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カプコンプロツアー最終戦! 「カプコンカップ2018」トップ8をレポート!
目次
去る12月14日~16日、アメリカ・ラスベガスにて2018年プロツアーの覇者を決める「カプコンカップ2018」が開催された。1年を通して争われてきたプロツアーのランキング上位者と、世界各地域の代表、最終予選通過者、そして前年優勝者という選ばれた者にしか参加権利があたえられないこの大会は、参加権を持つ32名のプレイヤーがトーナメントで優勝を競う。優勝者にはカプコンプロツアー2018 最強の栄誉と、賞金25万ドルが与えられる、まさに2018年の総決算とも言える大会となっている。
■カプコンカップ2018日本語実況URL
・トップ32~トップ8まで
【OPENREC.tv CAPCOM_eSportsチャンネル】https://www.openrec.tv/live/lRBzaGdL82
【TWITCH capcomfighters_jpチャンネル】https://www.twitch.tv/videos/349480927
・トップ8~フィナーレまで
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波乱のトーナメントを勝ち上がり、
最終予選を含めて3日間にわたって開催された今年のカプコンカップ。波乱とドラマが繰り返されるトーナメントでは、圧倒的なポイントでプロツアーのグローバルランキング一位を独走していたときど選手、そして8月に開催された格闘ゲームの祭典「EVO2018」の優勝者であるProblem X選手までもがトップ8に残れず敗退という事態が発生。誰が優勝するのかまったく予想がつかない状態になっていた。トップ8に残った8人の、優勝にいたるまでのトーナメント表は以下のとおり。
ガチくん選手はボンちゃん選手がかりんを使ってくると予想していたが、ボンちゃん選手がピックアップしたのはナッシュ。ボンちゃん選手いわく“至高の組み合わせ”という、本作の面白さが凝縮されたラシード vs ナッシュの対戦はお互いの練度も高く、理詰めで相手を追い込んでいくかのような技術戦となった。
【ウィナーズセミファイナル第1試合】
〇ガチくん(3-2)ボンちゃん×
※ガチくんがウィナーズファイナル進出。負けたボンちゃんはルーザーズ側へ。
【ウィナーズセミファイナル第2試合】
〇藤村(3-1)Justin Wong×
※藤村がウィナーズファイナル進出。負けたJustin Wongはルーザーズ側へ。
【ルーザーズトップ8第1試合】
×AngryBird(1-3)板橋ザンキエフ〇
※前日に続き2敗目となるAngryBirdは敗退(最終順位は7位タイ)。板橋ザンギエフがルーザーズクォーターファイナルに進出。
【ルーザーズトップ8第2試合】
〇Xian(3-1)ももち×
※前日に続き2敗目となるももちはここで敗退(7位タイ)。Xianがルーザーズクォーターファイナルに進出。
かくして試合は始まり、大方の予想通り、Justin Wong選手のメナトに決定的なダメージを与えられないまま、板橋ザンギエフ選手が近づけない展開。それも、絶望的とも言える試合展開で対戦は進んでいく。
【ルーザーズクォーターファイナル第1試合】
×Justin Wong(2-3)板橋ザンキエフ〇
※板橋ザンギエフがルーザーズセミファイナルに進出。2敗目となるJustin Wongは敗退(5位タイ)。
【ルーザーズクォーターファイナル第2試合】
×ボンちゃん(2-3)Xian〇
※Xianがルーザーズセミファイナルに進出。2敗目となるボンちゃんは敗退(5位タイ)。
だがその対面に立つガチくん選手はどうだろうか。ここ最近の戦績や配信での発言、今シーズンの成績を見ると、この場所にガチくん選手が立っている可能性は低くない。誰もが「ガチくん選手なら優勝しても不思議じゃない」、そう思えるだけの活躍をしていたのだ。そんな実力的には十分のはずのガチくん選手であっても、こうして藤村選手と並び立っている光景には一種の感動をおぼえてしまう。
カプコンカップという場の大きさがそう思わせるのか、鬼神のような強さのときど選手を破ったという実績か、それとも対面する藤村選手のあまりの強さがガチくん選手を照らし出すしているのか、これに勝ったら本当にシンデレラストーリーだぞ、という空気がガチくん選手を後押しする中、ウィナーズファイナルのゴングが鳴った。
【ウィナーズファイナル】
〇ガチくん(3-2)藤村×
※ガチくんがグランドファイナルに進出。藤村はルーザーズへ。
また、この時点で確定しているトップ4でXian選手以外はすべて日本人選手。ここで板橋ザンギエフ選手が勝てば、ストⅤになってから初の日本人によるカプコンカップ制覇が確定する。Justin Wong戦の興奮もあり、日本人としては板橋ザンギエフ選手を応援していたことだろう。
【ルーザーズセミファイナル】
〇板橋ザンギエフ(3-1)Xian×
※板橋ザンギエフがルーザーズファイナルに進出。Xianはここで敗退(4位)。日本選手のベスト3独占が確定。
グランドファイナルで待つガチくん選手への対戦がかかったルーザーズ側トーナメントの最終戦だ。
【ルーザーズファイナル】
×藤村(2-3)板橋ザンギエフ〇
※板橋ザンギエフがグランドファイナルに進出。2敗となる藤村はここで敗退(3位)。
この一年をしめくくる最後の戦いが始まった。
【グランドファイナル】
×ガチくん(0-3)板橋ザンギエフ〇
※ガチくん選手も1敗となり、お互いがルーザーズの状態で勝負はグランドファイナル2へ。
【グランドファイナル2】
〇ガチくん(3-1)板橋ザンギエフ×
※ガチくんがカプコンカップ2018優勝!
まさに現在最強のプレイヤー32名によるトーナメントを制し、2018年最強の座と、優勝賞金25万ドルを獲得したのは日本のガチくん選手。
じつは日本人選手の優勝はカプコンプロツアーの種目が『ストリートファイターⅤ』シリーズになってからは初。毎年、カプコンカップへは多くの日本人選手が参戦するも、2016年はアメリカのNuckleDu選手、2017年はドミニカのMenaRD選手と、海外で躍進してきた若手プレイヤーが優勝を飾ってきたのである。
そこに並んで優勝した日本人プレイヤーが、シーズン中に鬼神のごとき強さを見せつけたベテランたちではなく、26歳のガチくん選手というのがまた面白い。国内ではベテラン勢の存在感があまりに強いため、ガチくん選手の躍進はシンデレラボーイの趣もあるが、格闘ゲームに本腰を入れる環境づくりのために広島から上京して1年半、地道に努力を積み重ねてきたうえでのレッドブルからのスポンサード獲得、そしてこの戴冠であることは強く記しておきたい。プレイ内容も、人柄も、実直そのものな若者の勝利という、最高のハッピーエンドで2018年のカプコンプロツアーは幕をおろしたのだった。
ガチくん本当におめでとう!
そして1年間、我々を楽しませてくれたプレイヤーたち全員に称賛と祝福を。
■カプコンカップ2018 最終結果
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ストリートファイターV アーケードエディション
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■カプコンカップ2018日本語実況URL
・トップ32~トップ8まで
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・トップ8~フィナーレまで
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波乱のトーナメントを勝ち上がり、
トップ8に勝ち残ったのはこの8人!!
最終予選を含めて3日間にわたって開催された今年のカプコンカップ。波乱とドラマが繰り返されるトーナメントでは、圧倒的なポイントでプロツアーのグローバルランキング一位を独走していたときど選手、そして8月に開催された格闘ゲームの祭典「EVO2018」の優勝者であるProblem X選手までもがトップ8に残れず敗退という事態が発生。誰が優勝するのかまったく予想がつかない状態になっていた。トップ8に残った8人の、優勝にいたるまでのトーナメント表は以下のとおり。ウィナーズセミファイナル
ガチくん選手 vs ボンちゃん選手
優勝候補筆頭とも言えるときど選手を含め、Bigbird選手、板橋ザンギエフ選手すべてを3-0のストレートで下してノリに乗っているガチくん選手に対するは、sako選手のミスで拾った命でChris T選手を破り勝ち上がってきたボンちゃん選手。トップ8第一試合はレッドブルアスリート同士の対戦となった。ガチくん選手はボンちゃん選手がかりんを使ってくると予想していたが、ボンちゃん選手がピックアップしたのはナッシュ。ボンちゃん選手いわく“至高の組み合わせ”という、本作の面白さが凝縮されたラシード vs ナッシュの対戦はお互いの練度も高く、理詰めで相手を追い込んでいくかのような技術戦となった。
▲グローバルランキングで独走状態だったときど選手をまさかの3-0で下してトップ8に進出してきたガチくん選手。牽制を駆使してときど選手の接近を許さない、強い勝ち方だった
▲一方のボンちゃん選手はsako選手の連続技ミスで命を拾ってのトップ8進出。連続技の難易度に妥協せず、自分らしい姿勢を見せ続けたsako選手の矜持にも拍手
▲お互いに手の内を知る者同士の駆け引きが続く。仕掛けるタイミングがバレたら止められてしまう攻め手を、タイミングをずらしながら丁寧に積み重ねていくガチくん選手に対し、ボンちゃん選手は珍しく大胆な読みを見せていく
▲互角の攻防の末、3-2で競り勝ったのは勢いに乗るガチくん選手。ついにウィナーズファイナルに駒を進める。おそらく、上がって来るのはあの男だ……
【ウィナーズセミファイナル第1試合】
〇ガチくん(3-2)ボンちゃん×
※ガチくんがウィナーズファイナル進出。負けたボンちゃんはルーザーズ側へ。
藤村選手 vs Justin Wong選手
ウィナーズトップ8、もうひと組の対戦はグローバルランキングでときど選手と並ぶ2位につけ、あまりの戦績に魔王の如き存在感を放つ藤村選手と、”アメリカのウメハラ”とも言うべき古豪Justin Wong選手の顔合わせ。いつものように通常技での牽制と対空だけの超シンプルな試合の組み立てでマゴ選手、Problem X選手を撃破して来たJustin Wong選手だが、Caba選手、ストーム久保選手に手も足も出させず圧倒してきた魔王・藤村選手を見てしまうと、これに勝てるプレイヤーはいないのではないか、と思わされる。そんな雰囲気の中始まった試合は意外な展開を見せる。
▲この試合の前のJustin Wong選手のProblem X戦は衝撃だった。EVO2018を制したあのProblem X選手が、ほぼ通常技だけののらりくらりとした立ち回りに阻まれ近づけないままに体力を奪われ、そのまま敗退してしまった
▲対する藤村選手はCaba選手、ストーム久保選手を一方的とも言える内容で撃破してのトップ8。その内容が圧倒的すぎて、Justin Wong選手といえども、立ち向かえる気はしていなかったが……
▲あれ……? 藤村選手相手にもこののらりくらりは通用するのか……!? 相手が動きたいところに技を出す、そのシンプルな格闘ゲームのルールを極めたJustin Wong選手が先行
▲そう来るならば、とシフトチェンジをした藤村選手。遠距離では徹底的に近づかず飛び道具連打、近づけば強引なまでの高速な攻めで防御を崩していく。こうなるともう手が付けられず、気が付けば藤村選手が3-1で勝利!
【ウィナーズセミファイナル第2試合】
〇藤村(3-1)Justin Wong×
※藤村がウィナーズファイナル進出。負けたJustin Wongはルーザーズ側へ。
ルーザーズトップ8
AngryBird選手 vs 板橋ザンギエフ選手
大会初戦でときど選手に敗れたものの、ルーザーズ側トーナメントでBigBird選手、マゴ選手、NuckleDu選手、さらにはChris T選手までもを高火力な攻めで破って来た是空使いのパイオニア、AngryBird選手と、ウィナーズ側でガチくん選手に敗れはしたものの、NuckleDu選手やももち選手、Caba選手を叩き潰して絶好調の板橋ザンギエフ選手の対戦。お互いに高火力な攻めを持つプレイヤー同士の顔合わせとなったが、簡単に上からの攻めを許さない板橋ザンギエフ選手が随所で相手の連携に割り込み、3-1で勝利した。
▲使い手の少ない是空を使って奇跡の勝利を起こし続けてきたAngryBird選手だったが、板橋ザンギエフ選手の巧みな割り込みに攻めを阻まれ、タフなアビゲイルの体力を削り切れず。簡単には相手の攻めを開始させない板橋ザンギエフ選手の技置きはさすがの重量級キャラ使いといったところか
【ルーザーズトップ8第1試合】
×AngryBird(1-3)板橋ザンキエフ〇
※前日に続き2敗目となるAngryBirdは敗退(最終順位は7位タイ)。板橋ザンギエフがルーザーズクォーターファイナルに進出。
Xian選手 vs ももち選手
ルーザーズトップ8での大一番は、ルーザーズ側トーナメントで多くの強豪に引導を渡してきたサバイバー同士の対決。Xian選手はsako選手、Xiaohai選手、Problem X選手に引導を渡しての勝ち残り、ももち選手はMenaRD選手、ときど選手、ストーム久保選手にとどめをさしてここまで勝ち残っている。独特の連携で開いてを崩すシンガポールの英雄Xian選手と、研ぎ澄まされた集中力で相手の攻めを防ぎ切り、チャンスと見るや一気に攻め崩すスタイルのももち選手の試合は、このふたりならではの天才対決とも呼べる攻防となった。
▲最強のライバル、ときど選手に引導を渡してここまで生き残ってきたももち選手。お互いに絶対に負けたくない相手であるということが表情から伝わってくる。あまりにエモーショナルで、あまりに尊い。このぶつかり合いが見られることは幸福だ
▲同じくとんでもない相手を倒してここまで勝ち上がってきたXian選手の圧倒的な攻めがももち選手に襲いかかる。立ちガードか、しゃがみガードか? 右、左か? もわからない連係がももちの鉄壁のガードを突き破る
▲自宅での練習と同じ、あぐら体勢をとったフルニンジャモードのももち選手はすさまじい集中力を発揮。相手の前ダッシュが見えたらすべて止め、攻撃を読んだら相手の技を受け流す必殺技でさらに大きなダメージを返していく
▲最後はXian選手の攻めが上回った。ここ一番の集中力のすさまじさで見る者すべてを沸かせたももち選手はここで敗退
【ルーザーズトップ8第2試合】
〇Xian(3-1)ももち×
※前日に続き2敗目となるももちはここで敗退(7位タイ)。Xianがルーザーズクォーターファイナルに進出。
ルーザーズクォーターファイナル
Justin Wong選手 vs 板橋ザンギエフ選手
最悪。何が何でも生き残りたい板橋ザンギエフ選手にとって、考え得る限り最悪の組み合わせが実現してしまった。自身が使うアビゲイルよりも攻撃のリーチが長いメナト使いというだけで厄介なのに、それを駆るプレイヤーが徹底したリスク管理と魔術的なまでの当て勘でここまで昇りつめて来たJustin Wong選手なのだから。事実、今シーズンのJustin Wong選手との対戦成績は大きく負け越しており、このめぐりあわせにはさすがの板橋ザンギエフ選手も苦笑せざるを得ないだろう。かくして試合は始まり、大方の予想通り、Justin Wong選手のメナトに決定的なダメージを与えられないまま、板橋ザンギエフ選手が近づけない展開。それも、絶望的とも言える試合展開で対戦は進んでいく。
▲相手がガードしてないときに技を当てる――そのシンプルにして究極の格闘ゲームの勝ち方を体現して見せるようなJustin Wong選手の戦術。長年の経験による当て勘だけで、板橋ザンギエフ選手のアビゲイルが突き放され、体力を奪われていく
▲ラウンドの初めにラッシュを通してギリギリまで追い詰めてもまったくブレず、しっかり時間を使って突き放してくるJustin Wong選手。センスだけではない、大舞台の経験も豊富なベテランの風格
▲画面上部の体力・星取の状況がわかるだろうか。あと一発、技を食らったら板橋ザンギエフ選手のカプコンカップは終わってしまう、その状況からの猛反撃開始。ここからはJustin Wong選手の攻撃を読み切ったように、板橋ザンギエフ選手の攻撃が通る、通る、通る。「まさか、あるのか?」動画勢のコメントも盛り上がる
▲そしてついに、大大大逆転勝利。絶望的なまでの立ち回りのキツさ、敗戦寸前までの体力差を見せられて、どれだけの人が板橋ザンギエフ選手の勝利を信じていただろうか。現地アメリカのベテランの敗退にもかかわらず、この奇跡的な逆転劇には大きな喝采が巻き起こった。読み合い大好き人間のこの男、まさか最初の3試合を使って達人Justin Wong選手の技振りのクセを読み取っていたとでもいうのか!?
【ルーザーズクォーターファイナル第1試合】
×Justin Wong(2-3)板橋ザンキエフ〇
※板橋ザンギエフがルーザーズセミファイナルに進出。2敗目となるJustin Wongは敗退(5位タイ)。
ボンちゃん vs Xian
ルーザーズクォーターファイナル二戦目はボンちゃん選手とXian選手の顔合わせ。Xian選手の独創的な攻めをしのいだ機会に高火力の反撃を入れようという判断か、ボンちゃんはかりんを選択。芸術的な攻めと芸術的な守りの好試合に期待が高まった。
▲先行したのはボンちゃん選手。絶妙な間合いからXian選手の技の空振りや歩きなど、隙をついて高火力の連続技を決めていく。自分のしゃがみ中キックがヒットしているのを見てからすかさず必殺技につなぐ集中力もすさまじい。だがもちろん、このまま倒されるXian選手ではなかった
▲攻め方を変えたということか、Xian選手の攻めが通り始める。上から下から、表から裏から、変幻自在な攻めをしのぐボンちゃん選手。Xian選手の対戦リプレイを見まくって癖を研究しているのだろうか。勝敗は2-2のイーブンへ
▲最後はXian選手のVトリガー2による崩しが通ってXian選手の勝利。板橋ザンギエフ選手が待つルーザーズセミファイナルへと駒を進めた
【ルーザーズクォーターファイナル第2試合】
×ボンちゃん(2-3)Xian〇
※Xianがルーザーズセミファイナルに進出。2敗目となるボンちゃんは敗退(5位タイ)。
ウィナーズファイナル
ガチくん選手 vs 藤村選手
2018年最強の32人が集まったトーナメント戦で、一度も負けずに勝ち上がった2人はガチくん選手と藤村選手。藤村選手がここまで上がって来るのは、誰も驚かなかっただろう。今シーズンの藤村選手の強さはこの強豪ひしめくカプコンカップ本戦の面々と比べても明らかに頭ひとつ抜けていた。だがその対面に立つガチくん選手はどうだろうか。ここ最近の戦績や配信での発言、今シーズンの成績を見ると、この場所にガチくん選手が立っている可能性は低くない。誰もが「ガチくん選手なら優勝しても不思議じゃない」、そう思えるだけの活躍をしていたのだ。そんな実力的には十分のはずのガチくん選手であっても、こうして藤村選手と並び立っている光景には一種の感動をおぼえてしまう。
カプコンカップという場の大きさがそう思わせるのか、鬼神のような強さのときど選手を破ったという実績か、それとも対面する藤村選手のあまりの強さがガチくん選手を照らし出すしているのか、これに勝ったら本当にシンデレラストーリーだぞ、という空気がガチくん選手を後押しする中、ウィナーズファイナルのゴングが鳴った。
▲無敗でここまで上がって来たのはガチくん選手と藤村選手。実は藤村選手は3年連続でカプコンカップのベスト8入りを果たしている(以前のプレイヤーネームは「ゆかどん」)。この場に立つという偉業が順当のように思われてしまう重圧は想像を絶するものだっただろう。この試合も例外ではなく、藤村選手はその重圧とも戦うことになる
▲ガチくんが先行してラウンドを取るも、そのまま倒せるような藤村選手ではない。たった一発のヒットを起点に、一気にガチくん選手が操るラシードの体力を奪い去る。ガチくん選手はこの大会中初めて相手に勝利数の先行を許すことになる
▲勝機と見たときの藤村選手の仕掛けは完璧。あっと言う間に勝敗カウントは2-0となり、藤村選手がグランドファイナル進出にリーチ
▲2-0に追い込まれた後、ガチくん選手の戦術が功を奏しはじめる。なんとそこから一気に2-2まで盛り返し、お互いにリーチ! これはあり得るのか!?
▲大逆転をモノにし、勝利したのはガチくん選手。今シーズン圧倒的な強さを見せるときど選手、藤村選手を直接対決で撃破してのグランドファイナル進出、この勢いは本物だ
【ウィナーズファイナル】
〇ガチくん(3-2)藤村×
※ガチくんがグランドファイナルに進出。藤村はルーザーズへ。
ルーザーズセミファイナル
板橋ザンギエフ選手 vs Xian選手
ルーザーズ側トーナメントを生き残ってきたサバイバー同士の対決は、日本の強豪たちとのハイレベルな技術戦で撃破して来たXian選手のいぶきと、最強の天敵に奇跡の大逆転勝利をおさめて命をつないだ板橋ザンギエフ選手が駆るアビゲイルの対戦。キャラクターの相性的には、あまりに巨体のアビゲイルが振る技のリーチが長いため、いぶきが得意とする攻撃を止められやすい組み合わせと言われている。また、この時点で確定しているトップ4でXian選手以外はすべて日本人選手。ここで板橋ザンギエフ選手が勝てば、ストⅤになってから初の日本人によるカプコンカップ制覇が確定する。Justin Wong戦の興奮もあり、日本人としては板橋ザンギエフ選手を応援していたことだろう。
▲板橋ザンギエフ選手、Xian選手ともに序盤戦から大ダメージ狙いの大きな選択肢を迫っていく試合展開
▲危険な攻撃を繰り出す板橋ザンギエフ選手の隙に対して、針の穴を通すようにしっかり反撃を狙っていくXian選手。だが、あまりにも板橋ザンギエフ選手の読み合いが強すぎる
▲生き残ったのは板橋ザンギエフ選手。これで藤村選手の待つルーザーズファイナルに進出
【ルーザーズセミファイナル】
〇板橋ザンギエフ(3-1)Xian×
※板橋ザンギエフがルーザーズファイナルに進出。Xianはここで敗退(4位)。日本選手のベスト3独占が確定。
ルーザーズファイナル
藤村選手 vs 板橋ザンギエフ選手
Xian選手のいぶきを振り切ってルーザーズトーナメントを勝ち上がってきた板橋ザンギエフと、ウィナーズファイナルでついに一敗を喫してルーザーズ側に落とされた藤村選手の対戦。板橋ザンギエフ選手からすると、Xian選手に続き2連戦となるいぶき戦。Xian選手のいぶきには、やりたいことをさせず圧殺することに成功したが、魔王・藤村選手のいぶきをも飲み込むことができるのか。グランドファイナルで待つガチくん選手への対戦がかかったルーザーズ側トーナメントの最終戦だ。
▲いぶきに何もさせまいと、リーチで押さえ込みにいくアビゲイル。リーチで対抗しようと藤村選手がVスキルを出せば、今度は飛ばれている。試合は板橋ザンギエフ選手の術中にいるかのような展開で幕を開ける
▲それでも一方的な展開を許さない藤村選手。アビゲイルやザンギエフなどの巨漢キャラにしか入らないというマニアックな技で試合を取り返してみせる。先行された状況でもまったくメンタルがブレないのも藤村選手の強さと実績の一因か
▲いぶきの必殺のVトリガーにもしっかりと解答を用意して来ている板橋ザンギエフ選手。1戦ずつ勝利を獲得していくシーソーゲームの末、セットカウントはフルセット、フルラウンドに
▲最後の最後、勝敗を決めるラウンドの開始時に、そこまでアビゲイルがばら撒いてきた種が実る。その体力差を覆すのはあまりにも厳しく板橋ザンギエフ選手が勝利。藤村選手を悪手で送り出した瞬間から、すぐに”板橋メモ”でガチくん選手が駆るラシード対策の復習を始める板橋ザンギエフ選手。グランドファイナル、勝つのはどっちだ!?
【ルーザーズファイナル】
×藤村(2-3)板橋ザンギエフ〇
※板橋ザンギエフがグランドファイナルに進出。2敗となる藤村はここで敗退(3位)。
グランドファイナル
ガチくん選手 vs 板橋ザンギエフ選手
1年を通して戦ってきたカプコンプロツアー、最後の舞台にたどりついたふたりはガチくん選手と板橋ザンギエフ選手。ここまで一度も負けることなく超実力派のベテラン勢と競り合い、ことごとくそれを制してきたガチくん選手のラシードが勝つのか? それともルーザーズ側に次々に降りて来る強豪に対し、強烈な読みの鋭さでねじ伏せ生き延びてきた板橋ザンギエフ選手のアビゲイルか?この一年をしめくくる最後の戦いが始まった。
▲グランドファイナル前の両社の表情。ルーザーズ側で後がない板橋ザンギエフ選手のほうが明らかにリラックスしてゲームを楽しんでいる。何しろ1年間、戦い続けて単身ブラジルまで遠征した男である。格闘ゲーム人生でくぐってきた修羅場の数は歴然としているが、はたして?
▲遠距離戦も多い慎重な立ち上がり。長いリーチを活かしてじっくり攻めるのは板橋ザンギエフ選手のアビゲイル。ガチくん選手はその展開を崩さなけばならない
▲恐るべき集中力でガチくんの展開を作らせず機先を制していく板橋ザンギエフ選手。初戦はなんと2ラウンドともタイムアップになるようなじっくりした展開に
▲ここぞというところの読みで板橋ザンギエフ選手が上回る。アビゲイルの勢いを止められないままにセットカウント3-0のストレートで板橋ザンギエフ選手がガチくんに勝利。これでガチくん選手も1敗を喫し、ルーザーズの板橋ザンギエフ選手と完全に条件が横並びとなる。この展開を止められないままあと1試合板橋ザンギエフ選手が勝てば、板橋ザンギエフ選手が優勝となる
【グランドファイナル】
×ガチくん(0-3)板橋ザンギエフ〇
※ガチくん選手も1敗となり、お互いがルーザーズの状態で勝負はグランドファイナル2へ。
グランドファイナル2
▲勢いに乗る板橋ザンギエフ選手に対するガチくん選手。ここでゲンかつぎなのか、自らのスポンサーであるレッドブルとのコラボコスチュームを選択。そのガチくん選手の覚悟に息を吹き返したかのようにラシードがアビゲイルを圧倒
▲せっかくの勢いをやめさせまい、と板橋ザンギエフ選手、絶対に勝ちたい局面まで秘策として温存してきた連係を投入。巨漢のアビゲイルが軽快に相手の裏側に回り込み、一気呵成にたたみかける恐怖の隠し玉。ここ一番のところまでそんな武器を隠し持っているのがベテランの余裕か
▲……が、それもしのぎ切るガチくん選手。今度はガチくん選手の勢いが止まらない。続く2試合めも連取。理論通りの攻めだけではない、魂の一撃まで通ってしまうような勢いにお互いこの表情。もはや運気までつかんでいるガチくん。レッドブルコスチュームに翼を授かっているのか!?
▲板橋ザンギエフ選手が意地で一本取り返すも、ラシードの勢いは止まらず。ガチくん選手、カプコンカップ優勝!! 格闘ゲームに本腰を入れるために広島から上京して、着実に努力を重ねて来た1年を思い出したか、シンデレラボーイの目にも涙
【グランドファイナル2】
〇ガチくん(3-1)板橋ザンギエフ×
※ガチくんがカプコンカップ2018優勝!
カプコンカップ2018 トップ8トーナメント結果
まさに現在最強のプレイヤー32名によるトーナメントを制し、2018年最強の座と、優勝賞金25万ドルを獲得したのは日本のガチくん選手。
じつは日本人選手の優勝はカプコンプロツアーの種目が『ストリートファイターⅤ』シリーズになってからは初。毎年、カプコンカップへは多くの日本人選手が参戦するも、2016年はアメリカのNuckleDu選手、2017年はドミニカのMenaRD選手と、海外で躍進してきた若手プレイヤーが優勝を飾ってきたのである。
そこに並んで優勝した日本人プレイヤーが、シーズン中に鬼神のごとき強さを見せつけたベテランたちではなく、26歳のガチくん選手というのがまた面白い。国内ではベテラン勢の存在感があまりに強いため、ガチくん選手の躍進はシンデレラボーイの趣もあるが、格闘ゲームに本腰を入れる環境づくりのために広島から上京して1年半、地道に努力を積み重ねてきたうえでのレッドブルからのスポンサード獲得、そしてこの戴冠であることは強く記しておきたい。プレイ内容も、人柄も、実直そのものな若者の勝利という、最高のハッピーエンドで2018年のカプコンプロツアーは幕をおろしたのだった。
ガチくん本当におめでとう!
そして1年間、我々を楽しませてくれたプレイヤーたち全員に称賛と祝福を。
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