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「選手とコーチが一体となったプロ組織が日本のeSportsを強くする」SCARZ代表 友利洋一氏インタビュー
プロゲーミングチーム「SCARZ(スカーズ)」は、13部門のプレイタイトル、70人以上の選手を擁する日本でも有数の巨大なチームとなっている。また、2017年6月には、世界的な半導体メーカーAMDとのスポンサー契約を締結するなど、注目と期待が集まっているチームでもある。代表を務める友利洋一氏にチーム運営と、今後の日本のeSportsについてインタビューを行った。
――5月に締結したAMDとのスポンサー契約のきっかけや現状はどうでしょうか?
友利氏:AMDは今のところ『カウンターストライク』シリーズを推していきたいという方針があるようで、『カウンターストライク』の部門を持ち、日本でも優勝しているSCARZをご支援頂けるということなりました。「一緒に日本から世界へ」ということでご支援を頂きつつ活動しています。AMDの製品をご提供頂いたり、それを使ってみたフィードバックをAMDにお伝えしたりということも行っています。日本では『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』が今流行ってますが、『カウンターストライク』や『Dota2』なども世界的には流行っていて、この3つのタイトルが今のところ世界的なeSportsの3大タイトルだと思います。日本人は元々FPSが好きですし、将来的には日本でも『カウンターストライク』が流行るのではないかと思ってチャレンジしています。
――チームを設立したきっかけを聞かせてください。
友利氏:SCARZを設立してもう6年近くなりますが、プロとしての活動は2年ぐらいです。元々はゲーム内でのクランとかギルドとかそういうレベルです。その時は100人ぐらいメンバーが居ましたね。みんな仕事を終えて帰ってきて、ゲームをして楽しむという遊びでやってました。私自身は、ゲームが好きだったのでゲーム会社で働いていました。ゲーム会社はPCオンラインゲーム、ソーシャルゲーム、コンシューマーゲームの運営や開発などの3社ほど経験しましたが、全てプランナーやディレクターなどスタッフをまとめる立ち位置に居ました。3社ともすごく好きな会社で、入社/転職したときには、何がしたいからこその目標に到達するまでのプランと、最終的な自分が定めた目標を決めたプランを全て持っていました。そして、それを全て在籍中に達成することができました。
eSportsには元々興味がありましたし、日本でも話題になることが多くなってきたので、改めて2015年にプロチームとしてチームを結成しました。日本人は手先が器用なのは有名ですよね。しかし、一時的にはゲーム大国って呼ばれた時期もありましたが、全て海外に持って行かれてしまいました。日本人は磨けば絶対にゲームが世界一上手いと思っています。では、何が足りないのかと考えたときに、それを磨く場と受け皿がないと思ったんです。元々、私自身15歳からオンラインゲームを触り、若いときにはプロとしてチャレンジしたかったのですが、当時はプロゲーマーでのチャレンジはハードルが非常に高く、ゲームやゲーマーに恩返しをしたい気持ちからゲームの作り手になりました。ただ、昔自分では叶えられなかった道を今の若い子達には叶えてほしい。社会経験と通じて自分にだからこそ出来ることがあるという思いも、チーム作りの一つのキッカケになりました。だからこそ、今の日本チームが世界で一番になるのを目指してチームを作りました。
――チームに在籍している選手が70人以上とかなりの規模ですが、どうやって選手を集めたのでしょうか?
友利氏:チームに入りたいとやって来る方はもちろん、各タイトルのゲーム上位ランカーをスカウトしたりしています。もちろん、上位ランカーだからといっても必ずしもプロになれる訳ではありません。何度もその人のプレイを見たり、人間性を知るようにしています。最初の頃は自分でも選手の選考をしていましたが、今は各タイトルを知り尽くしている人をマネージャーに任命し、その人に選考を任せています。オーナーの立場からすれば、マネージャーの素質さえ見抜ければ良いのですから。
各タイトルに、専門知識があり、見る目のあるマネージャーさえ任命できれば、あとはマネージャーを信じてチーム作りを一緒にすることで強いチーム作りを目指してます。任せていれば自然に強い選手が集まります。例えば、サッカーにもオフェンスやディフェンスなど、役割ごとに部門がありますよね。各部門には必ずコーチが居てマンツーマンで選手を強くしていきます。そして、コーチをまとめるマネージャーが居ます。それと同じように、SCARZの各部門には必ずコーチとマネージャーが居るようにしています。逆に「なんとなくチームを作りました、なんとなく強い人を集めました、なんとなくモチベーションが下がって辞めました」では、eSportsのチームとしてはダメだと思います。プロとしてやっていくからには、会社やプロスポーツのチームと同じように、選手とそれを支えるスタッフという一体となった組織が必要です。
残念ながら日本のeSportsはまだ未熟だと思います。それは選手よりも、上に立つ人や育てる側がまだ育っていないからです。もちろん、私自身もまだ未熟だと感じています。育てる側が育てば、選手はより強くなり、5年後、10年後には日本のeSportsはより大きく強くなります。そして強く育って引退した選手は育てる側に回って貰う。そして育てる側として育ち、さらに新しい選手を強くしていく。こういうサイクルが出来上がれば、日本のeSportsの将来は明るいと思います。コーチと言ってもやはりゲームで実績なり実力がないと、選手が言うことを聞いてくれませんから。海外では既にこのようなサイクルが出来つつありますが、日本ではまだありません。チームと選手とコーチ、両者とも文字通りゼロからのスタートです。しかし、2、3年後にはこういうサイクルが出来上がってくるのではないかと思います。
――今のチームの課題をおしえてください。
友利氏:選手が若いので思考的な部分も若いところがあります。でもそこは、各マネージャーがしっかり目を光らせて一緒に学んでいってくれています。自賛になってしまいますが、そういうところはSCARZの選手達は素晴らしいと思います。チーム運営で凄く苦労しているというのはないですね。課題として感じている部分といえばチーム内よりも、外的な要因、ゲーム大会の少なさの方が問題です。そもそも大会がなければ、選手達の見せ場や活躍の場がありません。せっかく良いゲームタイトルでも、見せ場がなければリスクをかけるのが難しいということで、チームが解散するというケースは既に海外で多く起こっています。
――友利さんご自身が大会を主催されるなどの可能性はありますでしょうか?
友利氏:ゆくゆくは大会の主催も出来たら良いなとは思います。こちらは現在スポンサー様などとも話しを進めたりしていますので、現実的に叶えられると思っております。
――今年に入り『ストリートファイター』や『Vainglory(ベイングローリー)』「Streamer(ストリーマー)」と新しい部門を次々に立ち上げていますが、そのいきさつや各タイトルの魅力について教えてください。
友利氏:『ストリートファイター』に関しては、個人的にsakoさんが好きで応援したかったというのがあります。しかし選手としては強いのに、兼業でやっていて子育てとか仕事で忙しく全然プレイできていないという話しを伺い、「もっと近くで応援したい。支援ができないか?」と思い設立しました。しかも『ストリートファイター』といえば日本人なら誰でも知っているタイトルですし、海外でも有名です。チームの名前を広めるためにメジャーなタイトルの部門は必要だと感じましたし、それ以上に日本のチームであるなら、日本から世界に育ったゲームタイトルの部門は絶対持っておきたいと思いました。
『Vainglory』は運営の方とお会いして、もの凄いエネルギーを感じました。プレイヤー数も徐々に伸びていますし、将来性があるタイトルだと思います。eSportsもPCだけではなく、スマートフォンにもシフトする時代だと思っていますので、『Vainglory』はスマートフォンのeSportsとして大黒柱のひとつになるのではないかと感じています。それも加味して、今から参入しても良いのではないかと思いました。
「Streamer」部門は、ファンを増やしたいという思いからです。今後eSportsのチームに必要なのが、ファンやファンクラブだと思います。サッカーや野球は、ファンクラブが自分たちでファンサイトを立てて、応援ソングを作ったりしています。ああいう流れはeSportsでも必要だと思うんです。Streamerは拡散力があります。今は“たくまんプロ”選手しか居ませんが、枠を広げていこうかと思っています。SCARZを応援したいStreamerを中心的に広げていって、SCARZとしてのコミュニティの活性化をしていきたいというのが狙いです。
――日本のeSportsの現状に関してどうでしょうか?
友利氏:オリンピックの競技種目にeSportsが採用されるという話が、少しずつ出てきています。eSportsを知らない人にも、やはり「オリンピックに出場した」となれば「凄い」と賞賛され認知されるので、そこを目指していくべきですね。日本のeSportsも伸びてきているので、今のペースで行けると良いですね。「LJL(League of Legends Japan League)」のファイナルのチケットは2500人分がすぐに売り切れていますので、こういう風に盛り上がっていく状況がさらに増えるように期待したいです。ただ、現場感として、海外にはレベルが追いついていない、海外の大会で日本人が勝つ例がまだ少ないので、日本人がより強くなりタイトルを獲得していく必要もあります。
――日本と海外のレベルの差は具体的にどこにあるでしょうか?
友利氏:昔は場に慣れていないというのがありましたね。海外の大会では選手が緊張してしまっていつものプレイが出来ない、大会の空気に慣れずに負けてしまう・・・というのをよく見ました。ただ、最近は改善してきているようです。現状では、海外と大きな差があるわけではなく、あとほんの少しの勝負強さが必要なだけだと思います。『ストリートファイター』は日本人は強いですよね。なので、日本人の実力がないというわけではありません。突き詰めていくと、個人の能力の最大値だったり、チームとしての連携力の高さがポイントになります。例えば、今年の『LoL』の大会はLJLチームが強さを見せています。チームで戦うゲームに関してはコーチングが重要ですね。プレイする戦略プランとそれを実践する凄腕のコーチがいれば、かなり変わると思います。
選手としての強さは日々の練習や1つ1つの動きのコダワリの蓄積が重要です。強い選手は無駄な動きがありません。無駄な動きをしないためには、日々練習から1つ1つの動作を評価して改善するという流れを積み重ねる必要があります。そうやって小さい改善を積み重ねることで大きな大会で成果を出せます。これは私のチームにいた、あるコーチが言っていた事ですが「努力しないやつには嬉しがる権利も悔しがる権利もない」と。そういう努力を怠らなければ、絶対に強くなると思います。この言葉には今も支えられ感謝しています。
――今後、eSportsの種目になり得る注目しているタイトルはありますか?
友利氏:『スプラトゥーン2』ですね。秋には「第3回スプラトゥーン甲子園2018」の開催も決定しており、今後の動向に非常に注目が集まっています。
(注:SCARZは、7月13日に『スプラトゥーン2』の部門を設立し、2017年8月1日現在、選手を募集している)
――SCARZに入りたい若者に向けてメッセージをお願いいたします。
友利氏:第1にスキル、ゲームの上手さがあること、第2にプロとしてやっていくための心意気、第3にちゃんとしたビジョンがあるか、というところです。チームに入りたいというだけではなく、どこを目指し、そのためにはどうすれば良いかというビジョンやプランを持っている人は高い評価を得られます。どれもが必要な要素です。大会の規定で下限の年齢は設定されていますが、上限の年齢はないので、若者でなくてもこの3つを持っていれば選手になれます。
■関連リンク
「SCARZ(スカーズ)」
http://www.scarz.net/
友利洋一氏のTwitter
https://twitter.com/Scarz_ONEONE
友利洋一(ともりよういち)氏。SCARZオーナー 兼 株式会社XENOZ代表取締役
――5月に締結したAMDとのスポンサー契約のきっかけや現状はどうでしょうか?
友利氏:AMDは今のところ『カウンターストライク』シリーズを推していきたいという方針があるようで、『カウンターストライク』の部門を持ち、日本でも優勝しているSCARZをご支援頂けるということなりました。「一緒に日本から世界へ」ということでご支援を頂きつつ活動しています。AMDの製品をご提供頂いたり、それを使ってみたフィードバックをAMDにお伝えしたりということも行っています。日本では『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』が今流行ってますが、『カウンターストライク』や『Dota2』なども世界的には流行っていて、この3つのタイトルが今のところ世界的なeSportsの3大タイトルだと思います。日本人は元々FPSが好きですし、将来的には日本でも『カウンターストライク』が流行るのではないかと思ってチャレンジしています。
――チームを設立したきっかけを聞かせてください。
友利氏:SCARZを設立してもう6年近くなりますが、プロとしての活動は2年ぐらいです。元々はゲーム内でのクランとかギルドとかそういうレベルです。その時は100人ぐらいメンバーが居ましたね。みんな仕事を終えて帰ってきて、ゲームをして楽しむという遊びでやってました。私自身は、ゲームが好きだったのでゲーム会社で働いていました。ゲーム会社はPCオンラインゲーム、ソーシャルゲーム、コンシューマーゲームの運営や開発などの3社ほど経験しましたが、全てプランナーやディレクターなどスタッフをまとめる立ち位置に居ました。3社ともすごく好きな会社で、入社/転職したときには、何がしたいからこその目標に到達するまでのプランと、最終的な自分が定めた目標を決めたプランを全て持っていました。そして、それを全て在籍中に達成することができました。
eSportsには元々興味がありましたし、日本でも話題になることが多くなってきたので、改めて2015年にプロチームとしてチームを結成しました。日本人は手先が器用なのは有名ですよね。しかし、一時的にはゲーム大国って呼ばれた時期もありましたが、全て海外に持って行かれてしまいました。日本人は磨けば絶対にゲームが世界一上手いと思っています。では、何が足りないのかと考えたときに、それを磨く場と受け皿がないと思ったんです。元々、私自身15歳からオンラインゲームを触り、若いときにはプロとしてチャレンジしたかったのですが、当時はプロゲーマーでのチャレンジはハードルが非常に高く、ゲームやゲーマーに恩返しをしたい気持ちからゲームの作り手になりました。ただ、昔自分では叶えられなかった道を今の若い子達には叶えてほしい。社会経験と通じて自分にだからこそ出来ることがあるという思いも、チーム作りの一つのキッカケになりました。だからこそ、今の日本チームが世界で一番になるのを目指してチームを作りました。
――チームに在籍している選手が70人以上とかなりの規模ですが、どうやって選手を集めたのでしょうか?
友利氏:チームに入りたいとやって来る方はもちろん、各タイトルのゲーム上位ランカーをスカウトしたりしています。もちろん、上位ランカーだからといっても必ずしもプロになれる訳ではありません。何度もその人のプレイを見たり、人間性を知るようにしています。最初の頃は自分でも選手の選考をしていましたが、今は各タイトルを知り尽くしている人をマネージャーに任命し、その人に選考を任せています。オーナーの立場からすれば、マネージャーの素質さえ見抜ければ良いのですから。
各タイトルに、専門知識があり、見る目のあるマネージャーさえ任命できれば、あとはマネージャーを信じてチーム作りを一緒にすることで強いチーム作りを目指してます。任せていれば自然に強い選手が集まります。例えば、サッカーにもオフェンスやディフェンスなど、役割ごとに部門がありますよね。各部門には必ずコーチが居てマンツーマンで選手を強くしていきます。そして、コーチをまとめるマネージャーが居ます。それと同じように、SCARZの各部門には必ずコーチとマネージャーが居るようにしています。逆に「なんとなくチームを作りました、なんとなく強い人を集めました、なんとなくモチベーションが下がって辞めました」では、eSportsのチームとしてはダメだと思います。プロとしてやっていくからには、会社やプロスポーツのチームと同じように、選手とそれを支えるスタッフという一体となった組織が必要です。
残念ながら日本のeSportsはまだ未熟だと思います。それは選手よりも、上に立つ人や育てる側がまだ育っていないからです。もちろん、私自身もまだ未熟だと感じています。育てる側が育てば、選手はより強くなり、5年後、10年後には日本のeSportsはより大きく強くなります。そして強く育って引退した選手は育てる側に回って貰う。そして育てる側として育ち、さらに新しい選手を強くしていく。こういうサイクルが出来上がれば、日本のeSportsの将来は明るいと思います。コーチと言ってもやはりゲームで実績なり実力がないと、選手が言うことを聞いてくれませんから。海外では既にこのようなサイクルが出来つつありますが、日本ではまだありません。チームと選手とコーチ、両者とも文字通りゼロからのスタートです。しかし、2、3年後にはこういうサイクルが出来上がってくるのではないかと思います。
――今のチームの課題をおしえてください。
友利氏:選手が若いので思考的な部分も若いところがあります。でもそこは、各マネージャーがしっかり目を光らせて一緒に学んでいってくれています。自賛になってしまいますが、そういうところはSCARZの選手達は素晴らしいと思います。チーム運営で凄く苦労しているというのはないですね。課題として感じている部分といえばチーム内よりも、外的な要因、ゲーム大会の少なさの方が問題です。そもそも大会がなければ、選手達の見せ場や活躍の場がありません。せっかく良いゲームタイトルでも、見せ場がなければリスクをかけるのが難しいということで、チームが解散するというケースは既に海外で多く起こっています。
――友利さんご自身が大会を主催されるなどの可能性はありますでしょうか?
友利氏:ゆくゆくは大会の主催も出来たら良いなとは思います。こちらは現在スポンサー様などとも話しを進めたりしていますので、現実的に叶えられると思っております。
――今年に入り『ストリートファイター』や『Vainglory(ベイングローリー)』「Streamer(ストリーマー)」と新しい部門を次々に立ち上げていますが、そのいきさつや各タイトルの魅力について教えてください。
友利氏:『ストリートファイター』に関しては、個人的にsakoさんが好きで応援したかったというのがあります。しかし選手としては強いのに、兼業でやっていて子育てとか仕事で忙しく全然プレイできていないという話しを伺い、「もっと近くで応援したい。支援ができないか?」と思い設立しました。しかも『ストリートファイター』といえば日本人なら誰でも知っているタイトルですし、海外でも有名です。チームの名前を広めるためにメジャーなタイトルの部門は必要だと感じましたし、それ以上に日本のチームであるなら、日本から世界に育ったゲームタイトルの部門は絶対持っておきたいと思いました。
『Vainglory』は運営の方とお会いして、もの凄いエネルギーを感じました。プレイヤー数も徐々に伸びていますし、将来性があるタイトルだと思います。eSportsもPCだけではなく、スマートフォンにもシフトする時代だと思っていますので、『Vainglory』はスマートフォンのeSportsとして大黒柱のひとつになるのではないかと感じています。それも加味して、今から参入しても良いのではないかと思いました。
「Streamer」部門は、ファンを増やしたいという思いからです。今後eSportsのチームに必要なのが、ファンやファンクラブだと思います。サッカーや野球は、ファンクラブが自分たちでファンサイトを立てて、応援ソングを作ったりしています。ああいう流れはeSportsでも必要だと思うんです。Streamerは拡散力があります。今は“たくまんプロ”選手しか居ませんが、枠を広げていこうかと思っています。SCARZを応援したいStreamerを中心的に広げていって、SCARZとしてのコミュニティの活性化をしていきたいというのが狙いです。
――日本のeSportsの現状に関してどうでしょうか?
友利氏:オリンピックの競技種目にeSportsが採用されるという話が、少しずつ出てきています。eSportsを知らない人にも、やはり「オリンピックに出場した」となれば「凄い」と賞賛され認知されるので、そこを目指していくべきですね。日本のeSportsも伸びてきているので、今のペースで行けると良いですね。「LJL(League of Legends Japan League)」のファイナルのチケットは2500人分がすぐに売り切れていますので、こういう風に盛り上がっていく状況がさらに増えるように期待したいです。ただ、現場感として、海外にはレベルが追いついていない、海外の大会で日本人が勝つ例がまだ少ないので、日本人がより強くなりタイトルを獲得していく必要もあります。
――日本と海外のレベルの差は具体的にどこにあるでしょうか?
友利氏:昔は場に慣れていないというのがありましたね。海外の大会では選手が緊張してしまっていつものプレイが出来ない、大会の空気に慣れずに負けてしまう・・・というのをよく見ました。ただ、最近は改善してきているようです。現状では、海外と大きな差があるわけではなく、あとほんの少しの勝負強さが必要なだけだと思います。『ストリートファイター』は日本人は強いですよね。なので、日本人の実力がないというわけではありません。突き詰めていくと、個人の能力の最大値だったり、チームとしての連携力の高さがポイントになります。例えば、今年の『LoL』の大会はLJLチームが強さを見せています。チームで戦うゲームに関してはコーチングが重要ですね。プレイする戦略プランとそれを実践する凄腕のコーチがいれば、かなり変わると思います。
選手としての強さは日々の練習や1つ1つの動きのコダワリの蓄積が重要です。強い選手は無駄な動きがありません。無駄な動きをしないためには、日々練習から1つ1つの動作を評価して改善するという流れを積み重ねる必要があります。そうやって小さい改善を積み重ねることで大きな大会で成果を出せます。これは私のチームにいた、あるコーチが言っていた事ですが「努力しないやつには嬉しがる権利も悔しがる権利もない」と。そういう努力を怠らなければ、絶対に強くなると思います。この言葉には今も支えられ感謝しています。
――今後、eSportsの種目になり得る注目しているタイトルはありますか?
友利氏:『スプラトゥーン2』ですね。秋には「第3回スプラトゥーン甲子園2018」の開催も決定しており、今後の動向に非常に注目が集まっています。
(注:SCARZは、7月13日に『スプラトゥーン2』の部門を設立し、2017年8月1日現在、選手を募集している)
――SCARZに入りたい若者に向けてメッセージをお願いいたします。
友利氏:第1にスキル、ゲームの上手さがあること、第2にプロとしてやっていくための心意気、第3にちゃんとしたビジョンがあるか、というところです。チームに入りたいというだけではなく、どこを目指し、そのためにはどうすれば良いかというビジョンやプランを持っている人は高い評価を得られます。どれもが必要な要素です。大会の規定で下限の年齢は設定されていますが、上限の年齢はないので、若者でなくてもこの3つを持っていれば選手になれます。
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