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『ディアブロII リザレクテッド』オープンベータレビュー:ハクスラ&MORPGの先駆者にして今なお褪せない魅力

Activision Blizzardは、同社の人気アクションRPG『ディアブロII』のリマスター版『ディアブロII リザレクテッド』(Diablo II: Resurrected)のオープンベータテストを、日本時間の8月24日2:00まで開催していた。無料で誰でもプレイできるということで参加された方も多かったのではないだろうか。

今回はそのファーストインプレッションをお伝えしたい。

『ディアブロII リザレクテッド』のポイント
  • 良くも悪くも操作性はそのままに、4K対応の現代版にリマスター
  • 新クラス「ドルイド」などの新要素を追加
  • 共闘も対立も可能なマルチプレイも充実

随所に盛り込まれたノスタルジーと当時のままの操作性

『ディアブロII』のオリジナル版が発売されたのは2000年のこと。筆者は今でも『ディアブロII』のディスクを所有しているが、当時Macユーザーだった自分にとっては、Macで遊べる貴重なゲームタイトルのひとつでもあったのだ(Macのスペックが低く遊べるタイトルも限られていた)。

しかし、すでに20年近く前の記憶は薄れていたと思っていたのに、このオープンベータ版を少しプレイしてみてすぐに「ああ、『ディアブロII』ってこんなゲームだったな」と思い出せる移植の内容となっていた。

最初に感じたのは、ロード中のグラフィックだ。放浪者が扉を開ける映像は、たしか当時も頻繁に見た気がする(当時はロード時間も長かった)。

▲私の記憶が確かならば、当時もこんな感じのグラフィックを何度も見ていた

もうひとつは「音楽」だ。おそらくほとんど当時と変わっておらず、すぐに「こんな曲だったな」と思い出せた。

音楽がゲームに与える影響は大きい。小学生時代に『ドラゴンクエスト』を遊んでいた人であれば、今でもそらで歌えるほど記憶に刻まれているだろう。

『ディアブロII』の音楽も、決して派手な曲ではなく、弦楽器を奏でるような民族音楽的な雰囲気のループだ。しかし、プレイ中に長時間聞き続けていたからだろう、当時のいろいろな思い出がよみがえってきた。基本的なグラフィックが大きく変わっていないところも手伝って、すんなり世界観にハマることができた。

ちなみに、プレイ中に「G」キーを押すと、当時のグラフィックと切り替えることも可能。SD解像度(720×480ドット)で15インチ程度の当時のブラウン管モニターと、フルHD環境の差は致し方ないが、当時を懐かしむには最適なギミックだ。オリジナル版ユーザーには胸が熱くなる演出だろう。

▲こちらがオリジナルに切り替えた画面。当時はワイド解像度ではなかったため、両端に黒い帯を入れてある

▲こちらが現代版の画面。表示範囲もかなり広がってプレイしやすくなった

操作方法は、マウスクリックにより移動先や攻撃対象を指定する方式。モンスターをクリックすれば自動的に近くまで移動して攻撃し、魔法などの遠隔攻撃の場合は最長距離から発射する。この操作方法、当時はなかなか慣れなかったが、今となっては『Dota2』や『リーグ・オブ・レジェンド』などのMOBAのほとんどがこの方式であり、むしろ馴染んでいるプレイヤーも多いだろう。

筆者も日ごろの『LoL』の経験が生き、当時よりもかなり操作しやすく感じられた。キャラクターが常に画面の中心にいるため、MOBAの視点移動に慣れている人にはやや動かしにくささえ感じるかもしれないが。

マップは「TAB」キーを押すことで画面上にレイヤー表示をオンオフでき、敵や味方、オブジェクトや建物の入り口などの方向をチェックできる。慣れればそれほど邪魔ではなくなるので、表示したままでのプレイでもいいだろう。

▲マップは基本的にオートマッピング。新しいフィールドに行ったらまずはワープポイントを探して「ローグの野営地」との行き来ができるようにしよう

ゲームは「ローグの野営地」という拠点からスタート。この野営地を率いているアカラ、傭兵を取りまとめているカーシャ、ワリグなどの協力者(NPC)からの依頼を受けて、モンスターが待つフィールドを探索していく。ベータ版ながらすでに日本語のキャラクターボイスも実装されており、ストーリーにどっぷり浸かれた。


フィールドと序盤の拠点となる「ローグの野営地」はシームレスにつながっているが、野営地はモンスターは入ってこれない安全地帯。フィールドを探索しながら、洞窟、墓地、修道院などに行動範囲を広げていき、強力なモンスターたちを倒したりアイテムを獲得したりして「クエスト」をこなしていく。

クエスト自体はどのキャラクターを選んでも変わらないが、新規に作成したキャラクターごとに野営地の形状やフィールドの構造は若干異なる。このあたりにハック&スラッシュの要素がある。

ただ、同じダンジョンに何度も入ってレベルアップなどを行う必要はあまりなく、より強いモンスターがいる次のダンジョンを探索しながら強化していくかたちだ。このあたりもオリジナル版の時と同様のバランスのいいレベルデザインに感じられた。

キャラの強化はレベルアップとスキルとアイテムで

キャラクターは敵を倒すことで得られる経験値でレベルアップ。1レベルごとに「筋力」「敏捷性」「生命力」「エナジー」に5ポイントを割り当てて強化していく。

序盤のうちはアイテムを装備する条件として「筋力」が要求されることが多いので、ある程度上げておきたい。それ以外は魔法系なら「エナジー」や「生命力」、肉弾系なら「筋力」や「生命力」を上げるといいだろう。ちなみに、「ローグの野営地」にいるアカラに頼めば、これまでのポイントをすべてリセットして振りなおすこともできるので、次に挑むダンジョンによってキャラの特性を変えることも可能だ。

また、それぞれのキャラごとに固有の「スキル」を持っており、レベルが上がると「スキルツリー」に従って強力なスキルを覚えられる。自身の攻撃力や防御力を高めるものや、火炎、氷結、電撃といった魔法や召喚魔法なども用意されている。攻撃方法は右or左クリックで、いずれも1体の対象指定が原則だが、スキルによっては範囲攻撃などで敵に囲まれた状態で威力を発揮できるものなどもある。

▲左がレベルアップ時に強化できるステータスポイント、右がスキルツリー。レベルが上がると強力なスキルが使えるようになっていく

少し気になったのがこのスキルの使い方だ。基本的には、画面下にある左右マウスボタンにスキルを割り当てるかたちになっている。

このスキルはキーボード上部にあるファンクションキーに割り当てることもできるのだが、装備を切り替えるようなイメージで、一度に使える攻撃手段はあくまで左右クリックの2つのボタンのみ。この仕様自体は当時から引き継いだものだ。

ファイナルファンタジーXIV』や『LoL』のように、数字キーやQWERにスキルを割り当ててボタンひとつで発動できるようになると戦いの幅が広がるのだが、あくまで当時のままの『ディアブロII』の移植という点と、ゲームバランスが崩れかねない面もあるためだろうか。

▲画面下の左右マウスボタンをクリックすると覚えているスキルが表示される。あくまでスキルを「切り替える」だけで発動にはマウスボタンを押す必要がある

いかにアイテムを集め、失わないか

キャラクターを強化するもう一つの方法がアイテムだ。というよりも、『ディアブロII』においてはかなりその比重が大きいと言える。

アイテムは武器や防具といった、いわゆるRPGでおなじみの攻撃力や防御力を直接上げるもののほかに、「エンチャントアイテム」として各種パラメーターを強化できるものが存在する。また、「スロット」を持つ武器や防具には、モンスターが落とす宝石を付けることで各種能力を追加できる。これらのエンチャントアイテムは偶然敵や宝箱から見つけるのが基本だが、クエストが進むと野営地にいる鍛冶師のチャルシに依頼して、普通の装備にも追加できるようになる。

これらのアイテム自体は割と頻繁にモンスターが落としてくれる。ただ、回復などのポーションや巻物(不明なアイテムの鑑定や野営地にワープするポータルを作るものなど)などはコンパクトなのでいいのだが、装備品はアイテムごとに大きさが決まっており、一度に所持できるスペースに限りがあることから頻繁にインベントリを整理しなければならない。当時よりはインベントリは広がったものの、すぐにいっぱいになってしまうはずだ。

なので、強いアイテムが揃うまでの序盤は、モンスターを倒しまくり、アイテム欄がいっぱいになったら「ポータルの巻物」という野営地に戻るワープホールを作り、道具を売ったり装備を整える、という繰り返しでお金とアイテムを貯めていくのがいいだろう。

もし探索中に死んでしまうと、所持金が減らされるうえに、アイテム類がすべてその場に置き去りになって体は「ローグの野営地」に戻される。再びやられた場所に行けば装備は取り返せるが、再開時には装備は何も持っていない状態のため、そこまで行くにしても危険が伴う。貴重な装備品を失わないよう、ボス戦などの直前ではポータルをあらかじめ作っておくのがポイントだ。

▲力尽きると野営地から復活。所持品はそのままだが、装備品はドロップされる。このあたりは『ウィザードリィ』などと同様だ

▲右が自分の装備品。背景が赤いものは装備レベルに達していないか未鑑定なもの

アイテムは、鎧系なら6マス、バックラーは4マス、武器は大きさによって変わるなど大きさがまちまち。やたら拾ってもいけないし、多数のモンスターを倒していると持てるもの以上にアイテムが落とされて、戦闘中にはなかなか拾うことも難しい。なので、ポータルを開き、いったん野営地に戻って売りさばいてから再度拾いに行くというのが定石だ。

▲アイテムは非常に小さく見分けにくいが、「Alt」キーを押し続けると周囲のアイテム名を表示してくれる

なお、野営地には銀行のようにアイテムを預けておける「保管庫」があるのだが、ここに「共有」というタブがある。これは、ひとりのユーザーが複数のキャラクターを作っている場合に、ほかのキャラクターの「保管庫」からアイテムを共有できる機能だ。高く売れるアイテムを共有して序盤からゲームを有利に進めたり、強いアイテムを装備するなどで活用したい。


新クラス「ドルイド」は肉弾戦+使役動物の強者

本作での注目点は、新クラスの追加だ。ベータ版でプレイできたのはアマゾネス、バーバリアン、パラディン、ソーサレスというオリジナル版にもいたキャラ(アサシンとネクロマンサーは選択できなかったが、グラフィックは用意されていた)。そして、新クラスの「ドルイド」がある。

▲左から、アマゾネス、アサシン、ネクロマンサー、バーバリアン、パラディン、ソーサレス、そしてドルイド

ドルイドはカラスなどの動物を呼び寄せて戦わせたり、自身がオオカミに変身するなど、野生や自然の力を利用して戦うクラス。近距離攻撃主体の強力なクラスで、パーティーでも活躍できるだろうが、ソロプレイもやりやすそうだ。

▲「人狼」のスキルを使ったドルイド。スキルツリーにはカラスや狼の召喚のほか、天変地異を起こすスキルなども

クラスごとに多彩なスキルがあるのも『ディアブロII』の楽しさだ。どんな順番でどんなスキルを覚えさせるかで、プレイヤーの個性が出てくる。ただし、性別や外観が変更できないのもオリジナル版と同様。マルチプレイが充実するのであれば、カスタマイズもしたいところ。現状では、装備するアイテムによる見た目の変化はするものの、個性を出すのは難しそうだ。

マルチプレイはとにかく自由! 共闘も対戦も可能

最後にオンラインによるマルチプレイにも触れておこう。オリジナルの『ディアブロII』時代にも存在していたが、当時はまだ回線スピードが低く、PCへの要求も高かった。しかし今やオンライン環境は当たり前。快適さは段違いだ。

マルチプレイはソロプレイで育てたキャラクターが使え、ゲームに参加するか、自分でゲームを立ち上げるかの2通りがある。ベータテスト中ということで人数が多そうなゲームに適当に入ってみたが、チャット機能が実装されていないため、どこに向かうとかレベルを上げるといった目的を共有できない点には戸惑った。

とりあえず自分が進行中のクエストに向かってみると、別のプレイヤーが追いかけてきてなんとなく一緒に戦い始めた。心なしかソロプレイ時よりもモンスターの数も多いように感じたが、互いにソーサレスということで範囲攻撃をかましていくと、協力プレイがかたちになってくる。多人数で強敵に向かえるのはやはり『ディアブロII』の醍醐味と言える。

そのうち、多くのプレイヤーが集まってきて、「ローグの野営地」に多数のポータルが設置されていく。皆が皆、自分の行きたい場所に向かっていてポータルを設置しているためだ。

これらのポータルのひとつに入ると、多くのプレイヤーが固まって戦っている場所に行きついた。そこが最初の章のボスだったと気づいたのは、戦い終わって「クエスト」欄を見たあとだった。

▲左端に並んでいるのがこの場にいる仲間たち。雇った傭兵もいるが、この時は総勢6人で序盤のボスと戦った

マルチプレイでは、レベルが低い筆者がレベルが高い仲間たちについていくかたちになり、アイテムを拾ったり経験値をシェアできたのはよかった。しかし、かなり先のクエストをこのマルチプレイで消化することになってしまった。

ベータテストでのマルチプレイは、自分のソロプレイのクエストと進行度を共有している。つまり、少しずつ自分で攻略したいというプレイヤーにとっては、マルチプレイで攻略したいクエストに同行してしまうと、レベルの高いプレイヤーたちの“おかげで”知らない間にクリアしてしまった、ということにもなりかねない。

とはいえ、これはあくまでベータテスト中の仕様であり、実際には仲のいいプレイヤーと一緒に決まったクエストを攻略することの方が多いだろう。ゆくゆくはクロスプラットフォームとして、他のハードとも一緒にプレイできるとのことなので、MMORPGの走りである『ディアブロII』の自由さを象徴するシステムとしては、このかたちでもいいのかもしれない。

ちなみに、マルチプレイでは協力プレイのほか、敵対する勢力として戦うこともできる。マルチプレイ中に敵対の構えを取るというかたちで、プレイヤーキルもできるようになるわけだ。『RUST』のように殺伐としたゲームになることはないかもしれないが、参加する側に拒否する権利も持たせてほしいところだ。

▲マルチプレイ中、「パーティー」ウィンドウから敵対するプレイヤーを指定することが可能。こんな感じでポータルが乱立するのも茶飯事だ

王道にして原点のタイトルはどのように評価されるか

さまざまなハクスラやMMORPGがリリースされている令和の時代でも、リマスターされた『ディアブロII リザレクテッド』は間違いなく楽しめる。当時のままのシステムはやや冗長に感じられるところもあるが、もともとのゲームの出来の良さをあらためて感じるタイトルだ。

ただし、いろいろと便利になった現代のアクションRPGとしてとらえると、もしかすると不便さを受け入れられないプレイヤーもいるのではないか、という気もする。スキルの切り替えなどは必ずしもマイナスではなく、コンソール機との操作性の共通化という意味では特段驚くようなものでもないのだが、PCでガチのオンラインパーティープレイに慣れているプレイヤーたちにどう受け入れられるのかは未知数だ。

と、いろいろとマイナス面も挙げてきたが、筆者個人は非常に楽しめたし、いい移植になっていると思う。ソロプレイでも十分にクリアできる難易度も含めて、再び『ディアブロII』を遊べることは素直に喜ばしい。

最後に、『ディアブロII リザレクテッド』のプロモーションムービーもご紹介しよう。第1章「王国の草原」のバックストーリーをグラフィカルに描いた、マリエルと放浪者の新たなムービーが、新しくて懐かしい『ディアブロII』の世界へと、プレイヤーをいざなってくれるはずだ。


©2021 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.


ディアブロII リザレクテッド
発売日:2021年9月24日
対応機種:PC(Battle.net)、PS4・PS5、Xboxシリーズ、ニンテンドーSwitch
価格:5280円(通常版)、8690円(プライムイービルコレクション)
必要動作環境:Windows® 10
CPU:Intel® Core i3-3250/AMD FX-4350
GPU:Nvidia GTX 660/AMD Radeon HD 7850
VRAM:8 GB RAM以上
ストレージ:30 GB以上
画面解像度:1280 x 720以上
https://diablo2.blizzard.com/ja-jp/

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