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<Halo復刻記念>あるFPSの栄枯盛衰と希望「DreamHack Halo Grassroots」を終えて【シブゲーアーカイブ】
※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。(公開日:2019年7月1日/執筆:ゆき)
日本時間の2019年6月1日(土)~6月3日(月)、DreamHack Dallas にて『Halo3』を競技タイトルとした「DreamHack Halo Grassroots」が開催された。『Halo3』は10年以上前に発売されたゲームだ。しかし、海外では現在でも積極的に大会が開催されている。『Call of Duty』(以下、CoD)で言えば、2019年に『Call of Duty4 : Modern Warfare』の大会が開かれるようなものである。
なぜ『Halo3』は10年もの時を経ても、競技タイトルとして人気なのだろうか?
その疑問に答えるには、eスポーツにおける『Halo3』及び『Halo』シリーズの栄枯盛衰の歴史を説明する必要がある。
この記事ではその説明をするとともに、『Halo』の歴史の中で一つの節目となった「DreamHack Halo Grassroots」が、どういった立ち位置にあるかということについても触れる。また、イベントの様子や注目のチームもレポートしていきたい。
1. 輝かしき日々としての『Halo3』
異郷から故郷を懐かしむ気持ちと、『Halo3』を思う気持ちは似ている。これが、『Halo3』が10年もの時を経ても人気である理由だ。
もちろん『Halo3』がゲームとして完成度が高いことも理由の1つである。ストイックかつシンプルなアリーナシューターとして、間違いなく傑作である。
しかし、その後『Halo』はそこから紆余曲折の道を辿ることとなる。
▲『Halo3』発売当時、同ゲームの大会が行われた「MLG San Diego 2008」の様子(画像引用:engadget公式サイト)
『Halo3』発売当時の2000年代後半は、eスポーツの流行が開花し始めた頃もあり、『Halo』の大会がそこら中で開催されていた。
しかし新作が発売されるにつれ、度重なるゲームシステムの変更が発生。例えば、スプリントやスラスターパック(※任意の方向に急加速できる機能)などの追加によりゲームのテンポは大きく変わった。
この変更は、良くも悪くも賛否両論を巻き起こし「クラシック」「モダン」という分断を生んでしまう。
▲『Halo』のゲームシステムの変化を超ざっくりまとめるとこんな感じだ
新しいシステムに適応できず、リタイアするプロプレイヤーもおり、『Halo4』の時代になると大会の賞金額・視聴率共に落ち込みが見られてしまった。
しかし、次に発売された『Halo5』では復活の兆しが見られた。FPSの流行りの操作と従来の『Halo』のシステムを上手くマッシュアップさせたと好評だったのだ。
ただ振り返ると、根を同じくしても『Halo3』と『Halo5』の違いは大きい。良い・悪いではなく単純な差異の問題だ。
この「差異」こそが、私が言及したい『Halo3』から遠く離れた旅なのだ。この旅があるからこそ、『Halo3』は、もう戻れない「輝かしき日々」としてファンの心に焼き付いている。 2.『Halo』の過去と未来を繋いだ「DreamHack Halo Grassroots」 『Halo3』から遠く離れた旅の途中、2019年1月。
現在『Halo』シリーズを開発している343Industriesは、ファンの『Halo3』に対する思いを汲んだのか、「2019年は『Halo3』の大会を積極的に開催していく」との声明を発表し、ファンを喜ばせた。
だがその声明の中で最後の『Halo3』の大会である、「DreamHack Halo Grassroots」も終わってしまうと、ファンの誰もが今度こそ『Halo3』シーンも失われてしまうのかと一抹の寂しさを感じていた。
しかし、その予想は裏切られた。なんと、「DreamHack Halo Grassroots」の直後から新しい『Halo3』のイベントが続々と告知され始めたのだ。これからも『Halo3』の勢いはまだまだ止まらないと期待していいだろう。
そんな嬉しい裏切りをしてくれた「DreamHack Halo Grassroots」は、もう1つの役割を持っていたと筆者は考える。
それは、『Halo3』から2020年に発売予定の最新作『Halo Infinite』まで、ファンの盛り上がりと期待を繋ぐ起点となったことだ。この最新作は、『Halo3』のようにクラシックな『Halo』に立ち返るというコンセプトで現在制作中である。
2019年は懐かしい名作に浸るだけではなく、そこから生まれる新しい『Halo』に思いを馳せることができる。
今回は、そんな『Halo』の「これから」に期待させてくれた記念すべき「DreamHack Halo Grassroots」の様子をお伝えしていきたい。配信は日本時間ではなかなか見るのが難しいので、この記事で少しでも現地の盛り上がりが伝われば幸いだ。
▲「Dream Hack Halo Grassroots」が開催された「Dream Hack Dallas 2019」の様子。(画像引用:Dream Hack公式サイト)
大会の内容に踏み込む前に、そもそも「DreamHack」とはなんぞや?という人向けに、少し基本的な説明をしておこう。
「DreamHack」はスウェーデンで開催される世界最大級のLANイベントで、ゲームだけではなく、コスプレ・音楽・アートが一堂に会する。2018年には世界各地の6カ国で開催され、合計で30万人の来場者数を記録した。
注目チーム(1) ヨーロッパの猛者が集う!自由闊達な 「Invincible」
ここからは、「DreamHack Halo Grassroots」が『Halo』のこれからに期待させてくれた大会ということで、これからの動向が気になったチームと彼らの戦いぶりを紹介していく。
まず注目したいチームは「Invincible」!
このチームの特徴は、ヨーロッパ出身の選手が多いこと。ヨーロッパでは向かうところ敵無しで、地域予選等では常に上位に食い込んでいる。
メンバーは『Halo5』での競技経験が目立つが、今回の大会でも自由闊達とも言える戦いぶりを見せてくれた。参加するかはまだ不明だが、ヨーロッパを代表する『Halo』プレイヤーとして、上述した『Halo3』ヨーロッパオープンでもどのように暴れてくれるのか楽しみだ。
boop @Lethal_HT @JimboGPK #HCS pic.twitter.com/QKdfVlzKVy
— DreamHack Halo (@DreamHackHalo) June 1, 2019
▲メンバーのJimbo選手は、司会にちょっかいを出すおちゃめな一面も(右端がJimbo選手)
プロアマ混合のオープンブラケットを勝ち抜いてきた「CUTTING EGDE Esports」との試合では、自信に満ちた大胆なプレイを見せてくれた。彼らが戦ったのは、オープンブラケットの次に行われた総当たり戦。BO5(5ゲーム先取制)だったが、「Invincible」は1ゲームも落とすことなく3-0で勝利した。
注目チーム(2) CoD帰りの賞金王に注目「Falling Esports」
▲Frosty選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Eco選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Neighbor選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Ace選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Eco選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Neighbor選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
▲Ace選手(画像引用:Dream Hack Halo公式ツイッター)
もうひとつの注目チームは、「Falling Esports」だ。
注目したいのは、「Enigma6」のメンバーとして『CoD』シーンでも活躍するFrosty選手。2015年からキャリアを始め『Halo』シーンで最も稼いだ賞金王の1人とされていたが、2018年12月から『CoD』へ移行した。
Bro. @FrostyBB pic.twitter.com/9h7f1fw6pB
— McGregor | Lion ???? (@vLionMan) May 3, 2019
▲「Call of Duty World League」でFrosty選手が見せたスーパープレイ。
「Frosty選手は『Halo』に帰ってくるのか?」というファンからの心配の声も上がったが、彼は「DreamHack Halo Grassroots」への参加で答えてみせた。今回の大会を期に生まれたチームだが、彼率いる「Falling Esports」はまるでドリームチームだ。メンバーは、その年で最も活躍したプレイヤーに与えられる「Major League Gaming Pro Choice Awards 2008 Halo3部門」で1位に選ばれたNeighbor選手や、優秀なプレイヤーでありながら優秀なコーチでもあるAce選手、『Halo5』では負け知らずだったチーム「Splyce」に所属していたEco選手からなる。
選手移籍、チーム解体の多い『Halo』シーンであるが、Twitterアカウントが開設されていることなどを考えると、彼らはこれからも「Falling Esports」としての活動を続けていくようだ。また、Neigbor選手・Eco選手は7月に行われる『Halo3』の大会「RedBull RISE TILL DOWN」への参加が決まっている。
「Falling Esports」はメンバーは豪華と言えど、チームを組んでから日が浅く、過去に別のチームで組んだことのあるメンバーも少ない。『Halo』はチームワークが重要なのだ。しかし、ただでさえ優秀な個人が、このドリームチームでの経験を積んだらどれほど強くなってしまうのだろうか。これからが楽しみだ。
ウィナーズブラケット決勝戦にて行われた、frosty選手の古巣である「TOX GAMING」との試合は両者一歩も譲らない白熱した戦いとなった。BO7(7ゲーム先取制)という長丁場で、第4ゲーム終了時にはスコアは2-2に。しかし、第5ラウンドは紆余曲折ありながらも「TOX GAMING」が流れを掴み、続く第6ラウンドでも勝利。スコアは2-4となり、「Falling Esports」は惜しくも敗者となった。
「Dream Hack Halo Grassroots」最終結果
1位 TOX GAMING
2位 Falling Esports
3位 Team Reciprocity
4位 Denial Esports
5-6位 Nfinite/Sage eSports
7-8位 GMS/Invincible
1位 TOX GAMING
2位 Falling Esports
3位 Team Reciprocity
4位 Denial Esports
5-6位 Nfinite/Sage eSports
7-8位 GMS/Invincible
『Halo3』よ永遠なれ!今後の大会スケジュール
最後に、記事でも触れた今後の『Halo3』イベントを予習しておこう。IGNITE Halo European Open
競技タイトル:『Halo3』
会場:The Lock No. 4, Twickenham Stadium, Whitton Rd, Twickenham TW2 7BA, UK
スケジュール:2019年8月17日~8月18日(現地時間)
賞金:4v4: $25,000 2v2: $5,000
URL:https://www.halowaypoint.com/ja-jp/esports/faceit-ignite-2019
Red Bull Rise Till Dawn Featuring Halo 3
競技タイトル:『Halo3』
会場:The 99th Floor of The Willis Tower | Chicago, IL
スケジュール:2019年7月13日~7月14日(現地時間)
URL:https://www.redbull.com/us-en/events/rise-till-dawn
『Halo』公式サイト
https://www.halowaypoint.com/ja-jp
「Dream Hack」公式サイト
https://dreamhack.com/
「Dream Hack Halo Grassroots」公式サイト
https://dreamhack.com/halo/
https://www.halowaypoint.com/ja-jp
「Dream Hack」公式サイト
https://dreamhack.com/
「Dream Hack Halo Grassroots」公式サイト
https://dreamhack.com/halo/