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日本的文化を大切にする「Red Bull Kumite 2019」でシンデレラボーイ誕生!
日本の対戦文化が持つ精神性を大切にした世界観
去る12月21~22日、愛知県国際展示場にて『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』の最新バージョンを使用した招待制の国際大会「Red Bull Kumite 2019」が開催された。2015年のフランス大会から始まった「Red Bull Kumite」とは、その名の通りRed Bullが主催する格闘ゲームの大会である。試合に勝った者だけではなく敗者の側にもリスペクトを捧げるその世界観は、対戦格ゲー発祥の地でもある日本の精神性を重んじた物となっており、大会名称の「Kumite」とは空手などで手合わせをする際の「組手(くみて)」から来ている(厳密な意味では「組手」とは対戦形式の練習の事を指すが、欧州圏でそういった日本の精神性が尊敬されていると思うだけで嬉しいではないか)。
2015年の第一回大会から通して、対戦はケージの中で行われる。勝ってここから出ることができるのは一人だけだ。
敗者は自分の“魂”を闘技場に置いて去っていく。第一回のパリ大会では優勝トロフィーの収められたケースを開くための鍵だったが、日本初開催となる今回は各プレイヤーのバックボーンを表してデザインされた「家紋」。トロフィーは戦国武将が自信の「兜」だ。全員分の家紋が揃う事で、最後の勝者の手に兜が手渡される
敗退者は今大会にかけた想いや感想を語り、トロフィーキーパーである歌広場淳に家紋を託すと、観衆からの称賛をもって送り出される。勝者にすべての称賛が集まる“Losers go home!”な世界観とは違うこの空気は、なるほど日本のスポーツ界で美徳とされてきた精神性のひとつである。
DAY1・前日予選を制したのはあの男……!
前述のとおり、「Red Bull Kumite」は招待制の大会となっており、21日のイベント開催時、本戦に出場する権利を持つのは事前に招待状を受け取っている15人のプレイヤーのみ。残るひとつの枠は、イベント初日である21日に行われる前日予選トーナメントで争われた。我こそは残り一枠にふさわしいプレイヤーと、愛知県にまで終結した予選参加者は実に256名。その中で本戦に出場できるのは優勝者ただひとり。先のカプコンカップ2019にも参戦していたsako選手や韓国のHotdog選手など、本戦にいてもなんらおかしくないメンバーも多数参戦してのトーナメントは熾烈な戦いとなった。予選参加者の中にはプライベートでの問題でカプコンカップ2018以降、プロツアーを辞退していた韓国のinfiltration選手の姿も! 対人戦の駆け引きがあまりにも上手すぎるため、新作ゲームで無類の強さを誇るこの男が、新バージョンになってから一週間のこのタイミングで前日予選に乗り込んで来たことは大きな話題となった。
そして実際にinfiltrationは選手強かった。ウィナーズ側で国内強豪のケン使い、けんぴ選手に敗れたものの、ルーザーズ側では圧倒してリベンジ。相手のプレイを読み切り、心理戦の駆け引きで完全に圧倒してくる強さは、日本人が何人で包囲しても、たとえルーザーズからでも、絶望的なまでの強さで優勝をかっさらっていった、あの頃のままだった。誰も魔王を止められないまま、戦前の予想通りにトーナメント表を駆け上がっていく。
グランドファイナルでinfiltration選手を迎え撃ったのはストーム久保選手。三日前まで新キャラのギルを練習していたが、大会で使えるレベルに間に合わないと見て、前バージョンからの相方であるアビゲイルを使い、本人も予想外のウィナーズ側でのグランドファイナル進出。
圧倒的な強さのinfiltration選手に3勝を献上し、お互いがルーザーズになってしまった時点で会場の空気はやや絶望ムード。あまりの強さに、この魔王をどう倒せばいいのか、会場にいる全員が考えてしまう。infiltration選手vs他プレイヤーというこの構図に懐かしさすら覚える。
だが、そこから息を吹き返したストーム久保選手。すべてが読み切られているなら、と普段の自分の行動と逆張りの行動を増やすことでinfiltration選手の読みを外していく。そして、フルセットフルラウンドの死闘の末、魔王討伐に成功!
レッドブルクミテ本戦出場最後の一枠をかけた前日予選、ストーム久保選手が勝ち取りました!
— ALIENWARE ZONE (@alienwarezone) December 21, 2019
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DAY2・出場者のキャラクター全開!
CPTとはまた違ったゲーマーたちの魅力が爆発
かくして「Red Bull Kumite 2019」本戦に出場を決めたのは、・ボンちゃん
・Punk
・Takamura
・藤村
・Big Bird
・801 Strider
・ウメハラ
・Infexious
・YHC-餅
・ガチくん
・Problem X
・はく
・ときど
・Luffy
・キチパーム
・ストーム久保
この16名となった。選考基準は例年通り、現在のシーンを代表するような世界の強豪と、そのプレイヤーたちと当たるところがどうしても見たい、世界の強豪との激突が望まれるローカルヒーロー、新進気鋭の若手といった顔ぶれといったところか。
16人のトーナメント配置はくじ引きにて決められた。ここでも前日予選の死闘を勝ち抜いたストーム久保選手の目の前には新たな絶望が現れる事になる。infiltration選手を撃破して勝ち取ったトーナメントの相手は、なんと世界の誰もが当たりたくない無冠の帝王Punk選手。ああ神様、もしかして久保選手は我々の見ていないところで何かとんでもない悪事でも働いているのですか?
対戦は複数台での同時進行は行われず、すべて金網の中にある1セットの対戦台でのみ行われるため、どの試合にも選手の個性が際立つ入場・退場が存在する。世界中の膨大なプレイヤーの中から最強を決めるというカプコンプロツアーとはまた違った角度からプレイヤーの魅力に光が当たっている、そんな感覚を受ける会場の様子だった。
【#RedBullKumite】
— Red Bull Gaming JP (@RedBullGamingJP) December 22, 2019
餅さんダルシムつっよ!!!!!!!!!!!
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一回戦の段階でひときわ会場を沸かせたのは“島根の仙人”と呼ばれるベテランダルシム使いのYHC-餅選手。その実力は世界レベルと目されていながらも国外の大会に参加することがほとんど無いため、世界の強豪との直接対決が望まれていたという事だろう。初戦でいきなりEVO覇者にしてカプコンカップの常連プレイヤー・Luffy選手を破ったときは会場が割れんばかりの歓声が巻き起こった。
ウメハラ選手、ガチくん選手、ボンちゃん選手の日本人レッドブルアスリート3人が最初の敗退者になってしまうという大波乱の幕開け。特に「Red Bull Kumite」に並々ならぬ思い入れを持つボンちゃんはコメントで声を詰まらせるほどの悔しさをにじませた。
ゲームが強い、筋肉がすごい、パフォーマンスもカッコイイ、と三拍子そろった801Strider選手と張り合ってワイルドなパフォーマンスを見せるキチパーム選手。初戦からEVO2019準優勝者のBig Bird選手を破り、強烈な存在感を残した。
【#RedBullKumite】
— Red Bull Gaming JP (@RedBullGamingJP) December 22, 2019
801 STRIDER vs KICHIPA-MU
拳での対決が始まるのか…!?
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その風貌で19歳!?と思わせる欧州の新星Takamura選手、積極的に読み合いを仕掛ける若々しい豪鬼でPunk選手、Problem X選手を連破。残した爪痕はあまりにも大きい。
グランドファイナルに駒を進めたのは、試合前の謙虚なコメントとは裏腹に圧倒的な強さで現実を見せつけて来た藤村選手と、どうやったらそんな勝ち方ができるのか誰にもわからない、本人が“マインド・ゲーム”と呼ぶ、あまりにも心理戦に偏ったオカルトスタイルのInfexcious選手。大会の間中、一瞬たりともその表情から彼のマインドを読むことはできなかったが。
前回の #RedBullKumite 王者 @fujimura333 入場
— Red Bull Gaming JP (@RedBullGamingJP) December 22, 2019
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【#RedBullKumite】
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黙々と優勝を狙う @infexiousdc の入場
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追い上げるInfexcious選手を振り切り、藤村選手が昨年に続きV2を達成! 読みを頼りに攻めようとするInfexicious選手にマジレスを返し続けて圧倒したようにも見えたが、優勝後のコメントでは、手が震えて何も覚えていないほどに緊張していたと明かした。実はもっとも警戒していたのは何をして来るか読めないInfexcious選手だったのだという。
最後までずっと新バージョンの追加技であるVスキル2を使っていたが、本人的にはもっと研究しなくては足りていないとのこと。どうやら来年も藤村選手を止めるのは難しそうだ。
そして優勝した藤村選手に負けずに輝いていたのがこの男、ストーム久保選手だ。当サイトで1年前から連載をしているひいき目もあり、前日予選から跳びはねて応援していたが、前日予選でInfiltration選手、当日にはPunk選手、Luffy選手、ときど選手を破ってるって、これはもうひいき目じゃないな……。と気が付いたときには会場全体が久保選手の試合に熱狂していた。ルーザーズで敗れ、ついに金網を去るときには久保コールも発生。勝者以外のドラマにも脚光を当てていく、「Red Bull Kumite 2019」におけるもうひとりの主人公は彼だったように思う。
ストーム久保選手は、本サイトのコラムでこの激闘について書く予定だという。シンデレラボーイの生の声を確認してほしい。
・Red Bull Kumite 2019 Last Chance Qualifier(前日予選)
https://www.twitch.tv/videos/524249467
・Red Bull Kumite 2019(前編)
https://www.twitch.tv/videos/524701827
・Red Bull Kumite 2019(後編)
https://www.twitch.tv/videos/524743304
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写真:Takanori Yoshida
■関連サイト
Red Bull Kumite 2019
https://www.redbull.com/jp-ja/events/Red-Bull-Kumite-Japan
ストリートファイターV アーケードエディション
http://www.capcom.co.jp/sfv/index.html