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国内最大のアマチュアeスポーツ大会「Logicool G CUP 2018」を振り返る【eyes & Cerosサインプレゼント】
目次
国内向けアマチュアeスポーツ大会である「Logicool G CUP」決勝戦が2018年12月22~24日に行われた。今回の会場は神戸ファッションマート「RIZeST Gamers Base」(以下、RGB)。RGBはeスポーツエンターテイメント企業「RIZeST」が2017年より開催しているユーザー参加型eスポーツイベントで、2017年は都内で年越しイベントとして行われたが、2018年は神戸へと開催場所を移し、関西のeスポーツファンを大いに集める催しとなった。
小雨降る六甲アイランドの地で、どんな激戦が繰り広げられたのだろうか? あらためて、国内最大のアマチュアeスポーツ大会を振り返ってみたい。
ゲーミングスペースからeスポーツグッズ販売まで
本格的なアマチュア競技大会である「Logicool G CUP 2018」も楽しみながら、カジュアルなイベントも盛りだくさんなのがRGBだ。コミュニティ主導のカジュアルイベントや関連企業の出店、ミニイベントなど現地ならではの楽しみがある。そのなかの一部ではあるが紹介していこう。▲InfoLensブースでは『PUBG』や『オーバーウォッチ』、『マインクラフト』といった人気ゲームタイトルの関連グッズ販売
▲OPENREC.tvブースでは元LJL選手で今年からAXIZ所属のDay1氏、有名配信者のJACKPOT TEEMO氏による1v1イベントが行われた
▲こちらはARを用いた対戦型ゲーム『HADO』の体験スペース。手からエナジーボールを放って相手を攻撃しよう
▲ゲーミングエリアにはずらりとゲーミングPCが並ぶ。初日にはコミュニティ主導の『LoL』カジュアルマッチイベントが開催
▲ゲーミングデバイスも大いに充実。2019年1月発売予定の「ダーマ タクティカルマウス39」は感触が異なる2つのモデル「ドライサンド」と「ラバーコート」の両方を実際にゲームしながら試すことができた
▲ゲーミングチェアブランドとして日本でも知名度が上がってきた「DXRACER」ブースでは、国内で取り扱い中のモデルが勢揃い。充実したオプションを備え、様々な体格に合わせたチェアを揃えている。原色の派手なカラーリングだけでなく、ブラックとブラウンの取り合わせなどインテリアに馴染みそうなカラーも
▲会場の様子は開会式のMCも務めた「のばしぼん」の2人が配信でレポート。「DetonatioN FocusMe」のCeros選手とプレイするゲーム中に笑顔がこぼれる
「Logicool G CUP 2018」頂上決定戦
初日に行われた「Logicool G CUP 2018」オフライン決勝は、ゲーミング周辺機器ブランド「Logcool G」が主催するeスポーツ大会で、アマチュア大会としては国内最大級の規模となる。2015年から4回目を数えるこの大会は、2017年までは『LoL』のみで行われていたものの、2018年は新たに『ロケットリーグ』も採用され、過去最大の規模の大会となった。『LoL』部門では過去に本大会で活躍したプレイヤーが後にプロ選手となった例もあり、プロへの登竜門としての注目度も高い大会だ。▲漫才コンビ「のばしぼん」の2人に加え、開会式のMCにはeスポーツファンにおなじみの岸大河さん、そしてスペシャルゲストのケイン・コスギさんも
『ロケットリーグ』部門はオンライン予選を勝ち抜いた4チームによる準決勝および決勝、『LoL』部門はオンライン予選を勝ち抜いた2チームによる決勝が行われた。
国内のプレイレベルの高さに観客が湧いた!
『ロケットリーグ』部門準決勝~決勝
Logicool G CUP 2018で初めて種目として採用された『ロケットリーグ』部門。グラウンドを縦横無尽に駆け巡る車で行うサッカーゲームといえば簡単に聞こえるかもしれないが、オフライン会場にたどり着いたのは異次元の動きをする猛者たちだ。準決勝から会場を沸かせる白熱した展開が見られた。準決勝第1対戦「1NE(ワンエヌイー) vs Justice Esports」の試合は初戦から両チーム無得点でオーバータイムへ突入し、Justice Esportsがゴールを決めて1ゲーム目を制したものの、2ゲーム目からはエンジンが暖まった1NEが反撃して2ゲームを連取、決勝へと駒を進めた。
続く準決勝第2対戦「BananaN vs Ciel Nova」は、1ゲーム目開始10秒にもならない時点でゴールを決めたCiel Novaが主導権を握って1ゲーム目を勝利。2ゲーム目はCiel Novaの先制に対して即座にBananaNも反撃、そのまま互いに点を取り合う展開で激しく競り合いBananaNがマッチをイーブンに戻した。そして迎えた3ゲーム目、互いに良く守り果敢に攻める試合を展開したが最後に要所でのゴールを決めて上回ったCiel Novaが2-1で決勝への切符を勝ち取った。
Logicool G CUPのロケットリーグ部門初の決勝戦となった「Ciel Nova vs 1NE」。なんと1NEが開幕3秒で先制。その後Ciel Novaも反撃で1点を返したもののゲームを主導しつづけた1NEがまず1ゲーム目を勝利。そして続く2ゲーム目は、空中での精度やパスワークで1NEが圧倒的なパフォーマンスを発揮してCiel Novaを翻弄。Logicool G CUPのロケットリーグ部門における初の頂点へと上り詰めたのは1NEとなった。
試合録画アーカイブはこちら
https://www.youtube.com/embed/8ywDkNIIGos
▲決勝戦では圧倒的な強さを見せた1NEのメンバー。左からKanra選手、shaolon選手、ReaLize選手の3名
1NEはアジア地域で活動しているプロゲーミング組織。今回「Logicool G CUP 2018」で優勝したチームは、2017年に1NEへと迎え入れられたメンバーたちで、日本国内のみならず世界有数の実力者たちだ。試合後に話を聞いたところ、彼らは強豪地域として知られるオセアニアなど海外チームと普段から練習を行っているということで、海外のプロ組織からスカウトされるだけの実力者だというのがうなずける。当然ながらゲーム内ランキングも、最高ランクであるグランドチャンピオンで、しかもレートは上の方という。
しかし日本国内には『ロケットリーグ』プロシーンはなく、先月ラスベガスで開催された世界大会への出場権もない。そこへ今回の「Logicool G CUP 2018」種目採用の報が飛び込み、張り切って準備と練習を行ったと3人は語る。「今回のような国内大会でレベルの高い試合をすれば、将来的に世界大会への出場権が日本という地域にも与えられるかもしれないので、これからもがんばります」と、今後への抱負を語った彼らの中にはまだ高校生のメンバーも。しかしいずれもトップ選手にふさわしい堂々とした態度が非常に印象的だった。
▲ステージ上のReaLize選手
『ロケットリーグ』でこれから上を目指すプレイヤーへのアドバイスを聞いてみたところ、「eスポーツはメンタルが重要な部分があるので、諦めずにがんばって」とReaLize選手はメンタル面の重要さを強調。「負けたとしてもそれを糧にして、次のチャンスをしっかり待って練習を続けるのがいい」と語ったのはshaolon選手。Kanra選手は「2~3年前は僕らも初心者だったけど、続けていたら上に登ることができたので、継続していれば絶対上に行けます」と今後新しく出てくるであろうプレイヤーにエールを送ってくれた。
1NEメンバーの今後の目標は世界大会優勝。彼らの目の前に広がる道がどのようなものかはまだわからないが、この大会や3月に決勝トーナメントが行われる「高校eスポーツ選手権」をきっかけに日本でも『ロケットリーグ』が盛り上がり、明るい未来が切り開かれていくことを願ってやまない。
プロへの登竜門としての歴史を積み重ねる
『リーグ・オブ・レジェンド』部門は王者が連覇
▲『ロケットリーグ』部門決勝も盛り上がったが、『LoL』部門決勝にも大勢のLoLファンが集まった
開催4年目、すでに歴史ある大会となっている『LoL』部門。2年連続の決勝進出を決めたのは、チーム名もそのままの「山」。対するのはこちらも昨年準優勝チームの「Quintet Tonix」が新生した「Quintet Tonix New Generation(QTN)」。2本先取で行われた決勝戦は奇しくも昨年の再戦で、高い技術を誇るチーム同士の戦いとなった。日本サーバーにおいては最高ランクであろう選手たちによる試合の主導権を巡る激しい応酬が見られ、各試合の中盤以降にマクロでの意思決定やチームとしての練度で、山がQTNを上回って2勝0敗という結果に。圧倒的な勝利をもってTeam A初の大会連覇を達成した。
試合録画アーカイブはこちら
https://www.youtube.com/playlist?list=PL5sffMJ8a651TPLZR4ig3UHhkMZRiidYl
Game1
Game2
連覇王者となった山だが、昨年から引き続き出場した選手もあれば、入れ替わった選手もあった。2年連続参加となった選手たちは「前回より今回のチームのほうが強かったのでは」と今大会を振り返る。「昨年はトップレーンを軸とするチームだったのが、今年のメンバーはどのレーンも強く、どこからでも仕掛けられた」と語ったのは機動戦士ガベダム選手(トップレーン)。昨年王者というプレッシャーもあり、無事優勝できたことでリラックスした笑顔があふれていた。
▲チーム山のメンバー
2018シーズンはシーズン開幕前にルーンとマスタリーのシステムが大きく変更されたこともあり、『LoL』というゲームが大きく変わった年だった。「2週間おきに当たるパッチごとに違うゲームをやっている感覚が面白かった」と話していたのは吉x岡選手(サポート)。赤バフ選手(ボットレーン)も「結局レーンがキルレーン(※)になっちゃうので、タワーをけっこう意識しました。レーンは絶対負けちゃいけないという重圧があります」と、サポートの隣で攻撃面を担当するボットレーナーらしく、試合を勝ちに行く動きについての変化に言及した。一方でyasai7428選手(ミッドレーン)は「今シーズンは得意チャンピオンが全部強かったので、すごく楽しかったです」と個人的な追い風が吹いていたことを強調。ガリオ、マルザハール、カシオペア、リサンドラ、カサディンが得意チャンピオンとのことで、確かに2018シーズンに猛威を奮ったチャンピオンと言って差し支えないだろう。
※互いに積極的な仕掛けあいを行った結果、キルが頻繁に生まれるレーンのこと。
日本サーバーのレベルについてうかがってみたところ、「上がっていると思います」と、日本サーバーランク1位到達経験のあるTOXIC JUNGLE選手(ジャングル)を含めて全員が口を揃えた。これについてはミニインタビューでCeros選手も同意しており、日本の『LoL』環境の未来の明るさを感じさせてくれる。
▲最年少の17歳で国内トップレベルのアマチュア大会優勝を決めた赤バフ選手
また、赤バフ選手は今大会最年少参加の高校生で、この後開催の「高校生eスポーツ選手権」にも『LoL』部門で出場している。このオフライン決勝前夜に緊張しすぎて鼻血を出してしまったというエピソードからは経験不足がにじみ出るが、「Logicool G CUP 2018出場を通じてプロになった先輩たちの後を追ってプロになりたい」と抱負を語る目は、真剣に未来を見据えていた。
▲この後同じ会場を使って『LoL』の1v1イベントが行われ、ケイン・コスギさんが一般参加者やCeros選手、はてはRIZeST古澤社長までを相手に楽しいプレイを見せた
eyes氏+Ceros選手 ミニインタビュー
コミュニティの交流や「Logicool G CUP 2018」決勝戦で盛り上がったRGBは、2018年のゲーミングライフを締めくくるにふさわしいイベントとなった。その会場で『LoL』部門の実況・解説を務めたeyes氏とDetonatioN FocusMeのCeros選手に、今大会を含めて2018年を振り返ってもらった。――今日の「Logicool G CUP 2018」の決勝戦は、見ていていかがだったでしょうか?
Ceros選手:プレシーズンパッチが当たってから初めての大会ということで、新しく変わった要素をメインで解説していくことになるのかと思っていたんです。でも思った以上に試合内容、選手たちの動きが良くて。非常にチームゲームらしい動きを互いのチームが、特に山のほうができていたので、すごく解説しやすくてびっくりしました。思ったより上手いと。
eyes氏:「Logicool G CUP 2018」ってそもそも登竜門的な扱いですよね。だから、僕はそっち方面でどうしても大会を見てしまいます。立場上、公平な実況は前提としてやりますけど、プロを希望してる選手がどんなプレイをしてるのかなっていう着眼点を持って実況して、今年は可能性をすごく感じました。そういう決勝だったかなあ。
――日本のアマチュア大会のレベルっていうのは上がっていますか?
Ceros選手:それはもう、確実に上がっていると言えますね。
eyes氏:そうだと思います。
――最近プレイしていて、日本サーバーのプレイレベルっていうのは上がっていると感じますか?
Ceros選手:上がっていますね。今年はランクを回してて強い選手が目について、しかも明らかに去年よりも多いって話をチームメンバーとよくするので、上がっていると断言できます。
▲今大会でもeyes氏は立ちながらの実況スタイル
――2018年もいよいよ終わりですが、今年の『LoL』で記憶に残った出来事をうかがいますでしょうか。
eyes氏:Ceros選手の隣で言うのもなんですけど、日本がようやく世界で勝ったことです。これが僕にとっては今年一番のビッグニュース。「LJL」を5年間見てきて、一番のご褒美でしたね。遠くから投げられたご褒美みたいに、放送が終わった後に感じてました。
Ceros選手:僕も、予選をひとつ勝ち上がったというのが僕らの中では大きいです。今までずっと、国際大会でひとつも勝てていなかったので、そこを達成できた。僕の中でも大きいし、周りの反応もすごく反響が大きくて、がんばった甲斐がありました。
――日本の『LoL』でこれから楽しみなことってありますか?
Ceros選手:今回の「Logicool G CUP 2018」もそうですけど、去年の「LJL CS」などを見ていても、最近になって名前を聞くようになった選手というのがすごく多くなってきたのが2018年だったんです。なのでそういった選手たちが今後、「LJL」という第一線の舞台に上がってくるのかなという期待がありますね。
eyes氏:世代が変わるっていうんですか。それが楽しみなのは確かです。でも僕の中では、「世界でやってくれるんですか?」っていう期待が……『LoL』っていうか「LJL」ですけども、僕はそっちが楽しみです。それによって『LoL』全体の楽しみもひとつ増えるって視点で見てますね。
個人的な期待になりますが、公式の大学リーグが2017年くらいから動き出して、これから高校生の大会が開かれますよね。こうやって国みたいなところに認められるのが、「文化」として受け入れられたって結果に一番直結するのかなと僕は思ってるんです。高校生や若い人たちが、今後『LoL』を盛り上げていくのがすごく楽しみです。
▲「LJL」が誇るミッドレーナーのひとり、Ceros選手。2018年はDFMの一員として世界大会を一段階勝ち進む成果を日本にもたらした
――楽しみといえばプレシーズンのパッチが来たんですけど、今の『LoL』はどういうところを見てると楽しいでしょうか?
eyes氏:試合序盤がまったりしていたり、中盤でグダったりというところが今まであったんですが、そういう点がゲームシステム的になくなったというのを感じています。アグレッシブにやったほうが勝つというのがすごく強調されていますね。今後どうなるかはわかんないですけど、とにかく仕掛けあいが増えるのではないかと。一発逆転がすごく起こりやすい環境でもあるので、その辺りがすごく楽しみです。
Ceros選手:選手としてはすごく難しいことをやってるんですけど、見てる側からはわかりにくて長いゲーム展開になる試合というのが、これまではありました。今回のプレシーズンではそういう冗長さがシステム的に減ってます。ドラゴンとバロンのリスポーンタイマーが短くなったので、アクションがずっと起こり続けるんですよね。なので見ていて面白いゲームに進化したのではないかなと。
eyes氏:やる側と伝える側は大変だけどね。
Ceros選手:選手としては逆転される恐怖も常にあります。実況はアクションが起こり続けるからずっと叫んでないといけませんよね。
eyes氏:見る人はより楽しめるものになるんじゃないかと思います。
――最後に、ファンの皆さんに向けて一言、締めの言葉をいただけますでしょうか。
Ceros選手:今回、僕は解説ということでちょっと違った形で皆さんの前でしゃべらせていただいて……楽しかったんですけど、見てる皆さんはどうだったでしょうか。ファンの皆さんが僕の解説を楽しんでくれてたらよかったなと思います。
eyes氏:……僕ってけっこう、ファンの人に会場で声をかけられないんです(笑)。そういう雰囲気をあまり出せてないって言われるんですよね。今日は会場に来てくれてる方が声をかけてくださったので、もっと気軽に声かけてもらえたらうれしいです。
あと、いつも思っていることなんですが、自分の時間やお金を使って楽しんでくださっている方々には本当に感謝しています。時間を使っていただくからには、より一層楽しい実況をお届けしたいと思っているので、引き続き見守ってください。
――本日はどうもありがとうございました。
▲インタビュー後にサインをお願いしたところ、快諾していただけた。色紙下のイベント名と日付はCeros選手の筆によるもの
取材統括:山口佐和子
記事執筆:山口佐和子&ユラガワ
写真撮影:Takanori Yoshida&ユラガワ
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ミニインタビュー後にeyes氏とCeros選手からいただいたサイン色紙を2名様にプレゼント!
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