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Clutch_Fiが1日10時間のTwitch生配信を続けられる秘訣とは?【Lag Gaming Clutch_Fiインタビュー】

目次
  1. 中学生でオンラインゲームに目覚め、 高校生で『スペシャルフォース』にどハマり
  2. 収入のほとんどはTwitch配信 企業案件は一度も受けたことがない
  3. 言葉遣いと表現方法には日頃から注意 相手の表情を予想した発言を
  4. 1日の配信時間は約10時間! Twitchならではのサブスクギフト企画も
  5. 実況者になりたいなら 思った瞬間に行動してほしい
  6. これからは散歩や食事など 自分のプライベートも配信していきたい
アマチュアからプロまで、幅広い層のゲーマーにより日々ゲームプレイが配信されているTwitcheスポーツ熱の高まりから、テレビやラジオに変わる新たな無料配信メディアとして完全に定着している。

しかし、その中で配信しているストリーマーの活動実態は、あまり知られていないのではないだろうか。

そこで今回は、いまや小学生が将来なりたい職業ランキングでも上位にランクインする「ストリーマー」という職業がいったいどんなものなのか、Twitchで活動しているストリーマーにインタビューを行った。

第1回は、4万9000人のフォロワーを持ち、『AVA』『オーバーウォッチ』『PUBG』でプロとして活動してきたLag Gaming所属のストリーマー、Clutch_Fi(クラッチ)さん。アマチュアからプロへ、そしてストリーマーへと、どんなふうに歩み日々の配信を行っているのだろうか。


中学生でオンラインゲームに目覚め、
高校生で『スペシャルフォース』にどハマり


──小さい頃はどんなお子さんだったのでしょうか?

Clutch_Fi(以下、Clutch):小さいときはスポーツとか習い事とかをやっていて、外でアクティブに動く子どもでした。ゲームは友達の家でよく遊んでいましたね。初めてオンラインゲームに触れたのは中学生ぐらいからで、『メイプルストーリー』というMMORPGが最初でした。これをキッカケにオンラインゲームをどんどん遊ぶようになり、高校のとき友人と一緒に始めたのが、FPSの『スペシャルフォース』でした。FPSの楽しさを知り、そのあとは『AVA』(Alliance of Valiant Arms)も触り出して、大学までずっとFPS三昧でした。

当時は趣味の延長線上で、単純に楽しいから遊んでいました。まだプロゲーマーの存在が日本のFPS界隈ではほとんどいなかったので、「これを仕事にしよう」「プロになろう」とは考えていませんでしたね。

そんなとき『AVA』の大会に出場したらベスト8に入れて、そこから本気で取り組むようになりました。2015年の世界大会「AWC」の出場資格が年間成績上位3チームだったのですが、自分のチーム「F4E」は十分に狙える位置だったので本気で取り組んだところ、見事その3枠に入ることができました。


この頃は社会人で、世界大会に出場するには1~2週間ほど仕事を休む必要があったんです。なので、思い切って会社を辞めました。

──長期休暇とかではなく?

Clutch:はい、お堅い会社で給料も同世代からすればよかったと思いますが、思い切って辞めました。時代背景的に、日本も少しずつFPSのプロゲーマーやチームが出始めてきた頃。これだけ熱中させてもらっているんだから、選手としてやっていくのもありだな、と。大会は2位でしたが、大きな賞金も出ましたし。

──プロとして活動していける見込みは?

Clutch:全然なかったですね(笑)。でも2位になったこともあって、「F4E」をチームごと面倒みるという企業が現れたんです。『オーバーウォッチ』をやるならという条件でしたが、ぜひということで。『オーバーウォッチ』でも大会で優勝して活躍することができました。

──そのあと『PUBG』に移っていますよね。

Clutch:はい、スポンサー企業からは離れて『PUBG』のプロリーグに参戦しました。実は参戦したときは社会人で、平日は働いて週末は大会に参戦、というスケジュールでした。

そして、2019年にROX Gamingに所属して、また会社を辞めてゲームに専念する生活になりました。現在はLag Gamingに所属しています。



──今は選手ではなくストリーマーにとして活躍されていますよね?

Clutch:恭一郎さん(UUUM所属のユーチューバー)に「ストリーマーになったほうがいい」とずっと言われていたんです。『PUBG』を始める前から「まずは配信をやったほうがいい」と。彼とは『AVA』時代から仲良くしてもらっています。

──ストリーマーとしての仕事以外はしていないのでしょうか?

Clutch:先日初めて、解説の仕事をさせていただきました。これまでも解説のお話はいただいていたんですけど、ずっと断っていたんですよ。自分にはそういう経験がまったくなかったので、うまくやれる自信がなくて……。今回は実況にyueさんがいるということで、せっかくだから1回やってみよう、と。


──反響とか自分自身の点数とかいかがですか?

Clutch:点数をつけるなら本当に低い点数になってしまいますが、反響はありましたね。「また見てみたい!」という声をいただきました。次もチャレンジになると思いますが、どんどんやっていきたいですね。


収入のほとんどはTwitch配信
企業案件は一度も受けたことがない


──今回はTwitch配信をメインにしているストリーマーのお仕事について知りたいのですが、収入はTwitchでの配信が中心なのでしょうか?

Clutch:イベント関連も多少はありますが、ほとんどはTwitchでの配信ですね。

──Clutchさんの配信をまだ観たことがない人に、自分のチャンネルはこういうところが特徴だと説明するとしたら?

Clutch:選手としてはバトロワ系はひととおりやりましたし、『オーバーウォッチ』や『VALORANT』も選手でした。なので、かなり質の高いゲームプレイをお見せできるんじゃないかな。最近は『VALORANT』でリスナー向けにコーチングをしたりしています。

──配信の企画は自分で考えているのですか?

Clutch:すべて自分です。リスナーからコメントでこういうのをやってほしいという要望を拾って、「お、それ面白そう!」というのは突発的にやったりしますね。リスナーとのキャッチボールは大切にしていきたいと思っています。


──「配信したくない」と思うときもありませんか?

Clutch:選手と並行してやっているときはありました。練習した後に配信、というのがつらくて。『PUPG』で選手しているときだったかな……。『PUBG』の選手なのに、配信では別のゲームを遊ばなければならないときもあるじゃないですか。別のゲームを遊んで配信するっていうのが、選手である自分を応援してくれているファンに申し訳ない気持ちになってしまって……。基本的にゲームを配信すること自体は好きなんですけどね。

──やはりベースにはゲームが大好き、というのがあるんですね。

Clutch:好きじゃないと続けられないですね。当たり前ですけど、ゲーム実況を長く続けている人は、みんなゲームが大好きだと思いますよ。

──例えばひとつのゲームだけずっとストイックにやるストリーマーの人もいれば、いろんなゲームをやる人もいますよね。タイトル選定はどうしているのでしょうか?

Clutch:自分の場合、合わないゲームは顔に出ちゃうので、自分が面白いと思ったゲームしか配信はやりません。なので、企業案件は一回も受けたことがないんです。案件でゲーム配信している方も結構いらっしゃるんですが、正直すごいなって思います。

言葉遣いと表現方法には日頃から注意
相手の表情を予想した発言を


──配信するうえで一番気をつけていることは?

Clutch:言葉遣いとか表現方法ですね。日頃から言葉は選んで発言するようにしています。コメントを読んでいくうえで、ノリで軽口を叩いちゃいそうにもなるんですが、目と目を合わせて話しているわけではないので、相手の表情を予想しつつ発言しているつもりです。それでも不快に感じてしまう方もいるかもしれませんが……。

──リスナーの年齢層とか男女比はどんな感じなのでしょうか?

Clutch:うぬぼれで言うわけではないんですが……始めたころは女性が8~9割だったと思います。でも今は4割ぐらいのはずです。

──それは、女性が減ってしまった? 男性が増えた?

Clutch:僕としては男性が増えたと思いたいですね(笑)。以前Twitchのアンケート機能を使って調べてみたんですが、そのときは男女比が半々、年齢層は20~30代が中心でした。でも、コメントの内容は明らかに男性のほうが多いです。

──ちなみに、YouTubeでは切り抜き動画としてアーカイブを残していますが、どういった基準ですか?

Clutch:リスナーの意見を聞いて、面白かったものはYouTubeに残して、配信後も観られるようにしています。自分の配信はとにかく長いので、Twitch側だけで精一杯。YouTube用に編集したりアップしたりとか、そこまでやる余力は今はないですね。



1日の配信時間は約10時間!
Twitchならではのサブスクギフト企画も

──通常の配信時間はどのくらいですか?

Clutch:Twitchのアナリティクスで確認してみたんですが、基本的に月280~300時間。なので1日10時間くらいですかね。Twitchだけで生活していくためということもありますが、独り身なので1日何時間配信してもストッパーがない。一度ゲームを遊び始めちゃうとずっと「楽しい!」ままなので、止められないんです。

──配信者としてTwitchにそこまでどっぷり浸かれる魅力は何でしょう?

Clutch:まず、アナリティクスでどのくらいの視聴者が来たとか、何時間配信してサブスクライブやフォローは何人増えたとか、そういう細かいデータを観られるのがありがたいですね。どのゲームを見ている方が多いといった情報もわかるので、見始めるとけっこうじっくり調べちゃいます。……とはいえ、それらをあまり配信には活かせてない気がします(笑)。でもこうしていろいろわかるのはありがたいです。

──そもそも誰でもTwitchでの配信は可能なんですよね。ただ、難しいんじゃないかと思ってしまいます。

Clutch:配信自体はメチャクチャ簡単ですよ! PCと配信ソフトさえあればいますぐできます。僕は『OBS Studio』という無料ソフトを使っていますが、そんなに難しい設定はほぼないですね。凝り始めたらキリがないですけど。

他の配信プラットフォームとちゃんと見比べたわけではないのですが、感覚として画質は一番いいですね。

あとTwitchならではの機能だと「サブスクギフト」がいいですね。リスナーが好きな配信者のサブスクをフレンドにプレゼントできる、という機能なんですが、「せっかくサブスクギフトをもらったから観てみるか」となって観てくれれば嬉しいですし、それでそのままサブスクを継続してくれることになればこんなに嬉しいことはないですし。めちゃくちゃいい機能だなって思います。


──サブスク登録者を増やすコツなどはあるのですか?

Clutch:とくにこれといったことはやっていないんですが、先日配信仲間で『マリオパーティ』をプレイした時、僕がビリになって罰ゲームで「一週間禁煙」を言い渡されたんです。

ただ逃げ道もあって、「サブスクギフト10個につき1本吸えます」という形にしたんですよ。そうしたら「これで一本吸ってください!」とギフトが飛び交って、結果的にまったく罰ゲームにならなくて、いつもどおり吸えました(笑)。

──リスナーも巻き込んで盛り上がれるのはいいですね。ちなみに、Twitchにこんな機能があったらいいな、というものはありますか?

Clutch:リスナーからよく言われるのが、「巻き戻し」(早戻し)の機能ですかね。僕のリスナーは配信画面をじっくり見ずにBGMとしてつけている人もいるんですが、僕やコメントのリアクションで「何があった?」と画面を見てももう遅い……ってことが多いんですよ。ちょっとだけ、10秒とかそのくらいでいいので戻せるといいなあと感じることはありますね。

実況者になりたいなら
思った瞬間に行動してほしい


──ゲーム実況者になりたいと思っている若者に向けて、何かアドバイスできることはありますか?

Clutch:やりたいと思った瞬間にすぐ行動してほしいなぁ、と思いますね。自分がそうだったので。世界大会に出場するために出るために会社を辞めましたし。これはゲームの世界に限らず何でもそうだと思います。何でもすぐに行動を起こすべきです。

──ゲーム実況についてご両親は何か言われたりしました?

Clutch:最初に会社を辞めたときはかなり言われましたね。そりゃもう怒られました。もちろんですけど。

──そこはどうやって説き伏せたんですか?

Clutch:やりたいんだからしょうがないだろ! って。自分がやりたいと思ったことは誰にも止められませんから。親は今になって冗談っぽく「うまくいくのはわかってたけどね」なんて言っていますけどね(笑)。

もちろん学業は大事ですし、僕も大学までは行きましたが、ずっとやりたいものが見つからなかったんです。とりあえず不動産関係に就職しましたが、それはやりたいことではありませんでしたし……。

こういう人間だったからこそ、やりたいものが見つかったときに、一気に動いて突っ走ったのかもしれません。

これからは散歩や食事など
自分のプライベートも配信していきたい

──2022年はどんな配信をしてきたいですか?

Clutch:ゲーム配信という括りだけではなく、ストリーマーとしてゲーム以外のことも配信していいのかな、と思っています。散歩の配信だったりジムの配信だったり。そういう生活面を見せることで、みんなと同じように健康的な生活をしているよ、とゲーム配信に対するマイナスイメージを払拭できればなぁと。

──私生活を晒すことに対する抵抗みたいなものはない?

Clutch:実は食べているところを映すのが結構イヤで、普段もご飯を食べるときはカメラを消していたんです。でも先日、解説の仕事で恭一郎さんと一緒に東京へ行ったんですが、途中で恭一郎さんの撮影に巻き込まれて(笑)、一緒にご飯を食べる配信に出たんですよ。それでもうなんかいろいろ吹っ切れて、プライベートを見せることに関しての抵抗がまったくなくなりました。

なのでこれからは、ゲーム配信はもちろんですけど、ファンが見たいと思うものならいろいろやっていきたいです。


──配信時間についてはどうですか?

Clutch:そうですね。短くしたいとかは考えていないですね。しばらくはいまくらいだと思います。これからも1日平均10時間配信を続けていきますよ。自分が30歳、40歳になっても変わらないんじゃないかなあ、って思います。

──最後に、ファンに対してメッセージをお願いします。

Clutch:いつまでストリーマーとして活動できるかわからないですけど、全力で配信していくので、良ければついて来ていただけると嬉しいです!


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