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斬新な試みが満載!? 国内初の『ロケットリーグ』大規模リーグ戦「PRIMAL」運営スタッフインタビュー

今年の3月に本戦が開幕した、RIZeSTが運営する国内初の『ロケットリーグ』大規模リーグ戦「PRIMAL」。CS/BSテレビ局であるスカパー!との提携など、これまでのeスポーツ大会とは一線を画する手法で注目を集めている。

本記事では、そんな「PRIMAL」のキーマンであるスカパー!の加藤健氏、番組ディレクターの江藤修平氏、RIZeSTの高橋晃平氏、番組で解説を担当する日本の『ロケットリーグ』のコミュニティリーダー・kokken氏を迎え、PRIMALを配信しているLFS池袋esports Arenaにてインタビューを行った。

▲左からスカパーJSAT メディア事業部門 LIFEビジネスセンター LIFE事業部長 加藤健氏、スカパー・ブロードキャスティング 制作事業本部 制作部 江藤修平氏、『ロケットリーグ』コミュニティリーダーのkokken氏、RIZeST コンテンツプロデュース部 プロデューサーの高橋晃平氏

「PRIMAL」開催に至った経緯とは

――まずは、簡単な自己紹介と、どのような経緯で『PRIMAL』に関わってきたかの経緯からお願いします。

加藤:スカパー!のLIFE事業部長の加藤です。我々の中では2018年7月くらいから、eスポーツに関する取り組みを本格的にやろうということになりまして。

eスポーツの波が日本にも来ているのは感じていました。そこで我々にできることは何かと考えたとき、やはりテレビをやっているので、eスポーツという新しい文化が発展していく様を追いかけていきながら、そのお手伝いができたらなと。

サッカーのJリーグの中継をスカパー!で本格的に始めたときも、我々は当初から各クラブチームと一緒になって盛り上げていったという経験がありました。それがこのeスポーツという舞台でも活かせるんじゃないかという思いがありまして、方法を模索していました。

そんなとき今回のお話を頂戴して、ぜひやってみようということで、お手伝いさせていただいています。

▲スカパーJSATの加藤氏。eスポーツで何か番組を作ることはできないかと模索していた時期に「PRIMAL」の話が来たという

江藤:スカパー!の制作子会社でプロデューサーやディレクターをしている江藤です。私はここ2~3年くらいeスポーツ関連の企画を会社に提案し続けている立場だったのですが、kokkenさんやRIZeSTの社員さんとご縁があって『ロケットリーグ』で何かできないか、というゲームコミュニティからのご提案をいただいた形でした。

私自身『ロケットリーグ』をリリース当初からやっていたこともあって、eスポーツとしての高いポテンシャルを認識していたのと、いただいた企画書がとても良いものだったので、これをやりませんか、とスカパーJSATに提案して採用してもらいました。リーグが始まってからは、番組のディレクターに専念しています。

高橋:RIZeSTの高橋です。弊社としてはまず、社内に『ロケットリーグ』をかなりやりこんでいる社員がいるんです。その彼がコミュニティの中でkokkenさんと出会い、小さな大会を運営するということがありました。それをうちの会社を挙げて大きくやれないかという話を提案してもらったのがきっかけでした。

今回ご協賛いただいているスカパー!さん、サードウェーブさんの心強いバックアップもいただけることになり、それならば大きくやってみよう、というのが経緯になります。

kokken:『ロケットリーグ』でコミュニティの主宰などをしているkokkenです。『ロケットリーグ』は2015年の発売からいろいろと活動していたのが結実したのかなという感触があります。先ほどお話に出ていたRIZeSTの社員の方……、相当『ロケットリーグ』をやってる方なんですけど(笑)、彼やここにいる江藤さんもプレイヤーということで、散らばっていた種が一気に花を咲かせたという感じですね。

――企業側が「eスポーツで何かやりたい」といって始まった企画ではなく、kokkenさんのコミュニティで以前からやっていたことが実を結んだという形なんですね。

kokken:それもありますが、昨年「eスポーツ」が流行語大賞にノミネートされるなど、ある種のブームになったというのも要素としてはあると思います。

加藤:腰が重い人たちに動いてもらうには、いいタイミングではありますよね。

高橋:弊社では7~8年前からeスポーツに携わる事業をしているのですが、当時から一貫していることのひとつに、とにかくコミュニティが大事であるというものがあります。なので先ほどお話しした社員がkokkenさんと出会ったのがきっかけであるというのは間違いないです。

江藤:コミュニティのお二人でかなり形になった企画書をご用意いただいたので、それをスケールアップしていく方針で、今のような形になりました。

kokken:RIZeSTで『ロケットリーグ』好きの社員と二人だけでもいいからやろう! という話ではあったんです。でも企画はしっかりまとめあげたので、あとはどこかお助けいただけるのであれば企業さんにお願いできないかなと。

結果的に、スカパー!さんやサードウェーブさんを始め、いろんな人たちに助けていただいて、あれよあれよという間に素晴らしい企画になっていきました。

江藤:スカパーJSATグループとしてもeスポーツ大会を開きたい、といっても突然コミュニティに対して「大会をやるので来てください!」って入り込んでいくのも難しいので、一緒にできるのが心強かったですね。

加藤:eスポーツに関しては経験も無かったですから、RIZeSTさんのお力を借りて、経験させていただくという面もありました。

kokken:サードウェーブさんの中にも『ロケットリーグ』をプレイしているという方がいらっしゃいました。協賛されていた「全国高校eスポーツ選手権」でも『ロケットリーグ』が種目になっていましたが、それもサードウェーブさんからの推薦があったみたいです。そんなふうに、本当にあちこちから『ロケットリーグ』が好きな人がいて、その人たちの力で大きくなっていきましたね。

▲スカパー・ブロードキャスティングの江藤氏。自身も『ロケットリーグ』プレイヤーでもある

kokkenが語る『ロケットリーグ』の魅力

――そんな『ロケットリーグ』ですが、このゲームの魅力というのはどのような点でしょうか?

kokken:まずは「入りやすい」というのがあると思います。相手ゴールにボールを押し込むというのは初めて見た人にも理解できる。これは観戦している人にも同じですね。それでいて、やり込んでいくとスキルキャップが非常に高いんです。練習すれば練習したぶんだけ、上達を感じることができると思います。そういった面は、フィジカルスポーツに近いものがあるのではないかと。

江藤:こういったスポーツゲームって、あまり他にないんですよね。サッカーや野球といったリアルスポーツを題材にしたスポーツゲームはあっても、完全にオリジナルの球技をしている点は唯一無二な点なのかなと。

加藤:宣伝しやすいんですよね。殺し合いや殴り合いもないし血が出るわけでもない、すべての人に見ていただけるという。あとチーム戦であるというのもいいですね。連携がうまくいっているのを見ると、それだけで凄さが伝わってきます。

kokken:また、選手の個性が大きく出るというのも面白い点だと思っています。うまい人のプレイを見ると勘違いされがちなのですが、サッカーゲームにあるような「相手にパスをする」というボタンはないんですよね。すべてのプレイにおいてボールの出し方に個性が出る。

プレイスタイル的にも、空中でボールを保持するなどの個人技を活かそうとする選手もいれば、とにかくボールを回してポジショニングを重視する選手など様々なタイプがいて、一概にどちらがうまいとも言えない、絶妙なバランスになっていると思います。

――プレイ環境の面では、やはりPC版、パッド操作というのが主流ですか?

kokken:コンシューマー版でもカジュアルに遊ぶ分には問題ないのですが、競技としてはやはりPC版は240Hzのモニタでプレイできるのが大きいですね。とくに『ロケットリーグ』は弾道の予測やタイミングが重要になるので、ゲーミングモニターの恩恵をかなり受けられるゲームだと思います。

操作は9:1くらいでパッドが主流になっていますね。パッドのほうが直感的に操作できるのと、トリガーボタンがあるのでアクセルの踏み方の加減ができるのが大きいです。

▲コミュニティリーダーのkokken氏。これまでの日本の『ロケットリーグ』シーンを牽引してきた

配信番組としての「PRIMAL」

――ありがとうございます。大会の方に話を戻しますが、スカパー!さんでは現在オンデマンド配信のみとなっています。これを放送でも行う予定はあるのでしょうか?

加藤:それはぜひやりたいと思っているところです。現状は権利元との契約の関係でネット配信のみとなっており、放送はできなかったのですが、我々社内のテーマとしては放送するつもりで制作しています。カメラワークや演出、出演者など、家の大きなテレビで見られるような、スカパー!がこれまで培ってきたスポーツ中継のノウハウを使った制作をしているんです。スカパー!オンデマンドだけでなくTwitchやYouTubeでも配信されていますが、そちらから見た人でも「ん? なんかいままでのeスポーツ番組とちょっと違うぞ!?」と引っ掛かりを持っていただくというのが目標です。

▲スカパー!オンデマンドのトップページから、ログインなしで無料視聴できる「PRIMAL」のページへの案内が表示されている

江藤:eスポーツの見せ方はまだ模索中ですが、今回はなるべく初めて見た人をターゲットに考えるようにしています。開幕戦でもMCに文化系のタレントさんを起用したり、eスポーツや『ロケットリーグ』を知らない人でも見られる作り方を心がけていますね。カメラワークもそのひとつです。『ロケットリーグ』をプレイしている人はどちらかというと選手のプレイ画面をメインに見たいと思うんです。

kokken:トッププレイヤーの細かいテクニックやどこを見ているかがわかりますからね。

江藤:ですが、今回はあえて俯瞰のカメラワークを多めにしていたりします。kokkenさんには普段見慣れない引きの絵から解説してもらうことも多いですね(笑)。

kokken:コミュニティの中にも、ここを見ておけばいい画が撮れるというのがわかっている、観戦モードのカメラワークが得意な人がいるんですよ。その方に試合で直接カメラを操作してもらっています。コミュニティにいるファンの力と、スカパー!さんのプロの力が合わさっていて、面白い画が作れていると思っています。

江藤:せっかく全10節あるということで、じつはカメラワークも節を追うごとに選手の視点を増やしていたり、リーグ全体の流れを意識しています。これは解説も一緒で、徐々に専門用語を使うようになっていったりとか、kokkenさんには節ごとに決めたテーマに沿ってうまく解説してもらっていますね。

――やはりコミュニティでの大会の実況とは勝手が違う面がありますか?

kokken:コミュニティはつねに人材不足なので(笑)、実況も解説も全部やることがほとんどだったんですが、今回のように解説のみというのは初めてだったので試行錯誤しました。

高橋:海外大会では、実況や解説といった役割を決めずに二人がコメンテーターとして大会を盛り上げるというものが多いんですが、日本では実況者と解説者で分かれているのが一般的かと思いこの形にしています。

――海外と比較しての日本の『ロケットリーグ』シーンはいかがでしょうか?

kokken:海外では主に北米や欧州で盛り上がっているのですが、日本にも世界で通用するポテンシャルを持った選手もいるんです。しかし彼らが活躍する場がほとんどないのが現状です。

現在『ロケットリーグ』の世界大会では、北米、欧州、オーストラリア、今回新たに南米というリージョンに分かれているのですが、その他の地域のチームには参加権自体がないんですね。日本にいる強い選手も、これでは目標をなくすというか、モチベーションも保てなくなってしまうと思うんです。

江藤:オーストラリアのケースでは、元々はコミュニティ主催の大きめな大会があって、そこで優勝すると代表として世界大会に参加できるというような枠ができました。RIZeST社員の方とkokkenさん、二人のコミュニティリーダーの思いでもある「世界への道」を日本でも同じように作ることができたら最高ですね。

kokken:『PRIMAL』もそのような大会になって、日本のチームが世界大会で活躍するようになれば、もっとプレイ人口も増えていくと思います。他のゲーム、例えば『レインボーシックス シージ』などは日本のチームが活躍して盛り上がりましたよね。

高橋:プレイ人口はもちろんですが、観戦人口が増えてほしいという点からも実現したいですね。国際大会に自国の選手が出場していれば、応援したくなるのが自然な流れなので。

▲e-sports SQUARE AKIHABARAの店長を経て、現在は「PRIMAL」のプロデューサーを務めるRIZeSTの高橋氏

――『PRIMAL』のこれまで(第6節まで)の試合を振り返って、kokkenさんの印象に残っているシーンはありますか?

kokken:そうですね……。最近のものになりますが、第6節のAfterBurner対STAN GAMINGの試合ですね。

江藤:あれは熱かったです。

kokken:STAN GAMINGというチームは、リーグの1巡目を唯一全敗で折り返してしまったチームなんです。しかし2巡目の最初の試合となる第6節で、強豪のAfterBurnerに対して初勝利をもぎ取るんですね。それも3-2のフルセットという劇的な試合で、見ている人みんながほっこりしたというか(笑)。

プレイ内容も確実に良くなっいて、明らかに成長を感じさせてくれた。ある意味『PRIMAL』を開催した意義のひとつがあの試合で結実したのかなと感じました。

加藤:全敗で折り返しというのは、それはもう悔しかったでしょうね。

kokken:悔しかったと思います。でもそこでへこたれなかった。『PRIMAL』はGWはお休みしてて、その期間は少し時間が空いたんですね。そこで大きく成長していたので、ものすごく練習したんだと思います。

高橋:選手の成長もそうですが、メンタルの変化というのも見ていて面白い部分だと思います。

▲kokken選手も絶賛の、連携・個人技ともに成長を見せてくれた第6節STAN GAMING vs AfterBurnerの試合

これからの「PRIMAL」について

――これからの『PRIMAL』について注目してほしい点や、先ほど世界大会に繋げるというお話もありましたが、改めて目標としているものがあればお聞かせください。

加藤:スポーツ観戦で何を見ているかというと、選手を見ているということが多いと思うんですね。その選手のプレイはもちろん、表情や佇まいといった、どんな人間なのかという部分も含めて。なので、選手の魅力が伝わるようなものを作っていきたいと考えています。

高橋:選手の個性をもっと見せたいというのは、RIZeST側の課題としてもありますね。この選手がこれが得意でこういうプレイスタイルであるとか、現状、kokkenさんの解説に頼っている面が大きいのですが、もっと番組構成として選手にフォーカスできる余地はあると感じています。

kokken:この大会をプレイヤーの目標になるものにしたいというのがまずあるのですが、僕個人の目標としては、「kokkenに解説してもらいたい」と思ってもらえるような解説をしていきたいです。

高橋:もうすでになっているんじゃないですか?

kokken:いやいや(笑)。

高橋:kokkenさんと選手の関係性を見ていると、失礼かもしれませんが、親子みたいだなと思う時があるんですよね(笑)。

江藤:わかります(笑)。

kokken:確かに、可愛いやつもいれば、生意気なやつもいますからね(笑)。まあ、そういった所も含めてコミュニティリーダーみたいに言われているので、コミュニティとしても『ロケットリーグ』全体を応援していきたいですね。

江藤:番組そのもので言うと、やはり選手をもっと格好よく見せたいと思っています。今回、運営側がプロフェッショナルとして振る舞うほど、選手もプロフェッショナルとして対応してくれるのだという相乗効果を実感した部分もあるので、そういうふうに番組も成長させていきたいですね。

――では最後に、最終節に向けた『PRIMAL』のアピールをお願いします。

kokken:本大会は運営のRIZeSTさんもそうですし、カメラワークや演出もスカパー!さんで本物のスポーツ中継をやっていたプロが集まって、互いのいいところを発揮して本当にいいものができていると思います。色々と気づくことがあると思うので、ぜひいろんなところに注目して見てほしいです。

高橋:弊社はそれなりに長いことeスポーツに携わっていますが、今回はスカパー!さんによって今までeスポーツでは見られなかったようなリアルスポーツ番組の要素がたくさん盛り込まれていて、いつも勉強になっています。大会そのものに関しましては、これから最終節に向けてファイナルに出場する3チームが決まりますので、逆転していくチームや敗退が決まってしまうチーム等も出てきてより一層ドラマチックになっていきます。そういったところに是非注目して、これからもご覧いただければと思います。

江藤:リーグも終盤になって、「もう一つも落とせない」とか緊張感もより増していくので、やはり選手に注目して見ていただきたいですね。これまでの配信も見ることができますので、ぜひ選手たちのストーリーに注目してください。ファイナルに関して言うと、全力で格好いいものにしていきますので、画や音など、様々なところに注目してほしいですね。

加藤:ぜひお友達と一緒に見てください。とくに『ロケットリーグ』プレイヤーの方は、『ロケットリーグ』を知らない人を誘って一緒に見てほしいですね。

江藤:観戦ってそういうものですからね。

加藤:家族でもいいです。お酒やお菓子を用意して、ワイワイと見てくれたら嬉しいですね。

――楽しみにしています。本日はありがとうございました。


※ ※ ※
放送局、運営会社、コミュニティが三位一体になって制作されている本大会。日本の『ロケットリーグ』シーンも含め、まだまだ成長していくコンテンツであることは間違いない。
少しでも興味がある人は、ぜひ配信を見て、その熱量を感じ取ってほしい。

PRIMAL FINAL情報

ファイナルはLFS池袋で直接観戦することができる。3チームの激闘を会場で応援しよう。

日時
:6月29日(土)16:30 開場、17:00開演、20:30終了予定
会場:LFS池袋esports Arena(https://www.lfs-esportsarena.jp/
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目43−6 D-BOX 地下1階
入場料:無料

※詳細情報は随時公式サイトにて公開

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■関連リンク
PRIMAL 公式サイト
https://rlprimal.jp/
RPIMAL 視聴ページ(スカパー!オンデマンド)
https://vod.skyperfectv.co.jp/title/30695786
ロケットリーグ
https://www.rocketleague.com/
LFS池袋esports Arena
https://www.lfs-esportsarena.jp/

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