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カプコンプロツアーの仕組み(後編)【『ストV』を観るための動画勢デビュー講座 第2回】
格闘ゲームはうまくないけど観戦するのは好き、という方に向けて楽しみ方を提案する本連載。第2回となる今回は、年間を通して争われる『ストリートファイターV アーケードエディション』のランキングバトル「カプコンプロツアー」の楽しみ方の続きをお伝えしたい。
・Texas Showdown(アメリカ)
・CPTオンラインイベント(欧州・西1エリア)
・CPTオンラインイベント(中南米・南1エリア)
・BAM10(オーストラリア)
・Stunfest2018(フランス)
・Toryuken(カナダ)
・Combo Breaker2018(アメリカ)
これらの大会で好成績をおさめると得られる「CPTポイント」の獲得ランキングによって、年末に開催される決勝大会「カプコンカップ2018」の出場権が与えられるのだが、じつはこの大会群で得られるポイントは一律ではない、というのを今回お伝えしていこう。
(1) カプコンカップ2018
(2) グローバルプレミア大会
(3) 地域ランキング大会
(4) EVOLUTION
(5) 地域決勝大会
(6) カプコンカップ2018最終予選
これらをひとつずつみていこう。
この決勝大会への参加資格が与えられるのは、
・年間のプロツアーを通してCPTグローバルポイントが高かった26名。
・(5)の各地域決勝大会(北米、南米、欧州、アジア)で優勝した4名。
・(6)のカプコンカップ2018最終予選優勝者1名
・カプコンカップ2017優勝者1名
の計32名。
ランキング上位を争う世界中の強豪が集結するため、参加人数も多く、参加選手のレベルもとんでもないことになる。上記5月開催の大会では、Stunfest2018と、Combo Breaker2018がプレミア大会にあたる。
これを優勝した日本の藤村選手、韓国のNL選手は大量のグローバルCPTポイントを獲得、それぞれ4位、3位にグローバルランキングをジャンプアップさせている。
グローバルCPTポイントによるグローバルランキングとは別に、北米、南米、欧州、アジアの4地域に分けられた各地域には、「地域ランキングポイント」による「地域ランキング」が設けられており、地域ランキング上位者は⑤の地域決勝大会に出場できる。
プレミア大会よりもグローバルポイントが少ないため、世界各国の強豪が集結することは少ないが、それは逆に、優勝できる確率も高いということ。なのでなんだかんだで世界レベルの強豪が数人は参加することが多い。その地域の強豪が世界トップレベルといかに戦うのか、というところも見どころになる。
なお、イベント会場を使わずオンラインで開催されているオンラインイベント大会も、獲得ポイントは地域ランキング大会と同じである。
EVO覇者の栄光を求めてものすごい数の強豪が世界から集まるため、このメガトーナメントを勝ち抜くのはカプコンカップ決勝大会以上に困難とも言える。
EVO優勝で獲得できるグローバルポイントは、プレミア大会優勝の倍以上となる1750ポイント! 2位でさえ、プレミア大会優勝以上のポイントが付与される。EVOで優勝すれば、他の大会に一切参加しなくてもカプコンカップ決勝大会への参加は約束されたようなものだ。
2018シーズン上半期最強は誰なのが決まる重要な大会。今年はどんなドラマが展開されるのか、その熱狂が今から待ちきれない。
つまり、要約すると以下のようになる。
・高ポイントゲットの「プレミア大会」は激戦区。
・「地域ランキング大会」はグローバルポイントは低めだが地域ポイントも獲得でき、プレミア大会ほどの激戦区になりにくい。
・シーズン上半期のクライマックス、格闘ゲームの祭典「EVOLUTION」は別格の大量ポイント。
・カプコンカップ本戦間際には「地域決勝大会」「カプコンカップ最終予選」で最後のイスが確定する。
……大まかに説明するとこんな感じだ。
やや省略した詳細ルールもあるので、気になる方はカプコンプロツアー公式サイトのルールページを参照してほしい。
Dreamhack Austin 2018(アメリカ・オースティン)6/1~6/3 優勝:Justin Wong
CPTオンラインイベント(アジア・東南1)6/2 優勝:Chuan
The Fight 2018(コロンビア・ボゴタ)6/8~6/10 優勝:Caba
CPTオンラインイベント(欧州・東1)6/9 優勝:swagskheletor
CPTオンラインイベント(アジア・東1)6/23
Northwest Majors 2018(アメリカ・デモイン)6/23~6/24
★CEO 2018(アメリカ・デイトナビーチ)6/29~7/1
CPTオンラインイベント(北米・西2)7/7
Sonic Boom 2018 (スペイン・マドリード)7/7~7/8
Abuget Cup 2018(インドネシア・ジャカルタ)7/7~7/8
FV x SEA Major Malaysia 2018(マレーシア・クアラルンプール)7/14~7/15
CPTオンラインイベント(欧州・西2)7/14
Defend the North 2018(アメリカ・ホワイトプレインズ)7/20~7/22
★VSFighting 2018(イギリス・バーミンガム)7/20~7/22
CPTオンラインイベント(アジア・東南2)7/21
Fight in Rio 2018(ブラジル・リオデジャネイロ)7/21~7/22
CPTオンラインイベント(中南米・北2)7/28
Headstomper(デンマーク・コペンハーゲン)7/28~7/29
世界各国の地域ランキング大会が並ぶ中に、プレミア大会が2大会、開催予定となっている。そしてこれら大会の直後、8月3日には、シーズン上半期のクライマックスとなるEVOが控えている。
プロツアーに参加しているプレイヤーたちは、これらの大会をまわり、CPTポイントを溜めながら、日々練習をし、EVOに向けて"勝つためにできること"を増やしていくことになる。
そうやって世界中を転戦してまわることがポイントレースで有利にはたらく以上、必ず発生するのが費用の問題だ。海外への渡航費や滞在費などがかかってくるため、この面に関しては、企業の宣伝活動やイメージアップの対価としてスポンサードを受けている、いわゆるプロゲーマーが有利なのは間違いないだろう。事実、昨シーズンもポイントランキング上位者はプロとして活躍しているプレイヤーは多かった。
では、プロツアーはカネがあれば勝てるのだろうか?
もちろん、そんなわけはない。
住み慣れた部屋で海外大会のリアルタイム配信のために昼夜逆転しちゃって、仕事中に少〜し居眠りしてるだけの動画勢にすぎない筆者にだってわかる。
いくら渡航費があっても、国際線での移動時間や大会の開催期間は、自分の新戦略を練り込み、強くなるための練習にあてることはできない。海外が続けば時差ボケを直す暇もなければ、食べる物も生活様式も変化する。練習どころか、体調を維持するのも難しい環境である(時差ボケのツラさだけは、動画勢にも半分くらいは理解できる。アレが、毎週のように続くだなんて……!)
では、ツアーを転戦できないアマチュアプレイヤーは存在感を示せないのか? と言ったら、これも違う。
そのためにあるのが地域ランキングだし、前日最終予選だってある。観ている側からすれば、プロプレイヤーがツアーをまわっているあいだに、がっつり練習を重ねた新星が活躍するのも、すごく感動する。
ツアーを通して抜きつ抜かれつするポイントレースの醍醐味は、まだ対戦の深みにまで理解が達していない観戦初心者にもわかりやすい面白さなので、しばらくはポイントを意識してカプコンプロツアーを続けて見てみてほしい。
いずれ劣らぬ有名プレイヤーなので、この5人くらいは覚えてトーナメントを追う楽しさを感じていただければ幸いだ。
●ダイゴ│Daigo(@daigothebeastJP)
日本初のプロゲーマーとしてあまりにも有名な梅原大吾その人。わかりやすい戦略が確立されているガイルを使いながらも、つねに独自の戦法を取り入れ、安定よりも上昇志向を旨として戦っている。型にとらわれないプロシーンの開拓者としての講演から、酔いどれ状態でのトーク配信まで、ゲーム画面外の動向も予測不可能で観る者を飽きさせない。
●ときど│tokido(@tokidoki77)
東大卒プロゲーマーという肩書でメディアにもよく取り上げられるプレイヤー。豪鬼使い。EVO2017優勝、カプコンカップ2017準優勝と充実の前シーズンに続き、今シーズンも出場した大会のほとんどを優勝、または準優勝し、グローバルランキング1位をひた走る(6月12日現在)。現時点で明確に世界最強クラスと言えるプレイヤーの一角である。
コンディション調整のために空手で身体を鍛え、寺での修行で瞑想を習慣化し、試合の前には海外まで持参のメジャーで画面と顔との距離を測る“マーダーメジャー”と呼ばれるルーティーンを行うなど、勝つための方法を貪欲に取り入れるアスリート志向プレイヤーだ。
●Infiltration(@INFILTRATION85)
ポイントランキングでときどに肉薄する2位につける、メナト使いの韓国のプロゲーマー。中距離・遠距離をキープして相手を寄せ付けない堅実な試合運びを得意とし、かと思えば虚を突き攻め込んで来る。
この人がトーナメントで生き残っている以上、何人の日本人プレイヤーで包囲してても決して安心できない。憎らしいほどに安定した強さ。ミスターパーフェクト。
●石油王│OILKING(@LeevyLin)
台湾のラシード使い。日本人プレイヤーの使うラシードよりも圧倒的にオフェンスに振り切った戦術を使ってくる。相手の行動を読み切ったならば、リスクのある行動も強気に通して攻撃力で圧倒する派手なスタイルは、ある種の爽快感さえ感じさせる。エッジの利いたファッションセンスとプレイヤー名で、初見でも印象に残ること間違いなしのプレイヤーだ。
●Luffy(@Louffy086)
フランスのレインボー・ミカ使い。日本人のふ~ど選手と双璧をなすミカのトッププレイヤー。『ウルトラストリートファイターIV』時代に欧州勢として初めてEVOを制した、ヨーロッパ格闘ゲーム界のトップランナーのひとり。「子供のころはアーケードスティックの存在を知らなかった」という理由から、現在にいたるまで初代プレイステーション純正コントローラを使って格闘ゲームをプレイしている。ミカを使ってるのは"巨乳好きだから"という本人の弁は本気なのか冗談なのか。
というところで、観戦初心者に贈るカプコンプロツアーの仕組み第2回はここまで。情報量の詰め込みには気をつけているつもりだが、難しく考えずに、まずはトッププレイヤーのアツい対戦を楽しんで見てほしい。
格闘ゲー厶の祭典、EVOまであとひと月と少し。来月の記事ではトーナメント表の見方や、もう数人くらいは注目プレイヤーを紹介できればと思う。
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■関連リンク
ストリートファイターV アーケードエディション
http://www.capcom.co.jp/sfv/
Capcom Pro Tour
https://capcomprotour.com/
プロツアーの大会には、グレードが設定されている!
前回お伝えしたとおり、現在「カプコンプロツアー」(以下CPT)という公式大会群が年間70試合以上もの規模で、世界を股にかけて開催されている。たとえば5月は、以下の公式大会が開催された。・Texas Showdown(アメリカ)
・CPTオンラインイベント(欧州・西1エリア)
・CPTオンラインイベント(中南米・南1エリア)
・BAM10(オーストラリア)
・Stunfest2018(フランス)
・Toryuken(カナダ)
・Combo Breaker2018(アメリカ)
これらの大会で好成績をおさめると得られる「CPTポイント」の獲得ランキングによって、年末に開催される決勝大会「カプコンカップ2018」の出場権が与えられるのだが、じつはこの大会群で得られるポイントは一律ではない、というのを今回お伝えしていこう。
▲プロツアー参加者は、大会の成績によってCPTポイントを付与され、ランキングされていく。このランキング上位者だけがカプコンカップ2018に出場できるのだ
CPT公式戦の種類
前述の大会はどれもCPT公式戦ではあるのだが、CPT公式戦は以下のとおり、何種類かの区分に分けられる。(1) カプコンカップ2018
(2) グローバルプレミア大会
(3) 地域ランキング大会
(4) EVOLUTION
(5) 地域決勝大会
(6) カプコンカップ2018最終予選
これらをひとつずつみていこう。
(1) カプコンカップ2018
年末に開催されるツアー最終戦。この勝者がカプコンプロツアー2018の覇者となる。この決勝大会への参加資格が与えられるのは、
・年間のプロツアーを通してCPTグローバルポイントが高かった26名。
・(5)の各地域決勝大会(北米、南米、欧州、アジア)で優勝した4名。
・(6)のカプコンカップ2018最終予選優勝者1名
・カプコンカップ2017優勝者1名
の計32名。
(2)グローバルプレミア大会
上位入賞することで大量のCPTグローバポイントが獲得できる、大規模な大会。ランキング上位を争う世界中の強豪が集結するため、参加人数も多く、参加選手のレベルもとんでもないことになる。上記5月開催の大会では、Stunfest2018と、Combo Breaker2018がプレミア大会にあたる。
これを優勝した日本の藤村選手、韓国のNL選手は大量のグローバルCPTポイントを獲得、それぞれ4位、3位にグローバルランキングをジャンプアップさせている。
▲プレミア大会の試合レベルはとてつもない。トッププレイヤー同士のつぶし合いがトーナメント序盤から続出する
(3)地域ランキング大会
獲得できるグローバルポイントは②のプレミア大会よりも少ないが、大会の開催地域に住んでいるプレイヤーが上位入賞すると「地域ランキングポイント」が獲得できる大会。グローバルCPTポイントによるグローバルランキングとは別に、北米、南米、欧州、アジアの4地域に分けられた各地域には、「地域ランキングポイント」による「地域ランキング」が設けられており、地域ランキング上位者は⑤の地域決勝大会に出場できる。
プレミア大会よりもグローバルポイントが少ないため、世界各国の強豪が集結することは少ないが、それは逆に、優勝できる確率も高いということ。なのでなんだかんだで世界レベルの強豪が数人は参加することが多い。その地域の強豪が世界トップレベルといかに戦うのか、というところも見どころになる。
なお、イベント会場を使わずオンラインで開催されているオンラインイベント大会も、獲得ポイントは地域ランキング大会と同じである。
▲「プレミア大会」「ランキング大会」「EVO」と、大会のグレードによって獲得できるグローバルCPTポイントは異なる
(4)EVOLUTION
毎年夏に開催される、歴史ある世界最大規模の格闘ゲームの祭典「EVOLUTION」(以下、EVO)。このEVOも、カプコンプロツアー公式大会として認定されている。EVO覇者の栄光を求めてものすごい数の強豪が世界から集まるため、このメガトーナメントを勝ち抜くのはカプコンカップ決勝大会以上に困難とも言える。
EVO優勝で獲得できるグローバルポイントは、プレミア大会優勝の倍以上となる1750ポイント! 2位でさえ、プレミア大会優勝以上のポイントが付与される。EVOで優勝すれば、他の大会に一切参加しなくてもカプコンカップ決勝大会への参加は約束されたようなものだ。
2018シーズン上半期最強は誰なのが決まる重要な大会。今年はどんなドラマが展開されるのか、その熱狂が今から待ちきれない。
▲ボクシングの世界戦などにも使われる、ラスベガスのショーイベントの殿堂にて、日本のときど選手が世界の頂点に立った昨年のEVO。当時無敵を誇ったアメリカのPUNK選手との激闘は世界中で大きな話題となった
(5)地域決勝大会
地域ランキング大会や地域オンラインイベントで活躍した、地域ランキング上位者のみが参加できる各地域の決勝大会。世界各地への遠征費用が捻出できない、などの理由でグローバルランキングで26位に入れなさそうなプレイヤーは、住んでいる地域の地域ランキングを稼いで、カプコンカップ決勝大会への出場を目指すことが多い。▲各地域の地域ランキング上位者となり、地域決勝大会の優勝を狙うのも、カプコンカップ出場の方法のひとつ
(6)カプコンカップ2018最終予選
カプコンカップ2018の初日に開催される。特に参加資格を規定しないオープン大会となっているため、惜しくもポイントによる出場に届かなかった強豪、仕事が忙しくてツアーを回ることができない実力者、シーズン後半になって頭角を顕して来た新鋭など、誰もが本戦出場の最後のイスをかけて参加する。2017年の最終予選では日本のネモ選手が最後の出場枠を獲得し、そのまま本戦の3位まで駆け上がる活躍を見せている。つまり、要約すると以下のようになる。
・高ポイントゲットの「プレミア大会」は激戦区。
・「地域ランキング大会」はグローバルポイントは低めだが地域ポイントも獲得でき、プレミア大会ほどの激戦区になりにくい。
・シーズン上半期のクライマックス、格闘ゲームの祭典「EVOLUTION」は別格の大量ポイント。
・カプコンカップ本戦間際には「地域決勝大会」「カプコンカップ最終予選」で最後のイスが確定する。
……大まかに説明するとこんな感じだ。
やや省略した詳細ルールもあるので、気になる方はカプコンプロツアー公式サイトのルールページを参照してほしい。
時間と、カネと、体力と
上記を踏まえたうえで、6月、7月のCPT公式戦を見てみよう(★印がプレミア大会)。Dreamhack Austin 2018(アメリカ・オースティン)6/1~6/3 優勝:Justin Wong
CPTオンラインイベント(アジア・東南1)6/2 優勝:Chuan
The Fight 2018(コロンビア・ボゴタ)6/8~6/10 優勝:Caba
CPTオンラインイベント(欧州・東1)6/9 優勝:swagskheletor
CPTオンラインイベント(アジア・東1)6/23
Northwest Majors 2018(アメリカ・デモイン)6/23~6/24
★CEO 2018(アメリカ・デイトナビーチ)6/29~7/1
CPTオンラインイベント(北米・西2)7/7
Sonic Boom 2018 (スペイン・マドリード)7/7~7/8
Abuget Cup 2018(インドネシア・ジャカルタ)7/7~7/8
FV x SEA Major Malaysia 2018(マレーシア・クアラルンプール)7/14~7/15
CPTオンラインイベント(欧州・西2)7/14
Defend the North 2018(アメリカ・ホワイトプレインズ)7/20~7/22
★VSFighting 2018(イギリス・バーミンガム)7/20~7/22
CPTオンラインイベント(アジア・東南2)7/21
Fight in Rio 2018(ブラジル・リオデジャネイロ)7/21~7/22
CPTオンラインイベント(中南米・北2)7/28
Headstomper(デンマーク・コペンハーゲン)7/28~7/29
世界各国の地域ランキング大会が並ぶ中に、プレミア大会が2大会、開催予定となっている。そしてこれら大会の直後、8月3日には、シーズン上半期のクライマックスとなるEVOが控えている。
プロツアーに参加しているプレイヤーたちは、これらの大会をまわり、CPTポイントを溜めながら、日々練習をし、EVOに向けて"勝つためにできること"を増やしていくことになる。
そうやって世界中を転戦してまわることがポイントレースで有利にはたらく以上、必ず発生するのが費用の問題だ。海外への渡航費や滞在費などがかかってくるため、この面に関しては、企業の宣伝活動やイメージアップの対価としてスポンサードを受けている、いわゆるプロゲーマーが有利なのは間違いないだろう。事実、昨シーズンもポイントランキング上位者はプロとして活躍しているプレイヤーは多かった。
では、プロツアーはカネがあれば勝てるのだろうか?
もちろん、そんなわけはない。
住み慣れた部屋で海外大会のリアルタイム配信のために昼夜逆転しちゃって、仕事中に少〜し居眠りしてるだけの動画勢にすぎない筆者にだってわかる。
いくら渡航費があっても、国際線での移動時間や大会の開催期間は、自分の新戦略を練り込み、強くなるための練習にあてることはできない。海外が続けば時差ボケを直す暇もなければ、食べる物も生活様式も変化する。練習どころか、体調を維持するのも難しい環境である(時差ボケのツラさだけは、動画勢にも半分くらいは理解できる。アレが、毎週のように続くだなんて……!)
▲われわれ動画勢がTwitch「capcomfighters_jp」の配信を見ている真夜中も、プレイヤーたちは海外で戦っている
では、ツアーを転戦できないアマチュアプレイヤーは存在感を示せないのか? と言ったら、これも違う。
そのためにあるのが地域ランキングだし、前日最終予選だってある。観ている側からすれば、プロプレイヤーがツアーをまわっているあいだに、がっつり練習を重ねた新星が活躍するのも、すごく感動する。
ツアーを通して抜きつ抜かれつするポイントレースの醍醐味は、まだ対戦の深みにまで理解が達していない観戦初心者にもわかりやすい面白さなので、しばらくはポイントを意識してカプコンプロツアーを続けて見てみてほしい。
超メジャー級! 注目プレイヤー紹介!
年間を通じるポイントレースを追ううえで、応援するプレイヤーが決まっているほうが感情移入をして見やすいのは確実。そこで現在活躍しているプレイヤーの中から、数人をピックアップして紹介する。いずれ劣らぬ有名プレイヤーなので、この5人くらいは覚えてトーナメントを追う楽しさを感じていただければ幸いだ。
●ダイゴ│Daigo(@daigothebeastJP)
日本初のプロゲーマーとしてあまりにも有名な梅原大吾その人。わかりやすい戦略が確立されているガイルを使いながらも、つねに独自の戦法を取り入れ、安定よりも上昇志向を旨として戦っている。型にとらわれないプロシーンの開拓者としての講演から、酔いどれ状態でのトーク配信まで、ゲーム画面外の動向も予測不可能で観る者を飽きさせない。
●ときど│tokido(@tokidoki77)
東大卒プロゲーマーという肩書でメディアにもよく取り上げられるプレイヤー。豪鬼使い。EVO2017優勝、カプコンカップ2017準優勝と充実の前シーズンに続き、今シーズンも出場した大会のほとんどを優勝、または準優勝し、グローバルランキング1位をひた走る(6月12日現在)。現時点で明確に世界最強クラスと言えるプレイヤーの一角である。
コンディション調整のために空手で身体を鍛え、寺での修行で瞑想を習慣化し、試合の前には海外まで持参のメジャーで画面と顔との距離を測る“マーダーメジャー”と呼ばれるルーティーンを行うなど、勝つための方法を貪欲に取り入れるアスリート志向プレイヤーだ。
●Infiltration(@INFILTRATION85)
ポイントランキングでときどに肉薄する2位につける、メナト使いの韓国のプロゲーマー。中距離・遠距離をキープして相手を寄せ付けない堅実な試合運びを得意とし、かと思えば虚を突き攻め込んで来る。
この人がトーナメントで生き残っている以上、何人の日本人プレイヤーで包囲してても決して安心できない。憎らしいほどに安定した強さ。ミスターパーフェクト。
●石油王│OILKING(@LeevyLin)
台湾のラシード使い。日本人プレイヤーの使うラシードよりも圧倒的にオフェンスに振り切った戦術を使ってくる。相手の行動を読み切ったならば、リスクのある行動も強気に通して攻撃力で圧倒する派手なスタイルは、ある種の爽快感さえ感じさせる。エッジの利いたファッションセンスとプレイヤー名で、初見でも印象に残ること間違いなしのプレイヤーだ。
●Luffy(@Louffy086)
フランスのレインボー・ミカ使い。日本人のふ~ど選手と双璧をなすミカのトッププレイヤー。『ウルトラストリートファイターIV』時代に欧州勢として初めてEVOを制した、ヨーロッパ格闘ゲーム界のトップランナーのひとり。「子供のころはアーケードスティックの存在を知らなかった」という理由から、現在にいたるまで初代プレイステーション純正コントローラを使って格闘ゲームをプレイしている。ミカを使ってるのは"巨乳好きだから"という本人の弁は本気なのか冗談なのか。
というところで、観戦初心者に贈るカプコンプロツアーの仕組み第2回はここまで。情報量の詰め込みには気をつけているつもりだが、難しく考えずに、まずはトッププレイヤーのアツい対戦を楽しんで見てほしい。
格闘ゲー厶の祭典、EVOまであとひと月と少し。来月の記事ではトーナメント表の見方や、もう数人くらいは注目プレイヤーを紹介できればと思う。
©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
■関連リンク
ストリートファイターV アーケードエディション
http://www.capcom.co.jp/sfv/
Capcom Pro Tour
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