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【『LoL』世界大会2018現地レポート】G2 Jankos選手「FWとのタイブレーク戦は、ドラフト終了時に勝ったと思った」

リーグ・オブ・レジェンドLoL)』世界大会「Worlds 2018」には、世界中から各地域のトップチームが集い、今年の世界最強を目指して戦っている。五大リーグの中でも、特にマップコントロールやマクロ偏重のゲームを繰り広げる地域。それがヨーロッパ(EU)だ。EU第3シード出場の「G2 Esports(G2)」は、かつて『LoL』プロシーン黎明期にチーム「SK Gaming」で活躍した名ミッドレーナーOcelote氏が立ち上げたゲーミング組織で、スペインに本拠地を置く。同じくEUの古い名門であるFnaticとはここ数年ライバル関係にある。

昨年まで大黒柱としてチームを支えたボットレーンデュオの移籍にともない、今年はミッド以外のプレイヤーを一新してWorldsへとたどり着いたG2。今回インタビューしたJankos選手(読みは「ヤンコス」)も今年初めからG2でプレイするようになった選手だ。ファーストブラッド獲得率が高いことから「ファーストブラッドキング」の異名を取っていたJankos選手だが、G2に入ってからは攻撃的チャンピオンだけでなくサポート的チャンピオンも使いこなすなど、柔軟なプレイを身につけている。また試合中のボイスチャット内容をピックアップする公式コーナー「Mic Check」では、陽気でお茶目なムードメーカーとしてピックアップ常連となっている。グループA結果確定日の10月15日深夜、全てが終わった後に話を聞いた。


――まずはグループステージ突破おめでとうございました! サムライの国よりお慶び申し上げます(G2のチームモチーフがサムライ)。

Jankos: (笑)ありがとうございます。

――現在のメタではジャングラーの重要度が非常に大きく、またダイバー系や小競り合いに強いチャンピオンがピックされる傾向が強いですよね。このメタでのご自身のパフォーマンスについて、どんな手応えを感じていますか?

Jankos: ほとんどのゲームについては満足しています。驚異的に良いプレイはできていないけど、悪くもないというか。ただ一部の試合では酷いプレイをしてしまって…特にPVB戦が酷かった。あれは僕のせいで落としてしまったゲームだと思ってます。だからここからは、最低でも及第点は取り続けたいですね。

――タイブレーカーとなったFW戦は、かなり想定外のドラフトになったように思います。ドラフト中、G2のチーム側のコミュニケーションはどんな感じでしたか?ある程度用意・予測していたとか?そしてまた「Mic Check」であなたの活躍を期待してもいいですか?

Jankos: (笑)ハイマーディンガーを開けてきた時点で、何か対策は用意してきているんだろうなとは思っていました。ただあちらの戦略は筋悪だったと思うんです。レーン戦ではあちらが有利になるかもしれないけど、集団戦ならハイマーのほうがずっと活きる。それに加えてこちらは他のピックも良かったので、負けるほうが難しいと思ってました。これで負けたら、ウチのほうが弱いチームってことだろうって。

タイブレーカー前に負けた試合ではそれが真逆で、勝つのが本当に難しいドラフトだった。最後の試合では良いドラフトをできて本当によかったです。

――次の質問は多分何度となく聞かれていると思うんですが…。今年は地域間の勢力図が変わりつつあると言われていますよね。G2はすでに今年のWorldsでさまざまな地域から来た多くのチームと対戦してきたわけですが、今はどんな印象を持っていますか?

Jankos: 過去の年よりも力量差が少ない接戦になってるとは思います。もちろん去年はMisfitsがSK Telecom T1と戦い、欧米勢がアジア勢を倒すことは可能だと見せてくれたわけですけど(Misfitsは昨年のWorldsで5戦目までもつれ込む接戦を見せた)、その傾向は今年も変わってないですね。BO1(複数試合でなく1試合で勝敗が決まる)ですがウチも一度はAFSに勝っていますし。VitalityとCloud9も同様にRoyal Never Give upに勝っています。FnaticはInvictus Gamingに勝ちうると思ってますし、Team LiquidもEDward GamingやKT Rolsterと接戦できると思う。

今年のWorldsはメタも楽しいし、地域間の実力差も伯仲していると思ってます。

――ではJankos選手的には、今はバランスが取れていると思っている?

Jankos: そう言えると思います。まず今は、「この戦略を取らなくちゃ勝てない」状態じゃない。選択肢がある。それって視聴者側にとっても、プロ選手にとっても楽しいことだと思うんですよね。

――もし対戦相手を選べるとしたら、どことやってみたいですか?

Jankos: 選べるならばFnaticとやりたいですね。彼らがInvictus Gaming(IG)を倒して第1シードを取れたら、ということになりますが。そうでなければ次はIGまたはKTと当たりたいです。RNGはボットレーンが凄く強烈で勝つのは困難だと思います、が…! 不可能ではないと思ってますから。そういう意味では、IGかKTと当たったほうが勝算は大きくなると思います。

――G2はサムライがテーマのチームですよね。Jankos選手は自分のどこが一番サムライ的だと思いますか?

Jankos: 僕のプレイが一番そうなんじゃないかな。敵に対して引かずにぶつかっていく姿勢というか。

――確かに! ところでタイブレーカーの試合、どの時点で「勝った!」と思われましたか?

Jankos: 正直、ドラフトが完了した段階でかなり確信に近いものがありました。

ネクサスを割り切った瞬間は、みんな喜ぶというより「ホッ」としてました。

あとは「甘苦い感情」がありましたね。グループ1位も取り得たと思っているので。凄く悲しいのにすごく嬉しいという。

――日本にはファーストブラッドキングと呼ばれた時代から見ている人、そしてMic Checkを通じて好きになった人など、ファンがたくさんいます。

Jankos: いつも応援してくれてありがとうございます。これからもMic Checkを通じて皆さんを笑顔にしたいと思いますが、同時に自分の実力を示しつつ、準々決勝…その先まで戦っていくつもりです。改めて、応援ありがとうございます。


古株のファンならわかってくれると思うが、NAやEUのプロシーンを長年眺めてきた取材班にとって、Jankos選手は憧れの選手のひとりだ。そんな選手がチームと共にWorldsの舞台を勝ち進んでいるのはこの上ない喜びである。ゲームとチームに対して真摯な姿勢を崩さないJankos選手の武運を、サムライの国から心より祈っている。


【レポート】『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会「Worlds 2018」

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