Gamers Zone

move to login

GAME PCゲームで勝ち抜くための情報満載!

【WATCH DOGS 2レビュー】第2回 オープンワールドの作り込みここに極まれり

文●遠田茉莉香

ハッキングをテーマとしたオープンワールドアクションゲーム『WATCH DOGS 2(ウォッチドッグス2)』(以下今作)。ハッキングがテーマと聞くと、薄暗い部屋に閉じこもってパソコンをひたすらカタカタしていたり、人に見つからないようにサーバールームに忍び込んだり、といった「閉」のイメージが強いのではないでしょうか。確かにそういったオペレーション(クエスト、ミッションと同義)もありますが、今回はそうではない、今作の「開」、そしてその「開」の中にある細やかな作り込みの魅力について語っていきたいと思います。

主人公「マーカス・ホロウェイ」となってプレイヤーが主に活動していくのは、ハイテク産業の集積地としても知られるサンフランシスコ・ベイエリアをモデルとしたフィールド。マーカスとなったプレイヤーはこのフィールドを縦横無尽、思うままに駆け抜けることが可能です。そう、文字通り、「縦横無尽」に「駆け抜ける」ことが可能なのです。

第1回ではドライブの楽しさについて少々触れましたが、今作は乗り物を使った移動だけではなく、徒歩での移動も大変楽しいものとなっています。パルクールが得意という設定上、通常の人間であれば登るのが困難だと思われる高さの塀やコンテナ、屋根などにもある程度までよじ登ることができるマーカス。逆に高所から飛び降りて着地するまでのパルクールっぽいアクションも、一瞬ではありますが見ていてとても楽しいものに。プレイしていく上での楽しさと快適さ、グラフィックや世界観との齟齬が生じないリアルさを兼ね備えているこのバランスはとても良いものだと感じました。

身長より明らかに高い壁にもよじ登ることが可能

散歩と称して他人様のお庭に忍び込んでみるのもよし、ぶらぶら街を歩いて気になったハッテン場に顔を出してみるのもよし。乗り物に乗っての移動より、より細かいところの作り込みに気が付けるため、徒歩での移動もおすすめです。

他人様のお庭に不法侵入する瞬間

路地裏のスプレーアートなど、思いがけないフォトスポットに出会えることも

けれど今作の作り込みの中には、そもそも乗り物に乗っていなければ気が付けないものもたくさん存在します。例えば、筆者があるトラックを失敬して豪快なドライブをした場合、ふと気が付くと、何も積んでいなかった荷台にいつの間にか丸太と信号機が。「(そういえばさっき街路樹と信号機をぶっ飛ばしたような……えっそれが荷台に乗ったの!?)」と内心驚愕しました。街路樹、街頭、信号機、フェンス、人……などなど、車及びバイクでぶっ飛ばせてしまうものの豊富さにも驚きましたが、まさかその対象が荷台に載るとは。

吹っ飛ばした信号機と木が荷台に載っているわ、横腹に追突した車は横転しているわで散々な事故現場

また、停まっている車からは運転手を引きずり降ろしてのハイジャックが可能ですが、持ち主がすぐそばにいるバイクは失敬することができなかったりと、細かな違いも目を惹きます。また、惹かれるのは目だけではありません。筆者個人のお気に入りポイント「車種によりエンジン音が異なる」という点は、バイクにまたがって発進した瞬間のなんとも言えないわくわく感が嬉しく、耳も惹かれる作り込みに脱帽です。

バイクの持ち主に引きずり降ろされるマーカス

現実世界では車やバイクを盗んだ場合に警察が呼ばれますよね。もちろん、ゲームとは言え今作でも同様に呼ばれます。市民が見ている前で窃盗行為を行ったり、道路を爆走して事故を起こしたり、人をひいてしまったりした場合、善良な市民によって警察が呼ばれます。が、この警察の人たちのお仕事はマーカスを捕まえることだけではありません。酔って道ばたに寝ている酔っぱらいの相手もしてくれます。ゲームに全く関係のない、気が付かなければ素通りしてしまうような、気が付いても気に留めないかもしれないような小さな小さな、けれど日常に寄り添う作り込みがとにかくすごいの一言。

酔っぱらいを起こす警察官。一度では起きないため複数回叩くなど芸が細かい

アイスクリーム屋さんの近くには、買ったアイスクリーム片手にぶらぶらする一般市民が

天気、それは普段生活していく上で必ず気にしなくてはいけない要素ですが、今作ではそんな天候の変化もリアルに作られています。直視できないほどまぶしい日差しが降り注ぐ快晴、打ち付ける激しい雨、洗濯物の乾き具合が心配になるような曇りと、刻一刻と変わりゆく天候のお陰で、見慣れてきた街もまた新鮮な魅力を放ってくれるように。ストーリーを追うだけで、否が応でも体感できる自由さと作り込みの数々は、今作のクオリティをより一層高いところへ引き上げており、多くのプレイヤーに「もっと!もっと遊びたい、やりこみたい!」と思わせてくれること間違いありません。

海で泳ぎたくなるような、まぶしく降り注ぐ日差し

湿気が伝わってくる雨。よく見ると画面奥にいる一般市民は傘をさしている

(C)2016 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Watch Dogs, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.

■WATCH DOGS 2レビュー
第1回 ハッキングの面白さとデザインセンスの良さに期待が高まる

■関連リンク
ユービーアイソフト
http://www.ubisoft.co.jp
『WATCH DOGS 2』
http://www.ubisoft.co.jp/wd2/

WRITER RANKING プロゲーマーやゲーム業界人などの人気ライターランキング