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【ストV】動画勢出身だからこそ、自分の生き様でみんなの心を動かしたい【DetonatioN Gaming ナウマン選手インタビュー】

今回は2020年のEVO Japan優勝を皮切りに、『ストリートファイターV』プロシーンでトップクラスの戦績を残し始めている若手の先頭集団のひとり、ナウマン選手にインタビュー。リスナーとのやり取りが多い配信においても、あまり自分語りをするタイプではないナウマン選手だが、どんな考えを持ってプロシーンで戦っているのか。格闘ゲームにハマる経緯にまで振り返ってもらい、お話をうかがった。

▲ナウマン選手

友だちと『ストIV』で対戦するも
勝てない悔しさからドハマり

──まずは簡単な自己紹介からお願いします。

ナウマン:1996年生まれで、今年(2021年)で25歳になります。生まれは名古屋で、千葉の市川市で育ちました。大学に入ったくらいから東京で、今は一人暮らしをしています。

──子どものころからゲームは好きだったんですか?

ナウマン:めちゃくちゃやっていました。父親がゲーム好きで、家にゲームがあるのが当たり前でした。記憶に残っている一番古いゲームはNINTENDO64用の『マリオパーティ』です。中学まではサッカーをやっていましたが、休みの日はゲームばかりで……。何で部活に入ったのか今でも疑問です(笑)。

対戦ゲームデビューは……たぶん64版『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』だったと思います。でもその当時は勝ちを追及したいというよりは友だちと一緒に遊ぶためのツール、という感じでしたね。

――対戦格闘ゲームを意識し始めたのはいつごろでしょうか?

ナウマン:高校生のときです。ある日、めちゃくちゃゲームが好きな友だちが、「これやろうぜ!」と出してきたのが『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』)でした。遊んでみたら、先に触っていた友だちにまったく歯が立たなくて……。僕はゲームがめちゃくちゃ好きでやってきたという自負があって、自分のほうがうまいと思っていたんです。でもそいつには『ストIV』でまったく勝てないのが悔しくて悔しくて……。それで始めたのがキッカケです。

▲『ウルトラストリートファイターIV』

──最初は勝てなかったんですね。

ナウマン:全然ダメですね。コマンドもわかんないですし、どのボタンを押したらどう動くのかもまったくわかっていませんでした。そんな状態からなので、頑張ってトッププレイヤーになるぞというよりは、友だちに追いついて一緒に遊ぶために遊び始めたんです。そしたらどんどんハマっていって。

──そのころはどのように練習していたんでしょうか?

ナウマン:僕はいわゆるニコニコ動画世代なので、せんとすさんの動画を見たり、「ケン コンボ」で検索して動画を漁ったり。なので、その頃から活躍していたウメハラ選手やももち選手の事はバリバリ追っていました。

でも『ストIV』のころまではそういうのを見るのが好きな、ファンのひとりでした。「顔TV」や「裏顔TV」、「GODSGARDEN」はニコニコ全体でも上位に行くぐらいのコミュニティだったので、動画勢をやってるだけでもすごく楽しくて。

──なるほど、ニコニコからなんですね。

ナウマン:そうですね、格ゲー動画勢になる以前に、もうニコニコという場があった感じです。そういう意味では、自分が格闘ゲームをプレイしていないころから格ゲー勢が出演する番組は観てたんですよ。プレイ内容はわかってなかったけど、あんなに面白い人たちが真剣に戦ってめちゃくちゃ強いのはすごいなと、ゲーム内容ではなく、格ゲーマーという人種の面白さで動向を追ってましたね。

そうやって格ゲーマーファンボーイから始まっているので、僕らより上の世代の、いわゆるゲーセン育ちの方々とは入口が全然違うんですよ。もしかしたら僕より下の世代はむしろこういう興味の持ち方が主流なんじゃないかなと思います。

『ストV』で対戦会に参加!
有名プレイヤーと顔見知りに

――その後、大学に進学されますが、勉強との両立はどうでしたか?

ナウマン:勉強するのが当たり前だとは思っていたので、特別がんばっていたというよりは、自分の中では当たり前のことをやっていました。周りの環境に影響されやすいんです。みんなやってるんだから、勉強やるのも当たり前という感じでしたね。

──『ストIV』での対戦は、ゲームセンターではなく家庭用で?

ナウマン:そうです。ほとんど家庭用でオンライン対戦でした。ゲームセンターも行きましたが、たまにちょっと対戦してみる程度でしたね。進学した國學院大學に格ゲーサークルがあって、そこでオフラインの楽しさ、格ゲー仲間と話す楽しさは感じました。

大学対抗戦もあったので大会も経験できました。実はTOPANGA大学対抗戦にも出ているんです。動画が残っているかどうかはわからないですが、僕が人に見られるような大きい大会に出たのはそれが初めてですね。


▲TOPANGA『ウルトラストリートファイターⅣ』大学対抗戦( http://topanga.co.jp/topanga_uni_league/ )に出場したナウマン選手

──今のように勝てるようになった転機はいつごろだったのでしょうか。

ナウマン:『ストリートファイターV』(以下『ストV』)からですね。『ストIV』のころは中級者どまりだったんですが、『ストV』では名前を見たことのあるプレイヤーたちにもそこそこ勝てるようになり始めて。たぶんキャラが強かったからです(笑)。ケンを使っていたんですけど、最初のころはケンと春麗が強いと言われていたので。

それでランクマッチをめちゃくちゃ回して、オンラインではケンのトップランカーとしてずっと位置していました。「naumanzoh」とか変な名前だし、それでいろんな人にけっこう憶えてももらったりして(笑)。

▲『ストリートファイターV チャンピオンエディション

──オフラインでのゲーム仲間はどんな感じで増やしていったのでしょうか?

ナウマン: e-sports SQUARE AKIHABARAでかげっちさん主催の対戦会が開かれるようになり、そこでいろいろな方と知り合いました。当時は若かったので可愛がられることも多く、人に恵まれて溶け込んでいきましたね。

初めて行ったときは、かずのこ選手やまちゃぼー選手がいました。話しかけたりはできなかったんですけど、格ゲー動画勢だったので「本物がいる!」と感動したのを覚えています。

当初『ストV』はアーケード版がなかったので、オフラインで集まる対戦会はこの頃が初めてぐらいだったと思うんです。なので、有名な方からそれまで知らなかったけど本当に強い人までいろいろな人がいるのが楽しくて、すっかり夢中になってしまいました。オフライン対戦で行ける範囲のところも行きまくりましたね。水曜にe-sports SQUARE、木曜にRed Bull Gaming Sphere Tokyo、金曜にまたスタジオスカイ、日曜も開いているときはスカイに行って。対戦会と名のつくものはほとんど行きました。

Team:GODSGARDENに所属してプロに
そしてDetonatioN Gamingへ

──プロになったきっかけを教えてください。

ナウマン:最初に所属したのはTeam:GODSGARDENです。e-sports SQUARE AKIHABARAに通う中で、かずのこ選手やまちゃぼー選手と知り合いになり、「G-Tune顔巣」に出入りできるようになって、配信にもちらっと映るようになったんです。そんな中でGODSGARDENが新しいメンバーが欲しいとなったときに、僕の評判が良かったらしく入れました。2018年1月から1年半ほどお世話になりました。

──『ストV』のシーズン2~3あたりだったと思いますが、大会での成果はどうでしたか?

ナウマン:Team:GODSGARDEN時代は自分的にもいい結果は得られてないと思っていましたね。実力的にも足りていない感覚が強く、大会で上位に残ること以前に、そもそもの大会の難しさを痛感してばかりでした。

まず緊張しながらゲームをするというのに慣れてなくて……レベルの違いを感じました。お金を出してもらって海外に行って、2先でその成果を出すこと、積み重ねてきた自分の実力を出し切ることの難しさというか。プレッシャーのコントロールができなかったですね。

──その後、2019年6月にDetonatioN Gaming(以下DNG)に加入することになります。

▲2021年4月現在、DetonatioN Gamingの格闘ゲーム部門は板橋ザンギエフ選手、ナウマン選手、竹内ジョン選手の3人が所属している

ナウマン:ひとまずGODSGARDENを離れる事が先に決まっていたんですけど、この道でやっていきたいという思いがあったので、自分を売り込みにいく活動はしようと思ってたんです。そこで、まず知り合いに相談してみようと板橋ザンギエフ選手に相談したら、「じゃあDNGにくる?」とそこで決まっちゃいました(笑)。

──一般企業への就活はいっさいしなかったんですか?

ナウマン:いえ、やっぱり自立はしなければいけないんで、就活もしたんです。で、その期間にいろいろ考えるようになったんです。自分が本当にやりたいこととか、自己分析をするようになって。

さっきもお話しした通り、それまでの僕の生き方って安定志向だったんですよ。学生時代から、普通に勉強はするもの、普通に部活はやるもの、と来ていたので、そのままの流れで普通に就職もするもの……と思ってたんですよね。でも就活中心だった時期に、自分の出ていない大会で戦っている知人たちの姿を配信で見て、この舞台に上がりたいと思ってしまったんです。その気持ちがどうしても忘れられなくて。

自分が納得するまでどうなるかわからないけど、今まで生きてきた中でもここまで打ち込みたいと思ったことって唯一無二だったので、やっぱりこっちの方向に1回舵を切ってみようと決心をしました。

──プロゲーマー1本でやっていこうと決めるにあたって、プロの先輩や親には相談しましたか?

ナウマン:先輩にはもちろん相談しました。むしろ親はとくには何も言ってこなかったんですが、まぁ薄々気づかれていたんだと思います。決めたときも「がんばれよ」といった感じで反対はまったくなかったです。多少心配はしてたと思いますが、納得するまでやればいいんじゃない?と送り出してくれました。

自分の活動を親が見ていることは感じますね。一人暮らしするようになってからはとくに。自分がTwitterでつぶやいていることをなぜか知っているとか(笑)。実家にいたときも「ときどさん、テレビに出てたよ」とか、僕より格ゲー界の情報を知っていたり(笑)。

EVO Japan 2020で優勝!
大きく飛躍した年に

──そして2020年1月にはEVO Japanという大きな勲章を手にします。

ナウマン:はい、わかりやすい結果がポンポンと出てくれたのはそこからですね。結果が出ていない時期が3~4年続いていましたが、もともとコツコツやっていくプレイスタイルだったので、力はついてきているという自覚はあったんです。

──プレイ内容が真面目だという評価をずっとされていましたね。

ナウマン:そう評価してもらっていたんですが、そこも良し悪しで、その真面目を超えたプラスアルファの結果になかなかつながらないというか、実力で勝っている相手には順当に勝てて、負けている相手には順当に負けてしまう、そういう悩みが常にありました。

──そこから抜け出せた要因というのはどんなことがあったんでしょうか。

ナウマン:DNGに入った2019年に、CPT(カプコンプロツアー)の後半からたくさん大会に回らせてもらえたんです。板ザン選手と一緒に行動することが多く、試合後はホテルで反省会をしました。ここで1戦1戦の対戦の考え方がちょっとずつ変わっていき、ここで“大会力”がついたんじゃないかなと思っています。

──板橋ザンギエフ選手からアドバイスも?

ナウマン:自分の実力を出し切れてはいるんですけど、それだと順当に負けちゃうので、このまま行ったら負けてしまう、と思ったなら軸の部分は変えないでちょっと変えるだけでいいとか、スパイスを加えるだけでいいとか、そういうアドバイス的なものはたくさんもらいました。

──そんな体験ができた2019年を経て、2020年早々にEVO Japan 2020が開催、そこで見事優勝となります。見ている側からすると、最後のグランドファイナルよりウィナーズファイナルのsako選手との試合で絶体絶命からの大逆転劇が印象に残っています。

ナウマン:今までは相手にリードされたあとの戦い方、切り替え方、そこから勝つためにどうすればいいかがわからなかったんです。このときもsako選手に2-0でマッチポイントをとられてしまって……。前日の夜に考えた対策が最初の2戦でまったく通用しないんですよ。それまでの自分だったら変えられないまま負けちゃったと思います。

でもここで「どうせなら何か起こして負けたほうがいいな」と追い詰められたからこそ振り切ることができました。本当にめちゃくちゃしてやろうっていう気持ちだったんです。

――2-0から逆3タテして逆転勝利します。

▲ウィナーズファイナルではsako選手を破る大逆転劇を見せた( https://www.twitch.tv/videos/570259038 より引用)

ナウマン:あの攻め方が成功すると思っていたわけではなく、何か変えないと……と考えたすえのガン攻めだったので、ほぼ捨てゲーに近い突撃でした。それがsako選手にうまく刺さったようで、その3先は何とか走りきることができました。

──誰よりも早くさくらの強さを信じて磨きあげるなど、『ストV』ではキャラセレクトが独特な印象です。このときはさくらを選んでいましたよね。

ナウマン:もともとさくらとケンが好きで、『ストIV』からの流れで『ストV』でもケンを使っていました。シーズン4になってさくらが強化されたというので、しばらく遊び感覚で触っていたんですよ。面白くて手応えもちょっとあったので、プロの対戦会でさくらを使ってみたらケンよりもいい勝負ができたんです。

たぶんその頃はさくらの戦術をみんなが知らなくて、初見では対策できない要素があったんですけど、勝てなかった人に勝てるようになったり手応えを感じていたので、さくらに変えてみました。

あとは単純に楽しいキャラ、好きなキャラを使いたいというこだわりがけっこうあるほうだと思います。「強いキャラ使えよ」って言われるかもしれないですが、僕はEVO Japan 2020でさくら以外のキャラで優勝できたかと言われると、そんなことないと思います。自分の好きなキャラを使って、練習していくほうが強くなれると思っています。

▲EVO Japan 2020ではさくらを使って優勝した( https://www.twitch.tv/videos/570263607 より引用)

プロゲーマーが見せていくものは“自分の生き様”

──プロゲーマーとして、自分が見せていくものはこれだというのはありますか?

ナウマン:人の心を動かすプレイを見せたいです。僕が動画勢出身だったこともあり、格闘ゲームやゲーム業界のいいところって、プレイヤーと視聴者が近い距離にいることだと思うんです。プレイヤーの人間性やストーリーを知ったうえで追いかけることができるじゃないですか。プレイヤーとしてすべてをぶつける場所としての試合を見せて、誰かの心を動かせたらいいなと思っています。

──ゲームがうまいところを見せるだけでなく、生き様を見せたいんですね。

▲優勝したときは渾身のガッツポーズを見せた( https://www.twitch.tv/videos/570263607 より引用)

ナウマン:僕はそっち寄りの考え方です。上手いプレイをして勝つ、結果を出すのが正義というのもわかるんですけど、僕はどちらかというと生き様というか……その人の人生が詰まっている試合をするのがプロゲーマーだと思っています。上手いプレイだけだったらネット対戦にも強い人たちはいっぱいいますし、いい試合はあふれています。そんな環境の中でプロとして支援していただいて活動するのなら、自分の生き様を見せていくことが大事かなと思っています。

▲ナウマン選手の配信サイト( https://www.openrec.tv/user/naumanzohsan )。『ストV』が中心だが、『Apex Legends』といった人気のバトロワゲームも配信している

──今は他のゲームの配信もやられていますが、そこにもつながっていますか?

ナウマン:動画勢出身なので、配信文化はかなり好きなんです。結果として僕がどういう人かっていうのを視聴者の人に届けることができますからね。

でも、プロだから知ってもらうために配信しているわけではなくて、単純に楽しいからやっているほうがデカいですね。僕の性格が合致していて、それでリスナーさんたちが楽しんでくれているのなら、恵まれていると思います。

──この後の活動で頑張っていきたいところや見せていきたいところを教えてください。

ナウマン:そんな大きな考えはまだできていませんが、去年ようやく結果を出すことができたので、これからはもっと実力をつけて、目指せ頂上、という感じです。去年は劇的な勝ち方しかできなかったので、もっと地力をつけないといけないなと感じています。

自分らしく楽しみながら、続けていけたらなと思います。

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意外だった。

個性派ぞろいの格闘ゲーマーたちの中にあって、常に飄々として自分語りをしない、古くからの格ゲーファンの世代からすると“さとり世代”的な見方もされてしまいがちなナウマン選手。果たしてそういった世代のプレイヤーがどんなビジョンを持ってプロゲーマーを捉えているのかと思ったら、大学を卒業と同時にそれまでの安定的な生き方に主張をプラスし、かつて自分が楽しませてもらったプロゲーマーとして、“人生を見せる”生き方を選んだのだという。

2020年のEVO Japan優勝に続き、ストリートファイターリーグでも大活躍、2021年も好発進を切っているナウマン選手。真面目さに加え、ここ一番での決意の選択肢を身に着けた彼の人生に今後どんな戦歴が刻み込まれていくのか、今シーズンも目が離せない。

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