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ALIENWARE ZONEライター・有識者が選ぶ、eスポーツタイトル別 2019年3大ニュース!【年末年始特別企画】
目次
2019年、日本のeスポーツ業界が大きく躍進する年となりました。ゲーマー、eスポーツ業界関係者のみならず、一般的なビジネス業界にまでゲームが大きな可能性を秘めているということが伝わった、記念すべき1年だったと思います。
そこで年末年始特別企画として、普段からALIENWARE ZONEを中心に各タイトルで活躍されているライターや識者の方々に、eスポーツとしての視点、プレイヤーとしての視点、個人的な視点など「2019年にもっとも印象に残った3大ニュース」をうかがいました。
読者のみなさんの3大ニュースとはどれくらい違ったでしょうか? この記事をきっかけに、他のカテゴリーのタイトルに興味を持っていただけたら嬉しい限りです!
今年も『LoL』の競技シーンでは多くのドラマが生まれた。世界各地で行われるプロリーグでしのぎを削ったチームが、世界最強の王座を目指して戦う毎年の世界大会「Worlds 2019」(World Championship)ではチームや選手それぞれと同様に、各地域の代表として各リーグの強さを図る場となっている。先行する地域に追いつき、追い越そうとするチーム・リーグが、積み上げてきたものをぶつける大会でもあるのだ。「LJL」がライアット主催の国際大会に参加したのは2015年の「IWCI」(International Wildcard Invitational)が初めてで、その後も苦しい結果に終わるという時代が続いていた。
しかし2018年の「Worlds」や2019年の「MSI」を見るに、少しずつ次のステージへ進む可能性が見えてきている。今年はグループステージ進出という大きな目標には届かなかったものの、LECの第3シードとして参加していたSplyceに勝利したことは大きな結果の一つだ。2018年はCloud9をあと少しまで追い詰めながらも逆転を許してしまったが、今年はではメジャーリージョンと呼ばれる強豪地域を勝ち上がってきたチームに対しても、戦えることを見せることができたと言えるだろう。
また、メジャーリージョン同士の力関係も大きく変化しつつあるようだ。「Worlds 2018」に引き続いてのLPL vs LECとなった決勝戦「FunPlus Phoenix vs G2 Esports」のカード、そしてLPLチームによる連覇は、2013~2017年の間続いていた「LCK一強」という構図が確かに変わったことを裏付ける結果となった。
チーム数や投入されている資本の大きさで圧倒的な規模を誇るLPLと、地域のトップリーグのみならず各国でのリーグ運営で競技人口を充実させてきたLECが、それぞれに積み上げてきたもので結果を出しているとも言える。
そして、国内リーグがその規模や設備を充実させていくのは、単なる数のみならずリーグの競技水準を底上げしていくための一歩にもなる。その点ではLJLも成長の途上にあり、新たなチームの参画や選手のデビューを伴いながらより激しい戦いを大きな舞台で見せてくれると期待したい。
山口佐和子プロフィール
めでたい! いやぁ、めでたい!
Team Mayという日本の『Dota2』代表チームが、日本チームとして初めて、韓国で開催された「IeSF」という国際大会で1勝を挙げました! しかも最終結果は3勝2敗の勝ち越しと、世界各国の強敵相手に戦い抜き、ベスト8という結果で帰ってまいりました!
個人的に、もっと盛り上がってほしいってのが本音なので、今回このことを書かせていただいて本当に嬉しいです!ちなみに、こちらのTeam Mayというチーム、ENLIFE TMという名前になって、俺がオーナーです(にっこり)。
『Dota2』は2019年も、独自のノリでどんどん突き進んでいます。最新の大型アップデートでは、MOBAジャンルでは考えられない、アイテム一挙60個追加というとんでもないプレイが飛び出しています。このアイテムの追加のあった大型アップデートに関してはほんとに賛否両論ありましたけど、基本的にはみんな『Dota2』とValveのこういうところが大好きだから、結局かなり盛り上がりました。ゲーム時間もアベレージ10分ほど短くなりましたし!
最高のゲーム、『Dota2』を、2020年もよろしくお願いします!
Maraプロフィール
『ストリートファイターV アーケードエディション』
1. ボンちゃん、「EVOLUTION」制覇!
2. CPT精神に則ったコントローラレギュレーションの明言
3. 国内若手プレイヤーの台頭
2019年の『ストⅤ』シーンで大きなトピック、と聞かれて思いつくのはやはり世界最大の格ゲーの祭典「EVO」をボンちゃんが制覇したひと幕。その時いちばん強いプレイヤーが、納得のいく形で盤石の優勝。本当にお見事でした。
そして競技シーンという切り口で見るならば、6月21日の「CAPCOM Pro Tour 2019」公式規定の更新時に公開された「CPTにおけるコントローラー利用の概念」の項も大きなトピックではないだろうか。要は「自作・改造コントローラー」などの挙動に関する規定が、公式に明言されたのである。
eスポーツのみならず、あらゆる競技に必ず付いて回る“公認競技用具”の規定。現在の規定も、随時変化を求められるであろうし、発表の仕方を含めて少なからぬ波紋を生み出したものの、プレイヤーや大会運営者の良識に任せた運営をしてきたところから、より競技化に向けて舵を切った象徴的な出来事だったように思う。
カプコンカップ本戦に堂々の出場を決めた竹内ジョン、キチパーム、もけをはじめ、りゅうせい、ジョニィ、Shuto、Trashboxら国内の若手が目覚ましい活躍を見せたのも印象深い。
年末にはプロツアーとはまったく別枠で開催された単発興行の「Red Bull Kumite 2019」も大成功をおさめており、来年もいろいろな形でこのゲームを楽しめると期待できる。
大地 プロフィール
あまりにもベタベタなニュースが3つ並んでおりますが、一応解説を。まず3位の“パキスタン勢の台頭”は、『鉄拳』の大会シーンに触れている人なら100人中は100人が挙げるトピック。「EVO JAPAN 2019」
に突如として現れ、圧倒的な力を見せつけて優勝、その約半年後には本家「EVO」も制覇したArslan Ash選手を始め、Arslan Ash選手の「パキスタンにはぼくより強い選手がたくさんいる」発言を裏切らずに続々と登場する強くてキャラの立った強豪たち(Awais Honey、Atif Butt、Bilal……)が残した衝撃は記憶に新しい。
2位はどれだけ競技シーンがヒートアップしても、やっぱりゲームそのものが売れないと意味がないよね、ということで、『鉄拳』シリーズのプロデューサー、原田勝弘氏がTwitterでサラッと発表した重大ニュースを入れさせてもらった。ちなみに『鉄拳』シリーズ全タイトルを累計した販売本数は、4800万枚を超えているとのこと。
そして2019年の『鉄拳』シーンは「パキスタン勢最強!」で終わらなかったのが本当にすごいところ。夏から秋にかけて開催された「TWT」(鉄拳ワールドツアー)ポイント対象大会ではパキスタン勢に押されていた日本、韓国、アメリカ勢が、1年を締めくくる「TWT Finals」では逆襲。その中でもいち早くパキスタン勢の実力を認め、現地への遠征まで敢行したチクリン選手が世界一に……というのはあまりにもできすぎたシナリオというか、もはや大河ドラマのような展開だった。
また、3大ニュースからは漏れたものの、プレイヤーとしては12月にダウンロードコンテンツとして実装された、フレームデータディスプレイも超重大なトピック。ゲームの中だけであらゆる技の発生、硬直、ガード後の距離といった情報がわかるようになったため、『鉄拳』の攻防をとりあえず理解するためのハードルが大幅に下がった。今年の『鉄拳』シーンを見てゲームそのものに興味を持った人はいまがチャンス! ぜひ『鉄拳7』に触ってみてほしい。
『DOA』界にとって、2019年は『デッド オア アライブ 6』が発売されたことが最大のトピックですが、同時に新規プレイヤーがかなり増えた印象があります。ゲームシステムが大きく変わって、良くも悪くも“荒れる”ゲーム性になったおかげで、新しく『DOA6』から始めた人でも勝ちやすくなったのは、とてもいい変化だと思います。初中級者がイベントをやったり、個人で大会を開いたりする機会も以前よりも増えましたね。オンライン環境も『DOA5シリーズ』よりも格段に良くなったことも一因かと思います。
大会では、『DOA5シリーズ』時代から活躍していた選手だけでなく、『DOA6』から頭角を表した選手も多かったように思います。特に注目したのは、keisuke選手ですね。『DOA6』になってから出た大会のほとんどで上位に食い込む活躍を見せました。関西の「KVO x TSB 2019」では優勝、台湾の「Taipei Major」では4位、「Tokyo Game Show 2019」では3位、オンライン予選の「DOA6WC Online - ASIA」では優勝もしています。彼のような若手のプレイヤーが現れたのは非常に喜ばしいことだと思っています。
そしてもうひとつは、世界大会「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」を開催したことですね。個人的にはもう少しゲームが成熟してからでもよかったかなとも思うのですが、モチベーションの高いプレイヤーが定期的に自分の実力を発揮できる場があったことはよかったと思います。1デイ大会で終わりじゃなくなったのは良い変化でした。
ですが、ツアーファイナルのタイムスケジュールが過密で、最終予選と決勝大会が同時進行したり、決勝大会で全試合が見られなかったことが非常に残念でした。参加した選手の中でも配信に映ることなく敗退してしまった方もいました。2020年の世界大会での改善に期待しています。
神園 プロフィール
2019年の『PUBG』競技シーンは、国際大会における日本チームの活躍、そして国内リーグの盛り上がりが目立った1年だったのではないでしょうか。
2018年の国際大会では、日本チームが1度もドン勝できない厳しい状況が続いていましたが、2019年に入って多くの日本チームがドン勝を獲得。さらには、11月に行われた世界大会「PUBG GLOBAL CHAMPIONSHIP 2019(PGC)」において、「SunSister」がグループステージを突破し、セミファイナルへ進出。そのアグレッシブなプレイで日本チームの存在感をアピールしました。
しかしながら、日本チームにとってまだまだ世界の壁は厚いという現状も。2020年には、PUBG Corp.が主催する4つの国際大会が行われることが発表されており、日本チームが世界の舞台で、さらなる活躍を見せることができるかに大きな期待が寄せられています。
国内リーグ「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」では、ファッション通販サイトのZOZOTOWNとのコラボに始まり、バーガーキング、サッポロビール、ガストなどの大手飲食企業が続々と協賛。国内のeスポーツシーンにおいて初の取り組みとなるコラボ施策の数々は、『PUBG』らしさを取り込んだ内容でPJSファンに高く支持され、シーンの枠を飛び越えて話題となりました。
また、12月には低スペックPCでも遊べる基本プレイ無料の『PUBG LITE』が国内でリリース。2018年はモバイル版『PUBG MOBILE』のリリースにより、プレイヤーの裾野が大きく広がり、競技シーンやコミュニティの拡大に繋がりましたが、『PUBG LITE』の登場で、これまでハイスペックなゲーミングPCが必要とされ、プレイヤーのコア化が進んでいたPC版にも、新たなプレイヤー層の流入が期待されます。
綾本ゆかり プロフィール
国内チームの活躍が実績として顕在化した競技シーンや、お気に入りのオペレーターを徹底的に再現して楽しむコスプレ文化の形成など、2019年はプロ・アマ問わず、『レインボーシックス シージ』(R6S)のコミュニティが飛躍的に成長した一年でした。
人によって注目度の高いニュースは違ってくると思いますが、まず間違いなくホットトピックだったのは「プロリーグ10 ファイナル」の国内開催ではないでしょうか。愛知県・常滑市のAichi Sky Expoで開かれた本大会には、各リージョンを勝ち抜いた計8チームが参戦。残念ながら日本チームは壇上へ上がることはできませんでしたが、それでも世界一の王者を見届けようと約4000人の観客が来場。結果的にイベントは盛況の渦に包まれながら終了し、「国内『R6S』シーンの隆盛ここにアリ!」と強く印象付けました。
また、2019年2月開催の「Six Invitationl 2019」では、プロゲーミングチーム「野良連合」がAPAC地域に所属する「FNATIC」を倒してベスト4に進出。FPSタイトルの世界大会で日本が上位に名を連ねたことは話題性も大きく、配信の同時視聴者数は国内だけで7万人を記録しました。世界の壁は分厚く、乗り越えるべきハードルもありますが、いつの日か日本のチームが優勝トロフィーを手に輝いている光景を見てみたいものです。
今後も引き続き成長を続けるであろう『R6S』。筆者としては2020年3月の「レインボーシックス フェスティバル」を心待ちにしつつ、まずはランクマッチで己の腕を磨き上げたいと思います。
龍田優貴 プロフィール
2019年3月の拡張パック「鋼鉄の反逆者」より、キャッチコピーを「本格スマホeスポーツ」に変更した「Shadowverse」。コミュニティ内外の反応は賛否両論……というよりも、半ばネタとして受け止められていたように思います。強力なリセット効果を持つ「バハムート」の応酬や、インフレを助長したパック「ワンダーランド・ドリームズ」など、「メンコ」と揶揄された時期の印象は根強かった。
ですが現在、1枚で勝敗を決めかねないパワーカードはナリを潜め、以前と比べて複雑な思考を要するタクティクスが主流になりつつあります。制度面も充実し、4半期ごとの大型賞金制大会は欠かさず開催。11月にはトッププロ同士の試合が地上波(関東ローカル)で初放送されるまでに至りました。プロライセンスの是非が界隈を騒がせる中、独自のノウハウで日本の競技シーンを牽引する「Shadowverse」は、まさしく「本格スマホeスポーツ」にふさわしいタイトルといえるでしょう。だとしても「絢爛のセクシーヴァンパイア」なんてカードは許されない気がしますが。
さて、地上派進出といえば10月にはアニメ化が発表されました。テレビで動くアリサやローウェンが見られる……のかと思いきや、公式サイトでポーズをキメるのは、知らん少年と知らんドラゴン。誰だお前ら。絵柄を鑑みると小学校高学年〜中学生くらいがターゲットなのかもしれませんね。だとしたら「絢爛のセクシーヴァンパイア」なんてカードは許されない気がしますが。
戸部マミヤ プロフィール
そこで年末年始特別企画として、普段からALIENWARE ZONEを中心に各タイトルで活躍されているライターや識者の方々に、eスポーツとしての視点、プレイヤーとしての視点、個人的な視点など「2019年にもっとも印象に残った3大ニュース」をうかがいました。
読者のみなさんの3大ニュースとはどれくらい違ったでしょうか? この記事をきっかけに、他のカテゴリーのタイトルに興味を持っていただけたら嬉しい限りです!
『リーグ・オブ・レジェンド』3大ニュース(山口佐和子)
今年も『LoL』の競技シーンでは多くのドラマが生まれた。世界各地で行われるプロリーグでしのぎを削ったチームが、世界最強の王座を目指して戦う毎年の世界大会「Worlds 2019」(World Championship)ではチームや選手それぞれと同様に、各地域の代表として各リーグの強さを図る場となっている。先行する地域に追いつき、追い越そうとするチーム・リーグが、積み上げてきたものをぶつける大会でもあるのだ。「LJL」がライアット主催の国際大会に参加したのは2015年の「IWCI」(International Wildcard Invitational)が初めてで、その後も苦しい結果に終わるという時代が続いていた。
しかし2018年の「Worlds」や2019年の「MSI」を見るに、少しずつ次のステージへ進む可能性が見えてきている。今年はグループステージ進出という大きな目標には届かなかったものの、LECの第3シードとして参加していたSplyceに勝利したことは大きな結果の一つだ。2018年はCloud9をあと少しまで追い詰めながらも逆転を許してしまったが、今年はではメジャーリージョンと呼ばれる強豪地域を勝ち上がってきたチームに対しても、戦えることを見せることができたと言えるだろう。
また、メジャーリージョン同士の力関係も大きく変化しつつあるようだ。「Worlds 2018」に引き続いてのLPL vs LECとなった決勝戦「FunPlus Phoenix vs G2 Esports」のカード、そしてLPLチームによる連覇は、2013~2017年の間続いていた「LCK一強」という構図が確かに変わったことを裏付ける結果となった。
チーム数や投入されている資本の大きさで圧倒的な規模を誇るLPLと、地域のトップリーグのみならず各国でのリーグ運営で競技人口を充実させてきたLECが、それぞれに積み上げてきたもので結果を出しているとも言える。
そして、国内リーグがその規模や設備を充実させていくのは、単なる数のみならずリーグの競技水準を底上げしていくための一歩にもなる。その点ではLJLも成長の途上にあり、新たなチームの参画や選手のデビューを伴いながらより激しい戦いを大きな舞台で見せてくれると期待したい。
山口佐和子プロフィール
『LoL』に関する日本語情報の発信を続けるライター。ゲームコンテンツからプロシーン、開発会社の社会的動向まで、『LoL』についてなら何でも手広く追い続けている。そろそろ追いきれなくなってきました。
『Dota2』3大ニュース(Mara)
- 祝・ENLIFE Team May、国際大会での初勝利!!
- 新パッチでアイテムが60個追加!!
- 「C4LAN」群馬へ!!
めでたい! いやぁ、めでたい!
Team Mayという日本の『Dota2』代表チームが、日本チームとして初めて、韓国で開催された「IeSF」という国際大会で1勝を挙げました! しかも最終結果は3勝2敗の勝ち越しと、世界各国の強敵相手に戦い抜き、ベスト8という結果で帰ってまいりました!
個人的に、もっと盛り上がってほしいってのが本音なので、今回このことを書かせていただいて本当に嬉しいです!ちなみに、こちらのTeam Mayというチーム、ENLIFE TMという名前になって、俺がオーナーです(にっこり)。
『Dota2』は2019年も、独自のノリでどんどん突き進んでいます。最新の大型アップデートでは、MOBAジャンルでは考えられない、アイテム一挙60個追加というとんでもないプレイが飛び出しています。このアイテムの追加のあった大型アップデートに関してはほんとに賛否両論ありましたけど、基本的にはみんな『Dota2』とValveのこういうところが大好きだから、結局かなり盛り上がりました。ゲーム時間もアベレージ10分ほど短くなりましたし!
最高のゲーム、『Dota2』を、2020年もよろしくお願いします!
Maraプロフィール
岡山県の牡蠣漁師で『Dota2』大好きな、漁師ゲーマーのファーストブランド。牡蠣や牛肉、フルーツなど1次産業の食品を賞品にしたゲーム大会やゲームイベントを主催しており、クレイジーな漁師がいると海外で話題になりValve社の公式ドキュメンタリーに出演した熱血漢。
『ストリートファイターV アーケードエディション』
2019年ニュース ベスト3(大地)
1. ボンちゃん、「EVOLUTION」制覇!2. CPT精神に則ったコントローラレギュレーションの明言
3. 国内若手プレイヤーの台頭
2019年の『ストⅤ』シーンで大きなトピック、と聞かれて思いつくのはやはり世界最大の格ゲーの祭典「EVO」をボンちゃんが制覇したひと幕。その時いちばん強いプレイヤーが、納得のいく形で盤石の優勝。本当にお見事でした。
そして競技シーンという切り口で見るならば、6月21日の「CAPCOM Pro Tour 2019」公式規定の更新時に公開された「CPTにおけるコントローラー利用の概念」の項も大きなトピックではないだろうか。要は「自作・改造コントローラー」などの挙動に関する規定が、公式に明言されたのである。
eスポーツのみならず、あらゆる競技に必ず付いて回る“公認競技用具”の規定。現在の規定も、随時変化を求められるであろうし、発表の仕方を含めて少なからぬ波紋を生み出したものの、プレイヤーや大会運営者の良識に任せた運営をしてきたところから、より競技化に向けて舵を切った象徴的な出来事だったように思う。
カプコンカップ本戦に堂々の出場を決めた竹内ジョン、キチパーム、もけをはじめ、りゅうせい、ジョニィ、Shuto、Trashboxら国内の若手が目覚ましい活躍を見せたのも印象深い。
年末にはプロツアーとはまったく別枠で開催された単発興行の「Red Bull Kumite 2019」も大成功をおさめており、来年もいろいろな形でこのゲームを楽しめると期待できる。
大地 プロフィール
「ゲーメストEX」「セガサターンマガジン」「ドリマガ」でライターとして活躍。のちにゲーム会社へ就職してゲームディレクター/プロデューサーに。現在はフリーランスで活動中。
『鉄拳7』3大ニュース(マンモス丸谷)
あまりにもベタベタなニュースが3つ並んでおりますが、一応解説を。まず3位の“パキスタン勢の台頭”は、『鉄拳』の大会シーンに触れている人なら100人中は100人が挙げるトピック。「EVO JAPAN 2019」
に突如として現れ、圧倒的な力を見せつけて優勝、その約半年後には本家「EVO」も制覇したArslan Ash選手を始め、Arslan Ash選手の「パキスタンにはぼくより強い選手がたくさんいる」発言を裏切らずに続々と登場する強くてキャラの立った強豪たち(Awais Honey、Atif Butt、Bilal……)が残した衝撃は記憶に新しい。
2位はどれだけ競技シーンがヒートアップしても、やっぱりゲームそのものが売れないと意味がないよね、ということで、『鉄拳』シリーズのプロデューサー、原田勝弘氏がTwitterでサラッと発表した重大ニュースを入れさせてもらった。ちなみに『鉄拳』シリーズ全タイトルを累計した販売本数は、4800万枚を超えているとのこと。
TEKKEN7 had achieved Over 4 million sales (Achieved in March 2019)!
— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) July 19, 2019
We recorded Over 48million copies sales for the series.
鉄拳7が400万枚超を達成(2019年3月に達成してましたが忘れていました...シリーズ累計は4800万枚超)!
記念イラストにキャラ追加してグレードアップ!!!#TEKKEN pic.twitter.com/ANCoTKvNbw
そして2019年の『鉄拳』シーンは「パキスタン勢最強!」で終わらなかったのが本当にすごいところ。夏から秋にかけて開催された「TWT」(鉄拳ワールドツアー)ポイント対象大会ではパキスタン勢に押されていた日本、韓国、アメリカ勢が、1年を締めくくる「TWT Finals」では逆襲。その中でもいち早くパキスタン勢の実力を認め、現地への遠征まで敢行したチクリン選手が世界一に……というのはあまりにもできすぎたシナリオというか、もはや大河ドラマのような展開だった。
また、3大ニュースからは漏れたものの、プレイヤーとしては12月にダウンロードコンテンツとして実装された、フレームデータディスプレイも超重大なトピック。ゲームの中だけであらゆる技の発生、硬直、ガード後の距離といった情報がわかるようになったため、『鉄拳』の攻防をとりあえず理解するためのハードルが大幅に下がった。今年の『鉄拳』シーンを見てゲームそのものに興味を持った人はいまがチャンス! ぜひ『鉄拳7』に触ってみてほしい。
マンモス丸谷プロフィール
フリーランスのライターとしてゲームメディアにしがみつきつつ、週3~5ペースでゲーセンに通う中年男性。“eスポーツ”とひと括りにされがちなゲームジャンルの中では、サッカー、野球、格闘ゲームにはそこそこ携わってきた経験アリ。最近は家では『鉄拳7』、ゲーセンでは『三国志大戦』をプレイ中。
『DEAD OR ALIVE 6』3大ニュース(神園)
- 『DOA6』からの新規プレイヤーが大幅に増加
- 『DOA6』で初めて見るような若手選手が大会で活躍
- 発売1年目に「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」の実施
『DOA』界にとって、2019年は『デッド オア アライブ 6』が発売されたことが最大のトピックですが、同時に新規プレイヤーがかなり増えた印象があります。ゲームシステムが大きく変わって、良くも悪くも“荒れる”ゲーム性になったおかげで、新しく『DOA6』から始めた人でも勝ちやすくなったのは、とてもいい変化だと思います。初中級者がイベントをやったり、個人で大会を開いたりする機会も以前よりも増えましたね。オンライン環境も『DOA5シリーズ』よりも格段に良くなったことも一因かと思います。
大会では、『DOA5シリーズ』時代から活躍していた選手だけでなく、『DOA6』から頭角を表した選手も多かったように思います。特に注目したのは、keisuke選手ですね。『DOA6』になってから出た大会のほとんどで上位に食い込む活躍を見せました。関西の「KVO x TSB 2019」では優勝、台湾の「Taipei Major」では4位、「Tokyo Game Show 2019」では3位、オンライン予選の「DOA6WC Online - ASIA」では優勝もしています。彼のような若手のプレイヤーが現れたのは非常に喜ばしいことだと思っています。
そしてもうひとつは、世界大会「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」を開催したことですね。個人的にはもう少しゲームが成熟してからでもよかったかなとも思うのですが、モチベーションの高いプレイヤーが定期的に自分の実力を発揮できる場があったことはよかったと思います。1デイ大会で終わりじゃなくなったのは良い変化でした。
ですが、ツアーファイナルのタイムスケジュールが過密で、最終予選と決勝大会が同時進行したり、決勝大会で全試合が見られなかったことが非常に残念でした。参加した選手の中でも配信に映ることなく敗退してしまった方もいました。2020年の世界大会での改善に期待しています。
神園 プロフィール
2019年開催の「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」の解説者を務めたプロゲーマー。『P4U』『ソウルキャリバーV』『恋姫演武』『DOA5LR』など、多数の対戦格闘ゲームで優勝経験を持つ。現在は「PGW」を運営するグローバルセンス株式会社に所属。
『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』3大ニュース(綾本ゆかり)
2019年の『PUBG』競技シーンは、国際大会における日本チームの活躍、そして国内リーグの盛り上がりが目立った1年だったのではないでしょうか。
2018年の国際大会では、日本チームが1度もドン勝できない厳しい状況が続いていましたが、2019年に入って多くの日本チームがドン勝を獲得。さらには、11月に行われた世界大会「PUBG GLOBAL CHAMPIONSHIP 2019(PGC)」において、「SunSister」がグループステージを突破し、セミファイナルへ進出。そのアグレッシブなプレイで日本チームの存在感をアピールしました。
しかしながら、日本チームにとってまだまだ世界の壁は厚いという現状も。2020年には、PUBG Corp.が主催する4つの国際大会が行われることが発表されており、日本チームが世界の舞台で、さらなる活躍を見せることができるかに大きな期待が寄せられています。
国内リーグ「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」では、ファッション通販サイトのZOZOTOWNとのコラボに始まり、バーガーキング、サッポロビール、ガストなどの大手飲食企業が続々と協賛。国内のeスポーツシーンにおいて初の取り組みとなるコラボ施策の数々は、『PUBG』らしさを取り込んだ内容でPJSファンに高く支持され、シーンの枠を飛び越えて話題となりました。
また、12月には低スペックPCでも遊べる基本プレイ無料の『PUBG LITE』が国内でリリース。2018年はモバイル版『PUBG MOBILE』のリリースにより、プレイヤーの裾野が大きく広がり、競技シーンやコミュニティの拡大に繋がりましたが、『PUBG LITE』の登場で、これまでハイスペックなゲーミングPCが必要とされ、プレイヤーのコア化が進んでいたPC版にも、新たなプレイヤー層の流入が期待されます。
綾本ゆかり プロフィール
フリーライター。『PUBG』で観戦の楽しさを知ったことをきっかけに、eスポーツの世界へ。ゲームやプレイヤーの魅力を伝えるべく、2017年11月頃からレポートやインタビューなど取材記事を中心に執筆。
『レインボーシックス シージ』3大ニュース(龍田優貴)
- 愛知県・常滑で「プロリーグ10 ファイナル」の開催
- 「Six Invitationl 2019」で野良連合がベスト4入り
- 攻撃側オペレーター「KALI」の登場
国内チームの活躍が実績として顕在化した競技シーンや、お気に入りのオペレーターを徹底的に再現して楽しむコスプレ文化の形成など、2019年はプロ・アマ問わず、『レインボーシックス シージ』(R6S)のコミュニティが飛躍的に成長した一年でした。
人によって注目度の高いニュースは違ってくると思いますが、まず間違いなくホットトピックだったのは「プロリーグ10 ファイナル」の国内開催ではないでしょうか。愛知県・常滑市のAichi Sky Expoで開かれた本大会には、各リージョンを勝ち抜いた計8チームが参戦。残念ながら日本チームは壇上へ上がることはできませんでしたが、それでも世界一の王者を見届けようと約4000人の観客が来場。結果的にイベントは盛況の渦に包まれながら終了し、「国内『R6S』シーンの隆盛ここにアリ!」と強く印象付けました。
また、2019年2月開催の「Six Invitationl 2019」では、プロゲーミングチーム「野良連合」がAPAC地域に所属する「FNATIC」を倒してベスト4に進出。FPSタイトルの世界大会で日本が上位に名を連ねたことは話題性も大きく、配信の同時視聴者数は国内だけで7万人を記録しました。世界の壁は分厚く、乗り越えるべきハードルもありますが、いつの日か日本のチームが優勝トロフィーを手に輝いている光景を見てみたいものです。
今後も引き続き成長を続けるであろう『R6S』。筆者としては2020年3月の「レインボーシックス フェスティバル」を心待ちにしつつ、まずはランクマッチで己の腕を磨き上げたいと思います。
龍田優貴 プロフィール
初代『ストリートファイターZERO』とほぼ同い年のフリーライター。ALIENWARE ZONEにて『R6S』のeスポーツ観戦コラム&初心者向けガイドを連載中。ライター業に勤しむ傍ら、夜な夜な”奇ゲー発掘”に親しんでいる。
『シャドウバース』3大ニュース(戸部マミヤ)
- キャッチコピーを「本格スマホeスポーツ」に改め再スタート
- 「RAGE Shadowverse Pro League」地上波初放送
- テレビアニメ化決定!……なんか絵柄が違わない?
2019年3月の拡張パック「鋼鉄の反逆者」より、キャッチコピーを「本格スマホeスポーツ」に変更した「Shadowverse」。コミュニティ内外の反応は賛否両論……というよりも、半ばネタとして受け止められていたように思います。強力なリセット効果を持つ「バハムート」の応酬や、インフレを助長したパック「ワンダーランド・ドリームズ」など、「メンコ」と揶揄された時期の印象は根強かった。
ですが現在、1枚で勝敗を決めかねないパワーカードはナリを潜め、以前と比べて複雑な思考を要するタクティクスが主流になりつつあります。制度面も充実し、4半期ごとの大型賞金制大会は欠かさず開催。11月にはトッププロ同士の試合が地上波(関東ローカル)で初放送されるまでに至りました。プロライセンスの是非が界隈を騒がせる中、独自のノウハウで日本の競技シーンを牽引する「Shadowverse」は、まさしく「本格スマホeスポーツ」にふさわしいタイトルといえるでしょう。だとしても「絢爛のセクシーヴァンパイア」なんてカードは許されない気がしますが。
さて、地上派進出といえば10月にはアニメ化が発表されました。テレビで動くアリサやローウェンが見られる……のかと思いきや、公式サイトでポーズをキメるのは、知らん少年と知らんドラゴン。誰だお前ら。絵柄を鑑みると小学校高学年〜中学生くらいがターゲットなのかもしれませんね。だとしたら「絢爛のセクシーヴァンパイア」なんてカードは許されない気がしますが。
戸部マミヤ プロフィール
編集者・フリーライター。ゲームのような冒険に憧れて世界の秘境・絶景を放浪。「地球最後の秘境」と呼ばれるギアナ高地など、様々な土地でRPGのサントラと共に旅を楽しんでいる。オモコロでも活動中。