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【R6S】世界の「FNATIC」が日本上陸!『レインボーシックス シージ』チーム独占インタビュー【シブゲーアーカイブ】
※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。2019/4/10 渡辺 静(公開日:2019年4月10日/執筆:渡邊静/撮影協力:100BANCH 1F LAND)
『レインボーシックス シージ』(以下、R6S)は発売から4年目を迎え、eスポーツタイトルとしても日本の競技シーンを牽引しているゲームのひとつです。
『レインボーシックス シージ』(以下、R6S)は発売から4年目を迎え、eスポーツタイトルとしても日本の競技シーンを牽引しているゲームのひとつです。
現在PC版の同タイトルの競技シーンでは、世界中でプロリーグシーズン9が進行中です。そして今週末2019年4月13日(土)14日(日)にはオーストラリアのシドニーで、5月の世界大会への出場権を争う「APAC Finals」が開催されます。
今回は、APAC Finalsに出場するオーストラリアのR6Sチーム「FNATIC」の選手たちに特別インタビューをさせていただきました。
歴史あるプロチームに所属し、数々の国際大会でも実績を残している彼らの目線で、アジアの競技シーンのことやプロとしての在り方などをお話いただきました。
――では、自己紹介からお願いします。
Magnet:キャプテンのMagnetです。チームではみんなの活動状況のチェックや指導をする立場です。
Acez:ぼくは主にサポートの役割を担当しているAcezです。
Speca:最近チームに加入したSpecaです。チームではこれから実力を示さないといけません。今はチームの士気を上げる立ち位置で、Magnetとぼくがチームのお笑い担当のような感じになってます。
RizRaz:エントリーフラッガーのRizRazです。ゲーム内では積極的にキルを重ねることが仕事です。チームには1年前くらいから入っています。
Virtue:Virtueです。RizRazと同じくエントリーフラッガーとしてフラグを投げたりキルを取ったりする役割です。
Lusty:中国系オーストラリア人のLustyです。チームには2年前からいます。日本に来るのは3回目ですが、毎回すごく楽しく過ごしています!
▲Lusty選手
アジア内での地域差
――では、今回日本に来た理由を教えてください。Magnet:最大の目的はアジアのチームと練習するためです。オーストラリアのチームとアジアのチームでは戦略が違うので、APAC Finalsに備えてアジアのチームと練習をすることが目的です。
加えて、日本に来ると北アメリカのチームとも練習ができます。オーストラリアからだと南半球と北半球とで離れているので、どうしてもpingの問題が大きい。日本にいたほうがそれなりのpingで練習できるんです。
もちろん、チームのPRなど広報も目的の一つですが、何よりチームで再び大好きな日本に訪れたかったんです。
僕たちのファンの中には、日本の方もたくさんいらっしゃるので、みなさんとお会いするために今回は秋葉原でファンミーティングも開催させてもらいました。
――そのオーストラリアとアジアのチームの「戦略の違い」とは、具体的にどういったものなのでしょうか?
Magnet:オーストラリアのチームは攻撃を慎重に行う傾向にあり、時間を長くかけます。しかしアジアのチームは「敵がいたら撃つ」というアグレッシブなプレイが多いと思います。
動き方も、アジアのチームは奇襲をかけたり裏から回ってきたりしますが、オーストラリアのチームは割と同じところに固まることが多いような気がしますね。
――アジアの中でも、各地域ごとの違いはあるのでしょうか?
Magnet:日本は全体的にアグレッシブでチームワークが取れています。エイム力も高いですね。韓国はソロプレイのスキルが非常に優れています。東南アジアは、エイム以外の部分、ガジェットの使い方や作戦の立て方が上手い。スモークやフラッシュ、シールドなどを効率的に使うイメージですね。
各地域に比べてオーストラリアは標準的というか、定石通りのプレイが多いです。あまり新しいことをやれていない印象があります。
ぼくたちが思うに、APAC地域で最も強い国は日本です。次に強い国はおそらくオーストラリア……と言いたいのですが、他の地域も一筋縄ではいかないチームばかりですね。
▲Magnet選手
――日本が強いとのことですが、2月の「Six Invitational」での野良連合との対戦では惜しくも負けてしまいましたが、あれからどんな思いで練習をされてきましたか?RizRaz:あの試合を落としたことは、もちろんとても悔しかったです。ただぼくたちのチームは「勝つか学ぶか(win or learn)」という姿勢で試合に臨んでいるので、そもそも「負ける」という選択肢はありません。試合では負けましたが、そこから学べることは必ずあります。
当時はとにかく「次に向けて練習しないと!」という気持ちでしたね。あの試合の振り返りをしながら、自分たちのミスを修正してきました。
ただ、ぼくたちが敗退したことは悔しかったですが、野良連合が勝ち進んでベスト4まで進んでくれたことはAPACの一員として素直に嬉しかったです。あの試合、どちらが勝ったとしてもAPACのチームがベスト4に入れた。そのこと自体が素晴らしいことでしたから。
――ちなみに敗戦から得られた「学び」は、具体的にどんなものだったのでしょうか?
RizRaz:野良連合戦からはメンタル的な部分で学ぶことが多かったです。負けると思っていたら負けてしまうし、勝てると自信を持っているときは勝てるものです。
Magnet:それから、ラウンドごとに気持ちを切り替える大切さにも気付かされましたね。前のラウンドのことを引きずらないように、しっかりリセットすることも大事だなと。
▲RizRaz選手
――FNATICはスポンサーの数も実績も、世界中からの注目度も世界トップクラスかと思います。その中でプロとして活動されているみなさんが思う、プロプレイヤーに必要な要素とは何ですか?Speca:一番大切なのはバランスを保つことだと思います。心身共に健康であることやゲームに打ち込むこと、ファンとコミュニケーションを取ること、それぞれが大切だし必要なことですが、何かひとつに特化しすぎてしまうと良くないんです。
ゲームの練習をしすぎてしまうと、かえってパフォーマンスが悪くなってしまうこともあります。練習と同じくらい、自分の身体的・精神的な健康を保つ時間を作ることも大事です。
Magnet:内だけでなく外に向けても、"プロフェッショナル"であることが重要です。伝統的なスポーツだと、インタビューにちゃんと答えられたり、人々から尊敬され模範となるような存在になることも求められますよね。もちろんスポンサーさんの意向を汲めることも。
そしてeスポーツ全体のエコシステムを理解することも大切です。チームやメディアはどういう仕組みで動いていて、その中で自分たちがどう支えられているかをちゃんと知った上で、模範たることが大事だと思います。
もちろん大前提として、ゲームを楽しむことも欠かせない要素ですね。
――日本のeスポーツの動きは、外から見てどう感じていますか?
Speca:我々の視点では、日本はゲームの分野でもeスポーツの分野でもパイオニア的な存在で、積極性があるように感じます。だからeスポーツ市場が成長してきているのでしょう。
対して、オーストラリアはそこまでeスポーツに積極的ではありません。日本にはむしろ、オーストラリアを含めた国を引っ張っていけるようなeスポーツ大国になってほしいですね。
▲Speca選手
言語の壁を越えて
――FNATICは日本のチームや選手とも交流が多いので、日本での知名度も高いですよね。Lusty:日本語を話すことができれば、日本のファンの方とももっとコミュニケーションが取れるのですが。
Magnet:日本の方には、様々な大会で野良連合やSengokuGamingなどと対戦したチームとして知ってもらえていると思います。
今は日本のチームや選手たちを通してかもしれないですが、今後はぼくたちのプライベートな部分も出していって、もっと多くの日本のファンと直接コミュニケーションできるようにしていきたいです。
最近TikTokを始めたのも、日本のファンの方とコミュニケーションを取れるようにという目的があります。言葉のハードルはあるかもしれませんが、ゲームのファンに限らずたくさんの人と交流できたらいいなと思っています。
TikTokのアカウント作りました!フォローして!!https://t.co/Yfj2pbQTxI pic.twitter.com/tRz59cn3EF — RizRaz 水 FNATIC (@RizRazR6) 2019年4月4日
――では少しプライベートな質問ですが、今回の日本遠征で印象的だったことはありますか? ゲームやビジネス以外のことでお願いします。
Speca:日本の好きなところが本当に多いので、「食べ物」「人」「文化」といろいろありますよ。
▲左から、Speca選手、RizRaz選手、Virtue選手。
Lusty:そういえば電車に乗っている時にゲームをやったよね。
Magnet:そうそう。日本の電車文化が新鮮だったので、電車でつり革を持たずに立って、1歩でも踏み外した人が負けというルールの「トレイン・サーファー(Train Surfer)」ゲームをやったんです。たのしかったね。
▲左から、Magnet選手、Speca選手、RizRaz選手。
Magnet:あと面白かったのが、Acezの日本語。ぼくたちみんなで、日本語と英語を組み合わせて遊ぶことがあるんですよ。例えば、「ありがとう」と「Thanks」を組み合わせて「アリガテンクス(arigathanks)」とか、「excuse me」と「すみません」を組み合わせて「エクスキューズミマセン(excusumimasen)」とか。
Acez:ぼくはずっとそれが正しい日本語だと思ってたんですよ。だから前回のAPACで日本に来たときも「エクスキューズミマセン」と色々な人に言っていたのですが、だれにも通じなかったんです(笑)。
▲Acez選手
APAC Finalsに向けて
――では最後に、APACに向けての意気込みをお聞かせいただけますか?Magnet:とにかく勝つ自信があります。
日本はAPAC Finalsに出られそうなチームがいくつもあったので、野良連合とCYCLOPS athlete gamingは強豪がひしめく中で勝ち上がってきた2チームだと思いますが、FNATICはどんな相手にも勝つ自信があります。
▲Magnet選手