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DetonatioN Gaming CEO・梅崎伸幸が語る「DetonatioN Gamingのスポンサーに、何故ナショナルクライアントが付くのか?」
目次
日本でも昨今、「eスポーツ」というキーワードを耳にする場面が多くなったかと思います。多くのプロチームが増え、業界的にも、多彩な分野の企業から注目を集めるようになってきました。
今回は「なぜDetonatioN Gaming(以下、DNG)にナショナルクライアント(全国で自社ブランドの製品を販売している大企業に使われるビジネス用語)と呼ばれる企業がスポンサーとして付いたのか?」、これを主題とし、今後チーム経営・マネジメントを考えている方々に向けてのお話をさせていただければと思います。
そもそもDNGの起源を遡りますと、2008年2月28日に結成し、FPS の『CrossFire』というタイトルで活動をしていましたが、半年程度で活動休止に。その後、2012年7月20日に当時のチームリーダーからチーム名「DetonatioN」を譲り受ける許可をいただき、FPSゲーム『Counter-Strike Online』のチームとして、新たにスタートを切りました。
そして、そこからもうすぐ6年目を迎えようとしているわけですが、今年の3月にナショナルクライアントと呼ばれる企業「au(KDDI)」「クレディセゾン」「大塚食品」の3社様がスポンサーとして、DNGとeスポーツの発展のために、共に歩んでくださることとなりました。
特にau(KDDI)は日本3大キャリアの一角として、日本で知らない人はいないと言っても過言ではない企業であると思います。
では、このように有名なナショナルクライアントがDNGのスポンサーについたということは、日本のeスポーツ全体がそれだけ発展し、周知されてきているということなのか?それともDNGがトータル的に長けているだけなのか? これについて、私がこの6年間で経験してきたことを交え、皆さんにご説明させていただきます。
ナショナルクライアントに限らず、プロゲーマーチームのスポンサー獲得に繋がる要因につきましては、大きく下記の5つの観点に分けられます。
そういった関係図を知り、活用させてもらうために、まずは今繋がっている方々との信頼関係の構築に力を入れること。これが非常に重要なのです。言うまでもなく、信頼関係とは一朝一夕で築けるものではありません。まずは一歩ずつ、お互いを知ることからスタートした方が良いかと思います。
例えば、『League of Legends』の日本公式リーグである「LJL(League of Legends Japan League)」のファイナルに招待するなどして、生でその熱気と感動、そして規模感を知ってもらうのが良いと思います。事実、DNGは何度か企業の方を大会へ招待させていただきましたが、その舞台を見た後の感想として「確かにこれはスポーツと言えると納得しました!」と、熱く語っていただけることが多かったです。
招待に応じていただけるかどうかの問題はありますが、まずは「百聞は一見に如かず」、選手たちの闘いの場をその目で見ていただくことこそ第一だと思います。
「どれだけのファンがいるのか?」
「どれだけの人が見てくれているのか?」
「その年齢層の幅はどの程度のものなのか?」
などといった点につきまして、よく質問をいただきます。
その指数として、日本ではTwitterのフォロワー数、月間インプレッション数などが重視されますし、ゲームプレイ配信での数字や、キーワードの検索数なども挙げられます。このお見せする数字を作り上げていくためには、当然ながらチームならびに選手、そしてスタッフが協力をし、一枚岩となって長く続けること。そして、チーム活動そのものも長く続けることが大切です。
「大会で優勝すればスポンサーが付く」という考えは、現在の日本では難しいと思います。設立して1~2年程度のチームに、大手スポンサーは基本、見向きもしてくれません。地道にチームとしての活動を続けることで、その積み重ねが信頼というブランドを生み、様々な企業が向き合ってくれるようになるのです。
新しい業界だから、いろいろ失敗もあるのは当たり前。まして予想しないことが起きるのは常ですが、例えばチームの行動がネット上で炎上を引き起こした場合、その問題を真摯に受け止めて対応できたのか、ということも組織力として問われます(もちろん、炎上しないに越したことはないのですが)。
問題への対応力、さらにその後どのように信頼を回復するか、そもそも問題への対策ができているかなど、組織力が求められるわけです。
これ以外に、実際の売上や取引先などが聞かれることもあります。社会的な企業としての体制維持や組織運営を、実績として日々積み重ねておく必要もあるのです。
若者のテレビ離れにより、どの媒体に広告価値を求めるかということが現在、ブランドマーケティングの課題となっています。そのなかで、若い世代が集中しているeスポーツという業界は、非常に注目されるポジションになってきました。顧客の年齢層が年々上がっていくクライアントなどから、そういったeスポーツの潜在的な価値が認知され始めているのです。
ブランド広告として、どこにお金を使うべきかが企業間のマーケティングで注目されているなか、まずそのスポンサーになっていただきたいクライアントがどういう企業なのか、広告価値としてどのようなものを求めているのかを知ることが大切です。相手のニーズを知ることは営業における基本ですが、近年eスポーツの場でも、このような分析が必要となってきています。
チームにナショナルスポンサーを付けるという目標の達成は、社長の顔や人脈だけでも、まして営業力だけでも成り立ちません。上記のように、全体的な信頼、ブランド、組織力。そして、eスポーツシーンに対する理解を得ること。また、長い間お付き合いを続けていただくためにも、先方のニーズを知ることが大切です。
何度も言いますが、総合的な組織力、そして何より、そこに所属する社員、スタッフ、選手らがそのことを意識して活動することが、後の大きな「チーム力」になると言うのが、私がDNGを6年見てきて感じたことです。
最後になりますが、今回特に皆さんに伝えたいことは、ナショナルクライアントにスポンサーになっていただくためには近道などなく、目の前のことを地道にこなしていくこと。日常で当たり前と思っていることに疑問を持ち、自分自身で落とし込み、答えを導くこと。そして、その答えをもって実行に移すことを心掛けてほしい、という点です。
そうした研鑽の結果、ナショナルクライアントがスポンサーに付いてくれたとすれば、その頃には内部的にも外部的にも、素晴らしいチームに成長しているかと思います。
eスポーツの活性化、そして日本のeスポーツアスリートが世界で勝つことを願いつつ、共に頑張りましょう。
■梅崎 伸幸氏のプロフィール
1983年7月1日生まれ。プロe-sportsチーム「DetonatioN Gaming」のCEO。同時に株式会社「Sun-Gence」代表取締役社長、「日本プロeスポーツ連盟」共同代表理事と、多岐に渡る立場から日本のe-sports発展を牽引し続ける。日本初の給与制プロゲーマーチームとその体制を発足させたパイオニアであり、さらに同じく日本初となるe-sportsカリキュラムである、「東京アニメ・声優専門学校」のe-sportsプロフェッショナルゲーマーワールドコースにて教鞭を振るうなど、後進の育成にも精力的に携わっている。
■関連リンク
梅崎 伸幸氏のTwitter
https://twitter.com/lgran_jp
DetonatioN Gaming
http://team-detonation.net/
株式会社Sun-Gence
http://sun-gence.co.jp/
日本プロeスポーツ連盟
http://jpef.or.jp/
今回は「なぜDetonatioN Gaming(以下、DNG)にナショナルクライアント(全国で自社ブランドの製品を販売している大企業に使われるビジネス用語)と呼ばれる企業がスポンサーとして付いたのか?」、これを主題とし、今後チーム経営・マネジメントを考えている方々に向けてのお話をさせていただければと思います。
そもそもDNGの起源を遡りますと、2008年2月28日に結成し、FPS の『CrossFire』というタイトルで活動をしていましたが、半年程度で活動休止に。その後、2012年7月20日に当時のチームリーダーからチーム名「DetonatioN」を譲り受ける許可をいただき、FPSゲーム『Counter-Strike Online』のチームとして、新たにスタートを切りました。
そして、そこからもうすぐ6年目を迎えようとしているわけですが、今年の3月にナショナルクライアントと呼ばれる企業「au(KDDI)」「クレディセゾン」「大塚食品」の3社様がスポンサーとして、DNGとeスポーツの発展のために、共に歩んでくださることとなりました。
特にau(KDDI)は日本3大キャリアの一角として、日本で知らない人はいないと言っても過言ではない企業であると思います。
では、このように有名なナショナルクライアントがDNGのスポンサーについたということは、日本のeスポーツ全体がそれだけ発展し、周知されてきているということなのか?それともDNGがトータル的に長けているだけなのか? これについて、私がこの6年間で経験してきたことを交え、皆さんにご説明させていただきます。
チームのスポンサー獲得に必要な5つの要素
ナショナルクライアントに限らず、プロゲーマーチームのスポンサー獲得に繋がる要因につきましては、大きく下記の5つの観点に分けられます。
- 人脈と信頼関係(営業的な立ち回りの必要性)
- 選手が活躍しているシーンで魅せる
- 確かなブランド力
- 運営会社としての組織力
- クライアントが求めるニーズ
1. 人脈と信頼関係
ナショナルクライアント=大企業というイメージがある通り、いきなり正面窓口からお伺いしたところで該当の担当者に繋がるケースはまずありません。eスポーツのように、一般的認知度がまだまだ低い業界では、門前払いは当たり前です。そこで、いきなり見知らぬ企業にお伺いするより、まずは今、自身が繋がっている関係者がどういう立場の人で、どんな人たちと繋がりがあるのかを理解する必要があります。もしかしたら、そうした仕事上の付き合いや友人関係のなかに、クライアントの役員との繋がりを持つ人がいるかも知れません。これが「営業的な立ち回りの必要性」です。そういった関係図を知り、活用させてもらうために、まずは今繋がっている方々との信頼関係の構築に力を入れること。これが非常に重要なのです。言うまでもなく、信頼関係とは一朝一夕で築けるものではありません。まずは一歩ずつ、お互いを知ることからスタートした方が良いかと思います。
2. 選手が活躍しているシーンで魅せる
様々な日本の企業の方々から、「eスポーツって何ですか?」と質問をいただくのですが、いくら世界のeスポーツシーンや市場をデータで説明したり、映像をお見せしても、今ひとつピンと来ていただけません。そのため、日本が魅せられる最高のeスポーツの舞台を、実際にクライアントに見ていただくことが、理解を得る一番の近道だと言えます。例えば、『League of Legends』の日本公式リーグである「LJL(League of Legends Japan League)」のファイナルに招待するなどして、生でその熱気と感動、そして規模感を知ってもらうのが良いと思います。事実、DNGは何度か企業の方を大会へ招待させていただきましたが、その舞台を見た後の感想として「確かにこれはスポーツと言えると納得しました!」と、熱く語っていただけることが多かったです。
招待に応じていただけるかどうかの問題はありますが、まずは「百聞は一見に如かず」、選手たちの闘いの場をその目で見ていただくことこそ第一だと思います。
3. 確かなブランド力
スポンサーとなる企業の方々は、対象となるチームの「ブランド力」がどの程度あるのかを気にされます。「どれだけのファンがいるのか?」
「どれだけの人が見てくれているのか?」
「その年齢層の幅はどの程度のものなのか?」
などといった点につきまして、よく質問をいただきます。
その指数として、日本ではTwitterのフォロワー数、月間インプレッション数などが重視されますし、ゲームプレイ配信での数字や、キーワードの検索数なども挙げられます。このお見せする数字を作り上げていくためには、当然ながらチームならびに選手、そしてスタッフが協力をし、一枚岩となって長く続けること。そして、チーム活動そのものも長く続けることが大切です。
「大会で優勝すればスポンサーが付く」という考えは、現在の日本では難しいと思います。設立して1~2年程度のチームに、大手スポンサーは基本、見向きもしてくれません。地道にチームとしての活動を続けることで、その積み重ねが信頼というブランドを生み、様々な企業が向き合ってくれるようになるのです。
4. 運営会社としての組織力
上記と同様に、企業の方々からよく質問される要素として、「まず、組織体制はどうなっていますか?」というものがあります。ここでは組織としての基本体制、営業・広報・マネジメント・経理…などという基本的な部分はもちろんのこと、チーム自体の組織力と、その運営経験が問われてきます。新しい業界だから、いろいろ失敗もあるのは当たり前。まして予想しないことが起きるのは常ですが、例えばチームの行動がネット上で炎上を引き起こした場合、その問題を真摯に受け止めて対応できたのか、ということも組織力として問われます(もちろん、炎上しないに越したことはないのですが)。
問題への対応力、さらにその後どのように信頼を回復するか、そもそも問題への対策ができているかなど、組織力が求められるわけです。
これ以外に、実際の売上や取引先などが聞かれることもあります。社会的な企業としての体制維持や組織運営を、実績として日々積み重ねておく必要もあるのです。
5. クライアントが求めるニーズ
ナショナルクライアントの皆さんから求められたのは、揃って「現在の顧客層とは異なる若者にフォーカスしたい」ということでした。若者のテレビ離れにより、どの媒体に広告価値を求めるかということが現在、ブランドマーケティングの課題となっています。そのなかで、若い世代が集中しているeスポーツという業界は、非常に注目されるポジションになってきました。顧客の年齢層が年々上がっていくクライアントなどから、そういったeスポーツの潜在的な価値が認知され始めているのです。
ブランド広告として、どこにお金を使うべきかが企業間のマーケティングで注目されているなか、まずそのスポンサーになっていただきたいクライアントがどういう企業なのか、広告価値としてどのようなものを求めているのかを知ることが大切です。相手のニーズを知ることは営業における基本ですが、近年eスポーツの場でも、このような分析が必要となってきています。
いわゆる企業努力 地道な成長こそ重要
チームにナショナルスポンサーを付けるという目標の達成は、社長の顔や人脈だけでも、まして営業力だけでも成り立ちません。上記のように、全体的な信頼、ブランド、組織力。そして、eスポーツシーンに対する理解を得ること。また、長い間お付き合いを続けていただくためにも、先方のニーズを知ることが大切です。
何度も言いますが、総合的な組織力、そして何より、そこに所属する社員、スタッフ、選手らがそのことを意識して活動することが、後の大きな「チーム力」になると言うのが、私がDNGを6年見てきて感じたことです。
eスポーツ業界の発展と理解の拡大だけでなく、チーム名が確かな信頼の証になる努力が必要です
最後になりますが、今回特に皆さんに伝えたいことは、ナショナルクライアントにスポンサーになっていただくためには近道などなく、目の前のことを地道にこなしていくこと。日常で当たり前と思っていることに疑問を持ち、自分自身で落とし込み、答えを導くこと。そして、その答えをもって実行に移すことを心掛けてほしい、という点です。
そうした研鑽の結果、ナショナルクライアントがスポンサーに付いてくれたとすれば、その頃には内部的にも外部的にも、素晴らしいチームに成長しているかと思います。
eスポーツの活性化、そして日本のeスポーツアスリートが世界で勝つことを願いつつ、共に頑張りましょう。
■梅崎 伸幸氏のプロフィール
1983年7月1日生まれ。プロe-sportsチーム「DetonatioN Gaming」のCEO。同時に株式会社「Sun-Gence」代表取締役社長、「日本プロeスポーツ連盟」共同代表理事と、多岐に渡る立場から日本のe-sports発展を牽引し続ける。日本初の給与制プロゲーマーチームとその体制を発足させたパイオニアであり、さらに同じく日本初となるe-sportsカリキュラムである、「東京アニメ・声優専門学校」のe-sportsプロフェッショナルゲーマーワールドコースにて教鞭を振るうなど、後進の育成にも精力的に携わっている。
■関連リンク
梅崎 伸幸氏のTwitter
https://twitter.com/lgran_jp
DetonatioN Gaming
http://team-detonation.net/
株式会社Sun-Gence
http://sun-gence.co.jp/
日本プロeスポーツ連盟
http://jpef.or.jp/
【コラム】DetonatioN Gaming CEO・梅崎が語る
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- DetonatioN Gaming CEO・梅崎伸幸が語る「eSportsシーンにおける2つのキーワード『教育と成長』」【前編】
- DetonatioN Gaming CEO・梅崎伸幸が語る「DetonatioN Gamingのスポンサーに、何故ナショナルクライアントが付くのか?」