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【2019年夏版】“ゲーミングPC選びのポイント”を、ALIENWARE STORE AKIBAで聞いてみた!
目次
憧れのeスポーツ選手と同じゲームを遊びたい、高精細なグラフィックでプレイしたい、勝つために圧倒的な性能のマシンを手に入れたい、ゲーム以外にも動画編集やストリーミング配信などにバリバリ活用したい──パソコンのニーズはさまざまだ。そのなかで、PCゲーム、中でもeスポーツタイトルを遊ぶユーザーが共通して求めているのは、「ストレスなく、快適で、可能な限り高画質で、勝利に結びつけられるゲーミング体験」だろう。
だが、いざゲーミングPCを選ぼうと思ってもそれがなかなか難しい。PC自体に興味がある人はいいが、多くのPCゲーマーは“ゲームを快適に遊びたい”のであって、“PCに関する知識を身に付けたい”わけではないからだ。
今回は、そんなPCゲーマーの読者に「後悔しないゲーミングPCの選び方」をご紹介したいと思う。ゲーミングPC選びのポイントを教えてくれるのは、デル/ALIENWAREのゲーミングPCの知識にかけては日本一であろう、ALIENWARE STORE AKIBAの中村店長だ。
では、なぜわざわざ一般的なPCとは別に、ゲーミングPCが存在するのか。
1. PCゲームのプレイに必要な性能を持ったパーツを搭載している
一般のPCよりも高性能なCPUやGPU、電源ユニット、メモリー、高速なネットワーク機能、リフレッシュレートの高いモニターなどを搭載することで、負荷のかかるPCゲームを快適にプレイ可能にしている。いわゆるスペック表の数値を見ただけでわかる、非常にわかりやすい指標だ。
2. 本体やキーボードを光らせるギミックを搭載している
ライティングなどのカスタマイズにより、個性を際立たせたり気分を高揚させたりする機能。レジャーの要素が強いゲームという用途だからこそ、こういった遊び心もセレクトのポイントになる。
3. PCゲームを快適にプレイできる構造や冷却機構を有している
ゲームの動作環境を満たしている時点でOKと考えてしまうユーザーは多いが、実はこの冷却機構こそが、ゲーミングPCを長時間、長期間、トラブルなく遊ぶために大事な項目になっている。
もちろん、一般的なPCでもゲームの動作スペックを満たしている機種や、ゲーム側が要求するスペックがそれほど高くない、もしくはグラフィック設定などを低くすることでプレイできる機種はある。世界中で遊ばれているeスポーツタイトルがPCメインであり、爆発的に広がっている理由は、手元にあるロースペックなPCでも気軽に遊べるという環境があったからだ。
ただし、負荷がかかり続け、熱を持ち続ける低スペックなPCでゲームを遊んでいると、確実にPCの劣化は進んでいく。こだわってゲームをプレイしたいのであれば、やはり適切なスペックを備えたゲーミングPCの方が安心だ。
では、具体的にどのようにゲーミングPCの良し悪しを選べばいいのか。ここからは主要なパーツについて見ていこう。
GPUは、画面に表示される画像/映像の計算を行うための装置だ。NVIDIAとAMDという2大メーカーに加え、CPUなどを手がけるインテルもオンボードタイプ(いわゆる独立したGPUではないモデル)のGPUを開発している(今回はALIENWAREに搭載されているNVIDIA GeForceシリーズを例に説明していく)。
NVIDIAのGPUには、GTXシリーズとRTXシリーズがあり、2019年時点では併売されている。一言で言えば、GTXシリーズは定番のゲーム向けGPUであり、現在も十分に現役として活躍できるスペックを備えている。一方、RTXシリーズの方は純粋に世代が新しいことと、「レイトレーシング」に対応しているなど機能面での付加価値がある。それゆえにRTXシリーズは価格もかなり高額だ。
GTXは1000番台、RTXは2000番台となっているが、これはもそのまま数値が高い方が高性能とみなしていい。GTXシリーズには最近、従来の「GTX 10xx」シリーズの後継モデルとして、「GTX 16xx」というシリーズが追加されたが、こちらも10xxより16xxの方が新しく、性能も向上している。また、下2桁は「1050」「1060」「1070」「1080」といった番号になっているが、これも数値が大きい方が高性能だ。
PCゲームにはxx60以上、VRゲームにはxx70以上
では、ゲーミングPCのGPUの選択基準だが、中村店長によれば、「RTX/GTXを問わず『xx60』以上を選んでおけば、クオリティの違いこそあれ、その時点でeスポーツなどで採用されているほとんどのゲームはプレイ可能と考えていい」という。
PCゲームはどんどん高画質化され、より高性能なマシンが求められてはいるが、リリースするたびに最新のGPUでなければ遊べないとなるとユーザーの間口が狭くなってしまう。そのため、ゲームメーカーとしてもコストとのバランスを考えて、その時のトレンドの「xx60」番台をメインに開発している。よりレスポンスを高めたいなら「xx70」、そして最高のグラフィック設定や最新の機能を使って遊びたいなら「xx80」といった感じで選ぶといい。
なお、VRゲームを遊びたい場合、「xx60」でも動作はするものの、「xx70」以上でなければ利用できない機能があるため、「xx70」以上を選んでおけば長い目でみても安心だ。中村店長いわく、「VRだけに関して言えば『RTX 2060』よりも『GTX 1070』の方がオススメの場合もあります」とのことだ。
ちなみに、「xx50」シリーズがダメということはないのだが、どうしても一段スペックは低めになる。デルのゲーミングPCでいえば「デルGシリーズ」にしか搭載されていないことからも、ゲーミングPC入門者や、オンボードよりは独立したGPUの方がいいといったライト層に向けた製品だ。画像編集や動画編集なども試してみたいという人や、基本は業務メインでPCゲームも少し遊んでみる程度でいいという人には、「xx50」シリーズはコストパフォーマンス的にも最適だろう。
もうひとつ、安めのゲーミングPCを購入して、高性能なGPUを後から追加すればいいと考える人もいるが、たとえGPUスロットが適合していても、高性能なグラフィックスカードだと動作にあたって電源が足りなくなる場合があり、なんでも搭載/動作できるというわけではない点に注意。たとえばデルのXPSシリーズに「RTX 2080」はワット数の関係で搭載できないのだ。何を搭載できるのかは、ECサイトで購入する際に選択可能なパーツまでは問題なく搭載できる、と考えるといいだろう。
CPUの性能は、数値が高いほど、世代が新しいほど、高性能と考えていい。
「Intel Core i7 8700 3.5GHz」を例にすると、
・Core i3<i5<i7<i9の順で性能が上がる反面、消費電力なども上がる
・4桁の数字が大きいほど高性能。また、1000の位が世代を表しており「8700」なら第8世代、「9700」なら第9世代
・4桁の数字の後ろの記号が付加機能を表す
・クロック周波数が大きいほど性能が高い。ただし、新しい世代の方が全体的に高性能
といったかたちだ。
特に、現在のALIENWAREにおいてはクロック周波数などよりも世代による差が大きく、第8世代から第9世代へにかけて、処理性能が10%程度も向上している。
注目すべきは「2次キャッシュ」と「コア数」だ。2次キャッシュはCPU演算処理時に使用されるメモリー領域で、大きいほど処理に余裕が生まれる。「コア数」はCPUを同時に処理する頭脳の数を表しており、CPUの数と言い換えてもいい。これらの組み合わせによりCPUのスペックが見えてくる。
Core i7以上&8000番台以上は欲しい。動画配信するならさらに高スペックを
現行のALIENWAREに搭載されているCPUは、大きく分けて8000番台の第8世代と、9000番台の第9世代がある。世代的には第7世代から第8世代にかけて大幅なバージョンアップが行われており、当然世代が新しいほどいい。最近はGPUの性能側ばかりが注目されがちだが、「いくらGPUの性能が高くても、生成するデータ量が大きくなると、せっかくGPUで処理したデータをCPUが捌ききれなくなってしまうんです」と中村店長。Core i7の8000番台以上であれば最近のゲームのプレイには不満はないだろう。
そのうえで、もし動画配信などを行いたい場合は、Core i7以上でできるだけ高性能なCPUを選びたい。ストリーミングは長時間負荷をかけ続けるため、デスクトップであれば水冷ユニットがあるとベストだ。動画配信で使われる撮影映像のリアルタイムエンコードには、CPUの性能が求められるため、発生する熱量も通常のゲーム中とはケタ違い。リッチなGPUを搭載したプレイ用マシンと、高性能CPUを搭載した配信用マシンの2台体制でいけるのなら、配信用マシンはCPUだけ高性能にすれば十分だ。
ALIENWAREシリーズの標準搭載メモリー容量は、8GB、16GB、32GBなどがあるが、選択基準としては後からユーザーが追加・交換可能かという点。自分で交換できるモデル&ユーザーであれば、ECサイトでの注文と自分で交換する場合のコストを比較して考えればいい。
容量としては、Windows 10自体が占有するメモリーに加えてPCゲームのメモリーが必要となるため、余裕を持つ意味でもPCゲームを遊ぶなら最低でも16GB以上は欲しいところだ。32GBまであれば当面困ることはないだろう。
なお、最新モデルの第2世代ALIENWARE m15/m17のように、メモリー自体がマザーボードに搭載されており、後から追加・交換ができないモデルもある。増設や交換が可能かどうかは、最初にゲーミングPCを購入する時点でしっかり調べておきたい。
ゲームを遊ぶうえでは、データの読み出し速度を高めることで、マップ表示やリッチな画面表示の速度を上げることが肝心だ。そのため、可能な限り高速なストレージを搭載し、そこにメインで遊ぶゲームプログラムをインストールするといい。あまり遊ばないゲームや、それほどスピードを問われないRPG、動作環境スペックが低いゲームは別のボリュームに保存するといいだろう。
ストレージにも様々な種類があるが、基本的にはHDD→SSD→M.2 SSDという順に読み込み速度が早くなっていく。逆に、容量あたりの価格はHDDが最も安くM.2 SSDが圧倒的に高い。ALIENWAREでは、ノートマシンは容量の少ないM.2 SSDが、デスクトップマシンは7200rpmのHDDが標準で搭載されているので、予算との兼ね合いでできる限り大容量で高速なストレージを選ぼう。
ここからは、ALIENWAREの特徴や独自性についてご紹介しよう。その理由を理解すれば、必ずしも手頃な価格のゲーミングPCがコストパフォーマンスがいいとは限らないということがわかるはずだ。
ひと言で「冷却性能が高い」と言っても、使われている素材や効率がどの程度考えられているかまではユーザーにはなかなかわからないもの。その点に関しては、ALIENWAREはゲーミングPCとしてユーザーの体験に必要と考えたものについては、たとえ価格が上がってしまうとしても妥協せずに高性能な素材を採用。あくまでユーザー体験を大切に設計している。
そんななかでALIENWAREは、常に時代に合わせて次代を見据えたデザインを投入し、ゲーミングPC市場を変革してきた。ゲーミングPCに水冷機構を盛り込んだり、出荷時点でオーバークロックを実現する機能なども積極的に実装。LEDライティングや、プレイヤーの視線を認識して操作やゲームに活用する機能といった、先進的な機能も盛り込んできた。
その最新版が、ALIENWARE Area-51mで採用された「レジェンドデザイン」だ。サイエンス・フィクションの文化に深く根ざした初期のインダストリアルデザインをヒントに、他社とは一線を画すブランドの独自性を打ち出している。たとえば、これまでのゲーミングPCにはなかった白基調のカラーリング。ALIENWAREが自ら作り上げてきたブラックなイメージを一新している。随所に散りばめられたハニカム(六角形)デザインは、剛性を維持しつつデザイン的な美しさも追求した結果。吸排気のスリットとその配置さえも、考え抜かれたデザインの上で配置されている。
しかも、Area-51mに搭載されているCPUはデスクトップ用と同じ規格のパーツ。つまり、デスクトップPCと同様に、CPUやGPU(交換用GPUは今後発売予定)を交換できる。さらに、Area-51mの設計が、早くも第2世代ALIENWARE m15/m17に受け継がれている。
RGBに変化するキートップのLEDや、狭いベゼル部などで従来モデルよりも洗練されたイメージに進化。電源、モニター接続ポートの背面への集中という点は、ゲーマーはもちろん、DJやVJといった業種のユーザーからの評価も高い。抜き差しが多いUSBやヘッドホンは両サイドに置き、ゲームプレイ時にPC周りがスッキリする伝統は受け継がれている。
最新モデルが最良のモデルというのは、どのようなプロダクトにも言えることだ。Area-51mの流れを汲んだ第2世代ALIENWARE m15/m17も、その例に漏れない。第1世代m15/m17がリリースされたのが2018年なので、発売からまだそれほど経過してはいないが、ほぼフルモデルチェンジと言える内容だ。
最小構成の「フルカスタマイズ」でも、第9世代Intel Core i7シリーズを搭載しており、冷却機構などはArea-51mを踏襲して生まれ変わった。スペック面では吊るしの状態でほとんどのゲームを快適にプレイできるが、もし予算に余裕があるなら、標準でリフレッシュレート60Hzのモニターを、144Hzや240Hzにアップグレードできると、FPS/TPSなどのゲームがさらに面白くなるだろう。
<特徴>
<最小構成>
CPU:第9世代 インテル® Core™ i7-9750H
OS:Windows 10 Home (64ビット) 日本語
GPU:NVIDIA® GeForce GTX® 1660 Ti 6GB GDDR6
メモリー:16GB 2x8GB DDR4 2666MHz
ストレージ:256GB PCIe M.2 SSD
価格:21万2980円〜
ALIENWARE AURORAは、ALIENWAREにおけるミドルタワーという位置付けのデスクトップモデルだ。ただし、上位モデルにあたるALIENWARE Area-51は完全にスペシャルなモデルとなっており、実質的にはこのAURORAが、あらゆるユーザーのニーズに応えられるスペックを備えている。
なかでも、さまざまなPCゲームを快適に楽しむためにいま一番オススメな構成が「ALIENWARE AURORA ファイナルファンタジーXIV推奨パソコン」だ。FF14推奨となってはいるが、もちろん他のゲームのユーザーでも問題ない。
スペック的には、CPUはCore i7 9700Kに、GPUはRTX 2070にアップグレード。メモリーは16GBで、ストレージは2TBのHDDに加えて高速な256GBのM.2 SSDを追加採用している。MMO RPGは華麗なグラフィックによる没入感が最も大事だが、それはそのままFPS/TPSでの高いフレームレートの実現や、格闘ゲームなどの遅延のない動きにも直結する。数年先を見据えても使い続けられるスペック構成と言える。
これ以外に、『レインボーシックス シージ』『PUBG』『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』など、数々のタイトルで活躍する選手を擁し、ALIENWAREとパートナーシップを結んでいるCYCLOPS athlete gamingとのコラボモデルもある。プロゲーマーと同じ構成のマシンが欲しいなら、こういった構成を購入するのもいいだろう。
<特徴>
<最小構成→ファイナルファンタジーXIV 推奨パソコンでの変更点>
CPU:第9世代 インテル® Core™ i5-9400
→第9世代 インテル® Core™ i7 9700K
OS:Windows 10 Home (64ビット) 日本語
GPU:NVIDIA® GeForce GTX® 1050 Ti 4GB GDDR6
→NVIDIA® GeForce RTX™ 2070 8GB GDDR6 (オーバークロック対応)
メモリー:8GB シングル チャンネル DDR4 at 2666MHz
→16GB デュアル チャンネル DDR4 at 2666MHz
ストレージ:2TB 7200 rpm ハードドライブ
→256GB M.2 PCIe NVMe SSD(ブート) + 2TB 7200RPM SATA 6Gb/s(ストレージ)
価格:14万7980円 → 24万9980円
■関連リンク
ALIENWARE
https://www.dell.com/ja-jp/gaming
だが、いざゲーミングPCを選ぼうと思ってもそれがなかなか難しい。PC自体に興味がある人はいいが、多くのPCゲーマーは“ゲームを快適に遊びたい”のであって、“PCに関する知識を身に付けたい”わけではないからだ。
今回は、そんなPCゲーマーの読者に「後悔しないゲーミングPCの選び方」をご紹介したいと思う。ゲーミングPC選びのポイントを教えてくれるのは、デル/ALIENWAREのゲーミングPCの知識にかけては日本一であろう、ALIENWARE STORE AKIBAの中村店長だ。
名物店長の中村さん。1聞くと200くらい返してくれる、圧倒的な知識と情熱を持ったALIENWAREの伝道師だ
大前提・ゲーミングPCと一般的なPC、なにが違う?
eスポーツ人気の高まりを受けて、各パソコンメーカーからゲーミングPCがラインナップされているが、ゲームの動作環境だけを見ると一般的なPCで十分に動くものも多い。▲『リーグ・オブ・レジェンド』の必要動作環境と推奨動作環境。推奨動作環境であっても決して高性能というわけではない(出典:ライアットゲームズ)
では、なぜわざわざ一般的なPCとは別に、ゲーミングPCが存在するのか。
▲デルにも一般的なPCシリーズと、ゲーミングPCシリーズがある
1. PCゲームのプレイに必要な性能を持ったパーツを搭載している
一般のPCよりも高性能なCPUやGPU、電源ユニット、メモリー、高速なネットワーク機能、リフレッシュレートの高いモニターなどを搭載することで、負荷のかかるPCゲームを快適にプレイ可能にしている。いわゆるスペック表の数値を見ただけでわかる、非常にわかりやすい指標だ。
2. 本体やキーボードを光らせるギミックを搭載している
ライティングなどのカスタマイズにより、個性を際立たせたり気分を高揚させたりする機能。レジャーの要素が強いゲームという用途だからこそ、こういった遊び心もセレクトのポイントになる。
3. PCゲームを快適にプレイできる構造や冷却機構を有している
ゲームの動作環境を満たしている時点でOKと考えてしまうユーザーは多いが、実はこの冷却機構こそが、ゲーミングPCを長時間、長期間、トラブルなく遊ぶために大事な項目になっている。
もちろん、一般的なPCでもゲームの動作スペックを満たしている機種や、ゲーム側が要求するスペックがそれほど高くない、もしくはグラフィック設定などを低くすることでプレイできる機種はある。世界中で遊ばれているeスポーツタイトルがPCメインであり、爆発的に広がっている理由は、手元にあるロースペックなPCでも気軽に遊べるという環境があったからだ。
ただし、負荷がかかり続け、熱を持ち続ける低スペックなPCでゲームを遊んでいると、確実にPCの劣化は進んでいく。こだわってゲームをプレイしたいのであれば、やはり適切なスペックを備えたゲーミングPCの方が安心だ。
では、具体的にどのようにゲーミングPCの良し悪しを選べばいいのか。ここからは主要なパーツについて見ていこう。
ゲーミングPC選びのポイント(1)GPU
現在、ゲーミングPC選びの際に最も重視されているのがGPUというパーツだ。GPUは、画面に表示される画像/映像の計算を行うための装置だ。NVIDIAとAMDという2大メーカーに加え、CPUなどを手がけるインテルもオンボードタイプ(いわゆる独立したGPUではないモデル)のGPUを開発している(今回はALIENWAREに搭載されているNVIDIA GeForceシリーズを例に説明していく)。
NVIDIAのGPUには、GTXシリーズとRTXシリーズがあり、2019年時点では併売されている。一言で言えば、GTXシリーズは定番のゲーム向けGPUであり、現在も十分に現役として活躍できるスペックを備えている。一方、RTXシリーズの方は純粋に世代が新しいことと、「レイトレーシング」に対応しているなど機能面での付加価値がある。それゆえにRTXシリーズは価格もかなり高額だ。
▲NVIDIAのグラフィックスカードのラインナップ。RTX/GTXシリーズがゲーミングでの主流だ(出典:NVIDIA)
GTXは1000番台、RTXは2000番台となっているが、これはもそのまま数値が高い方が高性能とみなしていい。GTXシリーズには最近、従来の「GTX 10xx」シリーズの後継モデルとして、「GTX 16xx」というシリーズが追加されたが、こちらも10xxより16xxの方が新しく、性能も向上している。また、下2桁は「1050」「1060」「1070」「1080」といった番号になっているが、これも数値が大きい方が高性能だ。
PCゲームにはxx60以上、VRゲームにはxx70以上
では、ゲーミングPCのGPUの選択基準だが、中村店長によれば、「RTX/GTXを問わず『xx60』以上を選んでおけば、クオリティの違いこそあれ、その時点でeスポーツなどで採用されているほとんどのゲームはプレイ可能と考えていい」という。
PCゲームはどんどん高画質化され、より高性能なマシンが求められてはいるが、リリースするたびに最新のGPUでなければ遊べないとなるとユーザーの間口が狭くなってしまう。そのため、ゲームメーカーとしてもコストとのバランスを考えて、その時のトレンドの「xx60」番台をメインに開発している。よりレスポンスを高めたいなら「xx70」、そして最高のグラフィック設定や最新の機能を使って遊びたいなら「xx80」といった感じで選ぶといい。
なお、VRゲームを遊びたい場合、「xx60」でも動作はするものの、「xx70」以上でなければ利用できない機能があるため、「xx70」以上を選んでおけば長い目でみても安心だ。中村店長いわく、「VRだけに関して言えば『RTX 2060』よりも『GTX 1070』の方がオススメの場合もあります」とのことだ。
ちなみに、「xx50」シリーズがダメということはないのだが、どうしても一段スペックは低めになる。デルのゲーミングPCでいえば「デルGシリーズ」にしか搭載されていないことからも、ゲーミングPC入門者や、オンボードよりは独立したGPUの方がいいといったライト層に向けた製品だ。画像編集や動画編集なども試してみたいという人や、基本は業務メインでPCゲームも少し遊んでみる程度でいいという人には、「xx50」シリーズはコストパフォーマンス的にも最適だろう。
もうひとつ、安めのゲーミングPCを購入して、高性能なGPUを後から追加すればいいと考える人もいるが、たとえGPUスロットが適合していても、高性能なグラフィックスカードだと動作にあたって電源が足りなくなる場合があり、なんでも搭載/動作できるというわけではない点に注意。たとえばデルのXPSシリーズに「RTX 2080」はワット数の関係で搭載できないのだ。何を搭載できるのかは、ECサイトで購入する際に選択可能なパーツまでは問題なく搭載できる、と考えるといいだろう。
ゲーミングPC選びのポイント(2)CPU
CPU(中央演算装置)は、PCにおけるあらゆる“計算”を行うための装置だ。主なメーカーとしてインテル、AMD、ARMなどがある(今回はALIENWAREに搭載されているIntel Coreシリーズを例に説明していく)。CPUの性能は、数値が高いほど、世代が新しいほど、高性能と考えていい。
「Intel Core i7 8700 3.5GHz」を例にすると、
・Core i3<i5<i7<i9の順で性能が上がる反面、消費電力なども上がる
・4桁の数字が大きいほど高性能。また、1000の位が世代を表しており「8700」なら第8世代、「9700」なら第9世代
・4桁の数字の後ろの記号が付加機能を表す
・クロック周波数が大きいほど性能が高い。ただし、新しい世代の方が全体的に高性能
といったかたちだ。
特に、現在のALIENWAREにおいてはクロック周波数などよりも世代による差が大きく、第8世代から第9世代へにかけて、処理性能が10%程度も向上している。
注目すべきは「2次キャッシュ」と「コア数」だ。2次キャッシュはCPU演算処理時に使用されるメモリー領域で、大きいほど処理に余裕が生まれる。「コア数」はCPUを同時に処理する頭脳の数を表しており、CPUの数と言い換えてもいい。これらの組み合わせによりCPUのスペックが見えてくる。
Core i7以上&8000番台以上は欲しい。動画配信するならさらに高スペックを
現行のALIENWAREに搭載されているCPUは、大きく分けて8000番台の第8世代と、9000番台の第9世代がある。世代的には第7世代から第8世代にかけて大幅なバージョンアップが行われており、当然世代が新しいほどいい。最近はGPUの性能側ばかりが注目されがちだが、「いくらGPUの性能が高くても、生成するデータ量が大きくなると、せっかくGPUで処理したデータをCPUが捌ききれなくなってしまうんです」と中村店長。Core i7の8000番台以上であれば最近のゲームのプレイには不満はないだろう。
そのうえで、もし動画配信などを行いたい場合は、Core i7以上でできるだけ高性能なCPUを選びたい。ストリーミングは長時間負荷をかけ続けるため、デスクトップであれば水冷ユニットがあるとベストだ。動画配信で使われる撮影映像のリアルタイムエンコードには、CPUの性能が求められるため、発生する熱量も通常のゲーム中とはケタ違い。リッチなGPUを搭載したプレイ用マシンと、高性能CPUを搭載した配信用マシンの2台体制でいけるのなら、配信用マシンはCPUだけ高性能にすれば十分だ。
ゲーミングPC選びのポイント(3)メモリー
PCゲームを楽しむうえでのもうひとつのポイントがメモリー容量だ。といってもメモリーは単純で、容量が多ければ多いほどいい。そして、規格は新しければ新しいほど高速化の恩恵を受けられる。ALIENWAREシリーズの標準搭載メモリー容量は、8GB、16GB、32GBなどがあるが、選択基準としては後からユーザーが追加・交換可能かという点。自分で交換できるモデル&ユーザーであれば、ECサイトでの注文と自分で交換する場合のコストを比較して考えればいい。
容量としては、Windows 10自体が占有するメモリーに加えてPCゲームのメモリーが必要となるため、余裕を持つ意味でもPCゲームを遊ぶなら最低でも16GB以上は欲しいところだ。32GBまであれば当面困ることはないだろう。
なお、最新モデルの第2世代ALIENWARE m15/m17のように、メモリー自体がマザーボードに搭載されており、後から追加・交換ができないモデルもある。増設や交換が可能かどうかは、最初にゲーミングPCを購入する時点でしっかり調べておきたい。
ゲーミングPC選びのポイント(4)ストレージ
ゲーム自体やセーブデータなどを保存しておく記録媒体=ストレージ。ここにもPCゲームを快適に遊ぶためのノウハウがある。ゲームを遊ぶうえでは、データの読み出し速度を高めることで、マップ表示やリッチな画面表示の速度を上げることが肝心だ。そのため、可能な限り高速なストレージを搭載し、そこにメインで遊ぶゲームプログラムをインストールするといい。あまり遊ばないゲームや、それほどスピードを問われないRPG、動作環境スペックが低いゲームは別のボリュームに保存するといいだろう。
ストレージにも様々な種類があるが、基本的にはHDD→SSD→M.2 SSDという順に読み込み速度が早くなっていく。逆に、容量あたりの価格はHDDが最も安くM.2 SSDが圧倒的に高い。ALIENWAREでは、ノートマシンは容量の少ないM.2 SSDが、デスクトップマシンは7200rpmのHDDが標準で搭載されているので、予算との兼ね合いでできる限り大容量で高速なストレージを選ぼう。
ゲーミングPCとしてのALIENWAREの特徴
ALIENWAREはまだゲーミングPCという市場がほとんどなかった時代から、ゲームに特化したブランドとして設立され、現在まで一貫してゲーマーのためのPCを開発し続けている。デザインや性能に関しては理解されてはいるものの、やはり「ALIENWAREは高い」というイメージを先に持たれてしまい、設計や機能などがなかなか理解されないというジレンマもある。ここからは、ALIENWAREの特徴や独自性についてご紹介しよう。その理由を理解すれば、必ずしも手頃な価格のゲーミングPCがコストパフォーマンスがいいとは限らないということがわかるはずだ。
超・効率的で効果的な冷却性能
ALIENWAREシリーズの冷却機構は、デスクトップ/ノートを問わず、単に冷却ファンの風を当てるというだけに留まらない。熱源からいかにその熱を効率よく放出させるか、という点を重視し、風の流れを徹底的に追求した設計となっている。そのため、CPUなどの熱を放出させるために使用しているヒートシンクには、非常にコストがかかるものの熱伝導効率が非常に高い部材を採用。デルでは自社独自の冷却システムを「Cryo-Tech サーマル テクノロジー」と呼び、世代の進化とともに冷却効率を進化させ続けている。▲ALIENWARE Area-51mの冷却システム。熱伝導&冷却効率を追求した高効率なヒートパイプやを搭載し、風の流れを最適化させた構造となっている。この構造は、早くも第2世代のALIENWARE m15/m17にも引き継がれている
ひと言で「冷却性能が高い」と言っても、使われている素材や効率がどの程度考えられているかまではユーザーにはなかなかわからないもの。その点に関しては、ALIENWAREはゲーミングPCとしてユーザーの体験に必要と考えたものについては、たとえ価格が上がってしまうとしても妥協せずに高性能な素材を採用。あくまでユーザー体験を大切に設計している。
機能と感動を兼ね備えた先進的なデザイン
パソコン内部に使われているパーツは、基本的な構成はどのメーカーでも同じだ。マザーボードがあり、そこにCPU、GPU、メモリー、ストレージなどが接続され、ケースに入れられている。よほど特別な機能がない限り、この基本構造はゲーミングPCでも同じ。結果として、メーカーを問わず構造もデザインも似通ったものになりがちだ。そんななかでALIENWAREは、常に時代に合わせて次代を見据えたデザインを投入し、ゲーミングPC市場を変革してきた。ゲーミングPCに水冷機構を盛り込んだり、出荷時点でオーバークロックを実現する機能なども積極的に実装。LEDライティングや、プレイヤーの視線を認識して操作やゲームに活用する機能といった、先進的な機能も盛り込んできた。
その最新版が、ALIENWARE Area-51mで採用された「レジェンドデザイン」だ。サイエンス・フィクションの文化に深く根ざした初期のインダストリアルデザインをヒントに、他社とは一線を画すブランドの独自性を打ち出している。たとえば、これまでのゲーミングPCにはなかった白基調のカラーリング。ALIENWAREが自ら作り上げてきたブラックなイメージを一新している。随所に散りばめられたハニカム(六角形)デザインは、剛性を維持しつつデザイン的な美しさも追求した結果。吸排気のスリットとその配置さえも、考え抜かれたデザインの上で配置されている。
しかも、Area-51mに搭載されているCPUはデスクトップ用と同じ規格のパーツ。つまり、デスクトップPCと同様に、CPUやGPU(交換用GPUは今後発売予定)を交換できる。さらに、Area-51mの設計が、早くも第2世代ALIENWARE m15/m17に受け継がれている。
RGBに変化するキートップのLEDや、狭いベゼル部などで従来モデルよりも洗練されたイメージに進化。電源、モニター接続ポートの背面への集中という点は、ゲーマーはもちろん、DJやVJといった業種のユーザーからの評価も高い。抜き差しが多いUSBやヘッドホンは両サイドに置き、ゲームプレイ時にPC周りがスッキリする伝統は受け継がれている。
先進機能の搭載
もうひとつはその時代時代の最先端の技術を導入している点だ。リフレッシュレート240Hzの高速モニターや、発色が鮮やかな有機ELモニター、Nキーロールオーバー対応のキーボード、15インチノートPCでは世界初となる視線を認識してくれるTobii Eyetrackingの搭載などが挙げられる。まとめ・最新オススメのALIENWARE 2機種
以上、ALIENWAREの特徴や魅力をご紹介してきた。最後に2019年夏発売中のALIENWAREの中で、いま一番お買い得なALIENWAREを、ノート/デスクトップから1機種ずつご紹介しよう。【ノート】New ALIENWARE m15/m17 フルカスタマイズ
最新モデルが最良のモデルというのは、どのようなプロダクトにも言えることだ。Area-51mの流れを汲んだ第2世代ALIENWARE m15/m17も、その例に漏れない。第1世代m15/m17がリリースされたのが2018年なので、発売からまだそれほど経過してはいないが、ほぼフルモデルチェンジと言える内容だ。
最小構成の「フルカスタマイズ」でも、第9世代Intel Core i7シリーズを搭載しており、冷却機構などはArea-51mを踏襲して生まれ変わった。スペック面では吊るしの状態でほとんどのゲームを快適にプレイできるが、もし予算に余裕があるなら、標準でリフレッシュレート60Hzのモニターを、144Hzや240Hzにアップグレードできると、FPS/TPSなどのゲームがさらに面白くなるだろう。
<特徴>
- ALIENWARE史上最薄の15インチノートPC
- 高効率の8フェーズ電圧レギュレータを搭載
- Cryo-Tech v3.0冷却技術
- 新しいインダストリアル デザインの「レジェンドデザイン」を採用
<最小構成>
CPU:第9世代 インテル® Core™ i7-9750H
OS:Windows 10 Home (64ビット) 日本語
GPU:NVIDIA® GeForce GTX® 1660 Ti 6GB GDDR6
メモリー:16GB 2x8GB DDR4 2666MHz
ストレージ:256GB PCIe M.2 SSD
価格:21万2980円〜
【デスクトップ】ALIENWARE AURORA ファイナルファンタジーXIV 推奨パソコン
ALIENWARE AURORAは、ALIENWAREにおけるミドルタワーという位置付けのデスクトップモデルだ。ただし、上位モデルにあたるALIENWARE Area-51は完全にスペシャルなモデルとなっており、実質的にはこのAURORAが、あらゆるユーザーのニーズに応えられるスペックを備えている。
なかでも、さまざまなPCゲームを快適に楽しむためにいま一番オススメな構成が「ALIENWARE AURORA ファイナルファンタジーXIV推奨パソコン」だ。FF14推奨となってはいるが、もちろん他のゲームのユーザーでも問題ない。
スペック的には、CPUはCore i7 9700Kに、GPUはRTX 2070にアップグレード。メモリーは16GBで、ストレージは2TBのHDDに加えて高速な256GBのM.2 SSDを追加採用している。MMO RPGは華麗なグラフィックによる没入感が最も大事だが、それはそのままFPS/TPSでの高いフレームレートの実現や、格闘ゲームなどの遅延のない動きにも直結する。数年先を見据えても使い続けられるスペック構成と言える。
これ以外に、『レインボーシックス シージ』『PUBG』『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』など、数々のタイトルで活躍する選手を擁し、ALIENWAREとパートナーシップを結んでいるCYCLOPS athlete gamingとのコラボモデルもある。プロゲーマーと同じ構成のマシンが欲しいなら、こういった構成を購入するのもいいだろう。
<特徴>
- さまざまなeスポーツで大会公式モデルとして使用
- NVIDIA® GeForce RTX™グラフィックスと第9世代Intel® Coreプロセッサー搭載のミッドタワー
- VR向けの設計。オプションの水冷システムを備え、工具なしで内部にアクセス可能。
<最小構成→ファイナルファンタジーXIV 推奨パソコンでの変更点>
CPU:第9世代 インテル® Core™ i5-9400
→第9世代 インテル® Core™ i7 9700K
OS:Windows 10 Home (64ビット) 日本語
GPU:NVIDIA® GeForce GTX® 1050 Ti 4GB GDDR6
→NVIDIA® GeForce RTX™ 2070 8GB GDDR6 (オーバークロック対応)
メモリー:8GB シングル チャンネル DDR4 at 2666MHz
→16GB デュアル チャンネル DDR4 at 2666MHz
ストレージ:2TB 7200 rpm ハードドライブ
→256GB M.2 PCIe NVMe SSD(ブート) + 2TB 7200RPM SATA 6Gb/s(ストレージ)
価格:14万7980円 → 24万9980円
■関連リンク
ALIENWARE
https://www.dell.com/ja-jp/gaming
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