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「LJL 2021 Spring Split」前半戦総括&後半戦プレビュー:ロースター変更によるチームの仕上がりは?
目次
2021年の『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の日本リーグ「LJL 2021 Spring Split」は、1月から4月にかけての開催。Bo1(1ゲーム先取)・ダブルラウンドロビン(総当たり戦を2度行う)で争われる「レギュラーシーズン」(Week1〜8)と、上位6チームによるトーナメント方式での「プレーオフ」、そして最終的に勝ち残った2チームによるBo5(3ゲーム先取)での「ファイナル」が予定されている。
そのうち、2月13日のWeek4までの前半戦では、各チームが総当たり戦1回+再戦1回の8試合を終了。2週間のインターバルを経て、間もなく残る6試合の後半戦が再開される。
本記事では、前半戦の振り返りと各チームの状況、後半戦のキープレイヤー、そしてパッチ11.4以降のメタについて考えてみたい。
●開幕直後のレビューはこちらでチェック!
【LJLキャスター・eyesの「ここだけのハナシ」FILE.01】「LJL 2021 Spring Split Week1」参戦チームファーストインプレッション
「LJL 2021 Spring Split」Week4終了時点のスタンディングス
まずはDetonation FocusMe(DFM)とV3 Esports(V3)が含まれるトップ集団。この2チームは2020年の決勝を争ったチームで、ある意味順当に上位をキープしている。
ただし、DFMは長年スタメンを務めてきたCeros選手が控えに回ったり、V3もロースターが半分以上入れ替わったりと変化がなかったわけではない。既存メンバーのレベルの高さと、組織としての完成度があったことによって上位をキープできた、と言うべきだろう。
トップ集団の2チームはメンバー的にも大きな弱点がなく、どのレーンからでもキャリーできるというのが強みだ。
次に来るのが調子を上げてきているRascal Jester(RJ)とSengoku Gaming(SG)の2チーム。どちらも1人を除いてロースターがガラッと変わったこともあってシーズン序盤は調子に乗れずにいたもののWeekが進むにつれチームとしてのシナジーが良くなってきている。
この2チームの共通点はいずれも開幕当初はどこか1レーンに不安を抱えていて、そこを上手くドラフト戦術や選手の成長で補って勝てるようになってきたというところ。勝ちパターンはしっかりと作れているので、後半戦も上位に食いついていけるポテンシャルは十分にあるだろう。
3番目に来るのが、Crest Gaming Act(CGA)とAXIZの2チーム。
このグループの特徴は、CGAであればトップ・ミッドの安定感、AXIZであればジャングルのゲームコントロール能力と長所は上位勢にも引けをとらないものの、弱点もかかえていてそこから崩れて負けてしまう試合が多く見られる点だ。
今季の「LJL」は6チームがプレーオフへと進出できるため、その当落線上にいるチームとも言えるだろう。若いメンバーがこの2週間のインターバルでどれだけ成長を見せられるかがプレーオフ進出の鍵を握っていそうだ。
4番手グループに入るのがBurning CoreとSoftBank HAWKS Gaming。
どちらも実績を積んだプレイヤーがロースターを占めているだけに、実力面の問題というよりは、チームとしての勝ちパターンの構築が上手くいっていないなという印象を受けている。
とはいえ第3グループとは1勝差しかなく、両チームともに先述の通り「LJL」で戦うのに不足したメンバーというわけでもないので、リーグ再開後に流れをつかめればプレーオフ進出も十分ありえるだろう。
では、ここからはチームごとに振り返りつつ、後半戦で注目したいキープレイヤーをご紹介したい。
2020年はファイナルでV3に敗れ「Worlds」出場を逃したDFMは、LJLナンバーワンミッドレーナーとの呼び声高かったCGAのAria選手を獲得。外国人枠の関係でサポートのGaeng選手が控えに回り、Kazuコーチが選手に復帰した。
メンバーが2人が変わったこともあってか、小さなコミュニケーションのミスが散見されるものの、チームファイトのパフォーマンスはLJL随一で、ここまで安定した成績を収めている。
集団戦を重視しているのはスタッツにも現れている。ADCのYutapon選手は15分までのCS差ではマイナス3と平均以下の数値に収まっているが、ゲーム全体を通しての平均CSだとLJL全選手の中で最多の10.0を記録している。もちろん、Yutapon選手自身のミクロもだが、チーム全体でADCにファームを集めて集団戦をキャリーさせようという意図が見える。
ボットレーンは久しぶりの現役復帰となったKazu選手のパフォーマンスの問題もあって苦しい展開になりがちだが、トップのEvi選手、ミッドのAria選手はここまで素晴らしいパフォーマンスを見せていて、この2人とジャングルのSteal選手を加えた3人が中盤を支え、Yutapon選手のアイテムがそろうまでの時間帯を待つという勝ちパターンができている。
コミュニケーションミスがそのまま敗因になったのが、唯一の黒星であるSG戦。Evi選手がキャリー寄りのピックをすることも多いので、一度相手にスノーボールされると苦しくなる可能性が高い。
今季はチーム全体でピックのバリエーションを絞っているが、おそらくコミュニケーションの精度を上げようということだろう。
現状、ファーム量は平均以下でキル関与率も首位のチームのジャングラーとしては物足りないスタッツなので、メタが追い風になって浮上してくれば、1位でのプレーオフ進出も目前だろう。
2020年は初のLJL制覇、「Worlds」進出となったV3 Esports。今季は中心プレイヤーだった日本人2人を残してメンバーが入れ替わったことを不安視する声もあったが、ふたを開けてみればかなりの好調で、現在2位につけている。
ミッドのAce選手、サポートのRaina選手は昨シーズンからさらに成長していると感じるが、最も目につくのはRJから久々の古巣復帰となったCogcog選手のパフォーマンスだ。
ナーやジェイスといったダメージが出せるチャンピオンからサイオンやアイバーンといったサポート役まで、幅広く6種類のチャンピオンをピックし、ロール内でKDA1位、KP1位、DPM2位と圧倒的なスタッツを記録している。開幕前のインタビューでAce選手、Raina選手が「Cogcog選手がLJLナンバーワントップだ」と口を揃えていたのも納得だ。
新加入のMoojin選手はファーストブラッド関与率がなんと87.5%と、LJLダントツのトップ。チームのファーストタワー獲得率87.5%という数値にも貢献しており、ゲームを積極的に動かしている。
Hollow選手もザヤでの非常に強気なプレイなどで存在感を見せており、トップ・ミッド・ADCのダメージシェアがほとんど同じと、どのレーンからでもゲームをキャリーできるのがV3の魅力と言えるだろう。
負けた2試合も分かりやすいミスが敗因になっており、ある意味首位のDFMよりも死角がないチームかもしれない。
プレーオフ進出は固いチームなので、後半戦は彼が新しいチャンピオンプールを見せてくれることに期待したい。
昨シーズン最下位、トップが新人、ミッドが復帰組と不安要素が多く、前評判は決して高くなかったRJだが、前半戦最後に3連勝と調子を上げて現在3位につけている。
ボットレーンのSsol選手、Secret選手はKongdoo MonsterでLCK1部を戦い、2部のCKでは敵なしの強さを誇った。LJLでもここまで実績にたがわぬプレイを見せている。
RJがこの順位につけられているのは、意外といっては失礼だが、ルーキートップレーナーのKinatu選手と、LJL2年ぶりの復帰となったミッドのRecap選手のパフォーマンスの高さだ。
Kinatu選手はWeekが過ぎるごとにパフォーマンスが良化してきていて、Week4ではナーのスーパープレイでリーグを沸かせた。また、Recap選手は特にシンドラでの集団戦が素晴らしく、なぜ彼が長らくLJLのスターターにいなかったのが不思議なほどの活躍っぷりだ。
ジャングルのHachamecha選手もチームの高いドラゴン&ヘラルド獲得率に貢献しており、上位チーム同様弱点が少ないチームに仕上がっている。
課題は、ダメージアウトプットがSsol選手に偏りすぎているところ。彼一人でチーム全体の30%を占めている。確かにADCが重要なメタなのは間違いないが、キャリーをADC一人に頼ると、相手が中盤でスノーボールし始めたときに耐えることが難しくなってしまう。
前半戦でもそういった試合展開が見られただけに、トップかミッドにダメージディーラーが用意できればさらにチームの勝率が安定していくだろう。
序盤にドラゴンが重ねられるようになり、ADCがパワースパイクを迎えるまでの時間も稼げると、既存の勝ちパターンへのつなぎもスムーズになるだろう。
3位のRJとは逆に、開幕前の評価に対して物足りない数字での折り返しとなったSG。開幕3連敗からスタートしたものの、その後の5試合は4勝1敗と調子を上げてきている。Week4では首位のDFMに土をつけるなど、後半戦の台風の目になりそうだ。
1シーズンぶりにスターターに復帰したミッドのRamune選手は、開幕当初はチャンピオン選択に苦労していた。しかし、ルブランやルシアンのようなレーンで攻めるタイプから、ビクターやアジールなど序盤はウェーブクリアに専念してレーンを安全に過ごすタイプに変えてから、本人のパフォーマンスもチーム全体のパフォーマンスも一気に改善した。
ジャングルのCrash選手はキャリータイプのジャングラーで、今シーズンのメタに一番マッチしているプレイヤー。ロール内のあらゆるスタッツが最上位に位置しており、ミッドが安定してきたことでサイドレーンへの介入もよりスムーズになった。
チーム状況がよくなるにつれ、トップのPaz選手、ボットのGango&Enty両選手も本来の力を発揮し始めた印象があり、これからは良化の一途をたどりそうなチームだ。
懸念点があるとすれば、ジャングルのスケーリングがパッチ11.4でナーフされることだ。Crash選手がここまでチームをけん引してきたが、これからはサイドレーンの力、特にサポートのEnty選手がゲーム運営に積極的にかかわっていく必要があるだろう。
SGがチームとしての調子を取り戻しつつある今、ここまで苦しい戦いをしてきたPaz選手のプレーも改善していければ、SGも上位のDFMやV3のようにどのレーンからでもキャリーできるチームに変わっていくことができるだろう。
日本人ルーキーのADC Milan選手と韓国人ルーキーのジャングル Cassin選手が加入したCGAは、滑り出しこそ好調だったものの、徐々に成績を落としこの順位に収まっている。
DRXでスターターを務めていた新加入のミッドレーナー、Naehyun選手は韓国内で評価されていた通り、集団戦での動きを中心に素晴らしいプレイをみせてくれている。レーンでのソロキルもロールトップの3回を記録している。
トップのNap選手は15分でのCS差が+11とトップレーンで一番のスタッツを残しており、Naehyun選手とNap選手、2人のソロレーナーが非常に安定しているのが、CGAの長所になっている。
この2人が安定してレーンでアドバンテージを取ってくれることを最大限活用するために、ジャングルのCassin選手はシン・ジャオやレク=サイなど、オフメタながら少数戦に強いチャンピオンをピックして、2対2や3対3のシチュエーションを重視している。
やはり課題はボットレーンだ。Grendelから名前を戻したサポートのArchemy選手、新人ADCのMilan選手のデュオは、レーン戦からかなり苦しい戦いを強いられている。
Milan選手はレーン戦後はプレッシャーを受けながらうまくファームをこなしたり、ファイトでは活躍する場面もあるだけに、どうやってゲーム序盤の問題をチームとして取り組んでいくかが後半戦の課題だろう。
しかし、チームとして1つしか戦術を持っていないとプレーオフではBANなどで対策されてしまう可能性も高い。前半戦でも試していたザヤかカイ=サなど、別のチャンピオンをピックした際にチームに貢献できるようになれるかが鍵となってきそうだ。
RJと並んで、開幕前の評価を覆したのがAXIZだ。日本人ルーキー3人を抱えたロースターでプレーオフ圏内の6位につけているのは、健闘していると言っていいだろう。
トップのIno選手、ミッドのMegumiin選手、サポートのNemoh選手、ルーキー3人に関しては別記事にてインタビューを行っているのでそちらをお読みいただくとして、正直レーニングではまたまだ苦戦している印象だ。
そんな中、AXIZはミッドのMegumiin選手の7体を筆頭に、かなりの種類のチャンピオンをプレイしており、チーム全体で29種のチャンピオンピックはリーグ最多になっている。新人には、安心してプレイさせるために得意チャンプ2、3体にピックを絞るのが一般的なのだが、この数値はチームからルーキーたちへの期待の高さがうかがえるものとなっている。
ジャングルのHoglet選手はそんな苦しいレーン状況においてもファーム、DPM、KPがすべて平均以上の成績で、視界スコアに関してはリーグトップの数値を残している。チームのオブジェクト周りの判断などがいいのも彼が要因だろう。
ADCのHoney選手は昨年と比べてアグレッシブにプレイするシーンが増えた。そういったプレイスタイルの変化もあってか、DPMは堂々のリーグ1位。セナからサミーラまで様々なタイプをピックしてのこのスタッツは素晴らしいの一言だ。
パッチ11.4以降ジャングルのパワーが少し落ちるので、サポートは第2のジャングラーとしてレーンを離れて仕事をする機会が増えるはずで、Hoglet選手をどれだけ補助できるかが重要になりそうだ。
ミッドにAXIZからGariaru選手が移籍してきたこと以外、ロースターを変えてこなかったBCだが、ここまで苦しいシーズンを送っている。
そのGariaru選手は悪くないプレイをしているのだが、ジャングルのOnce選手が攻撃的なプレイをしすぎて、高い代償を払わされる展開が目につく。
トップのRayfarky選手も今シーズンもリスクを軽視したプレイが目につき、外から見ているとチーム全体としてもう少しテンポを落としたゲームを目指してみては、と思ってしまうシーンが多い。
ADCのYuhi選手は、昨シーズンと比べてポジショニングミスが減った印象で、サポートのProud選手も上手いプレイヤー。総合してボットのパフォーマンスは昨シーズンと比べ改善していると思う。
Once選手がグレイブス3回、タリヤ2回とダメージディーラーを多くピックしてきたが、パッチ11.4以降、こういったキャリー系のジャングラーの価値は少し落ちるので、新しいチーム構成を出せるようにならないとプレーオフ進出は難しいだろう。
もちろん彼一人の責任ではないが、ミッドレーンで主導権が取れるようになればヘラルド取得率の改善も目指せるはずだ。
AXIZ在籍時に評価の高かったサポートのCorporal選手、昨シーズンSGでキャリアハイに近い成績を残したトップのapaMEN選手、KT RolsterでGango選手とスタメンを争ったZenit選手と、かなり豪華なロースターを揃えたSHGだったが、ここまではファンの期待を裏切るような結果になってしまっている。
チームの成績は2勝6敗と大きく負け越しているものの、個々のプレイ自体は悪くない。
DasheR選手は一人気を吐いている。ミッドのダメージシェアが30.5%とリーグトップで、ソロキルも3回と好調だ。
apaMEN選手は目立った成績ではないものの、ADCのZenit選手はCorporal選手とのコンビでGango選手、Ssol選手と同レベルのリーグ最高クラスのレーンスタッツを残している。
しかしレーンで勝っているはずのZenit選手も、ゲーム全体のDPMになるとリーグ最下位の数字しか残せていない。チーム全体の課題として、集団戦のパフォーマンスが良くないことの一つの証左と言えるだろう。
チームとしての動きという面では、Tussle選手がゲームに参加できないシーンが多いのが気になる。ファーストブラッド関与率0%、キル関与率最下位、DPM最下位と、かつてはリーグを代表するプレイヤーと呼ばれ、LJL優勝も経験した彼とは思えない低調なスタッツだ。プレーオフ進出へ向けては、チーム内でのコミュニケーションを改善し、ジャングルとサポートの連携力を上げていく必要があるだろう。
簡単なことではないが、現在のプレーオフラインまではわずか1勝差。自分たちが勝ちやすいパターンを見つけられれば、個人技に問題があるチームではないし、巻き返しは十分可能だ。
ロースターが多国籍で言語面でのコミュニケーションが難しそうなチームなので、克服しなければいけない問題は少なくないかもしれないが、魅力的なロースターなので後半戦では本来のポテンシャルを発揮してくれる姿を見てみたい。
パッチノート11.4(https://jp.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-11-4-notes/)
パッチ11.4以降は、ジャングルのスケーリングが弱くなり、中盤以降ゲームへの影響力が目減りすることが予想される。
そういったメタの場合、サポートの影響力が大きくなるのが通例で、強いサポート、あるいはキャリー系以外も使えるジャングラーを有するチームは、メタへの対応が容易と言えそうだ。
他のロールに目を移すと、トップレーンはレネクトンやカミールといった安定して強かったチャンピオンがやや弱体化した。ミッドレーンは「ヴァーダントバリア」のバフが大きく、APミッドをピックした場合にレーンで相手をソロキルできるシーンは減るだろう。結果として、ミッドにエースプレイヤーを抱えるチームは少し評価が落ちるかもしれない。ADCはサミーラが大幅なナーフを受けたものの、強力なミシックアイテムたちには何の変更も入っていないので、前半戦同様にADC偏重のメタになりそうだ。
まとめるとADCとサポートが重要ということで、ボットレーンに課題を抱えるチームは後半戦が苦しい戦いになることが予想される。
以上のことを踏まえると、優勝争いに絡みそうな上位グループではV3、RJあたりはメタが向いてきそうだ。
DFMはKazu選手のパフォーマンス次第、SGはCrash選手がキャリージャングラー以外でどれくらいパフォーマンスを発揮できるかが鍵。
プレーオフ争いの下位グループだと、AXIZとBCが少し有利だろうか。ただ下位グループに関してはメタへの対応も重要だが、自分たちの勝ちパターンを確立することがより大切だ。
しかし、本当に後半戦を左右するのはこれまでの結果ではなく、各チームのこの2週間の過ごし方だろう。弱点の克服、新しいチャンピオンプールの開発、自分たちの勝ちパターンの構築。前半戦に積み残した様々な宿題をどれだけこなせたかが、後半戦のスタートダッシュ、ひいてはプレーオフ進出へとつながっていくはずだ。
2月27日、28日と2日連続の「スーパーウィーク」として再開される「LJL 2021 Spring Split」がいまから待ちきれない。
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リーグ・オブ・レジェンド
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ライアットゲームズ
https://www.riotgames.com/
Mildom
https://www.mildom.com/10244404
Twitch
https://www.twitch.tv/riotgamesjp
そのうち、2月13日のWeek4までの前半戦では、各チームが総当たり戦1回+再戦1回の8試合を終了。2週間のインターバルを経て、間もなく残る6試合の後半戦が再開される。
本記事では、前半戦の振り返りと各チームの状況、後半戦のキープレイヤー、そしてパッチ11.4以降のメタについて考えてみたい。
●開幕直後のレビューはこちらでチェック!
【LJLキャスター・eyesの「ここだけのハナシ」FILE.01】「LJL 2021 Spring Split Week1」参戦チームファーストインプレッション
前半戦レビュー:上位と下位を分けたチーム力・完成度の差
2021年の「LJL」は大きくロースターが変わったチームも多く、正直力関係が読みづらかった部分もあったが、ここまでの戦いを見て大きく4つのグループに分かれたという印象がある。「LJL 2021 Spring Split」Week4終了時点のスタンディングス
まずはDetonation FocusMe(DFM)とV3 Esports(V3)が含まれるトップ集団。この2チームは2020年の決勝を争ったチームで、ある意味順当に上位をキープしている。
ただし、DFMは長年スタメンを務めてきたCeros選手が控えに回ったり、V3もロースターが半分以上入れ替わったりと変化がなかったわけではない。既存メンバーのレベルの高さと、組織としての完成度があったことによって上位をキープできた、と言うべきだろう。
トップ集団の2チームはメンバー的にも大きな弱点がなく、どのレーンからでもキャリーできるというのが強みだ。
次に来るのが調子を上げてきているRascal Jester(RJ)とSengoku Gaming(SG)の2チーム。どちらも1人を除いてロースターがガラッと変わったこともあってシーズン序盤は調子に乗れずにいたもののWeekが進むにつれチームとしてのシナジーが良くなってきている。
この2チームの共通点はいずれも開幕当初はどこか1レーンに不安を抱えていて、そこを上手くドラフト戦術や選手の成長で補って勝てるようになってきたというところ。勝ちパターンはしっかりと作れているので、後半戦も上位に食いついていけるポテンシャルは十分にあるだろう。
3番目に来るのが、Crest Gaming Act(CGA)とAXIZの2チーム。
このグループの特徴は、CGAであればトップ・ミッドの安定感、AXIZであればジャングルのゲームコントロール能力と長所は上位勢にも引けをとらないものの、弱点もかかえていてそこから崩れて負けてしまう試合が多く見られる点だ。
今季の「LJL」は6チームがプレーオフへと進出できるため、その当落線上にいるチームとも言えるだろう。若いメンバーがこの2週間のインターバルでどれだけ成長を見せられるかがプレーオフ進出の鍵を握っていそうだ。
4番手グループに入るのがBurning CoreとSoftBank HAWKS Gaming。
どちらも実績を積んだプレイヤーがロースターを占めているだけに、実力面の問題というよりは、チームとしての勝ちパターンの構築が上手くいっていないなという印象を受けている。
とはいえ第3グループとは1勝差しかなく、両チームともに先述の通り「LJL」で戦うのに不足したメンバーというわけでもないので、リーグ再開後に流れをつかめればプレーオフ進出も十分ありえるだろう。
では、ここからはチームごとに振り返りつつ、後半戦で注目したいキープレイヤーをご紹介したい。
1位 Detonation FocusMe(7勝1敗)
2020年はファイナルでV3に敗れ「Worlds」出場を逃したDFMは、LJLナンバーワンミッドレーナーとの呼び声高かったCGAのAria選手を獲得。外国人枠の関係でサポートのGaeng選手が控えに回り、Kazuコーチが選手に復帰した。
メンバーが2人が変わったこともあってか、小さなコミュニケーションのミスが散見されるものの、チームファイトのパフォーマンスはLJL随一で、ここまで安定した成績を収めている。
集団戦を重視しているのはスタッツにも現れている。ADCのYutapon選手は15分までのCS差ではマイナス3と平均以下の数値に収まっているが、ゲーム全体を通しての平均CSだとLJL全選手の中で最多の10.0を記録している。もちろん、Yutapon選手自身のミクロもだが、チーム全体でADCにファームを集めて集団戦をキャリーさせようという意図が見える。
ボットレーンは久しぶりの現役復帰となったKazu選手のパフォーマンスの問題もあって苦しい展開になりがちだが、トップのEvi選手、ミッドのAria選手はここまで素晴らしいパフォーマンスを見せていて、この2人とジャングルのSteal選手を加えた3人が中盤を支え、Yutapon選手のアイテムがそろうまでの時間帯を待つという勝ちパターンができている。
コミュニケーションミスがそのまま敗因になったのが、唯一の黒星であるSG戦。Evi選手がキャリー寄りのピックをすることも多いので、一度相手にスノーボールされると苦しくなる可能性が高い。
今季はチーム全体でピックのバリエーションを絞っているが、おそらくコミュニケーションの精度を上げようということだろう。
後半戦のキープレイヤー・Steal選手(ジャングル)
Steal選手は、元々少ない経験値やCSで効率よくパフォーマンスを発揮するタイプのジャングラーで、パッチ11.4でジャングルの経験値がナーフされることを考えると、彼の価値は相対的に増すだろう。現状、ファーム量は平均以下でキル関与率も首位のチームのジャングラーとしては物足りないスタッツなので、メタが追い風になって浮上してくれば、1位でのプレーオフ進出も目前だろう。
2位 V3 Esports(6勝2敗)
2020年は初のLJL制覇、「Worlds」進出となったV3 Esports。今季は中心プレイヤーだった日本人2人を残してメンバーが入れ替わったことを不安視する声もあったが、ふたを開けてみればかなりの好調で、現在2位につけている。
ミッドのAce選手、サポートのRaina選手は昨シーズンからさらに成長していると感じるが、最も目につくのはRJから久々の古巣復帰となったCogcog選手のパフォーマンスだ。
ナーやジェイスといったダメージが出せるチャンピオンからサイオンやアイバーンといったサポート役まで、幅広く6種類のチャンピオンをピックし、ロール内でKDA1位、KP1位、DPM2位と圧倒的なスタッツを記録している。開幕前のインタビューでAce選手、Raina選手が「Cogcog選手がLJLナンバーワントップだ」と口を揃えていたのも納得だ。
新加入のMoojin選手はファーストブラッド関与率がなんと87.5%と、LJLダントツのトップ。チームのファーストタワー獲得率87.5%という数値にも貢献しており、ゲームを積極的に動かしている。
Hollow選手もザヤでの非常に強気なプレイなどで存在感を見せており、トップ・ミッド・ADCのダメージシェアがほとんど同じと、どのレーンからでもゲームをキャリーできるのがV3の魅力と言えるだろう。
負けた2試合も分かりやすいミスが敗因になっており、ある意味首位のDFMよりも死角がないチームかもしれない。
後半戦のキープレイヤー・Hollow選手(ADC)
集団戦などでの派手なプレイが目立つHollow選手だが、ここまではザヤとカイ=サの2チャンピオンしかピックしていない。なかでもカイ=サは今シーズンずっとTier1に居座るチャンピオンで、プレーオフまでに大きなナーフを受けてメタから消えてしまう可能性もある。プレーオフ進出は固いチームなので、後半戦は彼が新しいチャンピオンプールを見せてくれることに期待したい。
3位 Rascal Jester(5勝3敗)
昨シーズン最下位、トップが新人、ミッドが復帰組と不安要素が多く、前評判は決して高くなかったRJだが、前半戦最後に3連勝と調子を上げて現在3位につけている。
ボットレーンのSsol選手、Secret選手はKongdoo MonsterでLCK1部を戦い、2部のCKでは敵なしの強さを誇った。LJLでもここまで実績にたがわぬプレイを見せている。
RJがこの順位につけられているのは、意外といっては失礼だが、ルーキートップレーナーのKinatu選手と、LJL2年ぶりの復帰となったミッドのRecap選手のパフォーマンスの高さだ。
Kinatu選手はWeekが過ぎるごとにパフォーマンスが良化してきていて、Week4ではナーのスーパープレイでリーグを沸かせた。また、Recap選手は特にシンドラでの集団戦が素晴らしく、なぜ彼が長らくLJLのスターターにいなかったのが不思議なほどの活躍っぷりだ。
ジャングルのHachamecha選手もチームの高いドラゴン&ヘラルド獲得率に貢献しており、上位チーム同様弱点が少ないチームに仕上がっている。
課題は、ダメージアウトプットがSsol選手に偏りすぎているところ。彼一人でチーム全体の30%を占めている。確かにADCが重要なメタなのは間違いないが、キャリーをADC一人に頼ると、相手が中盤でスノーボールし始めたときに耐えることが難しくなってしまう。
前半戦でもそういった試合展開が見られただけに、トップかミッドにダメージディーラーが用意できればさらにチームの勝率が安定していくだろう。
後半戦のキープレイヤー・Recap選手(ミッド)
サブディーラーを務めるとすれば、ルーキーのKinatu選手よりはベテランのRecap選手だろう。ボットレーンの強さはLJL随一なので、ミッド&ボットの両レーンがキャリーできるようになると、さらなるドラゴン取得率の上昇も見込める。序盤にドラゴンが重ねられるようになり、ADCがパワースパイクを迎えるまでの時間も稼げると、既存の勝ちパターンへのつなぎもスムーズになるだろう。
4位 Sengoku Gaming(4勝4敗)
3位のRJとは逆に、開幕前の評価に対して物足りない数字での折り返しとなったSG。開幕3連敗からスタートしたものの、その後の5試合は4勝1敗と調子を上げてきている。Week4では首位のDFMに土をつけるなど、後半戦の台風の目になりそうだ。
1シーズンぶりにスターターに復帰したミッドのRamune選手は、開幕当初はチャンピオン選択に苦労していた。しかし、ルブランやルシアンのようなレーンで攻めるタイプから、ビクターやアジールなど序盤はウェーブクリアに専念してレーンを安全に過ごすタイプに変えてから、本人のパフォーマンスもチーム全体のパフォーマンスも一気に改善した。
ジャングルのCrash選手はキャリータイプのジャングラーで、今シーズンのメタに一番マッチしているプレイヤー。ロール内のあらゆるスタッツが最上位に位置しており、ミッドが安定してきたことでサイドレーンへの介入もよりスムーズになった。
チーム状況がよくなるにつれ、トップのPaz選手、ボットのGango&Enty両選手も本来の力を発揮し始めた印象があり、これからは良化の一途をたどりそうなチームだ。
懸念点があるとすれば、ジャングルのスケーリングがパッチ11.4でナーフされることだ。Crash選手がここまでチームをけん引してきたが、これからはサイドレーンの力、特にサポートのEnty選手がゲーム運営に積極的にかかわっていく必要があるだろう。
後半戦のキープレイヤー・Paz選手(トップ)
個人的に、Paz選手はチーム事情の影響を受けやすいプレイヤーという印象を持っている。事実昨年もSpring Split序盤、V3所属時もチームの不調に引っ張られて、個人成績を落としていた。SGがチームとしての調子を取り戻しつつある今、ここまで苦しい戦いをしてきたPaz選手のプレーも改善していければ、SGも上位のDFMやV3のようにどのレーンからでもキャリーできるチームに変わっていくことができるだろう。
5位タイ Creat Gaming Act(3勝5敗)
日本人ルーキーのADC Milan選手と韓国人ルーキーのジャングル Cassin選手が加入したCGAは、滑り出しこそ好調だったものの、徐々に成績を落としこの順位に収まっている。
DRXでスターターを務めていた新加入のミッドレーナー、Naehyun選手は韓国内で評価されていた通り、集団戦での動きを中心に素晴らしいプレイをみせてくれている。レーンでのソロキルもロールトップの3回を記録している。
トップのNap選手は15分でのCS差が+11とトップレーンで一番のスタッツを残しており、Naehyun選手とNap選手、2人のソロレーナーが非常に安定しているのが、CGAの長所になっている。
この2人が安定してレーンでアドバンテージを取ってくれることを最大限活用するために、ジャングルのCassin選手はシン・ジャオやレク=サイなど、オフメタながら少数戦に強いチャンピオンをピックして、2対2や3対3のシチュエーションを重視している。
やはり課題はボットレーンだ。Grendelから名前を戻したサポートのArchemy選手、新人ADCのMilan選手のデュオは、レーン戦からかなり苦しい戦いを強いられている。
Milan選手はレーン戦後はプレッシャーを受けながらうまくファームをこなしたり、ファイトでは活躍する場面もあるだけに、どうやってゲーム序盤の問題をチームとして取り組んでいくかが後半戦の課題だろう。
後半戦のキープレイヤー・Milan選手(ADC)
ここまでミス・フォーチュンを5回ピックとかなり偏ったピックになっているが、ソロレーンの強さを生かしてボットで安全にファームをさせるという意味では、理にかなった選択になっている。しかし、チームとして1つしか戦術を持っていないとプレーオフではBANなどで対策されてしまう可能性も高い。前半戦でも試していたザヤかカイ=サなど、別のチャンピオンをピックした際にチームに貢献できるようになれるかが鍵となってきそうだ。
5位タイ AXIZ(3勝5敗)
RJと並んで、開幕前の評価を覆したのがAXIZだ。日本人ルーキー3人を抱えたロースターでプレーオフ圏内の6位につけているのは、健闘していると言っていいだろう。
トップのIno選手、ミッドのMegumiin選手、サポートのNemoh選手、ルーキー3人に関しては別記事にてインタビューを行っているのでそちらをお読みいただくとして、正直レーニングではまたまだ苦戦している印象だ。
そんな中、AXIZはミッドのMegumiin選手の7体を筆頭に、かなりの種類のチャンピオンをプレイしており、チーム全体で29種のチャンピオンピックはリーグ最多になっている。新人には、安心してプレイさせるために得意チャンプ2、3体にピックを絞るのが一般的なのだが、この数値はチームからルーキーたちへの期待の高さがうかがえるものとなっている。
ジャングルのHoglet選手はそんな苦しいレーン状況においてもファーム、DPM、KPがすべて平均以上の成績で、視界スコアに関してはリーグトップの数値を残している。チームのオブジェクト周りの判断などがいいのも彼が要因だろう。
ADCのHoney選手は昨年と比べてアグレッシブにプレイするシーンが増えた。そういったプレイスタイルの変化もあってか、DPMは堂々のリーグ1位。セナからサミーラまで様々なタイプをピックしてのこのスタッツは素晴らしいの一言だ。
後半戦のキープレイヤー・Nemoh選手(サポート)
AXIZに関してはルーキー3人のレーンフェーズ向上がプレーオフへの条件だと思うが、それを前提とするならば、サポートのNemoh選手がキープレイヤーだ。パッチ11.4以降ジャングルのパワーが少し落ちるので、サポートは第2のジャングラーとしてレーンを離れて仕事をする機会が増えるはずで、Hoglet選手をどれだけ補助できるかが重要になりそうだ。
7位タイ Burning Core(2勝6敗)
ミッドにAXIZからGariaru選手が移籍してきたこと以外、ロースターを変えてこなかったBCだが、ここまで苦しいシーズンを送っている。
そのGariaru選手は悪くないプレイをしているのだが、ジャングルのOnce選手が攻撃的なプレイをしすぎて、高い代償を払わされる展開が目につく。
トップのRayfarky選手も今シーズンもリスクを軽視したプレイが目につき、外から見ているとチーム全体としてもう少しテンポを落としたゲームを目指してみては、と思ってしまうシーンが多い。
ADCのYuhi選手は、昨シーズンと比べてポジショニングミスが減った印象で、サポートのProud選手も上手いプレイヤー。総合してボットのパフォーマンスは昨シーズンと比べ改善していると思う。
Once選手がグレイブス3回、タリヤ2回とダメージディーラーを多くピックしてきたが、パッチ11.4以降、こういったキャリー系のジャングラーの価値は少し落ちるので、新しいチーム構成を出せるようにならないとプレーオフ進出は難しいだろう。
後半戦のキープレイヤー・Gariaru選手(ミッド)
苦しいチーム状況にあって無難なプレーを続けているGariaru選手。しかしチーム全体でみるとヘラルド取得率が28.6%と極端に低く、この数値はリーグダントツの最下位だ。その影響もあってファーストタワー獲得率も12.5%の最下位に沈んでいる。もちろん彼一人の責任ではないが、ミッドレーンで主導権が取れるようになればヘラルド取得率の改善も目指せるはずだ。
7位タイ SoftBank HAWKS Gaming(2勝6敗)
AXIZ在籍時に評価の高かったサポートのCorporal選手、昨シーズンSGでキャリアハイに近い成績を残したトップのapaMEN選手、KT RolsterでGango選手とスタメンを争ったZenit選手と、かなり豪華なロースターを揃えたSHGだったが、ここまではファンの期待を裏切るような結果になってしまっている。
チームの成績は2勝6敗と大きく負け越しているものの、個々のプレイ自体は悪くない。
DasheR選手は一人気を吐いている。ミッドのダメージシェアが30.5%とリーグトップで、ソロキルも3回と好調だ。
apaMEN選手は目立った成績ではないものの、ADCのZenit選手はCorporal選手とのコンビでGango選手、Ssol選手と同レベルのリーグ最高クラスのレーンスタッツを残している。
しかしレーンで勝っているはずのZenit選手も、ゲーム全体のDPMになるとリーグ最下位の数字しか残せていない。チーム全体の課題として、集団戦のパフォーマンスが良くないことの一つの証左と言えるだろう。
チームとしての動きという面では、Tussle選手がゲームに参加できないシーンが多いのが気になる。ファーストブラッド関与率0%、キル関与率最下位、DPM最下位と、かつてはリーグを代表するプレイヤーと呼ばれ、LJL優勝も経験した彼とは思えない低調なスタッツだ。プレーオフ進出へ向けては、チーム内でのコミュニケーションを改善し、ジャングルとサポートの連携力を上げていく必要があるだろう。
簡単なことではないが、現在のプレーオフラインまではわずか1勝差。自分たちが勝ちやすいパターンを見つけられれば、個人技に問題があるチームではないし、巻き返しは十分可能だ。
後半戦のキープレイヤー・Corporal選手(サポート)
ジャングルのTussle選手のゲーム介入、ADCのZenit選手の集団戦でのダメージアウトプット、その両方のカギを握っているのがサポートのCorporal選手だ。ロースターが多国籍で言語面でのコミュニケーションが難しそうなチームなので、克服しなければいけない問題は少なくないかもしれないが、魅力的なロースターなので後半戦では本来のポテンシャルを発揮してくれる姿を見てみたい。
後半戦プレビュー:パッチ11.4以降のメタと戦況予想
Week5での使用パッチはまだ発表がないが、ジャングルの経験値調整が入ったパッチ11.4が適用される可能性が高い。パッチノート11.4(https://jp.leagueoflegends.com/ja-jp/news/game-updates/patch-11-4-notes/)
パッチ11.4以降は、ジャングルのスケーリングが弱くなり、中盤以降ゲームへの影響力が目減りすることが予想される。
そういったメタの場合、サポートの影響力が大きくなるのが通例で、強いサポート、あるいはキャリー系以外も使えるジャングラーを有するチームは、メタへの対応が容易と言えそうだ。
他のロールに目を移すと、トップレーンはレネクトンやカミールといった安定して強かったチャンピオンがやや弱体化した。ミッドレーンは「ヴァーダントバリア」のバフが大きく、APミッドをピックした場合にレーンで相手をソロキルできるシーンは減るだろう。結果として、ミッドにエースプレイヤーを抱えるチームは少し評価が落ちるかもしれない。ADCはサミーラが大幅なナーフを受けたものの、強力なミシックアイテムたちには何の変更も入っていないので、前半戦同様にADC偏重のメタになりそうだ。
まとめるとADCとサポートが重要ということで、ボットレーンに課題を抱えるチームは後半戦が苦しい戦いになることが予想される。
以上のことを踏まえると、優勝争いに絡みそうな上位グループではV3、RJあたりはメタが向いてきそうだ。
DFMはKazu選手のパフォーマンス次第、SGはCrash選手がキャリージャングラー以外でどれくらいパフォーマンスを発揮できるかが鍵。
プレーオフ争いの下位グループだと、AXIZとBCが少し有利だろうか。ただ下位グループに関してはメタへの対応も重要だが、自分たちの勝ちパターンを確立することがより大切だ。
終わりに:2週間のインターバルを後半戦にどう生かすか
以上、Week4までの「LJL 2021 Spring Split」の戦いを見て、感じたことや今後のメタについてまとめてみた。しかし、本当に後半戦を左右するのはこれまでの結果ではなく、各チームのこの2週間の過ごし方だろう。弱点の克服、新しいチャンピオンプールの開発、自分たちの勝ちパターンの構築。前半戦に積み残した様々な宿題をどれだけこなせたかが、後半戦のスタートダッシュ、ひいてはプレーオフ進出へとつながっていくはずだ。
2月27日、28日と2日連続の「スーパーウィーク」として再開される「LJL 2021 Spring Split」がいまから待ちきれない。
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