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eスポーツの将来を担う高校生にスポットライトを! 全国高校eスポーツ選手権とは!?
目次
毎日新聞社が主催する、高校生を対象にしたeスポーツ大会「全国高校eスポーツ選手権」、予選が2018年12月23日~26日にオンラインで、決勝が2019年3月23日~24日に幕張メッセで開催される。PCショップ「ドスパラ」を経営する株式会社サードウェーブ全面協力の元、学校へのゲーミングPCの貸し出し等、新しい試みを多く取り入れたことでも話題となっている。
その仕掛け人である、毎日新聞社・田邊真以子氏に話を伺った。
田邊真以子氏(以下:田邊):スタートとしては、2017年の年末あたりから弊社のデジタルメディア局というWEB報道グループの方から、eスポーツの取材の話がよく出るようになってきていました。その時私はeスポーツについてほとんど知らなくて、「なんでゲームがスポーツなんだろう?」というところからでした。
でも2018年のお正月に高校生の従弟に会って、何気なく「eスポーツって知ってる?」と聞いてみると、彼はeスポーツにとても興味があって、自分でも『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』をやっているというんです。そして『LoL』の競技人口や観戦文化のすごさを語ってもらいまして。
――高校生の間ではこんなにメジャーなのかと。
田邊:そうなんです。でもそれは半分勘違いで(笑)、実際にはこれから本格化するのではないかと思うんですけど、そのとき若い世代にはこんなに浸透しているのかと一気に実感が湧いてきて、いろんなeスポーツの大会を観戦しに行くようになったんです。そこでゲームのコミュニティの方々と交流させてもらったら、熱量がすごくて。
――コミュニティ主体でやっているところも多いですからね。
田邊:それでこの素晴らしい熱意を持った方々を応援できないかと考えて、今回の取り組みを会社に提案したという流れです。
――応援の仕方はいろいろあると思いますが、「大会を開く」ことにしたのはどういった理由なのでしょう?
田邊:もちろん報道面でも応援していきますが、毎日新聞として何ができるかと考えたとき、春のセンバツ(選抜高等学校野球大会)などアマチュアスポーツで取り組んできた歴史も活かして、次代を担う若い方たち、まだ親御さんや学校の理解が必要な人たちに向けた大会ができるのではないかと。
また、どんなに報道で盛り上げようと思っても、それでは一部の選手や運営しか取り上げることができないので、一般の方々の反応を感じたり、コミュニティの方々と一緒に盛り上げるには、大会という形で貢献できればというのが大きいです。
――コミュニティを大事にしようと考えたんですね。
田邊:コミュニティと何のつながりもない会社がいきなり入ってきて「盛り上げよう!」と記事ビジネスを始めてもそれは違うので、まずは毎日新聞ならではのものとして、高校生のコミュニティを作ることができないかと思って企画しました。
田邊:最初の予想では「なんで新聞社が?」とか、「俺たちの領域に入ってこないで」というように言われてしまうのではないかと思っていたのですが、思っていた以上に受け入れていただけました。「勝ったら履歴書に書けますか?」というような反応もありまして。
やはり弊社では選抜高校野球大会など各種スポーツ大会を主催していることもあり、求められているのはそういうものなんだな、と。ただのゲームイベントで終わらせずに、インターハイや甲子園のような、学校や親のお墨付きを貰える大会を期待されていると感じました。
反響自体も大きくて、Twitter等で思った以上に拡散してもらえましたね。そこで高校生同士がやり取りしていることもあるようで、「コミュニティを作りたい」と思って始めたことなので、まずはそれが嬉しいです。
――生徒さんも自主的にいろいろ動いてくれているんですね。
田邊:学校で『LoL』をやっている人を探したり、学校に掛け合ったりしてくれているみたいで。「学校側にプレゼンするから、応援メッセージを出してください」という問い合わせもありました。「どうしても集まらない場合は学校をまたいでもいいですか?」という問い合わせもあったのですが、部活動のようなイメージを想定していますのでそこは初心者でもいいから何とか同じ学校で集めてほしい、というようにしています。
――高校生にはとてもいい思い出作りの場にもなりますね。
田邊:そうなってくれればと思います。中には北米や韓国からの留学生や帰国子女で『LoL』の経験者がいて、そういう生徒を引き入れたりもあるようです。留学生だと運動部の大会等では規約によって出られないこともあるので、そういった生徒たちとの交流の場にもなっているようです。経験者のチームもあれば、この大会のためにイチから始めたという初心者だけのチームもあります。どうしても実力差は出てしまうと思いますが、観戦する方々には温かく見守っていただければと思います。
――学校や先生方の反応はどうでしょうか?
田邊:eスポーツを知らなかったという先生方からも、生徒が自主的に何かに取り組もうとしていることを評価して応援してくれる方が多くいらっしゃいました。自分が『LoL』をやっているので生徒に教えられる、という熱心な先生もいたりしましたね。ゲームに親しんできた世代の先生も増えていますし、思った以上に理解のある方が多いという印象です。
もちろん、先生がなかなか許可をくれないという生徒さんもいて、頑張って説得しているみたいです。
――学校の許可がなくて出場できないというようなことは?
田邊:大会側としては出場に学校の許可は必要としていません。フィギュアスケート等の選手が部活外の大会に出るのと一緒で、大会では一応高校名も出ますが、基本的にはメンバーさえ揃えば出場できます。
なので、まず結果を残して、それを持って学校側にeスポーツ部を作れないか交渉する、という声もありました。
田邊:『LoL』に関しては、先述の高校生の従弟の話から、私が最初に触れたeスポーツタイトルということもあったのですが、調べるとやっぱりこれが一番相応しいタイトルではないかなと。競技内容に関しては日本独自のものにするより、世界基準のeスポーツ大会をやりたいという気持ちがありましたので、世界で一番競技人口の多い『LoL』は採用させていただきました。
――一方『ロケットリーグ』は、とくに国内では大会なども珍しいように思います。
田邊:『LoL』は競技人口が多いとはいえ、ゲームを理解していないと観ていてもわかりづらいところがあるので、ゲームに詳しくない先生や親御さんでもわかりやすく観られるタイトルも入れたいと考えていました。そこでサードウェーブさんの方から『ロケットリーグ』を提案していただきまして、見てみたらとても面白くて格好よかったので、採用させていただきました。
――クルマでサッカーをしている、というのが見た目ですぐわかりますからね。
田邊:そうなんです。まだ国内では競技人口も少ないですが、世界的に見ればまだまだ伸びているタイトルなので、やはり世界基準でのeスポーツに触れてもらおうというのもあって、このタイトルがいいね、ということになりました。
田邊:そうですね。世界的に見ればPCが主流ですし、最初にやろうと思った『LoL』がPCゲームなので当然PCを使ったものになっていきました。
また弊社がeスポーツを扱う理由のひとつに、2020年から小学校でプログラミングの授業が必修化されるといった流れの中で、子どもたちにPCとの距離を縮めてもらえれば、というのがあります。将来PCのスキルを活かしてもらうといった広い意味での人材育成を考えたとき、やはりPCゲームの方がふさわしい面があるのかな、と考えています。
また、今はどこの学校にもパソコン室があったりするので、ゲーム機を買って練習してください、とするよりは学校からの理解も得やすいと思います。
――『LoL』ならそれほど高スペックも要求されませんからね。
田邊:そういう部分もタイトルを選ぶにあたって重視しました。
――学校にゲーミングPCを3年間貸し出す「eスポーツ部発足支援プログラム」も78校の申し込みがあったようですが、こちらはやはりそれでもスペックを満たしたPCがない、というような学校が主に申し込んでいる形でしょうか?
田邊:それもありますが、そもそも「ゲーミングPCを触ってみたい」という生徒さんも多いです。また、よくある勘違いで「PCゲームはゲーミングPCじゃないとできない」と思い込んでいる人がいたりします。PCを使った教育という面では、こうした誤解を解いて、普通のPCでもできる、ということを伝えていかなくてはいけないと思っています。
――スマートフォンの高性能化もあって、家にPCがないという家庭も多いですからね。
田邊:そういう場合は放課後に学校のパソコン室に集まって、それこそ部活といった雰囲気で練習しているようです。
田邊:想像以上です。一番最初に受けたインタビューでは合計100チームくらいが目標と言っていたのですが、風呂敷を広げすぎたかなと思っていたくらいで。eスポーツが好きな先生が同じ県で仲のいい先生に声をかけてくれたり、あとはゲームコミュニティの中でも高校生同士が「ウチは出るからそっちも学校で声かけて出ようぜ」というように口コミで広げてくれているみたいです。
『LoL』はソフトが基本的に無料なので取り組みやすいようです。『ロケットリーグ』は安価とはいえ有料ソフトですし、ゲームパッドでの操作が主流なのでそちらにもお金がかかってしまうのもあるかもしれません。学校側としては、無料の『LoL』ならいいよ、というケースもあるようです。
――まだ目の前の大会運営でお忙しいとは思いますが、次回以降の構想などはありますか?
田邊:まずは第一回を成功させることに注力しているのですが、開催時期については改めて検討する必要があると考えています。今回は予選を冬休み期間中、本戦を春休みに、というつもりで日程を組んでいたのですが、冬休みが短い県ではまだ学校があるみたいで。
先生方から「その日授業なんです」というようなことを言われてしまいまして、学校の支障になってしまいますと本末転倒なので、来年はもう少し調整できればと思っています。
大会は予選から全試合Twitchで配信する予定です。本当は一般的なeスポーツ同様に3本先取ルールでしっかりと練習の成果を出させてあげたかったのですが、どうしてもスケジュールの都合上、1本先取のルールになってしまって……。そこは申し訳なかったのですが、なんとか頑張ってほしいです。
――視聴者も温かく見守ってほしいですね。
田邊:本当にそうですね。初心者のチームもありますから、コメント等もミスに対して野次るのではなく、高校生たちのプレイを見守ってほしいと思います。配信は予選も含めてすべて行いますので、ぜひご視聴、応援のほどよろしくお願いします。
■関連リンク
全国高校eスポーツ選手権公式サイト
https://www.ajhs-esports.jp/
サードウェーブ
http://info.twave.co.jp/
リーグ・オブ・レジェンド
https://jp.leagueoflegends.com/ja/
ロケットリーグ
https://www.rocketleague.com/
全国高校eスポーツ選手権 Twiitch
https://www.twitch.tv/ajhs_esports
その仕掛け人である、毎日新聞社・田邊真以子氏に話を伺った。
▲既存のゲームコミュニティにリスペクトを持って取り組む、毎日新聞社 eスポーツ担当・田邊真以子氏
eスポーツを応援するために新聞社としてできることは……
――はじめに、本取り組みを始めることになった経緯・きっかけを教えてください。田邊真以子氏(以下:田邊):スタートとしては、2017年の年末あたりから弊社のデジタルメディア局というWEB報道グループの方から、eスポーツの取材の話がよく出るようになってきていました。その時私はeスポーツについてほとんど知らなくて、「なんでゲームがスポーツなんだろう?」というところからでした。
でも2018年のお正月に高校生の従弟に会って、何気なく「eスポーツって知ってる?」と聞いてみると、彼はeスポーツにとても興味があって、自分でも『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』をやっているというんです。そして『LoL』の競技人口や観戦文化のすごさを語ってもらいまして。
――高校生の間ではこんなにメジャーなのかと。
田邊:そうなんです。でもそれは半分勘違いで(笑)、実際にはこれから本格化するのではないかと思うんですけど、そのとき若い世代にはこんなに浸透しているのかと一気に実感が湧いてきて、いろんなeスポーツの大会を観戦しに行くようになったんです。そこでゲームのコミュニティの方々と交流させてもらったら、熱量がすごくて。
――コミュニティ主体でやっているところも多いですからね。
田邊:それでこの素晴らしい熱意を持った方々を応援できないかと考えて、今回の取り組みを会社に提案したという流れです。
▲公式サイトにはゲームごとのルールブック(レギュレーション)も書かれている
――応援の仕方はいろいろあると思いますが、「大会を開く」ことにしたのはどういった理由なのでしょう?
田邊:もちろん報道面でも応援していきますが、毎日新聞として何ができるかと考えたとき、春のセンバツ(選抜高等学校野球大会)などアマチュアスポーツで取り組んできた歴史も活かして、次代を担う若い方たち、まだ親御さんや学校の理解が必要な人たちに向けた大会ができるのではないかと。
また、どんなに報道で盛り上げようと思っても、それでは一部の選手や運営しか取り上げることができないので、一般の方々の反応を感じたり、コミュニティの方々と一緒に盛り上げるには、大会という形で貢献できればというのが大きいです。
――コミュニティを大事にしようと考えたんですね。
田邊:コミュニティと何のつながりもない会社がいきなり入ってきて「盛り上げよう!」と記事ビジネスを始めてもそれは違うので、まずは毎日新聞ならではのものとして、高校生のコミュニティを作ることができないかと思って企画しました。
学校も先生も協力的なところがほとんど
――2018年7月に本大会が発表された時の反応はいかがでしたか?田邊:最初の予想では「なんで新聞社が?」とか、「俺たちの領域に入ってこないで」というように言われてしまうのではないかと思っていたのですが、思っていた以上に受け入れていただけました。「勝ったら履歴書に書けますか?」というような反応もありまして。
やはり弊社では選抜高校野球大会など各種スポーツ大会を主催していることもあり、求められているのはそういうものなんだな、と。ただのゲームイベントで終わらせずに、インターハイや甲子園のような、学校や親のお墨付きを貰える大会を期待されていると感じました。
反響自体も大きくて、Twitter等で思った以上に拡散してもらえましたね。そこで高校生同士がやり取りしていることもあるようで、「コミュニティを作りたい」と思って始めたことなので、まずはそれが嬉しいです。
――生徒さんも自主的にいろいろ動いてくれているんですね。
田邊:学校で『LoL』をやっている人を探したり、学校に掛け合ったりしてくれているみたいで。「学校側にプレゼンするから、応援メッセージを出してください」という問い合わせもありました。「どうしても集まらない場合は学校をまたいでもいいですか?」という問い合わせもあったのですが、部活動のようなイメージを想定していますのでそこは初心者でもいいから何とか同じ学校で集めてほしい、というようにしています。
――高校生にはとてもいい思い出作りの場にもなりますね。
田邊:そうなってくれればと思います。中には北米や韓国からの留学生や帰国子女で『LoL』の経験者がいて、そういう生徒を引き入れたりもあるようです。留学生だと運動部の大会等では規約によって出られないこともあるので、そういった生徒たちとの交流の場にもなっているようです。経験者のチームもあれば、この大会のためにイチから始めたという初心者だけのチームもあります。どうしても実力差は出てしまうと思いますが、観戦する方々には温かく見守っていただければと思います。
▲予選のオンライン大会告知動画。MCにOooDa氏、スペシャルサポーターにケイン・コスギ氏が就任
――学校や先生方の反応はどうでしょうか?
田邊:eスポーツを知らなかったという先生方からも、生徒が自主的に何かに取り組もうとしていることを評価して応援してくれる方が多くいらっしゃいました。自分が『LoL』をやっているので生徒に教えられる、という熱心な先生もいたりしましたね。ゲームに親しんできた世代の先生も増えていますし、思った以上に理解のある方が多いという印象です。
もちろん、先生がなかなか許可をくれないという生徒さんもいて、頑張って説得しているみたいです。
――学校の許可がなくて出場できないというようなことは?
田邊:大会側としては出場に学校の許可は必要としていません。フィギュアスケート等の選手が部活外の大会に出るのと一緒で、大会では一応高校名も出ますが、基本的にはメンバーさえ揃えば出場できます。
なので、まず結果を残して、それを持って学校側にeスポーツ部を作れないか交渉する、という声もありました。
競技タイトルを『LoL』と『ロケットリーグ』にしたワケ
――競技タイトルを『LoL』と『ロケットリーグ』にしたのはどういう経緯でしょうか?田邊:『LoL』に関しては、先述の高校生の従弟の話から、私が最初に触れたeスポーツタイトルということもあったのですが、調べるとやっぱりこれが一番相応しいタイトルではないかなと。競技内容に関しては日本独自のものにするより、世界基準のeスポーツ大会をやりたいという気持ちがありましたので、世界で一番競技人口の多い『LoL』は採用させていただきました。
▲経験値やゴールドを稼ぎ、RPGのようにキャラクターを成長させながら相手陣地の制圧を目指すMOBAゲームの『リーグ・オブ・レジェンド』。チーム全体の戦略やキャラクターの成長のさせ方、プレイングスキル等見どころも多いが、各プレイヤーが持っている情報が違ったりと観戦に慣れが必要な面も
――一方『ロケットリーグ』は、とくに国内では大会なども珍しいように思います。
田邊:『LoL』は競技人口が多いとはいえ、ゲームを理解していないと観ていてもわかりづらいところがあるので、ゲームに詳しくない先生や親御さんでもわかりやすく観られるタイトルも入れたいと考えていました。そこでサードウェーブさんの方から『ロケットリーグ』を提案していただきまして、見てみたらとても面白くて格好よかったので、採用させていただきました。
――クルマでサッカーをしている、というのが見た目ですぐわかりますからね。
田邊:そうなんです。まだ国内では競技人口も少ないですが、世界的に見ればまだまだ伸びているタイトルなので、やはり世界基準でのeスポーツに触れてもらおうというのもあって、このタイトルがいいね、ということになりました。
▲「ロケットカー」というマシンを操作するスポーツゲーム『ロケットリーグ』。マシンのカスタマイズなど奥深い面もあるが、基本ルールがサッカーなので見た目にわかりやすい
PCゲームなら学校のパソコン室でプレイできる
――日本ではゲームというと家庭用ゲーム機が主流かと思いますが、最初からPCゲームでやろう、というのはあったのでしょうか。田邊:そうですね。世界的に見ればPCが主流ですし、最初にやろうと思った『LoL』がPCゲームなので当然PCを使ったものになっていきました。
また弊社がeスポーツを扱う理由のひとつに、2020年から小学校でプログラミングの授業が必修化されるといった流れの中で、子どもたちにPCとの距離を縮めてもらえれば、というのがあります。将来PCのスキルを活かしてもらうといった広い意味での人材育成を考えたとき、やはりPCゲームの方がふさわしい面があるのかな、と考えています。
また、今はどこの学校にもパソコン室があったりするので、ゲーム機を買って練習してください、とするよりは学校からの理解も得やすいと思います。
――『LoL』ならそれほど高スペックも要求されませんからね。
田邊:そういう部分もタイトルを選ぶにあたって重視しました。
――学校にゲーミングPCを3年間貸し出す「eスポーツ部発足支援プログラム」も78校の申し込みがあったようですが、こちらはやはりそれでもスペックを満たしたPCがない、というような学校が主に申し込んでいる形でしょうか?
田邊:それもありますが、そもそも「ゲーミングPCを触ってみたい」という生徒さんも多いです。また、よくある勘違いで「PCゲームはゲーミングPCじゃないとできない」と思い込んでいる人がいたりします。PCを使った教育という面では、こうした誤解を解いて、普通のPCでもできる、ということを伝えていかなくてはいけないと思っています。
――スマートフォンの高性能化もあって、家にPCがないという家庭も多いですからね。
田邊:そういう場合は放課後に学校のパソコン室に集まって、それこそ部活といった雰囲気で練習しているようです。
▲Twithにある全国高校eスポーツ選手権のチャンネルでは、『LoL』の初心者講座配信なども行われている。今回の選手権に向けて「初めてプレイした」という人がそれだけ多いようだ
高校生同士の口コミで想定以上のチーム数に!
――出場数の方ですと、現状で『LoL』が93チーム、『ロケットリーグ』が60チーム登録があるとのことですが、この数は想定と比べていかがですか?田邊:想像以上です。一番最初に受けたインタビューでは合計100チームくらいが目標と言っていたのですが、風呂敷を広げすぎたかなと思っていたくらいで。eスポーツが好きな先生が同じ県で仲のいい先生に声をかけてくれたり、あとはゲームコミュニティの中でも高校生同士が「ウチは出るからそっちも学校で声かけて出ようぜ」というように口コミで広げてくれているみたいです。
『LoL』はソフトが基本的に無料なので取り組みやすいようです。『ロケットリーグ』は安価とはいえ有料ソフトですし、ゲームパッドでの操作が主流なのでそちらにもお金がかかってしまうのもあるかもしれません。学校側としては、無料の『LoL』ならいいよ、というケースもあるようです。
――まだ目の前の大会運営でお忙しいとは思いますが、次回以降の構想などはありますか?
田邊:まずは第一回を成功させることに注力しているのですが、開催時期については改めて検討する必要があると考えています。今回は予選を冬休み期間中、本戦を春休みに、というつもりで日程を組んでいたのですが、冬休みが短い県ではまだ学校があるみたいで。
先生方から「その日授業なんです」というようなことを言われてしまいまして、学校の支障になってしまいますと本末転倒なので、来年はもう少し調整できればと思っています。
大会は予選から全試合Twitchで配信する予定です。本当は一般的なeスポーツ同様に3本先取ルールでしっかりと練習の成果を出させてあげたかったのですが、どうしてもスケジュールの都合上、1本先取のルールになってしまって……。そこは申し訳なかったのですが、なんとか頑張ってほしいです。
――視聴者も温かく見守ってほしいですね。
田邊:本当にそうですね。初心者のチームもありますから、コメント等もミスに対して野次るのではなく、高校生たちのプレイを見守ってほしいと思います。配信は予選も含めてすべて行いますので、ぜひご視聴、応援のほどよろしくお願いします。
■関連リンク
全国高校eスポーツ選手権公式サイト
https://www.ajhs-esports.jp/
サードウェーブ
http://info.twave.co.jp/
リーグ・オブ・レジェンド
https://jp.leagueoflegends.com/ja/
ロケットリーグ
https://www.rocketleague.com/
全国高校eスポーツ選手権 Twiitch
https://www.twitch.tv/ajhs_esports
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