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カプコンカップ出場権は誰の手に!? ボーダーラインをめぐるストVアジア地域決勝大会【『ストV』を観るための動画勢デビュー講座 第6回】
格闘ゲームはうまくないけど観戦するのは好き、という方に向けて楽しみ方を提案する本連載。第6回となる今回は、カプコンプロツアーアジア地域決勝大会の模様をお届けする。
この2種類のポイントを獲得する方法は微妙に異なっており、グローバルポイントを大量に獲得するには「プレミアイベント」と呼ばれる大規模な大会の上位入賞、地域ランキングポイントを獲得するには“プレイヤー自身の居住する地域の「地域ランキングイベント」”で上位に入賞する必要がある(連載第1回記事参照)。
そして今回SEAMで開催されたのは、今シーズンのアジア地域イベントのしめくくりとなる「地域ランキングの決勝イベント」である。地域決勝大会は2つの大会が併催され、それぞれ以下のような意味合いを持っている。
●地域オープン大会
誰でも参加可能。プレミアイベント相当のグローバルポイントと、地域ランキングイベント相当の地域ランキングポイント両方が獲得できる。
●地域決勝大会
前日のオープン大会を終え、最終的なこの地域の“地域ランキングポイント”上位8名のみが出場可能。グローバルポイント、地域ランキングともに得られないが、この大会で優勝すればポイントに関係なくカプコンカップへの出場権利が獲得できる。
SEAMが開催された時点で出場が確定しているのは、前シーズン優勝者のMenaRD選手と欧州地域決勝優勝者のAngryBird選手、あとはグローバルランキングで上位20位くらいに食い込んでいるプレイヤーたちといったところ。グローバルランキング26位以上は出場となるが、今後開催を残している公式大会でボーダーラインである27位よりも下の選手が活躍した場合、20位以下のプレイヤーは追い抜かれてカプコンカップ2018の出場を逃してしまう可能性があるからだ。
ボーダーに達していないとはいえ、30位前後には日本のマゴ選手、板橋ザンギエフ選手、竹内ジョン選手らをはじめ、アラブのBig Bird選手や台湾のGamerBee選手など、世界にその名をとどろかす強豪ぞろい。これは27位のボーダーライン上に乗っているプレイヤーにとっては、彼らが活躍することはカプコンカップ出場の死活問題。彼らが自分よりも上位進出して限られたポイントが下位に流出するくらいなら、むしろすでに自分よりランキング上位に位置するプレイヤーが上位入賞してくれたほうがありがたいという状況なのだ。
アラブの巨鳥がガーディアンの包囲網を突破
大会日本語配信(https://www.openrec.tv/live/vV829qypAM)
South East Asia Major2018 地域オープン大会結果
優勝:Big Bird(アラブ首長国連邦)
準優勝:ときど(日本)
3位:GamerBee(台湾)
4位:ウメハラ(日本)
5位タイ:Justin wong(アメリカ)
5位タイ:マゴ(日本)
7位タイ:板橋ザンギエフ(日本)
7位タイ:sako(日本)
イベント初日の地域オープン大会は参加資格不要で誰もが出場できる大会。プロツアーポイントの視点で見ると、翌日開催されるアジア地域決勝大会に出場するための地域ランキングポイントが得られる最後のチャンス、さらにアジア以外に在住のプレイヤーにとってもプレミアイベント相当のグローバルランキングポイントが稼げるチャンスとあって、世界から強豪が集まる大会となった。
右も左も大会覇者! アジア最強の座は誰の手に
大会日本語配信(https://www.openrec.tv/live/dJOrZeaKOk)
前日の地域オープン大会を欧州勢のBig Bird選手が制し、その他のプレイヤーが獲得したランキングポイントでもアジア地域ランキングの上位8名が変動しなかったため、アジアの地域決勝大会のメンバーはSEAM以前から決まっていた8人によって競われることとなった。
記事の冒頭でも触れたが、地域決勝大会はグローバルポイントもランキングポイントも得られず、優勝者はポイントとは無関係にカプコンカップ本戦への出場権が与えられる。ところが今季のアジア地域大会の参加者はグローバルポイントのランキング上位陣ぞろいで、参加者8人の内、Chuan選手以外は全員が余裕でカプコンカップ出場が確定している順位なのだ。現在のグローバルランキングを見ても今シーズンのアジア勢の強さは他地域よりも一段上回っているのがわかるだろう。
右を向いても左を向いてもCPT公式大会優勝者ぞろいのトーナメントはふ~ど選手がときど選手を3-0のストレートで下すという波乱の展開から幕を開ける。いや、ふ~ど選手の実績からしたらこれは波乱とは言えないかもしれない。アジア地域の決勝大会とは、そのレベルの戦いなのだ。ただ一人、カプコンカップへの出場権を目指したChuan選手はウィナーズサイドでガチくん選手、ルーザーズサイドでときど選手に敗れて敗退した。あのsako選手が、藤村選手が姿を消していく。
South East Asia Major2018 アジア地域決勝大会結果
優勝:ガチくん(日本)
準優勝:ときど(日本)
3位:ふ~ど(日本)
4位:藤村(日本)
5位タイ:Chuan(マレーシア)
5位タイ:NL(韓国)
7位タイ:sako(日本)
7位タイ:Xian(シンガポール)
すでに本戦出場権利を持つガチくんが地域決勝大会を優勝
アジア地域決勝大会をガチくん選手が優勝したことで、記事冒頭のカプコンカップ出場権利表は以下のようになっている。
ガチくん選手はグローバルランキング15位、1114ptsを持っているので、グローバルランキング枠による出場がほぼ確定的である。この場合、アジア地域枠は「カプコンカップ開催時に出場権を持っていない、もっともグローバルランキングが上位のアジア在住プレイヤー」となるのだ。要はボーダーラインのすぐ下にいるアジア地域プレイヤーである。つまりアジア地域枠はまだ暫定でありその確定はプロツアーのポイントレースがすべて終了するまで確定されないということだ。
10/20現在、この条件に当てはまるのは28位のマゴ選手。仮にアジア地域決勝をChuan選手が優勝していた場合、この1人ぶんの枠がChuan選手で決まってしまうところだったわけだ。
SEAMを終えたことで、今シーズンのアジア地域CPT公式大会はすべての日程を終了。欧州地域のイベントはすでに終了しているので、長かったプロツアーも残すは北米イベント4つ(うちひとつはオンラインイベント)、中南米イベントふたつといよいよ最終局面を迎えている(10月20日時点)。
現時点でカプコンカップ本戦出場のボーダーラインぎりぎりのプレイヤーは、たとえ26位内であっても、追い越される可能性を考えるとアメリカ大陸への遠征を考えなくてはならない。SEAMでBig Bird選手、GamerBee選手が大量のポイントを獲得したことで26位のボーダーラインは600点を超えてしまった。
その近辺で戦っている日本人プレイヤーを挙げると、
ハイタニ 25位 633pts
マゴ 28位 593pts
ストーム久保 29位 591pts
板橋ザンギエフ 30位 533pts
どぐら 31位 501pts
竹内ジョン 37位 366pts
といったところ。上記のメンバーの大半は、カナダのCanada Cupに出場し、その足でブラジルの中南米地域オープン大会、アメリカでの北米地域オープン大会に参加するという噂も聞こえてきている。
ブラジルはまさに地球の裏側、そして海外での長期滞在にもなるのでかなり肉体的にも精神的にも厳しい旅となるが、カプコンカップに出場するためにプロツアーを回ってきた彼らは、最後の生き残りをかけて遠征するのだ。
とはいえ、中南米地域に行ったらポイントが獲得できるのかといったら、そう簡単な話でもない。現在の格闘ゲーム事情では中南米エリアにも多くの強豪がいるのは常識だ。中南米からやって来たプレイヤーは毎年のようにカプコンカップに爪痕を残しており、ついに昨年にはドミニカ共和国出身のMena RD選手がカプコンカップを制覇してしまった。
11月、本戦出場の生き残りをかけて、戦いは未知の強豪が待つ南半球にその場を移す。ブラジルの夏はこれからだ。
-10月----------
JAM Festival 2018(ブラジル・ブラジリア)10/19~10/21
East Coast Throwdown 2018(アメリカ・ニュージャージー)10/20~10/21
★Canada Cup 2018(カナダ・トロント)10/26~10/28
-11月----------
★中南米地域オープンプレミア(ブラジル・サンパウロ)11/2~11/4
中南米地域決勝(ブラジル・サンパウロ)11/2~11/4
CPTオンラインイベント(北米・東2)11/10
★Red Bull CONQUEST 北米地域オープンプレミア(アメリカ・ワシントンDC)11/17~11/18
Red Bull CONQUEST 北米地域決勝(アメリカ・ワシントンDC)11/17~11/18
-12月---------
Capcom Cup 2018 最終予選(アメリカ・ラスベガス)12/14~12/16
Capcom Cup 2018(アメリカ・ラスベガス)12/14~12/16
今月の注目のプレイヤーを紹介するこのコーナー、第4回となる今回はカプコンカップ本戦出場を目指し、南半球まで出稼ぎに行くブラジル兄弟をご紹介!
・ストーム久保(@stormKUBO)
グローバルランキング29位、591pts(10月20日現在)。国内トップのアビゲイル使い。デカキャラ・プロレスキャラを好み、『ストリートファイター4』時代からルーファス、ヒューゴ、エル・フォルテなどを好んで使用している。『ストリートファイターⅤ』がリリースされてからはバーディを使っていたがアレックスが登場すると、その豪快なスタイル(で戦わざるを得ない)の性能に惹かれるようにアレックス使いに。弱キャラと見られていたアレックスで強豪と渡り合う戦いぶりに一躍注目が集まった。そして待ちに待った魂のキャラ、アビゲイルが登場すると発表時のプロモーションビデオの時点で歓喜。リリース当初からの最強アビゲイラーとして、久保の強さを信じる配信視聴者からのカンパで海外大会でも結果を出すようになった。アビゲイルでの豪快な勝ちっぷりとは裏腹に、個人配信での穏やかなボヤきキャラやRAGEリーグ番組内でのネモ選手への平身低頭ぶりなど、現実世界でもコクのある立ち回りで人気のプレイヤーである。ブラジルでポイントを稼いでカプコンカップで暴れまわることができるか。
・板橋ザンギエフ(@Itazan_Kuma)
グローバルランキング30位、533pts。今シーズンが始まるまではきめ細かいプレイと大胆な読みで世界最強のザンギエフ使いとして知られていたが、現在はアビゲイル使い。自分よりも早くアビゲイルを使い続けているストーム久保選手を師匠と呼ぶが、プレイを続けるうちに久保選手ともまた違ったプレイスタイルをまとめあげている。最近では“投げキャラ嫌い”を打ち出しているネモ選手との楽しいやり取りや独特の言い回しの「板ザン語」で知られるが、とにかく格闘ゲームが好きで人柄が良いのが全身からにじみ出ており、プレイしている間は勝っても負けてもニコニコしている。バーチャファイターシリーズ出身の盟友・ふ~ど選手のEVOでの活躍を解説しながら逆転勝ちに号泣してしまう光景は古くからの動画勢にはあまりにも有名。“東大卒プロゲーマー”の肩書でメディアに取り上げられやすいときど選手の陰に隠れがちだが実は早稲田大学理工学部卒の高学歴ゲーマーだったりもする。
・竹内ジョン(@john_takeuchi)
グローバルランキング37位 366pts。『ストⅤ』が出てから本格的に格闘ゲームを始めたという若手ラシード使い。端正なルックスとリングネームのせいでハーフのようだが、純日本人だ。国内のみならず、海外でも若手プレイヤーに多いのだが、アーケードスティックではなくPS4純正のコントローラで格闘ゲームをプレイする。国内大会でウメハラ選手を相手に若々しくも余裕のあるプレイで善戦し、一躍注目を浴びることに。注目プレイヤーのひとりとなってからは海外大会で優勝するなど、パフォーマンスをいかんなく発揮し、兄貴分のネモ選手と共に大手プロゲーミングチーム所属のプロゲーマーに。ブラジル兄弟の中ではポイントは低いが、ジョン選手以外のブラジル兄弟が全員26位以内に入るまでポイントを稼いだ場合、今度はガチくん選手から繰り下がって来るアジア地域枠が見えてくる。この場合はどぐら選手、Chuan選手より多くグローバルポイントを稼ぐのが条件になる。
・どぐら(@maneater_dgr)
グローバルランキング31位 501pts。『ギルティギア』シリーズや『ブレイブルー』シリーズなどの強豪プレイヤーとして知られていたマルチプレイヤー。配信などで見せる顔は息をするように冗談ばかり言っている大阪のチャラくてオモロイ兄ちゃんだが、格闘ゲームに関しては真剣でアツく、触れるゲームではことごとく緻密な攻略とやり込みでトッププレイヤーに名を連ねてきた。『ストⅤ』では当初ベガを使っていたが、ユリアンを使い始めると次第に実績を重ねるようになり、いまでは世界でも指折り数えられるユリアンの強豪である。今年は『ドラゴンボールファイターズ』との二足の草鞋ながらカプコンカップ出場を射程圏内に見据える活躍を続けているが、11月のブラジルツアーは別の仕事の関係で見送りとなってしまった。だがどぐら選手ほどの実力と大会強さがあれば、カプコンカップ本戦前日の最終予選でももしかしたら? いやきっと? と無責任にも期待してしまう動画勢なのであった。
どぐら選手は行けなくなってしまったが、このメンバーにマゴ選手、ハイタニ選手も加えて、ブラジル兄弟には頑張ってほしいものだ。我々動画勢も、今月、来月でラストスパートとなるポイントレースを応援していきたい。
©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
■関連リンク
ストリートファイターV アーケードエディション
http://www.capcom.co.jp/sfv/
CAPCOM PRO TOUR
https://capcomprotour.com/
アジア地域のシーズン最終戦、勝ったのは……!?
2018年10月13日、14日にシンガポールで開催されたゲームショー「Game Start 2018」。その中のイベントとしてさまざまな格闘ゲーム大会が行われる「South Eats Asia Major」(以下SEAM)が催され、『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』のカプコンプロツアーアジア地域決勝大会も開催された。地域決勝大会で開催される2つのトーナメント
本連載で流れを追っている、年間を通して世界各国を転戦しながら開催される『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』のランキングバトル群「カプコンプロツアー」。その公式大会の上位入賞者が得られるポイントには「グローバルポイント」と「地域ランキングポイント」のふたつがあるのはこれまでにもお伝えしたとおり。この2種類のポイントを獲得する方法は微妙に異なっており、グローバルポイントを大量に獲得するには「プレミアイベント」と呼ばれる大規模な大会の上位入賞、地域ランキングポイントを獲得するには“プレイヤー自身の居住する地域の「地域ランキングイベント」”で上位に入賞する必要がある(連載第1回記事参照)。
そして今回SEAMで開催されたのは、今シーズンのアジア地域イベントのしめくくりとなる「地域ランキングの決勝イベント」である。地域決勝大会は2つの大会が併催され、それぞれ以下のような意味合いを持っている。
●地域オープン大会
誰でも参加可能。プレミアイベント相当のグローバルポイントと、地域ランキングイベント相当の地域ランキングポイント両方が獲得できる。
●地域決勝大会
前日のオープン大会を終え、最終的なこの地域の“地域ランキングポイント”上位8名のみが出場可能。グローバルポイント、地域ランキングともに得られないが、この大会で優勝すればポイントに関係なくカプコンカップへの出場権利が獲得できる。
カプコンカップ本戦出場権利を再確認
プロツアーもいよいよ最終局面となったところで、一度カプコンカップ本戦への出場権利を再確認してみよう。本戦に出場枠として用意されているのは以下の32枠だ。SEAMが開催された時点で出場が確定しているのは、前シーズン優勝者のMenaRD選手と欧州地域決勝優勝者のAngryBird選手、あとはグローバルランキングで上位20位くらいに食い込んでいるプレイヤーたちといったところ。グローバルランキング26位以上は出場となるが、今後開催を残している公式大会でボーダーラインである27位よりも下の選手が活躍した場合、20位以下のプレイヤーは追い抜かれてカプコンカップ2018の出場を逃してしまう可能性があるからだ。
ボーダーに達していないとはいえ、30位前後には日本のマゴ選手、板橋ザンギエフ選手、竹内ジョン選手らをはじめ、アラブのBig Bird選手や台湾のGamerBee選手など、世界にその名をとどろかす強豪ぞろい。これは27位のボーダーライン上に乗っているプレイヤーにとっては、彼らが活躍することはカプコンカップ出場の死活問題。彼らが自分よりも上位進出して限られたポイントが下位に流出するくらいなら、むしろすでに自分よりランキング上位に位置するプレイヤーが上位入賞してくれたほうがありがたいという状況なのだ。
▲ボーダーライン上にいるプレイヤーにとっては、自分よりランキングが下のプレイヤーへのポイント流出は困ってしまうという、ツアー後半戦の例年の光景。ときど選手や藤村選手、sako選手など、すでにカプコンカップ本戦に出場を決めた強豪プレイヤーたちはボーダーライン外へのポイント流出を防いでほしいという、ボーダーすれすれ勢の願いとネタをこめて「ガーディアン」と呼ばれた
アラブの巨鳥がガーディアンの包囲網を突破
SEA Major2018初日・アジア地域オープン大会
大会日本語配信(https://www.openrec.tv/live/vV829qypAM)South East Asia Major2018 地域オープン大会結果
優勝:Big Bird(アラブ首長国連邦)
準優勝:ときど(日本)
3位:GamerBee(台湾)
4位:ウメハラ(日本)
5位タイ:Justin wong(アメリカ)
5位タイ:マゴ(日本)
7位タイ:板橋ザンギエフ(日本)
7位タイ:sako(日本)
イベント初日の地域オープン大会は参加資格不要で誰もが出場できる大会。プロツアーポイントの視点で見ると、翌日開催されるアジア地域決勝大会に出場するための地域ランキングポイントが得られる最後のチャンス、さらにアジア以外に在住のプレイヤーにとってもプレミアイベント相当のグローバルランキングポイントが稼げるチャンスとあって、世界から強豪が集まる大会となった。
▲初日大会は参加資格なしのオープントーナメント。配信台では新日本プロレスの現役ヘビー級チャンピオン、ケニー・オメガvs日本の女性プロゲーマーはつめ選手の異次元対戦も。ちなみにケニーはプロレスの試合の終盤に繰り出す得意の膝蹴りを「Vトリガー」と命名して愛用している。以前所属していた団体ではファイナルアトミックバスターも使用(あまりにも危険なため、受けられるレスラーはただ一人だけだった)していた、身も心も筋金入りの格闘ゲームファンである
▲この時点で411ポイント、35位のGamerBee選手が“ガーディアン”であるsako選手、ウメハラ選手とのベテラン対決を制する快進撃。調子に乗っているときのGamerBeeは本当に強い
▲ベスト8まで進出して勝てば勝つほど大量のグローバルポイントを獲得できるところまで来たマゴ選手に、普段から切磋琢磨しているときど選手が立ちふさがる。圧倒的な獲得ポイントでぶっちぎりの1位を走る盟友ときどの壁は厚く、5位タイでマゴ選手のSEAMは終了。130ポイントを獲得して598ポイント。最後のポイント追加をかけてカナダ~ブラジルツアーが確定・地球の裏まで、いってらっしゃい
▲ウィナーズファイナルに進出したのはなんと両者ともカプコンカップ出場ボーダーの下にいるBig Bird選手とGamerBee選手。ポイントガ―ディアンたちを撃破していくこのふたりの活躍で明らかにボーダーラインは引き上がった。大きくランキングを駆け上った両雄の試合を観ながら、27位付近にいる日本人選手団にはサンバのリズムが聞こえてきていたことだろう
▲格闘ゲームの見どころはプロツアーのポイントレースだけではない。トップ4で激突したウメハラ選手とときど選手の対戦はお互いの持ち味をいかんなく発揮した名勝負に。自身をルーザーズに叩き落したウメハラ選手をぎりぎりで振り切ったときど選手は、続くルーザーズファイナルでGamerBee選手も撃破し、グランドファイナルに進出する
▲グランドファイナルはウィナーズ側で待ち受けるアラブの若手プレイヤー、BigBird選手にルーザーズから生還してきたときど選手が挑む形に。気づけばいつもグランドファイナルにいる百戦錬磨のときど選手がゆさぶりをかけるも、落ち着いて自分のプレイを貫いたBigBird選手がプレミア大会初優勝。グローバルポイント700点を獲得してカプコンカップ出場ボーダー圏外から一気に出場確定順位までジャンプアップした。これはつまり、ボーダー近辺のプレイヤーからしたらひとつ、出場枠が埋まってしまったことも意味する。ブラジルツアーズの明日はどっちだ?
右も左も大会覇者! アジア最強の座は誰の手に
SEA Major20182日日・アジア地域決勝大会
大会日本語配信(https://www.openrec.tv/live/dJOrZeaKOk)前日の地域オープン大会を欧州勢のBig Bird選手が制し、その他のプレイヤーが獲得したランキングポイントでもアジア地域ランキングの上位8名が変動しなかったため、アジアの地域決勝大会のメンバーはSEAM以前から決まっていた8人によって競われることとなった。
記事の冒頭でも触れたが、地域決勝大会はグローバルポイントもランキングポイントも得られず、優勝者はポイントとは無関係にカプコンカップ本戦への出場権が与えられる。ところが今季のアジア地域大会の参加者はグローバルポイントのランキング上位陣ぞろいで、参加者8人の内、Chuan選手以外は全員が余裕でカプコンカップ出場が確定している順位なのだ。現在のグローバルランキングを見ても今シーズンのアジア勢の強さは他地域よりも一段上回っているのがわかるだろう。
▲今大会参加者の中で唯一、グローバルポイントによるカプコンカップ出場権を獲得していないマレーシアのChuan選手。周りは強豪中の強豪ばかりだが、欧州地域決勝大会ではグローバルポイントをあまり持っていなかったAngry Bird選手が優勝したという例もある。プレミア大会での上位入賞は多くないが、初戦では韓国の強豪、NL選手を撃破。紛れもなく強いガイルで戦い抜いた
右を向いても左を向いてもCPT公式大会優勝者ぞろいのトーナメントはふ~ど選手がときど選手を3-0のストレートで下すという波乱の展開から幕を開ける。いや、ふ~ど選手の実績からしたらこれは波乱とは言えないかもしれない。アジア地域の決勝大会とは、そのレベルの戦いなのだ。ただ一人、カプコンカップへの出場権を目指したChuan選手はウィナーズサイドでガチくん選手、ルーザーズサイドでときど選手に敗れて敗退した。あのsako選手が、藤村選手が姿を消していく。
▲超ハイレベルなトーナメントの中で、相変わらずブレの無い強さで目の前の相手をなぎ倒していくレインボーミカがいた。日本のふ~ど選手だ。初戦でときど選手を3-0で、続く二回戦では藤村選手を3-1で切って落としてみせた。ヤバい
▲そのふ~ど選手とウィナーズファイナルで当たり、3-0で下したのがガチくん選手。この日のふ~ど選手を試合内容で圧倒し、チャンスの局面すら作らせなかったのには驚かされた
▲ガチくん選手に敗れてルーザーズファイナルに落ちたふ~ど選手の元に這い上がってきたのはときど選手。初戦でルーザーズサイドに落とされてから、ここまで泳ぎ切って来たのだ。この日2戦目となるふ~ど戦を3ー2のスコアで乗りきってこの表情。前日も自身を破ったウメハラ選手にリベンジしてからのグランドファイナル進出を決めているこの男、最近はまさに鬼神の風格をまとっている
アジア地域最強を決める戦いはガチくんvsときどに
2日連続のグランドファイナル進出を決めてきたときど選手をウィナーズで迎え撃つのはこの日、完璧な仕上がりを見せるガチくん選手。この試合でも終始ときど選手の操る豪鬼の動きを確認しており、中間距離の動きを封じながらラシードがじりじり前進していく展開が目立った。ただただ心理戦で読み勝ったのではない、強さを感じる試合展開でときど選手を追い詰めていくガチくん選手。結果的に、3-0のストレート勝ちでアジア地域決勝大会を制覇することとなった。
▲絶好調のガチくん選手に波動拳を封じられ、地上戦で競り負けて後退するときど選手の豪鬼。端からも簡単には逃がさず、かなり強い勝ち方でガチくん選手が優勝した
South East Asia Major2018 アジア地域決勝大会結果
優勝:ガチくん(日本)
準優勝:ときど(日本)
3位:ふ~ど(日本)
4位:藤村(日本)
5位タイ:Chuan(マレーシア)
5位タイ:NL(韓国)
7位タイ:sako(日本)
7位タイ:Xian(シンガポール)
すでに本戦出場権利を持つガチくんが地域決勝大会を優勝
ということは……?
アジア地域決勝大会をガチくん選手が優勝したことで、記事冒頭のカプコンカップ出場権利表は以下のようになっている。ガチくん選手はグローバルランキング15位、1114ptsを持っているので、グローバルランキング枠による出場がほぼ確定的である。この場合、アジア地域枠は「カプコンカップ開催時に出場権を持っていない、もっともグローバルランキングが上位のアジア在住プレイヤー」となるのだ。要はボーダーラインのすぐ下にいるアジア地域プレイヤーである。つまりアジア地域枠はまだ暫定でありその確定はプロツアーのポイントレースがすべて終了するまで確定されないということだ。
10/20現在、この条件に当てはまるのは28位のマゴ選手。仮にアジア地域決勝をChuan選手が優勝していた場合、この1人ぶんの枠がChuan選手で決まってしまうところだったわけだ。
10/20現在のランキングと、残りのCPT公式大会
■グローバルランキング
■北米ランキング
■中南米ランキング
■アジアランキング(※アジア地域の大会は終了したのでアジアランキングは確定)
■欧州ランキング(※欧州地域の大会は終了したので欧州ランキングは確定)
SEAMを終えたことで、今シーズンのアジア地域CPT公式大会はすべての日程を終了。欧州地域のイベントはすでに終了しているので、長かったプロツアーも残すは北米イベント4つ(うちひとつはオンラインイベント)、中南米イベントふたつといよいよ最終局面を迎えている(10月20日時点)。
現時点でカプコンカップ本戦出場のボーダーラインぎりぎりのプレイヤーは、たとえ26位内であっても、追い越される可能性を考えるとアメリカ大陸への遠征を考えなくてはならない。SEAMでBig Bird選手、GamerBee選手が大量のポイントを獲得したことで26位のボーダーラインは600点を超えてしまった。
その近辺で戦っている日本人プレイヤーを挙げると、
ハイタニ 25位 633pts
マゴ 28位 593pts
ストーム久保 29位 591pts
板橋ザンギエフ 30位 533pts
どぐら 31位 501pts
竹内ジョン 37位 366pts
といったところ。上記のメンバーの大半は、カナダのCanada Cupに出場し、その足でブラジルの中南米地域オープン大会、アメリカでの北米地域オープン大会に参加するという噂も聞こえてきている。
ブラジルはまさに地球の裏側、そして海外での長期滞在にもなるのでかなり肉体的にも精神的にも厳しい旅となるが、カプコンカップに出場するためにプロツアーを回ってきた彼らは、最後の生き残りをかけて遠征するのだ。
とはいえ、中南米地域に行ったらポイントが獲得できるのかといったら、そう簡単な話でもない。現在の格闘ゲーム事情では中南米エリアにも多くの強豪がいるのは常識だ。中南米からやって来たプレイヤーは毎年のようにカプコンカップに爪痕を残しており、ついに昨年にはドミニカ共和国出身のMena RD選手がカプコンカップを制覇してしまった。
11月、本戦出場の生き残りをかけて、戦いは未知の強豪が待つ南半球にその場を移す。ブラジルの夏はこれからだ。
-10月----------
JAM Festival 2018(ブラジル・ブラジリア)10/19~10/21
East Coast Throwdown 2018(アメリカ・ニュージャージー)10/20~10/21
★Canada Cup 2018(カナダ・トロント)10/26~10/28
-11月----------
★中南米地域オープンプレミア(ブラジル・サンパウロ)11/2~11/4
中南米地域決勝(ブラジル・サンパウロ)11/2~11/4
CPTオンラインイベント(北米・東2)11/10
★Red Bull CONQUEST 北米地域オープンプレミア(アメリカ・ワシントンDC)11/17~11/18
Red Bull CONQUEST 北米地域決勝(アメリカ・ワシントンDC)11/17~11/18
-12月---------
Capcom Cup 2018 最終予選(アメリカ・ラスベガス)12/14~12/16
Capcom Cup 2018(アメリカ・ラスベガス)12/14~12/16
カプコンカップでの活躍も確実!? 注目プレイヤー紹介!
今月の注目のプレイヤーを紹介するこのコーナー、第4回となる今回はカプコンカップ本戦出場を目指し、南半球まで出稼ぎに行くブラジル兄弟をご紹介!
・ストーム久保(@stormKUBO)
グローバルランキング29位、591pts(10月20日現在)。国内トップのアビゲイル使い。デカキャラ・プロレスキャラを好み、『ストリートファイター4』時代からルーファス、ヒューゴ、エル・フォルテなどを好んで使用している。『ストリートファイターⅤ』がリリースされてからはバーディを使っていたがアレックスが登場すると、その豪快なスタイル(で戦わざるを得ない)の性能に惹かれるようにアレックス使いに。弱キャラと見られていたアレックスで強豪と渡り合う戦いぶりに一躍注目が集まった。そして待ちに待った魂のキャラ、アビゲイルが登場すると発表時のプロモーションビデオの時点で歓喜。リリース当初からの最強アビゲイラーとして、久保の強さを信じる配信視聴者からのカンパで海外大会でも結果を出すようになった。アビゲイルでの豪快な勝ちっぷりとは裏腹に、個人配信での穏やかなボヤきキャラやRAGEリーグ番組内でのネモ選手への平身低頭ぶりなど、現実世界でもコクのある立ち回りで人気のプレイヤーである。ブラジルでポイントを稼いでカプコンカップで暴れまわることができるか。
・板橋ザンギエフ(@Itazan_Kuma)
グローバルランキング30位、533pts。今シーズンが始まるまではきめ細かいプレイと大胆な読みで世界最強のザンギエフ使いとして知られていたが、現在はアビゲイル使い。自分よりも早くアビゲイルを使い続けているストーム久保選手を師匠と呼ぶが、プレイを続けるうちに久保選手ともまた違ったプレイスタイルをまとめあげている。最近では“投げキャラ嫌い”を打ち出しているネモ選手との楽しいやり取りや独特の言い回しの「板ザン語」で知られるが、とにかく格闘ゲームが好きで人柄が良いのが全身からにじみ出ており、プレイしている間は勝っても負けてもニコニコしている。バーチャファイターシリーズ出身の盟友・ふ~ど選手のEVOでの活躍を解説しながら逆転勝ちに号泣してしまう光景は古くからの動画勢にはあまりにも有名。“東大卒プロゲーマー”の肩書でメディアに取り上げられやすいときど選手の陰に隠れがちだが実は早稲田大学理工学部卒の高学歴ゲーマーだったりもする。
・竹内ジョン(@john_takeuchi)
グローバルランキング37位 366pts。『ストⅤ』が出てから本格的に格闘ゲームを始めたという若手ラシード使い。端正なルックスとリングネームのせいでハーフのようだが、純日本人だ。国内のみならず、海外でも若手プレイヤーに多いのだが、アーケードスティックではなくPS4純正のコントローラで格闘ゲームをプレイする。国内大会でウメハラ選手を相手に若々しくも余裕のあるプレイで善戦し、一躍注目を浴びることに。注目プレイヤーのひとりとなってからは海外大会で優勝するなど、パフォーマンスをいかんなく発揮し、兄貴分のネモ選手と共に大手プロゲーミングチーム所属のプロゲーマーに。ブラジル兄弟の中ではポイントは低いが、ジョン選手以外のブラジル兄弟が全員26位以内に入るまでポイントを稼いだ場合、今度はガチくん選手から繰り下がって来るアジア地域枠が見えてくる。この場合はどぐら選手、Chuan選手より多くグローバルポイントを稼ぐのが条件になる。
・どぐら(@maneater_dgr)
グローバルランキング31位 501pts。『ギルティギア』シリーズや『ブレイブルー』シリーズなどの強豪プレイヤーとして知られていたマルチプレイヤー。配信などで見せる顔は息をするように冗談ばかり言っている大阪のチャラくてオモロイ兄ちゃんだが、格闘ゲームに関しては真剣でアツく、触れるゲームではことごとく緻密な攻略とやり込みでトッププレイヤーに名を連ねてきた。『ストⅤ』では当初ベガを使っていたが、ユリアンを使い始めると次第に実績を重ねるようになり、いまでは世界でも指折り数えられるユリアンの強豪である。今年は『ドラゴンボールファイターズ』との二足の草鞋ながらカプコンカップ出場を射程圏内に見据える活躍を続けているが、11月のブラジルツアーは別の仕事の関係で見送りとなってしまった。だがどぐら選手ほどの実力と大会強さがあれば、カプコンカップ本戦前日の最終予選でももしかしたら? いやきっと? と無責任にも期待してしまう動画勢なのであった。
どぐら選手は行けなくなってしまったが、このメンバーにマゴ選手、ハイタニ選手も加えて、ブラジル兄弟には頑張ってほしいものだ。我々動画勢も、今月、来月でラストスパートとなるポイントレースを応援していきたい。
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