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ALIENWARE × Predator対談【後編】「eSportsの普及でやるべきことは賞金ではない」
デルの「ALIENWARE」と日本エイサーの「Predator」。何かと比較されているふたつのゲーミングPCブランドが、ついに夢の対談を実現!? 前編では、それぞれブランドの成り立ちや日本のゲーミングPCの動向について語り合ってもらった。後編では、日本のeSportsのこれからについて、深く鋭くメスを入れていく。
ALIENWARE 柳澤真吾氏(以下、柳澤):eSportsに関して、私は谷さんにいろいろ聞きたいことがあるんですよ。
日本エイサーはTOKYO MX「eスポーツ MaX」やプロゲーミングチーム「SCARZ」のスポンサーをしていますよね。eスポーツ MaXは2年まえから、SCARZは昨年からやられているということで、eSports方面にかなり力を入れているなぁと思っていたんです。
Predator 谷康司氏(以下、谷):ちょっと話が長くなりますが……。もともと前職で北米を中心にゲームのマーケティングを担当していました。当時、アメリカの同僚が「これからはeSportsなんだよ」としきりに言うんですよ。
「じつはいま、アメリカではeSports市場で大きくなってきていて、これからもっと拡大する。とくに対戦格闘ゲームやFPSは、ゲームを売るためにもeSportsと関わりを持っていないと時代に取り残される」
と、現地の人たちが日本の私に一生懸命話すんです。
そこでアメリカまで観に行ったのですが……「これはまさにスポーツだ」と思いました。ゲームなんですけど、やっている人たちは、まさに、スポーツ選手なんです。競技レベルの大会に出るために、練習を積み重ねてきているんですね。そこで個人的にも魅了されたことが大きなキッカケになりました。
ただ、その話を日本のスタッフに説明しても、さっぱり理解してもらえませんでしたね。
「じゃあ、eSportsをやったらどれくらいゲームが売れるの?」
とかそんな話ばっかり。直接的に売るということではないけれど、そこに関わっていくことでプレイしている選手や視聴者、さらにその友だちへ……と波及効果があります。これはすごく大切なことだと思うんです。
この波は日本にも必ずやってくる! という思いから、前職で対戦格闘ゲームの全米大会を開きました。2年目はヨーロッパを、3年目は日本も加えて、少しずつ世界規模にして大きくしたんです。
……ということで前置きが長くなりましたが、先ほどの質問への私の答えとしては、スポンサードしたからといって製品が売れるかと言われれば、それだけでは効果は限定的かもしれません。でも、ゲーミングPCや周辺機器を取り扱う会社であれば、どこかでeSportsとの接点を持ち、高いレベルのプレイヤーの方たちに使っていただくことで、マシンそのものがそういった過酷な状況でもしっかり動作することを証明できますし、そういうお客様に使って喜んでいただきたいと思っています。逆に言うと、それだけかもしれません。
柳澤:そういう意味では、谷さんはeSportsへの取り組みが早かったですよね。私が「eSportsが来てるな!」と本当に感じたのは、去年の東京ゲームショウ2017(以下、TGS)です。一般紙やテレビ局とか雑誌とかの取材がやたら多くて、取材内容が「eSportsって何ですか?」なんですよね(笑)。
――そこをわかって取材に来ているわけではないんですね(笑)。
谷:やっぱりeSportsという言葉がひとり歩きしているんですよね。「e」ってなに?ということと、それがゲームのことだとわかった途端、どうしてもスポーツとつながらないんです。
ここについては私には持論がありまして。
日本のゲームって、最初にゲームセンター文化があって、そのつぎに家庭用ゲーム機の時代が長く続いたじゃないですか。日本ではパソコンゲームが中心となる時代を通ってないこともあって、ゲームはずっとおもちゃの延長扱いなんですよ。
典型的なのが、「ゲームをしすぎたらバカになる」とか、「ゲームは1日30分」とか、ゲームはつねにおもちゃであって、やりすぎると子供は勉強をしないというイメージがあるんですよね。日本でeSportsがなかなか理解されないのは、ゲームはおもちゃだという認識のせいなのかな、と思っているんです。
アメリカの格闘ゲームの大会とかを見にいくと、一生懸命練習してきて相手に勝ちたい! というような、スポーツ選手としての一面をみんな持っています。その様子を見ていると素直に「スポーツ」ですし、たまたまラケットがマウスやキーボードに変わったというだけなんですよね。
私は日本でeSportsを流行らせるために一番必要なことって、賞金ではないと思っています。もうちょっとゲームが文化的に許される世界を作り上げるほうが先なんじゃないかな、と。まさに谷さんがおっしゃった、親御さんがいう「ゲームは1日30分」ですが、それってふつうにテレビを30分見るのと変わらないとも思うんですよね。そこに差を感じたりします。
谷:人はプロのスポーツを見たときにどこに感動を覚えたり、そのスポーツを好きになるのかというと、結局戦っている選手たちの素晴らしい技だったり、チームプレイじゃないですか。eSportsもまったく同じで、ゴルフクラブやバットがマウスやキーボードに変わりました、というだけなんです。
いま、賞金の問題だったり、プロ化問題が報道されていたりしますけど、確かにそこにフォーカスするのはゴシップ的には面白いのかもしれない。でもそうじゃなくて、すでに一生懸命頑張っている選手がいるのに、そういう実情があまり記事にならない。
柳澤:いま開催されている冬季オリンピックのスポーツだって、賞金が必ずしも大きくない競技でも夢や感動を与えられるじゃないですか。競技の継続にお金はもちろん必要だけど、そこにばかりこだわってはいけないのかなと思ってます。
もともとALIENWARE ZONEをスタートさせたのも、ユーザーの心をうまく拾える場所がないかなと思っていたんです。会社のお金を使ってユーザーの役に立つことを何かしよう! って(笑)。
谷:ALIENWARE ZONEさんも、うちがスポンサーしている「eスポーツMaX」とかにも、どんどん情報を出して行っていただきたいです。
柳澤:スポンサーという意味でいうと、うちにはネモ選手がいます。あの方をスポンサードすると、ユーザーさんに希望が与えられると思ったので始めたことなんですよ。彼がALIENWARE ZONEでいろいろ語ってくれていますが、学生から社会人になるとゲームをやる人ってグッと減ります。でもネモ選手のように仕事しながらゲームをして極めている人もいる。
もちろん、彼は才能もあるし努力もしているから、誰もがネモ選手のようになれるわけではありません。ただ、彼にスポンサーすることで、いろんな幅が生まれるかな、って。社会人でもプロゲーマーになれるという例があれば、そこにチャンスが生まれるんですよ。それでゲームを続ける人が増えればいいなぁ、という思いがあります。
谷:ネモ選手は以前勤めていた会社を辞めてどうするのかなと思ったら、今度はスクウェア・エニックスさんに就職しましたしね。
柳澤:去年は大会でもすごく活躍しました。勝つことを厳命しているわけではなくて、ちゃんとバランス良くやってほしいと思っているんですが、いろんな大会で勝って節目節目で大きく話題になるんですよね。そういうことが人に感動を与えて、「ちょっと追いかけてみよう」とか「自分もゲームをやってみよう」とか、きっかけを作ってくれるんじゃないかな、と。
谷:グローバル市場で考えたとき、日本が遅れを取っているというのがすごく残念な気がします。なので、僕らがパソコンメーカーとして何ができるのかなとつねに考えています。
柳澤:そうですね、まだまだ本当にゲーム業界は大きくなるし、大きくしたいところですよね。いろんなポテンシャルがあるし、エンターテインメントとしてとらえられるようになっていきたいですし。
谷:前の会社でeSportsの部活動ができて、「eスポーツMaX」で行われた大会で優勝したんですよ。その記念写真が社内に飾られて、部費が上がったんだとか。最初に私がeSportsの説明した5年まえは「eSports? なんなんだそれ」って言っていた会社なのに(笑)、いまはぜんぜん違うみたいですね。
こうした部活動もそうですけど、いろんな企業がeSportsの活動をしていたり、大学生や一般人がチームを作っていますよね。もちろんそこにはプロチームもあります。でも、これまではそれを束ねる人や組織がなかった。束ねるために協会が3つあったり。そんなバラバラなことをしていたら大きなウェーブは起こらないよなあ、って。
それが、この2月にJeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)という一つの組織にまとまったので、これがもうちょっとオーガナイズされて方向性ができてくると加速度的に広がっていくと思います。
たとえば弊社みたいなハードウェアのメーカーとソフトウェアのメーカーが組みましょうとか、そこにメディアやテレビ、マイクロソフトさんみたいな会社とかどんどん来ていただいて、みんなで一気に盛り上げて行きましょう、みたいに。
これまではバラバラに少しずつ様子を見ながらいろんな会社がeSportsに投資していました。今年こそ日本のeSports元年になりそうなので、そのフェーズから加速していってほしいなと思うし、そういうことに対して我々も積極的にやっていきたいですね。
柳澤:広い意味で言えば、JeSUは絶対プラスになるはずなんですよね。一般の認知が取れるという意味でも大きい。あの組織が大きく旗を振ってくれているおかげで、多くの人に知ってもらえます。
谷:弊社がスポンサーしている「eスポーツ MaX」も、番組としてもいろいろなことを考えています。いままではコアな視聴者に向けてやっていたんですけど、どうやって裾野を広げていけるのか、という部分もやはり大きな課題です。
――たとえば普通に民放の夜のスポーツニュースとかでも扱われるようになるとか……。
谷:夜や深夜のニュースでもいいんですが、それだとやっぱり寝ないといけない時間にやっている番組というイメージになってしまうので、できれば朝のニュースとかでやってほしいな(笑)。
柳澤:昨日の試合結果とか、少しでいいからやってほしいですよね。最初からゲームの試合結果、というとハードルがとても高そうなので、入りやすいところとして、まずは将棋の結果をスポーツコーナーで流してほしいかな。将棋も「マインドスポーツ」って言われていますし、そうなってくると全然違いそう。
谷:たとえば、LJLでもファイナルの決勝大会だと大会場に何千人も集まるわけじゃないですか。こういうのももっとニュースになってもいいと思いますし、その向こうに世界大会もあるとなれば、「ニッポン頑張れ!」とオリンピックと同じような熱が沸きますよね。スピードスケートの小平奈緒選手が2位になった韓国の選手と話して話題になりましたが、eSportsの選手なんて、他チームの選手とヒソヒソ話なんかしょっちゅうしてますよ(笑)。
――そろそろ、お時間が来たようですので、最後に何か言い残したことがあれば……!
谷:今回こういう機会をご提案いただいて座談会をやらせていただいたんですけど、生々しい話をすると、それぞれのブランドで自分たちの製品が売れたらいいと思っているのはもちろんなんですが、その前段階で裾野を広げていくために、こういう活動を他のメーカーさんも含めて3社、4社で話してみたいですね。
柳澤:まさにこの記事を読んで、次に何かしたいというメーカーさんが、周辺機器メーカーでもソフトウェアメーカーでもALIENWAREに声をかけてくれたらすごくうれしいですね。それをきっかけにそれぞれのファンが見てくれて、新しいファンが来て、そういうふうにしてもっともっとマーケットづくりをしたいです。売上を競うことは、とりあえず脇に置いておいて(笑)。
それと、こういう対談とか座談会って、これまではプレイヤー寄りの視点が多かったと思うんです。自分の人生を懸けているプロゲーマーより、PCメーカーの担当者の話には重みはないかもしれません。だけど、PCメーカーもゲームを愛していて、いろんなかたちで盛り上げたいと思っているんだよ、ということを少しでも知ってもらえたらいいなと思っています。こういう対談をプラスにとらえてくれる人が弊社の社内も含めて(笑)、もっと増えたらいいなと思いますね。
谷:今日は素晴らしい機会をいただいてありがとうございました!
柳澤:反響が良かったらネタを考えて第2回もやりましょう!
<前編はこちら>
歴史的な2大メーカーの対談がレポートされます。ぜひこちらもご覧ください。視聴者プレゼントもあるよ!
eスポーツ MaX(毎週木曜日 20:00〜20:30)
放送予定日:3月8日(木)
以下の2製品をセットにして1名様に差し上げます。
■応募方法
ALIENWARE ZONEのTwitter「@alienwarezone」をフォローし、以下のリンクから感想を添えてツイートしてください。
※当選者には、ALIENWARE ZONEのTwitterアカウントより、ダイレクトメッセージでご連絡いたします。あらかじめ、ダイレクトメッセージを受信できるように設定してください。
※当選者の発表は、当選者本人にのみご連絡いたします。
■プレゼント
ALIENWARE「Mobile Edge Alienware Vindicator(15インチ用)」
Predator「ゲーミングマウス Powered by SteelSeries PMW510」
■応募締め切り
2018年3月30日(金)ツイート分まで
■関連記事
ALIENWARE × Predator対談【前編】「エイリアンに勝つため、名前をプレデターにした」
https://alienwarezone.jp/post/740
■関連リンク
ALIENWARE
http://www.alienware.jp/
Predator
https://www.acer.com/ns/ja/JP/predator-world/
TOKYO MX 「eスポーツ MaX」
http://s.mxtv.jp/esports_max/
エムキャス「eスポーツ MaX」
http://mcas.jp/movie.html?id=749817085&genre=453017947
両社が考えるeSportsへの関わり方
――eSports方面についても、両社の意見を聞きたいのですが……。ALIENWARE 柳澤真吾氏(以下、柳澤):eSportsに関して、私は谷さんにいろいろ聞きたいことがあるんですよ。
日本エイサーはTOKYO MX「eスポーツ MaX」やプロゲーミングチーム「SCARZ」のスポンサーをしていますよね。eスポーツ MaXは2年まえから、SCARZは昨年からやられているということで、eSports方面にかなり力を入れているなぁと思っていたんです。
Predator 谷康司氏(以下、谷):ちょっと話が長くなりますが……。もともと前職で北米を中心にゲームのマーケティングを担当していました。当時、アメリカの同僚が「これからはeSportsなんだよ」としきりに言うんですよ。
「じつはいま、アメリカではeSports市場で大きくなってきていて、これからもっと拡大する。とくに対戦格闘ゲームやFPSは、ゲームを売るためにもeSportsと関わりを持っていないと時代に取り残される」
と、現地の人たちが日本の私に一生懸命話すんです。
そこでアメリカまで観に行ったのですが……「これはまさにスポーツだ」と思いました。ゲームなんですけど、やっている人たちは、まさに、スポーツ選手なんです。競技レベルの大会に出るために、練習を積み重ねてきているんですね。そこで個人的にも魅了されたことが大きなキッカケになりました。
ただ、その話を日本のスタッフに説明しても、さっぱり理解してもらえませんでしたね。
「じゃあ、eSportsをやったらどれくらいゲームが売れるの?」
とかそんな話ばっかり。直接的に売るということではないけれど、そこに関わっていくことでプレイしている選手や視聴者、さらにその友だちへ……と波及効果があります。これはすごく大切なことだと思うんです。
この波は日本にも必ずやってくる! という思いから、前職で対戦格闘ゲームの全米大会を開きました。2年目はヨーロッパを、3年目は日本も加えて、少しずつ世界規模にして大きくしたんです。
……ということで前置きが長くなりましたが、先ほどの質問への私の答えとしては、スポンサードしたからといって製品が売れるかと言われれば、それだけでは効果は限定的かもしれません。でも、ゲーミングPCや周辺機器を取り扱う会社であれば、どこかでeSportsとの接点を持ち、高いレベルのプレイヤーの方たちに使っていただくことで、マシンそのものがそういった過酷な状況でもしっかり動作することを証明できますし、そういうお客様に使って喜んでいただきたいと思っています。逆に言うと、それだけかもしれません。
柳澤:そういう意味では、谷さんはeSportsへの取り組みが早かったですよね。私が「eSportsが来てるな!」と本当に感じたのは、去年の東京ゲームショウ2017(以下、TGS)です。一般紙やテレビ局とか雑誌とかの取材がやたら多くて、取材内容が「eSportsって何ですか?」なんですよね(笑)。
――そこをわかって取材に来ているわけではないんですね(笑)。
谷:やっぱりeSportsという言葉がひとり歩きしているんですよね。「e」ってなに?ということと、それがゲームのことだとわかった途端、どうしてもスポーツとつながらないんです。
ここについては私には持論がありまして。
日本のゲームって、最初にゲームセンター文化があって、そのつぎに家庭用ゲーム機の時代が長く続いたじゃないですか。日本ではパソコンゲームが中心となる時代を通ってないこともあって、ゲームはずっとおもちゃの延長扱いなんですよ。
典型的なのが、「ゲームをしすぎたらバカになる」とか、「ゲームは1日30分」とか、ゲームはつねにおもちゃであって、やりすぎると子供は勉強をしないというイメージがあるんですよね。日本でeSportsがなかなか理解されないのは、ゲームはおもちゃだという認識のせいなのかな、と思っているんです。
アメリカの格闘ゲームの大会とかを見にいくと、一生懸命練習してきて相手に勝ちたい! というような、スポーツ選手としての一面をみんな持っています。その様子を見ていると素直に「スポーツ」ですし、たまたまラケットがマウスやキーボードに変わったというだけなんですよね。
eSportsに興味を持ってもらうには
柳澤:語弊があるかもしれないですけど、日本ってマイナーな趣味に対して偏見が強いのかなという気もしますよね。海外ではゲームというのものに対して普通に趣味として成立していますし、中学生くらいから普通にPCを部屋で使うじゃないですか。小さいころからひとりでいる文化だし。そうなると、PCゲームのスタートも早いし、ユーザー数も多い。だから、いろいろな環境が前向きに与えられているんですよ。日本はそこが難しい。私は日本でeSportsを流行らせるために一番必要なことって、賞金ではないと思っています。もうちょっとゲームが文化的に許される世界を作り上げるほうが先なんじゃないかな、と。まさに谷さんがおっしゃった、親御さんがいう「ゲームは1日30分」ですが、それってふつうにテレビを30分見るのと変わらないとも思うんですよね。そこに差を感じたりします。
谷:人はプロのスポーツを見たときにどこに感動を覚えたり、そのスポーツを好きになるのかというと、結局戦っている選手たちの素晴らしい技だったり、チームプレイじゃないですか。eSportsもまったく同じで、ゴルフクラブやバットがマウスやキーボードに変わりました、というだけなんです。
いま、賞金の問題だったり、プロ化問題が報道されていたりしますけど、確かにそこにフォーカスするのはゴシップ的には面白いのかもしれない。でもそうじゃなくて、すでに一生懸命頑張っている選手がいるのに、そういう実情があまり記事にならない。
柳澤:いま開催されている冬季オリンピックのスポーツだって、賞金が必ずしも大きくない競技でも夢や感動を与えられるじゃないですか。競技の継続にお金はもちろん必要だけど、そこにばかりこだわってはいけないのかなと思ってます。
もともとALIENWARE ZONEをスタートさせたのも、ユーザーの心をうまく拾える場所がないかなと思っていたんです。会社のお金を使ってユーザーの役に立つことを何かしよう! って(笑)。
谷:ALIENWARE ZONEさんも、うちがスポンサーしている「eスポーツMaX」とかにも、どんどん情報を出して行っていただきたいです。
柳澤:スポンサーという意味でいうと、うちにはネモ選手がいます。あの方をスポンサードすると、ユーザーさんに希望が与えられると思ったので始めたことなんですよ。彼がALIENWARE ZONEでいろいろ語ってくれていますが、学生から社会人になるとゲームをやる人ってグッと減ります。でもネモ選手のように仕事しながらゲームをして極めている人もいる。
もちろん、彼は才能もあるし努力もしているから、誰もがネモ選手のようになれるわけではありません。ただ、彼にスポンサーすることで、いろんな幅が生まれるかな、って。社会人でもプロゲーマーになれるという例があれば、そこにチャンスが生まれるんですよ。それでゲームを続ける人が増えればいいなぁ、という思いがあります。
谷:ネモ選手は以前勤めていた会社を辞めてどうするのかなと思ったら、今度はスクウェア・エニックスさんに就職しましたしね。
柳澤:去年は大会でもすごく活躍しました。勝つことを厳命しているわけではなくて、ちゃんとバランス良くやってほしいと思っているんですが、いろんな大会で勝って節目節目で大きく話題になるんですよね。そういうことが人に感動を与えて、「ちょっと追いかけてみよう」とか「自分もゲームをやってみよう」とか、きっかけを作ってくれるんじゃないかな、と。
JeSUの存在がプラスになるはず!?
――ゲーム大国日本なのに、PCでゲームを遊ぶということに関してはかなり出遅れていますよね。それもあってeSportsの普及も遅れているというか。谷:グローバル市場で考えたとき、日本が遅れを取っているというのがすごく残念な気がします。なので、僕らがパソコンメーカーとして何ができるのかなとつねに考えています。
柳澤:そうですね、まだまだ本当にゲーム業界は大きくなるし、大きくしたいところですよね。いろんなポテンシャルがあるし、エンターテインメントとしてとらえられるようになっていきたいですし。
谷:前の会社でeSportsの部活動ができて、「eスポーツMaX」で行われた大会で優勝したんですよ。その記念写真が社内に飾られて、部費が上がったんだとか。最初に私がeSportsの説明した5年まえは「eSports? なんなんだそれ」って言っていた会社なのに(笑)、いまはぜんぜん違うみたいですね。
こうした部活動もそうですけど、いろんな企業がeSportsの活動をしていたり、大学生や一般人がチームを作っていますよね。もちろんそこにはプロチームもあります。でも、これまではそれを束ねる人や組織がなかった。束ねるために協会が3つあったり。そんなバラバラなことをしていたら大きなウェーブは起こらないよなあ、って。
それが、この2月にJeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)という一つの組織にまとまったので、これがもうちょっとオーガナイズされて方向性ができてくると加速度的に広がっていくと思います。
たとえば弊社みたいなハードウェアのメーカーとソフトウェアのメーカーが組みましょうとか、そこにメディアやテレビ、マイクロソフトさんみたいな会社とかどんどん来ていただいて、みんなで一気に盛り上げて行きましょう、みたいに。
これまではバラバラに少しずつ様子を見ながらいろんな会社がeSportsに投資していました。今年こそ日本のeSports元年になりそうなので、そのフェーズから加速していってほしいなと思うし、そういうことに対して我々も積極的にやっていきたいですね。
柳澤:広い意味で言えば、JeSUは絶対プラスになるはずなんですよね。一般の認知が取れるという意味でも大きい。あの組織が大きく旗を振ってくれているおかげで、多くの人に知ってもらえます。
谷:弊社がスポンサーしている「eスポーツ MaX」も、番組としてもいろいろなことを考えています。いままではコアな視聴者に向けてやっていたんですけど、どうやって裾野を広げていけるのか、という部分もやはり大きな課題です。
――たとえば普通に民放の夜のスポーツニュースとかでも扱われるようになるとか……。
谷:夜や深夜のニュースでもいいんですが、それだとやっぱり寝ないといけない時間にやっている番組というイメージになってしまうので、できれば朝のニュースとかでやってほしいな(笑)。
柳澤:昨日の試合結果とか、少しでいいからやってほしいですよね。最初からゲームの試合結果、というとハードルがとても高そうなので、入りやすいところとして、まずは将棋の結果をスポーツコーナーで流してほしいかな。将棋も「マインドスポーツ」って言われていますし、そうなってくると全然違いそう。
谷:たとえば、LJLでもファイナルの決勝大会だと大会場に何千人も集まるわけじゃないですか。こういうのももっとニュースになってもいいと思いますし、その向こうに世界大会もあるとなれば、「ニッポン頑張れ!」とオリンピックと同じような熱が沸きますよね。スピードスケートの小平奈緒選手が2位になった韓国の選手と話して話題になりましたが、eSportsの選手なんて、他チームの選手とヒソヒソ話なんかしょっちゅうしてますよ(笑)。
――そろそろ、お時間が来たようですので、最後に何か言い残したことがあれば……!
谷:今回こういう機会をご提案いただいて座談会をやらせていただいたんですけど、生々しい話をすると、それぞれのブランドで自分たちの製品が売れたらいいと思っているのはもちろんなんですが、その前段階で裾野を広げていくために、こういう活動を他のメーカーさんも含めて3社、4社で話してみたいですね。
柳澤:まさにこの記事を読んで、次に何かしたいというメーカーさんが、周辺機器メーカーでもソフトウェアメーカーでもALIENWAREに声をかけてくれたらすごくうれしいですね。それをきっかけにそれぞれのファンが見てくれて、新しいファンが来て、そういうふうにしてもっともっとマーケットづくりをしたいです。売上を競うことは、とりあえず脇に置いておいて(笑)。
それと、こういう対談とか座談会って、これまではプレイヤー寄りの視点が多かったと思うんです。自分の人生を懸けているプロゲーマーより、PCメーカーの担当者の話には重みはないかもしれません。だけど、PCメーカーもゲームを愛していて、いろんなかたちで盛り上げたいと思っているんだよ、ということを少しでも知ってもらえたらいいなと思っています。こういう対談をプラスにとらえてくれる人が弊社の社内も含めて(笑)、もっと増えたらいいなと思いますね。
谷:今日は素晴らしい機会をいただいてありがとうございました!
柳澤:反響が良かったらネタを考えて第2回もやりましょう!
<前編はこちら>
■TOKYO MX「eスポーツ MaX」で対談の模様を放送!
対談の途中に、TOKYO MXのeSportsを紹介するバラエティ番組「eスポーツ MaX」が突然乱入!歴史的な2大メーカーの対談がレポートされます。ぜひこちらもご覧ください。視聴者プレゼントもあるよ!
eスポーツ MaX(毎週木曜日 20:00〜20:30)
放送予定日:3月8日(木)
ALIENWARE × Predator対談記念 スペシャルプレゼント
ALIENWAREとPredatorが同席するという異色のコラボ実現を記念して、2社からALIENWARE ZONE読者に向けてプレゼント!以下の2製品をセットにして1名様に差し上げます。
■応募方法
ALIENWARE ZONEのTwitter「@alienwarezone」をフォローし、以下のリンクから感想を添えてツイートしてください。
プレゼント応募はこちらから
※当選者には、ALIENWARE ZONEのTwitterアカウントより、ダイレクトメッセージでご連絡いたします。あらかじめ、ダイレクトメッセージを受信できるように設定してください。
※当選者の発表は、当選者本人にのみご連絡いたします。
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ALIENWARE「Mobile Edge Alienware Vindicator(15インチ用)」
Predator「ゲーミングマウス Powered by SteelSeries PMW510」
■応募締め切り
2018年3月30日(金)ツイート分まで
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ALIENWARE × Predator対談【前編】「エイリアンに勝つため、名前をプレデターにした」
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エムキャス「eスポーツ MaX」
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