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無料化されたライフシミュレーター『The Sims 4』で学ぶ、もうひとつの人生の楽しみ方【今日からはじめる定番PCゲーム】
『The Sims 4(ザ・シムズ4)』(以下、『シムズ4』)は、あるときはマネジメントゲーム、またあるときは建築ゲーム、またあるときは育成ゲーム。だがその本質はシミュレーター、あるいはツールである。
『The Sims』シリーズがゲームメディアの俎上にあまり乗らなかったのは、そのゲームとしての要素、ゲームとしての見なされ方に答えがある。シミュレーターあるいはツールというのはゲームらしさとして見なされにくいのだろう。
そんなシリーズ最新作の『シムズ4』が、2022年10月19日に基本プレイ無料化され、誰でもその世界観に触れることができるようになった。仮想世界を現実世界とリンクさせた「メタバース」よりも何十年も前から続くゲーム内人生シミュレーターの魅力を、プレイ時間200時間超の池田伸次があらためてお伝えしていきたい。
2014年にリリースされた『シムズ4』は、由緒あるシリーズタイトルの最新版だ。
第1作は邦題のみタイトルが異なり『シムピープル』と言い、2000年にリリースされた。いまだにこの『シムピープル』で遊んでいるファンもいるから驚きである。
▲『シムピープル』
2004年に『The Sims 2(ザ・シムズ2)』が、2009年にシリーズ唯一のオープンワールド化がなされた『The Sims 3(ザ・シムズ3)』がリリースされた。モバイル展開では『The Sims Mobile(The Sims シムズ ポケット)』(2018年)と『The Sims FreePlay (ザ・シムズ フリープレイ)』(2011年)の2作品が展開されている。
▲『The Sims 2』
どのタイトルもリリースされてから次のナンバリングに移行するまでにかなり期間が空いているのは、DLCで要素を補完する作風になっているからだ。10本近くのDLCがリリースされることなんてざらで、最新作の『シムズ4』ではDLCを、家具などのセットの「キット」と、要素を拡張する「パック」の2つに区分している。拡張される要素はあたらしい職業、旅行先、ペットなどなど多岐にわたる。
▲公式のDLCの一部。「パック」はいわゆるイベントだ
▲こちらは「キット」。家や家具、アイテムなどをまとめたもの
プレイヤーが作るキャラクターは、自分の分身と考えることもできるが、まったく別人格を持つ『シムズ4』の世界の主人公とも言える。キャラクタークリエイトでは、人種、性別、体形や顔のパーツなども細かくいじれるが、リアル指向というよりはゲームキャラクターを作る方に近い。
▲デフォルトで選べる髪型
『シムズ4』のみならず従来のシリーズから、CC(カスタムコンテンツ、Modのこと)が公式に重要視されており、CCを入れずに遊ぶプレイヤーの方が少数なはずだ。どこのブログを見に行っても使っている。そんな馴染み深いCC作者に、国内では「Kijiko」(@KijikoCatfood)氏がおり、かなりハイクオリティーな髪型などを配布している。
▲Kijiko氏制作の髪型。エモい
そんなわけで、今回はCC入りのスクショも掲載していきたい。
本作はライフシミュレーターである。基本的なゲームプレイはキャラクタークリエイションをしてあままごとのように遊ぶことになる。ただし、FPSのように自分自身が動くのではなく、プレイヤーはキャラクターに指示をして導いていく方式だ。
キャラクターを行動させたいときは、目的となるオブジェクトなどを指定する。トイレをクリックして用をたしたり、コンロをクリックして朝食を作るといった感じだ。オプジェクトではなくキャラクター自体をクリックすることで、ジョギングなどをさせることもできる。
これらの行動は指示した順番に実行されるので、朝起きて、手を洗い、歯を磨き、朝食を作り、ポストを確認するといった流れも実行できる。
▲画面左下の丸で囲まれたアイコンが現在の行動。その上に並んでいる(料理をする、など)が予約済みの行動
明確なストーリーなどはないが、慣れないうちはあらかじめ用意されている「シナリオ」をやってみるといいだろう。『シムズ4』の世界でどんなことができるのかを知るのにちょうどいい。
▲トップページにある「シナリオをプレイ」では目的に沿った遊び方を提示してくれる
操作方法やイベントの流れに慣れてしまえば、なんの制約もない。プレイヤーが自発的におもしろそうなことを見つけて遊ぶのだ。もしも恋愛要素がほしくなったら公共区画へ出向きナンパをする、という軽いノリでいい。
『シムズ』シリーズはいずれも、アメリカなどの西洋文化を諸外国へ紹介する役割も副次的に担っており、大学制度などの教育面や、トイレと同室に置かれる浴槽など建築様式も敷延している。特筆すべき要素としてはコミュニティーを含んだ社交面においてそれが顕著に発揮されている。例えばクラブ活動やスキンシップなどだ。
もちろん、前述した恋愛要素もセルフコントロールは可能。お好みのキャラクターを作り、同じ区画に住まわせてルームメイトにし、どちらかのシムを操ってうまいこと恋愛のパラメーターを上げる、という寸法だ。都合のいい展開もプレイヤーが演出できてしまう。
ゲームの目的としてはほかにも、キャリア(職業)でトップに登り詰める遊び方などもできる。つどつど提示される要求スキルを上げて特定の行動、ミュージシャンなら楽曲を製作するなどに応えていく。
そんな『シムズ4』最大の魅力は「フリーウィル」(Free Will)、日本語にすれば「自由意志」だ。シムの自発的な行動を眺めるだけでゲームが成り立つ点にある。
このシムの自発行動はかなり賢く、きちんと指示をせずともお風呂に入ってくれるし寝てくれる。そんな中でも、同居人シムとどういったやりとりを行うのかといった、自然なドラマを眺めるのは本作にしかない面白さであり、喜びなのだ。というか、プレイしているとそう思えてくる。
『シムズ4』のファンメイド動画もかなり独自色がある。実際のプレイ動画はほとんど上がっていない。では何が上がっているかというと、建築する様子を撮ったビルディング動画や、シムのクリエイション動画、またはユーザーメイドによるストーリー仕立て動画など。これらこそ、『シムズ4』のプレイヤーコミュニティーの特色を反映したものであると言えるだろう。
遊び方は人それぞれで、先ほど紹介したキャラクターに行動を任せる「フリーウィル」プレイや、自身から行動に介入しまくってなんらかの目標を目指すプレイなど、本当に人の数だけ遊び方がある。音楽のヒーローを目指すプレイや、12股かけるプレイなどなど、ゲーム側から提示されない遊び方をも受け入れられるのが本作の美点だ。
なんてったって「ライフシム」。おもしろい生活を送らせたいのは当然のことだ。
そして、サウンドがさりげなくも素晴らしい。生活音を完全に再現しており、ヘッドフォンでのプレイなら没入間違いなしだ。
たとえば、筆者のプレイの一例を紹介してみよう。
主人公はとある街に住む「イケダ シンジ」。若い頃から音楽活動を中心にエンターテイナーキャリアを積んでいくと、「コメディアン」になるか「ミュージシャン」になるかが迫られる(ゲーム内でルート分岐が現れる)。
「ミュージシャン」を選んだシンジは、自身の著作で大きな富を得る。その間に結婚もし子供も誕生。子供の将来のことを考えると家が手狭になってきたので、得た収入で引っ越す。
そうして、子供が育っていく中でシンジは天寿をまっとう。そこからはそのまま子供をメインキャラとして遊ぶ……。
ひとりの人生だけで終わらないのも『シムズ4』の魅力だ。
このように、ゲームの自由度は極めて高く、家の建設だけをメインコンテンツに据えて遊んでいるプレイヤーもいるくらいだ。シリーズを重ねるにあたってもっとも強化されてきた点は、建築の手軽さにあると言っても過言ではない。
「生涯願望」という概念もある。生涯を通してかなえるべき望みが付与されるのだが、その願望は段階式になっており、達成していけばアイテムの類いが手に入る。これをひとまずの目標としてもよいだろう。
また、『The Sims』シリーズは多様性を重んじてきたタイトルでもある。キャラクタークリエイションにおいては「女性の姿で男性の声を持つ」なんてのもありだし、「男性の姿で女性の服を好む」ように作ることも可能だ。これは近年行われた多様性アップデートで追加された要素で実にクールだ。
冬休み直前ということもあり、基本プレイ無料になった『シムズ4』は遊び始めるのに最適なタイミングだ。本稿を読んでいるあなたも、実際に『シムズ4』に触ってみて、なにができてなにができないのか、限界を探ってみてほしい。
もちろん、“某・偉大な車窃盗物語”のように犯罪や殺人などはできない。が、そんなことを思わず考えてしまうくらい、ライフシミュレーターとしてできることにあふれているのだから。
The Sims 4
https://www.ea.com/ja/games/the-sims/the-sims-4
『The Sims』シリーズ 公式サイト
https://www.ea.com/ja-jp/games/the-sims
『The Sims』シリーズがゲームメディアの俎上にあまり乗らなかったのは、そのゲームとしての要素、ゲームとしての見なされ方に答えがある。シミュレーターあるいはツールというのはゲームらしさとして見なされにくいのだろう。
そんなシリーズ最新作の『シムズ4』が、2022年10月19日に基本プレイ無料化され、誰でもその世界観に触れることができるようになった。仮想世界を現実世界とリンクさせた「メタバース」よりも何十年も前から続くゲーム内人生シミュレーターの魅力を、プレイ時間200時間超の池田伸次があらためてお伝えしていきたい。
20年以上リリースされ続けた魅力
2014年にリリースされた『シムズ4』は、由緒あるシリーズタイトルの最新版だ。
第1作は邦題のみタイトルが異なり『シムピープル』と言い、2000年にリリースされた。いまだにこの『シムピープル』で遊んでいるファンもいるから驚きである。
▲『シムピープル』
2004年に『The Sims 2(ザ・シムズ2)』が、2009年にシリーズ唯一のオープンワールド化がなされた『The Sims 3(ザ・シムズ3)』がリリースされた。モバイル展開では『The Sims Mobile(The Sims シムズ ポケット)』(2018年)と『The Sims FreePlay (ザ・シムズ フリープレイ)』(2011年)の2作品が展開されている。
▲『The Sims 2』
どのタイトルもリリースされてから次のナンバリングに移行するまでにかなり期間が空いているのは、DLCで要素を補完する作風になっているからだ。10本近くのDLCがリリースされることなんてざらで、最新作の『シムズ4』ではDLCを、家具などのセットの「キット」と、要素を拡張する「パック」の2つに区分している。拡張される要素はあたらしい職業、旅行先、ペットなどなど多岐にわたる。
▲公式のDLCの一部。「パック」はいわゆるイベントだ
▲こちらは「キット」。家や家具、アイテムなどをまとめたもの
プレイヤーが作るキャラクターは、自分の分身と考えることもできるが、まったく別人格を持つ『シムズ4』の世界の主人公とも言える。キャラクタークリエイトでは、人種、性別、体形や顔のパーツなども細かくいじれるが、リアル指向というよりはゲームキャラクターを作る方に近い。
▲デフォルトで選べる髪型
『シムズ4』のみならず従来のシリーズから、CC(カスタムコンテンツ、Modのこと)が公式に重要視されており、CCを入れずに遊ぶプレイヤーの方が少数なはずだ。どこのブログを見に行っても使っている。そんな馴染み深いCC作者に、国内では「Kijiko」(@KijikoCatfood)氏がおり、かなりハイクオリティーな髪型などを配布している。
▲Kijiko氏制作の髪型。エモい
そんなわけで、今回はCC入りのスクショも掲載していきたい。
他人の人生をコントロールできる楽しさ
本作はライフシミュレーターである。基本的なゲームプレイはキャラクタークリエイションをしてあままごとのように遊ぶことになる。ただし、FPSのように自分自身が動くのではなく、プレイヤーはキャラクターに指示をして導いていく方式だ。
キャラクターを行動させたいときは、目的となるオブジェクトなどを指定する。トイレをクリックして用をたしたり、コンロをクリックして朝食を作るといった感じだ。オプジェクトではなくキャラクター自体をクリックすることで、ジョギングなどをさせることもできる。
これらの行動は指示した順番に実行されるので、朝起きて、手を洗い、歯を磨き、朝食を作り、ポストを確認するといった流れも実行できる。
▲画面左下の丸で囲まれたアイコンが現在の行動。その上に並んでいる(料理をする、など)が予約済みの行動
明確なストーリーなどはないが、慣れないうちはあらかじめ用意されている「シナリオ」をやってみるといいだろう。『シムズ4』の世界でどんなことができるのかを知るのにちょうどいい。
▲トップページにある「シナリオをプレイ」では目的に沿った遊び方を提示してくれる
操作方法やイベントの流れに慣れてしまえば、なんの制約もない。プレイヤーが自発的におもしろそうなことを見つけて遊ぶのだ。もしも恋愛要素がほしくなったら公共区画へ出向きナンパをする、という軽いノリでいい。
ゲームで海外留学の予行演習も
『シムズ』シリーズはいずれも、アメリカなどの西洋文化を諸外国へ紹介する役割も副次的に担っており、大学制度などの教育面や、トイレと同室に置かれる浴槽など建築様式も敷延している。特筆すべき要素としてはコミュニティーを含んだ社交面においてそれが顕著に発揮されている。例えばクラブ活動やスキンシップなどだ。
もちろん、前述した恋愛要素もセルフコントロールは可能。お好みのキャラクターを作り、同じ区画に住まわせてルームメイトにし、どちらかのシムを操ってうまいこと恋愛のパラメーターを上げる、という寸法だ。都合のいい展開もプレイヤーが演出できてしまう。
ゲームの目的としてはほかにも、キャリア(職業)でトップに登り詰める遊び方などもできる。つどつど提示される要求スキルを上げて特定の行動、ミュージシャンなら楽曲を製作するなどに応えていく。
自発的な行動が賢いシムたち
そんな『シムズ4』最大の魅力は「フリーウィル」(Free Will)、日本語にすれば「自由意志」だ。シムの自発的な行動を眺めるだけでゲームが成り立つ点にある。
このシムの自発行動はかなり賢く、きちんと指示をせずともお風呂に入ってくれるし寝てくれる。そんな中でも、同居人シムとどういったやりとりを行うのかといった、自然なドラマを眺めるのは本作にしかない面白さであり、喜びなのだ。というか、プレイしているとそう思えてくる。
『シムズ4』のファンメイド動画もかなり独自色がある。実際のプレイ動画はほとんど上がっていない。では何が上がっているかというと、建築する様子を撮ったビルディング動画や、シムのクリエイション動画、またはユーザーメイドによるストーリー仕立て動画など。これらこそ、『シムズ4』のプレイヤーコミュニティーの特色を反映したものであると言えるだろう。
プレイヤーの数だけ遊び方があると言っても過言ではない
遊び方は人それぞれで、先ほど紹介したキャラクターに行動を任せる「フリーウィル」プレイや、自身から行動に介入しまくってなんらかの目標を目指すプレイなど、本当に人の数だけ遊び方がある。音楽のヒーローを目指すプレイや、12股かけるプレイなどなど、ゲーム側から提示されない遊び方をも受け入れられるのが本作の美点だ。
なんてったって「ライフシム」。おもしろい生活を送らせたいのは当然のことだ。
そして、サウンドがさりげなくも素晴らしい。生活音を完全に再現しており、ヘッドフォンでのプレイなら没入間違いなしだ。
たとえば、筆者のプレイの一例を紹介してみよう。
主人公はとある街に住む「イケダ シンジ」。若い頃から音楽活動を中心にエンターテイナーキャリアを積んでいくと、「コメディアン」になるか「ミュージシャン」になるかが迫られる(ゲーム内でルート分岐が現れる)。
「ミュージシャン」を選んだシンジは、自身の著作で大きな富を得る。その間に結婚もし子供も誕生。子供の将来のことを考えると家が手狭になってきたので、得た収入で引っ越す。
そうして、子供が育っていく中でシンジは天寿をまっとう。そこからはそのまま子供をメインキャラとして遊ぶ……。
ひとりの人生だけで終わらないのも『シムズ4』の魅力だ。
このように、ゲームの自由度は極めて高く、家の建設だけをメインコンテンツに据えて遊んでいるプレイヤーもいるくらいだ。シリーズを重ねるにあたってもっとも強化されてきた点は、建築の手軽さにあると言っても過言ではない。
「生涯願望」という概念もある。生涯を通してかなえるべき望みが付与されるのだが、その願望は段階式になっており、達成していけばアイテムの類いが手に入る。これをひとまずの目標としてもよいだろう。
また、『The Sims』シリーズは多様性を重んじてきたタイトルでもある。キャラクタークリエイションにおいては「女性の姿で男性の声を持つ」なんてのもありだし、「男性の姿で女性の服を好む」ように作ることも可能だ。これは近年行われた多様性アップデートで追加された要素で実にクールだ。
冬休み直前ということもあり、基本プレイ無料になった『シムズ4』は遊び始めるのに最適なタイミングだ。本稿を読んでいるあなたも、実際に『シムズ4』に触ってみて、なにができてなにができないのか、限界を探ってみてほしい。
もちろん、“某・偉大な車窃盗物語”のように犯罪や殺人などはできない。が、そんなことを思わず考えてしまうくらい、ライフシミュレーターとしてできることにあふれているのだから。
The Sims 4
https://www.ea.com/ja/games/the-sims/the-sims-4
『The Sims』シリーズ 公式サイト
https://www.ea.com/ja-jp/games/the-sims
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