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<前編>【インタビュー】「有機ELはクリエイターには危険な画質です!」『鉄拳』シリーズプロデューサー原田勝弘氏
「バンダイナムコエンターテインメント」は6月2日に格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの最新作『鉄拳7』をSteamにて発売する(PS4/Xbox One版は6月1日発売)。
この『鉄拳』シリーズのプロデューサーを務める原田勝弘氏に、有機ELディスプレイを搭載した「New ALIENWARE 13」(2017年1月20日発売)を使って頂く機会を得た。原田氏はゲームクリエイターとして数々の名作を世に送り出してきたが、その一方で大のゲーム好きのプレイヤーであり、またPCに関しても見識が高い。その原田氏に「New ALIENWARE 13」はどんなPCなのかインタビューを行った。
前編では「New ALIENWAR 13」について、印象や使い心地について語っていただいた。
原田氏:第一印象は良い意味で「小さいな」と思いました。僕は元々デスクトップPCユーザーなので、性能のためにはPCのサイズなんて良くも悪くも気にしません。性能のためには大きい筐体であっても構わないと思っています。ですので、普段僕は水冷ユニットを搭載した大型の自作PCを使っています。もちろん、CPUやグラフィックボードはハイエンドの物を搭載していますし、電源も1200Whクラス。水冷システムもCPUとGPUで別々のユニットで、更にそれぞれのポンプを外部の独立した電源で駆動させたりと、これでもかというほど色々なパーツをゴテゴテと設置・搭載し、消費電力は正直エコロジーとは程遠い仕様です。快適なゲーム環境という観点しかなかったので、PCの見かけとかスタイリッシュさには、普段は鈍感なんですよ。
そういう意味で言うと、「New ALIENWARE 13」はパッと見たときに、「ハイエンドノートPCなのに、なんてコンパクトなんだろう」と珍しくパッケージを開けて思いました。また印象的で斬新だったのが、液晶が開くヒンジの位置ですね。普通のノートのように2つに折れるタイプではなく、冷却ユニットを背にして液晶が立つような機構は凄く合理的です。
ノートPCというより、平たいPCの上に液晶タブレットが立っているようなデザインだと思いました。そして、ディスプレイ部分が凄く薄くて驚きました。
僕が以前個人で買ったノートPCは、かなり古くてWindows 7の時代です。この頃は、ちょうど企業でも本格的にデスクトップPCからノートPCへ切り換えようというタイミングだったと記憶しています。それもあって、会社に高性能なゲームにも使えるハイエンドノートPCが何台か置いてあったり、僕個人でも検証用に複数のノートPCを持っていたりもしました。
その頃のハイエンドノートPCといえば、とにかく大きくて分厚くて、デザインが無骨だったなという印象でした。もちろん高性能なパーツを搭載していれば、廃熱の問題がありますし、それを考えれば当然なんですけどね。
――ALIENWARE自体のデザインの変化にも驚かれたということですか?
原田氏:僕自身のALIENWAREのイメージも凄く昔のモデルで止まっていたんだなと実感しました。ALIENWAREを初めて見たのはWindows XPより前の時代ですね。僕はPC洋ゲーマニアだったのと、元々海外出張が多く世界中駆けずり回っています。そんな中、北米のPCショップなどでよく見かけた昔のALIENWAREは、無骨で“大きい事は良いことだ”という古典的なアメリカの考えを地で行っている印象がありましたね。
小型化とかデザインよりもハイスペックに命を賭けている。ALIENWAREはそんなイメージでした。
しかし、この「New ALIENWARE 13」を見て、昔よりも一気にコンパクトでかつスタイリッシュになったもんだなあと思いました。もちろん、デザインとして一貫したALIENWAREとしてのDNAというか雰囲気、特に前面の斜めの筐体カットなんかは残ってるのですが、まず全体が薄くなってて、トレードマークのエイリアンのロゴが控えめになったりと、とにかく高級そうなデザインになりましたね。
――実際にPCとして操作してみた感触はどうでしょうか?
原田氏:僕はそもそも自分が使うキーボードにこだわりがあって、この7年ぐらいは「Key Tronic」製のキーごとにストロークが違うものを会社でも家でも使っています。ノートPCを使うときにも、基本的にこのキーボードを接続して使います。
だからノートPCのキーボードって、僕にとっては緊急事態用としか思っていなかったんですよ。なぜかというと、キーを押す度にパチャパチャと音がするあの感触が好きではなくて。
でも「New ALIENWARE 13」を使って良いと思ったのは、ストロークがちゃんとあるところです。キーストロークがしっかり感じれて、押している場所も分かるし指へのフィードバックもしっかりと伝わってくる。これは良いなと思いましたね。
この薄さのノートPCで、よくこのストロークを確保しているなと。他の機種のキーボードをそんなに触っていないですが、「New ALIENWARE 13」は明らかに異質なキータッチだと思いました。キートップにバックライトもちゃんと付いていますし、タッチパッドも触ると色が点灯します。
これは思わず人に見せたくなりますね。「これすごくない?色が変わるんだよ」って(笑)。この色に関しては、僕は青か白が好きですね。暖色系にもできますが、熱を持っていると錯覚するようで好きではなくて。
――今回は「New ALIENWARE 13」の有機ELディスプレイモデルを使って頂いておりますが、画質や、格闘ゲームに大切な応答速度はどうでしょうか?
原田氏:まず応答速度から言うと、今の最新ビルドのPC版『鉄拳7』でテストしても応答速度は問題ないです。昔の有機ELは応答速度が遅いというのが欠点でしたが、この有機ELは格闘ゲームでも十分な応答速度ですね。
2010年以前までの液晶ディスプレイだと、画質向上エンジンやチップの影響なんかで下手すると5フレームも遅れてしまう製品さえありました。5フレームも遅れるとコンボなんか入らないですよ。なので、ディスプレイの応答速度は格闘ゲームにとってとても重要です。ですが、「New ALIENWARE 13」の有機ELディスプレイであればコンボとかも遅延なく技が決められます。
画質に関しては、ちょっと他人とは違う観点が頭に浮かびました。「このディスプレイは“危険”だ」と。どういうことかというと、普段一番見慣れているもので画質を比較しようと『鉄拳7』で画質を見たんです。今まで様々なディスプレイで画質を見てきていますが、有機ELで見たのは初めてでした。それで見たらまず最初に「ギョッ、これはイカン」と思いました。
なぜかって、開発中で映像が未調整な段階でも綺麗に見えすぎてしまうんです。映像全体がすごく艶っぽい。黒色の締まりが良くて、金属のスクラッチのあるような絵とか、きめの細かい明暗がしっかりした絵とか凄く綺麗に出るんですよ。本当の黒色が出ている感じです。液晶ディスプレイのように遮光して黒を作っていないので、白っちゃけていない。3Dのプリレンダリングだろうがリアルタイムだろうが、2DのUIだろうが関係なく全部綺麗に見えちゃうんですよ。
例えば、黒地に表示される『鉄拳7』のロゴは浮き上がって見えるんです。これを逆に現場のデザイナーとかに与えると、見た目が高画質なので「よしよし、これで良い」となってしまって、元素材をそれ以上作り込まなくなります。つまり早々に“大リーグボール養成ギプス”を外している状態になってしまいます。
やっぱり素材を作っているとき、ゲーム開発中はギプスをつけていないと。外した瞬間に体が軽いと錯覚するのは、本来の実力とは違いますからね。なので、この有機ELディスプレイでプレビューする時は、全部ゲームの映像が出来上がったあとに“ご褒美”として見るものだ、と思いました。開発中にチェック用ディスプレイとして使用してはダメなディスプレイです。こんなのを検証に使用すると、絵の部分はどんなデバッカーでも高得点を付けてしまいます。
最近のディスプレイやテレビは、色やディテールに補正が掛かるようになっている機能を保有しているものが多いので、クリエイターが想定している映像よりも色が鮮やかに出ている場合もあります。例えば赤色などは補正エンジンのせいで本来の色の深みが消えて、鮮やかすぎるキツい発色をしてしまうケースがありますが、この有機ELは元色の良い発色を失わずに画質の全体にブーストが掛かるのが凄いですね。
『鉄拳』シリーズは特に黒と赤をイメージカラーとしてよく使うので、その分、この有機ELで色々な人に『鉄拳7』を見せると「鉄拳、凄く綺麗に仕上がりましたね」とか、「前に見たときよりも綺麗になりました」と言って貰えます。実はディスプレイが違うだけなんですけどね。
たまたまアメリカから出張してきていたPR担当に見せたら、「これはPRに使える!」と言っていました。イベントなんかではこの有機EL搭載のALIENWARE 13を並べて展示すればインパクトが大きいだろうなと。ただ、アメリカ人らしく「もっと大きいサイズはないのか?」とも言っていましたよ。
確かにもっと大きい17インチモデルとかにも有機ELが欲しいところです。あと、「New ALIENWARE 13」の最上位機種にしか有機ELが搭載されていないので、もっと下のモデルにも付けて欲しいですね。
これだけ綺麗だと、色々と試したくなってやってみたんですが、他のゲームも綺麗なのは案の定でしたが、普通の映画とかドラマを再生するだけでもとても良かったんですよ。僕は、アメリカのテレビドラマ『ブレイキング・バッド』が大好きなんですが、このドラマは映像の背景がもの凄く綺麗なドラマなんですよ。
砂漠や天気が移り変わる昼夜の空とか凄く綺麗に見せるんです。で、ただでさえ綺麗なのにこの有機ELで見たときには目を奪われましたね。1度見て内容を知っていても、映像だけでずっと見ていられるレベルです。新鮮な体験でしたね。
原田氏:一番最初にやってみたのは、VRゾンビシューター『Arizona Sunshine』です。これで処理能力を見ていたのですが、普通のノートPCだとVRなんで割と処理が重たい、フレームレートが安定しないことが多いですが、「New ALIENWARE 13」はかなり処理に余裕がありました。サクサクとか、そういうレベルではなくて「相当余っている」という感じです。
『Arizona Sunshine』は、比較的完成度の高いVRでフィールド内に遠景とかも写っていますが、これでかなり余裕のある処理でしたから、恐らく他のゲームでも大丈夫だと思います。他にも、Steamで配信されているゲームや「Google Earth」とかもやってみましたが、相当余っている感じでした。
現在、Steamで配信されているゲームは殆ど問題なく動くと思います。
個人的にはFPSの『コール オブ デューティ』が好きなゲームのシリーズのひとつなので、最新作の『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』を試してみました。僕の家の自作PCは4Kモニターと「GeForce GTX TITAN X」をSLIの2枚刺しの環境でやっているので、「New ALIENWARE 13」のQHD 2560x1440ドットとは解像度が違うので純粋な比較ではないのですが、「New ALIENWARE 13」で自動最適化してプレイしてみると、ヌルヌルと動いたのでこれも驚きましたね。
しかし、「New ALIENWARE 13」で自動最適化してからプレイしてみると、同じシーンでヌルヌルと動いてくれました。
『コール オブ デューティ』シリーズは『コール オブ デューティ ゴースト』まではそんなに処理が重いゲームではなかったのです。3年間買い替えていないようなPCでも動いてくれました。しかし、ゴースト以降は必要なグラフィックの処理性能が急に上がりました。丁度これは、「PlayStation 4」と「Xbox One」が出たタイミングで、マルチプラットフォーム化に合わせ、ゲームのデベロッパーがPCもグラフィックの処理レベルを1段階あげたという状況があります。
ですので、その1段階処理が重い『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』でヌルヌルに動くということは、殆どのゲームのグラフィック処理をカバーできるということです。
「New ALIENWARE 13」がノートPCで、このヌルヌルなプレイ環境を実現できたこと、僕としては「出張先でFPSができる」ことなので嬉しいですね。
あと、僕が家で使っている1200Whの電源を搭載した自作PCと比べると、「New ALIENWARE 13」の方がゲームをプレイするコストパフォーマンスも格段に高いです。わずか76Whですから(笑)。
ちなみに、僕の家は新作ゲームが出た1〜2カ月は実際に電気代が上がるんです。普通の家庭は、夏や冬にクーラーや暖房で電気代が上がりますが、僕の家で一番電気代が上がるのは秋です。なぜって秋口に新作ゲームが出るからです。1200Whの電源を搭載したPCでゲームするってドライヤーをずっと回してるようなものですよ。
無論1200W電源も常にフル電力を使っているわけではありませんが、それでもノートPCに比べるとかなりの電力消費です。 いつも嫁は不思議がってます。「何故秋に電気代がこんなに上がるんだろう」って。これを考えると相当無駄なことをしていますよね。僕の家のPCはあんなにでかい筐体で水冷システムまで回しているのに、やっていることは「New ALIENWARE 13」にある程度収まるっていうのはちょっと納得いかないですよ(笑)。ノートPCの性能の向上は排熱問題と電力供給がネックって言われていたので、頭打ちすると昔はよく言われていました。その観点からするとよくここまできましたよね。10年前だと考えられない。
――長時間プレイでの安定性はどうでしょうか?
原田氏:5時間連続でプレイしてみましたが、プレイ時のラグなどは出ずとても安定していました。
他のノートPCは、温度が上がるといきなりシューッとファンが回り始めることがありますよね。これがあると、ラグが出てくるかなと身構えますが、そういうのは全くありませんでした。
確かに「New ALIENWARE 13」も連続でプレイしているとファンの回転数は上がってきますが、いきなり回転数を上げることはなくて、熱が常時ちゃんと排出されているんだなと思いました。
前編では、「New ALIENWAR 13」の印象や使い心地について話を伺った。後編ではVR用PCとしてのメリットや『鉄拳』シリーズへのこだわりについて語っていただく。
©CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED.
TEKKEN™ 7 & ©2017 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
■後編はこちらから
<後編>【インタビュー】「有機ELはクリエイターには危険な画質です!」『鉄拳』シリーズプロデューサー原田勝弘氏
■関連リンク
ALIENWARE
http://alienware.jp
「Alienware 13 OLED VR」のページ
http://www.dell.com/jp/p/alienware-13-laptop/pd?oc=caaaw13oljp&model_id=alienware-13-laptop
バンダイナムコエンターテインメント
https://bandainamcoent.co.jp/
『鉄拳7』
http://www.tk7.tekken-official.jp/
原田勝弘氏のTwitter
https://twitter.com/harada_tekken
この『鉄拳』シリーズのプロデューサーを務める原田勝弘氏に、有機ELディスプレイを搭載した「New ALIENWARE 13」(2017年1月20日発売)を使って頂く機会を得た。原田氏はゲームクリエイターとして数々の名作を世に送り出してきたが、その一方で大のゲーム好きのプレイヤーであり、またPCに関しても見識が高い。その原田氏に「New ALIENWARE 13」はどんなPCなのかインタビューを行った。
前編では「New ALIENWAR 13」について、印象や使い心地について語っていただいた。
「New ALIENWARE 13」について
――「New ALIENWARE 13」を最初に見た印象を教えてください。原田氏:第一印象は良い意味で「小さいな」と思いました。僕は元々デスクトップPCユーザーなので、性能のためにはPCのサイズなんて良くも悪くも気にしません。性能のためには大きい筐体であっても構わないと思っています。ですので、普段僕は水冷ユニットを搭載した大型の自作PCを使っています。もちろん、CPUやグラフィックボードはハイエンドの物を搭載していますし、電源も1200Whクラス。水冷システムもCPUとGPUで別々のユニットで、更にそれぞれのポンプを外部の独立した電源で駆動させたりと、これでもかというほど色々なパーツをゴテゴテと設置・搭載し、消費電力は正直エコロジーとは程遠い仕様です。快適なゲーム環境という観点しかなかったので、PCの見かけとかスタイリッシュさには、普段は鈍感なんですよ。
そういう意味で言うと、「New ALIENWARE 13」はパッと見たときに、「ハイエンドノートPCなのに、なんてコンパクトなんだろう」と珍しくパッケージを開けて思いました。また印象的で斬新だったのが、液晶が開くヒンジの位置ですね。普通のノートのように2つに折れるタイプではなく、冷却ユニットを背にして液晶が立つような機構は凄く合理的です。
ノートPCというより、平たいPCの上に液晶タブレットが立っているようなデザインだと思いました。そして、ディスプレイ部分が凄く薄くて驚きました。
「New ALIENWARE 13」は液晶の背面部分に冷却ユニットが突起するようにデザインされている
僕が以前個人で買ったノートPCは、かなり古くてWindows 7の時代です。この頃は、ちょうど企業でも本格的にデスクトップPCからノートPCへ切り換えようというタイミングだったと記憶しています。それもあって、会社に高性能なゲームにも使えるハイエンドノートPCが何台か置いてあったり、僕個人でも検証用に複数のノートPCを持っていたりもしました。
その頃のハイエンドノートPCといえば、とにかく大きくて分厚くて、デザインが無骨だったなという印象でした。もちろん高性能なパーツを搭載していれば、廃熱の問題がありますし、それを考えれば当然なんですけどね。
――ALIENWARE自体のデザインの変化にも驚かれたということですか?
原田氏:僕自身のALIENWAREのイメージも凄く昔のモデルで止まっていたんだなと実感しました。ALIENWAREを初めて見たのはWindows XPより前の時代ですね。僕はPC洋ゲーマニアだったのと、元々海外出張が多く世界中駆けずり回っています。そんな中、北米のPCショップなどでよく見かけた昔のALIENWAREは、無骨で“大きい事は良いことだ”という古典的なアメリカの考えを地で行っている印象がありましたね。
小型化とかデザインよりもハイスペックに命を賭けている。ALIENWAREはそんなイメージでした。
しかし、この「New ALIENWARE 13」を見て、昔よりも一気にコンパクトでかつスタイリッシュになったもんだなあと思いました。もちろん、デザインとして一貫したALIENWAREとしてのDNAというか雰囲気、特に前面の斜めの筐体カットなんかは残ってるのですが、まず全体が薄くなってて、トレードマークのエイリアンのロゴが控えめになったりと、とにかく高級そうなデザインになりましたね。
――実際にPCとして操作してみた感触はどうでしょうか?
原田氏:僕はそもそも自分が使うキーボードにこだわりがあって、この7年ぐらいは「Key Tronic」製のキーごとにストロークが違うものを会社でも家でも使っています。ノートPCを使うときにも、基本的にこのキーボードを接続して使います。
だからノートPCのキーボードって、僕にとっては緊急事態用としか思っていなかったんですよ。なぜかというと、キーを押す度にパチャパチャと音がするあの感触が好きではなくて。
でも「New ALIENWARE 13」を使って良いと思ったのは、ストロークがちゃんとあるところです。キーストロークがしっかり感じれて、押している場所も分かるし指へのフィードバックもしっかりと伝わってくる。これは良いなと思いましたね。
この薄さのノートPCで、よくこのストロークを確保しているなと。他の機種のキーボードをそんなに触っていないですが、「New ALIENWARE 13」は明らかに異質なキータッチだと思いました。キートップにバックライトもちゃんと付いていますし、タッチパッドも触ると色が点灯します。
これは思わず人に見せたくなりますね。「これすごくない?色が変わるんだよ」って(笑)。この色に関しては、僕は青か白が好きですね。暖色系にもできますが、熱を持っていると錯覚するようで好きではなくて。
原田氏:まず応答速度から言うと、今の最新ビルドのPC版『鉄拳7』でテストしても応答速度は問題ないです。昔の有機ELは応答速度が遅いというのが欠点でしたが、この有機ELは格闘ゲームでも十分な応答速度ですね。
2010年以前までの液晶ディスプレイだと、画質向上エンジンやチップの影響なんかで下手すると5フレームも遅れてしまう製品さえありました。5フレームも遅れるとコンボなんか入らないですよ。なので、ディスプレイの応答速度は格闘ゲームにとってとても重要です。ですが、「New ALIENWARE 13」の有機ELディスプレイであればコンボとかも遅延なく技が決められます。
画質に関しては、ちょっと他人とは違う観点が頭に浮かびました。「このディスプレイは“危険”だ」と。どういうことかというと、普段一番見慣れているもので画質を比較しようと『鉄拳7』で画質を見たんです。今まで様々なディスプレイで画質を見てきていますが、有機ELで見たのは初めてでした。それで見たらまず最初に「ギョッ、これはイカン」と思いました。
なぜかって、開発中で映像が未調整な段階でも綺麗に見えすぎてしまうんです。映像全体がすごく艶っぽい。黒色の締まりが良くて、金属のスクラッチのあるような絵とか、きめの細かい明暗がしっかりした絵とか凄く綺麗に出るんですよ。本当の黒色が出ている感じです。液晶ディスプレイのように遮光して黒を作っていないので、白っちゃけていない。3Dのプリレンダリングだろうがリアルタイムだろうが、2DのUIだろうが関係なく全部綺麗に見えちゃうんですよ。
例えば、黒地に表示される『鉄拳7』のロゴは浮き上がって見えるんです。これを逆に現場のデザイナーとかに与えると、見た目が高画質なので「よしよし、これで良い」となってしまって、元素材をそれ以上作り込まなくなります。つまり早々に“大リーグボール養成ギプス”を外している状態になってしまいます。
『鉄拳7』のロゴ。有機ELで見ると浮き上がって見えると原田氏は語る
やっぱり素材を作っているとき、ゲーム開発中はギプスをつけていないと。外した瞬間に体が軽いと錯覚するのは、本来の実力とは違いますからね。なので、この有機ELディスプレイでプレビューする時は、全部ゲームの映像が出来上がったあとに“ご褒美”として見るものだ、と思いました。開発中にチェック用ディスプレイとして使用してはダメなディスプレイです。こんなのを検証に使用すると、絵の部分はどんなデバッカーでも高得点を付けてしまいます。
最近のディスプレイやテレビは、色やディテールに補正が掛かるようになっている機能を保有しているものが多いので、クリエイターが想定している映像よりも色が鮮やかに出ている場合もあります。例えば赤色などは補正エンジンのせいで本来の色の深みが消えて、鮮やかすぎるキツい発色をしてしまうケースがありますが、この有機ELは元色の良い発色を失わずに画質の全体にブーストが掛かるのが凄いですね。
『鉄拳』シリーズは特に黒と赤をイメージカラーとしてよく使うので、その分、この有機ELで色々な人に『鉄拳7』を見せると「鉄拳、凄く綺麗に仕上がりましたね」とか、「前に見たときよりも綺麗になりました」と言って貰えます。実はディスプレイが違うだけなんですけどね。
たまたまアメリカから出張してきていたPR担当に見せたら、「これはPRに使える!」と言っていました。イベントなんかではこの有機EL搭載のALIENWARE 13を並べて展示すればインパクトが大きいだろうなと。ただ、アメリカ人らしく「もっと大きいサイズはないのか?」とも言っていましたよ。
確かにもっと大きい17インチモデルとかにも有機ELが欲しいところです。あと、「New ALIENWARE 13」の最上位機種にしか有機ELが搭載されていないので、もっと下のモデルにも付けて欲しいですね。
これだけ綺麗だと、色々と試したくなってやってみたんですが、他のゲームも綺麗なのは案の定でしたが、普通の映画とかドラマを再生するだけでもとても良かったんですよ。僕は、アメリカのテレビドラマ『ブレイキング・バッド』が大好きなんですが、このドラマは映像の背景がもの凄く綺麗なドラマなんですよ。
砂漠や天気が移り変わる昼夜の空とか凄く綺麗に見せるんです。で、ただでさえ綺麗なのにこの有機ELで見たときには目を奪われましたね。1度見て内容を知っていても、映像だけでずっと見ていられるレベルです。新鮮な体験でしたね。
実際にゲームをプレイしてみて
――実際に様々なゲームをプレイされてみていかがでしたでしょうか?原田氏:一番最初にやってみたのは、VRゾンビシューター『Arizona Sunshine』です。これで処理能力を見ていたのですが、普通のノートPCだとVRなんで割と処理が重たい、フレームレートが安定しないことが多いですが、「New ALIENWARE 13」はかなり処理に余裕がありました。サクサクとか、そういうレベルではなくて「相当余っている」という感じです。
『Arizona Sunshine』は、比較的完成度の高いVRでフィールド内に遠景とかも写っていますが、これでかなり余裕のある処理でしたから、恐らく他のゲームでも大丈夫だと思います。他にも、Steamで配信されているゲームや「Google Earth」とかもやってみましたが、相当余っている感じでした。
現在、Steamで配信されているゲームは殆ど問題なく動くと思います。
Steamで配信されているVR用アクション『Arizona Sunshine』。遠景もしっかり描かれている http://store.steampowered.com/app/342180/
個人的にはFPSの『コール オブ デューティ』が好きなゲームのシリーズのひとつなので、最新作の『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』を試してみました。僕の家の自作PCは4Kモニターと「GeForce GTX TITAN X」をSLIの2枚刺しの環境でやっているので、「New ALIENWARE 13」のQHD 2560x1440ドットとは解像度が違うので純粋な比較ではないのですが、「New ALIENWARE 13」で自動最適化してプレイしてみると、ヌルヌルと動いたのでこれも驚きましたね。
しかし、「New ALIENWARE 13」で自動最適化してからプレイしてみると、同じシーンでヌルヌルと動いてくれました。
『コール オブ デューティ』シリーズは『コール オブ デューティ ゴースト』まではそんなに処理が重いゲームではなかったのです。3年間買い替えていないようなPCでも動いてくれました。しかし、ゴースト以降は必要なグラフィックの処理性能が急に上がりました。丁度これは、「PlayStation 4」と「Xbox One」が出たタイミングで、マルチプラットフォーム化に合わせ、ゲームのデベロッパーがPCもグラフィックの処理レベルを1段階あげたという状況があります。
ですので、その1段階処理が重い『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』でヌルヌルに動くということは、殆どのゲームのグラフィック処理をカバーできるということです。
「New ALIENWARE 13」がノートPCで、このヌルヌルなプレイ環境を実現できたこと、僕としては「出張先でFPSができる」ことなので嬉しいですね。
あと、僕が家で使っている1200Whの電源を搭載した自作PCと比べると、「New ALIENWARE 13」の方がゲームをプレイするコストパフォーマンスも格段に高いです。わずか76Whですから(笑)。
ちなみに、僕の家は新作ゲームが出た1〜2カ月は実際に電気代が上がるんです。普通の家庭は、夏や冬にクーラーや暖房で電気代が上がりますが、僕の家で一番電気代が上がるのは秋です。なぜって秋口に新作ゲームが出るからです。1200Whの電源を搭載したPCでゲームするってドライヤーをずっと回してるようなものですよ。
無論1200W電源も常にフル電力を使っているわけではありませんが、それでもノートPCに比べるとかなりの電力消費です。 いつも嫁は不思議がってます。「何故秋に電気代がこんなに上がるんだろう」って。これを考えると相当無駄なことをしていますよね。僕の家のPCはあんなにでかい筐体で水冷システムまで回しているのに、やっていることは「New ALIENWARE 13」にある程度収まるっていうのはちょっと納得いかないですよ(笑)。ノートPCの性能の向上は排熱問題と電力供給がネックって言われていたので、頭打ちすると昔はよく言われていました。その観点からするとよくここまできましたよね。10年前だと考えられない。
――長時間プレイでの安定性はどうでしょうか?
原田氏:5時間連続でプレイしてみましたが、プレイ時のラグなどは出ずとても安定していました。
他のノートPCは、温度が上がるといきなりシューッとファンが回り始めることがありますよね。これがあると、ラグが出てくるかなと身構えますが、そういうのは全くありませんでした。
確かに「New ALIENWARE 13」も連続でプレイしているとファンの回転数は上がってきますが、いきなり回転数を上げることはなくて、熱が常時ちゃんと排出されているんだなと思いました。
前編では、「New ALIENWAR 13」の印象や使い心地について話を伺った。後編ではVR用PCとしてのメリットや『鉄拳』シリーズへのこだわりについて語っていただく。
©CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED.
TEKKEN™ 7 & ©2017 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
■後編はこちらから
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ALIENWARE
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「Alienware 13 OLED VR」のページ
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バンダイナムコエンターテインメント
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『鉄拳7』
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原田勝弘氏のTwitter
https://twitter.com/harada_tekken
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