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日本初の本格eSports施設「LFS池袋 esports Arena」が、日本のeSportsのレベルを引き上げる?

2018年4月12日、東京・池袋で4月15日に開業するeSports施設「LFS池袋 esports Arena」(以下、LFS池袋)のプレス発表会が執り行われた。運営母体は「DOSPARA」でおなじみのパソコンショップを運営するサードウェーブ。LFS池袋の運営などは、新たに立ち上げる新会社E5 esportsWorksが担当する。


LFS=Looking for Squad「一緒にやろうぜ!」

冒頭、サードウェーブ常務取締役の榎本一郎氏が、オープンにこぎつけた社員やスタッフをねぎらう言葉と謝辞を述べた。

ここ1、2カ月は寝る時間もないほど尽力したスタッフたちもいたそうで、そこまでこの施設に力を入れる理由は、「日本のトレンドとして、ここにきて異業種も含めていろんなかたちで(eSportsに)参入してきています。ライバル企業や業態などを問わず、みんなでeSportsをどう広めていくかを一緒に考えていく『仲間』だと思っています」というeSports発展への思い。

施設名は、「『Looking for Squad』=一緒にやろうぜぃ! というスローガンをそのまま名前にしました」と語った。


LFS池袋の利用料金は3時間1000円、7時間2000円で、350円で1時間分を追加できる。この手の施設としては非常に安価で、採算がとれるのかも不安に思えるほどの料金体系だが、ビジネスとして単独での採算をマストとは考えていないようだ。

「(現在の)eSportsを取り巻く流れを、ユーザーを中心としてハードメーカー、大会、プレス、配信業者やストリーマー、ゲーマーといった様々な『仲間』と一緒に、大きなバリューチェーンでつなぐエコシステムとし、eSportsを文化事業に昇華させたいと考えている」と述べ、「中心はあくまでユーザーであり、場所を作ることが我々にできることの一つ」と榎本氏。「ゴールデンウィーク前になんとか、みんなが待ち望んでいるeSportsの広場を作ることができました」と笑顔を見せた。

続いて、LFS池袋の運営を取り仕切る新会社「E5 esportsWorks」の代表に就任した長縄実氏が登壇。自身も若い頃に「UNREAL TOURNAMENT」で名を馳せた実力を持ち、選手引退後は海外のeSportsの起源とも言われるLANパーティーの開催などで、ゲーム界に尽力してきた人物だ。

長縄氏は日本と海外のeSports事情について言及し、「欧米では熱狂的なゲーマーやカジュアルゲーマーが参加することで、トッププレイヤーなどを支えながら、自らもトッププレイヤーへと上り詰めています。一方、日本はプロを支えるカジュアルゲーマーなどのプレイヤー人口が少ない」と分析。野球などのスポーツのように、プロとして戦う人、実際にプレイする人、見る人などに場所を提供することの大切さを強調した。LFS池袋はまさに、誰でもいつでも気軽にeSportsのゲームを楽しめる場所という存在だ。


常設型eSports施設の大きなメリット

LFS池袋は、高性能ゲーミングPCを最大100台設置可能で、イベントの規模によってフレキシブルに席を増減できるのがポイントだ。

たとえばプレオープンイベントとして3月31日に開催された「PUBG JAPAN SERIES αリーグ」の最終戦では、フロアに80席を設定し、10席×2カ所用意されたボックス型選手席は配信用のキャスター席として機能させていた。このボックス席も含めれば、同時にプレイできる席数は100席になる。もちろん、配信に関わる音響・照明機材や配信のための実況解説ブースは別途完備されており、いつでも万全な体制で配信を行える。

80〜100名もの選手が同時にプレイする環境を、もし他の会場で設置しようとすると、電源やネット回線はその都度増設しなければならず、コストもかかる。

今回αリーグファイナルの運営を担当し、年間300案件ものイベントを運営している株式会社RIZeST代表取締役の古澤明仁氏は、LFS池袋の魅力について、「8路線が乗り入れ多くの商業施設も展開している池袋駅近くという立地の良さ、100台ものゲーミングPCを安定稼働できる電源と万一に備えて複数プロバイダーで準備されたネット回線、そして様々なイベントに対応できる会場内の付帯設備です。さらに、多くのスタッフが生粋のゲーマーであり、業界を良くしたいという方ばかり。お客様であるプレイヤー、チーム、コミュニティなどに来てもらう際に円滑です」といった点を挙げた。


常設ボックス席が、世界で戦える選手を育成する?

発表会の後半に行われたトークセッションでは、コミュニティリーダーのみずイロ氏、SyoboSuke氏、CYCLOPS ATHLETE GAMING監督のnazomen氏、そしてRascal Jesterでコーチを務めるリールベルト氏が登場し、LFS池袋を見た感想を述べた。なかでも、誰もがこぞって高く評価していたのが、ボックス型選手席の存在だ。


Call of Duty』、『PUBG』、『レインボーシックス シージ』、そして『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』といったチーム単位での世界大会が行われているタイトルでは、チームメンバー同士の試合前の相談や試合中の話し合いは、戦績に直接関わる重要なファクターだ。「LJL」で戦うプロゲーミングチーム、Rascal Jesterのリールベルトコーチもそのことは自覚しており「このような訓練が、単に目の前の試合で勝つためだけでなく、日本チームが世界で戦えるレベルにアップするために不可欠」だという。


実際にボックス席を体感したリールベルト氏は、「LJLは現在、コーチがチームについて指示などを出せる体制で行われています。現在のLJL大会会場には防音設備がないため、ヘッドセットをつけたら話し合えますが、つけていない時には数メートル先に相手の選手がいるので、小さな声で話さなければ。ですが、少なくとも海外のトップリージョンである北米、ヨーロッパ、韓国などは防音施設でやっていて、控え室も裏にあって休憩もすぐできます。選手目線でいうと、防音施設のほうが落ち着いてプレイできますし、(フィードバックできることで)結果的にチームのスキルアップにもつながると思います」と評価した。

現在の日本から世界の舞台に行くと、突然このような環境に投げ込まれることにもなるが、すぐに対応できるものではない。日本のチームが世界に羽ばたいていくためには、こうした世界と渡り合える経験も不可欠になってくる。LFS池袋であればその経験が積めるというわけだ。

利用感覚は「マンガ喫茶」よりも「PCバン」

このように誰もが気軽に、安価にPCゲームを楽しめるLFS池袋。実際に利用するにはどうすればいいのだろうか。

まず、利用にあたっては事前に会員登録が必要となる。このユーザーIDはサードウェーブが運営するPCショップの「ドスパラID」と共通となっており、来場したら入り口の端末でチェックインし、好きな席についてPCにログインすることで料金が発生。帰宅時にもチェックアウトを行うという流れだ。

マンガ喫茶と異なり、入退場時点で料金が発生することはないため、料金を無駄にする時間が少なくて済む上、ログアウトすることで席を移動したり、食事の間だけいったん外に出るなど、自由に移動もできる。また、年齢による時間制限についてもユーザー登録情報からわかるため、帰宅を促すような仕組みにもなっている。

なお、開業当初の営業時間は14時〜22時までとなっているが、24時間営業に徐々にシフトしていきたいとのことだ。


料金的にもシステム的にも、とことんユーザーフレンドリーなLFS池袋は、新たなPCゲームユーザーの取り込みはもちろん、防音体制の整った世界と同等の環境を提供するなど、日本のeSportsプレイヤーのレベルを一段引き上げるために貢献してくれそうだ。

正式オープンは今週末の4月15日。ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。


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■店舗情報
LFS池袋 esports Arena(ルフスいけぶくろ イースポーツアリーナ)
オープン日:2018年4月15日(日)
所在地:東京都豊島区東池袋1-43-6 D-BOXビル 地下1階
面積:約420平方メートル
収容人数:100名
料金:3時間 1000円、7時間 2000円 ※1時間追加ごとに350円
営業時間:14:00〜22:00(当面) 24時間にシフトの予定/不定休
URL:https://www.lfs-esportsarena.jp/

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