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【韓国 G‐STAR 2016リポート】大手からインディーまで多種多様なPCゲームが登場
G‐STAR(Game Show and Trade All Round、主催:韓国インターネットデジタルエンターテインメント協会)は、一般ユーザー向けのB2Cエリア、商談ブースが並ぶB2Bエリア、e-Sportsイベントが開催されるアリーナ、人材採用向けの企業説明会などが一堂に会する、韓国最大級のゲーム展示会だ。2015年度は、35カ国633企業・団体が出展し、約21万人が来場。今年は約1万人多い、歴代最多の約22万人を記録したという。
会場となった韓国・釜山のBEXCO
PCオンラインゲームが中心の韓国では、ゲームショウもユーザー向けの巨大なオフラインイベントという位置づけで始まった。しかし今年のG‐STARでは、B2Cエリアの1/3を占める巨大ブースを構えたネクソンを筆頭に新作ゲームが多数出展され、大きな変化が感じられた。同社ブースではPCの試遊台を250台、スマートフォンを300台設置したが、それでも平均2時間待ちの行列ができるなど人気ぶりを見せつけた。
ネクソンブースには250台ものPCが並んだ
中でも注目を集めたのが、『Gears of War』シリーズを手がけたクリフ・ブレジンスキー氏の独立後第一弾となるタイトル『LawBreakers』だ。ゲームは空中を軽快にジャンプしながら相手チームを殲滅していくアリーナタイプのFPSで、2017年にネクソンからパブリッシュされる予定。プラットフォームはPCで、ビジネスモデルはF2Pとなる。18歳未満プレイ禁止のため行列は他より短かったが、熱心なファンが多く試遊していた。
全世界が注目する『LawBreakers』プレイ画面
もっとも、大手ブースはモバイルゲームの出展が中心だった。これは、PCオンラインゲーム大国の韓国ではいまだにPCゲーム市場が優勢だが、そんな韓国においても近年では他のアジア圏と同様にモバイルゲーム市場が急成長していることが理由であろう。これに対して中小企業や大学・専門学校のブースではユニークなVRゲームが多数出展された。ハードはOculus RiftとHTC Viveが半々で、大型筐体を活用したゲームも多数見られた。
バイク型筐体によるVRゲーム(デバイスはOculus Rift)
Oculus Riftによるパラグライダーのゲーム
地元釜山を中心に数々のインディーゲームが出展し、B2CエリアとB2Bエリアの双方でブースを構えていたのも印象的だった。モバイルゲーム中心だった大手ブースとは異なり、ここではPCゲームが優勢だ。ゲームのクオリティもおしなべて高く、英語対応を済ませているゲームもみられた。日本と同じく、長くインディーゲーム不毛の地と言われてきた韓国だが、状況が急速に変化している様子がみてとれた。
B2Cエリアのインディーゲーム。釜山ゲームアカデミーのブース内に出展された
G‐STARは2005年に韓国の文化観光部(日本の文部科学省にあたる)と情報通信部(総務省にあたる)の肝いりで、ソウルで初開催された。2009年から会場を釜山に移したが、誘致に際して釜山側の強力な働きかけがあったとされる。G‐STAR 2016でも、初日に徐秉洙市長がテープカット後会場を視察する姿が見られた。来年度の開催地は公式には未定だが、釜山側としては産業育成の一環として、継続開催を望んでいると言われている。
PCオンラインゲーム『タルタロス:リバース』を日本でも配信する釜山のINTIVSOFT
会場を視察する徐秉洙市長(左から2番目)
G‐STARのもう一つの側面がB2Bエリアの充実ぶりだ。延床面積はB2Cエリアと同規模で、B2Cエリアが主体の東京ゲームショウとは対照的。「東京ゲームショウで名刺交換し、G‐STARで商談する」とも言われるほどで、中国最大手のテンセントやGoogle、日本からもセガゲームスなどがブースを構えた。東京ゲームショウでも毎年ブースを構えるASEAN諸国のゲーム会社も出展し、提携先を熱心に探していた。
カンボジアのゲーム会社、Sabay OsjaとSlekrith Film
ブルネイから出展したItsybytesとNewgate Plus。同国にはこの2社しか存在しないという
日本と異なり家庭用ゲーム市場が非常に小さい韓国では、ゲームの技術開発がPCベースで行われる。PCオンラインゲームの技術開発力は日本の先を行っており、そこからスピンアウトして誕生するインディーゲームにおいても同様だ。人口が5000万人と日本の半分以下のため、海外展開に積極的という点も日本と異なる。そうした韓国ゲーム業界の象徴として、G‐STAR 2016は我々にさまざまな示唆を与えてくれたと言える。
■関連リンク
G‐STAR 2016(リンク先英語)
http://www.gstar.or.kr/eng/