んだAXIZ。しかし後半戦はかなりアグレッシブなプレイも見られ、チーム状態は上向きに感じられた。

そんなAXIZのお話を伺ったのは、キャスターから現役復帰して1年という区切りを迎えたDay1選手。チームや自身のパフォーマンスについてインタビューした。


ーー夏シーズンお疲れさまでした。最終戦はトリンダメアが飛び出す意外な展開でしたが、あれは用意のピックだったんですか?

Day1:はい。エイトロックスに対してトリンダメアを出そうということで練習していました。実際、練習試合ではうまくいっていたんですが、今日はトップダイブで崩れてしまいましたね。

別に最終戦だからUinyan選手がふざけて選んだとかじゃなくて、全員真剣にプレイしようとした結果のピックです。


ーーさて、春と夏とで数字的には同じ結果(3勝18敗)で終わってしまいましたが、内容的によくなった部分はありましたか?

Day1:まず自分のパフォーマンスに関していうと、アグレッシブにプレイできるようになりましたね。

チーム全体でいうとより仲良くなったというか。春のチームも仲は良かったんですが、いまは打ち解けて文句を言い合えるくらいの仲にまでなりました。これが個人的にチームがよくなったと感じる部分ですね。

ーー夏シーズンからはジャングルとサポートが変わりました。ジャングル、サポートが変わるとチームカラーも変わるとよく言われますが、その点はスムーズに行ったんでしょうか?

Day1:春シーズンは、自分はプレイヤーに復帰したばかりで感覚を取り戻したりと、とにかくいっぱいいっぱいだったので、チームカラーに染まっている暇がなかったんです。

なので、夏シーズンになってメンバーが変わってチームをイチから作っていくことになっても、全く違和感はなかったですね。

ーーサポートのLago選手との新コンビはどうでしたか?

Day1:かなりやりやすかったです。プレイ面もそうですが、プロの試合をたくさん見るプレイヤーなので、自分の知らない知識を積極的に共有してくれて、非常に助かりました。


ーーAXZでは、そういった選手間のフィードバックや情報共有も活発なんですか?

Day1:春はそれほど多くなかったんですが、夏になってからはかなり増えましたね。これも今シーズン、チームがよくなった部分かなと思います。

コーチのフィードバックが基本ですが、そのあとに選手間でのフィードバックを行っている感じです。

ーー「LJL」の解説者から選手に戻られて2シーズン、1年が経ちました。選手としての感覚は戻ってきたな、という感じですか?

Day1:戻ったというか、SCARZにいた頃の自分は完全に超えていると思います。

反射神経という部分では、年齢による衰えを多少感じることもありますが、昔ではできていなかった動きができるようになったりと、成長を感じています。

ーーブランクがあって、そこからさらに成長できた要因は何だと思いますか?

Day1:コーチやチームメイトなどの環境も大きいですが、自分の心持ちの部分ですね。ボコボコに負けているだけじゃ悔しいよなっていう。


ーーモチベーションといえば、CGA戦での負けで気持ちが変わったと壇上のインタビューでもおっしゃっていましたよね

Day1:それに関しては、負けた次の週は「悔しい、やってやろう!」っていう気持ちだったんですが、その気持ちを引きずっているわけではなくて、いまはどちらかというと自然体でプレイしていると思います。

ーー来季に向けての課題は?

Day1:チームとしての課題は、コーチのフィードバックを受けて1つひとつ問題を解決していくことです。それができればよりよいチームになるはずなので。

自分としての課題は、集中力を切らさないようにすることと、『LoL』への熱意の向け方ですね。モチベーションは基本的には高いんですが、オフシーズンは時間があるので、あまり考えすぎないようにしたいですね。

ーー最後に、オフシーズンやりたいことはありますか?

Day1:『FINAL FANTASY XIV』ですね。これは本当に本音です! シーズン中は『FFXIV』はやらないようにしているので、楽しみで仕方ないです。

とはいえ、まったく『LoL』をやらないと本当にすぐ腕が鈍ってしまうゲームなので、できれば毎日、最低でも2日に1回は『LoL』も触るようにするつもりです。

Crest Gaming Act Atyamomo選手(サポート)

2シーズン連続のプレーオフ出場となったCGA。しかし順調に伸ばした勝ち星とは裏腹に、Nap選手の休養に伴うロール変更など、様々な動きがあったシーズンでもあった。

今回はロールスワップの渦中の人物、サポートのAtyamomo選手に「事件」の背景やチーム内でのコミュニケーションについて語ってもらった。


ーー春はサブメンバーで、夏はスターターとしてチームに貢献されましたが、春と夏でチームに違いはありましたか?

Atyamomo:戦術面は選手が変わって多少変わった部分もありましたが、チームの雰囲気自体は変わらないですね。

今シーズンから加わったSheildコーチもQooコーチも優しくて、本当にみんな仲がいいので、明るく楽しく和気あいあいと、でも真剣に取り組んでいるという感じです。

ーーメンバーが変わったといえば、今シーズン、トップにGrendel選手、サポートにAtyamomo選手が入ると聞いた時には、ファンたちの頭上にも大きな「?」マークが浮かんでいたと思うんですが、そのあたりの事情ってお話ししていただけますか?

Atyamomo:僕は春シーズン、トップレーンのサブとして登録されていたんですけど、実はソロQはサポートで回していたんですね。

それで、4月ごろにはGrendel選手よりもソロQのレートが上になって、夏からは僕をスターターで使おうかって話になっていたんです。

その相談をしているタイミングで、Nap選手が試合に出られないということになって、「これ、トップどうするんだ?」って。

その時はサポートしか練習していなくてトップでキャリーする自信がなかったので、結局「LJL CS」時代にトップの経験があったGrendel選手に無理をいってあの形になりました。シーズン直前だったのでかなりバタバタしましたね。

ーーなるほど、そういうことだったんですね。続いて、ゲーム内のお話を伺います。CGAは序盤耐えて、キャリーにゴールドを集めて逆転する、という試合展開を得意としていますが、耐える時間帯にどういったコミュニケーションをとっているんですか?

Atyamomo:ADCとジャングルとサポートが固まって動いてることが多いので、Artとコミュニケーションを取ることが多いです。


hachamecha選手と僕は、自分たちが行けるタイミングで「Art、どう? いける?」って聞くと、Artが「今ダメ、ネクストドラゴン」といった感じで。

ADC、ジャングル、サポートの間のコミュニケーションはこんな感じですが、ミッドのLunaのコールは基本的に通るので、彼がサイドレーンから寄ってきたときはCGAは必ずファイトを起こそうとします。観戦するときに注目してもらえると面白いかもしれませんね。

ーーところで話は変わるんですが、Atyamomo選手は昨年、コーチングをされていましたよね?

Atyamomo:はい、社会人のチームにチームゲームのやり方を教えるというのと、レートを上げたい個人プレイヤーに技術的なことを教えるというのをやっていましたね。

ーーその経験がプレイに活きている部分ってありますか?

Atyamomo:結構ありますね。

基本的なミスをしてそれをコーチからフィードバックを受けた時に、「これ、自分がこの間教えたことだな」って自覚できると、そこからは二度と同じミスを犯さなくなるんですよね。反復学習っていうか。

他にもコーチングのときに行った「自分の考えをアウトプットする」という経験は、チーム内でのコミュニケーションの向上にもつながっていると思います。


ーー最後に準決勝、決勝へ向けての意気込みをお願いします。(編集部注:Atyamomo選手へのインタビューは、CGA2位確定後に行った)

Atyamomo:対面するV3のボットレーンは「LJL」の中でも最も強力なデュオの1つだと思います。ただ、序盤にレーンから崩すことができればかなり有利な試合展開を作れるはずですし、僕とArtのコンビにはその力があると思います。

また、序盤こちらが崩されなければ、それもCGAの勝ちにつながると思うので、ボットレーンの序盤のレーニングは試合のキーポイントの1つになりそうです。

V3戦は絶対勝ちますので、応援よろしくお願いします。決勝もそのままの流れで勝って優勝したいです!

(後編に続く)


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