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【LoL海外プロシーン2021】北米1部リーグ「LCS」がいよいよ開幕!新たなフォーマットとチームを一挙紹介

目次
  1. 2021シーズン、LCSのシステム変更
    1. OPL廃止にともなうオセアニア地域の編入
    2. シーズン開幕前大会「LCS Lock-In」の開催
    3. 2スプリット制の実質的な廃止、半年間の1シーズン制へ
  2. 新たなシーズンを戦うLCS出場10チーム
    1. Team SoloMid(TSM)
    2. FlyQuest
    3. Team Liquid(TL)
    4. Cloud9(C9)
    5. Evil Geniuses(EG)
    6. Golden Guardians
    7. Dignitas
    8. 100 Thieves
    9. Counter Logic Gaming
    10. Immortals
    11. 新型コロナウイルス感染拡大の影響
  3. 新しい環境のもとに繰り広げられる戦い。LCS配信情報
いよいよ各地で開幕しつつある2021シーズンの『リーグ・オブ・レジェンドLoL)』プロリーグ。新型コロナウイルス感染拡大がeスポーツ全体に暗い影を落とした2020年だったが、世界中の関係者の尽力によって『LoL』プロシーンは総決算である世界大会「Worlds」まで無事に開催を終えることができた。

新年一発目の海外リーグ動向紹介は、北米プロリーグ「LCS」だ。2021年のLCSは「Made by Many(多くの人々が作るリーグ)」をスローガンに、ロゴをはじめとしたビジュアルデザインも刷新している。さらに、競技システムに大きな変更が行われているので、まずそこから説明しよう。

2021シーズン、LCSのシステム変更

OPL廃止にともなうオセアニア地域の編入

オセアニア地域のプロリーグであった「Oceanic Pro League(OPL)」は、シーンを維持するための市場規模が得られなかったとして、2020シーズンをもって廃止となった。

廃止となったオセアニア地域は競技的に北米地域へと編入されたため、オセアニア出身の選手たちが非在住者枠を使わずにLCSチームで試合に出場することができるようになった。アカデミーリーグではすでに2020年から制限が撤廃されており、引き続きLCSチームに所属するオセアニアの選手たちもいる。オセアニア出身の選手たちにもぜひ注目してほしい。

シーズン開幕前大会「LCS Lock-In」の開催

2021年は、正式なシーズン開幕前の小規模大会が開かれることとなった。オフシーズンの選手移籍はこのタイミングではほとんど終わっているため、シーズンの趨勢を占う重要な大会となるだろう。同様の開幕前大会はLCKLPLでも例年行われているが、欧米での開催は初めてとなる。

2020シーズン夏スプリットの最終結果をもとに、10のLCS参加チームが2グループに分けられる。グループステージはシングルラウンドロビン(各対戦が1回の総当たり戦)で、Bo1(1本先取)となっている。各グループの上位4チームがノックアウトステージに進出し、ノックアウトステージではシングルエリミネーションで勝ち抜きトーナメントが行われ、大会の優勝チームが決まる。

▲LCS Lock-Inノックアウトステージのトーナメントシステム。シングルエリミネーションを採用している

2スプリット制の実質的な廃止、半年間の1シーズン制へ

▲2021シーズンのLCSフォーマット解説動画

1~4月に春スプリット、6~9月に夏スプリットと、1年に2スプリットを開催しそれぞれの王者を決定するのが『LoL』プロシーンの通例であり、LCSもずっとこれを踏襲してきた。しかし2021年からは、2~7月の期間に行う全試合の結果をもって最終的な成績を出す、1シーズン制を採用することとなった。

とはいえ2スプリット制だった頃の区切りは存在しており、ダブルラウンドロビン(同じ対戦カードが2回ある総当たり戦)が終了する3月までが春スプリットとなっている。その後、前半の順位にもとづき、春のプレイオフに相当する「Mid-Season Showdown」という大会が開催される。この大会は春夏間の国際大会である「MSI」代表選抜戦であり、優勝チームが北米代表として「Mid-Season Invitational」(MSI)に出場することになっている。

その後は4~5月がオフシーズンとなり、6月に夏スプリットがスタートする。6月からはトリプルラウンドロビン(同じ対戦カードが3回ある総当たり戦)が行われる。順位や成績は前半から引き継がれ、総当たり戦が合計で5回行われた結果から、2021シーズンの最終的な順位が決まることとなる。

8月には総決算となる「LCS Championship」が行われる。夏のプレイオフ相当の大会だが、2021シーズンの最終順位で上位8位までのチームが出場することになっている。そしてここでの上位3チームが、北米代表として「Worlds」への参加資格を得られる。

新たなシーズンを戦うLCS出場10チーム

Team SoloMid(TSM)

画像出典:Team SoloMid 公式Twitter

トップ:Huni(フニ)
ジャングル:Spica(スピカ)
ミッド:PowerOfEvil(パワーオブイービル、通称ピーオーイー)
ボット:Lost(ロスト)
サポート:SwordArt(ソードアート)
ヘッドコーチ:Bjergsen(ビャーグセン)

伝説的ミッドレーナーBjergsen選手の引退という衝撃的なシーズン終了を越えて、大規模な補強を実施したTSM。Huni選手・PowerOfEvil選手・SwordArt選手という陣容は過去のTSMメンバーの中でも群を抜いて実績のあるラインナップと言える。唯一昨年から続投のSpica選手、いち早くオセアニアから北米へ移籍していたLost選手のアカデミーからの昇格と併せてほぼ刷新されたチームとして新シーズンを迎える。

ズラリとスター選手を並べたチームであっても、成功は保証されないのが『LoL』の競技シーンである。Bjergsen新ヘッドコーチともども、チームがどのような体制を築き上げて戦いに臨むのか、大いに注目されることになるだろう。

FlyQuest

画像出典:FlyQuest 公式Twitter

トップ:Licorice(リコリス)
ジャングル:Josedeodo(ホセドゥード)
ミッド:Palafox(パラフォックス)
ボット:Johnsun(ジョンスン)
サポート:Diamond(ダイアモンド)
ヘッドコーチ:Kanani(カナーニ)

昨年の活躍を支えた強力なメンバーが全員移籍し、ほぼ新生のラインナップ。Cloud9で堅実な仕事をこなしてきたLicorice選手や、LLA(ラテンアメリカ1部リーグ)からまさかの抜擢で話題となったJosedeodo選手がすでに実績のあるプレイヤーとして耳目を集める。

一方で、残ったポジションも昨年Dignitasで頭角を現したJohnsun選手や、Cloud9アカデミーで活躍したPalafox選手、Diamond選手といった期待の若手といえるメンバーが残りを固めており、その成長次第で今シーズンでの位置が決まってくるチームとなっている。

Team Liquid(TL)

画像出典:Team Liquid 公式Twitter

トップ:Alphari(アルファリ)
ジャングル:Santorin(サントリン)※ビザ未承認のため当面はArmao選手が出場
ミッド:Jensen(ジェンセン)
ボット:Tactical(タクティカル)
サポート:CoreJJ(コアジェイジェイ。韓国ではコアジャンジョン)
ヘッドコーチ:Jatt(ジャット)

Impact選手とBroxah選手は他チームへの移籍となったが、LECからベテランのトップレーナーであるAlphari選手を獲得し、2020シーズンにFlyQuestで活躍したSantorin選手も加入しており、今年もWorldsクラスのベテランでラインナップを固めている。

昨年はスタートからメンバーが揃わないというアクシデントもあり、途中でメンバーが入れ替わるなど苦しいシーズンだったが、昨年を戦い抜いたメンバーと新たなプレイヤーたちで万全のスタートを切りたいところだ。

Cloud9(C9)

画像出典:Cloud9 公式YouTube

トップ:Fudge(ファッジ)
ジャングル:Blaber(ブラバー)
ミッド:Perkz(パークス)
ボット:Zven(ズヴェン)
サポート:Vulcan(ヴァルカン)
ヘッドコーチ:Reignover(リーンオーバー)

トップレーンでCloud9を支え続けてきたLicorice選手が脱退したものの、オセアニアからFudge選手が新たに加入。また、LEC最高のプレイヤーの一人であるPerkz選手が、G2 Esportsからまさかの移籍で大きな話題となった。北米で奮闘を続けるZven選手とは久々の合流で、昨年逃したWorlds出場を目指す新シーズンを迎える。

また、プレイヤー以外では、ヘッドコーチとして長年チームを率いてきた名将Reaperedコーチがチームを去り、Reignoverコーチを中心としたチームでどのような戦いを見せてくれるのかも注目ポイントだろう。

Evil Geniuses(EG)

画像出典:Evil Geniuses 公式Twitter

トップ:Impact(インパクト)
ジャングル:Svenskeren(スヴェンスケレン)
ミッド:Jiizuke(ジーズケ)
ボット:Deftly(デフトリィ)
サポート:IgNar(イグナー)
ヘッドコーチ:Peter Dun(ピーター ダン)

昨シーズン、LCS復帰に合わせてスター選手を揃えたものの、順位としては中位に終わったEGだが、2021シーズンはチームをさらに補強する方針を取ったようだ。Impact選手、Svenskeren選手、Jiizuke選手、Deftly選手、IgNar選手と、ほとんどがWorlds出場経験のあるプレイヤーで固められており、各レーンそれぞれから勝ちにいける構成となっている。

とはいえ、昨シーズンも豪華なメンバーだったことは確かで、コーチングスタッフの補強もさらに進めている。2020シーズンのLECで若手を率いてMAD LionsをWorlds出場へと導いたPeter Dunコーチがヘッドコーチとして加わり、LCSのトップ争いに加わる準備を整えている。

Golden Guardians

画像出典:Golden Guardians 公式YouTube

トップ:Niles(ナイルズ)
ジャングル:Iconic(アイコニック)
ミッド:Ablazeolive(アブレイズオリブ)
ボット:Stixxay(スティックセイ)
サポート:Newbie(ニュービー)
ヘッドコーチ:Inero(イネロ)

NBAチームの「Golden State Warriors」傘下の『LoL』チームとして2018以来LCSに参戦しているチーム。位置としてはほぼ中位に位置し、残念ながら優勝争いには届かないといったところになっている。2021シーズンに向けて、メンバーを刷新して全員が新たなプレイヤーとなっている。

Niles選手とIconic選手は大学リーグ強豪のメアリービル大学からプロ入りを果たした新人。Ablazeolive選手はアカデミーチームからの昇格、そしてボットがベテランのStixxay選手をCounter Logic Gamingから迎え、パートナーとしてLLA(ラテンアメリカ)のAll KnightsからNewbie選手を加えている。大学リーグからやってきた新人を筆頭に、意欲的ともいえるメンバーの戦いぶりが注目されるだろう。

Dignitas

画像出典:Dignitas 公式Facebook

トップ:FakeGod(フェイクゴッド)
ジャングル:Dardoch(ダードッチ)
ミッド:Soligo(ソリゴ)
ボット:Neo(ネオ)
サポート:aphromoo(アフロムー)
ヘッドコーチ:Thinkcard(シンクカード)

黎明期から活動していたチームが降格を経て、LCSのフランチャイズ化にともない帰ってきた古参の一角。昨年はHuni選手への巨額オファーで話題にもなった。2020シーズンは環境への適応に苦しみ、下位に甘んじる結果となったが、新シーズンに向けてチームの改編を進めてきた。

昨シーズンから続投するのは、リーグ最ベテランプレイヤーの一角であるaphromoo選手と、キャリー系のジャングルとして各チームで辣腕をふるっているDardoch選手。各レーナーには中堅のFakeGod選手、Soligo選手、そしてNeo選手が新たに名を連ねている。試合への影響の大きいポジションに武器を揃えていることもあり、準備次第では侮れない戦いを見せてくれるかもしれない。

100 Thieves

画像出典:100 Thieves 公式Twitter

トップ:Ssumday(サムデイ)
ジャングル:Closer(クローサー)
ミッド:Damonte(ダモンテ)
ボット:FBI(エフビーアイ)
サポート:huhi(フヒ)
ヘッドコーチ:Zikz(ジークス)

元『Call of Duty』プレイヤーとして知られるNadeshot氏がオーナーで、フランチャイズ制が導入された2018シーズンからLCSに参戦しているチームだ。戦績は悪くはないもののあまり安定せず、初年以来Worlds出場からは遠ざかっている。2021シーズンも、チームの大黒柱ともいえるSsumday選手を主軸に様々な地域から選手を揃えている。

ジャングルのCloser選手はTCL(トルコ1部リーグ)で頭角を現し、Damonte選手は地域外選手の多いミッドでは貴重な北米出身かつ結果も出せているプレイヤー。FBI選手はオセアニア出身で、huhi選手は元は韓国出身ながら2014以来北米で活動し、今では北米プレイヤー資格を得ているベテランだ。各地で活躍したメンバーが並ぶそのラインナップは世界中から選手を集めるLCSらしいと言えるだろう。さらにコーチングスタッフも増強し、近年は遠ざかっている優勝争いに名乗りを上げるべく、体制を整えつつある。

Counter Logic Gaming

画像出典:Counter Logic Gaming 公式Twitter

トップ:Finn(フィン)※ビザ未承認のためSolo選手が出場予定
ジャングル:Broxah(ブロクサー)※ビザ未承認のためKeel選手が出場予定
ミッド:Pobelter(ポベルター)
ボット:WildTurtle(ワイルドタートル)
サポート:Smoothie(スムージー)
ヘッドコーチ:Galen(ガレン)

TSMやDignitasと共に北米の競技シーン黎明期から活動を続けている最古参チームの一つ。かつてはDoublelift選手やaphromoo選手といった名プレイヤーも所属していた。2020シーズンは苦しい一年となったが、実績あるプレイヤーを数多く加え、今シーズンは巻き返しを図ろうとしている。

大きな補強としては、新チームであったRogueでWorlds出場を勝ち取ったFinn選手、元Fnaticで同じくWorldsの経験も豊富なBroxah選手を獲得、さらに北米出身の選手もWildTurtle選手やPobelter選手、Smoothie選手とベテランを揃えて陣容を整えている。2016年以来遠ざかっている国際大会への切符を目指して、新たなスタートを切ることができるだろうか?

Immortals

画像出典:Immortals 公式Twitter

トップ:Revenge(リベンジ)
ジャングル:Xerxe(ザーゼ)
ミッド:Insanity(インサニティ)
ボット:Raes(ライス)
サポート:Destiny(デスティニー)
ヘッドコーチ:Guilhoto(ギルホト)

DignitasやEGと共に2020シーズンからLCSに復帰したチームの一つ。意欲的な補強でトップチームだった時代もあるが、2020シーズンは残念ながら最下位に終わっている。今シーズンに向けてメンバーの多くを入れ替え、移籍市場で心機一転を図っている状況だ。

目立つ補強としては、LECからジャングルのXerxe選手を獲得し、またボットレーンにRaes選手とDestiny選手を招聘した。Destiny選手は前の所属チームこそLECチームだが、元はオセアニア出身で、Raes選手とは「Chiefs Esports Club」所属時以来のコンビ再結成となる。まずはプレイオフ進出を、そしてその先を目指すという形でチームを作りながらの戦いとなりそうだ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響

世界的な新型コロナウイルス感染拡大は、2021年に入っても猛威をふるい続けており、北米の状況も芳しくはない。

1月13日、Counter Logic Gamingの複数メンバーが新型コロナウイルスに感染したとの報道があった。また北米のeスポーツジャーナリストであるTravis Gafford氏によると、Dignitasでもスタッフとメンバーの双方に複数の感染者が出たという。

各LCSチームは定期的な検査などを行い、メンバーおよびスタッフの健康管理を徹底しているようだ。感染者が出た2チームでは練習をオンラインに切り替え、体調に大きな支障がない限りはオンライン開催の公式試合にもメンバーを変えずに出る方針とのことである。

新しい環境のもとに繰り広げられる戦い。LCS配信情報

シーズン前大会「LCS Lock-In」は、日本時間1月16日朝8時開幕となっている。1月後半の3週間の土日月に試合が行われ、4日間のグループステージを経た後、ノックアウトステージへと移行する。決勝は日本時間2月1日朝6時からの配信予定だ。

2021年の本シーズンとなる「LCS 2021 Season」は現地時間で2月5日に開幕予定。こちらの対戦スケジュールはまだ発表されていないが、開幕前大会と同様に週末の3日間に試合が行われる。

新しい選手たちが新たなシステムのもとに集うLCS。国際大会での存在感を求めてあがき続ける北米シーンに、新たな展開を期待したいところだ。

執筆:山口佐和子
執筆協力:ユラガワ

『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
LoL Esports LCS試合スケジュール(英語)
https://watch.na.lolesports.com/schedule?leagues=lcs
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LCS 2021 Spring データページ(Leaguepedia、英語)
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