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No.02【LoL】僕の気持ちはまだ燃え尽きていない ~Zerostの覚書~
はじめまして。『リーグ・オブ・レジェンド』(以下:LoL)のプロチームBurning Coreに所属しているZerostです。eSportsの世界に飛び込んでから3年近くが経ちました。自分は他のプロゲーマーに比べ、数年間でいろんなチームに在籍してきました。また、近年は日本のeSports環境や注目の浴び方など変わってきたかと思います。拙い文章ではありますが僕が経験した事や感じることなどを書き綴っていこうかと思います。
プロゲーマーになるきっかけとチーム歴
僕が『LoL』のプロゲーマーになるキッカケは、現在DetonatioN FocusMe(DFM)のMidレーナーとして活動しているCeros選手と、ずっと昔からの知り合いということが大きかったです。彼が所属しているDetonatioN Gamingから「2nd teamを作ろうと思っているんだけどどう?」という誘いを受け、これを了承してチームとしての活動が始まりました。2ndチームであるDetonatioN RabbitFiveとして活動がスタートし、後にRabbitFiveとしてチームが独立します。他チームと合併した際に、1stチームであるDFMからのオファーを請けて加入し、DFMと契約が切れたときにBlack Eye(BE)へ移籍しました。その後にDFMへ再加入し、現在はBurning Coreで活動を続けています。
『LoL』を始めたころの環境
僕が『LoL』を始めたころは、まだまだeSportsという業界も発展途上でした。ゲーミングハウスなんてものはなく、プレイヤーは学業や仕事の合間に自宅からオンラインで行って、各自で上手くなるための練習をやる、という感じです。海外ではプロゲーミングチームにスポンサー企業が付いていたり、ゲーミングハウスでフルタイムで毎日チーム練習をしているなど、日本とは明らかに練習環境やeSportsの認知度の差がありました。
「日本においてゲームは遊びでしかなく、プロゲーマーは存在しない」
まだそんな認識だったころ、「LJL」という『LoL』のプロリーグがスタートし、これをきっかけに日本のeSportsシーンは変わってきたと思います。
2014年のシーズンは開幕戦と決勝戦だけがオフラインの試合でしたが、選手が会場に集まり、見てくれる観客がいる、という状況に感動しました。ゲームをひっくり返すような凄いプレイや珍しいチャンピオンピックがあると、ワーッと大きな歓声が起こる。決して大きい会場ではなかったのですがとても興奮し、僕もそこでプレイしたいと思ったのを覚えています。
翌年2015年のシーズンで、僕たちのチーム(DetonatioN RabbitFive)も無事LJL昇格を果たし、決勝にまで昇り詰めました。会場となったベルサール秋葉原には巨大なスクリーンが2つも設置され、観衆も500人以上集まりました。今まで聞いたこともなかった大きな歓声があがって、「あぁ、これがeSportsなんだ!」と実感しました。
2016年には『LoL』の日本サーバーが設置され、『LoL』はさらに盛り上がりを見せます。多くのチームがゲーミングハウスを作り、「給料」としてプロゲーマーにギャラが支払われ、海外選手を雇ってチームを強化していくようになりました。
ゲーミングハウスについて
ゲーミングハウスでの生活はどれも新鮮で、今までオンラインでしか話したことがなかった人と共同生活をして、一緒の机でご飯を食べて、同じ屋根の下で寝る……何だかとても感動しました。DFMに所属していたころは、正午に起きて午前4時には寝る、というサイクルでした。4時以降も朝までゲームしていたり、正午の昼礼に間に合わなかったりして、キツく怒られたこともありましたね(笑)。
練習面では、同じものを一緒に観ながら問題解決のための話し合いをすぐにできたり、今までは不可能だった「昼間に海外チームと練習試合」ができたりと、とにかく上手くなるためだけに集中できる環境が揃ってました。
もちろん、喧嘩になったこともあります。喧嘩してるのを皆で仲裁したりなど……いろいろありました……。
チームの移籍について
DFMのゲーミングハウスから、BEのゲーミングハウスへの引っ越し。新しい人たちとうまく馴染めるか、とても不安でした。元々レギュラーでやりたいという意思があり、「IWCI(International Wildcard Invitational)」から帰った一週間後ぐらいからチームを探し始めたのですが、条件が一致するチームがBEしかなかった……という形でした。当時BEは前シーズン0-10で降格を何とか免れたチームで、一時凌ぎ的な感じで移籍したのを覚えてます。多少は仕方ないとは思っていたのですが、DFMとの環境の差にびっくりしました。DFMって恵まれた凄い環境だったんだな……って。
シーズンの結果も、入れ替え戦で降格になり、環境もメンタルもお世辞にも良いとは言えない状況でした。ただ、今思うとプロとしてのキャリアにおいてはいい経験にはなったと思います。
DFMに再加入した心境
BEで1シーズンを過ごした後、これからどうするかなあ……と悩んでいたところ、いろんなチームからオファーを頂きました。その中にはDFMからのオファーも含まれていたので、再びDFMに加入することを決めます。もちろん、1回抜けたチームに出戻りするというのは少し悩みましたが、環境の良さなど総合的に考えて再加入を決意しました。以前DFMに居たときと比べると、パフォーマンスは他のプレイヤーから比べて落ちていたので、期待はされていないなという視線は感じていました。まあ、戻ったときのチームの反応としては普通でしたね。何も違和感なく、普通。Ceros選手が1人ゲーミングハウスでポツンとゲームしてたのを覚えてます。DFMに入ってネガティブな反応を見返してやろうと思ってました。
DFMのメンバーになるということは当然優勝しなきゃいけないし、期待にちゃんと応えることができるのか、正直とても不安な気持ちだったことを、いまでもはっきり思い出すことができます。
Burning Coreへ移籍、そしてこれから
2017年の春、DFMからBurning Coreへ移籍し、1シーズン戦い抜きました。必死に戦い抜いたのですが、降格という結果になってしまいました。入れ替え戦は1試合しか出てないのでもどかしい気持ちがとても大きかったです。今シーズン全敗で、来シーズンの命運を分ける入れ替え戦だけ出られないのは正直かなりのストレスでした。今シーズン改めて思ったのは、個々のプレイヤーの実力も大事ですが、一番大事なのはコミュニケーションだということです。今回僕たちが一戦も勝てなかった理由のひとつとしては、コミュニケーションが円滑に行われなかったことだと思っています。
英語が拙い日本人・韓国人が、試合中に母国語でしか喋らないなど、MOBAという1秒を争うジャンルのゲームなのに、コミュニケーションミスで重要な戦略を共有できないこともありました。もちろん、個々で意識しなければならない問題なのですが、それ以外の問題点にばかり目がいってしまい、なかなか改善できなかった点が良くなかったと考えています。
今シーズンはメンタルも含め、辛いことが多かったです。勝てると思っていた相手に勝てない、勝てそうな試合になってもコミュニケーションやマクロの差で捲られてしまう。勝てないとチームの雰囲気も淀んでいき、みんなフラストレーションが溜まっていく。そんなふうにズルズルと悪い方向に流されてしまいました。あのときもっとああしていれば……などと後悔することも、もちろんあります。
二部に落ちてはしまいましたが、僕の気持ちはまだ燃え尽きていません。来シーズンはLJLに再び昇格し、今度こそはファンの方々を喜ばせられるように尽力します。暖かく見守っていただければ幸いです。
Burning Core
Zerost
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■Zerost選手プロフィール
Burning Core所属の『LoL』選手、ロールはADCを担当。1996年1月27日生まれの21歳。日本リーグ「LJL」が発足する2014年以前より北米サーバーで『LoL』をプレイしてきた。FPSのプレイ経験も豊富。「DetonatioN Gaming」傘下のチームなど、さまざまなLJLのトップチームを渡り歩いてきた最古参のベテランのひとり。
■Burning Core連載
No.01【LoL】さらなる高みを目指して ~Astaroreからの手紙~
■関連リンク
『リーグ・オブ・レジェンド』
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Zerost選手のTwitter
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