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ALIENWARE × ROG対談【前編】「ROGはゲーマーのための『共和国』を目指してきた」

ALIENWAREのマーケティング担当者が、他PCメーカーのゲーミングブランドの担当者と対談していくという企画も、今回で3回目となる。

これまでに日本エイサーの「Predator」、サードウェーブの「GALLERIA」という、名だたるゲーミングPCブランドの関係者の皆さんから、それぞれのブランドへの忌憚なき意見や、eスポーツシーンへの提言まで、様々な貴重なお話を伺うことができた。

・ALIENWARE × Predator対談【前編】「エイリアンに勝つため、名前をプレデターにした」
・ALIENWARE × Predator対談【後編】「eSportsの普及でやるべきことは賞金ではない」
・ALIENWARE × GALLERIA対談【前編】「売れ筋ゲーミングPCはこの1年で大きく変わった」
・ALIENWARE × GALLERIA対談【後編】「LFS池袋には私の経験のすべてを詰め込んだ」

今回実現した対談は、ALIENWARE × ROG(Republic Of Gamers)。ALIENWAREマーケティングシニアマネージャーの柳澤真吾氏が、2018年3月に東京・赤坂にオープンした、ASUS JAPANのオフィシャルストア『ASUS Store Akasaka』を訪問し、「ROG」ブランドのマーケティングも担当する、ASUS JAPAN システムマーケティング部部長シンシア・テン氏と、それぞれのPCブランドについてや、昨今のPCゲームやeスポーツについてなど、幅広い話題について盛り上がった。

ALIENWAREマーケティングシニアマネージャーの柳澤真吾氏(写真左)とASUS JAPAN システムマーケティング部部長シンシア・テン氏

前編となる今回の記事では、ブランド名の由来や各社のストアに込めたコンセプトなど、ストアの製品を眺めつつ話すうちに自然と始まった、思い出話の部分を中心にお伝えしていく。

BTOなしでも人気のROG、その由来をたどる

ALIENWARE 柳澤真吾氏(以下、柳澤):こうしてストアを拝見すると思い出してきますが、元々ROGなどの製品は、量販店に置いてあることが多かったイメージがありますね。販路としては直販よりも、量販店というチャンネルを昔から活用して成長されてきたように感じます。

ROG シンシア・テン氏(以下、シンシア):そうですね。今はこちらの直営店とオンラインストアが、日本国内では唯一の直販ルートになります。とはいえ、直販でもまだBTO(各パーツをユーザーが指定できる受注生産)の準備ができていなかったり、直販ならではのカスタマイズモデルのご用意が少なかったりと、まだまだ課題はありますね。

柳澤:実はそこが面白いと思っていまして。BTOなしでここまでお客さんのニーズを捉えているのはすごく興味深いんです。

シンシア:ブランドの由来によるところも大きいかと思います。ROGの12年前の日本での立ち上げには私も関わっていましたが、最初に日本市場に参入した時はマザーボードでした。一般的なマザーボードと差別化するために、とことん「オーバークロックに強い」ということにフォーカスして訴求してきたんです。

製品がオーバークロックに強いのはもちろん、メッセージも浸透して、ROG PCを販売する際には、「オーバークロックに強いハイエンドPC」というイメージが量販店を通じて浸透していったんだと思います。

柳澤:たしかにROGって、いいパーツをお使いですよね。メーカーによっては一部のパーツについては妥協しているところも多い中で、ノートパソコンなどにもいい部品が使われているなぁと。一回分解してみたいです(笑)。


シンシア:うちはメディアレビューに出す時に、元の状態に戻せれば基本分解OKにしています(笑)。ちなみに、ROG以前のASUSブランドのノートパソコンだと、「Zenbook」や「ランボルギーニ」になりますね。

柳澤:ランボルギーニ!?

シンシア:2006年にランボルギーニとコラボレーションして、発表会も麻布のランボルギーニのディーラーでやったんですよ。2006年にASUSが日本で最初のノートパソコンを発表した時のモデルは、ランボルギーニコラボモデルと、天板に革張りのノートパソコンだったんです。

当時私も関わっていたのでよく覚えているんですけど、ASUSノートパソコンは世界で今ほど知名度がなかったこともあり、ランボルギーニモデルなどで開発からプロモーションの協業まで全世界で仕掛けていきました。日本でも大々的にプロモーションをさせていただきました。様々なプロモーションをしてきましたが、日本で一気に名前を知られるようになったのはやはり「Eee PC」からですかね。このネットブックが2008年発売でした。


柳澤:そちらは覚えていますね! 小さなネットブックとか。懐かしいですね。

シンシア:ゲーミングモデルのノートですと、最初は……思い出しました、「ASUS G1S」ですね。今はよく見られるネオンやWASDハイライトなどを先んじて施したモデルだったんですけど、そのあと一気にASUSのゲーミングモデルが有名になったのは、NVIDIA 3D Visionに対応した「ROG G51Jx 3D」です。ちなみに、型番の「G」はGamingの「G」ですよ。

時流に先んじて生まれた「ゲーマーのための共和国」

柳澤:ところで、改めてお聞きしたいんですが、「ROG」というブランドネームはどんなところから生まれたんですか?

シンシア:
ブランドの開発者と直接話したことがあり、公の場でこの話をするのは実は初めてです。本人いわく、ROGは「Republic of Gamers」の略で、ネーミングはバナナ・リパブリック(アメリカの衣料品製造企業)の社名からヒントを得たそうです。「Republic」という単語の響きがいいのはもちろん、Republic=共和国というコミュニティの中で、みんなでゲームを遊んで、語り合って、戦い合って、楽しみ合う、という意味を込めています。

柳澤:それは、初めて知りました。

シンシア:12年前ですと、「ゲーマー向け」という考え方は今ほど当たり前ではなくて、PCの使い方も様々で、細かくカテゴライズされていませんでした。その状況の中で、PCゲームの大好きな開発者がゲーミングPCを自作する人に向けて特化した、ゲーマーのためのゲーミングブランドを作ろう、そして、みんなでRepublic=共和国で語り合って、戦い合って、楽しみ合おうというのがROGブランドの開発コンセプトでした。

最初、ASUSというブランドがあるのになぜもうひとつブランドを作るのかという反対意見もあったのですが、ユーザーのフィードバックや投票によって、生き残っていったそうです。

柳澤:社内で戦った歴史もあったんですね。

シンシア:こういう成り立ちのブランドですから、ゲーマー向けという点については根本であり、今後も絶対に変わりません。台湾本社にeスポーツの大会で使うようなスタジアムが、検証などのために用意されているくらいですから、「ゲーマーのためのゲーミングブランド」というコンセプトについては今後も継続していきます。


柳澤:うちの場合は、そこまで揉めることもなかったんですよね。ALIENWAREはもともと別の会社で、2006年にデルがトップの方針としてこれを買い取って、かつブランドはALIENWAREのままでやっていくと、独立は最初からかなり担保されていたんです。

その点はALIENWAREは本当に恵まれていると思っていまして。ALIENWAREは自由にマーケティングできる幅がデルブランド製品に比べると大きいですね。そこがユーザーさんの支持につながる一助にもなっているんだと思います。「ALIENWARE ZONE」も含めて、いろいろな施策ができますからね。

シンシア:ROGも12年後の今となっては製品ラインナップも多くなって、それぞれを独立した事業グループに分けていることもありますが、いかにASUSとROG、2つのブランド特徴や各事業グループでゲーマーのために連携をとっていくかが、ROGブランド普及の今後の課題だと思います。

なぜ赤坂に? 両社のストア展開の意図とは

柳澤:そういえば、こちらのストアにはデスクトップの製品があまり置いてありませんが、それにも何か理由があるんですか?

シンシア:弊社は市場の需要に合わせて、ノートパソコンのラインナップを多くしています。あとはスペースの問題ですね。弊社の販売するノートパソコンについても現段階ではBTOはできませんが、このストアではメモリとストレージの増設を承っています。


柳澤:あと、ストアをこの赤坂に構えたのはなぜでしょうか? ビジネス街のただ中ですよね?

シンシア:ここはリペアサービスと物販を両方兼ねていまして、ストアの裏側で修理も行っているんですよ。修理に持っていく時に、人が多くて混み混みの地域だったり、駅から遠かったりするとユーザーさんにストレスが溜まると考えると、駅にすごく近くて交通の便が良く、土日でも混雑しない赤坂という立地が選定の理由になりました。秋葉原も検討していたんですが、なかなかご縁の物件はありませんでした(笑)。

柳澤:こういうショップをやるという話になると新宿や銀座が多くて、赤坂はビジネス街だから……という話になりそうなところですが、納得ですね。

シンシア:販売ではなくカスタマサービスがメインだからこそ、ですね。「行きやすい」というところが、とても重要だと思います。

あと、すぐ近くにビックカメラさんがありますが、良いカスタマサービスを提供することで、販売の競合ではなく、むしろ量販店の近くにメーカーのダイレクトサービスがあってよかった、と思ってもらえるようなサービスを継続的に提供できればと考えています。

柳澤:サービスセンターが近くにあることで、量販店と補い合って共存できるというわけですね。サービスを中心とした発想は今までなかなかなかったもので、面白く感じますね。

シンシア:逆に、私も秋葉原にある「ALIENWARE STORE AKIBA」に伺ったのですが、ひとつひとつのマシンに違うメーカーのアクセサリーをつなげているのを拝見して、他社さんと競合するのではなく、みんなで盛り上げていこうという姿勢に共感しました。あと、外国人のお客さんが多いですよね。

柳澤:ゲーマーの方にはマウスとキーボードに自分だけのこだわりがある場合が多くて、純正キーボードやマウスだけでなく、我々がオフィシャルで使っているものやそれ以外のものも置いて、ぜひ試してみてほしいという考えがありまして。それと外国人の方はすごくALIENWAREが好きですね(笑)。こちらのストアにも、台湾の方が多く立ち寄られたりするのでは?

シンシア:そうでもないんですよ。日本での私たちの客層は、30~60代の方が7割です。なので夕方になると、ビジネスマンの皆さんが来られることが多いですね。ほかには赤坂エクセルホテル東急さんが近いから、中国系の方が旅行のついでに寄られたりしますね。ASUSの名前を冠したストアは世界でも初めての試みですし。


柳澤:秋葉原にショップがあると、機械モノが好きな外国人の皆さんはたいてい寄ってくださるんです。なかなか買ってもらえるわけじゃないんですけど(笑)。秋葉原のストアについては、配信なども含めていろいろなイベントができるスペースとしてもやっていければ。

シンシア:製品を売る、というコンセプトのショップではないわけですね。

柳澤:売れたらベストですが、我々としてはお客様との接点としての意義を第一に考えています。ストアから入ってくる情報なども大事にしていて、いわばブランディングストアなんです。でも、売れてくれれば予算が厳しい時でも安泰ですから(笑)。

シンシア:それは大事ですね、とても大事(笑)。私たちも同じで、アンテナショップということで9月で開店して半年のハーフイヤー・アニバーサリーのイベントなどを開催して、まずは接点として、皆さんに来ていただけるように活動しています。マーケティング担当者の立場としても、ストアでの自社製品発表会なども今後さらにやっていきたいですね。

(後編に続く)

■関連リンク
ALIENWARE
https://www.dell.com/ja-jp/gaming
ROG
https://www.asus.com/jp/ROG-Republic-Of-Gamers/
ASUS
https://www.asus.com/jp/
ASUS Store Akasaka
https://www.asus.com/jp/Static_WebPage/ASUS-Store-Akasaka/
ALIENWARE STORE AKIBA公式Twitter
https://twitter.com/aws_akiba

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