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「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグpowered by CAPCOM」が切り開いた“新しさ”とは

動画配信サイト「OPENREC.tv」のコンテンツとして開始した、年間を通じて開催する複合型eSportsイベントの「RAGE」は『シャドウバース』や『ストリートファイターV アーケードエディション』など人気タイトルのeSportsリーグ、イベントを行い、その様子を配信しています。

どのタイトルの動画も高い人気を誇っていますが、その中でもひときわ話題だったのが、「ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」です。

▲総勢18人のトッププロ選手がチームでリーグ戦を戦ったeSportsイベント「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」

CAPCOM Pro TourやEVOなどの世界大会で活躍する日本人トッププロプレイヤーが一同に会し、3on3のチーム戦を展開。6〜7月の2カ月間に渡り10節が行われ、7月28日にファーストシーズンの優勝チームが決定しました。

この「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」は、6人のチームリーダーが自分のチームに入れたい有望な選手をドラフト方式で誘うという、eSportsリーグではおそらく初めてとなる試みを行っています。そこで、この「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」について、OPENREC.tvを運営する今大会の仕掛け人、株式会社CyberZ取締役である青村陽介氏にお話を伺ってきました。

「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」の運営を担当したCyberZ取締役 青村陽介氏

普段見られない「作戦会議」が大人気

「RAGEで『ストリートファイターV アーケードエディション』のリーグ戦を作るにあたり、カプコンと事前に相談してきました。カプコンから、課題とされたのは、『CAPCOM Pro Tour』との差別化、そして『チームバトルモード』の利用でした。団体戦を行いたいという、RAGE側の要望と、カプコン側の課題と合致したので、企画自体はスピーディーに固められていきました。苦心したのは、如何に消化試合を出さないようにするか?ということでした。本リーグは3on3の団体戦となるため、先に2勝すると、残りの1試合が消化試合になります。またリーグ後半、順位が見え始めた試合はどうしても視聴者の興味が失われがちです。そこを解消するために、勝ち抜き戦ではなく、星取り戦を採用。また、総当たりのリーグ戦を行った後にプレーオフとして決勝大会のトーナメントを設置しました。こうすることで1戦1戦の重要性が高まるので、1セットごとに作戦会議が行われ、その様子が結果的にこれまでにない面白さを出していました」(青村氏)

通常のeSports大会では、試合と試合の間は、実況席が映し出され、場つなぎとして試合展望や選手の近況などを話すことが多くなっています。「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」も最初は実況席を映すこともありましたが、後半は、選手が話し合っている姿を映すスタイルに変更されました。これは、放送期間中に選手が話し合っている姿を希望する視聴者が多いことがわかったから。毎試合のCAPCOMによる放送のフィードバックと、その反映に尽力したRAGEスタッフの頑張りがあってこそ実現したカイゼンだそうです。

勝ち抜き戦ではない以上、相手チームと自分のチームの出場順によって、大きく勝敗に関わってくるので、それらの読み合いも見どころでした。
他にも、チームバトルモードとしてみるべき箇所の画面選定や、星取り戦ならではの、画面インターフェースの改良など、放送期間中にPDCAのサイクルを回していたそうです。

▲1セット終了後に映し出される作戦会議の様子。相手との組み合わせを読んだり、対策を練ったりしているところが動画で配信され、人気となった

チーム分けはわかりやすく公平に

「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」は6チームによる対戦となっていますが、そのチーム分けにも妙があります。

「チームリーダーとなる6人は、2017年のCAPCOM Pro Tourの日本人選手の順位で上から6人を選びました。実績などを考えると、リーダーになるべき人はたくさんいましたが、わかりやすく公平だと思い、ランキングになりました。

また、個人的には若手のプレイヤーの方にもリーダーになってもらいたいなと思っていたところ、藤村選手ともけ選手がランキングの上位に入っていたので、結果的にベストが出来たのではないかと思っています。

リーダーが決まったらチーム名を決めるわけですが、イメージカラーからとることに決まりました。でも、選手のイメージカラーを考える時、多少難航した選手もいましたね。未だに『なんでこの色?』って思われてしまうことはあるんじゃないでしょうか。もけ選手や板橋ザンギエフ選手は所属チームのカラーからすぐ決まったんですけど、単純に”ブルー“ではなく“オーシャン”のようにカラーの名称にもこだわりました」(青村氏)

▲「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」で選ばれた精鋭6名。ネモ選手、板橋ザンギエフ選手、藤村選手、ウメハラ選手、もけ選手、そしてときど選手

リーグを始めるにあたって、参戦が決定しているのはこの6人だけだったと言います。残りの12人はリーダーによる純粋なドラフト指名で、結果的には不参加の選手はいませんでした。場合によってはとれなかった選手がいたかもしれないというのはなかなか興味深い話です。

ドラフトを見た多くの人の声から、最もチーム編成がうまくいったと思われていたのが、ときど選手率いる「トキドフレイム」でした。ふ~ど選手、マゴ選手の組み合わせはまさに優勝候補筆頭でしたが、蓋を開けてみれば最下位。1先3セットという、他で見ない試合形式に最後まで慣れなかったという印象でした。

しかし、「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」終了後に行われた「EVO 2018」では、ときど選手とふ~ど選手がファイナリスト8名に名を連ねており、その実力の高さを証明しています。試合形式によって実力がうまく発揮できなかったというのも、新たなリーグを行った意味があったのではないでしょうか。

▲「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」では八面六臂の活躍でチームの優勝を牽引した板橋ザンギエフ選手

▲前節までは圧倒的有利で優勝目前としながらも3位に終わった、「ウメハラゴールド」を率いるウメハラ選手

チームワークやチーム戦など、プロレス的な面白さも

チーム戦の試みとしては、個人戦にない選手間のコミュニケーションも挙げられます。チームワークはもちろんのこと、チーム同士の対立なども見どころのひとつとして楽しめました。

特に「ネモオーロラ」は、そういう意味ではもっとも「RAGE ストリートファイターV オールスターリーグ powered by CAPCOM」を盛り立てていました。宿敵(?)板橋ザンギエフ選手や、チームメイトであるストーム久保選手とのやりとりを楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか。まさにプロレス的で、試合に勝つだけがプロ選手の役目ではないということを示してくれたと感じました。

▲3位と不利な状況から逆転優勝した「イタザン オーシャン」

▲次回開催は「まったくの白紙」としながらも、青村氏の目はやる気に満ちあふれているように見える

今回のリーグは、CAPCOM Pro Tourなど世界での大会を中心に空いた期間を狙って日程を組まれていましたが、それでも選手の負担が大きいスケジューリングになってしまったと、青村氏も言っています。また、オールスターと冠しているように、お祭り感がなによりも重要だったとも言います。したがって、セカンドシーズンを望みたいものの、「現時点では未定と言わざるを得ない」とのことでした。もちろん、前向きに検討したうえでなので、きっと期間は空いてしまったとしても、また開催してくれることでしょう。

また、CAPCOM Pro Tourなど、海外の大会やリーグ戦の合間を縫って開催しなくてはならないというのは、それだけ日本での大会規模や選手の報酬、世界各国のプレーヤーを呼び寄せるだけの土壌が整っていないとも言えます。いつか、日本のリーグと海外のリーグのどちらを主戦場とするか、選手が選択できるような状況になれば、日本のeSports市場も確立していくのではないでしょうか。


■RAGE STREET FIGHTER V All-Star League powered by CAPCOM RESULT
<ランキング>
チーム名/試合の勝敗/セット内の勝数
フジムラエメラルド/7WIN 3LOSE/+16
ウメハラゴールド/7WIN 3LOSE/+14
イタザンオーシャン/7WIN 3LOSE/+11
ネモオーロラ/4WIN 6LOSE/-4
モケサンライズ/3WIN 7LOSE/-21
トキドフレイム/2WIN 8LOSE/-16

<セミファイナル>
ウメハラゴールド 1 vs 3 イタザンオーシャン

<グランドファイナル>
イタザンオーシャン 3 vs 1 フジムラエメラルド

■関連リンク
RAGE STREET FIGHTER V All-Star League powered by CAPCOM
https://rage-esports.jp/league/sfv/

■株式会社カプコンについて
1983年の創業以来、ゲームエンタ-テインメント分野において数多くのヒット商品を創出するリーディングカンパニー。代表作として、「バイオハザード」、「ストリートファイター」、「ロックマン」、「モンスターハンター」、「デビル メイ クライ」などのシリーズタイトルを保有しています。
本社は大阪にあり、米国、イギリス、ドイツ、フランス、香港および韓国に海外子会社があります。
http://www.capcom.co.jp/

■ストリートファイターVについて
「ストリートファイター」シリーズは、1987年に業務用ゲーム機として第1作目を発売後、1991年発売の『ストリートファイターII』において大ヒットを記録しました。革新的な対戦システムが話題を呼び、家庭用ゲームソフトでは全世界でシリーズ累計4,000万本(2018年3月末日時点)の出荷を誇るなど、対戦格闘ゲームというジャンルを確立し、登場から30年経た今なお世界中で人気を博しており、eスポーツにおける格闘ゲーム分野を牽引するタイトルとなっています。「ストリートファイター」シリーズ史上初の、「PlayStation®4」ユーザーとPCユーザーが対戦できる「クロスプラットフォーム」プレイの導入を実現しております。 http://www.capcom.co.jp/sfv/

■『ストリートファイターV アーケードエディション』商品情報
STREET FIGHTER V ARCADE EDITION
(ストリートファイターV アーケードエディション)
・対応ハード:PlayStation®4 / PC
・ジャンル:対戦格闘
・プレイ人数:1~2人(オンライン2~8人)
・発売日:好評発売中
・CEROレーティング:B
・公式サイト:http://www.capcom.co.jp/sfv/AE/
・権利表記:©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.

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