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日本のゲームがトンデモ価格に!? 2月21日〜22日開催の「ビデオゲーム・シグネチャー・オークション」の出品アイテムを楽しもう
目次
ヘリテージ・オークションズは、現地時間の2025年2月21日〜22日に「ビデオゲーム・シグネチャー・オークション」を開催する。
すでに同社のサイトでも出品予定のゲームがリストアップされており、多くは海外版のNES(日本のファミリーコンピュータ)やSEGA GENESIS(日本のメガドライブ)などだが、日本発のゲームが多数出品されている。
ダウンロード販売が当たり前となり多くのゲームが復刻されているものの、遊べるハードウェアがない、あるいは希少なレトロゲームも増えてきている。
ビデオゲームが誕生してまだわずか50〜60年ほど。何がそこまでレトロゲームマニアを惹きつけるのか、オークションアイテムを見ながら、ビデオゲーム文化を考えてみたい。
ヘリテージ・オークションズは、今回のオークションにあたって、目玉商品をいくつか取り上げて紹介している。まずはそれらを見てみよう。
最初は、ウルトラ64(日本名:ニンテンドー64)のプロトタイプコントローラーだ。世代にもよるだろうが、「え? これがレアもの?」と驚かれる方も多いのではないだろうか。
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1990年代半ばに任天堂が開発したこのプロトタイプは、ゲーム界の伝説的コレクターであるザック・ギーグ氏のコレクションからの出品。ギーク氏によれば「現存するものは2~3個しかなく、非常に希少な一品である」とのこと。ヘリテージ・オークションズ ビデオゲーム部門マネージングディレクター、ヴァラリー・スピーゲル氏も「開発初期に作られたため、実際に販売されたものとは配色が異なり、ロゴがまだ刻印されていない貴重なモデルです。任天堂の歴史における重要な転換点を示すこのコントローラーは、3Dゲームの進化の過程を感じさせてくれます。」と述べている。
今もそれほど古臭く感じないが、市場に出回らないレアなコントローラーとしての価値が高いようだ。
続いては、日本ではあまり普及しなかったが、1970年代〜80年代のアメリカを席巻していたAtariのゲーム機だ。「アタリビデオシステムX 試作機」は、製品版とは異なり、カートリッジスロットが中央パネルの下に配置されている。
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これは「アタリVCS」(Atari 2600) の後継機(後のAtari 5200)として開発されたもので、ギーグ氏は、「旧式のものだが、こうした試行錯誤がなければ、今のNintendo Switchのようなシステムにはたどり着けなかった」とコメントしている。
当時のゲーム機は、ファミコンのように十字キー+ボタンといった操作方法がまだ確立されていなかった時代。ジョイスティックやパドルコントローラーなど、ゲームに合わせた入力装置も多数あった、歴史を語る上で貴重な資料とも言える。
お次は、初代PlayStation本体だ。ミニチュアサイズのPlayStation miniが発売されたり、2024年末にPS5のアップデートで初代の起動画面が復刻されたりと、若い世代でも意外と馴染みはあるかもしれない。
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1994年12月3日に日本で発売された「PlayStation SCPH-1000」は、ソニーによってデザインされた初の家庭用ゲーム機。CD-ROMの採用により、3Dゲームの発展を促し、ゲーム業界に革命をもたらしたとされる。
この商品はVGAによって鑑定され、同社の2025年1月時点の調査では唯一の登録品。特別な理由は、未使用のまま、オリジナルのパッケージに完全な状態で保存されているという点だ。
稼働品として探せば、いまも中古ショップに色褪せたモデルは転がっているかもしれない。しかしこうした保存状態のいいものとなると、初代プレステもいまや貴重な存在になっている。
個人的には、大学時代にこれで遊んだ『キャッスルヴァニア』『グランツーリスモ』『ビートマニア』などを思い出す。多彩なメーカーが参加し、のちのシリーズにつながるゲームの数々が誕生した時代でもあった。
続いては、日本のゲームマニアにとってもレアだとすぐにわかるもの。というか、これが海外のオークションで価値を持つということにもやや驚きがある。
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1998年に小学館のマンガ雑誌「コロコロコミック」のコンテスト向けに作られた「ゲームボーイカラー」は、「ポケモンピンボール」の得点コンテストで入賞した上位20名だけに贈られた特別仕様のモデル。付属品には、マニュアル、メッセージカード、さらに「ポケモンピンボール・マスター認定証」が含まれ、認定証は「第15位」だという。
当然、当時の当選者の手から巡り巡ってオークションまで流れてきたものとなる。残りの19台は果たして今も押入れの奥に眠っているのか、はたまた故障したり壊れたりして廃棄されてしまったのか。想像を巡らすのも面白い。
ハードだけでなくソフトの出品も多数ある。「Streets of Rage」は日本名『ベア・ナックル』。セガのベルトスクロールアクションとして海外を中心に人気を博した。
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このシリーズは、セガ・ジェネシスを代表するタイトルの一つとして広く知られており、日本よりも世界で人気があった。この品はWataの2024年8月時点の調査で、鑑定を受けた3本のうち最高グレードの1点であり、ヘリテージで未開封の品が出品されるのは今回が初めてだという。
遊びたいゲームを購入して開封していないという理由は、子どもとして当時を過ごした人にはわからないが、売れ残りがゲームショップの倉庫で眠っていたとか、コレクターとして狙いを定めていたなど、さまざまないきさつがあるのだろう。そういった裏話も聞けたりするとより面白いのだが。
ソフト部門からもうひとつ、日本でもおなじみの『スーパーマリオブラザーズ3』だ。こちらは海外NES用のため、パッケージもカートリッジ形状も日本とは異なる。
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しかも、初期生産版の「スーパーマリオブラザーズ3 “左側Bros.”バージョン」ということで、パッケージでは、「Bros.」の文字がマリオの右手の上、左側に配置されているが、後にデザインを考慮し右側へ移動されたという。そのため、初期の「左側Bros.」バージョンは特にレアな一品で、Wataのリストでもわずか17本しか確認されていない。
今回の「ヘリテージ・オークション」には日本からもオンラインで参加可能で、上記以外の出品アイテムの詳細も確認できる。
たとえば、2025年2月18日時点の高額アイテムとしては、ゲームボーイカラー版『ポケットモンスター クリスタル』のミスプリント版が2万1000ドル、NES版『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品が1万9500ドル、といった出品が確認できる。未開封と一言で言っても、海外NESパッケージにあった棚にかけるためのタブ(ハングタブ)や丸いマーク(オーバルSOQ)があるものなど、日本とは異なる販売形態ゆえに「未開封」の定義もさまざまでかなり難しい判断がされている。
さらに見ていくと、PS版『ファイナルファンタジーVII』の裏面にオリジナル文章が書かれていた初期バージョン(4900ドル)、Xbox Oneのディスク版『フォートナイト』(3000ドル)などの希少な品や、日本からもGBA日本語版『ポケットモンスター エメラルド』(1200ドル)などが見つかった。
いずれのゲームも希少価値があることはもちろんだが、当然人気がなければ価値は上がらない。その意味では、オークションの上位アイテムが日本のゲームで埋め尽くされていることは誇らしくも思える。
最近は円安の影響で海外からの観光客も多く、日本のファミコンカートリッジを買い求めるファンも多い。中には、「レトロゲームが海外流出」と残念に思うファンもいるかもしれないが、ゲームを愛する人の元で保管してもらえる方がいい部分もあるだろう。
世界ではダウンロード販売が主流となり、今後はクラウドゲーミングも普及していくだろう。そんな中で、おこづかいを握りしめてパッケージソフトを購入しに行く経験と価値は、今でも失われてはいない。
また、いち早く価値を確立させた海外に対して、日本からもしっかりコンテンツの価値を維持し続ける努力も必要だ。さらなる日本のゲーム市場の活性化、レトロゲームの復権を切に願いたい。
ちなみに、ヘリテージ・オークションズは、2024年に東京オフィスを開設しており、オークション参加、出品、査定、輸送手配などについて、日本語でのサポートを提供しているとのこと。レトロゲームファンも、幼少期のゲーム体験を友達と懐かしみたい人も、話題のひとつとして眺めてみてはいかがだろうか?
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ビデオゲーム・シグネチャー・オークション
https://ha.com/7411
ヘリテージ・コレクション ウェブサイト
https://www.ha.com/tokyo
すでに同社のサイトでも出品予定のゲームがリストアップされており、多くは海外版のNES(日本のファミリーコンピュータ)やSEGA GENESIS(日本のメガドライブ)などだが、日本発のゲームが多数出品されている。
ダウンロード販売が当たり前となり多くのゲームが復刻されているものの、遊べるハードウェアがない、あるいは希少なレトロゲームも増えてきている。
ビデオゲームが誕生してまだわずか50〜60年ほど。何がそこまでレトロゲームマニアを惹きつけるのか、オークションアイテムを見ながら、ビデオゲーム文化を考えてみたい。
初代PlayStationもすでにレアもの!?
ヘリテージ・オークションズは、今回のオークションにあたって、目玉商品をいくつか取り上げて紹介している。まずはそれらを見てみよう。
任天堂ウルトラ64 プロトタイプコントローラ (1995年)
最初は、ウルトラ64(日本名:ニンテンドー64)のプロトタイプコントローラーだ。世代にもよるだろうが、「え? これがレアもの?」と驚かれる方も多いのではないだろうか。
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1990年代半ばに任天堂が開発したこのプロトタイプは、ゲーム界の伝説的コレクターであるザック・ギーグ氏のコレクションからの出品。ギーク氏によれば「現存するものは2~3個しかなく、非常に希少な一品である」とのこと。ヘリテージ・オークションズ ビデオゲーム部門マネージングディレクター、ヴァラリー・スピーゲル氏も「開発初期に作られたため、実際に販売されたものとは配色が異なり、ロゴがまだ刻印されていない貴重なモデルです。任天堂の歴史における重要な転換点を示すこのコントローラーは、3Dゲームの進化の過程を感じさせてくれます。」と述べている。
今もそれほど古臭く感じないが、市場に出回らないレアなコントローラーとしての価値が高いようだ。
アタリビデオシステムX 試作機 (1982年)
続いては、日本ではあまり普及しなかったが、1970年代〜80年代のアメリカを席巻していたAtariのゲーム機だ。「アタリビデオシステムX 試作機」は、製品版とは異なり、カートリッジスロットが中央パネルの下に配置されている。
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これは「アタリVCS」(Atari 2600) の後継機(後のAtari 5200)として開発されたもので、ギーグ氏は、「旧式のものだが、こうした試行錯誤がなければ、今のNintendo Switchのようなシステムにはたどり着けなかった」とコメントしている。
当時のゲーム機は、ファミコンのように十字キー+ボタンといった操作方法がまだ確立されていなかった時代。ジョイスティックやパドルコントローラーなど、ゲームに合わせた入力装置も多数あった、歴史を語る上で貴重な資料とも言える。
PlayStation 本体 SCPH-1000 (1994年)
お次は、初代PlayStation本体だ。ミニチュアサイズのPlayStation miniが発売されたり、2024年末にPS5のアップデートで初代の起動画面が復刻されたりと、若い世代でも意外と馴染みはあるかもしれない。
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1994年12月3日に日本で発売された「PlayStation SCPH-1000」は、ソニーによってデザインされた初の家庭用ゲーム機。CD-ROMの採用により、3Dゲームの発展を促し、ゲーム業界に革命をもたらしたとされる。
この商品はVGAによって鑑定され、同社の2025年1月時点の調査では唯一の登録品。特別な理由は、未使用のまま、オリジナルのパッケージに完全な状態で保存されているという点だ。
稼働品として探せば、いまも中古ショップに色褪せたモデルは転がっているかもしれない。しかしこうした保存状態のいいものとなると、初代プレステもいまや貴重な存在になっている。
個人的には、大学時代にこれで遊んだ『キャッスルヴァニア』『グランツーリスモ』『ビートマニア』などを思い出す。多彩なメーカーが参加し、のちのシリーズにつながるゲームの数々が誕生した時代でもあった。
コロコロコミック限定 ゲームボーイカラー (1998年)
続いては、日本のゲームマニアにとってもレアだとすぐにわかるもの。というか、これが海外のオークションで価値を持つということにもやや驚きがある。
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1998年に小学館のマンガ雑誌「コロコロコミック」のコンテスト向けに作られた「ゲームボーイカラー」は、「ポケモンピンボール」の得点コンテストで入賞した上位20名だけに贈られた特別仕様のモデル。付属品には、マニュアル、メッセージカード、さらに「ポケモンピンボール・マスター認定証」が含まれ、認定証は「第15位」だという。
当然、当時の当選者の手から巡り巡ってオークションまで流れてきたものとなる。残りの19台は果たして今も押入れの奥に眠っているのか、はたまた故障したり壊れたりして廃棄されてしまったのか。想像を巡らすのも面白い。
Streets of Rage (1991年)
ハードだけでなくソフトの出品も多数ある。「Streets of Rage」は日本名『ベア・ナックル』。セガのベルトスクロールアクションとして海外を中心に人気を博した。
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このシリーズは、セガ・ジェネシスを代表するタイトルの一つとして広く知られており、日本よりも世界で人気があった。この品はWataの2024年8月時点の調査で、鑑定を受けた3本のうち最高グレードの1点であり、ヘリテージで未開封の品が出品されるのは今回が初めてだという。
遊びたいゲームを購入して開封していないという理由は、子どもとして当時を過ごした人にはわからないが、売れ残りがゲームショップの倉庫で眠っていたとか、コレクターとして狙いを定めていたなど、さまざまないきさつがあるのだろう。そういった裏話も聞けたりするとより面白いのだが。
Super Mario Bros. 3 (1898年)
ソフト部門からもうひとつ、日本でもおなじみの『スーパーマリオブラザーズ3』だ。こちらは海外NES用のため、パッケージもカートリッジ形状も日本とは異なる。
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しかも、初期生産版の「スーパーマリオブラザーズ3 “左側Bros.”バージョン」ということで、パッケージでは、「Bros.」の文字がマリオの右手の上、左側に配置されているが、後にデザインを考慮し右側へ移動されたという。そのため、初期の「左側Bros.」バージョンは特にレアな一品で、Wataのリストでもわずか17本しか確認されていない。
日本発のゲームも多数出品中
今回の「ヘリテージ・オークション」には日本からもオンラインで参加可能で、上記以外の出品アイテムの詳細も確認できる。
たとえば、2025年2月18日時点の高額アイテムとしては、ゲームボーイカラー版『ポケットモンスター クリスタル』のミスプリント版が2万1000ドル、NES版『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品が1万9500ドル、といった出品が確認できる。未開封と一言で言っても、海外NESパッケージにあった棚にかけるためのタブ(ハングタブ)や丸いマーク(オーバルSOQ)があるものなど、日本とは異なる販売形態ゆえに「未開封」の定義もさまざまでかなり難しい判断がされている。
さらに見ていくと、PS版『ファイナルファンタジーVII』の裏面にオリジナル文章が書かれていた初期バージョン(4900ドル)、Xbox Oneのディスク版『フォートナイト』(3000ドル)などの希少な品や、日本からもGBA日本語版『ポケットモンスター エメラルド』(1200ドル)などが見つかった。
日本のレトロゲームに光を
いずれのゲームも希少価値があることはもちろんだが、当然人気がなければ価値は上がらない。その意味では、オークションの上位アイテムが日本のゲームで埋め尽くされていることは誇らしくも思える。
最近は円安の影響で海外からの観光客も多く、日本のファミコンカートリッジを買い求めるファンも多い。中には、「レトロゲームが海外流出」と残念に思うファンもいるかもしれないが、ゲームを愛する人の元で保管してもらえる方がいい部分もあるだろう。
世界ではダウンロード販売が主流となり、今後はクラウドゲーミングも普及していくだろう。そんな中で、おこづかいを握りしめてパッケージソフトを購入しに行く経験と価値は、今でも失われてはいない。
また、いち早く価値を確立させた海外に対して、日本からもしっかりコンテンツの価値を維持し続ける努力も必要だ。さらなる日本のゲーム市場の活性化、レトロゲームの復権を切に願いたい。
ちなみに、ヘリテージ・オークションズは、2024年に東京オフィスを開設しており、オークション参加、出品、査定、輸送手配などについて、日本語でのサポートを提供しているとのこと。レトロゲームファンも、幼少期のゲーム体験を友達と懐かしみたい人も、話題のひとつとして眺めてみてはいかがだろうか?
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ビデオゲーム・シグネチャー・オークション
https://ha.com/7411
ヘリテージ・コレクション ウェブサイト
https://www.ha.com/tokyo
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