NDCは2007年に社員向けにスタートし、2011年に一般向けに解放されたことで、韓国を代表するゲーム開発者会議に成長した。2016年のセッション登録数は20680人（うち学生610名）で、参加費用は無料（セッションごとの先着申込み順）。2017年は計121セッション行われ、うち半数をモバイルゲーム関連セッションが占めた。

基調講演は「AIの進化がゲーム開発に与える影響」がテーマ

セッションはネクソン社長のオーウェン・マホニー氏のウェルカムスピーチからスタートした。これまで毎年テーマが設けられてきたが、ゲーム業界の変化の速さと多様性の進展から、今年はあえて特定のテーマを設けなかったとコメント。業界には『オーバーウォッチ』『Pokémon GO』のような革新的なゲームが必要だと述べた。

続く基調講演ではモバイルゲーム『野生の地：Durango』の開発総括ディレクターをつとめるイ・ウンソク氏が「第4次産業革命時代におけるゲーム開発」と題して、AIの進化がゲーム会社やゲーム開発者にどのような影響をもたらすかについて自説を展開した。イ氏はAIがゲームを作る時代が到来するとして、聴衆に想像的であれと訴えた。

モバイルゲーム『野生の地：Durango』の開発総括ディレクター、イ・ウンソク氏による基調講演

ネクソン社員以外に、海外企業やインディーゲーム開発者による講演もみられた。中でもアクションシューティング『オーバーウォッチ』でテクニカルアーティストをつとめるイ・ハクソン氏の講演では約400席の会場が満席となり、多くの聴講者が詰めかけた。同作は韓国で『リーグ・オブ・レジェンド』と並ぶ人気タイトルだ。

イ氏は「『オーバーウォッチ』のヒーロー制作過程およびテクニカルアート」と題して、サポートキャラのアナ・アマリにおけるデザイン過程を紹介。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場する「鉄馬の女たち」からも影響を受けたとあかした。また、同社におけるテクニカルアーティストの役割をわかりやすく解説した。

『オーバーウォッチ』テクニカルアーティストのイ・ハクソン氏による講演は盛況を極めた

中国PCオンラインゲーム大手のNetEaseによる講演もあった。講演タイトルは「韓国のディレクター、中国の開発者：NetEase『Revelation Online』の新規クラス開発」。スピーカーのキム・ドクヨン氏は元ネクソン社員で、「久しぶりに戻ってこられて嬉しい」と述べた。

本作は新クラス「アサシン」を追加する際に、専用トレーラーを制作。ゲームリソースは中国で、トレーラーは韓国で制作された。ドクヨン氏は両者で60％の素材を共有しながらどのように制作を進めたかについて、制作過程のムービーを見せつつ解説した。なお『Revelation Online』は中国・北米・欧州でサービス中で、韓国・日本での配信は未定。

PCオンラインゲーム『Revelation Online』に登場する新キャラクター・アサシンのCGモデル

セッションだけでなく、VRゲームのデモやネクソン社員の課外活動なども披露された。デモコーナーではUnreal Engine 4を展開するEpic Games Koreaが新作デモ『Robo Recall』をOculus Rift上で実施。デモだけでなく、NDCでも開発後のポストモーテムが行われ、多くの開発者が聞き入っていた。

同社ロビーではタイトルのコンセプトアートや関連イラストが展示された「NEXON ART EXHIBITION」コーナーを設置。同社前の特設ステージではジャズのビッグバンドやコーラスが日頃の練習の成果を披露する「ゲーム音楽ストリート公演」が行われ、同社のクリエイティブなエネルギーが良く伝わってきた。

Epic Games KoreaによるVRゲーム『Robo Recall』のデモ

ゲームのコンセプトアートやイラストなどが並んだ『NEXON ART EXHIBITION』

「ゲーム音楽ストリート公演」ではネクソン社員による息の合ったコーラスなどが披露された

ネクソン社外の開発者や学生の参加者もみられた

NDCに併設してパートナー会社向けのクローズドなカンファレンス「Nexon Developers Conference for Partners」も開催され、10社23名が参加した。NDC、NDCPともにパブリッシャーがこの規模でゲーム開発者会議を主催する例は世界的にも珍しく、同社の勢いを改めて感じさせたイベントだった。

■関連リンク
Nexon Developers Conference（NDC）
https://ndc.nexon.com/