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『R6S』eスポーツディレクター Wei Yue氏インタビュー「2020年にR6Sの競技シーンは劇的に変わる」

eスポーツ関係の配信事業やコンサルティング事業を営む「配信技研」が2019年10月31日に発表した「Esports Tier in Japan 2019」。このデータによると、日本国内および海外ユーザーから視聴時間の多いゲームタイトルの中に、『リーグ・オブ・レジェンド』や『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』と並んで『レインボーシックス シージ』(以下、R6S)の名前が目に入る(コチラの記事を参照)。

これはあくまで”国内実施の大会”に限定したランク付けだが、『R6S』は世界規模で見てもeスポーツシーンに多大な影響力を与えているように思う。2018年度における日本のユーザー数は200万人、グローバルでは5000万人と規模感の大きさがヒシヒシと感じられる数値だ(Ubisoft公式発表データに基づく)。

しかし成長を遂げて多方面から注目されつつあるからこそ、今後の運営方針や開発陣の施策に疑問が生じるのもまた事実。そこで今回は、「R6S プロリーグ10ファイナル」の運営で愛知県・常滑を訪れていたユービーアイソフトのeスポーツディレクターWei Yue氏にインタビューを実施。モントリオールにて『R6S』の競技シーン運営に携わる同氏に質問をぶつけながら、世界規模で見た『R6S』の市場効果や日本の注目度、今後の展望について伺った。

▲ユービーアイソフト eスポーツディレクター Wei Yue氏

「日本で世界大会を開催できて誇らしく思う」

――日本国内で大規模な世界大会が行われるのは今回が初ですが、本タイトルのeスポーツディレクターから見て率直に今の感想をお聞かせください。

Wei Yue:本当に誇らしく思います。会場に入って現地の熱を感じましたが、これまで講じてきた施策だったり方向性は間違っていなかったと改めて確信しました。

▲「R6S プロリーグ10ファイナル」会場内の様子

――ユービーアイソフトの公式資料によると、「日本国内における試合の総視聴者数は北米とほぼ同じ」とされており、ファン目線でも盛り上がりを感じています。世界規模で見てeスポーツシーンにおける日本市場の注目度はどの程度でしょうか?

Wei Yue:世界基準で見ると最も視聴数が多いのは英語(配信)。その次がラテン語で日本は3番目という位置づけです。それでも日本の人口を考慮すれば、この視聴者数の多さには驚かされました。グローバル規模で見ても日本の存在感は意外ですし、FPSタイトルというジャンルを見ても、日本国内でeスポーツの存在感は大きいと思います。ユービーアイソフト本社もその偉大さに気づいていますので、引き続き日本市場は注目する所存です。

――今後も日本で世界大会開催は考慮されていますか?

Wei Yue:この質問は他のメディアさんからもたくさん聞かれました(笑)。もちろん考えてはいるのですが、『R6S』は日本だけでなく世界で愛されている作品なので、イベントの候補地で迷っているのが現状です。とはいえコミュニティの熱も受け取りましたし、視野に入れてプランニングは進めていきます。

▲国内で2012年より開催されている独自イベント「UBIDAY」の様子

――ちなみに愛知県の常滑を会場に選んだのは何か理由はあるのでしょうか?

Wei Yue:Aichi Sky Expoが新しい建物(2019年8月オープン)ということで、「お客様を招き入れるのにふさわしい」と判断したのが一つ。そして大阪や京都、東京からのアクセス性を考慮した結果、今回は愛知県の常滑を開催地に選ばせていただきました。

▲大会当日のAichi Sky Expo外観

――ファンの間ではHIBANAやECHOが愛知県警出身だとかで愛知を選んだんじゃないかと囁かれていますが……。

Wei Yue:いえ、それが”たまたま”なんです。ゲーム内の要素と結びついていれば綺麗だと思ったんですが(笑)。

2020年に『R6S』のeスポーツシーンは大きな変化を迎える

――同じアジア地域に属する中国市場への展開についてはどうお考えでしょうか?

Wei Yue:今テンセントさんと協議しておりまして、早ければ2020年初旬に『R6S』を中国で販売します。発売後はeスポーツシーンに中国を加え、プロリーグ大会を開催する予定です。今回の中国もそうなのですが、新しい国へ参入する時のポイントとして「グラスルート」というアマチュア層の大会を盛り上げないといけません、アマチュアを作ってからセミプロに進んで、それがプロリーグ選手に……といった土台の形成が肝要です。中国で『R6S』のeスポーツシーンを活性化させるにはこの構造が不可欠だと思います。

――来年でリリースから5年目を迎える『レインボーシックス シージ』ですが、競技シーンでさらに発展を遂げるための展望や意気込みはありますか?

Wei Yue:少しインゲームの話をさせてください。作品を遊んでくれているファンの方々に長く愛されるためにも、現在は”100人のオペレーター実装”を目標に取り組んでいます。加えて注力しているのが”eスポーツのエコシステム”。競技シーンに関わっている方が持続的に活動できる体制やストラクチャーを整えている最中です。

『R6S』も当初はeスポーツタイトルとして成立していませんでした。しかし皆さんもご存知の通り、ここ数年で急成長を遂げてプレイヤー数や競技人口も増加傾向にあります。したがって、その人口に合わせたインゲームのシステム改善が急務なのです。私が所属するモントリオールスタジオでも、日々いろんなプランニングをしております。

また2020年の『R6S』eスポーツシーンは凄く大きな変化を迎えます。色々なストラクチャーの様変わりもあるのですが、来年2月の「Six Invitational 2020」でいろいろと発表させていただきますのでご期待ください。

――ということは『R6S』は当面サポートする予定でしょうか? ユーザー的には「まだまだ遊べる!」と思って良いのでしょうか?

Wei Yue:もちろんです! ゲーム自体の成長だったり持続的なコンテンツの提供は当然として、eスポーツのコミュニティやファンとの持続的なコミュニケーション、そしてeスポーツシーンの拡大も視野に入れています。だからこそ、モントリオールスタジオではeスポーツチーム含めて400人以上の開発チームがいるわけで……。これから長く遊んでいただくための体制は充分に整っております。

――最後に日本のファンへ向けてメッセージをお願いします。

Wei Yue:本当に日本で世界大会を開催できて誇らしく思っています。最初に述べた通り、実際に熱を感じることによって今までの努力が無駄では無かったんだと実感しました。日本の皆さんの『R6S』に対する愛情だったりeスポーツに対する愛情だったり、ホスピタリティに感動しているので、チームを代表して感謝を伝えたいです。最後に、これからも長く『R6S』を遊んでいただければと思います。

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