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「Worlds」前に振り返る! 「LJL 2019 Summer Split FINALS」DFM vs V3 全試合レビュー
「LJL 2019 Summer Split Final」がアリーナ立川立飛で行われ、DetonatioN FocusMe(以下、DFM)がV3 Esports(以下、V3)を下してLJL3連覇を成し遂げ、『League of Legends』(LoL)の今年の世界一を決める大会、「World Championship 2019」の出場権を手にした。
2年ぶりの大きな会場でのファイナル開催ということもあって、試合前からファンのボルテージは最高潮といった感じだったが、そんなファンの予想を上回る熱い内容の決勝戦だったといえるだろう。
下馬評ではDFMが圧倒的有利とされる中、V3がいかに好勝負を演出したのか、そしてどのようにしてDFMがV3の対策をいなして王者の貫禄を見せつけたのか。
全4試合のドラフトやゲーム内のシーンをピックアップして、解説していこうと思う。
なお、「LJL 2019 Summer Split FINALS」のロースターは以下のとおりだ。
DetonatioN FocusMe
トップ:Evi選手
ジャングル:Steal選手
ミッド:Ceros選手
ADC:Yutapon選手
サポート:Gaeng選手
V3 Esports
トップ:Paz選手
ジャングル:Baby選手
ミッド:Ace選手
ADC:Yutorimoyashi選手
サポート:viviD選手
写真協力:ハリー(@HarryPleiades)
このバン&ピックから、V3が決勝戦のために用意してきた戦略がはっきりと見てとれる。
V3は、Ceros選手のハイマーディンガー、Gaeng選手のユーミ、そしてフレックス性の高いカルマをバンして、最初のローテーションでADCのザヤとジャングルのグラガスをピックしている。さらに、第2バンフェーズでは、ザヤのカウンターであるジンクス、Yutapon選手得意のミス・フォーチュンと、徹底的にボットレーンがレーンフェーズで不利を背負う可能性があるADCを潰している。
シリーズを通して、V3はYutorimoyashi選手とBaby選手のピックを重視していて、特にザヤはDFMがファーストピックしたGame3を除いてすべてファーストローテーションでピックしている。
ザヤはパッチ9.16ではカイ=サと並んで2強と言っていいくらい頻繁にピックされるチャンピオンで、弱い時間帯があまりなく、攻防にバランスのいいチャンピオンだ。V3はこのザヤを優先的にピックすることで、ボットレーンを安全に、かつ主導権を持ってゲームを進めたいという意図があったように思える。そうしてV3は、ボットレーンの安定性を確保しておいて、トップ、ミッド、ジャングルの組み合わせには少数戦に強いチャンピオンを集めている。
その中心に据えられているのがジャングルのBaby選手だ。このシリーズではグラガス、タリヤ、サイラスと、ある程度ダメージが出せて、かつ少数戦に強いチャンピオンをプレイしている。
一方DFMとしても、V3のこのプランはある程度予想していたように思う。というのも、DFMは全試合でBaby選手のエリス、Ace選手のアカリと、少数戦でパフォーマンスの高いチャンピオンをバンしているのだ。
3つ目のバン枠はソロレーンを自分たちが先出しする青サイドでは、フレックスピックかつ得意不得意のはっきりしているモルデカイザー、相手がファーストピックを持っている赤サイドでは、OPチャンピオンであるユーミと切り替えるようにしていて、完璧な事前準備ができていたと言えるだろう。
DFMは自分たちの構成を押し付けるV3に対して、対処する側に回ったというドラフトが多かったように見えた。主張があったと言えばあったのだが、それはGame2のドラフトで解説しよう。
証拠の1つとして、V3はボットレーンのレーンブッシュにゲーム開始直後に必ずワードを置いて、チーズスタート(ここではブッシュに隠れてレベル1でスレッシュを起点に仕掛けるようなプレイ)を警戒している。
一方DFMとしては、Baby選手が積極的に仕掛けてくるのにSteal選手が対応するために、ボットレーンにリーシュをさせる試合が多かった。そしてGame1では、DFMがシーズンではあまりやってこなかった、トップレーンをスノーボールさせる戦略を見せた。
4:00にボットレーンでリーシュを受けてBaby選手よりも早くジャングリングを行えたSteal選手は、その利を活かしてきっちりとトップレーンへのダイブを決めて、ファーストブラッドをチームにもたらす。
一方で、早い時間にSteal選手がトップレーンに姿を出したこと、リーシュを行わなかったボットレーン、ピックで有利をつくったミッドレーンでそれぞれV3側が主導権を握っていたこと、この3点からV3はボットレーンへのダイブを判断。
グラガスのボディスラムでスレッシュのランタン回収を止めるというBaby選手のスーパープレイで、V3はボットサイドの有利を盤石のものとしていく。
その後もミッドからボット、マップの下半分で積極的にオブジェクトを取りに行くV3に対して、DFMは勝っているトップレーンサイドのオブジェクトを狙ってトレードしていく作戦に出た。しかし、Paz選手の粘りのレーニングとワーディング、Baby選手の巧みなカバーによってSteal-Evi選手を妨害していく。
ボットレーンで有利をつくったこと、一人でレーニングしても比較的安全なザヤをピックできていることもあって、viviD選手のトップサイドへの寄りも非常に早かった。
パンテオンというチャンピオンは、遠くで戦っている味方に素早く合流することができる能力を持っているが、逆に言えば自分の間近で戦いが起きてしまうと肝心のアルティメットスキルが使いづらくなってしまうという特徴がある。このパンテオン潰しの動きが実って、徐々にV3側がリードを広げていき、ゲーム時間21分過ぎ、マウンテンドラゴンを巡った攻防が試合を決定づけた。
ミッドのウェーブの主導権を握られていたDFMは全員でグループをしてミッドをプッシュ。その後リバーからリバーのミニブッシュまでの視界を確保したものの、V3はその間にガラ空きになったボットサイドのウェーブを押し切り、結果DFMのマップ下半分の視界が完全に失われてしまった。
このタイミングでBaby選手にボットサイド側からプレッシャーをかけられたことで、DFMはせっかく確保したマウンテンドレイク前の視界を失うことになってしまう。
ここでDFMは、マウンテンドレイクをあきらめる選択もできたはずだ。少し前にYutapon選手はAce、Baby両選手との少数戦でフラッシュを落としており、まだムラマナのスタックが溜まりきっていない状態。それに対しYutorimoyashi選手はフラッシュを持ち、直前にリコールをしてエッセンスリーバー、インフィニティエッジと、高価なアイテムを2つ完成させてパワースパイクを迎えたところだった。
ただ、ここまでV3にゲームをコントロールされていた焦りだろうか、DFMはファイトを選択。
いったん姿を隠したEvi選手のパンテオンの「偉大なる星路」でV3の陣形を乱して、Gaeng選手のフックから戦況を変えようとするものの、V3は落ち着いてこれに対処。
逆に危険な位置に出てきてしまったDFMに対して、Baby選手のグラガスの「ボディスラム」+「ワシの奢り」コンボを決めて一気に集団戦になだれ込んでいく。
Ace選手のルブランがうまく合わせてカイ=サを落とすことに成功。3キルとバロン獲得にまでつなげる。
バロン獲得後は順調にオブジェクトをスノーボールしていき、29分6秒という短い時間でのゲームクローズに成功する。
V3にとっては快勝といっていいゲーム内容だった。ボットレーン、ミッドレーンは注文通りレーンの主導権を取り続けたし、トップレーンはかなりつらいレーニングながら耐え続け、巧みなワーディングやジャングラーのカバーもあって、DFMのパンテオンのスノーボールを許さなかった。
DFMはシーズン中ほとんどやらなかったトップレーン重視の作戦がうまくハマらなかった。V3の得意な形を自分たちで行うことで、もしこの試合を勝てていれば相手に対する精神的ダメージも大きかっただろう。ナイストライだった。
とはいえ、V3にきれいに返されてしまったことも事実。これを受けてDFMはドラフト、ゲームプランを変えていくことになる……。
2年ぶりの大きな会場でのファイナル開催ということもあって、試合前からファンのボルテージは最高潮といった感じだったが、そんなファンの予想を上回る熱い内容の決勝戦だったといえるだろう。
下馬評ではDFMが圧倒的有利とされる中、V3がいかに好勝負を演出したのか、そしてどのようにしてDFMがV3の対策をいなして王者の貫禄を見せつけたのか。
全4試合のドラフトやゲーム内のシーンをピックアップして、解説していこうと思う。
なお、「LJL 2019 Summer Split FINALS」のロースターは以下のとおりだ。
DetonatioN FocusMe
トップ:Evi選手
ジャングル:Steal選手
ミッド:Ceros選手
ADC:Yutapon選手
サポート:Gaeng選手
V3 Esports
トップ:Paz選手
ジャングル:Baby選手
ミッド:Ace選手
ADC:Yutorimoyashi選手
サポート:viviD選手
写真協力:ハリー(@HarryPleiades)
Game1:バン&ピックから見える両チームの戦略
ドラフト
このバン&ピックから、V3が決勝戦のために用意してきた戦略がはっきりと見てとれる。
V3は、Ceros選手のハイマーディンガー、Gaeng選手のユーミ、そしてフレックス性の高いカルマをバンして、最初のローテーションでADCのザヤとジャングルのグラガスをピックしている。さらに、第2バンフェーズでは、ザヤのカウンターであるジンクス、Yutapon選手得意のミス・フォーチュンと、徹底的にボットレーンがレーンフェーズで不利を背負う可能性があるADCを潰している。
シリーズを通して、V3はYutorimoyashi選手とBaby選手のピックを重視していて、特にザヤはDFMがファーストピックしたGame3を除いてすべてファーストローテーションでピックしている。
ザヤはパッチ9.16ではカイ=サと並んで2強と言っていいくらい頻繁にピックされるチャンピオンで、弱い時間帯があまりなく、攻防にバランスのいいチャンピオンだ。V3はこのザヤを優先的にピックすることで、ボットレーンを安全に、かつ主導権を持ってゲームを進めたいという意図があったように思える。そうしてV3は、ボットレーンの安定性を確保しておいて、トップ、ミッド、ジャングルの組み合わせには少数戦に強いチャンピオンを集めている。
その中心に据えられているのがジャングルのBaby選手だ。このシリーズではグラガス、タリヤ、サイラスと、ある程度ダメージが出せて、かつ少数戦に強いチャンピオンをプレイしている。
一方DFMとしても、V3のこのプランはある程度予想していたように思う。というのも、DFMは全試合でBaby選手のエリス、Ace選手のアカリと、少数戦でパフォーマンスの高いチャンピオンをバンしているのだ。
3つ目のバン枠はソロレーンを自分たちが先出しする青サイドでは、フレックスピックかつ得意不得意のはっきりしているモルデカイザー、相手がファーストピックを持っている赤サイドでは、OPチャンピオンであるユーミと切り替えるようにしていて、完璧な事前準備ができていたと言えるだろう。
DFMは自分たちの構成を押し付けるV3に対して、対処する側に回ったというドラフトが多かったように見えた。主張があったと言えばあったのだが、それはGame2のドラフトで解説しよう。
インゲーム
このBo5中、V3はボットレーンにあまりリーシュをさせていない。これはドラフトの項でも話した通り、ボットレーンにレーニングフェーズで勝ってほしいので、少しでもレーンインを早くしてレベル2先行を狙わせるというゲームプランから来るものだ。証拠の1つとして、V3はボットレーンのレーンブッシュにゲーム開始直後に必ずワードを置いて、チーズスタート(ここではブッシュに隠れてレベル1でスレッシュを起点に仕掛けるようなプレイ)を警戒している。
一方DFMとしては、Baby選手が積極的に仕掛けてくるのにSteal選手が対応するために、ボットレーンにリーシュをさせる試合が多かった。そしてGame1では、DFMがシーズンではあまりやってこなかった、トップレーンをスノーボールさせる戦略を見せた。
4:00にボットレーンでリーシュを受けてBaby選手よりも早くジャングリングを行えたSteal選手は、その利を活かしてきっちりとトップレーンへのダイブを決めて、ファーストブラッドをチームにもたらす。
一方で、早い時間にSteal選手がトップレーンに姿を出したこと、リーシュを行わなかったボットレーン、ピックで有利をつくったミッドレーンでそれぞれV3側が主導権を握っていたこと、この3点からV3はボットレーンへのダイブを判断。
グラガスのボディスラムでスレッシュのランタン回収を止めるというBaby選手のスーパープレイで、V3はボットサイドの有利を盤石のものとしていく。
その後もミッドからボット、マップの下半分で積極的にオブジェクトを取りに行くV3に対して、DFMは勝っているトップレーンサイドのオブジェクトを狙ってトレードしていく作戦に出た。しかし、Paz選手の粘りのレーニングとワーディング、Baby選手の巧みなカバーによってSteal-Evi選手を妨害していく。
ボットレーンで有利をつくったこと、一人でレーニングしても比較的安全なザヤをピックできていることもあって、viviD選手のトップサイドへの寄りも非常に早かった。
パンテオンというチャンピオンは、遠くで戦っている味方に素早く合流することができる能力を持っているが、逆に言えば自分の間近で戦いが起きてしまうと肝心のアルティメットスキルが使いづらくなってしまうという特徴がある。このパンテオン潰しの動きが実って、徐々にV3側がリードを広げていき、ゲーム時間21分過ぎ、マウンテンドラゴンを巡った攻防が試合を決定づけた。
ミッドのウェーブの主導権を握られていたDFMは全員でグループをしてミッドをプッシュ。その後リバーからリバーのミニブッシュまでの視界を確保したものの、V3はその間にガラ空きになったボットサイドのウェーブを押し切り、結果DFMのマップ下半分の視界が完全に失われてしまった。
このタイミングでBaby選手にボットサイド側からプレッシャーをかけられたことで、DFMはせっかく確保したマウンテンドレイク前の視界を失うことになってしまう。
ここでDFMは、マウンテンドレイクをあきらめる選択もできたはずだ。少し前にYutapon選手はAce、Baby両選手との少数戦でフラッシュを落としており、まだムラマナのスタックが溜まりきっていない状態。それに対しYutorimoyashi選手はフラッシュを持ち、直前にリコールをしてエッセンスリーバー、インフィニティエッジと、高価なアイテムを2つ完成させてパワースパイクを迎えたところだった。
ただ、ここまでV3にゲームをコントロールされていた焦りだろうか、DFMはファイトを選択。
いったん姿を隠したEvi選手のパンテオンの「偉大なる星路」でV3の陣形を乱して、Gaeng選手のフックから戦況を変えようとするものの、V3は落ち着いてこれに対処。
逆に危険な位置に出てきてしまったDFMに対して、Baby選手のグラガスの「ボディスラム」+「ワシの奢り」コンボを決めて一気に集団戦になだれ込んでいく。
Ace選手のルブランがうまく合わせてカイ=サを落とすことに成功。3キルとバロン獲得にまでつなげる。
バロン獲得後は順調にオブジェクトをスノーボールしていき、29分6秒という短い時間でのゲームクローズに成功する。
V3にとっては快勝といっていいゲーム内容だった。ボットレーン、ミッドレーンは注文通りレーンの主導権を取り続けたし、トップレーンはかなりつらいレーニングながら耐え続け、巧みなワーディングやジャングラーのカバーもあって、DFMのパンテオンのスノーボールを許さなかった。
DFMはシーズン中ほとんどやらなかったトップレーン重視の作戦がうまくハマらなかった。V3の得意な形を自分たちで行うことで、もしこの試合を勝てていれば相手に対する精神的ダメージも大きかっただろう。ナイストライだった。
とはいえ、V3にきれいに返されてしまったことも事実。これを受けてDFMはドラフト、ゲームプランを変えていくことになる……。
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