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【LEC情報追加】『LoL』いよいよ始まる2019 Summer Split! 世界王者を目指す各地域の戦いに備えよ【LCS・LCK・LEC】

目次
  1. MSI 2019:世界王者iG陥落、決勝は史上初の欧米対決へ
  2. 北米LCS:「MSI」は前哨戦、狙うは世界大会の玉座
  3. 韓国LCK:古い殻を打ち破るという目標の元、春の東西チームが繰り広げる激戦へ
  4. 欧州LEC:「MSI」の王冠を手に、満を持して真の王者を目指す
  5. 今から波乱万丈が予想される夏スプリットを見逃すな
※本記事では、各地域の開幕に合わせて記事を追加・更新していく予定です。
  • 6月7日:LEC(欧州)プレビューを更新

各地の春スプリット、Spring Splitが終わってから2カ月が経とうとしている『リーグ・オブ・レジェンドLoL)』プロシーン。競技がない期間は寂しい時間を過ごしたファンも多かったのではないだろうか?

6月からはいよいよ夏スプリットがスタートを切る。春夏間のオフシーズンは短いものの、各地のプロチームたちはチームメンバーの変更などを精力的に行っているようだ。筆者がいつも海外プロリーグシリーズでまとめて取り上げている3つのメジャーリージョンについては、開幕日がそれぞれ以下のようになっている。

  • LCS(北米)開幕日:6月2日
  • LCK(韓国)開幕日:6月5日
  • LEC(欧州)開幕日:6月7日

まずは、春スプリットの結果を受けて行われた国際大会「Mid-Season Invitational(MSI) 2019」を振り返っていこう。国際大会の機会が非常に限られている『LoL』競技シーン、果たして2018年の世界大会から地域間の差はどう変わったのだろうか。


MSI 2019:世界王者iG陥落、決勝は史上初の欧米対決へ

2018年はLPL(中国)躍進の前兆となった「MSI」。今年も世界各地のリージョンを制覇したトップチームが覇を競った。

プレイインステージでは「DetonatioN FocusMe」がLJL代表として初めての国際戦勝ち越しという記録を残した。またTCL(トルコ)やLCL(ロシア)、VCS(ベトナム)といった、メジャーリージョンに近いとみなされる各地域は、その期待に応える戦いぶりを見せたのも印象的だ。

▲プレイイン・ラウンド1を抜けられはしなかったものの、LJLが着実に国際大会で力をつけているところを見せてくれたDFM(画像出典:LoL Esports Flickr)

グループステージは下馬評通りにLPL代表の「Invictus Gaming(iG)」が圧倒的な強さを見せ、LEC代表「G2 Esports(G2)」がその独特なピックで他チームを翻弄していった。一方でLCK代表「SK Telecom T1(SKT)」はグループステージ後半にキッチリと試合の組み立てを修正し、iGに一矢報いた。かくしてLPL・LCK・LEC・LCSの4代表がノックアウトステージへと進むこととなった。

まず行われた準決勝第一対戦のカードはInvictus Gaming vs Team Liquid(TL)。グループステージでの順位からTLの苦戦は免れないように思われたこの対戦、TLはiGの戦略を研究してピックを制限し、さらにiGジャングラーのNing選手がレーンへ介入して有利を広げていく動きを徹底的に警戒して対抗することに成功。「北米は最大規模のリーグでありながら国際大会では苦戦している」というこれまでの評価を覆して、2018年の世界王者を撃破、決勝戦へコマを進めた。

▲昨年の世界王者チームのジャングラーであるNing選手。TLはチームの柱である彼に対してしっかりと対策を用意していた(画像出典:LoL Esports Flickr)

翌日に行われた準決勝第二対戦はG2 vs SKT。こちらは緻密で確実な戦略を好むSKTと、奇抜なピックにリスクを取るプレイを好むG2という構図の対戦となった。互いにブルーサイドを取った試合で勝利して、第5試合にまでもつれ込む熱戦が繰り広げられる。

相手の戦略に対する対応の速さで知られ、Bo5(3本先取)では無類の強さを誇るSKTに対するG2の最後の設問は……トップパイク&ボットシンドラで序盤から仕掛ける少数戦特化構成。G2の圧力にギリギリのところで反撃していくSKTだったが、わずかに及ばずG2が3勝目をもぎ取った。これによりRiot Gamesが主催する国際大会史上初の、EU vs NAという決勝戦が確定し、アジアチームのファンたちが肩を落とす中で欧米のファンの熱狂が最高潮に達していった。

▲今年からFaker選手以外のメンバーを完全に刷新した新生SKTだが、「MSI」の栄光をもう一度つかむことは叶わなかった。とはいえ夏が終われば再び強くなって戻ってくるだろう(画像出典:LoL Esports Flickr)

初のEU vs NAとなった決勝戦。SKTをもねじ伏せたアグレッシブなスタイルで仕掛けるG2に対し、TLは対応に苦慮し続け、iG戦で見せた的確な対抗策を見せることができずに圧倒される形となってしまった。結果だけを見るならば3勝0敗でG2の勝利。2011年に行われたSeason 1の「World Championship」でFnaticが優勝して以来、ヨーロッパチームの悲願となっていた国際大会制覇を成し遂げることとなった。

▲MSIトロフィーを高く掲げるCaps選手。今年のG2はどのレーンにもヨーロッパ随一の才能を抱え、それを余すことなく駆使してこのMSIを制覇してみせた(画像出典:LoL Esports Flickr)

今大会、G2はチーム構成と予想外のピックとを織り交ぜた自在の戦略を安定して駆使していた。相手チームに対して常に判断を迫る、アグレッシブなプレイスタイルとも組み合わせた結果、SKTとTLを撃破。疑いようのない強さを誇っていた。

一方でグループステージの試合を見ると、同じくらい攻撃的なスタイルのiGやVCS代表の「Phong Vũ Buffalo」には苦戦しており、準決勝の組み合わせ次第ではまた異なる結果を迎えたかもしれない。そう思われるくらいに各地域の特色が現れ、また地域間の強さの差が絶対ではないと感じられた大会だった。

この結果を見た各チームが秋の世界大会にに向け、それぞれの牙を研ぎ澄ますのが、これから始まる夏シーズン、Summer Splitだ。

北米LCS:「MSI」は前哨戦、狙うは世界大会の玉座

▲MSIで素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたTLのDoublelift選手&CoreJJ選手のコンビ。夏のプレイも楽しみにしたい(画像出典:LoL Esports Flickr)

「国際大会では振るわないNA(ただし最後の希望ことC9は別)」という長年の評価を、大会最年長チームで打ち破って見せたTL。それを追いかける地域内の古豪たちというのが、近年のLCSの基本的な構図だ。C9はもちろん、TSMやFLY、そしてさらなる補強を行ったチーム。昨年の100Tに代わっての世界大会出場、あるいはさらに上位のシードを狙う各チームの戦いが注目される。

注目チーム
▲Counter Logic Gamingからは長らくトップを務めたDarshan選手が脱退し、トルコリーグで活躍したRuin選手が後継を務める(画像出典:LoL Esports Flickr)

Team SoloMid(TSM)
今年春の開幕前に手首を痛めたため、アカデミーチームで活動しながら療養していたジャングラーのGrig選手が快復し、1部チームへの復帰がアナウンスされた。春の間ジャングルを務めたAkaadian選手も登録されたままで、状況によって使い分ける方針のようだ。戦略的にメンバーを入れ替えるのは、TSMにとっては初の試みとなる。

FlyQuest(FQ)
2018年の世界大会でG2のボットレーンを堅実に支え、チームの躍進に一役買っていたWadid選手を新たに獲得した。Wildturtle選手とのデュオはかなり強力なものになると期待される。春に追いつけなかった上位3チームを追い落とすための大型補強となった。

Counter Logic Gaming(CLG)
「MSI」でTCL代表「1907 Fenerbahçe」のトップレーナーとして活躍した韓国人Ruin選手を獲得したことから、トップレーンのチャンピオンプールの変化などに伴って大きく戦い方を変えてくる可能性もある。チーム全体が夏スプリットを勝ちぬく完成度となるのかが焦点になるだろう。

韓国LCK:古い殻を打ち破るという目標の元、春の東西チームが繰り広げる激戦へ

▲MSI 2019準々決勝でのFaker選手。新生SKTはチームメイトの仲も良いそうで、今後のさらなる仕上がりが楽しみだ(画像出典:LoL Esports Flickr)

ノックアウトステージではG2にこそ敗れたものの「確実な戦略」という点では、T1を擁するLCKは比類なき地域だろう。メタゲームへの適応も早く、大会中であっても、Bo5中であっても、必要な修正を行うことができるチームが勝ち残る。とはいえ、以前ほど確実な情報を得ることができなくなった現在のゲーム環境で、彼らが望む戦略を組み立てるのは難しくなった。あらゆる可能性を詰めきるまで最適化を図り続けるのか。あるいはハイリスクな選択を突き付ける者が現れるのか。

春に勢い良くプレイオフ進出を果たした西部リーグ(※)のチームがこのまま躍進を続ける予想をするのは簡単だ。しかし、東部リーグと呼ばれ苦戦した昨年の強豪たちが復権できる可能性もある。長年『LoL』競技シーンにおいて「最強地域」として君臨してきた王者たちの選択が問われる夏スプリットになりそうだ。

(※)LCK配信の順位表では、1~5位が左側カラム、6~10位が右側カラムという表形式が採用されている。韓国ではこの左右を東西になぞらえ、上位チームを西部リーグ、下位チームを東部リーグと呼んでいる。

注目チーム
▲昨年のLCK Spring FinalでのPraY選手。KTトップレーナーのSmeb選手とは久々の合流となる(画像出典:League of Legends Champions Korea LCK Flickr)

T1(SK Telecom T1)
MSIではノックアウトステージで第五試合までもつれ込んで敗れ、王座奪回とはならなかったT1。とはいえ、今大会が国際大会初出場となったメンバーを含め、多くの試合を戦った経験は確実に彼らを強くしたはずだ。国内ではGriffinやKingzoneといった、春にT1と上位を争ったチームが待ち受けている。T1にとっては単に夏スプリットを勝ち抜くだけではなく、Worldsを見すえてチームを鍛え上げるシーズンとなるだろう。

Gen.G Esports(GEN)
LCKにおいて、GEN(あるいはSamsungの流れを汲むチーム)に関せられる二つ名がある。その名も「ガントレットキング」。夏スプリットを通して相手チームを研究し、自らを仕上げて夏シーズン終盤にチームを仕上げる。そして春夏両スプリットの通算成績で世界大会出場の第3シードを賭けた地域内選抜戦に出場し、これを勝ち上がってWorldsへと必ず出場するチームとしての評価である。春シーズンはかなり苦戦する結果となったが、ミッドKuzan選手の獲得を起爆剤に組織の持ち味を再び発揮できるかが注目される。

kt Rolster(KT)
昨年は2018夏スプリット優勝、WorldsではiGと死闘を繰り広げたKTが、この春スプリットはまさかのレギュラーシーズン9位。2部リーグとの入替戦行きという結果となった。そんな苦しい状況にあったKTだが、春夏間の移籍市場において一度は引退を宣言していたPraY選手が復帰し、KTのボットレーナーとしてチームに加わるというニュースでファンを沸かせた。元よりタレントは揃っているチームだけに、チームとしての再建、そして夏スプリット優勝(春は降格圏だったためWorldsに行ける唯一の手段)という大きな目標への挑戦が始まる。

欧州LEC:「MSI」の王冠を手に、満を持して真の王者を目指す

▲記念すべき最初のLECトロフィーを競い合ったOrigen(左)とG2(右)。「ソナ&タリック戦術」に対して奇抜なカウンターで勝利したG2は、強さと柔軟さをそのまま「MSI」に持ち込んで優勝してみせた(画像出典:LoL Esports Flickr)

欧州リーグは、シーズン1の世界大会(当時は招待チームによるものでアジア地域からの参加チームはなかった)以来の国際大会を制覇し、「世界最強の地域」の座を手にした。そんな地域の夏スプリット、最も注目されるのは当然ながら悲願の国際大会制覇を成し遂げたチーム「G2 Esports」だ。彼らが目指すのは過去一つのチームも成し遂げていないグランドスラム(地域の春夏制覇・MSI・Worlds優勝を同年に成し遂げる)となるだろう。

その前に立ちふさがるのは、LEC復帰となる春スプリットで一気に2位につけてきた「Origen」、そして欧州という地域の看板ともいえる「Fnatic」の名が上がるだろうか。彼らに追いつき、「Worlds」出場権を得るために戦われる夏スプリットに向けて、春にあと一歩何かが足りなかったと考えているチームでは補強が行われている。G2は「MSI」で世界最高のチームであることを証明したが、真にLECが最高のリーグであることを証明できるかは、この夏の戦いが示してくれるはずだ。

注目チーム
▲春のFinalで試合に臨むOrigenのミッド、Nukeduck選手。冴えわたるプレイでチーム全体を引っ張ったが、G2にはあと一歩及ばなかった。春のトップチームたちは選手陣容をほとんど変えずに夏での仕上げと「Worlds」出場を目指す(画像出典:LoL Esports Flickr)

Origen(OG)
春スプリットはLECへ復帰したばかりとは思えない強さを見せてレギュラーシーズン2位、プレイオフもFnaticを破って2位と、ファンの期待に応えて見せたのがOrigenだ。春夏間での選手の入れ替えもなく、チームを一層成熟させて夏スプリットに挑むことになる。G2はもちろん、春スプリット後半に調子を上げてきていたFnaticなどが立ちふさがるだろう。

プロシーン復帰1年目の「Wolrds」を目指し、2015年に1部昇格戦から「Worlds」までをぶち抜いてみせた「OG旋風」を再び巻き起こすための戦いに注目だ。

Vitality(VIT)
欧州シーンをけん引してきたトップチームといえば、G2やFnaticが真っ先に挙げられるだろう。しかし昨シーズンから予想外の活躍でファンを沸かせていたのがVitalityだ。韓国で行われた2018年世界大会ではGENを破って、世界中のファンのPick'em(勝敗予想)を燃やし尽くした。

春スプリットは後半に入って他チームの猛追に遭い若干調子を落としたものの、夏スプリットに向けての強化合宿は、なんと中国トップチーム「Royal Never Give Up」の協力の元、中国での実施だった。「Worlds」出場に向けて競争が激化する夏スプリットも、予想をひっくり返すような戦いぶりを見せてくれるだろうか?

Excel Esports(XL)
10人体制で本拠地のイギリスから毎週試合のためにベルリン入りするという、他のLECチームとは毛色の異なる新チームとして初のスプリットを終えたXL。春スプリットはいわゆる「1部の洗礼」を浴びせられつつ、いくつかの試合では悪くない形を見せることができていた。

春夏間のオフシーズンで最も多くの補強を行ったのがこのXLで、コーチのDLim氏や、昨年G2を支えた仕事人のHjarnan選手(ボット)、海外リーグの経験豊富なMicky選手(ミッド)が加入している。夏スプリットにチームとしてどこまで機能するかは未知数だが、確実な補強が結果に繋がることに期待したい。

今から波乱万丈が予想される夏スプリットを見逃すな

近年恒例となっている夏スプリット折り返しの特殊大会「Rift Rivals(RR)」は今年、メジャーリージョン5地域のみを対象に実施される。日本をはじめとするマイナーリージョン対象のRRがないことを嘆く声も多いが、それはそれとしてメジャーリージョンそのもののエキシビションマッチを楽しみたい。RRが終われば夏スプリットのレギュラーシーズンはラストスパートと総決算。その後は8月から9月にかけてプレイオフと地域代表選抜戦が行われ、夏の優勝チーム・春夏で獲得したChampionship Point合計最多チーム・地域代表選抜戦勝ち抜きチームの3チームが、今年の世界大会である「World Championship 2019」へと出場することとなる。

本記事で紹介した3地域の戦いは、以下のスケジュールで行われている。

  • LCS:毎週日曜朝6時~・毎週月曜朝4時~
  • LCK:毎週水~日曜夕方5時(Week 6からは木~日曜)
  • LEC:毎週土曜1時~・毎週日曜0時~

MSIから続くメタゲームの流れや、個々の選手のパフォーマンスにも注目して、今年の夏スプリットもめいっぱい楽しんでいただきたい。

執筆:山口佐和子
執筆協力:ユラガワ

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