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「今ならアローも落ち着いて打てるはず」LJLの解説から現役復帰したDay1選手をインタビュー【シブゲーアーカイブ】

※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。(公開日:2018年12月21日/執筆:八木葱)

2018年11月末に「LJL Challenger Series」(以下、LJLCS)の不開催が発表され、『リーグ・オブ・レジェンド』シーンがまだざわついていた12月10日、1年半にわたって「LJL CS」の解説を務めてきたDay1(@Day1week)さんが現役への復帰を表明しました。

実況のKatsudionさんとのコンビはeyes&Revolコンビとはまた違う味で完成しつつあり、「LJL」ファンにも完全に浸透していたので最初は意外な思いがしました。 しかしよく考えると、Day1さんは選手でいることの楽しさをよく口にしていた人でもあります。

なぜ復帰したのか、なぜ今だったのか、解説として活動した1年半はどんな時間だったか、大きな決断をしたDay1さんの今の心境を聞いてみました。

現役復帰の理由、きっかけ


――現役復帰、正直驚きました。その話に関してお聞きしたいところですが、その前にまず「引退」の話から改めてお聞きしてもよろしいでしょうか。

Day1 もちろんです。

――Day1さんが選手を引退したのは2017年の4月で、そのすぐ後からLJLCSの解説を始めていますよね。

Day1 そうですね。当時のインタビューで『選手の後のキャリアモデルを作りたい』っていうことも言ったんですけど、解説という仕事が楽しそうだったのが一番の理由でした。チームがLJLの一部から落ちたタイミングだったのも大きかったです。

――選手に戻りたいという発言も時々されていましたが、どんな感覚だったんですか?

Day1 今年はもうほとんど冗談だったんですけどね。実況のKatsudionさんには『冗談に聞こえないからやめてくれ』って言われてましたけど(笑)、実際は選手に戻るつもりはほとんどなかったです。

――面白いです。その状態から復帰までに何かきっかけがあったんですか。

Day1 今年の夏ごろなんですけど、かなり年上の知り合いの人が会社をやめたんですよね。『今の会社は自分がやりたいことと違うから』と言って。こんなに大人なのに、自分の道を探して会社を辞めたりするのか、って驚いたんですよね。それで段々、自分が本当にやりたいことは何だろうって考えるようになりました。


――それが「選手」だったと。

Day1 すぐ復帰すると決めたわけじゃないですけどね。本格的に復帰に気持ちが傾いたのは、ランクシーズン終盤のソロキューです。

――LoLの2018年シーズンですか?

Day1 あの時期ってチャレンジャーでシーズンを終えるために上位プレーヤーがみんな真剣にプレーしてたじゃないですか。僕も今年はチャレンジャーで終わろうと思って久しぶりにちゃんとLoLをやったんですけど、それが楽しくて……。

――たしかに、上位陣のプレー回数がすごすぎてチャレンジャーのボーダーラインが凄まじい勢いで上がってましたよね。

Day1 そうなんですよ(笑)。最初はチャレンジャーになったら解説としてハクがつくかなぐらいの感じだったんですけど、徐々に真剣にLoLをやってた頃を思い出してだんだん楽しくなってきて。このピリピリしてる感じ懐かしいな、と。

――バトルマニアですねぇ(笑)。その話を聞くと、やっぱりプロになるべくしてなった人だなと思います。そしてちょっと意地悪なことを聞きたいのですが、LJLのレベルも年々上がっている中で、1年半のブランクがある状態は傍目にはなかなか難しい挑戦にも思えるんです。今はどんな距離感で捉えてるんですか?

Day1 計画として、まずSpringの間はLJLのADCたちと戦えるとは思ってません。ここから練習してSummerに間に合うかどうか。1年半のブランクを3、4カ月でどうにかしようっていうのも十分無茶なのはわかってるんですけど、でもまぁやってみないと自分が届くかどうかもわからない。ちゃんとやれば戦えるような気もしてるんですよね。何より自分が選手に戻りたいんだから、やってみるしかないんですよ。



――前に現役だった時を思い出して、「こうすればよかったな」「今ならもっとうまくやれる」と思うことはありますか?

Day1 自分の考えを主張できなかったのが反省点です。それが自信の喪失にもつながって、いいプレーができませんでした。 レートは高かったのでハンドスキルはそれなりにあったはずなんですけど、しりごみしてしまって……。自分の中では相手を倒しきるビジョンが見えていても、同時に味方にも見えているとは限らない。その逆もありますよね。今ならそれは話し合って伝えられると思います。アッシュのアローも、今ならもうちょっと落ち着いて打てるはずです(笑)。

――ニューDay1さん、楽しみにしています(笑)。

Day1にとっての解説の道はいかなるものだったのか

――解説の話も聞きたいなと思っていたので、いくつか質問させてください。まず今回の決断で解説という仕事に後ろ髪引かれるようなことはありませんでしたか?

Day1 最初に言っておくと、はじめる前に想像していたよりも解説の仕事は楽しかったんですよ。リーグ戦を全部見る経験も面白かったし、放送が終わって先輩たちと『もっとこうすればよかったかも』みたいな話をしてる時も。ただ、最後まで自分の解説に自信はもてませんでしたね……。


――Day1さんの発言から時々そんな雰囲気は感じてました。なにか理由はあるんですか?

Day1 噛んだり説明がたりなかったりっていう基本的なこともあるんですけど、解説がゲームのミクロ面(細かい操作技術や局面の勝負)の話をするということ自体がイバラの道なんだなぁと感じました。

――たしかにRevolさんを筆頭に、解説というとマクロ面(マップ全体を使った戦略)が得意なイメージはあります。

Day1 僕の目には小さいプレーが見えていても、それを言葉にするのがまず難しい。あとはミクロ面の解説って求めてる人と求めてない人の差が大きいと思うんですよね。でも自分の強みはそこだし、マクロの解説を強化するつもりもありませんでした。そういう意味ではKatsudionさんに負担をかけたなぁと思います。

――Katsudionさんとはいいコンビですよねぇ。どんな関係性なんですか?

Day1 友達、ですかね。放送でも僕のことをいじってきますけど、普段からあんな感じですよ(笑)。コンビとしてはお互いに得意な部分が違うので、補い合ってやってこれて感謝してます。

――解説という仕事の中で、手応えを感じた瞬間はありますか?

Day1 手応えとは違うんですが、引退する時に考えた『元プロが解説をする』という可能性はどうにか示せたのかなとは思います。それが実感できたので、いったんもういいのかなと踏ん切りがつきました。

――Day1さんにとって、解説をやった1年半はどんな時間でしたか。

Day1 寄り道ですね。もちろんポジティブな意味です。

――その寄り道では何が見つかりましたか?

Day1 社会常識ですかねぇ。っていっても簡単なことばっかりなんですけど。しゃべることとか、上座下座とか、請求書の書き方とか(笑)、そういうことはできるようになりました。選手に戻れたら、メディア対応なども含めて前よりは絶対うまくやれると思います。

――いつかまた解説をしたいなという気持ちはDay1さんの中にありますか?

Day1 それはまだ考えてません。選手としてやれるところまでやる、ということしか頭にはないですね。中途半端ならやらない方がいいと思ってるので、ダメそうだからすぐ解説に戻ろう、みたいなのは絶対ありえないです。

※ ※ ※

完全に偶然なのですが、インタビューの日はDay1さんの24歳の誕生日でした。 プレーヤーとしての年齢の限界は感じないと言いながらも、「プロゲーマー的には老人ですよ」とDay1さんは笑っていました。 Day1さん、そんなに身軽に新しい挑戦を選ぶ老人はいないです。交渉期間真っ只中だとは思いますが、LJLでまた戦う姿を見られる日を楽しみにしています。



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