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きっかけなんて無い。体に "格ゲーの血" が流れているだけだ──米最強『SFV』プレイヤーPunk選手インタビュー【シブゲーアーカイブ】

※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。(公開日:2019年3月21日/執筆:スサキリョウタ)

「世界最強プレイヤーはPunk」

その圧倒的な "人間性能" をもって、日本のトッププレイヤーたちにそう言わしめたアメリカの若手プレイヤー、Punk選手(@PunkDaGod)。

彼の『ストリートファイターV』(以下、ストV)シーンへの登場は2016年末、カプコンプロツアー(以下、CPT)の北米地区決勝大会も兼ねて開催された「Red Bull Battlegrounds」でした。

当時無名の彼が、ジャスティン・ウォン選手をはじめ数々の強豪プレイヤーを倒す様子に、ストVコミュニティは騒然としました。

2017年のCPTシーズンは、前年の番狂わせが偶然でなかったことを証明するかのような活躍ぶり。招待制大会の「ELEAGUE」優勝をはじめ、輝かしい成績を残しました。

しかし2018年に入ると思うように結果が出ず、使用キャラクターにも迷いが。前年は準優勝を果たしたものの、「EVO 2018」においては49位タイという結果。 Punk最強伝説はここまでか、とも騒がれました。

そんな逆境から這い上がり、2018年末には調子を取り戻します。4年目のCPTシーズンとなる2019年も、一発目の大会「Final Round 2019」にて日本のももち選手を破り、優勝しました。

格闘ゲームシーンにおける彼の名はもはや確たるものであり、弱冠20歳でありながら、アメリカを背負って立つプレイヤーへと成長したPunk選手。

EVO Japan 2019」のため福岡に来日した彼に、格闘ゲームにおけるルーツと、今後の意気込みを聞きました。

Punkには "格ゲーの血" が流れている


――まず、「Punk」というプレイヤーネームの由来を教えてください。

Punk:WWE(アメリカのプロレス団体)に、CMパンクという選手がいたんです。小さいころからの憧れで、彼からとりました。

――プロレスへの憧れが格闘ゲームをはじめるきっかけだったのでしょうか?

Punk:それは違いますね。格闘ゲームは、物心ついた時から兄と一緒にプレイしていたので。一番昔の記憶だと4歳のころですが、もっと早くからかもしれません。

そのころは『ドラゴンボールZ 超武闘伝』や『モータルコンバット』などを遊んでいたのを覚えています。 格闘ゲームは自分の人生というか、自分の体に "格ゲーの血" が流れているという感覚なので、きっかけとかはありませんね。

――それ以降ずっと格闘ゲームをプレイされているのですか?

Punk:ほとんどそうですね。ただ、同世代の間ではあまり格闘ゲームが人気ではなかったので、流行っていた『コール オブ デューティ』ばかりをプレイしていた時期もあります。

学校では誰も格闘ゲームをプレイしていませんでしたからね。 今でも、シューティングゲームはたまにプレイします。


――ではなぜ『ストV』をやり込もうと思ったのですか?

Punk:格闘ゲームで強くありたい、とは常に思っていたんです。本当は、『ストリートファイターIV』のころからプロになりたかったんです。ただ、当時自分は高校生だったので、そうはいきませんでした。

高校を卒業するくらいがちょうど『ストV』の発売時期だったので「やってみよう」と思ったんです。

――「Red Bull Battlegrounds」で一躍有名になりましたが、当時の心境はどうでしたか?

Punk:3位になった大会ですね、よく覚えています。あの時は嬉しかったですね。

ゲームをプレイする身として、プレイヤーの1%も経験できないようなことを成し遂げられたということは、本当に達成感がありました。

――そこからプロプレイヤーとしてのキャリアが始まったわけですが、自身ではどう感じていますか?

Punk:プロプレイヤーとなり、ゲームをして生計を立てられるということは、本当に幸せな事だと思っています。

自分はプロとしては、上手くやっていると思います。カプコンカップ出場を目標に毎年取り組んでいて、2年連続で達成できています。大会で良い結果を残し続けることさえできれば、長く続けられそうだと感じています。

それと、兄に感謝したいですね。兄がいなければ格闘ゲームをやることもなかったし、今こうして自分がここにいることも無かったと思います。

――ご家族は今の活動についてどう感じていますか?

Punk:とても好意的に捉えてくれています。兄は今でも格闘ゲームをプレイしていて、自分以外のトッププレイヤーや、大会の結果なども知ってくれています。

両親も、自分が楽しんでいる姿をみて喜んでくれていますし、大会前にわざわざ電話をしてくれることもあります。

今後の活動と「EVO」という大会への思い入れ


――最近では配信もされているようですね。

Punk:とても楽しくやっています。平均400人くらいの視聴者も付くようになりました。カプコンカップが終わった後のオフシーズンに注力的に配信をしていて、ファンとつながる場としてとても良いと感じています。

今回「EVO Japan 2019」に来たのも、配信を見てくれているファンの要望が大きいんです。「日本に行って、日本のプレイヤーたちを倒してくれ!」と言われていたので、CPTイベントではないですが、参加を決めました(笑)。

実際、日本のプレイヤーたちを倒す自信はあります。優勝も十分見えています。

――福岡の印象はどうですか?

Punk:日本に来るのは4度目ですが、東京以外に訪れるのは初めてです。

福岡はとてもきれいな街だと思います。時間があるときに観光したいですね。しかし、まだ吉野家しか食べてないので……(笑)。ラーメンを食べたいです!

――日本のプレイヤーの印象はどうですか。

Punk:強いですね。練習環境がアメリカと違うなと感じています。東京では電車を使うだけでトッププレイヤー同士が集まって練習できる環境ですが、アメリカではそうはいきません。

自分はフィラデルフィアに住んでいて、練習するとなればニューヨークへ行かなくてはならないのですが、バスで2時間はかかります。ニューヨークのウィークリー大会は「NLBC」というのですが、Smug選手やiDom選手などのトッププレイヤーも来るところです。

それに比べて、東京にあるFAV gamingのトレーニングルームでは、毎日のようにトッププロが一堂に会し練習しています。自分も、トレーニング目的で昨年のカプコンカップの前に訪れましたが、あそこの練習環境はすごいです。面子がカプコンカップと変わりませんからね(笑)。


――トレーニングのために来日された際、練習相手となった梅原選手が、Punk選手を「他のアメリカ人プレイヤーとは一線を画す」として評価されていました。Punk選手と他のプレイヤーとの違いは何でしょうか?

Punk:そうだったんですか! ダイゴ選手のような、何年も格闘ゲームをプレイしている方から評価されるのは嬉しいですね。ダイゴ選手であればきっと、どんなスタイルの相手とも戦ったことがあるでしょうから、そんな人に「他と違う」と評価されるなんて光栄です。

ただ、何が違うか、という質問であれば、それは分かりません。是非ダイゴ選手に聞いてみたいですね。興味があります(笑)。

――ちなみに、プロゲーマーでなければ何になっていたと思いますか?

Punk:そうですね、会計士でしょうか。数学が好きなので。もしプロになれていなければ、大学へ行って、会計士の道へ進んでいたかもしれません。

――シーズン4にはどのように取り組む予定ですか?

Punk:シーズン4の調整はとても気に入っています。自分のキャラクターである「かりん」も、相対的に強くなりました。基本的にはかりんだけでいくつもりですが、投げキャラクターが難関ですね。被せキャラクターを用意する必要があるかもしれない、と感じています。

2018年10月からは新たにTeam Reciprocity(@TeamReciprocity)へ加入もできて、おかげで今年もCPTが回れそうです。自分はチーム唯一の格闘ゲームプレイヤーなのですが、チームのビジョンが気に入って加入を決めました。

スポンサーからは、カプコンカップへの出場が期待されていると思います。もちろん個人的にもそれを目指すつもりですが、それでも自分の一番の目標は「EVO」ですね。

「EVO 2017」では絶好調だったのにも関わらず、ときど選手に力の差を見せつけられて準優勝に終わり、昨年も上手くいきませんでした。

「EVO」は自分の中でも大きな意味を持つ大会なので、今年はなんとしても優勝したいです。


――では最後に、今後の意気込みをお願いします。

Punk:そうですね、自分はとにかく格闘ゲームが大好きなので、今後もプレイし続けられるように頑張りたいと思っています。

まずは「EVO Japan 2019」の優勝ですかね。

――色々とお話いただき、ありがとうございました。大会でのご武運を祈っております!

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