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【V3 Esports Cogcog選手・Ace選手・Raina選手インタビュー】 「Worlds」の戦い、新メンバーの印象、そして2021年の意気込み

2021年1月9日のLPLを皮切りに、世界各国で『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の2021年競技シーンがスタートした。日本では、公式リーグ「League of Legends Japan League」(LJL)が来る1月23日に開幕を迎える。

そこで今回は、2020年のSummer Splitを制し、日本代表として「Worlds」出場も果たしたV3 Esports(以下、V3)のAce選手、Raina選手に「Worlds」での体験について、そして新加入したCogcog選手も加えた3人の日本人メンバーに、「LJL 2021 Spring Split」に臨む新チームの手ごたえ、大きく変わったゲーム内のメタなどについてインタビューを行った。

▲左からCogcogs選手(トップ)、Ace選手(ミッド)、Raina選手(サポート)

なお、インタビューは1月上旬にオンラインにて実施した。

「特殊」な環境でのチーム初の世界戦。そこから得た学びとは

─最初に、Ace選手とRaina選手に「Worlds 2020」についてお伺いしたいと思います。厳重な感染症対策が徹底された、特殊な環境での世界初挑戦でしたが、困ったことなどはありましたか?

Raina:2週間ほどホテルの1室に隔離状態でした。チームメイトとも顔を合わせることができない環境で練習していましたが、個人的にはそれほど苦ではなかったですね。部屋はキレイで広かったですし。

Ace:僕は食事がつらかったですね。完全に隔離され、食事の時間になると部屋の外にトレイの上に食事が乗った状態で置かれていて。慣れない海外の料理ということもあって、喉を通らない日もありました。外の空気を吸って気分転換するタイプなので、部屋から1歩も出られないのは精神的にこたえました。

Raina:あと、PCを置く机が丸テーブルだったのが地味につらかったですね(笑)。

Ace:いつもの姿勢でやってると肘が落ちちゃうんだよね。隔離状態は2週間だったから、さすがに最終日あたりには慣れたけど。

──ホテル生活のつらさは個人差があったみたいですね。練習環境的にはどうでしたか? スクリムが組みづらいとか回線がよくないとか……。

Raina:回線は問題なかったですね。快適でした。スクリムもV3は結構注目されていたらしくて、スムーズに組めていました。ただ今回は2グループしかプレイインステージがなかったので、対戦相手に偏りがありましたけど。

▲「Worlds 2020」のプレイインステージは10チームを2グループに分けて行われた

Ace:スクリム自体は問題なかったんですが、フィードバックでお互いの顔を見て話せないという不都合がありました。相手の表情が見えないとつい言い過ぎてしまうというか……。普段なら表情を見て言い方を変えたり、雰囲気を感じてコーチが間に入ったりしてくれるんですが、顔が見えないとそういったことができないんですよね。

──確かにそうですね。どれくらい真面目に聞いてくれているのか、何かを言いかけて言うのをやめたとか、普段は意識していないですけど、相手の表情から得る情報って意外と多いんですよね。

Raina:これが今回の一番の反省点だと思います。もし今後、同じような環境で練習することになったら、必ずWebカメラを使うなどして顔を見ながら話すようにしたいですね。特にフィードバックの時はマストです。

──試合の内容を振り返る前に、気になっていることが2点ほどあるんです。ひとつは試合前にスタッフから見せられていたカード、あれは何が書いてあったんですか? コミュニティで話題になっていたので聞いてみたくて。

Raina:あれはデバイス関係に問題がないかを確認するカードです。実はクライアントに問題があって、プレイヤーが個々で試合前に調整しなければいけなかったんです。その最終確認用って感じです。

──もうひとつは、会場内がARを使ったような美しい演出でとても印象に残る大会だったのですが、現地のプレイヤーにはどれくらい見えていたんですか?

Ace:正直、緊張していてはっきりと覚えてないんですけど、床や壁がモニターになっていて、映像が映し出されていたと思います。帰国後に見直してみたらすごくきれいでびっくりしましたね。現地にいた選手たちの目にはあんなにきれいに映っていなかったです(笑)。



──なるほど、現地にいた選手からしか聞けない情報、ありがとうございます。


勝利にこだわったがゆえの落とし穴、感じた世界の“圧”

──さて、試合ですが、初戦は勝利できたものの、その後4連敗で敗退という結果でした。振り返ってみて敗因はどういった部分にあったと思いますか?

Ace:いろいろあると思いますが、ひとつはスクリムの取り組み方やチャンピオンプールの部分ですね。

僕たちは、性格的に“勝って波に乗っていきたい”というチームなので、スクリムもとにかく“勝ち”にこだわっていました。実際、連戦連勝といった感じでチームの雰囲気はよかったんですが、そこに落とし穴があったというか……。

Raina:例えば、Bugiはリリアのプレイが本当に好調で、スクリムでもソロQでもリリアばかり使っていたんです。でも、本戦全試合でバンされて1回も使わせてもらえませんでした。

Ace:もちろん、その問題点は大会が始まってすぐに気が付いたんですが、毎日のように試合があって、新しいチャンピオンやチーム構成を用意することができませんでした。バン&ピックに関しては、コーチを中心にみんなでかなりの時間を費やして相談して詰めたんです。でも、そもそもの手札、自分たちのチャンピオンプールが不足していたな、というのが大きな反省点ですね。

──これはV3に限ったことではないのですが、日本代表チームが世界戦に挑むと、伸び伸びプレイできていないという印象が拭えません。実際のところ、国内戦と比べてどういった部分に違いを感じましたか?

Raina:僕が感じたのは、単純にレーニングからプレッシャーが違うということです。ポジショニングひとつとっても、甘えさせてくれないというか。いくつかの試合はボットレーンで自分たちが積極的に戦わなければいけないマッチアップだったのにもかかわらず、相手からのプレッシャーでファームしかできない、みたいなレーニングになってしまいました。

──中でも対面して印象に残ったプレイヤーを1人挙げてください。

Raina:Unicorns of LoveのSaNTaS選手ですね。ポジショニングがとにかく強気で、“これ以上近づいたら倒す!”っていうのが伝わってくるというか。レーンスワップのゲームだったんで、ちょっと特殊なレーニングではあったんですけどね。実際キルを取られてしまったシーンもありましたし。

それと、味方のジャングルが近くにいる時といない時のプレイがまったく変わらないんですよ。彼との対面は、ずっとブッシュにジャングラーが隠れてるんじゃないかって錯覚するくらいの“圧”を感じました。

▲プレイインステージでのV3 Esports対Unicorns of Love戦

──そういったベイトのうまさってあまり語られないですけど、プロでもうまい、下手が分かれる部分ですよね。Ace選手はどうでしたか?

Ace:他リージョンのプレイヤーと対面して感じたのは、技術面やプレッシャーのかけ方もそうなんですけど、メンタルが強くて芯のあるプレイをするところです。正直、僕はビビり癖があるんで、そこは本当に課題だとあらためて感じました。それと、失敗している姿をファンに見られたくないという気持ちが少なからずありましたね。Paz選手のアドバイスで、大会中はSNSの通知をOffにして、絶対に見ないようにしていました。

──プレイを通してメンタルの強さを感じるってすごいことですよね。中でも一番メンタルが強そうだったプレイヤーは誰ですか?

Ace:LGD GamingのXiye選手(現JDG)ですね。LPLでの試合もそうでしたが、自分のスタイルを絶対に曲げない。“絶対キャリーするぞ”という意思を感じました。

今回、PSG Talon戦でガリオを使ったときに、普段は絶対偉ばない「コラプトポーション」スタートをやって失敗したんです。チームが連敗中で、対面は今年「LPL」に移籍したUniboy選手。“何かを変えなきゃ”という気持ちだったんですが、こういうところでも怯まずにいつも通りのプレイをできるようにならなきゃいけないと、Xiye選手から学びました。


▲プレイインステージでのV3 Esports対PSG Talon戦

──次回、「Worlds」に臨むときに改善したい点や意気込みを聞かせてください。

Ace:ゲーム外のことだと、先ほど話したコミュニケーションの取り方。あとは食事ですね。カップ麺とか普段食べ慣れているものを必ず持っていこうって思いました。

Raina:グループステージに進出したいですね。みんなが言っているのでありきたりに感じてしまいますけど、日本代表として挑戦している以上はこれを口にしないわけにはいかないので。

ゲーム面でいうと、チャンピオンプールを広げたり、スクリムの使い方を見直したり、改善点はたくさんあると思うので、今年は一つ一つ解決していきたいです。

3人が入れ替わった2021年のロースター、誰がチームの核になる?

──さて、Cogcog選手お待たせしました!(※「Worlds」のインタビュー中も同席してもらっていました)。2018年シーズン以来のV3復帰ですね。

Cogcog:そうですね。と言ってもオーナー以外はメンバーが全員変わって、ゲーミングハウスも新しくなっているので、古巣に帰ってきたというよりは新しいチームに入ったという印象の方が強いです。

──新しいゲーミングハウスの住み心地はどうですか?

Cogcog:今まで自分が住んできた中だと一番広くて、いい環境だなと思っています。練習室が防音なので、周りを気にすることなく大声を出せるところとか。

──同時にAwakerコーチも入団しましたよね。2018年当時はチームメイトでしたが、そういったつながりもあってのことなんでしょうか?

Cogcog:いや、たまたまです。Awakerコーチはサブチームの担当になる予定なので、直接教わることは少ないと思います。

──そうなんですね。オールドファンとしてはちょっと気になったので。Ace、Raina両選手とは、ライバルからチームメイトに変わったわけですが、一緒に生活してみて印象は変わりましたか?

Cogcog:いやー、あんまり。思ってた通りかなって(笑)。

Raina:僕はCogcogさんのことを、マジで「LJL」ナンバーワントップレーナーだと思ってるんで、キャリーしてくれることを期待しています!

──今のやり取りでチームのいい雰囲気が伝わってきた気がします。さて、新型コロナウイルスの影響で新加入の外国人選手、コーチの合流を心配する声もありますが、もうMooJin、Hollow両選手、Dragonコーチはゲーミングハウスに入られましたか?

Ace:実は、昨日(1月8日)到着して顔合わせをしたばかりなんです。オンラインでは練習していたんですが、スクリムとかフィードバックとかはこれから動いていくって感じです。

Raina:1日3回のスクリム予定を入れているんで、これからチームが仕上がっていくのが楽しみです。

──3回のスクリムは体力的に相当つらいと思いますが、それが“楽しみ”といえるところにモチベーションの高さを感じますね。その新外国人選手について聞かせてください。まずはジャングルのMooJin選手。FlashWolvesでシーズン全勝、「Worlds」出場という輝かしい実績があり、LCKでもスターターを務めるなど、まさに一流プレイヤーという印象ですが。

▲MooJin選手は2020年、韓国のRunawayに所属していた(出典:http://vod.afreecatv.com/PLAYER/STATION/60801145)

Cogcog:チームに合わせたピックができる選手という印象ですね。どのチャンピオンをプレイしてもうまいですし、チャンピオンプールでもゲーム内でもバランス感覚が非常に優れていると思います。

Ace:日本語は正直まだ発展途上ですけど、学ぼうという意欲が高いので今後が楽しみです。あと、性格面でいうと本当に優しくて怒らないんですよ。今までプロとして一緒にやってきたプレイヤーにいないタイプですね。

Raina:練習試合で対戦したこともあったので、こんなにうまいプレイヤーが加入してくれるのか! って感じです。実際、一緒にプレイしてもその印象は変わらなかったです。

──ボットのHollow選手の印象についても伺いたいです。Team BattleComics(現Liiv SANDBOX)をLCK昇格に導いたプレイヤーですよね。当時のコーチは現V3コーチであるDragon氏でした。彼の紹介もあってのV3加入となったんでしょうか。

Ace:今回、ボットのプレイヤーを選ぶにあたり何人かをリストアップしてテストしたんですが、そのリストに入ったのはおっしゃる通り、Dragonコーチの推薦があったからです。2020年はほとんど競技シーンでプレイしていなかったので少し不安もあったんですが、努力型というか、日に日にプレイが改善されていくし、うまくなろうとするモチベーションが高いということで彼が選ばれました。

Raina:まだ理由は聞けていないんですけど、Hollowは日本語が結構しゃべれるんですよ。アニメの影響かな? まだ分からない単語はありますが、コミュニケーション面はあんまり心配なさそうです。

▲Twitterで、さっそく流暢な日本語を披露したHollow選手

──プレイヤーとしてはどうですか? Team BattleComics時代はザヤやヴァルスがうまい印象でした。

Cogcog:そうですね。チーム貢献型のADCだと思います。

──MooJin、Hollow両選手を獲得したというニュースを見たときの率直な感想は、「2人ともいいプレイヤーだけど、どちらもチーム貢献型のプレイヤー。じゃあ今季のV3は誰が引っ張っていくんだろう?」でした。実際、お三方からも2人がそういったプレイヤーだというお話が出たので伺いたいのですが、2021年のV3は誰がコーラーになってゲームを進めていくことになりそうですか?

Raina:現状、スクリムではMooJinがメインのコールをしています。ボットレーンは難しいと思いますが、これから徐々に残りの3人にもコールの役割を振ってみて、サブコーラーみたいな形をいろいろ試していきたいなと思っています。

Ace:一人のコールに頼り切っていると、その人が冷静な判断ができなくなったときにチームを立て直すことができないので、全員がコールできるような体制作りを目指したいですね。

Cogcog:あと、MooJinにはもう少しキャリー寄りのピックをしてもらいたいな。今はジャングルがかなりキャリーできるメタだと思っているので。

Raina:僕としては、Aceにリーダーをやってほしいです。ミッドがコールするとゲームが円滑に進みやすいから。MooJin、Hollowとはこれからスクリムやハウスでの生活を通して、2人のキャラクターをつかみながら徐々にチームとして仕上げていきたいですね。

Cogcog:2人とも明るい性格だから、慣れてきたらうるさくなるんじゃないかな。

Ace:まあ、でも去年以上にうるさくなることはないと思うよ(笑)。

プロでも苦戦するシーズン2021のアイテム選び。悩むべきはミシックより2ndアイテム

──せっかくプロの意見を伺える貴重な機会なので、ゲーム内のお話も聞かせてください。これは私が個人的によく質問されることなんですが、使うとちょっと有利になるスキン、いわゆる「強スキン」って意識されていますか?

Cogcog:僕は全く気にしないですね。

──トップレーンだと「超銀河ランブル」などはCSが取りやすいって言われたりしますけど。

Cogcog:いやー、気にしたことなかったですね。

Raina:僕も基本、クラシックスキン派ですけど、ブリッツクランクやるときだけは「iBlitzcrank」を使うようにしています。

▲ブリッツクランクのスキン「iBlitzcrank」

Ace:あれ、Qの射程伸びるよね。

Raina:さすがにそれはないと思う(笑)。スキルが相手にとって見えづらいってことで使っています。

Cogcog:あきらかに有利になる系だと、アルティメットスキルが見えづらい「ダークウォーターブラッドミア」とか、あとバグがあるグラガスのスキン(編集部注:おそらく「アウトローグラガス」のWキャンセルのこと)とかありますけど、確か競技シーンでは使用禁止です。

Ace:使っていいスキンだと「Project:アッシュ」とか「荒野のルシアン」とかは使いやすく感じます。僕にとってスキンはプレイするモチベーションってところもあるので、2人よりは重視してます。一番好きなスキンは「SKTシンドラ」です。

▲シンドラのスキン「SKTシンドラ」

──このプレシーズンの変更は『LoL』の歴史上でもまれにみる大幅な変更でしたが、競技シーン的に大きくメタが変わったという印象はありますか?

Cogcog:ドラゴンやヘラルドといったオブジェクトの変更がなかったので、ゲームテンポなどは大きく変わらないかなというのが、今のところの印象です。

Ace:ただ、新しく追加されたミシックアイテムはとんでもなく強い。今まで以上に、コアアイテムが完成しているかいないかの差が大きいメタだと思います。特に序盤のソロキルの価値は上がったと感じますね。

あと、ミッドレーンはミニオンの獲得ゴールドが減らされたので、昨シーズンよりは影響力が下がったと思います。正直、ミシックうんぬんよりこちらの方が変化を感じますね、ミッドレーナー目線だと。

Raina:アイテムのアイコンが変わった当初は、めちゃくちゃ見づらくて嫌だったんですけど、修正されてからは新しいアイテム選びを楽しんでいます。最初の頃のサポートアイテムはひどかったんですが、今はだいぶマシになりました。

──読者の皆さんも気になっていると思うので、各レーナー目線でざっくりミシックアイテムやビルドの選び方について教えてください(※インタビュー収録時はパッチ11.1リリース直後)

Ace:まずAPアイテム。これは「ルーデンテンペスト」か「ライアンドリーの苦悶」のどちらかですね。個人的には「ライアンドリーの苦悶」が好きです。「ルーデンテンペスト」は前身の「ルーデンエコー」時代からウェーブクリアのために買うことが多かったんですが、「ライアンドリー」の自動効果でも同様にウェーブクリアができるので、最終的なDPSが高くなりやすい「ライアンドリー」の方が好みです。

「ルーデンテンペスト」も移動速度上昇が強いのでカイトしたいときにおすすめです。あと、2ndアイテムでエイトロックスみたいにサステインが強いチャンピオンが相手チームにいるときは迷わず「モレロノミコン」を買うんですが、それ以外の時は「ヴォイドスタッフ」「ゾーニャの砂時計」など選択肢が広いので、研究中です。

──ADチャンピオンに関してはどうですか。

Ace:ADアイテムは「ゲイルフォース」ですね。ヨネでもヤスオでもルシアンでも。特にヤスオの時に一番恩恵を感じます。Eが対象指定ブリンクなので「逃げ」に使いづらい性能なんですが、それをカバーしてくれます。アニビアがプレシーズンでバフされて話題になりましたけど、このアイテムのせいでADチャンプ相手だと簡単にアルティメットから抜け出されちゃうのが苦しいんですよね。

Cogcog:トップレーナー目線でも、マークスマンがひとつ多くブリンクを持っていると、めちゃくちゃやりづらいなって思います。

Raina:僕は実装当初から「このアイテム、強すぎる」って言ってたよ……。ダメージも高すぎるし移動距離も長すぎるし……。

──話の流れがまずい方向に行ってる気がするので話題を変えましょう(笑)。次はトップレーン。タンクはやっぱり「サンファイアイージス」が一番安定した性能ですかね?

Cogcog:そうですね。もらえるスタッツもバランスがいいですし、レジェンダリーボーナスがスキルヘイストなところもタンクチャンピオンにかみ合ってて万能な性能だと思います。ただ、物理防御が30しかもらえないので、相手がAD偏重の構成のときは「フロストファイアガントレット」にすることもありますね。

──ファイターだとパッチ11.1で「トリニティフォース」が変更になって、少しビルドが変わりそうかなという気もしますが。

Cogcog:「ディヴァイン サンダラー」も強いアイテムですが、「トリニティフォース」と比べると攻撃速度もなくて、「ハースバウンドアックス」の移動速度上昇ももらえないと追撃性能が落ちてしまうのが気になるところですね。今一番強いトップファイターのカミールの話をすると、僕の場合はめちゃくちゃレーンがつらいマッチアップのときは「ディヴァイン サンダラー」、それ以外は「トリニティフォース」です。

──「アイアンスパイクウィップ」派生の2つはどうですか?

Cogcog:「ゴアドリンカー」は、エイトロックスなどの相性のいいチャンピオンとのシナジーが非常に強いので目立っています。「ストライドブレイカー」はセトとかソロQ限定ですが、ガレンとかで使うとパワーを感じるので適材適所ですね。

Aceも言っていたけど、難しいのは2ndアイテム選び。タンク向けも、ファイター向けも抜けた性能のアイテムはないなって思っているので、対面とか好みでその都度頭を使って選んでいます。あえてひとつおすすめを挙げるとすれば、「ブラッククリーバー」です! 僕はスキルヘイスト信者なんで(笑)。

──さて、Raina選手、サポート向けのミシックについてですが……。

Raina:サポートについて話すことあります?(笑) まあ、タンクサポートは迷ったら「ソラリのロケット」。セトとか一部のサポートは先に「デッドマンプレート」を買ったりしますけど、それでも2手目には「ソラリ」を買うことになります。「サンファイアイージス」などのタンク向けミシックはサポートには高価すぎて、レーンで2〜3キル取ってめちゃくちゃスノーボールしたとき以外は買えないですね。

──「帝国の指令」と「ムーンストーンの再生」の選択はどういう基準にすればいいでしょうか?

Raina:「帝国の指令」は基本的に常にスローなどのCCをばらまけるチャンピオンじゃないと割りに合わない。例えば、ナミとかバード、マオカイなどです。それ以外のチャンピオンは「ムーンストーン」を選んでおくのが無難です。どちらを買うか迷うのはモルガナくらいだと思います。

ただ「帝国の指令」の性能調整の件もそうですけど、サポートのビルドは他のロールに左右されるところがあるので、これからどう変わっていくかは未知数ですね。

──アイテムの話、すごく興味深く聞かせていただきました。そんなプレシーズンのメタを踏まえた上で、それぞれのロールで今おすすめのチャンピオンを教えてください。

Raina:サポートはレオナですね。説明不要、去年からずっと強いままです。

Ace:ミッドのおすすめは、シンドラとヨネです。ヨネは、リリース直後は正直あまり評価していなかったんですが、プレイスタイルが確立してからはポテンシャルの高いチャンピオンだなあと感じるようになりました。シンドラはミシックと相性もいいし、安定して強いチャンピオンだと思います。

Cogcog:トップのおすすめはカミールですね。強いし、カミールを使っていると味方がいっぱいガンクしてくれるので(笑)。

Ace:俺、カミール使うの苦手なんだけど、何かコツとかないの?

Cogcog:レーンがつらかったらファームしているだけでもいいよ。「トリニティフォース」ができれば十分戦えるし、2ndの「ラヴァナスハイドラ」が完成すればほとんど敵なしの強さになるから。あと、やっぱりガンク合わせが強いから味方にピン炊いてガンクしてもらうのがオススメかな。

──「Worlds」の話、新チーム、メタの解説と幅広い話題に丁寧に答えていただきありがとうございました。最後に、1月23日から始まる「LJL 2021 Spring Split」に向けて、意気込みを聞かせてください。

Cogcog:とにかく優勝がしたいですね。Ace、Rainaは優勝を経験しているけど、僕は優勝未経験なんで何が何でも優勝、その一心です。

Ace:「Worlds 2020」に出たときに、応援してくれているファンの方々の後押しを実感できました。新チームですが、開幕までにきっちり仕上げて春シーズンからガッツリ優勝を狙って行きます!

Raina:昨シーズンは優勝できましたが、また1から挑戦するつもりで気を引き締めてシーズンに臨みたいと思っています。連覇してV3を王者として認められるチームにしたいです。個人的な目標としては、UoLのSaNTaS選手から学んだ“覇王色の覇気”を身に着けてレーンをドミネートしたいですね(笑)。

※ ※ ※

「Worlds 2020」での失敗や、半数以上のメンバー入れ替えを経て、V3 Esportsはいい意味で挑戦者のマインドを持ちつつ、自分たちのチームのこれからの伸びしろ、ポテンシャルにワクワクしているのが伝わってくるインタビューだった。

今季はV3のみならず大きく陣容がわかったチームが多く、それぞれがどんなシナジーを見せてくれるのか、1月23日、「LJL」の開幕日が待ち遠しい。


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