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「僕らは『eスポーツ』という言葉を勘違いしてはいない」 ~かずのこ選手の過去・現在・未来~【後編】
前編では、地元のゲームセンターで攻略おじさんに見いだされてから(?)プロゲーマーになるまでのルーツを語ってくれたBurning Core所属のかずのこ選手。後編では天才マルチゲーマーの意外な悩みが判明……!?
かずのこ:ずっとやっていましたね。やっぱり面白くて。海外大会とかも『ストリートファイター』と『ギルティギア』の2種目で出たりしていましたし。少しだけ『ブレイブルー』もやっていましたが、やっぱり“にわか”では勝ちきれませんでしたね。
――そうですね、かずのこ選手といえば、いろいろなゲームで結果を出すマルチゲーマーというイメージがあります。
かずのこ:でもやっぱり難しいですよ。昔は、『ストリートファイターII』から格闘ゲームの歴史が始まっているので、“『ストリートファイター』シリーズが上手いやつがゲームが上手いやつ”みたいな空気を感じていたんですけど、自分でいろいろなゲームをやってみた感覚としては、どのゲームのプレイヤーもレベルが高くて尊敬できるなと思いました。現在の競技シーンで、いろいろなゲームで結果を出すというのは本当に難しいなと思っています。
――とは言え、かずのこ選手は様々なゲームの大会でトップに食い込んでいますよね。今回のインタビュー中に絶対に聞こうと思っていたんですが、かずのこ選手がいろんなゲームで勝てている理由というか、強みになっているところはどこなんでしょう?
かずのこ:相手に合わせることですかね。流れを読む、相手に合わせる。人より得意な部分があるとしたら、その能力だけじゃないですかね。
――相手に合わせると言っても、無敵技のジャンケンとかそういうレベルでは無いですよね。
かずのこ:極端な部分で言えばそれもあるんですけど、対戦中の動きを見ていて「相手はこうしたいんだろうな」というのを読んで、そこを突くという感じですかね。
自分がこういう動きを見せたら、やっぱりそういう反応するよね? という部分。さっき(前編で)話したように、それはどの格闘ゲームにも共通する基本ではあるんですけど、そこが人より少し得意なのかな? とは思います。だから新しいゲームが出てすぐの頃に結果を出せることが多いですね。出たばかりのゲームはまだ「この局面ではこれが正解」というような攻略が完全には煮詰まっていなくて、人対人の駆け引きで勝負する部分が多いので。
――なるほど。とは言え『ウルトラストリートファイターIV』で「カプコンカップ」を制しているので、ご謙遜もあるとは思いますが(笑)。
かずのこ:でも最近本当に思いますよ。リリース直後の『ドラゴンボール ファイターズ』や『SAMURAI SPIRITS』ではけっこう良い成績を収めることができたんですけど、4年目に入った『ストV』では勝てていないですからね。
――たしかに、前シーズンまでのほうが上位入賞の回数は多かったですね。
かずのこ:『ストV』というゲームを競技として取り組もうとした場合、ものすごく硬派なプレイを要求されるんですよ。不利になったときに安直な回避策が無い。「この状況になったらこれが最適解、それを選択して来るなら相手はこう対応するべき」という感じで、攻めも守りもものすごい精度が求められるんです。『ストV』一本に絞って競っているトッププレイヤーたちはそこを超高精度でこなしたうえで、その状況にならないために安直な仕掛けをせずに、ちゃんと追い詰めて、ちゃんと崩しているんです。突き詰めようと思ったらめちゃくちゃ硬派なゲーム性なんですよ。
――たしかに『ストV』のトッププレイヤーの試合は、壁を押し合っているかのようです。安直なジャンプ攻撃は落とされるし、そう簡単に左右を入れ換えることもできない。
かずのこ:自分は相手に合わせる戦い方なので、自分の駆け引きに相手を乗せてしまえば精度なんていらないんですけど、『ストV』のトッププレイヤーはプレイの精度が高すぎて崩せないんです。彼らのレベルを崩すなら自分も『ストV』一本に絞って、同じくらいの精度で立ち向かわないといけない。
もちろん、ゲームなのでジャンケンに勝てば勝てることもあるんですけど、「カプコンプロツアー」の公式大会で上位に食い込むのはいつもだいたい同じメンバーですよね。彼らが最後のギリギリで負けないのは、そういった真面目な取り組みをしているからだと思います。
――『ストV』も4年目になり、セオリーをものすごい精度で実行できないと駆け引きに持ち込めない感じですかね。
かずのこ:他のゲームでも時間が経つほどに精度は上がっていくんですけど、『ストV』はシンプルなゲーム性も相まって、特に専門でやったほうがギリギリの部分で強いのかなって思います。
少し専門的な話にはなりますが、同じシンプルなゲームでも『SAMURAI SPIRITS』はバックステップがすごく強かったりジャンプが1フレームだったりと、強力な逃げ道があるんです。そういう部分があると自分も逃げやすかったり、逆に相手がそうやって逃げるだろうと一点読みして、大きい攻撃を当てるとか。駆け引き、人読み、みたいな部分で勝つ方法があるんですね。
さっきも話しましたが、『ストV』プレイヤーだけが極端にレベルが高いとは思っていないんです。それでいて今の自分では全然勝てないのは、やっぱりこういったゲームの性質の違いがあるんじゃないかなって思いますね。
かずのこ:たぶん他のプロゲーマーもそうだと思うんですけど、オフラインでできる対戦会がある時とかはできる限り行って練習していますね。オフ対戦がない時は、家でネット対戦で練習しています。
――昼夜逆転とかはしませんか?
かずのこ:最近は夜中にゲーム配信をしていることが大半なので、昼夜はかなり逆転しています。それでいてオフ対戦会が無い日はがっつり寝たりできるんで、ラクなものかもしれません。
――でも大変なこともありますよね?
かずのこ:海外大会が続く時とかは体もキツいし、精神的にもかなりストレスは溜まっていますね。海外と言っても、いつも決まった国に出張に行くわけじゃないので、マジで命に関わるんじゃないかって怖い思いしたりとか、慣れていない空路で飛行機が動かなくて空港に閉じ込められたままになるとか。でも最近は普段がラクなぶん、そこで帳尻があっているのかなって思うようにして乗り切ってます。
一時期、けっこう精神的にヤバかったんですよ、普通の会社勤めをしている人たちが朝から満員電車にゆられているのに、夜中にゲームして朝に寝て、それで海外に行って成績がふるわなかったときとか。ウチの奥さんが朝仕事に行くのを見てもなんか悪いな……って、精神的にけっこうキてた時期はあります(苦笑)。
――そんな経験もされていたのですね。でも現在はご結婚もされて、今の仕事で家族を養っていくことになるわけですが、今後の展望はいかがでしょうか。それこそ『ストV』がいつ続編になるかもわからないですし、『ドラゴンボール ファイターズ』もいつまであるかわからない。次に出るゲームが自分に合っているかもわからないですよね。
かずのこ:自分に合ったゲームがメインストリームから外れるっていうのは確かに怖いですけど、やっぱり自分は楽しくゲームをしたいし、そういう部分を見せて行きたいって思っています。
マルチゲーマーとか言われますけど、いろいろなゲームをやっているのも、楽しいからなんですよ。各々のゲームで知り合った人たちも含めて。
本当に賞金を狙って食っていこうと思ったら、賞金が一番大きくて、配信でも反響の大きい人気タイトルをずっとやり込むのが正解だと思うんです。でも自分はいろんなゲームをやらないとモチベが下がってしまうので、むしろ新しいゲームをやることには抵抗はないんですよ。
マルチゲーマーの秘訣と、ぶち当たった壁
――『ウルトラストリートファイターIV』で行われた「カプコンカップ2015」で優勝して、翌年の『ストリートファイターV』(以下『ストV』)シーズン1に行くわけですが、一方で『ギルティギア』シリーズも続けていましたよね。かずのこ:ずっとやっていましたね。やっぱり面白くて。海外大会とかも『ストリートファイター』と『ギルティギア』の2種目で出たりしていましたし。少しだけ『ブレイブルー』もやっていましたが、やっぱり“にわか”では勝ちきれませんでしたね。
――そうですね、かずのこ選手といえば、いろいろなゲームで結果を出すマルチゲーマーというイメージがあります。
かずのこ:でもやっぱり難しいですよ。昔は、『ストリートファイターII』から格闘ゲームの歴史が始まっているので、“『ストリートファイター』シリーズが上手いやつがゲームが上手いやつ”みたいな空気を感じていたんですけど、自分でいろいろなゲームをやってみた感覚としては、どのゲームのプレイヤーもレベルが高くて尊敬できるなと思いました。現在の競技シーンで、いろいろなゲームで結果を出すというのは本当に難しいなと思っています。
――とは言え、かずのこ選手は様々なゲームの大会でトップに食い込んでいますよね。今回のインタビュー中に絶対に聞こうと思っていたんですが、かずのこ選手がいろんなゲームで勝てている理由というか、強みになっているところはどこなんでしょう?
かずのこ:相手に合わせることですかね。流れを読む、相手に合わせる。人より得意な部分があるとしたら、その能力だけじゃないですかね。
――相手に合わせると言っても、無敵技のジャンケンとかそういうレベルでは無いですよね。
かずのこ:極端な部分で言えばそれもあるんですけど、対戦中の動きを見ていて「相手はこうしたいんだろうな」というのを読んで、そこを突くという感じですかね。
自分がこういう動きを見せたら、やっぱりそういう反応するよね? という部分。さっき(前編で)話したように、それはどの格闘ゲームにも共通する基本ではあるんですけど、そこが人より少し得意なのかな? とは思います。だから新しいゲームが出てすぐの頃に結果を出せることが多いですね。出たばかりのゲームはまだ「この局面ではこれが正解」というような攻略が完全には煮詰まっていなくて、人対人の駆け引きで勝負する部分が多いので。
――なるほど。とは言え『ウルトラストリートファイターIV』で「カプコンカップ」を制しているので、ご謙遜もあるとは思いますが(笑)。
かずのこ:でも最近本当に思いますよ。リリース直後の『ドラゴンボール ファイターズ』や『SAMURAI SPIRITS』ではけっこう良い成績を収めることができたんですけど、4年目に入った『ストV』では勝てていないですからね。
――たしかに、前シーズンまでのほうが上位入賞の回数は多かったですね。
かずのこ:『ストV』というゲームを競技として取り組もうとした場合、ものすごく硬派なプレイを要求されるんですよ。不利になったときに安直な回避策が無い。「この状況になったらこれが最適解、それを選択して来るなら相手はこう対応するべき」という感じで、攻めも守りもものすごい精度が求められるんです。『ストV』一本に絞って競っているトッププレイヤーたちはそこを超高精度でこなしたうえで、その状況にならないために安直な仕掛けをせずに、ちゃんと追い詰めて、ちゃんと崩しているんです。突き詰めようと思ったらめちゃくちゃ硬派なゲーム性なんですよ。
――たしかに『ストV』のトッププレイヤーの試合は、壁を押し合っているかのようです。安直なジャンプ攻撃は落とされるし、そう簡単に左右を入れ換えることもできない。
かずのこ:自分は相手に合わせる戦い方なので、自分の駆け引きに相手を乗せてしまえば精度なんていらないんですけど、『ストV』のトッププレイヤーはプレイの精度が高すぎて崩せないんです。彼らのレベルを崩すなら自分も『ストV』一本に絞って、同じくらいの精度で立ち向かわないといけない。
もちろん、ゲームなのでジャンケンに勝てば勝てることもあるんですけど、「カプコンプロツアー」の公式大会で上位に食い込むのはいつもだいたい同じメンバーですよね。彼らが最後のギリギリで負けないのは、そういった真面目な取り組みをしているからだと思います。
――『ストV』も4年目になり、セオリーをものすごい精度で実行できないと駆け引きに持ち込めない感じですかね。
かずのこ:他のゲームでも時間が経つほどに精度は上がっていくんですけど、『ストV』はシンプルなゲーム性も相まって、特に専門でやったほうがギリギリの部分で強いのかなって思います。
少し専門的な話にはなりますが、同じシンプルなゲームでも『SAMURAI SPIRITS』はバックステップがすごく強かったりジャンプが1フレームだったりと、強力な逃げ道があるんです。そういう部分があると自分も逃げやすかったり、逆に相手がそうやって逃げるだろうと一点読みして、大きい攻撃を当てるとか。駆け引き、人読み、みたいな部分で勝つ方法があるんですね。
さっきも話しましたが、『ストV』プレイヤーだけが極端にレベルが高いとは思っていないんです。それでいて今の自分では全然勝てないのは、やっぱりこういったゲームの性質の違いがあるんじゃないかなって思いますね。
プロゲーマーの日常はラク!?
――現在の生活ペースはどのような感じなのでしょうか?かずのこ:たぶん他のプロゲーマーもそうだと思うんですけど、オフラインでできる対戦会がある時とかはできる限り行って練習していますね。オフ対戦がない時は、家でネット対戦で練習しています。
――昼夜逆転とかはしませんか?
かずのこ:最近は夜中にゲーム配信をしていることが大半なので、昼夜はかなり逆転しています。それでいてオフ対戦会が無い日はがっつり寝たりできるんで、ラクなものかもしれません。
――でも大変なこともありますよね?
かずのこ:海外大会が続く時とかは体もキツいし、精神的にもかなりストレスは溜まっていますね。海外と言っても、いつも決まった国に出張に行くわけじゃないので、マジで命に関わるんじゃないかって怖い思いしたりとか、慣れていない空路で飛行機が動かなくて空港に閉じ込められたままになるとか。でも最近は普段がラクなぶん、そこで帳尻があっているのかなって思うようにして乗り切ってます。
一時期、けっこう精神的にヤバかったんですよ、普通の会社勤めをしている人たちが朝から満員電車にゆられているのに、夜中にゲームして朝に寝て、それで海外に行って成績がふるわなかったときとか。ウチの奥さんが朝仕事に行くのを見てもなんか悪いな……って、精神的にけっこうキてた時期はあります(苦笑)。
――そんな経験もされていたのですね。でも現在はご結婚もされて、今の仕事で家族を養っていくことになるわけですが、今後の展望はいかがでしょうか。それこそ『ストV』がいつ続編になるかもわからないですし、『ドラゴンボール ファイターズ』もいつまであるかわからない。次に出るゲームが自分に合っているかもわからないですよね。
かずのこ:自分に合ったゲームがメインストリームから外れるっていうのは確かに怖いですけど、やっぱり自分は楽しくゲームをしたいし、そういう部分を見せて行きたいって思っています。
マルチゲーマーとか言われますけど、いろいろなゲームをやっているのも、楽しいからなんですよ。各々のゲームで知り合った人たちも含めて。
本当に賞金を狙って食っていこうと思ったら、賞金が一番大きくて、配信でも反響の大きい人気タイトルをずっとやり込むのが正解だと思うんです。でも自分はいろんなゲームをやらないとモチベが下がってしまうので、むしろ新しいゲームをやることには抵抗はないんですよ。
▲YouTubeチャンネル「かずのこチャンネル」。本当に多様なタイトルを配信している
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