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「『個人の強さ』『チームの絆』、2つのやり方で世界一を目指す!」──野良連合 選手インタビュー
目次
2018年12月某日に実施した野良連合のオーナーkizoku氏インタビューでは、野良連合の『レインボーシックス シージ(R6S)』の選手らにも話をうかがった。
「じつはいま、『R6S』のゲーミングハウスは2つあるんです」とのことで、2019年の世界大会を見据えて、2つのチームがそれぞれ別々に生活し、日々腕を磨いているという。
「アナリストのおかげですべてを練習時間に使える」
最初にお邪魔したゲーミングハウスで生活をしているのは、野良連合のESL部門。2018年の世界大会でベスト4まで行ったチームだ。Merieux選手、papilia選手、ReyCyil選手、ウォッカ選手の4名に、2018年を振り返ってもらいつつ、ベスト4まで行けた強さの理由や2019年に向けた豊富などを伺った。
――2018年は『R6S』世界大会でベスト4という結果でしたが、2018年を振り返ってみてどんな1年でしたか?
Merieux:自分は1年ほど前に入りましたが、自分たちの力が及ばずに毎回負けて返ってくることが続いてました。ファンの人たちに応援してもらってるのに「勝てなくて申し訳ないな」という気持ちが大きくなり、そこから練習の仕方や普段の生活を見直すという改善を重ねました。
今回はベスト4という形で、少しずつですがだんだんとステップアップできるようにしてきた感じですね。
――普段の生活を見直すというのは、たとえばどういう部分を?
Merieux:夜は練習がメインなので、その時間にいいパフォーマンスを発揮できるように睡眠時間を変えたりとかですね。
――ちなみにゲーム以外はどんな生活をされてるんですか?
Merieux:完全にゲーム一本ですね。
――ゲームをやる時間って一日あたりどれくらいなんですか?
Merieux:17時から21時くらいまでは個人で自由に練習をしつつ、21時から夜中の1時くらいまではメンバー5人で集まって練習するということを決めていて、そこがおもに仕事という感じです。
――どのような練習をしているのでしょうか?
Merieux:野球に例えると、17時からは素振りとかピッチング練習をして、21時からの練習試合は紅白戦。そのまま深夜1時までずっと練習を続けて、終わったあとにその日の試合を全部振り返る、という感じです。
――感想戦みたいなものが後ろにあるんですね。
papilia:一番望ましいのは練習前にミーティングをやって、戦術の考察や今日試してみたい作戦の幅とかを確認すべきなんですけど、21時からの釣り(※練習相手を募集すること)に遅れちゃうと練習相手が見つからなくなってしまうので、なるべくそこにスタートを合わせているんですよ。
練習試合が終わったあとには、録画した試合をチェックします。同じで部屋ですぐ確認・共有できるのはゲーミングハウスの利点ですね。
少しまえまではゲーミングハウス生活ではなかったので、ボイスチャットツール等を使って確認していたんですが、それだとどうしても片手間にケータイをいじったりしてて話ちゃんと話を聞いてなかったりすることも……。
ゲーミングハウスだとそういうこともなく、集中できるのがいいですね。
――ReyCyil選手の2018年は、どうだったでしょう?
ReyCyil:チームを移籍したりとかいろいろありましたが、結局ゲームしかしてない感じですね(笑)。でも、最近になってようやくお金が手元に来るようになりましたよ。それまではちょっと……。野良連合にきてようやくゲームができて生活の保証もしてもらえるようになりました。
世界大会では、準決勝がブラジルのFaZe Clanだったんですけど、勝てる相手だったと思うので、そういう意味では悔しいですね。
ただ、そもそもこのチームメンバーになってから期間的に短かったんです。チーム自体は2月にカナダで開催される世界大会「Six Invitational 2019」を目標にしていたので、そういう意味ではベスト4という結果にもある程度満足しています。
――ウォッカ選手はどうでしょう?
ウォッカ:2018年になってからしっかりとYouTubeでの活動をやるようになって、チャンネル登録者数も10万人を超えて、ちゃんと稼げる状態を作れたっていうのがデカいですかね。一日の16時間をYouTubeの活動に使ってるので。
――16時間!?
ウォッカ:動画の撮影に16時間を使い、4時間睡眠して、残りの時間はサムネイル作りをしています。
――YouTubeはチームを運営するためではなく、あくまでウォッカさんが自分の収益を上げるためだとお聞きしましたが、そういう面もあっての頑張りなのでしょうか?
ウォッカ:知名度を上げたり、人を呼べるようにするためです。自分自身のブランド力を強化する、というか。
この次は何につなげられるのかっていうのはずっと考えていて。たとえば自分は服が好きなので、それをInstagramで発信すれば「プロゲーマーでもこういう服装を着たりするんだ」っていうお手本になったりできるかな、って。じゃあ今度は自分が服を作ってみようとか、そんなことも考えています。
――ゲームを中心にいろんなことを考えているんですね。
ウォッカ:チームリーダーなので大会の優勝は目指してますし、勝ちたいっていう気持ちも、もちろんあります。それと平行して、他のこともいろいろやっていきたいなという感じですね。
――ReyCyilさんはそれを聞いてどうお思いですか?
ReyCyil:いやー、すごいですね(笑)。
――ご自身でも何かを始められたらいいじゃないですか。
ReyCyil:最近Instagram始めたんですよ。まだ使い方がよくわかってないので……。あんまりやらないと思います(苦笑)。
Merieux:間違いないですね。
papilia:僕は野良連合に最近入り、それまで別のプロゲーミングチームに所属していたんですが、その時はそういうのが一切なく、自分たちが各々でやるみたいな感じだったんですよ。
Merieux:プレイする人間が相手チームの研究を行うと、練習時間が減ってしまうんですよね。なので今まではじっくりと研究できていなかったんですが、今はアナリストさんたちのおかげで、プレイのことだけを考えて練習することができるようになりました。
――個人で目指そうとしていることがあれば教えていただけますか?
papilia:自分的には始めた当初から勝ちたいという気持ちがあり、その最終目標は優勝になっていくので、やっぱり優勝目指して頑張っている感じですね。
――優勝に届く手応えはありますか?
Merieux:昔だったらぜんぜん考えられなかったですが、少しずつ結果も出てきているので、今のメンバーで頑張っていけば目指せなくもないかなと思っています。
papilia:自分はいろんなチームを転々としているのは、やっぱり勝ちたいという理由があって。勝つという最終地点は世界大会で優勝することなので、次の大会はメジャー大会という位置づけで行われる中でも大きい部類のもので、賞金総額から見ても過去最大級になるので、前回のベスト4という結果には甘えず、しっかり練習して結果が出せるようにしていけたらなと思います。
ReyCyil:2月のカナダもなんですけど、日本リーグやアジアリーグも視野に入れてますね。
――そこをちゃんと乗り越えるという感じですか? やり直しというよりは、10月ぐらいの頃に比べれば実力的にも安定していると?
ReyCyil:そうですね。ただ、日本国内でも周りがどんどん強くなってるので。
ウォッカ:カナダの世界大会はとりあえず決勝まで行きたいということと、自分自身はどこまでプロゲーマーでいるか悩んでいるので、次に何かつなげられることをしたいなと。
――ちなみに、代表のkizokuさんってどんな人ですか?
Merieux:オーナーとしてやってもらってますが、自分たちともフレンドリーな感じで話しかけてくれるのでしゃべりやすいですね。
papilia:オーナーというよりは家族、親戚のおじさんみたいな感じですね(笑)。
ウォッカ:身近に接しやすい形をとってくれるので、他のチームに比べたらいいんじゃないかなという感じですね。しっかりと上下関係もありつつ、その中でもわりと身近に接してくれるので。
ReyCyil:野良連合を含めて今まで3チームを渡り歩いてきたんですが、そこで比較すると、接する面では選手と近いですね。
――もともと選手だったというところもあるんですかね。
ReyCyil:そうですね、接しやすくて優しいです(笑)。あと、今日インタビューがあるっていうことをkizokuさんから前日に聞かされたので、その報告は早めにしてほしいなと。
ウォッカ:基本的に突然なので、それは勘弁してほしいですね。一日20時間近くYouTubeに使ってるのに、急にそんなこと言われても(笑)。
「ずっと同じメンバーで優勝を目指したい」
歩いて20分ほどの別の場所に、もうひとつのゲーミングハウスがある。こちらはもともと国内リーグのJCG部門として存在していたものが、一度解体したのち改めて再結成したチームだ。こちらもゆくゆくはESLのプロリーグを目指すために準備中だという。ESL部門のチームとは何が違うのか、一度解体解体したあとなぜ再結成したのかを伺った。
――こちらはさきほどの世界大会に向けたESL用チームとは違うチームなんですよね? どういう位置付けなのでしょうか?
kizoku:野良連合の『R6S』は、海外大会のESL用チームと国内大会のJCG用チーム、大会に出られない15~16歳の若い子がいる10代連合の3チーム体制なんです。日本大会には17歳から出場できるんですけど、海外大会は18歳からなので。
ChloroForM.:15~16歳でかなり強いプレイヤーがかなりいるので、その受け皿として10代チームもあります。
kizoku:10代若手チームのMaavi選手は、野良連合で一番強いです。天才ですね。
――で、その3チームあるうち、CrazyPapiyoN選手をリーダーとしたチームが国内向けということですか?
kizoku:……だったんです。2017年から2018年の始めまで5人で活動していうて、変な話なんですけど、海外大会のESL用チームよりこっちのほうが強かったんですよ。世界で勝つためにはCrazyPapiyoN選手が必要だと思い、「海外チームでリーダーをやってくれないか?」って話をしたら「いいよ」って言ってくれたんで、もともとあったJCG用チームは一回バラしたんです。
CrazyPapiyoN:でもこのタイミングで自分は一度野良連合を飛び出して、別のチームに移籍しました。そこで一定の活躍はできたのですが、新しいチーム……というか、野良連合で一緒にやっていたメンバーを中心に、世界を目指したくなったんです。
――それはどういう理由があったんですか?
CrazyPapiyoN:野良連合を飛び出して移籍した先のチームは方向性の違いというか、僕自身がやりたいチームと向こうのやりたいチームで意見が食い違ってしまって。
それで、kizokuさんに相談して野良連合に戻り、またかつてのメンバーと一緒に世界一を目指すことにしたんです。
ただ、ESLプロリーグの規定もあり、このチームは野良連合の名前ではなくなります。チーム監督はkizokuさんのままです。
※編集部注・2018年12月7日に野良連合公式アカウントにて、チームごとの移管と「野良連盟」の名称が発表された。その後、2019年1月4日~5日に開催された「Six Invitational 2019」日本予選では「TeamGUTS」という名称で出場した。
――ぷらいまり選手はいつごろ野良連合に入ったのでしょうか?
ぷらいまり:kizokuさんに入らないかと誘われて加入したんですが、ちょうどプロチームになる前の野良連合に所属してまして。2016年の7〜8月にPS4版で開かれたアジア大会でチャンピオンになったんですが、そのアジア大会に出ることをきっかけにプロチームになったんです。
――ChloroForM.選手も一度野良連合から抜けてますよね?
ChloroForM.:CrazyPapiyoNさんが最初に抜けたとき、チームのまとまりがなくなっちゃって。それで一回、別のところで活動してみたんです。僕もチームを動かしてみたいなと思ってたんで。結果的にはそこで得た知識を持って戻ってきました。今ならCrazyPapiyoNさんのお手伝いできるかなと。
ぷらいまり:このチームができることになったのは、CrazyPapiyoN選手が残りの4人に対して「メンバーをどんどん変えて強さを求めるのではなく、自分たちが一番やりたいと思うメンバーで長く続けて勝ちにいきたい」っていう気持ちを話してて、自分たちもそれにチャレンジしたい、と思ったことが大きいですね。
――ずっと同じメンバーで戦っていくというのは、今のeスポーツ全体の流れからすると主流ではないですよね? うまくいけばいいですが、そうならない可能性も……。
CrazyPapiyoN:これは野良連合じゃなかったらできなかったですね。「僕ら絶対に世界一を取るんで」っていう決意をkizokuさんに伝えたんですけど、それを信じてくれたんで。
CrazyPapiyoN:2017年12月くらいにチームを作って、その翌月には日本一になってたんですよ。それくらい成長が早いチームだったんです。当時の世界大会でかなり活躍したeiNsを2-0で負かすくらい本当に強くて。でも一気に解散したので伝説のチームみたいになってます(笑)。
またそのときのメンバーで、今度は一緒に住んで同じ場所で練習できるので、密度が違いますね。あのときの2カ月くらいの練習よりも、ここの10日間のほうが濃い練習ができてます。
みんなでやって、みんなで反省して、次の日に持ち越せて、全員で進んでいく練習密度が、この部屋だと10倍くらい濃くなってますね。
――そんなに違うんですか?
CrazyPapiyoN:本当にぜんぜん違いますね。上達のスピードがとんでもないので。
ChloroForM.:みんなでひとつの動画を見て、その場で反省会ができるっていうのはすごいアツいですね。
――オンラインではなかなかうまくいかなかった部分ですよね。
CrazyPapiyoN:なあなあで終わっちゃうんですよね。PCでやってるので、裏画面でTwitterや動画を見がちなんですが、僕はそれを全面的に禁止して、圧倒的に濃い時間を過ごさせることで、練習試合より反省会のほうが長いくらいの勢いなんですよ。
――ゲーミングハウスに皆で住むようになってから大会への出場は?
CrazyPapiyoN:2018年11月に行われた「AOC OPEN」という大会でいきなり優勝できたんで。
――そういう意味では、ゲーミングハウスになったメリットってものすごいある感じなんですね。
CrazyPapiyoN:誰かが見てるっていう意識があるのでサボれないというか(笑)。緊張感が生まれるので、一緒の空間でやることによって連携が高まるというのはありますね。
――これはオンラインの環境ではどうやっても作れないんですよね?
CrazyPapiyoN:絶対に作れないと思いますね。「AOC OPEN」にもかなりのプロチームが参加しててめちゃくちゃ豪華だったんですが、オフラインだとガチガチに緊張しちゃったり、うまく連携がとれてないという状況を見ていたんです。
でも僕らは今までどおりにやれてて「いつもと同じだな」っていう感じで緊張とかぜんぜんなくて。
――いつも会わない人が隣りにいるとなると違うんですね。
CrazyPapiyoN:そうなんですよ。こっちはいつも会ってるんで、そういう意味ではオフライン大会ってやりやすいですね。
――世界に行ってもそれが基本だし、場馴れという意味でも強みになると。
CrazyPapiyoN:強みになりますね。
――ESL用チームの選手にも聞いたのですが、kizokuさんはどんな方ですか?(「自分はいないほうがいいね(笑)」と、kizoku氏は席を外す)
ぷらいまり:長く在籍している身としてkizokuさんをずっと見てきたんですけど、本当に優しくていい人で。基本的に代表の方と部下ってそんな気さくには話し合えないですが、kizokuさんの場合は気さくに話し合えるし、親身になって選手ひとりひとりのことをしっかりと考えてくれて、悩みがあれば相談も聞いてくれるし、人生の先輩としてもkizokuさんは尊敬してます。
CrazyPapiyoN:距離が近いので、人生の兄貴みたいな感じで(笑)。頼りになるし、選手のことをひとりひとり思ってるのが一番大きいですね。ちゃんと見てくれてるので。
――怒られたりすることはないんですか?
CrazyPapiyoN:甘い部分があったり、やらなきゃいけないことをやってなかったらさすがに怒りますけど、その線引きはちゃんとしてるので。
ぷらいまり:野良連合には年齢的に若い人たちもいっぱいいるので、大人になるまでのプロセスというか、しっかりした人間になってほしいっていう思いもあって、「社会人としてやらなきゃいけないことはこうだからね」って教えてくれます。
■関連リンク
野良連合
https://www.norarengou.com
レインボーシックス シージ
https://game-rainbow6.ubi.com/ja-jp/home
「じつはいま、『R6S』のゲーミングハウスは2つあるんです」とのことで、2019年の世界大会を見据えて、2つのチームがそれぞれ別々に生活し、日々腕を磨いているという。
「アナリストのおかげですべてを練習時間に使える」
野良連合(ESL部門)
最初にお邪魔したゲーミングハウスで生活をしているのは、野良連合のESL部門。2018年の世界大会でベスト4まで行ったチームだ。Merieux選手、papilia選手、ReyCyil選手、ウォッカ選手の4名に、2018年を振り返ってもらいつつ、ベスト4まで行けた強さの理由や2019年に向けた豊富などを伺った。* * * * * * *
――2018年は『R6S』世界大会でベスト4という結果でしたが、2018年を振り返ってみてどんな1年でしたか?
Merieux:自分は1年ほど前に入りましたが、自分たちの力が及ばずに毎回負けて返ってくることが続いてました。ファンの人たちに応援してもらってるのに「勝てなくて申し訳ないな」という気持ちが大きくなり、そこから練習の仕方や普段の生活を見直すという改善を重ねました。
今回はベスト4という形で、少しずつですがだんだんとステップアップできるようにしてきた感じですね。
▲Merieux選手
――普段の生活を見直すというのは、たとえばどういう部分を?
Merieux:夜は練習がメインなので、その時間にいいパフォーマンスを発揮できるように睡眠時間を変えたりとかですね。
――ちなみにゲーム以外はどんな生活をされてるんですか?
Merieux:完全にゲーム一本ですね。
――ゲームをやる時間って一日あたりどれくらいなんですか?
Merieux:17時から21時くらいまでは個人で自由に練習をしつつ、21時から夜中の1時くらいまではメンバー5人で集まって練習するということを決めていて、そこがおもに仕事という感じです。
――どのような練習をしているのでしょうか?
Merieux:野球に例えると、17時からは素振りとかピッチング練習をして、21時からの練習試合は紅白戦。そのまま深夜1時までずっと練習を続けて、終わったあとにその日の試合を全部振り返る、という感じです。
――感想戦みたいなものが後ろにあるんですね。
papilia:一番望ましいのは練習前にミーティングをやって、戦術の考察や今日試してみたい作戦の幅とかを確認すべきなんですけど、21時からの釣り(※練習相手を募集すること)に遅れちゃうと練習相手が見つからなくなってしまうので、なるべくそこにスタートを合わせているんですよ。
練習試合が終わったあとには、録画した試合をチェックします。同じで部屋ですぐ確認・共有できるのはゲーミングハウスの利点ですね。
▲papilia選手
少しまえまではゲーミングハウス生活ではなかったので、ボイスチャットツール等を使って確認していたんですが、それだとどうしても片手間にケータイをいじったりしてて話ちゃんと話を聞いてなかったりすることも……。
ゲーミングハウスだとそういうこともなく、集中できるのがいいですね。
――ReyCyil選手の2018年は、どうだったでしょう?
ReyCyil:チームを移籍したりとかいろいろありましたが、結局ゲームしかしてない感じですね(笑)。でも、最近になってようやくお金が手元に来るようになりましたよ。それまではちょっと……。野良連合にきてようやくゲームができて生活の保証もしてもらえるようになりました。
世界大会では、準決勝がブラジルのFaZe Clanだったんですけど、勝てる相手だったと思うので、そういう意味では悔しいですね。
ただ、そもそもこのチームメンバーになってから期間的に短かったんです。チーム自体は2月にカナダで開催される世界大会「Six Invitational 2019」を目標にしていたので、そういう意味ではベスト4という結果にもある程度満足しています。
――ウォッカ選手はどうでしょう?
ウォッカ:2018年になってからしっかりとYouTubeでの活動をやるようになって、チャンネル登録者数も10万人を超えて、ちゃんと稼げる状態を作れたっていうのがデカいですかね。一日の16時間をYouTubeの活動に使ってるので。
▲ウォッカ選手
――16時間!?
ウォッカ:動画の撮影に16時間を使い、4時間睡眠して、残りの時間はサムネイル作りをしています。
――YouTubeはチームを運営するためではなく、あくまでウォッカさんが自分の収益を上げるためだとお聞きしましたが、そういう面もあっての頑張りなのでしょうか?
ウォッカ:知名度を上げたり、人を呼べるようにするためです。自分自身のブランド力を強化する、というか。
この次は何につなげられるのかっていうのはずっと考えていて。たとえば自分は服が好きなので、それをInstagramで発信すれば「プロゲーマーでもこういう服装を着たりするんだ」っていうお手本になったりできるかな、って。じゃあ今度は自分が服を作ってみようとか、そんなことも考えています。
――ゲームを中心にいろんなことを考えているんですね。
ウォッカ:チームリーダーなので大会の優勝は目指してますし、勝ちたいっていう気持ちも、もちろんあります。それと平行して、他のこともいろいろやっていきたいなという感じですね。
――ReyCyilさんはそれを聞いてどうお思いですか?
ReyCyil:いやー、すごいですね(笑)。
――ご自身でも何かを始められたらいいじゃないですか。
ReyCyil:最近Instagram始めたんですよ。まだ使い方がよくわかってないので……。あんまりやらないと思います(苦笑)。
▲ReyCyil選手
「ベスト4に甘えず、もっといい結果を出したい」
――代表のkizokuさんから「強くなった理由のひとつに、アナリストの存在がある」とお聞きしたのですが、それについてはどう思われてますか?Merieux:間違いないですね。
papilia:僕は野良連合に最近入り、それまで別のプロゲーミングチームに所属していたんですが、その時はそういうのが一切なく、自分たちが各々でやるみたいな感じだったんですよ。
Merieux:プレイする人間が相手チームの研究を行うと、練習時間が減ってしまうんですよね。なので今まではじっくりと研究できていなかったんですが、今はアナリストさんたちのおかげで、プレイのことだけを考えて練習することができるようになりました。
――個人で目指そうとしていることがあれば教えていただけますか?
papilia:自分的には始めた当初から勝ちたいという気持ちがあり、その最終目標は優勝になっていくので、やっぱり優勝目指して頑張っている感じですね。
――優勝に届く手応えはありますか?
Merieux:昔だったらぜんぜん考えられなかったですが、少しずつ結果も出てきているので、今のメンバーで頑張っていけば目指せなくもないかなと思っています。
papilia:自分はいろんなチームを転々としているのは、やっぱり勝ちたいという理由があって。勝つという最終地点は世界大会で優勝することなので、次の大会はメジャー大会という位置づけで行われる中でも大きい部類のもので、賞金総額から見ても過去最大級になるので、前回のベスト4という結果には甘えず、しっかり練習して結果が出せるようにしていけたらなと思います。
ReyCyil:2月のカナダもなんですけど、日本リーグやアジアリーグも視野に入れてますね。
――そこをちゃんと乗り越えるという感じですか? やり直しというよりは、10月ぐらいの頃に比べれば実力的にも安定していると?
ReyCyil:そうですね。ただ、日本国内でも周りがどんどん強くなってるので。
ウォッカ:カナダの世界大会はとりあえず決勝まで行きたいということと、自分自身はどこまでプロゲーマーでいるか悩んでいるので、次に何かつなげられることをしたいなと。
――ちなみに、代表のkizokuさんってどんな人ですか?
Merieux:オーナーとしてやってもらってますが、自分たちともフレンドリーな感じで話しかけてくれるのでしゃべりやすいですね。
papilia:オーナーというよりは家族、親戚のおじさんみたいな感じですね(笑)。
ウォッカ:身近に接しやすい形をとってくれるので、他のチームに比べたらいいんじゃないかなという感じですね。しっかりと上下関係もありつつ、その中でもわりと身近に接してくれるので。
ReyCyil:野良連合を含めて今まで3チームを渡り歩いてきたんですが、そこで比較すると、接する面では選手と近いですね。
――もともと選手だったというところもあるんですかね。
ReyCyil:そうですね、接しやすくて優しいです(笑)。あと、今日インタビューがあるっていうことをkizokuさんから前日に聞かされたので、その報告は早めにしてほしいなと。
ウォッカ:基本的に突然なので、それは勘弁してほしいですね。一日20時間近くYouTubeに使ってるのに、急にそんなこと言われても(笑)。
「ずっと同じメンバーで優勝を目指したい」
野良連合(JCG部門)改め、TeamGUTS
歩いて20分ほどの別の場所に、もうひとつのゲーミングハウスがある。こちらはもともと国内リーグのJCG部門として存在していたものが、一度解体したのち改めて再結成したチームだ。こちらもゆくゆくはESLのプロリーグを目指すために準備中だという。ESL部門のチームとは何が違うのか、一度解体解体したあとなぜ再結成したのかを伺った。* * * * * * *
――こちらはさきほどの世界大会に向けたESL用チームとは違うチームなんですよね? どういう位置付けなのでしょうか?
kizoku:野良連合の『R6S』は、海外大会のESL用チームと国内大会のJCG用チーム、大会に出られない15~16歳の若い子がいる10代連合の3チーム体制なんです。日本大会には17歳から出場できるんですけど、海外大会は18歳からなので。
ChloroForM.:15~16歳でかなり強いプレイヤーがかなりいるので、その受け皿として10代チームもあります。
kizoku:10代若手チームのMaavi選手は、野良連合で一番強いです。天才ですね。
――で、その3チームあるうち、CrazyPapiyoN選手をリーダーとしたチームが国内向けということですか?
kizoku:……だったんです。2017年から2018年の始めまで5人で活動していうて、変な話なんですけど、海外大会のESL用チームよりこっちのほうが強かったんですよ。世界で勝つためにはCrazyPapiyoN選手が必要だと思い、「海外チームでリーダーをやってくれないか?」って話をしたら「いいよ」って言ってくれたんで、もともとあったJCG用チームは一回バラしたんです。
CrazyPapiyoN:でもこのタイミングで自分は一度野良連合を飛び出して、別のチームに移籍しました。そこで一定の活躍はできたのですが、新しいチーム……というか、野良連合で一緒にやっていたメンバーを中心に、世界を目指したくなったんです。
▲右から、CrazyPapiyoN選手、ChloroForM.選手、ぷらいまり選手
――それはどういう理由があったんですか?
CrazyPapiyoN:野良連合を飛び出して移籍した先のチームは方向性の違いというか、僕自身がやりたいチームと向こうのやりたいチームで意見が食い違ってしまって。
それで、kizokuさんに相談して野良連合に戻り、またかつてのメンバーと一緒に世界一を目指すことにしたんです。
ただ、ESLプロリーグの規定もあり、このチームは野良連合の名前ではなくなります。チーム監督はkizokuさんのままです。
※編集部注・2018年12月7日に野良連合公式アカウントにて、チームごとの移管と「野良連盟」の名称が発表された。その後、2019年1月4日~5日に開催された「Six Invitational 2019」日本予選では「TeamGUTS」という名称で出場した。
――ぷらいまり選手はいつごろ野良連合に入ったのでしょうか?
ぷらいまり:kizokuさんに入らないかと誘われて加入したんですが、ちょうどプロチームになる前の野良連合に所属してまして。2016年の7〜8月にPS4版で開かれたアジア大会でチャンピオンになったんですが、そのアジア大会に出ることをきっかけにプロチームになったんです。
――ChloroForM.選手も一度野良連合から抜けてますよね?
ChloroForM.:CrazyPapiyoNさんが最初に抜けたとき、チームのまとまりがなくなっちゃって。それで一回、別のところで活動してみたんです。僕もチームを動かしてみたいなと思ってたんで。結果的にはそこで得た知識を持って戻ってきました。今ならCrazyPapiyoNさんのお手伝いできるかなと。
ぷらいまり:このチームができることになったのは、CrazyPapiyoN選手が残りの4人に対して「メンバーをどんどん変えて強さを求めるのではなく、自分たちが一番やりたいと思うメンバーで長く続けて勝ちにいきたい」っていう気持ちを話してて、自分たちもそれにチャレンジしたい、と思ったことが大きいですね。
――ずっと同じメンバーで戦っていくというのは、今のeスポーツ全体の流れからすると主流ではないですよね? うまくいけばいいですが、そうならない可能性も……。
CrazyPapiyoN:これは野良連合じゃなかったらできなかったですね。「僕ら絶対に世界一を取るんで」っていう決意をkizokuさんに伝えたんですけど、それを信じてくれたんで。
「一緒に住むようになって上達速度が10倍になった」
――ゲーミングハウスで一緒に集まって生活するようになって数カ月だと思いますが、以前の練習と比べてどうでしょう?CrazyPapiyoN:2017年12月くらいにチームを作って、その翌月には日本一になってたんですよ。それくらい成長が早いチームだったんです。当時の世界大会でかなり活躍したeiNsを2-0で負かすくらい本当に強くて。でも一気に解散したので伝説のチームみたいになってます(笑)。
またそのときのメンバーで、今度は一緒に住んで同じ場所で練習できるので、密度が違いますね。あのときの2カ月くらいの練習よりも、ここの10日間のほうが濃い練習ができてます。
みんなでやって、みんなで反省して、次の日に持ち越せて、全員で進んでいく練習密度が、この部屋だと10倍くらい濃くなってますね。
▲TeamGUTSの練習場所
――そんなに違うんですか?
CrazyPapiyoN:本当にぜんぜん違いますね。上達のスピードがとんでもないので。
ChloroForM.:みんなでひとつの動画を見て、その場で反省会ができるっていうのはすごいアツいですね。
――オンラインではなかなかうまくいかなかった部分ですよね。
CrazyPapiyoN:なあなあで終わっちゃうんですよね。PCでやってるので、裏画面でTwitterや動画を見がちなんですが、僕はそれを全面的に禁止して、圧倒的に濃い時間を過ごさせることで、練習試合より反省会のほうが長いくらいの勢いなんですよ。
――ゲーミングハウスに皆で住むようになってから大会への出場は?
CrazyPapiyoN:2018年11月に行われた「AOC OPEN」という大会でいきなり優勝できたんで。
――そういう意味では、ゲーミングハウスになったメリットってものすごいある感じなんですね。
CrazyPapiyoN:誰かが見てるっていう意識があるのでサボれないというか(笑)。緊張感が生まれるので、一緒の空間でやることによって連携が高まるというのはありますね。
――これはオンラインの環境ではどうやっても作れないんですよね?
CrazyPapiyoN:絶対に作れないと思いますね。「AOC OPEN」にもかなりのプロチームが参加しててめちゃくちゃ豪華だったんですが、オフラインだとガチガチに緊張しちゃったり、うまく連携がとれてないという状況を見ていたんです。
でも僕らは今までどおりにやれてて「いつもと同じだな」っていう感じで緊張とかぜんぜんなくて。
――いつも会わない人が隣りにいるとなると違うんですね。
CrazyPapiyoN:そうなんですよ。こっちはいつも会ってるんで、そういう意味ではオフライン大会ってやりやすいですね。
――世界に行ってもそれが基本だし、場馴れという意味でも強みになると。
CrazyPapiyoN:強みになりますね。
――ESL用チームの選手にも聞いたのですが、kizokuさんはどんな方ですか?(「自分はいないほうがいいね(笑)」と、kizoku氏は席を外す)
ぷらいまり:長く在籍している身としてkizokuさんをずっと見てきたんですけど、本当に優しくていい人で。基本的に代表の方と部下ってそんな気さくには話し合えないですが、kizokuさんの場合は気さくに話し合えるし、親身になって選手ひとりひとりのことをしっかりと考えてくれて、悩みがあれば相談も聞いてくれるし、人生の先輩としてもkizokuさんは尊敬してます。
CrazyPapiyoN:距離が近いので、人生の兄貴みたいな感じで(笑)。頼りになるし、選手のことをひとりひとり思ってるのが一番大きいですね。ちゃんと見てくれてるので。
――怒られたりすることはないんですか?
CrazyPapiyoN:甘い部分があったり、やらなきゃいけないことをやってなかったらさすがに怒りますけど、その線引きはちゃんとしてるので。
ぷらいまり:野良連合には年齢的に若い人たちもいっぱいいるので、大人になるまでのプロセスというか、しっかりした人間になってほしいっていう思いもあって、「社会人としてやらなきゃいけないことはこうだからね」って教えてくれます。
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