Gamers Zone

move to login

GAME PCゲームで勝ち抜くための情報満載!

『DOOM Eternal』FPSジャンルを確立した『DOOM』最新作は未知の領域へとFPSを誘う10年に一度の傑作【オススメPCゲームレビュー】

目次
  1. FPSの戦闘はあらたな次元へ!
  2. 敵を銃弾で怯ませてから 近接攻撃でグローリーキル発動
  3. 本作を特別なものに変えている「移動パート」
  4. こんなFPSの進化に立ち会えて、本当に歓喜する
  5. この地獄で縦横無尽に飛び回って敵を蹴散らすのは無二の体験
遊んでいる最中ずっと夢中だった――夢、それも悪夢のほう。煉獄で戦う楽しい悪夢、というと妙なたとえだが、地獄と化した地球でスリリングかつ刺激的で楽しい破壊を満喫した。リミットが見えない暴力表現はもちろんのこと、それ以上に本作が抜きん出ているのはFPSジャンルをさらなる高みに持ち上げようとする意志だ。


『DOOM』シリーズは「撃ちまくり系」や「ピュア・シューター」といったジャンルに置かれがちで、FPSの原始的な楽しみ……とにかく撃ちまくって倒しまくるという趣のIPとして扱われる傾向にあった。しかし今作は違う。本作において射撃は単なる1エレメントに過ぎず、後述する「グローリーキル」などを含めた多層的な戦闘が実現されている。そのうえ移動パートにもひねりがあり、集中と緊張の連続で休まる暇がない極限の体験が味わえる。私は本稿を通じてあなたをこの地獄へ導く水先案内人となろう。

FPSの戦闘はあらたな次元へ!

本作はコンバットドリブンな(戦闘を中心とした)ゲームデザインで、戦闘の楽しさによってプレイを牽引する。戦いにおいては、銃撃戦が主になるかと思いきや銃弾はかなりきつめに制限されており、トドメの役目をあまり果たさない。どういった役割になるかといえば、「グローリーキル」をするための怯みを生む一手なのだ。

グローリーキルとは、敵に一定のダメージを与えると実行可能なゴア表現きつめのフィニッシャー攻撃。それで倒すと敵は銃弾やライフを落とすため、死にやすい戦いの中で活路を見いだすためにも、常にグローリーキルを狙っていくことになる。

▲グローリーキルの瞬間(グロテスクな表現があります)

敵を銃弾で怯ませてから
近接攻撃でグローリーキル発動

本作の戦闘は、つねに能動的に動くことを促し緊張と集中をもたらす。よって戦闘がかなり濃密なのだ。撃ちまくり系とも呼ばれるピュアシューターの系譜でありながら、撃ちまくることができなくてそれでいて超コンバットドリブン。敵を撃って怯ませてグローリーキルというごく短い演出付きの近接攻撃で倒す。それの連続、撃ってはグローリー撃ってはグローリー。しかし銃もなおざりではない、きちんとパワーアップさせられるしガンガンに撃って戦うこともできる。

ただし、銃弾の制限がきつめのためグローリーでとどめを刺す。また銃弾が不足しがちということはさまざまな銃を使い分けることにも繋がるため、プレイが自然と多様になる。

▲多数の強化要素を持つ銃器

本作を特別なものに変えている「移動パート」

移動パートだが、ここに本作を特別たらしめる工夫が用いられている。本作は足場から足場へと移動する「プラットフォーマー」ジャンルとの融合が成されており、移動パートのほとんどはアスレチックになっていていろんなムーブを決めて移動する。

▲こんな移動はざらで180度空中で回転して隙間に飛び込むこともある

前作である『DOOM』(2016年版)では移動パートがともすれば退屈だったが、本作では暇をしている暇がない。つねに新しいルートを見極めましらの如く飛び回る様は『ミラーズエッジ』のようでもあり、このパートのおかげで移動中も集中の連続となる。そのため移動も濃い。この変化はピュアシューターの新しい可能性を切り拓いている。あるいはピュアシューターとはもう呼べないあらたなFPSだ。空中ダッシュなどを用いて移動や探索をして、一定の場面に辿り着くときはアリーナシューターに変化する。このダイナミクスが本当にたまらない没入を生んでいる。

移動パートにおいては難易度も高く脱落者も出るかもしれないため善し悪しがあるが、プレイヤーにスピードラン(タイムアタックプレイのこと)のようなプレイを促すレベルデザインには舌を巻く。緻密に詰まないようコントロールされているマップの構造は動き回っているだけでも楽しい。そのうえシークレット要素として隠しアイテムもあるからなおのことだ。

▲今回はBFGが単なる銃のみならず重要なストーリー上の要素として登場

ストーリーについても説明しておこう。本シリーズにとって物語に期待している者はわずかだろうが、一応きちんとしたストーリーテリングが行われている。たとえば主人公である「ドゥームスレイヤー」だが、彼は地獄の遺物と呼べる存在で、デーモンに対する憎しみと怒りだけで動く存在、そして喋らない主人公でもある。その行く末は地獄からの侵略者を地獄もろとも破壊する道のりだ。

こんなFPSの進化に立ち会えて、本当に歓喜する

本作の戦闘と移動パートの縦横無尽なゲームプレイ、戦闘においてはゴア表現の実現、移動においては人工物にとどまらない悪魔の施設など、このステージと進行を活かしたこのゲームプレイを実現するためには「地獄のゲーム」である「DOOM」のIPが必然的でもある。ゴア表現がヤバいという前情報は釣り餌で、実際にどうプレイに影響を及ぼしているかというと「ゴア表現を見るために画面から視線を切らせない」という効果があり集中を促している。このため1ミッションが非常に濃密な体験となる。実際にプレイ中に画面から視線を切らしている暇はまったくない。そのため疲れる点はマイナスだが、それを補ってあまりある楽しさがある。


この地獄で縦横無尽に飛び回って敵を蹴散らすのは無二の体験

1993年に生まれた『DOOM』、それは革命的な出来事だった 。第1作目から強烈なゴア表現を持ち、コンバットドリブンの一人称視点ゲームとして伝説のタイトルでもある。破裂や流血など暴力表現が売りでもあり、人気の高さから問題視された歴史までも持つ。

そして今作に至ってはかつて問題視されていた暴力表現が極限にまで高まっているし、メレーコンバットを用いたピュアFPSのゲームプレイを再定義するグローリーキルの進化とアスレチックの高度な融合によって最高傑作となっている。

▲ソードオフしたダブルバレルはいつだってシューターの切り札

同時に非常に高い難易度となっている点が万人に勧められない欠点になっているが、それを乗り越えられると達成感もそのぶん大きく満足度は高い。私はFPSを専門分野にしているゲームライターだが、ひと言でいって「こんなFPSは見たことがない」という目新しさがある。この愉快で厳しくてそして過激な地獄へどうかあなたを道連れにできますように。

© 2020 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Bethesda, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. DOOM Eternal, id, id Software and related logos are registered trademarks or trademarks of id Software LLC in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.


DOOM Eternal
https://bethesda.net/ja/game/doom
DOOM Eternal (Steamストアページ)
https://store.steampowered.com/app/782330/
Bethesda Softworks
https://bethesda.net/ja
id Software
https://www.idsoftware.com/

WRITER RANKING プロゲーマーやゲーム業界人などの人気ライターランキング