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<前編>10万円の低価格ゲーミングPC「ALIENWARE Alpha」はどこまで人気ゲームを攻めることができるか?

PCゲームはノートPCで楽しむという人が今や多数派だろう。場所をとらないので日本の家庭事情にもピッタリくる。だがデルが税別ほぼ10万円で販売している「ALIENWARE Alpha」のような省スペースデスクトップはいかがだろうか? 良く訓練されたゲーマーなら液晶ディスプレイとキーボード&マウスは自分で厳選したものを組み合わせる。こういう運用をするならノートPCよりデスクトップの方がコスパが高くなるのだ。

だが省スペースデスクトップはパフォーマンスが低い……と考える人もいることだろう。そこで今回は「ALIENWARE Alpha」のグラフィック性能を格段に強化する「Alienware Graphics Amplifier」も調達し、ゲームの快適度が「ALIENWARE Alpha」本体のみの状況からどこまで向上するかもチェックしてみた。

コンパクトなゲーミングデスクトップPC「New ALIENWARE Alpha プレミアム」(右)と、グラフィック強化用の外付けボックス「Alienware Graphics Amplifier」(左)。デル直販サイトにて前者は税別9万9980円、後者は税別2万9796円で販売中だ

超小型だが中身は濃厚なゲーミングPC

まず「ALIENWARE Alpha」本体から検分をはじめよう。基本スペックはCPUにインテル® Core™ i5-6400T プロセッサー、GPUにGeForce® GTX 960というミドルレンジの中でもコスパの良いものを組み合わせている。CPU/GPUともに最新世代ではなく1世代前のものが使われているが、軽めのゲームであれば問題ない。

しかもGeForce® GTX 960のVRAMは標準的な2GBでなく4GBに強化されているとか、SSDが超高速なNVMe接続のもの(サムスン「SM961」)を採用するなど、コストを意識しつつもあらゆる処理を快適にこなせるバランスの良いハードウェア構成になっている点は強調しておきたい。

フットプリントは20cm四方、高さは5.5cmとゲーミングデスクトップにしては極めて小さい。DVDのトールケースと比べてみてもその小ささが分かる

電源は180W出力のACアダプタから供給する。本体と比較すると結構大きいが、アダプタの部分だけ机の下などに置けば、スッキリと設置できそうだ

フロントには2基のUSB3.0ポートと電源ボタンを配置。電源ボタンとコーナーの一部は電源投入時にライトアップされる

電源ボタンなどの発光パターンや発光色はプリインストールされている「Command Center」で細かく設定できる。ちなみに、このツールで「Alienware Graphics Amplifier」に仕込まれているLEDもまとめて制御可能だ

背面には有線LANや「Alienware Graphics Amplifier」専用コネクタのほかに、HDMI出力と入力端子を装備。HDMI入力端子に別のゲーム機等を接続すれば、「ALIENWARE Alpha」をパススルーして液晶に表示できるという機能。残念ながらHDMI信号をキャプチャできる機能は搭載されていない

外部HDMI入力を使う時は、「Command Center」を起動するか、専用のホットキー(Ctrl+Shift+H)を押す。ただし「ALIENWARE Alpha」自体がオンになっていないと利用できないため、HDMI切替機を使った方が気楽に使える

底面は一見何もなさそうに見えるが、3辺で囲むように吸気用のスリットが設けられている点に注目。しっかり冷却面も考えられているのだ

底面にあるハッチを解放すると、そこにはUSBポートが1つ。無線LANやワイヤレスキーボード等のレシーバーを入れておくとよいだろう

キーボードとマウスも同梱されるが、付属品だけに動作確認またはメインが壊れた時用と割り切るべきだろう。ゲームを遊び込むなら、別途自分の手にあったものを厳選すべきだ

「HWiNFO64」で「ALIENWARE Alpha」に搭載されているCPUとGPUの情報をチェック。CPUは発熱量の少ない(TDP35W)インテル® Core™ i5-6400T プロセッサー、GPUは軽めのゲームに適したGeForce® GTX 960だが、VRAMが4GB版であるという点に注目したい。さらにSSDもNVMeの高速タイプが採用されている

「Alienware Graphics Amplifier」合体でグラフィック性能を強化!

今回「ALIENWARE Alpha」本体の他にテストした「Alienware Graphics Amplifier」とは、ALIENWAREブランドのノートPCおよび「ALIENWARE Alpha」に接続することでグラフィック描画機能を強化できる究極のオプションパーツだ。「ALIENWARE Alpha」に内蔵されているGeForce® GTX 960では処理が間に合わない高画質設定でゲームを楽しみたい場合、「Alienware Graphics Amplifier」にさらに高性能なビデオカードを追加することで可能となるだろう。

ただし、「Alienware Graphics Amplifier」は単なる“箱”なので、別途PCパーツショップなどで売っている“ビデオカード”が必要だ。消費電力375Wかつ2スロット厚の空冷モデルならば格納できるため、現行製品なら大部分の製品を組み込むことが可能だ。物理的な要件を満たしていればGeForce®でもRadeon™でも構わないが、ドライバーの共通化という意味ではGeForce®の方が楽だろう。

また、「ALIENWARE Alpha」本体と追加したビデオカードは本来PCI-Express x16で結ばれるものをx4で接続されるため、若干性能は割り引かれる点に注意したい。「ALIENWARE Alpha」に内蔵されているGeForce® GTX 960から着実にパワーアップを感じたいなら、GeForce® GTX 1070以上のGPUを搭載したビデオカードが良いだろう。GeForce® GTX 1060だと性能はやや増、GeForce® GTX 1050Tiより下だと手間の分だけマイナスになる可能性が大だ。

ビデオカードを外付けボックス化する。他社からも同様のコンセプトのボックスが出ているが、「Alienware Graphics Amplifier」はALIENWAREシリーズ専用のオプションだ

背面には専用の電源ユニット(460W)のほか、USB3.0ポートも4基備える。普段使わないUSBデバイスをここに接続し、合体した時だけ使う、みたいな運用も可能なのだ

「Alienware Graphics Amplifier」は図のように展開してからビデオカードを組み込む。フロントパネルの裏に吸気用のファンが付いている。ビデオカードは2スロット厚以下でないとフタが閉まらなくなる

今回はELSA製のGeForce® GTX 1080搭載カード「ELSA GeForce® GTX 1080 8GB S.A.C」を組み込んでみた。「ALIENWARE Alpha」内蔵のGeForce® GTX 960に比べると格段のパワーアップが期待できる。消費電力も少なめなので電力的には全く心配はない

ビデオカード側に補助電源コネクタを装着するのを忘れずに。「Alienware Graphics Amplifier」は8ピンの補助電源コネクタを2系統備えているので、最速の「TITAN Xp」でも問題なく装着可能だ(コスパ的に見合うかどうかは別として)

「Alienware Graphics Amplifier」を利用する手順はちょっと慣れが必要だ。まず「ALIENWARE Alpha」本体にディスプレイを接続した状態でビデオカード格納済みの「Alienware Graphics Amplifier」を接続。認識されたら一度再起動してディスプレイのケーブルを「Alienware Graphics Amplifier」側に接続しなおす。「Alienware Graphics Amplifier」を使用している間は「ALIENWARE Alpha」本体のHDMI出力は使用不可能になるためだ。外す時は「Alienware Graphics Amplifier」用ケーブルの根元にあるボタンを押せば、必要な作業が自動的に実行される。

初めて「ALIENWARE Alpha」本体と「Alienware Graphics Amplifier」を接続する時は、液晶は「ALIENWARE Alpha」本体に直接繋ぐ。そうすると図のようなメッセージが出るので、慌てずシャットダウン。再起動するよりシャットダウンの方が落ち着いて作業ができる

シャットダウンしたら液晶と「Alienware Graphics Amplifier」を直結するように変更し、「ALIENWARE Alpha」本体には液晶を接続しないようにしてから再起動すると、「Alienware Graphics Amplifier」に内蔵したビデオカード側から出力されるようになる

「ALIENWARE Alpha」本体のみ(上)と「Alienware Graphics Amplifier」に接続した後(下)のデバイスマネージャを比べてみた。「Alienware Graphics Amplifier」を接続すると本体内蔵のGeForce® GTX 960はシステム上から存在しないことになり、完全に外付けビデオカードに置換されるのだ

今回のテストでは、「Alienware Graphics Amplifier」に4K液晶を接続すると、フルHDの上は1920×1440→2048×1536→4Kというやや変則的な刻み(WQHDが選べない)になった。ただこれはGPUドライバーの不具合という可能性もある

「HWiNFO64」で「Alienware Graphics Amplifier」に内蔵した「ELSA GeForce® GTX 1080 8GB S.A.C」の情報を拾ってみた。“Video Bus”の部分は、本来8Gbpsで接続するものを2.5Gbpsで接続していることを示している。これはPC本体に内蔵する時よりも若干性能が割り引かれていることを示している

基本性能をチェック

それでは「ALIENWARE Alpha」の基本性能からチェックしていこう。今回は「Alienware Graphics Amplifier」&GeForce® GTX 1080を組み合わせた場合のパフォーマンスも比較したいところだが、まずはPCとして「ALIENWARE Alpha」がどの程度のものなのかをチェックし、その上で「Alienware Graphics Amplifier」によるグラフィック性能のブースト効果をチェックしてみたい。

まずはCPUの馬力をみる「CINEBENCH R15」と、内蔵SSDの読み書き性能をチェックする「CrystalDiskMark」の結果をご覧頂きたい。これらの性能は「Alienware Graphics Amplifier」の有無とあまり関係がない部分だ。

「CINEBENCH R15」のスコア。4コア4スレッドでクロックが控えめなので、スコアもそれなり、といった印象

「CrystalDiskMark」によるSSDの読み書き性能。CPUは凡庸な印象だが、SSDのパフォーマンスは現時点で最速クラス。Cドライブの容量が230GB弱とやや少なめだが、大物ゲームを複数入れなければ問題ない

今回テストした「ALIENWARE Alpha」のCPUは、発熱を抑えるためにクロックを抑えたものを搭載している。CPU負荷の極端に高いゲーム(『Watch Dogs 2』など)ではパワーが厳しいが、CPU負荷が軽めのゲーム(『オーバーウォッチ』など)では十分な性能を確保できる。「ALIENWARE Alpha」を使いこなすにはCPU負荷の低いゲームを中心に攻める、あるいはCPU負荷の高い設定を下げるといったことが必要になる。

それではグラフィック性能を見るために「3DMark」の“Fire Strike”および“Time Spy”のスコアを比較しよう。ここでは本体のみの状態から「Alienware Graphics Amplifier」&GeForce® GTX 1080(表内:“GA&GTX 1080”と表記)を装着するとどれだけ伸びるかチェックしてみたい。

「3DMark」のスコア

CPUが4コア4スレッド、低クロック版のインテル® Core™ i5-6400T プロセッサーなのでスコアは全体に控えめ。だが「ALIENWARE Alpha」本体のみの状態でFire Stikeが9000ポイント台なら、フルHDでも画質を欲張らないなら現行ゲームでも十分に楽しめるパフォーマンスであることを示している。

これに「Alienware Graphics Amplifier」&GeForce® GTX 1080を追加するとスコアは伸びるのは当たり前だが、伸び率はFire Strikeが3割弱、Time Spyが5割弱。軽いテストでは伸びないということは、「Alienware Graphics Amplifier」の帯域がボトルネックになっていることが窺える。ただ、より負荷の重いTime Spyではスコアの伸びが良い点を考えると、「Alienware Graphics Amplifier」は「ALIENWARE Alpha」本体だけでは厳しい重量級ゲームに挑むための装備である、ということが裏付けられたのではなかろうか。

いかがだったろうか。前編では、「ALIENWARE Alpha」の基本的なスペックについてお伝えした。後編では実際に「ALIENWAR Alpha」でゲームをプレイし、レビューをしていく。

■後編はこちらから
<後編>10万円の低価格ゲーミングPC「ALIENWARE Alpha」はどこまで人気ゲームを攻めることができるか?

■関連リンク
デル株式会社
http://www.dell.co.jp/
「ALIENWARE」のページ
http://alienware.jp/
「ALIENWARE Alpha」のページ
http://www.dell.com/jp/p/alienware-alpha-r2-desktop/pd?ref=PD_OC
「ELSA GeForce® GTX 1080 8GB S.A.C」のページ
http://www.elsa-jp.co.jp/products/products-top/graphicsboard/geforce/ultra_high_end/geforce_gtx1080_8gb_sac

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