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「LJL 2019 Spring Split」中間展望:ルール&パッチ変更後のチームごとの戦況と課題を分析
『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の日本のプロリーグ「League of Legend Japan League」の春シーズン、「LJL 2019 Spring Split」は、1月19日〜3月22日にかけてWeek1〜10として開催される。
2019年からはチームが6チームから8チームに拡大したことで、試合形式がBO3(2戦先取)からBO1(1戦先取)に、リーグ形式もダブルラウンドロビン(2回総当たり)からトリプルラウンドロビン(3回総当たり)へと変更になった。
本記事では、『LoL』解説者兼ブロガーとして活動しながら普段は初中級者向けにゲームの攻略情報を記事にしている私、あかさんが、競技シーンについて書いていこうと思う。今回は1ラウンド目、つまりすべてのマッチが1周したWeek4までの試合結果をもとに、各チームのここまでの戦いぶりや課題、パッチ変更による影響などについて書いてみたい。
特にサイオンとアーゴットはユーティリティ系(ダメージを出すというよりはCCやグローバルスキルで味方をサポートする役目のこと)ミッドレーナーの代表格で、レーンで勝つ必要がないチャンピオンだっただけに、ミッドレーンに自信のないチームにとっては安心してピックできる存在だった。
これらはパッチ9.3以降もピックされ続けるだろうが、純粋なチャンピオンパワーという意味ではかなり下がっており、代わってキャリー系のミッドレーナーが頻繁にピックされるメタへと移り変わっていっている。
ゾーイやルブランといったチャンピオンが代表格だが、それらのハイリスクハイリターンのチャンピオンピックが増えることで、レーニングが強いミッドレーナーを擁するチームにとって有利なメタと言え、逆にレーニングを無難にやり過ごして集団戦でパフォーマンスを発揮するタイプのミッドレーナーを持つチームは、ドラフトを再考する必要も出てくるだろう。
ミッドレーンに「レーンで勝ちに行く」チャンピオンがピックされるようになると、それに合わせて序盤から強いチャンピオンを合わせてピックする必要が出てくるのだ。
セジュアニやザックといったタンク系や、カーサスのようなレベル6を目指すジャングラーは、序盤のミッドレーンが引き分けになりやすいメタならば、自分たちのパワースパイクを迎えるまでゆっくりファームをして、ゲームを進行することが容易だ。
しかし、パッチ9.3のようにミッドレーンに優劣がつきやすいメタになると、自軍のミッドレーンが負けたときにそのあおりを受けてファームする場所を奪われてしまう可能性が高い。
まったくピックできないというわけではないが、ミッドレーンで自分たちが有利なマッチアップを作った場合や、相手がユーティリティ系チャンピオンをピックしてきた場合でないと、安全にピックできなくなったと言えるだろう。
なので少数戦指向のファイター系ジャングルのリー・シンやオラフ、集団戦指向でもある程度序盤からダメージを出せるノクターンやジャーバンIVといったチャンピオンたちが、高い優先度でピックされるようになっている。
こちらもアーゴットとエイトロックスという2018年の秋からずっとトップレーンに顔を出していた常連2チャンピオンがナーフを受けたことで、ハイリスクハイリターンなピックが採用されはじめた。具体的には新チャンピオンであるサイラス、フィオラやジェイス、ヨリックといったあたりだ。
彼らはガンクを受けて潰されたときにはまったく影響力を発揮できなくなってしまうという弱点があるものの、育てばトップレーンサイドから1人でゲームを破壊できるポテンシャルを持っている。
このため、パッチ9.2まではドラゴンを重視してミッド〜ボットレーン中心にプレイするジャングラーが多かったが、パッチ9.3以降はキャリー系のトップレーナーを育てるためにトップ〜ミッドレーン中心にジャングラーが活動するという選択肢も採れるようになった。
結果として、ボットレーンはガンクを受ける機会が相対的に減ったといえるだろう。
これには主に2つの理由がある。
1つ目は、ミッドレーンにスノーボールできるチャンピオンが多くなった結果、クリティカル系のチャンピオンのコアアイテムが揃うまでにゲームの大勢が決してしまうことが多いから。
2つ目は、このメタで一番重要なミッドレーンを勝たせるためにサポートがロームを行いたい、そのためにボットレーナーにはリスクの少ないピックをさせたいからだ。
ここを詳しく解説していると記事が1本書けてしまうので割愛するが、ボットレーナーにはチャンピオンのユーティリティ性能を引き出す能力が、サポートプレイヤーにはローム能力が問われるメタになっている。
では、ここからは私なりの各チームの総評と、パッチ9.3以降で受けそうな影響、2ラウンド目へ向けてのキープレイヤーを各チーム1人ずつ挙げていこうと思う。
ゲームを決めきるのに苦戦するチームが多い中、平均試合時間もLJL最短の31分7秒と、有利を作ったら早い時間でゲームを畳む、という今のメタに合致したプレイが行えている。
ゲーム序盤こそミスが見られるが、終盤にいくにつれミスが減っていくチームで、データで見ればDFMの被FB率は7試合中4試合と高めなのに対し、ゲームを決めるバロンが沸く20分時点でゴールドリードをされていたことは7試合中1試合しかない(その1試合も差はわずか1000gほど)。
ファーストブラッド献上率には、ジャングルのSteal選手が今季ファーム重視のプレイをしている影響もありそうだ。彼は15分段階で相手のジャングルとのCS差が平均7.6とほぼ2キャンプ分先行しているものの、ファーストブラッド関与率は28.6%にとどまっている。
これは決してSteal選手のパフォーマンスが低いというわけではなく、ジャングルの経験値減少などに伴ってプレイ方針を変えているだけなので、彼がしっかりファームをして相手ジャングルに対して先行している間に、レーナーはガンクを受けないように、敵ジャングルの位置取りを正確に把握&共有してリスク軽減していかなければならないということだ。
このチームの特徴はなんといっても、ミッドのDasher選手にオールインしたような構成を好む点だろう。実際彼のダメージ占有率は37.3%(執筆時点での統計)と、LJL全チームの中でも群を抜いている。Week1ではボットにガリオを置いて、ミッドのライズにキャリーさせるという大胆な作戦を取り、見事成功させた。
トップのApamen選手も好調なので、ボットサイドは安全なピックを用意し、マップの上半分でゲームメイクをするというのが、ここまでのチームの基本方針と言えるだろう。
課題を挙げるとすればミッドレーンにキャリーをさせるという構成上、ロングゲームに弱くなりやすいということだ。首位DFMに負けた試合を除いた残りの2敗は45分前後の超ロングゲーム。この時間帯になるとボットのマークスマンがしっかりとダメージを出さなければ勝つのが難しくなってくる。Keymaker選手はマークスマン以外にメイジも多くピックしているので、より終盤ダメージ負けしやすいのだ。
Keymaker選手にダメージディーラーとしての役割を持たせるようにするか、あるいはリーグ最長の平均試合時間を短くするためにゲームエンドへ向けてのテンポアップを行えるようにするか、どちらかの施策を取るべきだろう。
ミッドのDasher選手はパッチ9.2以前でもユーティリティ系のピックはほどんどなかったので、問題ないだろう。
ボットのKeymaker選手もエズリアルにボットメイジと、パッチ9.3メタ寄りのピックが主体なので、プール的な問題はなさそうだ。
今のメタにぴったり合致しているかというとそうでもないが、『LoL』のチームとして理想的な形のひとつだ。
ミッドのLuna選手の派手な活躍が目立つが、ボットのArt選手のパフォーマンスが素晴らしい。ヴェインやカイ=サといったお世辞にもレーンが強くないADCをメインにピックしながらも、ほとんどの試合でレーンでCSをリードできているというのは驚異的だ。
ジャングルのhachamecha選手は序盤ジャングリングでプレッシャーを受ける機会が多いが、レーナーの圧力を利用するのがうまく、気づくと相手のジャングルに対して優位を築いている。
Art選手のレイトゲームキャリー指向のピックでサポートのGrendel選手もピール系のピックが中心なこともあってか、中盤にリードを奪われた時にそのまま押しつぶされてしまうという展開に陥りがち。実際、逆転勝ちしたゲームはなく、先行逃げ切りが多いチームになっている。
ミッドのLuna選手は今までもキャリー系を中心にピックしていたのでそれほど問題はなさそう。
ボットのArt選手はややメタに合っていないものの、結果を出してきた今までのスタイルを貫くのか、あるいはアッシュやシヴィアのようなユーティリティ系に切り替えるのか、注目だ。
対面のミッドレーナー、ジャングルも1対1、2対2に強い組み合わせが多くなることが予想されるので、ジャングルがより序盤から影響力を発揮してLuna選手を育てることができるのか、その結果がチームの浮沈に直結しそうだ。
ピックの方針は一貫していて、ミッドのHollis選手にキャリー系チャンピオンを渡し、ジャングルのWyvern選手が積極的なジャングリングを行ってミッド周辺からマップを制圧していくというものだ。
その作戦に集中するため、トップのAlleycat選手やボットのscottlyk選手にはそれぞれ得意でかつ安全なチャンピオンを渡すという、シンプルなプランを採用している。実際Alleycat選手はアーゴットを6回、scottlyk選手はエズリアルを6回と、他のチームと比較しても見せているチャンピオンプールが極端に狭い。
こう聞くとUSGと似たチームに感じるが、RJはミッドとボットのダメージ占有率はほぼ同じと、バランスが取れている点が違いと言えるだろう。scottlyk選手はレーンでこそ不利を背負うことがあっても、終盤はしっかりとダメージディーラーとしての役割を果たしている。
Week4ではボットレーンでカーサスを運用するなど新しいカードを見せ始めたので、今後ミッド以外でゲームを動かすピックなども見せてくれるかもしれない。
問題はAlleycat選手とscottlyk選手だ。
Alleycat選手の場合、ここまで見せたチャンピオンすべてがナーフされてしまったことで、Week4までの安定していたレーニングに陰りが出ないかが不安。
scottlyk選手は相棒エズリアルが、OPチャンピオンのナーフによってバン候補になってしまった。
ただ両選手とも、ほとんど1チャンプだけで戦ってきているので、良くも悪くもパッチ9.3への対応力に関しては「未知数」といった感じだ。
その中でscottlyk選手がエズリアルを使えないときに、どれくらいのパフォーマンスを発揮できるのかが一番の鍵だろう。
彼がレーニングから影響力を発揮できるようになれば、自然とサポートのYuki選手もロームが行いやすくなり、よりHollis選手中心に試合が組み立てやすくなるはずだ。
ボットデュオののYutorimoyashi選手、Mocha選手は「LJL」でも1、2を争うキャリー力を持ったプレイヤーだが、ボットレーンだけで勝てるメタではないのがBCにとって一番の問題点。
ミッドのRoki選手、トップのcogcog選手のパフォーマンスがいまいち上がってこないなら、ジャングルのOnce選手にはオラフやリー・シンのような、もっと1対1で強いジャングラーをピックさせて積極的にレーンを補助するような動きを取らせてもよいのではないだろうか。
Week2以降勝てた試合はいずれも40分超のロングゲームと、Yutorimoyashi選手が活きる展開になったときのみなので、彼がキャリーできる時間までをどうしのぐのか。タワープレートやバロンが強力な効果を持っているメタなので、ゲーム時間20分頃、ゲーム中盤の集団戦で核となれるプレイヤーを見つけなければ上位浮上は難しいだろう。
ミッドのRoki選手はルブランやゾーイ、ヤスオといったトップメタのチャンピオンがプールにあるので、得意ピックで調子を取り戻していってほしいところ。
ボットのYutorimoyashi選手はトップメタのADC、エズリアルのパフォーマンスが低いのが心配(昨年も合わせると11試合中2勝9敗)。
チーム全体でドラフト面で対策をする必要がありそうだ。
非常に評価の高いRoki選手なので、対戦相手からのマークも厳しいだろうが、彼がダメージディーラーをピックしてキャリーするパターンを作れないと、ボットレーナーが育つ前の中盤で崩されて負けるというパターンから脱却できないだろう。
トップのPaz選手はここまでブラッドミアを中心に、フィオラやジェイスといったハイリスクハイリターンなピックを好んでいる。
逆にミッドのAce選手はアーゴットが最多でリサンドラ、ライズなどしっかりとしたCCをもったチャンピオンを中心に、ユーティリティ系のピックを行っている。
非常に個人技が高いチームで、レーニングフェーズでは上位チームとそん色ないプレーを見せる一方、中盤以降視界確保のシーンでミスをしてそこからズルズルとリードを奪われて敗戦というパターンが多く、チーム全体で視界の取り方やマップの取捨、リスク管理の部分がまだ共有できていないのかな、という印象を受ける。
勝っているときの決断力はよく、バロンなどにも積極的に触っていく方針はいまのメタにマッチしているので、チーム全体のミスを減らすことが上位を目指す上で欠かせない要素と言える。
ミッドのAce選手は少し心配。弱くなったプールのチャンピオンで、アサシンなどを相手にどれくらいレーンを安定させられるのかが課題で、ミッドが崩壊してしまうとジャングル、ひいてはサイドレーンの優位まで失うことになる。ジャングルのNeo選手を序盤から積極的に介入させる必要も出てくるだろう。
ボットのMasyo選手はLJLルーキーで、今シーズンもまだ1試合のみの登場。デビュー戦のカイ=サのパフォーマンスはまずまずだったので、ユーティリティ系のピックでどうなるかが楽しみだ。
Zerost選手はレーニングがうまいプレイヤーで、彼がロームするチャンスをつくっていたこともこの数字を出せた一因。メインのボットレーナ—をMasyo選手に切り替えていくなら、viviD選手がいままで通りロームすることができるのかにも注目だ。
チームへの貢献の一方で、ゲーム中盤にキャッチされてしまうことも今シーズンは多く見受けられる。これは彼一人の責任ではなくチーム全体での問題だが、視界確保のコールをメインで行っているのは、彼とジャングルのNeo選手だろう。
課題であるミスの減少という観点でも、彼はラウンド2のキーマンだ。
チームファイトではいいプレーを見せてくれるのだが、その前段階、レーニングで躓いてしまうことが多い印象だ。
ミッドのTaka選手は安全にレーニングをやり過ごすといったチャンピオンプールではないので、一度レーンで負けてしまったときのリカバリーに苦しんでいる。
ジャングルのSmile選手がスロースターター気味でゲーム序盤に存在感が希薄なことも、この現象に拍車をかけている。
ボットのOddugi選手のキャリー力はさすがで、ガンクを受ける機会が多いものの、終盤にはしっかりとダメージを出せているのは明るい材料。
サポートのRaina選手もルーキーながら、要所ではいいプレーが見られる。レーンで捕まるシーンを減らせるかが次のラウンドへ向けての課題か。
ミッド〜ジャングルのラインをピックや連携面から見直して安定させることができれば、持ち前の集団戦力を活かせる機会がもっと増えるはずだ。
ミッドのTaka選手は対面に当たりの強いチャンピオンが増えそうなパッチ9.3で安定したレーニングが行えるかどうか。プールは問題ないのでジャングルとの連携強化で乗り切っていきたい。
ボットのOddugi選手はここまで全ピックがマークスマン。このままのプールを続けると「ストームレイザー」が変更になった影響で活躍できる時間帯が遅くなってしまう。とはいえ彼がキャリーしなければ始まらないチームなので、このピックは維持しつつ他のレーンでゲーム中盤を支えていくしかないだろう。
ミッドのTaka選手やトップのReiya選手は、メタ的に今まで以上につらいレーニングを強いられそうで、早い時間からレーンを助ける動きが必須になるだろう。
レーンで大差をつけられなければ、集団戦はSmile選手をはじめ、Sengoku Gamingの選手はいずれも素晴らしいパフォーマンスを発揮できるので、最初の15分により重点を置いてプレイしてほしい。
レーン戦が苦しいのはある程度仕方ないにしても、自分たちがリードを取ったときゲームを組み立てていく動きが弱く、いたずらに試合時間を伸ばしてしまって逆転負けといったゲームもあった。
このアイテムができたら無理やりにでも集団戦をするとか、ミッドとトップだけに注力してスプリットだけで勝つとか、明確なプランを立ててそれを恐れずに実行することが勝ちを拾うためには必要だろう。
ボットのDay1選手、ThintoN選手のデュオはレーンを押される展開が多く、トップのUinyan選手がダメージディーラーをピックできるチームなので、トップサイドとボットサイドのジャングルを交換するような作戦も有効そうだ。
ミッドのGariaru選手は少ないゴールド量で高いダメージを出せる選手なので、彼にある程度犠牲になってもらってでも、トップレーンを中心にゲームを組み立てる展開を見てみたい。
ミッドのGariaru選手は今シーズン得意なユーティリティ系のピックだけでなく、ルブランのようなアサシンピックも見せている。こちらも対応力という意味ではそれほど問題なさそうだ。
ボットのDay1選手は最多ピックがシヴィアの4回。メタ上位のエズリアルに対してレーンでは優位を築けるチャンピオンだが、もう1枚くらいユーティリティ系の手札が欲しい。例えばアッシュなんてどうだろうか。
対面に来るチャンピオンも、ラウンド1のメタよりはファイター寄りになっていくはずなので、レーンで勝てたときのリターンも大きいものになる。トップにダメージディーラーを置くことができれば、Gariaru選手が得意のガリオをピックするなど、取れる作戦の幅がぐっと広がる。
Uinyan選手がAXIZの新たな武器になれれば、チームの最下位脱出も現実のものとなるはずだ。
首位のDetonation Focus Meをはじめ、上位3チームはまさにこの通りのチーム作りに成功していて、今後も安定した成績を残していけるだろう。
現在下位のチームは、順位を上げていくにあたって2つ目の強いレーンをどこに作り出すのか、そのためにどういった改革を行っていく必要があるのか、考えていくことになる。コーチングスタッフの手腕が問われるところだろう。
とはいえ、「LJL 2019」はまだ始まったばかり。
この1周目の評価が2周目を終える頃にどう変わっているのか、楽しみにしながらWeek5からのリーグを観戦していきたいと思う。
■関連リンク
リーグ・オブ・レジェンド
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LJL公式Twitchチャンネル
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2019年からはチームが6チームから8チームに拡大したことで、試合形式がBO3(2戦先取)からBO1(1戦先取)に、リーグ形式もダブルラウンドロビン(2回総当たり)からトリプルラウンドロビン(3回総当たり)へと変更になった。
本記事では、『LoL』解説者兼ブロガーとして活動しながら普段は初中級者向けにゲームの攻略情報を記事にしている私、あかさんが、競技シーンについて書いていこうと思う。今回は1ラウンド目、つまりすべてのマッチが1周したWeek4までの試合結果をもとに、各チームのここまでの戦いぶりや課題、パッチ変更による影響などについて書いてみたい。
パッチ9.3が各レーンに与える影響
まずはラウンド1が行われたパッチ9.1〜9.2から、Week5からの9.3以降のメタがどう変わっていきそうなのか、という点について解説していこう。ミッドレーンはより危険なレーンになった
パッチ9.3は、長く活躍してきたアーゴット、エイトロックス、サイオン、イレリア、アカリといったチャンピオンがいっせいに大幅なナーフを受けた。この影響を大きく受けたのはミッドレーンである。特にサイオンとアーゴットはユーティリティ系(ダメージを出すというよりはCCやグローバルスキルで味方をサポートする役目のこと)ミッドレーナーの代表格で、レーンで勝つ必要がないチャンピオンだっただけに、ミッドレーンに自信のないチームにとっては安心してピックできる存在だった。
これらはパッチ9.3以降もピックされ続けるだろうが、純粋なチャンピオンパワーという意味ではかなり下がっており、代わってキャリー系のミッドレーナーが頻繁にピックされるメタへと移り変わっていっている。
ゾーイやルブランといったチャンピオンが代表格だが、それらのハイリスクハイリターンのチャンピオンピックが増えることで、レーニングが強いミッドレーナーを擁するチームにとって有利なメタと言え、逆にレーニングを無難にやり過ごして集団戦でパフォーマンスを発揮するタイプのミッドレーナーを持つチームは、ドラフトを再考する必要も出てくるだろう。
ジャングルは序盤から戦えるチャンピオンかどうかが重要
このミッドレーンのピックの移り変わりの影響を受けるのがジャングルになる。ミッドレーンに「レーンで勝ちに行く」チャンピオンがピックされるようになると、それに合わせて序盤から強いチャンピオンを合わせてピックする必要が出てくるのだ。
セジュアニやザックといったタンク系や、カーサスのようなレベル6を目指すジャングラーは、序盤のミッドレーンが引き分けになりやすいメタならば、自分たちのパワースパイクを迎えるまでゆっくりファームをして、ゲームを進行することが容易だ。
しかし、パッチ9.3のようにミッドレーンに優劣がつきやすいメタになると、自軍のミッドレーンが負けたときにそのあおりを受けてファームする場所を奪われてしまう可能性が高い。
まったくピックできないというわけではないが、ミッドレーンで自分たちが有利なマッチアップを作った場合や、相手がユーティリティ系チャンピオンをピックしてきた場合でないと、安全にピックできなくなったと言えるだろう。
なので少数戦指向のファイター系ジャングルのリー・シンやオラフ、集団戦指向でもある程度序盤からダメージを出せるノクターンやジャーバンIVといったチャンピオンたちが、高い優先度でピックされるようになっている。
トップレーンもリスキーなファイターがピックしやすいメタ
ミッドレーンと同様の変化が現れているのが、トップレーンだ。こちらもアーゴットとエイトロックスという2018年の秋からずっとトップレーンに顔を出していた常連2チャンピオンがナーフを受けたことで、ハイリスクハイリターンなピックが採用されはじめた。具体的には新チャンピオンであるサイラス、フィオラやジェイス、ヨリックといったあたりだ。
彼らはガンクを受けて潰されたときにはまったく影響力を発揮できなくなってしまうという弱点があるものの、育てばトップレーンサイドから1人でゲームを破壊できるポテンシャルを持っている。
このため、パッチ9.2まではドラゴンを重視してミッド〜ボットレーン中心にプレイするジャングラーが多かったが、パッチ9.3以降はキャリー系のトップレーナーを育てるためにトップ〜ミッドレーン中心にジャングラーが活動するという選択肢も採れるようになった。
結果として、ボットレーンはガンクを受ける機会が相対的に減ったといえるだろう。
クリティカル系アイテムはバフされても、ボットのメタはあまり変わらない
パッチ9.3といえば、クリティカル系のアイテムが巻き戻しになり、ソロQなどではマークスマンが復活の兆しを見せている。しかし、競技シーンでは変わらずルシアン、エズリアルといった非クリティカル系のADCのピック/バンが多く、ボットメイジもまだまだ多くピックされている。これには主に2つの理由がある。
1つ目は、ミッドレーンにスノーボールできるチャンピオンが多くなった結果、クリティカル系のチャンピオンのコアアイテムが揃うまでにゲームの大勢が決してしまうことが多いから。
2つ目は、このメタで一番重要なミッドレーンを勝たせるためにサポートがロームを行いたい、そのためにボットレーナーにはリスクの少ないピックをさせたいからだ。
ここを詳しく解説していると記事が1本書けてしまうので割愛するが、ボットレーナーにはチャンピオンのユーティリティ性能を引き出す能力が、サポートプレイヤーにはローム能力が問われるメタになっている。
では、ここからは私なりの各チームの総評と、パッチ9.3以降で受けそうな影響、2ラウンド目へ向けてのキープレイヤーを各チーム1人ずつ挙げていこうと思う。
Detonation Focus Me(7勝0敗/1位)
ラウンド1総評
Detonation Focus Meはラウンド1全勝と、前評判通りの強さを見せている。各レーンの高い個人技もさることながら、自分たちのピックの強みや集団戦へ向けてのイメージが正しく共有されているな、という印象を受ける。ゲームを決めきるのに苦戦するチームが多い中、平均試合時間もLJL最短の31分7秒と、有利を作ったら早い時間でゲームを畳む、という今のメタに合致したプレイが行えている。
ゲーム序盤こそミスが見られるが、終盤にいくにつれミスが減っていくチームで、データで見ればDFMの被FB率は7試合中4試合と高めなのに対し、ゲームを決めるバロンが沸く20分時点でゴールドリードをされていたことは7試合中1試合しかない(その1試合も差はわずか1000gほど)。
ファーストブラッド献上率には、ジャングルのSteal選手が今季ファーム重視のプレイをしている影響もありそうだ。彼は15分段階で相手のジャングルとのCS差が平均7.6とほぼ2キャンプ分先行しているものの、ファーストブラッド関与率は28.6%にとどまっている。
これは決してSteal選手のパフォーマンスが低いというわけではなく、ジャングルの経験値減少などに伴ってプレイ方針を変えているだけなので、彼がしっかりファームをして相手ジャングルに対して先行している間に、レーナーはガンクを受けないように、敵ジャングルの位置取りを正確に把握&共有してリスク軽減していかなければならないということだ。
パッチ9.3への対応
ミッドはポーク系が得意なCeros選手、アサシンもプレイできるRamune選手とどちらも高いレベルのミッドレーナーを2枚擁していて隙がない。トップがキャリーできるメタというのは日本人最高レートのプレイヤー、Evi選手を活かせるシーンも多いということ。ボットレーンもブラッドミアやエズリアルを得意とするYutapon選手と、DFMにとってこのメタの変化は追い風でしかないだろう。ラウンド2のキープレイヤー:トップ Evi選手
様々なファイターをピック可能なこともあって、彼の個人技の高さをより生かせるメタになってきている。ファイターをピックすればその分ガンクを受けやすくもなるので、どれだけガンクをかわせるか、しつこくガンクを受けて潰された時にどれくらい存在感を発揮できるのかが全勝を守る鍵になりそうだ。Unsold Stuff Gaming(6勝3敗/2位)
ラウンド1総評
Unsold Stuff Gamingはスケジュールの関係で試合数が若干多く、Week4終了時点で9試合を消化している(1ラウンド目に限ると5-2)。このチームの特徴はなんといっても、ミッドのDasher選手にオールインしたような構成を好む点だろう。実際彼のダメージ占有率は37.3%(執筆時点での統計)と、LJL全チームの中でも群を抜いている。Week1ではボットにガリオを置いて、ミッドのライズにキャリーさせるという大胆な作戦を取り、見事成功させた。
トップのApamen選手も好調なので、ボットサイドは安全なピックを用意し、マップの上半分でゲームメイクをするというのが、ここまでのチームの基本方針と言えるだろう。
課題を挙げるとすればミッドレーンにキャリーをさせるという構成上、ロングゲームに弱くなりやすいということだ。首位DFMに負けた試合を除いた残りの2敗は45分前後の超ロングゲーム。この時間帯になるとボットのマークスマンがしっかりとダメージを出さなければ勝つのが難しくなってくる。Keymaker選手はマークスマン以外にメイジも多くピックしているので、より終盤ダメージ負けしやすいのだ。
Keymaker選手にダメージディーラーとしての役割を持たせるようにするか、あるいはリーグ最長の平均試合時間を短くするためにゲームエンドへ向けてのテンポアップを行えるようにするか、どちらかの施策を取るべきだろう。
パッチ9.3への対応
ラウンド1で好調だったApamen選手はアーゴット5回、エイトロックス3回、サイオン1回というピックだった。これらはすべてナーフを受けてしまったので、新しいカードを見せられるか、その時にどれだけのパフォーマンスが出せるかが注目点だ。ミッドのDasher選手はパッチ9.2以前でもユーティリティ系のピックはほどんどなかったので、問題ないだろう。
ボットのKeymaker選手もエズリアルにボットメイジと、パッチ9.3メタ寄りのピックが主体なので、プール的な問題はなさそうだ。
ラウンド2のキープレイヤー:サポート Enty選手
パッチ9.3のサポートはチーム構成に合わせてエンゲージ、キャッチ、ピール、ディスエンゲージと、様々な役割を求められることになる。今シーズンはボットレーンにはリスクのないピックを選ぶチーム方針もあって目立つ活躍が少ない彼だが、どれだけ存在感を発揮することができるのか、特に得意のエンゲージやキャッチが求められるシチュエーションで、チームの課題となっているゲーム時間短縮に貢献できるか、注目したい。Crest Gaming Act(5勝3敗/3位)
ラウンド1の総評
Creat Gaming Actは非常にバランスのとれたチームといっていいだろう。ミッドレーンがゲームをメイクし、ボットレーンがキャリーするという基本方針の元、ジャングルとサポートはそれをうまく補助できている。そしてトップレーナーは1対1に強い。今のメタにぴったり合致しているかというとそうでもないが、『LoL』のチームとして理想的な形のひとつだ。
ミッドのLuna選手の派手な活躍が目立つが、ボットのArt選手のパフォーマンスが素晴らしい。ヴェインやカイ=サといったお世辞にもレーンが強くないADCをメインにピックしながらも、ほとんどの試合でレーンでCSをリードできているというのは驚異的だ。
ジャングルのhachamecha選手は序盤ジャングリングでプレッシャーを受ける機会が多いが、レーナーの圧力を利用するのがうまく、気づくと相手のジャングルに対して優位を築いている。
Art選手のレイトゲームキャリー指向のピックでサポートのGrendel選手もピール系のピックが中心なこともあってか、中盤にリードを奪われた時にそのまま押しつぶされてしまうという展開に陥りがち。実際、逆転勝ちしたゲームはなく、先行逃げ切りが多いチームになっている。
パッチ9.3への対応
ミッド〜ボットサイドでキャリーするというチームの方針上、Nap選手はアーゴットやサイオンのピックが多かった。Week4ではサイラスを見せていたが、他のキャリー系のプールがどうなっているのかが気になるところだ。ミッドのLuna選手は今までもキャリー系を中心にピックしていたのでそれほど問題はなさそう。
ボットのArt選手はややメタに合っていないものの、結果を出してきた今までのスタイルを貫くのか、あるいはアッシュやシヴィアのようなユーティリティ系に切り替えるのか、注目だ。
ラウンド2のキープレイヤー:ジャングル hachamecha選手
ミッドレーンでテンポをつくって、ボットでキャリーするというCGAのこれまでのスタイルを、パッチ9.3以降も続けていくなら、今まで以上にジャングルとミッドレーンでのシナジーが重要になってくる。対面のミッドレーナー、ジャングルも1対1、2対2に強い組み合わせが多くなることが予想されるので、ジャングルがより序盤から影響力を発揮してLuna選手を育てることができるのか、その結果がチームの浮沈に直結しそうだ。
Rascal Jester(5勝4敗/4位)
ラウンド1の総評
Rasal Jesterも消化数が多く、Week4を終えて9試合プレイしている(ラウンド1に限ると3勝4敗)。ピックの方針は一貫していて、ミッドのHollis選手にキャリー系チャンピオンを渡し、ジャングルのWyvern選手が積極的なジャングリングを行ってミッド周辺からマップを制圧していくというものだ。
その作戦に集中するため、トップのAlleycat選手やボットのscottlyk選手にはそれぞれ得意でかつ安全なチャンピオンを渡すという、シンプルなプランを採用している。実際Alleycat選手はアーゴットを6回、scottlyk選手はエズリアルを6回と、他のチームと比較しても見せているチャンピオンプールが極端に狭い。
こう聞くとUSGと似たチームに感じるが、RJはミッドとボットのダメージ占有率はほぼ同じと、バランスが取れている点が違いと言えるだろう。scottlyk選手はレーンでこそ不利を背負うことがあっても、終盤はしっかりとダメージディーラーとしての役割を果たしている。
Week4ではボットレーンでカーサスを運用するなど新しいカードを見せ始めたので、今後ミッド以外でゲームを動かすピックなども見せてくれるかもしれない。
パッチ9.3への対応
Hollis選手は9試合で9種のチャンピオンをピックし、エイトロックス、リサンドラ以外の7チャンピオンはアサシンやファイター、DPS系とダメージが出るチャンピオンばかりをピックしている。パッチ9.3のメタにも問題なく順応できるだろう。問題はAlleycat選手とscottlyk選手だ。
Alleycat選手の場合、ここまで見せたチャンピオンすべてがナーフされてしまったことで、Week4までの安定していたレーニングに陰りが出ないかが不安。
scottlyk選手は相棒エズリアルが、OPチャンピオンのナーフによってバン候補になってしまった。
ただ両選手とも、ほとんど1チャンプだけで戦ってきているので、良くも悪くもパッチ9.3への対応力に関しては「未知数」といった感じだ。
ラウンド2のキープレイヤー:ボット scottlyk選手
RJが今の順位からさらに上を狙っていくうえで、やはりHollis選手、Wyvern選手のライン1本だけでは物足りない。トップかボットが勝てるレーンになることが重要だ。その中でscottlyk選手がエズリアルを使えないときに、どれくらいのパフォーマンスを発揮できるのかが一番の鍵だろう。
彼がレーニングから影響力を発揮できるようになれば、自然とサポートのYuki選手もロームが行いやすくなり、よりHollis選手中心に試合が組み立てやすくなるはずだ。
Buring Core(3勝4敗/5位)
ラウンド1の総評
Week1では首位DFMをあと1歩というところまで追い詰め、今シーズンの躍進を期待されたBurning Coreだったが、Week2以降は苦しみ、結果ラウンド1を負け越しで終えることになってしまった。病欠といったアクシデントもあったとはいえ、チーム状態の方にも原因はあるだろう。ボットデュオののYutorimoyashi選手、Mocha選手は「LJL」でも1、2を争うキャリー力を持ったプレイヤーだが、ボットレーンだけで勝てるメタではないのがBCにとって一番の問題点。
ミッドのRoki選手、トップのcogcog選手のパフォーマンスがいまいち上がってこないなら、ジャングルのOnce選手にはオラフやリー・シンのような、もっと1対1で強いジャングラーをピックさせて積極的にレーンを補助するような動きを取らせてもよいのではないだろうか。
Week2以降勝てた試合はいずれも40分超のロングゲームと、Yutorimoyashi選手が活きる展開になったときのみなので、彼がキャリーできる時間までをどうしのぐのか。タワープレートやバロンが強力な効果を持っているメタなので、ゲーム時間20分頃、ゲーム中盤の集団戦で核となれるプレイヤーを見つけなければ上位浮上は難しいだろう。
パッチ9.3への対応
トップのcogcog選手はリヴェン使いとして有名で、元来ファイターが得意なプレイヤー。これまではタンクやユーティリティ系のピックが多かったが、チーム方針を切り替えてトップにリスクのあるチャンピオンをピックしてくれば、活躍する可能性も大いにありそう。ミッドのRoki選手はルブランやゾーイ、ヤスオといったトップメタのチャンピオンがプールにあるので、得意ピックで調子を取り戻していってほしいところ。
ボットのYutorimoyashi選手はトップメタのADC、エズリアルのパフォーマンスが低いのが心配(昨年も合わせると11試合中2勝9敗)。
チーム全体でドラフト面で対策をする必要がありそうだ。
ラウンド2のキープレイヤー:ミッド Roki選手
Burning Coreは強いボットデュオを持っているので、ミッドレーナーのパフォーマンスが上がれば、ボットからのミッドへのローム、ミッドからボットへのタワーダイブとスノーボールを狙っていきやすくなる。非常に評価の高いRoki選手なので、対戦相手からのマークも厳しいだろうが、彼がダメージディーラーをピックしてキャリーするパターンを作れないと、ボットレーナーが育つ前の中盤で崩されて負けるというパターンから脱却できないだろう。
V3 Esports(2勝5敗/6位)
ラウンド1の総評
V3 Esportsは「LJL」ではやや珍しい、トップレーンにダメージディーラーを置く構成を好むチームだ。トップのPaz選手はここまでブラッドミアを中心に、フィオラやジェイスといったハイリスクハイリターンなピックを好んでいる。
逆にミッドのAce選手はアーゴットが最多でリサンドラ、ライズなどしっかりとしたCCをもったチャンピオンを中心に、ユーティリティ系のピックを行っている。
非常に個人技が高いチームで、レーニングフェーズでは上位チームとそん色ないプレーを見せる一方、中盤以降視界確保のシーンでミスをしてそこからズルズルとリードを奪われて敗戦というパターンが多く、チーム全体で視界の取り方やマップの取捨、リスク管理の部分がまだ共有できていないのかな、という印象を受ける。
勝っているときの決断力はよく、バロンなどにも積極的に触っていく方針はいまのメタにマッチしているので、チーム全体のミスを減らすことが上位を目指す上で欠かせない要素と言える。
パッチ9.3への対応
トップのPaz選手は変わらずファイター系をピックし続けていくだろうし、アーゴットやサイオンが弱体化した今、さらなる存在感を発揮できるはず。ミッドのAce選手は少し心配。弱くなったプールのチャンピオンで、アサシンなどを相手にどれくらいレーンを安定させられるのかが課題で、ミッドが崩壊してしまうとジャングル、ひいてはサイドレーンの優位まで失うことになる。ジャングルのNeo選手を序盤から積極的に介入させる必要も出てくるだろう。
ボットのMasyo選手はLJLルーキーで、今シーズンもまだ1試合のみの登場。デビュー戦のカイ=サのパフォーマンスはまずまずだったので、ユーティリティ系のピックでどうなるかが楽しみだ。
ラウンド2のキープレイヤー:サポート viviD選手
ここまでキル関与率は試合数の少ないMasyo選手を除けばチーム1位。Zerost選手はレーニングがうまいプレイヤーで、彼がロームするチャンスをつくっていたこともこの数字を出せた一因。メインのボットレーナ—をMasyo選手に切り替えていくなら、viviD選手がいままで通りロームすることができるのかにも注目だ。
チームへの貢献の一方で、ゲーム中盤にキャッチされてしまうことも今シーズンは多く見受けられる。これは彼一人の責任ではなくチーム全体での問題だが、視界確保のコールをメインで行っているのは、彼とジャングルのNeo選手だろう。
課題であるミスの減少という観点でも、彼はラウンド2のキーマンだ。
Sengoku Gaming(2-5 7位)
ラウンド1総評
Week1でLJL初参戦同士の対決となったAXIZ戦で見事勝利をおさめ、幸先の良い滑り出しを見せたSengoku Gamingだが、Week2以降はLJLの「洗礼」に合っている。チームファイトではいいプレーを見せてくれるのだが、その前段階、レーニングで躓いてしまうことが多い印象だ。
ミッドのTaka選手は安全にレーニングをやり過ごすといったチャンピオンプールではないので、一度レーンで負けてしまったときのリカバリーに苦しんでいる。
ジャングルのSmile選手がスロースターター気味でゲーム序盤に存在感が希薄なことも、この現象に拍車をかけている。
ボットのOddugi選手のキャリー力はさすがで、ガンクを受ける機会が多いものの、終盤にはしっかりとダメージを出せているのは明るい材料。
サポートのRaina選手もルーキーながら、要所ではいいプレーが見られる。レーンで捕まるシーンを減らせるかが次のラウンドへ向けての課題か。
ミッド〜ジャングルのラインをピックや連携面から見直して安定させることができれば、持ち前の集団戦力を活かせる機会がもっと増えるはずだ。
パッチ9.3への対応
トップのReiya選手は7試合中6試合がエイトロックスとアーゴット。今回のナーフの影響をもろに受けるので、今後どんなピックを用意してくるか、あるいは続投したときにファイター相手にどれだけレーンをしのげるかが気がかり。ミッドのTaka選手は対面に当たりの強いチャンピオンが増えそうなパッチ9.3で安定したレーニングが行えるかどうか。プールは問題ないのでジャングルとの連携強化で乗り切っていきたい。
ボットのOddugi選手はここまで全ピックがマークスマン。このままのプールを続けると「ストームレイザー」が変更になった影響で活躍できる時間帯が遅くなってしまう。とはいえ彼がキャリーしなければ始まらないチームなので、このピックは維持しつつ他のレーンでゲーム中盤を支えていくしかないだろう。
ラウンド2のキープレイヤー:ジャングル Smile選手
Smile選手は、V3時代から中盤以降に活躍するスロースターターな選手だったが、高速化しているシーズン9のメタではよほどレーナーが強くない限り成立しないプレイスタイルになってしまった。ミッドのTaka選手やトップのReiya選手は、メタ的に今まで以上につらいレーニングを強いられそうで、早い時間からレーンを助ける動きが必須になるだろう。
レーンで大差をつけられなければ、集団戦はSmile選手をはじめ、Sengoku Gamingの選手はいずれも素晴らしいパフォーマンスを発揮できるので、最初の15分により重点を置いてプレイしてほしい。
AXIZ(1勝7敗/8位)
ラウンド1の総評
新規参加チーム、ロースターが全員日本人、昨シーズンまで「LJL」でキャスターをしていたDay1選手がプレイヤーとして復帰と話題に事欠かなかったAXIZだが、ラウンド1は1勝のみという結果に。レーン戦が苦しいのはある程度仕方ないにしても、自分たちがリードを取ったときゲームを組み立てていく動きが弱く、いたずらに試合時間を伸ばしてしまって逆転負けといったゲームもあった。
このアイテムができたら無理やりにでも集団戦をするとか、ミッドとトップだけに注力してスプリットだけで勝つとか、明確なプランを立ててそれを恐れずに実行することが勝ちを拾うためには必要だろう。
ボットのDay1選手、ThintoN選手のデュオはレーンを押される展開が多く、トップのUinyan選手がダメージディーラーをピックできるチームなので、トップサイドとボットサイドのジャングルを交換するような作戦も有効そうだ。
ミッドのGariaru選手は少ないゴールド量で高いダメージを出せる選手なので、彼にある程度犠牲になってもらってでも、トップレーンを中心にゲームを組み立てる展開を見てみたい。
パッチ9.3への対応
トップのUinyan選手はここまでもクレッドやケネンなど、ダメージの出せるチャンピオンを多数ピックしているので問題ないだろう。ミッドのGariaru選手は今シーズン得意なユーティリティ系のピックだけでなく、ルブランのようなアサシンピックも見せている。こちらも対応力という意味ではそれほど問題なさそうだ。
ボットのDay1選手は最多ピックがシヴィアの4回。メタ上位のエズリアルに対してレーンでは優位を築けるチャンピオンだが、もう1枚くらいユーティリティ系の手札が欲しい。例えばアッシュなんてどうだろうか。
ラウンド2のキープレイヤー:トップ Uinyan選手
ルーキーながらここまで健闘しているUinyan選手。チームの信頼を得られてきたいまこそ、積極的にキャリー系のチャンピオンをピックしていってほしいところだ。対面に来るチャンピオンも、ラウンド1のメタよりはファイター寄りになっていくはずなので、レーンで勝てたときのリターンも大きいものになる。トップにダメージディーラーを置くことができれば、Gariaru選手が得意のガリオをピックするなど、取れる作戦の幅がぐっと広がる。
Uinyan選手がAXIZの新たな武器になれれば、チームの最下位脱出も現実のものとなるはずだ。
まとめ
「2つの強いレーン、1つの安全なレーン」というのが、シーズン9のメタにおける重要なキーワードになっている。首位のDetonation Focus Meをはじめ、上位3チームはまさにこの通りのチーム作りに成功していて、今後も安定した成績を残していけるだろう。
現在下位のチームは、順位を上げていくにあたって2つ目の強いレーンをどこに作り出すのか、そのためにどういった改革を行っていく必要があるのか、考えていくことになる。コーチングスタッフの手腕が問われるところだろう。
とはいえ、「LJL 2019」はまだ始まったばかり。
この1周目の評価が2周目を終える頃にどう変わっているのか、楽しみにしながらWeek5からのリーグを観戦していきたいと思う。
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