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『LoL』韓国1部リーグ「LCK」開幕レビュー:世界最強の称号を取り戻せ!
目次
「World Championship 2013」でSKTが世界最高の栄冠を勝ち取ってから5年間、『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』国際シーンにおける王座をほとんど保持していたのが韓国地域のチームたちだった。2013年の覇者にして合計3回、うち連覇1回の世界大会優勝経験を誇るSKT。2014年の世界大会優勝後にほぼ解散状態となったものの、ゼロからのスタートで再び2017年のサモナーズカップを掲げてみせたSamsung。長らく続いた栄光の歴史は2018年、隣接地域である中国チームの隆盛により途絶えてしまった。
しかし、韓国チームたちもそのまま黙ってはいない。これまで獲得し続けてきた栄誉を、もう一度手に入れられない道理はないのだ。観戦ファンは強いチームに心惹かれるものだが、長くファンを続けることでチームや選手そのもののファンになっていく。そうしたLCKファンは今や世界中に数多く存在し、韓国という地域の復活を待ち望んでいる。
そして2019年も、韓国1部リーグ「LoL Champions Korea(LCK)」で牙を研ぐ全10チームが出揃った。さっそく、世界最強の称号を取り戻すべく戦うチームと選手たちを見ていこう。
昨年の入替戦で「bbq Olivers」を下して昇格したチーム。特に注目の的となっているのはミッドのShowMaker選手で、長らく主流ピックになっていないチャンピオン「カタリナ」の名手だ。ヨーロッパチーム「H2k」で辣腕を振るったNuclear選手や、アマチュア国際大会「8th IeSF」に韓国チームの一員として選出されたHoit選手など、他にも腕利きが揃う。2部リーグや入替戦でも圧倒的な結果を残し、オフシーズンのオールスター的国内大会「KeSPA Cup」では更新間もない体制とはいえSKTを打倒している。
トップ:Nuguri
ジャングル:Punch / Canyon
ミッド:ShowMaker
ボット:Nuclear / Calm (Aries)
サポート:Hoit / BeryL
2部リーグでプレイしていた昨年は「Team BattleComics」という名称だったが、KeSPA Cup参加時点から母体組織の変更によりリブランドした。日本では元「DetonatioN FocusMe」のDragonコーチが所属しているチームとして知っている人も多いだろう。入れ替え戦ではMVPを相手に快勝。さらに他地域の1部リーグで戦った経験豊かな選手を加えて補強を行っている。
トップ:Wizer / Summit
ジャングル:Crush / OnFleek
ミッド:Dove
ボット:Hollow / Ghost
サポート:Joker / Totoro
2部リーグで戦い続けた昇格チームには多数の新人選手が所属している。チームとして1部リーグの洗礼を受けて敗北に塗れるものもあれば、極稀な例外ではあるが、昨年夏のGriffinのように最上位圏にまで駆け抜けていくチームもある。どちらにせよ、1部リーグのステージでプレイすることは、新人選手にとって将来的に他のLCKチームからのオファーを受けるステップの第一歩でもある。
上記2つの昇格チームメンバーの中で、LCKでのプレイが初めてとなる「ルーキー」選手は太字で示してみた。1部リーグで居場所を見つけるために苦戦するか、それとも流星のごとく駆け上るダークホースとなるか……上位チームの動向とは別に、新人たちの行く末を見守るのも楽しい観戦経験となるはずだ。
毎年降格圏まで落ちることはないものの、プレイオフ参加できるかどうかのラインをさまよっているのがJAGだ。パフォーマンスが安定せず、非常に強い週もあれば、決め手に欠けて史上最長のロングゲームをしてしまうことも。2018シーズンも入替戦は免れたものの、その後の移籍市場でチームを支えていたメンバーが他チームに引き抜かれ、苦しい再出発となってしまった。
トップ:Lindarang / TaNa
ジャングル:Malrang / Seize
ミッド:Grace / CheonGo
ボット:Stitch / Route
サポート:Nova / Kellin
2013年の鮮烈な世界大会制覇と、2015~2016年の連覇。最強地域韓国と『LoL』における強者の象徴だったのがSKTだ。2017年の世界大会を準優勝で終えた後の2018シーズンは低迷し、世界大会出場を逃す結果に終わった。
このオフシーズンには10人中7人の登録選手が脱退し、6人の選手が新たに加入するという大規模なチーム改編を行った。新メンバーは2018シーズンのLCKにおいて技術に優れていると評された若手のトッププレイヤーたちで固められている。さらには名将と称されたコーチも新たに招集し、LCKスーパードリームチームとみなされている。KeSPA Cupの出場試合では試運転といった様子だったが、練度が高まれば並ぶもののないチームとなるはずだ。
トップ:Crazy / Khan
ジャングル:Clid / Haru
ミッド:Faker
ボット:Teddy / Leo
サポート:Mata / Effort
韓国保険業界第2位の「ハンファ生命」が昨年夏から抱える『LoL』プロチーム。チームそのもののLCKでの本格的な活動は2015年からで、2015~2016年は「Tigers」というチーム名で、国際大会のトップ争いの一角を占めていた。2019シーズンに向けて10人態勢の半数にあたる5人の選手を新たに入れ替えており、トップ・ジャングル・ミッドを重視した補強を行っている。
トップ:SoHwan / Thal
ジャングル:Moojin / Bono
ミッド:Lava / Tempt
ボット:Sangyoon / Clever
サポート:Key / Asper
SKTやKTといったトップチームの後を追う実力派チームのひとつがAFSだ。2017シーズンまでは目立った活躍のない中堅チームだったが、MaRin選手の後継として入ったKiin選手と、ドラフト戦略に秀でるZefaコーチの加入以降は一気に存在感を増した。初参加となった2018年の世界大会はノックアウトステージ初戦敗退という結果に終わったものの、Kiin選手を核に、KTで活躍した若手ミッドレーナー・Ucal選手を迎えるなど、新シーズンに向けた準備を着々と整えている。ZefaコーチがSKTに移籍したのは痛手だが、LPLの名門EDGを率いたNoFeコーチを獲得しており、新たな体制での戦闘準備は万端といえる。
トップ:Kiin / Summit
ジャングル:Spirit / Dread
ミッド:Ucal
ボット:Aiming / SSol
サポート:Jelly / Proud
他に著名な古参選手といえば、KTのScore選手が挙げられる。現在26歳のScore選手は、長いキャリアの中で2018年夏にようやく国内優勝を手にした。韓国には兵役制度があるため、そろそろ引退するのではないかという推測もある彼が、この春も選手としてステージに上がってくれるのは、ファンにとっては非常にうれしいことだ。
他にも、Tigers時代に世界大会でSKTと覇を競ったSmeb・Peanut両選手もLCKでプレイを続けている。高額な年俸や名声を求めて国外チームへと移籍していく韓国人選手も多いが、国外から戻ってきた選手も多い。Mata・PawNの両選手は2014年のSamsung White優勝時から現役を継続しているが、2015~2016の2年間は中国チームでプレイしていた。
今年も多くの選手が国外からLCKに帰還している。新たなキャリアを築き上げていけるかどうか、ベテラン選手たちのパフォーマンスや動向にも注目したい。
2014年の世界大会を制し、2017にはSKTの三連覇を阻んだ「Samsung Galaxy」の流れを汲むLCK強豪の一角。レギュラーシーズンの結果は多少の浮き沈みがあるものの、第3シードを巡る地域選抜戦において無類の強さを発揮するジンクスがあり、世界大会の常連でもある。2018年の世界大会はまさかのグループステージ敗退となったが、当時の主力であったHaru・Ambition・Crown・CoreJJの4選手は脱退し、この春は手元に残ったソロレーナーたちを軸に再起を図ることとなった。夏スプリット後半の主力に生え抜きの新人Life選手と、経験豊富で攻撃的なオプションとなるPeanut選手を加え、チーム構造を大きく変えて牙をむこうとしている。
トップ:CuVee / Roach
ジャングル:Peanut
ミッド:Fly
ボット:Ruler
サポート:Life
2017年夏から2018年春にかけてLCKを席捲したチーム。組織の歴史は元をたどれば非常に古いが、何度かチーム名が変わっており、LCKで存在感を示せているのは2017年夏以降となっている。ここ1年間ほどは圧倒的な強さを見せていたものの、国際大会では一歩及ばず、2018年夏にはゲーム環境の変化に苦しんで世界大会出場を逃してしまっている。2019シーズンを迎えるにあたって主軸だった選手の多くがチームを離れたが、新たなメンバーでかつての栄光を取り戻すための戦いが始まろうとしている。
トップ:Rascal
ジャングル:Cuzz
ミッド:PawN / Naehyun
ボット:Deft
サポート:TusiN
2018年夏、LCKおよび『LoL』競技シーンの耳目を一身に集めた新進気鋭のチームがこのGriffinだ。トップチームに比肩する集団戦の強さ、時に意表を突くピックなど、多くの武器を引っ提げてそれまでの強豪を次々と撃破した彼らは、なんと2018年夏からの1部昇格チーム。昇格直後だった2018年夏は、プレイオフ優勝以外の手段で世界大会出場権を獲得できなかったが、プレイオフ決勝においてKTに敗れ、惜しくも国際大会出場は成らなかった。2019シーズンはメンバーの変更をほとんど行わず、チームとしての経験値を十分に蓄積した状態を維持しての新シーズンということになる。
トップ:Sword
ジャングル:Tarzan
ミッド:Chovy / Rather
ボット:Viper
サポート:Kabbie / Lehends
LCKにおいてSKTと並ぶ人気を誇る、名門中の名門チーム。常に優勝争いを演じながら優勝できず「無冠の王」と称されていたが、2018年夏に念願のプレイオフ制覇を果たした。2018年の世界大会では準々決勝で中国のiGに敗れこそしたものの、第5試合までもつれ込む死闘を演じている。2019シーズンに向けて、LCKで活躍した若手と海外で経験を積んできたプレイヤーを新たに加えて陣容を厚くしている。ライバルであるSKTもLCKオールスターの様相を呈しており、伝統の一戦である「テレコム・ウォー」に大きな注目が集まることになりそうだ。
トップ:Smeb
ジャングル:Score / UmTi
ミッド:Bdd
ボット:Gango / Zenit
サポート:SnowFlower / Mia
韓国チームは手堅い戦術に固執する傾向があり、その結果メタゲームの変化が遅いと言われている。新しい戦術については他地域で使われた試合を見てから採用するといった動きがこれまでは多かったのだ。
2018年の世界大会では日程の進行にともなってメタが目まぐるしく変化したが、主に欧米チームは序盤からアグレッシブな戦術を取る方針に転換し、成功をつかんでいった。一方で韓国チームはそれまでの「耐えて機を待つ」スタイルを堅持した結果、ノックアウトステージ準々決勝までで全チームが敗退するという、『LoL』プロシーンが始まってから最悪の結果になってしまった。
『LoL』は約2週間ごとにパッチが当たって環境が変わり続けるゲームで、ライブサーバーに追随して競技環境にも変更が適用されていく。試合序盤から攻撃的なアクションを成功させることが勝利の鍵となる傾向は、今後も続くと予想される。韓国に限った話ではないが、どのチームも「あらゆるポジションから勝ちを持っていける」ことを重視して選手獲得を狙っていたこの2019シーズン。韓国という地域の個性は変わるのだろうか。
もちろん試合配信も行われており、毎週水~日曜日の夕方5時から合計10週間、1日に2対戦が行われる(2月第2週は旧正月につき休み)。
そして今年はなんと、AbemaTVおよびOPENREC.tvにて公式日本語実況解説配信も行われることになっている。LJLでおなじみのキャスターであるeyes氏やRevol氏、昨年の『LoL』番組「賞金首」にも出演した象先輩氏やRaizin氏に、学生キャスターのJaeger氏が加わる豪華ラインナップでの日本語実況で、日本でも世界最高峰のリーグを堪能できるのだ。
LCKの開幕は1月16日。開幕初戦のカードは「SKT vs JAG」となっている。SKTの新ボットレーナーに抜擢されたTeddy選手にとって、JAGは古巣という格好になる。オフシーズンのテコ入れの行方、そしてKeSPA Cup以来の練習の成果について、双方のチームのパフォーマンスに注目したい。今年も熱い熱い韓国の春が始まる!
■関連リンク
『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
LoL Esports LCK試合スケジュール(英語)
https://watch.na.lolesports.com/schedule?leagues=lck
OPENREC.tv LCK公式日本語配信
https://www.openrec.tv/user/RiotGamesKorea
LoL Esports 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lolesports
韓国eSports協会KeSPA 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/KeSPAen
LCK 2018 Spring データページ(Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LCK/2019_Season/Spring_Season
しかし、韓国チームたちもそのまま黙ってはいない。これまで獲得し続けてきた栄誉を、もう一度手に入れられない道理はないのだ。観戦ファンは強いチームに心惹かれるものだが、長くファンを続けることでチームや選手そのもののファンになっていく。そうしたLCKファンは今や世界中に数多く存在し、韓国という地域の復活を待ち望んでいる。
そして2019年も、韓国1部リーグ「LoL Champions Korea(LCK)」で牙を研ぐ全10チームが出揃った。さっそく、世界最強の称号を取り戻すべく戦うチームと選手たちを見ていこう。
どこまで登れるか? 2019春の昇格チームたち
DAMWON GAMING (DWG)
http://www.damwongaming.com昨年の入替戦で「bbq Olivers」を下して昇格したチーム。特に注目の的となっているのはミッドのShowMaker選手で、長らく主流ピックになっていないチャンピオン「カタリナ」の名手だ。ヨーロッパチーム「H2k」で辣腕を振るったNuclear選手や、アマチュア国際大会「8th IeSF」に韓国チームの一員として選出されたHoit選手など、他にも腕利きが揃う。2部リーグや入替戦でも圧倒的な結果を残し、オフシーズンのオールスター的国内大会「KeSPA Cup」では更新間もない体制とはいえSKTを打倒している。
トップ:Nuguri
ジャングル:Punch / Canyon
ミッド:ShowMaker
ボット:Nuclear / Calm (Aries)
サポート:Hoit / BeryL
SANDBOX GAMING (SBG)
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2164864606906080&id=1000014768492352部リーグでプレイしていた昨年は「Team BattleComics」という名称だったが、KeSPA Cup参加時点から母体組織の変更によりリブランドした。日本では元「DetonatioN FocusMe」のDragonコーチが所属しているチームとして知っている人も多いだろう。入れ替え戦ではMVPを相手に快勝。さらに他地域の1部リーグで戦った経験豊かな選手を加えて補強を行っている。
トップ:Wizer / Summit
ジャングル:Crush / OnFleek
ミッド:Dove
ボット:Hollow / Ghost
サポート:Joker / Totoro
コラム:注目の新人選手たち
『LoL』プロシーンも2019年で9年目。黎明期に活躍していた選手たちは次々に引退し、配信者として『LoL』をプレイし続ける者、コーチやゲーム関係の会社員などになる者、eスポーツとは全く関係ないキャリアに進路を変更する者など、さまざまな道を選択している。残された空席を埋める新世代の選手たちが、韓国でもどんどん出てきている。2部リーグで戦い続けた昇格チームには多数の新人選手が所属している。チームとして1部リーグの洗礼を受けて敗北に塗れるものもあれば、極稀な例外ではあるが、昨年夏のGriffinのように最上位圏にまで駆け抜けていくチームもある。どちらにせよ、1部リーグのステージでプレイすることは、新人選手にとって将来的に他のLCKチームからのオファーを受けるステップの第一歩でもある。
上記2つの昇格チームメンバーの中で、LCKでのプレイが初めてとなる「ルーキー」選手は太字で示してみた。1部リーグで居場所を見つけるために苦戦するか、それとも流星のごとく駆け上るダークホースとなるか……上位チームの動向とは別に、新人たちの行く末を見守るのも楽しい観戦経験となるはずだ。
伏兵として上を目指せるか? 昨夏の下位~中堅チームたち
JIN AIR GREEN WINGS (JAG)
https://twitter.com/JinAirGW/status/1082480173155377152毎年降格圏まで落ちることはないものの、プレイオフ参加できるかどうかのラインをさまよっているのがJAGだ。パフォーマンスが安定せず、非常に強い週もあれば、決め手に欠けて史上最長のロングゲームをしてしまうことも。2018シーズンも入替戦は免れたものの、その後の移籍市場でチームを支えていたメンバーが他チームに引き抜かれ、苦しい再出発となってしまった。
トップ:Lindarang / TaNa
ジャングル:Malrang / Seize
ミッド:Grace / CheonGo
ボット:Stitch / Route
サポート:Nova / Kellin
SK TELECOM T1 (SKT)
https://twitter.com/sktelecom_t1/status/10775643299044311042013年の鮮烈な世界大会制覇と、2015~2016年の連覇。最強地域韓国と『LoL』における強者の象徴だったのがSKTだ。2017年の世界大会を準優勝で終えた後の2018シーズンは低迷し、世界大会出場を逃す結果に終わった。
このオフシーズンには10人中7人の登録選手が脱退し、6人の選手が新たに加入するという大規模なチーム改編を行った。新メンバーは2018シーズンのLCKにおいて技術に優れていると評された若手のトッププレイヤーたちで固められている。さらには名将と称されたコーチも新たに招集し、LCKスーパードリームチームとみなされている。KeSPA Cupの出場試合では試運転といった様子だったが、練度が高まれば並ぶもののないチームとなるはずだ。
トップ:Crazy / Khan
ジャングル:Clid / Haru
ミッド:Faker
ボット:Teddy / Leo
サポート:Mata / Effort
HANWHA LIFE ESPORTS (HLE)
https://www.instagram.com/p/BsM2XuXAD6U/韓国保険業界第2位の「ハンファ生命」が昨年夏から抱える『LoL』プロチーム。チームそのもののLCKでの本格的な活動は2015年からで、2015~2016年は「Tigers」というチーム名で、国際大会のトップ争いの一角を占めていた。2019シーズンに向けて10人態勢の半数にあたる5人の選手を新たに入れ替えており、トップ・ジャングル・ミッドを重視した補強を行っている。
トップ:SoHwan / Thal
ジャングル:Moojin / Bono
ミッド:Lava / Tempt
ボット:Sangyoon / Clever
サポート:Key / Asper
AFREECA FREECS (AFS)
https://twitter.com/Freecs_LoL/status/1082522505904963584SKTやKTといったトップチームの後を追う実力派チームのひとつがAFSだ。2017シーズンまでは目立った活躍のない中堅チームだったが、MaRin選手の後継として入ったKiin選手と、ドラフト戦略に秀でるZefaコーチの加入以降は一気に存在感を増した。初参加となった2018年の世界大会はノックアウトステージ初戦敗退という結果に終わったものの、Kiin選手を核に、KTで活躍した若手ミッドレーナー・Ucal選手を迎えるなど、新シーズンに向けた準備を着々と整えている。ZefaコーチがSKTに移籍したのは痛手だが、LPLの名門EDGを率いたNoFeコーチを獲得しており、新たな体制での戦闘準備は万端といえる。
トップ:Kiin / Summit
ジャングル:Spirit / Dread
ミッド:Ucal
ボット:Aiming / SSol
サポート:Jelly / Proud
コラム:存在感を発揮できるか? ベテラン選手たち
2012年より始まった韓国の『LoL』プロシーンは、多くのベテラン選手たちを抱えている。中でもやはり有名なのはまず「不死の魔王」ことFaker選手。国内外に多数のファンを抱えた彼は、昨年のオフシーズンにオフラインイベント『RAGE』参加のため来日もしており、その技量のみならず真面目で誠実な人柄に好印象を覚えた人も多いだろう。他に著名な古参選手といえば、KTのScore選手が挙げられる。現在26歳のScore選手は、長いキャリアの中で2018年夏にようやく国内優勝を手にした。韓国には兵役制度があるため、そろそろ引退するのではないかという推測もある彼が、この春も選手としてステージに上がってくれるのは、ファンにとっては非常にうれしいことだ。
他にも、Tigers時代に世界大会でSKTと覇を競ったSmeb・Peanut両選手もLCKでプレイを続けている。高額な年俸や名声を求めて国外チームへと移籍していく韓国人選手も多いが、国外から戻ってきた選手も多い。Mata・PawNの両選手は2014年のSamsung White優勝時から現役を継続しているが、2015~2016の2年間は中国チームでプレイしていた。
今年も多くの選手が国外からLCKに帰還している。新たなキャリアを築き上げていけるかどうか、ベテラン選手たちのパフォーマンスや動向にも注目したい。
国際大会を目指してぶつかり合う猛者たち。LCKトップチーム
GEN.G (GEN)
https://twitter.com/GenGLoL/status/10796962660601569282014年の世界大会を制し、2017にはSKTの三連覇を阻んだ「Samsung Galaxy」の流れを汲むLCK強豪の一角。レギュラーシーズンの結果は多少の浮き沈みがあるものの、第3シードを巡る地域選抜戦において無類の強さを発揮するジンクスがあり、世界大会の常連でもある。2018年の世界大会はまさかのグループステージ敗退となったが、当時の主力であったHaru・Ambition・Crown・CoreJJの4選手は脱退し、この春は手元に残ったソロレーナーたちを軸に再起を図ることとなった。夏スプリット後半の主力に生え抜きの新人Life選手と、経験豊富で攻撃的なオプションとなるPeanut選手を加え、チーム構造を大きく変えて牙をむこうとしている。
トップ:CuVee / Roach
ジャングル:Peanut
ミッド:Fly
ボット:Ruler
サポート:Life
KINGZONE DRAGONX (KZX)
2017年夏から2018年春にかけてLCKを席捲したチーム。組織の歴史は元をたどれば非常に古いが、何度かチーム名が変わっており、LCKで存在感を示せているのは2017年夏以降となっている。ここ1年間ほどは圧倒的な強さを見せていたものの、国際大会では一歩及ばず、2018年夏にはゲーム環境の変化に苦しんで世界大会出場を逃してしまっている。2019シーズンを迎えるにあたって主軸だった選手の多くがチームを離れたが、新たなメンバーでかつての栄光を取り戻すための戦いが始まろうとしている。
トップ:Rascal
ジャングル:Cuzz
ミッド:PawN / Naehyun
ボット:Deft
サポート:TusiN
GRIFFIN (GRF)
https://twitter.com/TeamGriffinLoL/status/10799653489195704332018年夏、LCKおよび『LoL』競技シーンの耳目を一身に集めた新進気鋭のチームがこのGriffinだ。トップチームに比肩する集団戦の強さ、時に意表を突くピックなど、多くの武器を引っ提げてそれまでの強豪を次々と撃破した彼らは、なんと2018年夏からの1部昇格チーム。昇格直後だった2018年夏は、プレイオフ優勝以外の手段で世界大会出場権を獲得できなかったが、プレイオフ決勝においてKTに敗れ、惜しくも国際大会出場は成らなかった。2019シーズンはメンバーの変更をほとんど行わず、チームとしての経験値を十分に蓄積した状態を維持しての新シーズンということになる。
トップ:Sword
ジャングル:Tarzan
ミッド:Chovy / Rather
ボット:Viper
サポート:Kabbie / Lehends
KT ROLSTER (KT)
https://www.facebook.com/ktesports/photos/a.579644898762798/2160579334002672/?type=3&permPage=1LCKにおいてSKTと並ぶ人気を誇る、名門中の名門チーム。常に優勝争いを演じながら優勝できず「無冠の王」と称されていたが、2018年夏に念願のプレイオフ制覇を果たした。2018年の世界大会では準々決勝で中国のiGに敗れこそしたものの、第5試合までもつれ込む死闘を演じている。2019シーズンに向けて、LCKで活躍した若手と海外で経験を積んできたプレイヤーを新たに加えて陣容を厚くしている。ライバルであるSKTもLCKオールスターの様相を呈しており、伝統の一戦である「テレコム・ウォー」に大きな注目が集まることになりそうだ。
トップ:Smeb
ジャングル:Score / UmTi
ミッド:Bdd
ボット:Gango / Zenit
サポート:SnowFlower / Mia
コラム:メタゲームに見る韓国という地域
韓国は選手のハンドスキルを重視する地域だ。韓国サーバーは一般層であっても非常にハンドスキルのレベルが高いサーバーとして知られており、オフシーズンの一部期間を韓国で過ごして強化合宿を行う国外チームも多い。韓国チームは手堅い戦術に固執する傾向があり、その結果メタゲームの変化が遅いと言われている。新しい戦術については他地域で使われた試合を見てから採用するといった動きがこれまでは多かったのだ。
2018年の世界大会では日程の進行にともなってメタが目まぐるしく変化したが、主に欧米チームは序盤からアグレッシブな戦術を取る方針に転換し、成功をつかんでいった。一方で韓国チームはそれまでの「耐えて機を待つ」スタイルを堅持した結果、ノックアウトステージ準々決勝までで全チームが敗退するという、『LoL』プロシーンが始まってから最悪の結果になってしまった。
『LoL』は約2週間ごとにパッチが当たって環境が変わり続けるゲームで、ライブサーバーに追随して競技環境にも変更が適用されていく。試合序盤から攻撃的なアクションを成功させることが勝利の鍵となる傾向は、今後も続くと予想される。韓国に限った話ではないが、どのチームも「あらゆるポジションから勝ちを持っていける」ことを重視して選手獲得を狙っていたこの2019シーズン。韓国という地域の個性は変わるのだろうか。
2019年からは公式日本語配信も! 試合日程&配信情報
LCKのシステムは2019年も昨年までと変わりない。レギュラーシーズンはダブルラウンドロビン(総当たり戦で同じ対戦が2回)で、各対戦はBo3(2本先取)。レギュラーシーズンの上位5チームは、キングオブヒル方式(下位チームが上位チームに挑戦し、勝ったチームがさらに上位のチームと戦う)のプレイオフに進出し、優勝チームが春夏間の国際大会「Mid-Season Invitational(MSI)」で韓国代表になる見込みだ。レギュラーシーズン最下位の2チームは、2部リーグである「Champions Korea」の上位2チームと入替戦を行い、勝ったチームが残留もしくは昇格となる。もちろん試合配信も行われており、毎週水~日曜日の夕方5時から合計10週間、1日に2対戦が行われる(2月第2週は旧正月につき休み)。
そして今年はなんと、AbemaTVおよびOPENREC.tvにて公式日本語実況解説配信も行われることになっている。LJLでおなじみのキャスターであるeyes氏やRevol氏、昨年の『LoL』番組「賞金首」にも出演した象先輩氏やRaizin氏に、学生キャスターのJaeger氏が加わる豪華ラインナップでの日本語実況で、日本でも世界最高峰のリーグを堪能できるのだ。
LCKの開幕は1月16日。開幕初戦のカードは「SKT vs JAG」となっている。SKTの新ボットレーナーに抜擢されたTeddy選手にとって、JAGは古巣という格好になる。オフシーズンのテコ入れの行方、そしてKeSPA Cup以来の練習の成果について、双方のチームのパフォーマンスに注目したい。今年も熱い熱い韓国の春が始まる!
■関連リンク
『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
LoL Esports LCK試合スケジュール(英語)
https://watch.na.lolesports.com/schedule?leagues=lck
OPENREC.tv LCK公式日本語配信
https://www.openrec.tv/user/RiotGamesKorea
LoL Esports 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lolesports
韓国eSports協会KeSPA 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/KeSPAen
LCK 2018 Spring データページ(Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LCK/2019_Season/Spring_Season
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