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<後編>有機ELの画質とGTX 1060のパワーに圧倒される「New Alienware 13 OLED VR」を試す
ノートPCでPCゲームを全力で楽しみたい!という人なら、デル「Alienware 15」のようにデスクトップ機並の性能を持った大型ゲーミングノートPCがオススメだが、持ち運びしやすい軽めのものがよいとなると、製品選びはぐっと難しくなる。そこで、今回は一番の注目株は2017年1月に発売されたばかりの「New Alienware 13」を紹介。
この「New Alienware 13 OLED VR」は重さ約2.6kgのボディに13インチ液晶とNVIDIA® GeForce®系のモバイルGPUを組み合わせた製品。最小構成(NVIDIA® GeForce® GTX 1050、1366×768ドットTN液晶など)なら13万9980円で購入できるお得なモデルもあるが、今回注目したいのはそれではない。ゲーミングノートPCとしては世界で初めて“有機ELパネル”を採用し、さらにスペック面でも「第 7 世代 インテル® Core™ i7 プロセッサー」と「NVIDIA® GeForce® GTX 1060」の組み合わせでVRゲームもターゲットにした究極の13インチゲーミングノートPCなのだ。今回はこの「New Alienware 13 OLED VR」をレビューしてみたい。
前編では基本的なスペックをお伝えした。つづく後編では、いよいよゲームプレイ中の使用感についてまとめた。
ベンチマーク
そろそろ「New Alienware 13 OLED VR」のパフォーマンスについて検証しよう。まずは定番「3DMark」のスコアからチェックしよう。DirectX11&フルHD環境での性能をみる“Fire Strike”のスコア
DirectX12&WQHD環境での性能をみる“Time Spy”のスコア
GPUがGTX 1060なせいかFire Strikeのスコアは1万ポイントを切ったが、13.3インチ液晶を搭載したノートPCでこのスコアは十分驚くに値する。さらに本機は“VR Ready”を謳う製品なので「VRMark」の“Orange Room”テストも実施してみた。
現行VRシステムを想定した“Orange Room”のスコア
VRMarkのスコアだけではVR可能か否かピンと来ないかもしれないが、このテスト中の平均フレームレートは125.76fps。これは現行VRシステムが要求する性能(90fps)より十分に余裕があることを示している。現実のゲームでの性能は別だが、基本性能が十分高いことはおわかりいただけたろう。
次にノートPCでも楽しめるゲームとして『ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド(FF14)』、および『ファンタシースターオンライン2(PSO2)』の公式ベンチマークをそれぞれ実施してみた。これ以降のテストは基本的に最高画質(あるいはそれに近いもの)、解像度はフルHD&WQHDの2通りで検証している。また、スクリーンショット左上にある数値は「Fraps」によるフレームレートだ。
『ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド』公式ベンチマークの結果(上:フルHD、下:WQHD。以下同様)。フルHDなら“非常に快適”、WQHDなら“とても快適”評価を獲得
フルHDだとおおむね60〜90fpsをウロウロといった感じだが、エフェクトが飛び交う戦闘シーンだと一瞬40fps台に落ち込むことがある
『FF14』ならば画質を一番上に上げても十分快適だが、時々フレームレートがカクッと落ち込むことがある。だが画質を下げればこの落ち込みが消えるかというとそうでもない。発熱の関係でパフォーマンスを調整しているような感じだ。ただこの小ささでここまでの画質で滑らかに動くのは正直凄い。
『PSO2』の公式ベンチマーク(CCEP4)でも“快適に動作する”という判定
『PSO2』のベンチは『FF14』よりも軽やかに動作。重いシーンで90fps台、大きめの敵が出てきても100fpsは軽く超えてくる(フルHD時)
ゲーマーとしてはWQHDで遊びたくなるところだが、WQHDの高画質設定だとオブジェクトや特殊効果が一気に出現する時に息切れするシーンが出てくる印象。『PSO2』クラスの軽いゲームなら問題はないが、PCゲームはフルHDで遊ぶのが良い印象だ。
次にe-sports系FPSの顔といってよい『オーバーウォッチ』のパフォーマンスもチェックしてみよう。画質は一番高い“エピック”を選択し、“レンダー・スケール”を100%に固定。マップ“King's Row”におけるカスタムマッチをプレイ中のフレームレートを「Fraps」で測定した。
『オーバーウォッチ』のフレームレート
フルHD(上)とWQHD(下)での重かったシーン。複数のキャラがいてスキルエフェクトが飛び交うシーンでは一瞬重くなる
エピック画質で遊ぶならフルHDでもWQHDでも良い感じだが、エフェクトがドッと画面上に出る時に一瞬だけ重くなる。WQHDでも平均ほぼ60fpsなのでプレイ自体に問題はないが、安定感を重視するならフルHDがオススメだ。
続いてはリアル系FPSの人気作『バトルフィールド1』でもテストしてみた。シングルプレイ用のキャンペーン“O LA VITTORIA”の最初の部分を遊んだ時のフレームレートを「Fraps」で計測した。
『バトルフィールド1』のフレームレート
多量の煙+モーションブラーなどの特殊効果が重なりまくってもフルHD(上)なら55fps程度。WQHD(下)だとさらに10fps程度落ちる印象
まずグラフの数値を見ると、最高画質プレイなら平均60fps出せるフルHDが好適、ということがわかる。WQHDでもプレイは可能だが平均44fpsは素早い視線移動時のカクつきが気になるだろう。また最低fpsが20fps台と低い点だが、これは『FF14』で時々フレームレートが落ち込むことが見られたのと似ている。ただテストに使ったシングルプレイ用ステージでチェックした限りでは、戦闘中に落ち込みが発生して困るということはなく、むしろデータが読み込み追えた直後に発生していたので、実際に困ることは(テストした範囲では)なかった。
『バトルフィールド1』で一番重くなったシーンは、ステージ開始して10秒も経たないこの場面だった
昨年のヒット作もフルHDなら最高画質で快適にプレイできることがわかったところで、2017年にリリースされた話題作のパフォーマンスも見てみたい。
まずは『バイオハザード7 レジデント イービル』を試してみた。テストはゲーム開始直後に入る館のフロアを移動する際のフレームレートを「Fraps」で測定した
『バイオハザード7 レジデント イービル』のフレームレート
台所のシーンのように複雑な光源処理が重いようだ。このシーンに入るとフレームレートがスッと落ちるが、フルHDなら60fpsを割ることはなかった
このゲームも『バトルフィールド1』と同様に最高画質設定ならフルHDで遊ぶのが好適のようだが、このゲームではフレームレートが一気に落ち込む現象は出なかった。CPU負荷の高低が関係しているのかもしれないが、最新話題作が最高画質で遊べるというのは素晴らしい。「New Alienware 13 OLED VR」の有機ELパネルはHDRに対応済みとは謳われていないが、ゲーム側でHDRを有効にすると、画面はやや暗めになるが有機ELの得意とする黒の深さがより引き立てられ、さらに怖い感じになる。ぜひお試しあれ。
そしてもうひとつ、本稿の締め切り直前にリリースされた『For Honor』も試してみたい。これでもかと描き込まれたグラフィックはもちろんだが、敵と味方の集団がぶつかり合うシーンは圧巻。ゲーム内蔵のベンチマーク機能でフレームレートを測定してみた。
ちなみにこのゲーム、フルHDのフルスクリーンモードでは上手く起動できなかった(ウインドウモードになる)ため、一度デスクトップの解像度をフルHDに落としてから“ボーダーレスウインドウ”モードで起動している(今後ドライバ等で修正されるかもしれない)。
『For Honor』のフレームレート
ベンチマークシーケンスで一番重いのは目の前に火の玉が落ちてくるシーンだが、もうひとつ、敵味方の集団の上を通過するシーンも負けず劣らず重い。フルHD(上)だと惜しくも60fpsを少し割り込む。WQHD(下)だと30fps台に
このゲームのマルチプレイでは、30fpsを下回る状況になるとゲームから追い出される可能性が示されているため、画質を追い求め過ぎるのはよくない。ただひとつ言えるのは、フルHDなら最高画質でも十分快適に遊べるということだ。
しかしフルHDでも60fpsをキープするにはどうすれば……ということで少々試してみたが特に負荷が高い「スーパーサンプリングアンチエイリアス」「ダイナミックリフレクション」は確実に除外。画質“高”ベースに「テクスチャフィルタリング」を“異方性x16”にするのがよいようだ。
「New Alienware 13 OLED VR」における『For Honor』のオススメ設定
プリセットで一番重い“超高”設定(上)とオススメ設定(下)の比較。左下部分の草むらや塞がれた窓の弱い影など、パッと見て分かりにくい差だが、フレームレートは17fpsも違う
13.3インチノートPCでVR Readyも売りのひとつなので「HTC Vive」を使ってVRゲームでのパフォーマンスも検証してみたい。現状のVRゲーム(特にVive)ではいかに90fpsに張り付けるかが重要になる。フレームレートの落ち込みがVRでも発生するかが見どころだ。
今回はVRゲーム『Arizona Sunshine』をチョイスした。ゲームをプレイした時のスクリーンショットをご覧頂きたい。
『Arizona Sunshine』のプレイ風景。同じようなシーンでもフレームレートが一気に40fps前後に下がることがあった
オブジェの少ないシーンだと90fpsで安定するが、敵の出てくるシーン等(上)で時々40fps前後に落ち込むこともある。ただ似たような別のシーン(下)では90fpsに回復しているので、単に敵の数が原因とは言いがたい。
VRゲームは動作するものの、GTX 970以上を要求するViveで楽しむには軽いVRゲームを選ぶ必要がありそうだ。ちなみに『VR Funhouse』でも演算が追いつかずに30fps台に落ち込むシーンも見られた。現状のVRシステムに関してはGTPの要求スペックの低い(GTX 960)「Oculus Rift」の方が好適かもしれない。
薄い筐体だが冷却力は確か
薄型でここまでハイパワーな構成だとどうしても気になるのが発熱の問題。そこで『For Honor』を起動〜30分間続けてプレイしている最中の温度を「HWiNFO64」で監視してみたのが下のグラフだ。30分、『For Honor』をプレイした時の温度の推移。実際のゲームは2分30秒近くから始まっている。18分前後の山と谷はステージの切り替え時に伴うもの
薄いボディにハイパワーなCPUやGPUを詰め込むと心配なのがオーバーヒートだ。しかしCPU温度はステージの切れ目に一瞬90℃近くまで上がるものの、ゲーム中はおおよそ80℃あたりで安定。一方GPUはおおよそ90℃付近で安定している。GPUの方は少々高めの印象を受けるが、これだけ薄いボディに詰まっている以上仕方のないこと。むしろしっかり90℃で歯止めをかけている点に注目したい。
本体内部の温度はしっかり制御されているようだが、本体外部の温度はどんな塩梅だろうか? サーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」を用い、上記の発熱テストの後の熱分布を測定してみた。
ゲームを30分以上遊んだ時の「New Alienware 13 OLED VR」のボディ表面の熱分布
一番熱いのはキーボードのF10キーあたりのボディで約50℃。ただこのあたりはゲームではあまり触れない場所のうえ、キートップ自体は温かく感じる程度。一方パームレスト温度は37℃強で、ゲーム中に左手の掌が微妙に汗ばむ感じなので、ちょっとハンカチを載せた方が快適に遊べるかもしれない。だが文章を書くとかブラウザを使うといったGPUが低負荷な状況なら、冷たくないなと感じる程度。こちらもハイパワーな構成を薄型ボディに凝縮した割には冷却の管理がキチンとできているようだ。
まとめ:ゲームと実務を高次元で両立できる
「New Alienware 13 OLED VR」のレビューはこれにて終了だ。VRや一部のゲームで少しパフォーマンス不足は感じられたものの、直近のAAAタイトルなら画質高めで快適に遊ぶことが可能だ。だが、せっかくのAdobeRGBより色域の広い有機EL液晶を、ゲームだけに使うのは少々もったいない。ゲームはもちろん写真や動画の編集&鑑賞といった用途にも向いている。特に写真編集は真面目にRAW現像に向き合うには最高のノートPCといえる。実務もゲームも高次元でこなせるノートPCが欲しい人には、まさにどストライクな製品といえるだろう。
■前編はこちらから
<前編>有機ELの画質とGTX 1060のパワーに圧倒される「New Alienware 13 OLED VR」を試す
■関連リンク
デル株式会社
http://www.dell.co.jp
ALIENWARE
http://alienware.jp
「New Alienware 13 OLED VR」のページ
http://www.dell.com/jp/p/alienware-13-laptop/pd
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