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「LJL 2019 Spring Split」FINAL現地レポート&DFM優勝直後ショートインタビュー

2019年の『リーグ・オブ・レジェンド』の日本公式リーグ「リーグ・オブ・レジェンド ジャパンリーグ」、通称「LJL 2019 Spring Split」のファイナル(決勝戦)が、4月13日(土)、よしもと∞ホールにて開催された。

ファイナルの舞台にたどり着いたのは、DetonatioN FocusMe(DFM)とUnsold Stuff Gaming(USG)。2018年のSummer Split FINALと同じ対戦カードで、USGにとってはリベンジマッチだが、両チームともメンバーの入れ替えがあり、当時とは異なるメンバーでの対戦だ。

リーグ中の戦績を振り返れば、Sengoku Gamingに一度敗北しただけのDetonatioN FocusMeが春シーズンを圧倒した印象は強い。サポートにGaeng選手を迎え、ミッドはCeros選手とRamune選手のふたりを相手や試合によって入れ替えるという盤石の体制を築き上げ、この決勝戦ではCeros選手がスターターに名を連ねた。

▲DetonatioN FocusMeのスターター

一方のUnsold Stuff Gamingは、リーグ3位からセミファイナル(準決勝)で2位のCrest Gaming Actを下しての決勝進出。トップのapaMen選手、ジャングルのTussle選手、サポートのEnty選手がチームを固めつつ、ミッドにDasher選手、ボットにkeymaker選手という実力者を新たに起用し、よりアグレッシブなチームに生まれ変わっている。

▲Unsold Stuff Gamingのスターター

主催者によれば、決勝戦のチケットは通常の座席に加えて立ち見席分まで発売されたが、瞬く間に完売したとのこと。両チームのユニフォームを着たファンも多く、試合開始時には互いの掛け声合戦でファンの応援合戦も最高潮。ロビーには選手へのプレゼントも多数届けられ、工夫をこらした応援パネルも多数見られた。世界への切符をかけたファイナルを観戦、応援ともに楽しもうというファンの思いが感じられた。

▲会場の盛り上がりは最高潮! 上段の立ち見席まで含めて、超満員の中での勝負となった。ちなみに、Twitchの総視聴者数は1万5000以上となった

USGがDFMの牙城に挑んだBO5

Spring Splitの成績的には、DFMはUSGに一度も破れていない。しかしそれは、1日1試合のみのBO1方式だからこそ。決勝戦は3戦先取のBO5であり、ゲームごとに戦略を変えることができる。

そんな中でスタートしたゲーム1は、DFMがいつものように集団戦でUSGに圧をかけていく展開に。Evi選手のサイラス、Ceros選手のリサンドラに加え、流行のプレスアタックを持つミス・フォーチュンに、タム・ケンチのサポート、そしてSteal選手のキンドレッドが要所で大ダメージを刻みつける。特にGaeng選手のタム・ケンチが、集団戦でも味方の救出でも「船旅」の機動力を最大限に発揮。結局タワーを1本も落とさず、じっくりビルドを育てる余裕さえ見せて完勝を果たす。

続くゲーム2では、USGが低レベルの序盤から優位を取ろうと早めの仕掛けを敢行。DFMもうまくいなすが、同効果のアルティメットを重ねるなどのミスもありUSGが善戦する。しかし、後半になってくるとDFMが強さを発揮し、くやしい2敗目を喫してしまった。

あとがないUSGだが、ゲーム3で戦略を切り替えてきた。サイラス、ケイル、タム・ケンチ、キンドレッドといった苦しめられたチャンピオンをバンし、Dasher選手のイレリア、Enty選手のパイクといった攻撃的な得意チャンピオンをピックしたのだ。一方のDFMはバンも大きくは変えず、安定的に戦える得意チャンピオンをピックしていく。

このゲーム3でのUSGの動きは明らかに変わった。ボットサイドの青バフを取りに来たSteal選手をファーストブラッドすると、Enty選手がパイクの機動力とインビジブル能力を生かして各レーンにロームしながら影響力を発揮し、これまでの悪い流れを一掃する動きを見せる。

また、集団戦の裏ではapaMen選手がバックドアでタワーを狙うなど、的を絞らせないフレキシブルな動きを見せ、勝利まであとわずか……というところまで迫った。

最終的には、互いのネクサスタワーにミニオンがたどりつく状況にまで迫りながらもDFMがUSGを下し、3連勝でSpring Split優勝を成し遂げた。

USGにとっては昨年のSummer Splitのリベンジマッチだったが、あと一歩のところでまたしてもDFMには届かなかった。しかしこの敗戦が、USGをさらに強くしてくれるはずだ。昨年もそうだったように、USGは敗戦を受けて大きく成長を遂げて来た。Summer Splitではさらに強いチームになって、DFMに迫ってくれるだろう。

そしてDFMは、「LJL 2019 Spring Split」の優勝とともにシーズン優勝賞金1000万円を獲得。さらに、世界各地のSpring Splitを制したチームが一堂に会する「Mid Season Invitational」(MSI)への出場を確定させた。

ここからDFMは、いちプロチームであると同時に、「LJL」を代表するチームとして世界に挑むことになる。新たなリーグ方式、試合会場など一新された2019年の「LJL」日本代表として、世界にその実力を見せつけてほしい!

名残惜しい、春最後のファンミ

優勝の余韻冷めやらぬよしもと∞ホールで、「LJL 2019 Spring Split」の優勝トロフィーを掲げるDFM。会場に居合わせたファンたちもその勇姿を写真に収めたり、選手に声をかけたりして栄誉を讃えた。


さらに、シーズン中と同様に、DFMだけでなくUSGもファンミーティングを実施。悔しさが残るUSGの選手たちもサインや記念撮影に応じ、我が事のように涙するファンも多くいた。


Spring Split全体で見れば、2部リーグに当たる「LJL CS」がなくなり、全8チームによるBO1方式でのリーグ戦へと変化するなかでも、DFMの圧倒的な強さ健在といった印象に終わった。

しかし、LJL革新の年はまだ始まったばかり。Summer Splitまでには各チームで戦略の練り直しやさらなる練習により、各チームが研鑽を積んでくるはずだ。パッチの変化によってもこれまで通用した戦術がガラっと変わるかもしれない。それが『LoL』の厳しさでもあり、ファンにとってはある種の面白さでもある。

今は、日本代表となったDFMの「MSI」での活躍に期待しよう!

DetonatioN FocusMe 決勝後ショートインタビュー

最後に、DFMの各選手にショートインタビューを行うことができた。長時間にわたる試合とファンサービスのあとで選手たちも疲労困憊の中、疲れを見せずに質問に答えていただいた。

すでに各選手のTwitterや動画配信などで、それぞれの思いも語られているが、優勝の余韻冷めやらぬ選手たちの声を、ぜひファンのみなさんにもお聞きいただきたい。


Evi選手「俺たちの戦いはこれからだ!」

(春シーズンでサイラスなどの新しいチャンピオンが増えたことに触れて)僕的には新しいチャンピオンを触るのがすごく好きなんですよ。やっぱり新しいチャンピオンって、全員平等で誰も知らないじゃないですか。だからこそ、自分が最初に触ったらそこで一歩先に行けるというのがわかっているので。

その中でもサイラスはすごく楽しくて、ダメージもそこそこあるし、回復もあるし、逃げ性能もあるしで、僕、なかなか死なないチャンピオンというのが好きだし得意だと思っていて、サイラスはすごく僕にマッチしていると思いますね。

(ゲーム2でピックした)ケイルもめちゃくちゃ好きです。自信もあったんですよ。実は1試合目でも出そうと思っていたんですけど、さすがにサイラスの方が優先度が上かなと思っていたので、2試合目は「もうサイラスやりたくない!」と、バンしてほしいと思っていました(笑)。サイラスはパッチも変わって現行パッチ(9.7)と大会のパッチ(9.6)も違ったりして練習できなかったんですけど、ケイルとかアカリとかブラッドミアとかも練習していたので、そっちをやりたいと思っていました。

「MSI」に向けては、この優勝は僕たちにとってのいわゆる……なんだろう……少年ジャンプ風に言うと……(しばらく考えて)そう!「俺たちの戦いはこれからだ!」ということで!

Steal選手「MSIのメインステージに行くのが目標!」

このシーズンが始まる時から、決勝は優勝して、やっぱり「MSI」のメインステージまで行くのを目標としてきました。

頑張って(MSIでも)結果が出せるように努力していきますので、応援よろしくお願いします!

Ceros選手「WCSのリベンジ! 昨年とは違う意味での『挑戦』になる」

(ハイマーなどではなくリサンドラのピックが増えていることについては)正直なところリサンドラはOPチャンピオンなので、メタとして強いので使うしかない、という感じです。といっても、3年前くらいに流行って廃れて、最近また流行っているチャンピオンなので、昔の経験もあって割と使える方ですね。

リサンドラのパッシブの変更については、最初はめっちゃ弱くなったと思っていたんですよ。でも、マナが足りない分ビルドを変えて流行り出してからあらためて考えてみると、かなり強くなったなと思います。「アフターショック」もそうですけど、後から考えると大きなバフだったのかなとも思えて、それが流行った要因だと思いますね。

見ているファンのみなさんのイメージもあるかもしれませんが、僕自身はもともとメタとメタじゃないチャンピオンを分けて考えているわけではなくて、自分が使って強いチャンピオンを選んでいるだけなので、それが選ばれるか選ばれないか、というだけなんです。

「MSI」に関しては、昨年の「WCS」のリベンジという気持ちがやっぱり僕らの中では大きいので、昨年悔しい思いをしたものを取り戻すというか、あらためて昨年とは少し違う意味での挑戦になるのかなと思いますので、頑張りたいですね。

Ramune選手「全員で力を合わせて」

Spring Splitは合計で7試合くらい出られたのですが、僕とCeros選手のどちらが出るかはチームが決めてから練習を始めていたので、事前に試合に出られることはわかってはいました。それでも最初は不安とかたくさんあったんですけど、出場できてそれが少なくなったなという感じがしますね。

「MSI」は相手が強いと思うので、僕もそうですが、全員で力を合わせて今まで以上に成績を出せるように頑張りたいと思います。

Yutapon選手「1戦負けたことで気合を入れ直せた」

(決勝でのミス・フォーチュンのピックについて)結構僕色々触るんですけど、MFが感触がよかったんですが、他の地域で一切使われないのでなにか弱みがあるのかなと思って、結構やったんですけど弱みが正直そんなに見つからなくて、じゃあ普通にやろうよって感じでやって、実際強かったと思います。

春シーズンを通してもいい感じにやれて、1戦負けてちょうどそこで気合を入れ直してやるぞってことで、いい感じで調子を保ってやれたんじゃないかと思っていますね。

MSI、本当に全部の国の1位ってことで強敵ぞろいなんですけど、WCSの時みたいに少しでも勝てたらと思っていますので、応援よろしくお願いします!

Gaeng選手「MSIでは誰が来ても勝てる自信があります!」

今年からDFMにチームを移籍して、対面の相手も変わりました。昨年はボットに韓国人選手が多かったので、レーン戦とかが簡単ではないという印象がありました。今シーズンは日本人のボットと戦うことが多くなりましたが、日本人プレイヤーが弱いということではなく、比較的自信を持ってプレイできるようになれた気がします。

DFMはやっぱりチームのメンバーがすごく強いので、このチームでは自分が自分の仕事をうまくできればいいんだ、という感じですね。ひとりひとりが本当にフィジカルがすごくうまいんです。だから、レーン戦も強いし、集団戦も強い、という感じがします。

集団戦の時には例えば、集団戦の相手がDasher選手だとしたら、彼はすごくうまい選手なので集団戦に入る前に「Dasherに集中していこう!」といったことを話しています。その辺はこれまでのチームとはちょっと違うかもしれません。

「MSI」では誰が相手に来ても勝てると思いますし、勝てる自信もあります。頑張りますので、応援よろしくお願いします!

写真:Takanori Yoshida

■関連リンク
LJL
https://jp.lolesports.com/
DetonatioN FocusMe - League of Legends Japan League
https://jp.lolesports.com/teams/dfm
Unsold Stuff Gaming - League of Legends Japan League
https://jp.lolesports.com/teams/usg
【レポート】『リーグ・オブ・レジェンド』日本リーグ「LJL 2019 Spring Split」

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