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「ROG Cetra True Wireless」レビュー:ノイキャン+低遅延+生活防水と3拍子そろったコスパ最強ゲーミングイヤホン
目次
ASUS(エイスース)のゲーミングブランド「Republic of Gamers」、通称「ROG」では、オーディオ関連の製品も多数ラインナップされている。その中でインナーイヤー型のワイヤレスイヤホンが「ROG Cetra True Wireless」(セトラ トゥルー ワイヤレス)だ。価格はASUS Storeで1万5480円。
「Cetra True Wireless」はイヤーピースを耳の穴に挿入することで固定でき、ノイズキャンセリング機能もあるため、ゲーミング用途だけでなく日常的な通勤・通学などで使うにもお手頃な製品と言える。
今回は、ゲームと日常使いの両方に着目し、デザインと使い勝手、ゲーミング用途での性能・設定方法、日常用途でのノイズキャンセリングなどの性能について見ていきたい。
▲ROG Cetra True Wireless
まずは、スペックから確認していこう。
ROG Cetra True Wirelessの主なスペック
ヘッドフォン周波数特性:20Hz - 20,000Hz
ヘッドフォンインピーダンス:32Ω
ドライバー素材:ネオジム磁石
ドライバーサイズ:10mm
マイク集音パターン:全指向性
マイク周波数特性:100Hz - 10,000Hz
ヘッドフォン感度:-38dB
AIノイズキャンセリングマイク:No
アクティブ・ノイズキャンセリングe:対応
チャンネル:ステレオ
インターフェース:Bluetooth 5.0
サイズ:53mm(L) x 57mm(W) x 32mm(H)
質量:イヤホン(片方)5g、ケース 42g
保証期間:購入日より12ヵ月間の日本国内保証
主な付属品:充電ケース、イヤーチップ(2組)、イヤーチップ(S×2、L×2 ※Mサイズは本体に取り付け済み)、USB-C充電ケーブル(60cm)、クイックスタートガイド、1年保証書
防水規格:IPX4
対応プラットフォーム:PC、MAC、Nintendo Switch、iPad
再生可能時間:【通常モード】:最大27時間 使用可能(イヤホン本体のみ 最大5.5時間 / 充電ケース使用 最大21.5時間)
【ノイズキャンセリングモード】:最大22時間 使用可能(イヤホン本体のみ 最大5時間 / 充電ケース使用 最大17時間)
ソフトウェア:Armoury Crate mobile/ Armoury Crate
充電方法:USB(Type-C)充電(ケース使用)、ワイヤレス充電(ケース使用)
対応コーデック:SBC、AAC
▲付属品。ヘッドホン本体と充電器を兼ねたケース、イヤーピース(全部で3サイズ)、USBケーブル
10mmと小型のドライバーだが、周波数特性は20Hzと低音域も十分にカバーしており、ゲームの微細な音だけでなく、音楽鑑賞にも耐えられる。ROGのゲーミングヘッドセットなどに搭載されている、外部の音に対して最適なノイズキャンセリングを行う「AIノイズキャンセリングマイク」ではなく、AIを使用しない「アクティブ・ノイズキャンセリング」が採用されている。
防水レベルは「IPX4」で、水に濡れた手で触れたり多少の飛沫(雨など)には耐えられるが、水場や浴室などでの利用は難しい。コーデックは一般的なSBCに加えて音質と遅延に優れたAACをゲームモードで採用し、遅延は120ms(±30ms)に抑えられているとのこと。どれくらい遅延が解消できるのかも検証してみたい。
まずはイヤホンのデザインや使い勝手から見ていこう。
イヤホン本体は、装着時に外側に見える部分にROGのデザインと文字が刻まれ、サイドにLEDランプが光る。バーの部分が角張っていることで、脱着する際にも持ちやすく感じられた。おそらくワイヤレスイヤホンを使ったことがある人は何度か落としていると思うが、デザインからも落としにくい配慮がされているように感じられる。
▲イヤホンの外観。ROGのマークが無接点方式のタッチスイッチ。小さなLEDランプもある
耳に入れるインナーイヤー部分は楕円形になっているのが特徴で、イヤーピースも同様だ。実際に装着してみると、単に丸いだけのイヤホンと比べて耳へのフィット感はほどよくきつめで個人的にはいい印象を持った。
▲3サイズのイヤーパッドとイヤホン本体。耳の形に合わせてやや楕円形になっており、フィット感は高い
充電用のバッテリーを内蔵するケースはマット仕上げ。カバンの中などに入れてプラスチックや鉄のものにこすると跡がついてしまうかもしれないが、高級感が感じられる。机などに置く際の底面の平らな部分が小さく、少し指で押すとグラグラ揺れるほどだ。それ自体が問題になることはないが、不意に落としてしまわないかと、不安定さは少し気になった。
▲前面側。フタの部分は切れ込みがあり、充電中などに光るLEDが盛り込まれている。ロゴマークは光らない
▲背面側。充電用のUSB-Cポートがあるのみ
▲フタを開くと内部のROGマークが点灯し、初回は即座にペアリング待ちに。ROGマークはシームレスに色が変わるギミックになっている
▲イヤホンの充電は、内側にある2カ所の接点で行う。ケースはイヤホン形状に合わせてぴったり窪んでおり、マグネットで吸着してくれるため、特に意識せずともすっぽり収まるのが気持ちいい
スマホやPCとのペアリング操作は、一般的なBluetoothイヤホンと同様なので特に困ることはないだろう。ケースのフタを開くとすぐにBluetoothのペアリング待ちになり、スマホ側で検出して接続設定をすれば、以降はイヤホンを取り出すだけで電源が入り、同時に接続してくれる。素早く耳に装着すると「Power On」「Bluetooth Connected」という英語の声で接続状況のアナウンスもしてくれる。
イヤホン本体の操作は、ROGマークの部分のタッチで行う。物理ボタンではなくタッチ式のため、操作には多少慣れは必要だが、物理的なスイッチを搭載しない分、小型化と操作のスマート化を実現した。ただ、耳に装着したまま見えないところで操作することになるため、長押しやタッチする回数によって切り替える操作は慣れるまでやりにくく感じるかもしれない。
▲耳に装着したイメージ。ROGマーク部分はやや傾斜がついており、タップしやすくなっている
本体での操作は、右耳がタップ回数で再生(1回)、先送り(2回)、巻き戻し(3回)、長押しの時間によってゲーミングモード(1秒)、ペアリングモード(3秒)、電源オフ(5秒)の切り替え、さらに着信中に2回タップで応答、1秒長押しで切断となる。
左耳は2回タップするごとにノイズキャンセリングの設定を4段階から変更でき、長押しでボイスアシスタント(1秒)、ペアリングモード(3秒)、電源オフ(5秒)となっている。音量調節はイヤホン本体からは行えず、PCやスマホ側で操作するかたちだ。操作方法はやや複雑だが、アプリでいつでも確認できるのもありがたい。
▲後述する設定アプリ「ARMOURY CRATE」でチェック可能
これ以外に、スマホアプリの「ARMOURY CRATE」(アーマリークレート)で音質などの設定も可能だ。ペアリングした状態でアプリを開くと、「再生音量」「サウンド最適化」「バーチャルサラウンド」「イコライザー」「バスブースト」「Gaming Mode」の設定が行える。
再生音量はスマホ本体の音量と連動しているため、ここを使う必要性はあまりないだろう。「サウンド最適化」は「イコライザー」と「バスブースト」の組み合わせで、用途に応じて、フラット/FPS/映画/レース/RPGに加え、ユーザーの好みに設定したカスタマイズの6つから選択できる。さらに、イコライザー単体でもクラシック/ヒップホップ/ジャズ/メタル/テクノ/ロック/ボーカル/カスタマイズを調整可能だ。
▲「サウンド最適化」はイヤホンを使う目的で、「イコライザー」は聞きたい音楽のジャンルで選ぶ。かなり細かい調整が可能だ
これらの他に、「バスブースト」で低音域に厚みを持たせることも可能。ウーファーを設定するようなイメージで考えるといいだろう。低音好きの人はつい効かせたくなってしまう機能だ。一番下には、本体でも設定できる「ゲーミングモード」のオン・オフの設定も用意されている。
▲「バスブースト」と「ゲーミングモード」はここから設定する
これらの「ARMOURY CRATE」で設定できる機能のうち、ゲーミングモード以外はすべて、ペアリングを解除して接続し直しても保存されたままだ。これは、スマホ側で設定する機能だからだろう。
逆に、イヤホン単体の機能であるノイズキャンセリング、ゲーミングモードは、ペアリングを解除すると必ずオフに戻ってしまう。しばらく使っていると、この2つのモードが最も頻繁に利用するうえに、ペアリングした際にほぼ必ずオンにしているため、記憶しておけるとなおよかった。特にゲーミングモードに関しては、あえてオフにする必要性を感じないため、デフォルトでオンにしていてもよかったように思う。
ゲーミングイヤホンと銘打つ「ROG Cetra True Wireless」だけに、一番気になるのはやはり遅延だろう。一般的なBluetooth接続のワイヤレスイヤホンは、想像以上に遅延している。それはスマホ向けの音ゲーなどを遊べば1発でわかる。
それに対して、「ROG Cetra True Wireless」は遅延に強いAACコーデックを採用し、ゲーミングイヤホンという名前のとおりゲーム環境を第一に考えている。
今回は以下の2作品で遅延を検証してみた。
まずは、ゲーミングモードのオン/オフでどれくらい遅延が変わるかを『太鼓の達人』で検証。曲を覚えて画面を見ずに音だけでどれくらい「良」が出るかを確かめた。
OPPO Reno 3Aという2年以上前の古い端末ということと、筆者がそれほど音ゲーを得意としていないこともあるが、それでもゲーミングモード・オフでは明らかに聞こえてくる音と画面にずれが生じており、画面を見てタップすれば「良」は出るものの、音を重視すると大幅にずれてしまう。
一方、ゲーミングモードをオンにするとほとんど画面と音の遅延は感じないレベルになる。さすがに有線イヤホンよりはほんのわずかな遅れも感じたが、有線とほぼ同等の遅延レベルというのは間違いない。
続いて、バトルロイヤルの『Apex Legends Mobile』の射撃場で、弾を撃つボタンを押した時の体感速度を確かめてみた。
ゲーミングモード・オフでは、弾を発車してターゲットへの着弾を確認した後に遅れて射撃音が聞こえてくるが、ゲーミングモード・オンではそのタイムラグがほぼ解消された。
なによりワイヤレスイヤホンでゲームを遊ぶ一番のメリットは、煩わしいケーブルを意識せずに済むことにある。本気で音ゲーやFPSを極めたい人にとっては、操作する手元にあるケーブルはかなり邪魔だからだ。通勤時の電車内などで気軽に遊ぶ際にもストレスがなくよかった。
ゲームでも音楽でも音の遅延はないにこしたことはない。遅延がほとんどない有線と比べればそれでもわずかな遅れは感じられるものの、「ROG Cetra True Wireless」はまったく不満は感じないレベルだ。
ノイズキャンセリング機能は、強力にノイズをカットする「ヘビー」、やや抑え気味にカットする「ライト」の2モードを採用。それ以外にヘッドホンをしたままで周囲の音が聞こえるようにする「アンビエントサウンド」、そして完全オフという4つの設定が可能になっている。
「ヘビー」の状態では細かな雑音がかなり抑えられるが、数メートル範囲内の人の声や電話の呼び出し音、スマホの着信音などは聞こえるため、業務や読書などに集中したい時には最適だ。「ライト」はある程度の雑音をカットし、周りの音が少し聞こえる程度になる。今回、通勤時の電車、職場、人の多いカフェ、繁華街での移動時などで使ってみたが、電車で音楽やゲームを楽しみたい時やカフェなどでは「ヘビー」がいいだろう。音質の変化もそれほど大きくないため没入感もあるし、店内のBGMも気にせず自分の好きな音楽を楽しみながら読書などに集中できる。周囲の音もある程度聞こえる必要がある職場や自宅などでは「ライト」でも十分だ。
一方、外音をあえて聞こえるようにする「アンビエントサウンド」は、ノイズキャンセリング用の外向きマイクで集音しているため、電子音的な音の聞こえ方になり、かえってイヤホンを外した時よりも細かな雑音を拾ってしまう印象があった。イヤホンをしたままでショップ店員の声を聞きたいようなケースを想定していると思われるが、外してしまった方が簡単かもしれない。
意外に優秀だったのは、ノイズキャンセリングをまったく使わない状態だ。もともとインイヤータイプのイヤホンのため、これだけでもかなり騒音をシャットアウトしてくれているのだが、イヤーピースの形状が楕円になっており、フィット感も遮音性も高い印象を受けた。装着感には好き嫌いもあるかもしれないが、適切なサイズのイヤーピースを使えば落ちる心配もなく、むしろ安心感は高い。だからといって、ジョギングなどの運動で使うのは少し厳しいだろう。
▲あえて楕円形のイヤーピースにしているところが装着感と遮音性を高めているようだ
ちなみに、ノイズキャンセリングをオンにするとイヤホン本体のバッテリーの持ちが最大5.5時間から5時間に減少するとのことだが、ノイキャンを使うことで音量自体を抑えることもできるため、実際に5時間程度は十分に使えた。充電もケースのみで可能で、10分の充電で1.5時間、充電を繰り返せば最長21.5時間も利用可能とのことで、バッテリー寿命で心配することはほとんどない。
ちなみに、ケースに収納してフタを閉じて充電したり、Bluetooth接続をいったん切ると、ノイズキャンセリングの設定もゲームモードのオン/オフも必ずオフになってしまう点は残念だった。これはイヤホン側で設定した場合も、スマホ用ユーティリティの「Armoury Crate」で設定した場合も同様だ。
ノイズキャンセリングに関しては、常時ノイキャンをオンにすることによる不用意な事故などを防ぐ意味や、バッテリーの持ちなどを考慮してオフにしているのかもしれない。本体の物理スイッチやモニターがあるわけではないため、設定状態を確認できないことも理由のひとつだろう。
ただし、そういった機能を省いてシンプルにした結果、ノイキャンも低遅延も生活防水も兼ね備えた上で、1万5000円台という低価格を実現していることを考えれば、十分に頑張っていると思う。ユーザーが求める機能をなんとか採用しようとするところに、ASUSらしさが感じられた。
「ROG Cetra True Wireless」は、ワイヤレスイヤホンとしてはこれ以上ないほどのコンパクトさの中に、ゲーマーが望む機能を工夫しながら、かつスタイリッシュに詰め込んでいる。ゲームだけでなく通勤・通学時間も快適に過ごしたい人にオススメしたい製品だ。
ROG Cetra True Wireless
ASUS公式オンラインストア
「Cetra True Wireless」はイヤーピースを耳の穴に挿入することで固定でき、ノイズキャンセリング機能もあるため、ゲーミング用途だけでなく日常的な通勤・通学などで使うにもお手頃な製品と言える。
今回は、ゲームと日常使いの両方に着目し、デザインと使い勝手、ゲーミング用途での性能・設定方法、日常用途でのノイズキャンセリングなどの性能について見ていきたい。
▲ROG Cetra True Wireless
ROG Cetra True Wirelessの概要
まずは、スペックから確認していこう。
ROG Cetra True Wirelessの主なスペック
ヘッドフォン周波数特性:20Hz - 20,000Hz
ヘッドフォンインピーダンス:32Ω
ドライバー素材:ネオジム磁石
ドライバーサイズ:10mm
マイク集音パターン:全指向性
マイク周波数特性:100Hz - 10,000Hz
ヘッドフォン感度:-38dB
AIノイズキャンセリングマイク:No
アクティブ・ノイズキャンセリングe:対応
チャンネル:ステレオ
インターフェース:Bluetooth 5.0
サイズ:53mm(L) x 57mm(W) x 32mm(H)
質量:イヤホン(片方)5g、ケース 42g
保証期間:購入日より12ヵ月間の日本国内保証
主な付属品:充電ケース、イヤーチップ(2組)、イヤーチップ(S×2、L×2 ※Mサイズは本体に取り付け済み)、USB-C充電ケーブル(60cm)、クイックスタートガイド、1年保証書
防水規格:IPX4
対応プラットフォーム:PC、MAC、Nintendo Switch、iPad
再生可能時間:【通常モード】:最大27時間 使用可能(イヤホン本体のみ 最大5.5時間 / 充電ケース使用 最大21.5時間)
【ノイズキャンセリングモード】:最大22時間 使用可能(イヤホン本体のみ 最大5時間 / 充電ケース使用 最大17時間)
ソフトウェア:Armoury Crate mobile/ Armoury Crate
充電方法:USB(Type-C)充電(ケース使用)、ワイヤレス充電(ケース使用)
対応コーデック:SBC、AAC
▲付属品。ヘッドホン本体と充電器を兼ねたケース、イヤーピース(全部で3サイズ)、USBケーブル
10mmと小型のドライバーだが、周波数特性は20Hzと低音域も十分にカバーしており、ゲームの微細な音だけでなく、音楽鑑賞にも耐えられる。ROGのゲーミングヘッドセットなどに搭載されている、外部の音に対して最適なノイズキャンセリングを行う「AIノイズキャンセリングマイク」ではなく、AIを使用しない「アクティブ・ノイズキャンセリング」が採用されている。
防水レベルは「IPX4」で、水に濡れた手で触れたり多少の飛沫(雨など)には耐えられるが、水場や浴室などでの利用は難しい。コーデックは一般的なSBCに加えて音質と遅延に優れたAACをゲームモードで採用し、遅延は120ms(±30ms)に抑えられているとのこと。どれくらい遅延が解消できるのかも検証してみたい。
ケースを開けばすぐに接続。設定アプリで多彩な音質調整も可能
まずはイヤホンのデザインや使い勝手から見ていこう。
イヤホン本体は、装着時に外側に見える部分にROGのデザインと文字が刻まれ、サイドにLEDランプが光る。バーの部分が角張っていることで、脱着する際にも持ちやすく感じられた。おそらくワイヤレスイヤホンを使ったことがある人は何度か落としていると思うが、デザインからも落としにくい配慮がされているように感じられる。
▲イヤホンの外観。ROGのマークが無接点方式のタッチスイッチ。小さなLEDランプもある
耳に入れるインナーイヤー部分は楕円形になっているのが特徴で、イヤーピースも同様だ。実際に装着してみると、単に丸いだけのイヤホンと比べて耳へのフィット感はほどよくきつめで個人的にはいい印象を持った。
▲3サイズのイヤーパッドとイヤホン本体。耳の形に合わせてやや楕円形になっており、フィット感は高い
充電用のバッテリーを内蔵するケースはマット仕上げ。カバンの中などに入れてプラスチックや鉄のものにこすると跡がついてしまうかもしれないが、高級感が感じられる。机などに置く際の底面の平らな部分が小さく、少し指で押すとグラグラ揺れるほどだ。それ自体が問題になることはないが、不意に落としてしまわないかと、不安定さは少し気になった。
▲前面側。フタの部分は切れ込みがあり、充電中などに光るLEDが盛り込まれている。ロゴマークは光らない
▲背面側。充電用のUSB-Cポートがあるのみ
▲フタを開くと内部のROGマークが点灯し、初回は即座にペアリング待ちに。ROGマークはシームレスに色が変わるギミックになっている
▲イヤホンの充電は、内側にある2カ所の接点で行う。ケースはイヤホン形状に合わせてぴったり窪んでおり、マグネットで吸着してくれるため、特に意識せずともすっぽり収まるのが気持ちいい
スマホやPCとのペアリング操作は、一般的なBluetoothイヤホンと同様なので特に困ることはないだろう。ケースのフタを開くとすぐにBluetoothのペアリング待ちになり、スマホ側で検出して接続設定をすれば、以降はイヤホンを取り出すだけで電源が入り、同時に接続してくれる。素早く耳に装着すると「Power On」「Bluetooth Connected」という英語の声で接続状況のアナウンスもしてくれる。
専用アプリ「ARMOURY CRATE」では用途や音質の調整も
イヤホン本体の操作は、ROGマークの部分のタッチで行う。物理ボタンではなくタッチ式のため、操作には多少慣れは必要だが、物理的なスイッチを搭載しない分、小型化と操作のスマート化を実現した。ただ、耳に装着したまま見えないところで操作することになるため、長押しやタッチする回数によって切り替える操作は慣れるまでやりにくく感じるかもしれない。
▲耳に装着したイメージ。ROGマーク部分はやや傾斜がついており、タップしやすくなっている
本体での操作は、右耳がタップ回数で再生(1回)、先送り(2回)、巻き戻し(3回)、長押しの時間によってゲーミングモード(1秒)、ペアリングモード(3秒)、電源オフ(5秒)の切り替え、さらに着信中に2回タップで応答、1秒長押しで切断となる。
左耳は2回タップするごとにノイズキャンセリングの設定を4段階から変更でき、長押しでボイスアシスタント(1秒)、ペアリングモード(3秒)、電源オフ(5秒)となっている。音量調節はイヤホン本体からは行えず、PCやスマホ側で操作するかたちだ。操作方法はやや複雑だが、アプリでいつでも確認できるのもありがたい。
▲後述する設定アプリ「ARMOURY CRATE」でチェック可能
これ以外に、スマホアプリの「ARMOURY CRATE」(アーマリークレート)で音質などの設定も可能だ。ペアリングした状態でアプリを開くと、「再生音量」「サウンド最適化」「バーチャルサラウンド」「イコライザー」「バスブースト」「Gaming Mode」の設定が行える。
再生音量はスマホ本体の音量と連動しているため、ここを使う必要性はあまりないだろう。「サウンド最適化」は「イコライザー」と「バスブースト」の組み合わせで、用途に応じて、フラット/FPS/映画/レース/RPGに加え、ユーザーの好みに設定したカスタマイズの6つから選択できる。さらに、イコライザー単体でもクラシック/ヒップホップ/ジャズ/メタル/テクノ/ロック/ボーカル/カスタマイズを調整可能だ。
▲「サウンド最適化」はイヤホンを使う目的で、「イコライザー」は聞きたい音楽のジャンルで選ぶ。かなり細かい調整が可能だ
これらの他に、「バスブースト」で低音域に厚みを持たせることも可能。ウーファーを設定するようなイメージで考えるといいだろう。低音好きの人はつい効かせたくなってしまう機能だ。一番下には、本体でも設定できる「ゲーミングモード」のオン・オフの設定も用意されている。
▲「バスブースト」と「ゲーミングモード」はここから設定する
これらの「ARMOURY CRATE」で設定できる機能のうち、ゲーミングモード以外はすべて、ペアリングを解除して接続し直しても保存されたままだ。これは、スマホ側で設定する機能だからだろう。
逆に、イヤホン単体の機能であるノイズキャンセリング、ゲーミングモードは、ペアリングを解除すると必ずオフに戻ってしまう。しばらく使っていると、この2つのモードが最も頻繁に利用するうえに、ペアリングした際にほぼ必ずオンにしているため、記憶しておけるとなおよかった。特にゲーミングモードに関しては、あえてオフにする必要性を感じないため、デフォルトでオンにしていてもよかったように思う。
スマホゲームで音声遅延を検証
ゲーミングイヤホンと銘打つ「ROG Cetra True Wireless」だけに、一番気になるのはやはり遅延だろう。一般的なBluetooth接続のワイヤレスイヤホンは、想像以上に遅延している。それはスマホ向けの音ゲーなどを遊べば1発でわかる。
それに対して、「ROG Cetra True Wireless」は遅延に強いAACコーデックを採用し、ゲーミングイヤホンという名前のとおりゲーム環境を第一に考えている。
今回は以下の2作品で遅延を検証してみた。
スマホ版『太鼓の達人』
まずは、ゲーミングモードのオン/オフでどれくらい遅延が変わるかを『太鼓の達人』で検証。曲を覚えて画面を見ずに音だけでどれくらい「良」が出るかを確かめた。
OPPO Reno 3Aという2年以上前の古い端末ということと、筆者がそれほど音ゲーを得意としていないこともあるが、それでもゲーミングモード・オフでは明らかに聞こえてくる音と画面にずれが生じており、画面を見てタップすれば「良」は出るものの、音を重視すると大幅にずれてしまう。
一方、ゲーミングモードをオンにするとほとんど画面と音の遅延は感じないレベルになる。さすがに有線イヤホンよりはほんのわずかな遅れも感じたが、有線とほぼ同等の遅延レベルというのは間違いない。
スマホ版『Apex Legends Mobile』
続いて、バトルロイヤルの『Apex Legends Mobile』の射撃場で、弾を撃つボタンを押した時の体感速度を確かめてみた。
ゲーミングモード・オフでは、弾を発車してターゲットへの着弾を確認した後に遅れて射撃音が聞こえてくるが、ゲーミングモード・オンではそのタイムラグがほぼ解消された。
なによりワイヤレスイヤホンでゲームを遊ぶ一番のメリットは、煩わしいケーブルを意識せずに済むことにある。本気で音ゲーやFPSを極めたい人にとっては、操作する手元にあるケーブルはかなり邪魔だからだ。通勤時の電車内などで気軽に遊ぶ際にもストレスがなくよかった。
ゲームでも音楽でも音の遅延はないにこしたことはない。遅延がほとんどない有線と比べればそれでもわずかな遅れは感じられるものの、「ROG Cetra True Wireless」はまったく不満は感じないレベルだ。
イヤーピースだけでも優秀な遮音性にノイズキャンセリングを合わせ持つ
ノイズキャンセリング機能は、強力にノイズをカットする「ヘビー」、やや抑え気味にカットする「ライト」の2モードを採用。それ以外にヘッドホンをしたままで周囲の音が聞こえるようにする「アンビエントサウンド」、そして完全オフという4つの設定が可能になっている。
「ヘビー」の状態では細かな雑音がかなり抑えられるが、数メートル範囲内の人の声や電話の呼び出し音、スマホの着信音などは聞こえるため、業務や読書などに集中したい時には最適だ。「ライト」はある程度の雑音をカットし、周りの音が少し聞こえる程度になる。今回、通勤時の電車、職場、人の多いカフェ、繁華街での移動時などで使ってみたが、電車で音楽やゲームを楽しみたい時やカフェなどでは「ヘビー」がいいだろう。音質の変化もそれほど大きくないため没入感もあるし、店内のBGMも気にせず自分の好きな音楽を楽しみながら読書などに集中できる。周囲の音もある程度聞こえる必要がある職場や自宅などでは「ライト」でも十分だ。
一方、外音をあえて聞こえるようにする「アンビエントサウンド」は、ノイズキャンセリング用の外向きマイクで集音しているため、電子音的な音の聞こえ方になり、かえってイヤホンを外した時よりも細かな雑音を拾ってしまう印象があった。イヤホンをしたままでショップ店員の声を聞きたいようなケースを想定していると思われるが、外してしまった方が簡単かもしれない。
意外に優秀だったのは、ノイズキャンセリングをまったく使わない状態だ。もともとインイヤータイプのイヤホンのため、これだけでもかなり騒音をシャットアウトしてくれているのだが、イヤーピースの形状が楕円になっており、フィット感も遮音性も高い印象を受けた。装着感には好き嫌いもあるかもしれないが、適切なサイズのイヤーピースを使えば落ちる心配もなく、むしろ安心感は高い。だからといって、ジョギングなどの運動で使うのは少し厳しいだろう。
▲あえて楕円形のイヤーピースにしているところが装着感と遮音性を高めているようだ
ちなみに、ノイズキャンセリングをオンにするとイヤホン本体のバッテリーの持ちが最大5.5時間から5時間に減少するとのことだが、ノイキャンを使うことで音量自体を抑えることもできるため、実際に5時間程度は十分に使えた。充電もケースのみで可能で、10分の充電で1.5時間、充電を繰り返せば最長21.5時間も利用可能とのことで、バッテリー寿命で心配することはほとんどない。
低遅延でノイキャン付きは、これからのゲーミングイヤホンの常識になる
ちなみに、ケースに収納してフタを閉じて充電したり、Bluetooth接続をいったん切ると、ノイズキャンセリングの設定もゲームモードのオン/オフも必ずオフになってしまう点は残念だった。これはイヤホン側で設定した場合も、スマホ用ユーティリティの「Armoury Crate」で設定した場合も同様だ。
ノイズキャンセリングに関しては、常時ノイキャンをオンにすることによる不用意な事故などを防ぐ意味や、バッテリーの持ちなどを考慮してオフにしているのかもしれない。本体の物理スイッチやモニターがあるわけではないため、設定状態を確認できないことも理由のひとつだろう。
ただし、そういった機能を省いてシンプルにした結果、ノイキャンも低遅延も生活防水も兼ね備えた上で、1万5000円台という低価格を実現していることを考えれば、十分に頑張っていると思う。ユーザーが求める機能をなんとか採用しようとするところに、ASUSらしさが感じられた。
「ROG Cetra True Wireless」は、ワイヤレスイヤホンとしてはこれ以上ないほどのコンパクトさの中に、ゲーマーが望む機能を工夫しながら、かつスタイリッシュに詰め込んでいる。ゲームだけでなく通勤・通学時間も快適に過ごしたい人にオススメしたい製品だ。
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